JP2011061097A - ダイシング用プロセステープ。 - Google Patents
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Abstract
【課題】
分断率が高くかつ汚染性が低いレーザーダイシングテープ、およびそれを用いたレーザーダイシング方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
引張弾性率が3〜50MPaであり230℃でのMFRが1〜100g/10min.であり粘着力(JIS Z0237)が0.1〜10N/25mmである粘着層と、引張弾性率が100〜1500MPaであり前記粘着層との230℃でのMFRの差が5g/10min.以下である基材層と、を含んでなり、拡張率が101〜120%でかつヘイズが0〜10%であるダイシングフィルム。
【選択図】 図1
分断率が高くかつ汚染性が低いレーザーダイシングテープ、およびそれを用いたレーザーダイシング方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
引張弾性率が3〜50MPaであり230℃でのMFRが1〜100g/10min.であり粘着力(JIS Z0237)が0.1〜10N/25mmである粘着層と、引張弾性率が100〜1500MPaであり前記粘着層との230℃でのMFRの差が5g/10min.以下である基材層と、を含んでなり、拡張率が101〜120%でかつヘイズが0〜10%であるダイシングフィルム。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ダイシングテープ、およびそれを用いたレーザーダイシング方法に関する発明である。
半導体チップやLEDの発光素子に用いられる基板をより薄膜化・小チップ化することでデバイスの小型化が進められている。上記の基板を分断する方法としてはブレードダイシング方式が一般的だが、切断時のブレードによる切削抵抗により基板に微小な欠け(チッピング)が発生しやすく、特に基板を薄膜化した際には顕著である。
このチッピングを解決する方法として、基板にかかる切削抵抗を低減できるレーザーにより半導体ウェハを切断する方式が検討されている。
特に特許文献1には、基板が多光子吸収する波長のレーザー光をその焦点を基板内部に合わせて照射する事により、基板内部に多光子吸収による改質領域を形成させた後、外的応力を印加する事により前記改質領域を起点としてチップ個々に分割する方法が記載されている。この方法によると基板にかかる切削抵抗を著しく低下させ、チッピングを抑制することができる。
また特許文献2には、予め基板に伸張性のテープに貼合しておき、改質領域形成後にその前記伸張性フィルムを伸張させることで外的応力を基板に印加し、個々のチップに分割する方法が記載されている。この方式の場合、切削抵抗が直接かかる事が無いというメリットに加え、改質領域を起点として亀裂が入り分断されるものであるため、チッピングは殆ど発生しない。
さらに特許文献3には、回路パターンなどが形成されている基板を加工するため、基板の裏面からレーザー光を入射させる方法が記載されている。この方法では、回路パターン面によりレーザー光の照射が阻害されるのを防ぐためレーザー光を回路パターンなどが形成されていない基板裏面から入射させ、切断予定ラインに沿って改質領域を形成し、その後、基板裏面側に拡張性があるダイシングフィルムを貼合し、前記フィルムを伸張させて分断する。
しかし上記方法の場合、レーザー光を照射した後、特に基板が薄い場合や破損しやすい材質で構成されている場合は、基板が破損しやすいため、レーザー光照射前に基板の裏面に上記ダイシングフィルムを貼り合わせ、さらに前記フィルムをリングフレームなどで固定するのが好ましい。上記のチッピングを低減し効率よく、薄膜基板や回路が形成された基板を分断する方法では、レーザー光はダイシングテープ越しに基板に入射される事になる。このことから、拡張性や粘着性の他に、レーザー光を阻害することなく基板が分断でき、またレーザー光による変質等により基板への汚染を生じないダイシングテープが求められている。
本発明は、分断率が高くかつ汚染性が低いレーザーダイシングテープ、およびそれを用いたレーザーダイシング方法を提供することを目的とする。
本発明は、ダイシングテープ、およびそれを用いたレーザーダイシング方法に関する発明である。
具体的には、
[1]引張弾性率が3〜50MPaであり230℃でのMFRが1〜100g/10min.でありSUS304−BA板の表面に貼着し60分間放置後に前記SUS304−BA板の表面から剥離したときの粘着力(JIS Z0237)が0.1〜10N/25mmである粘着層と、引張弾性率が100〜1500MPaであり前記粘着層との230℃でのMFRの差が5g/10min.以下である基材層と、を含んでなり、拡張率が101〜120%でかつヘイズが0〜10%であるダイシングフィルム。
[2]前記粘着層または/および前記基材層の表面抵抗値が1×1017〜1×105Ωである[1]に記載のダイシングフィルム。
[3]前記粘着層の表面抵抗値が1×1017〜1×105Ωであり、前記基材層の表面抵抗値が1×1017Ωを超える[1]に記載のダイシングフィルム。
[4]引張弾性率が80〜1000MPaである[1]に記載のダイシングフィルム。
[5]さらに最表面に離型層を有し、前記離型層と接触している前記粘着層を少なくとも1層有する[1]に記載のダイシングフィルム。
[6]230℃でのMFRが1〜100g/10min.でヘイズが0〜10%である樹脂Aと前記樹脂Aと230℃でのMFRの差が5g/10min.以下でヘイズが0〜10%である樹脂Bとを共押出する工程を含み、前記共押出する工程の後に実質的に延伸工程を含まない、ダイシングフィルムの製造方法。
[1]引張弾性率が3〜50MPaであり230℃でのMFRが1〜100g/10min.でありSUS304−BA板の表面に貼着し60分間放置後に前記SUS304−BA板の表面から剥離したときの粘着力(JIS Z0237)が0.1〜10N/25mmである粘着層と、引張弾性率が100〜1500MPaであり前記粘着層との230℃でのMFRの差が5g/10min.以下である基材層と、を含んでなり、拡張率が101〜120%でかつヘイズが0〜10%であるダイシングフィルム。
[2]前記粘着層または/および前記基材層の表面抵抗値が1×1017〜1×105Ωである[1]に記載のダイシングフィルム。
[3]前記粘着層の表面抵抗値が1×1017〜1×105Ωであり、前記基材層の表面抵抗値が1×1017Ωを超える[1]に記載のダイシングフィルム。
[4]引張弾性率が80〜1000MPaである[1]に記載のダイシングフィルム。
[5]さらに最表面に離型層を有し、前記離型層と接触している前記粘着層を少なくとも1層有する[1]に記載のダイシングフィルム。
[6]230℃でのMFRが1〜100g/10min.でヘイズが0〜10%である樹脂Aと前記樹脂Aと230℃でのMFRの差が5g/10min.以下でヘイズが0〜10%である樹脂Bとを共押出する工程を含み、前記共押出する工程の後に実質的に延伸工程を含まない、ダイシングフィルムの製造方法。
本発明によれば、ダイシングを行う基板を効率良く分断でき、かつダイシングテープに由来する汚染、さらには加工時に発生するダストによる汚染を抑制することができる。これにより基板の加工効率を飛躍的に向上させることができる。
図1および図2は、本発明のダイシング方法の好ましい実施態様を説明する概略断面図である。
ここでは、ダイシングフィルム15側からレーザー光11を入射し基材14の内部に焦光点を合わせて照射し多光子吸収による改質領域を形成している。
本発明においては、好ましくは、基材14がリングフレーム12と粘着層と基材層を含んでなるダイシングテープ15にて支持固定された状態(図1)で、リングフレーム12を基板固定用のチャックの方向に引き下げることでダイシングテープ15を拡張し、脆くなった上記改質領域から基材を分断する(図2)。
以下、本発明について、ダイシングフィルム、前記フィルムを用いたダイシング方法について詳細に説明する。
また、以下の説明では、「〜」を使用して数値範囲を規定するが、本発明の「〜」は、境界値を含む。例えば、「10〜100」とは、10以上100以下である。
1.ダイシングフィルム
本発明のダイシングフィルムは粘着層と基材層を含んでなり、拡張率が101〜120%でかつヘイズが10%以下である。また後述するように、必要に応じてさらに離型フィルムを組み合わせることができる。
本発明のダイシングフィルムは粘着層と基材層を含んでなり、拡張率が101〜120%でかつヘイズが10%以下である。また後述するように、必要に応じてさらに離型フィルムを組み合わせることができる。
本発明のダイシングフィルムの拡張率は101〜120%が好ましく、102〜110%であることがより好ましい。前記範囲より拡張率が小さいと、基材を分断する際に必要な外部応力が小さくなり、基材の分断率が低下するからである。一方、上記範囲より拡張率が大きいと、拡張後の拡張ムラ、フィルム歪み、ダレ等が発生するおそれがある。
なおここでいう拡張率とは以下で述べる方法で測定したものである。図3に示すように拡張率を測定するフィルムを直径237mm以上の円に切断し、一辺が100mmの正方形と一辺が50mmの正方形をボールペンなどの筆記具を用いて描く(以下、被測定体31という)。図4と図5に示すように、前記被測定体31の中心に描いた正方形の中心と直径237mm×幅5mm×高さ7mmの輪41の中心を合わせる。その後、図6に示すように前記輪41より直径が大きい直径248mm×幅5mm×高さ7mmの拡張リング51を、前記輪41と前記拡張リング51の中心を合わせ、図7に示すように20℃の雰囲気下で被測定体31に前記輪41と拡張リング51の下辺が合うまで押し付ける。上記のように被測定体31に拡張リング51を押し付けた後、1分間静置し、上記被測定体31に描いた正方形の長さを測定した。得られた長さから、被測定体31に描いた一辺が50mmと100mmの正方形のそれぞれの辺について伸び率計算し、2つの正方形のすべての辺の伸び率を平均し、拡張率とした。フィルムが、拡張リングの高さ7mm分、均等に拡張されるために、図6、図7の拡大図に示すように、拡張リング41と51に、フィルム滑り止め形状を設けることが好ましい。
その他の好ましい拡張方法としては、図8に示すように拡張率を測定するフィルムを図8に示す8インチウエハ用のリングフレーム61(以下、リングフィレーム61という)の直径約300mm以上の円形に切断し、一辺が100mmの正方形と一辺が50mmの正方形をボールペンなどの筆記具を用いて描く(以下、被測定体31という)。前記被測定体31の中心に描いた正方形の中心と内径が250mmであるリングフレーム61の中心を合わせて、被測定体31の粘着層をリングフレーム61に貼り付ける。その後、図9に示すように、8インチウエハ用のウエハ拡張装置(ヒューグル株式会社製 拡張装置 HS-1810)に、被測定体31が貼り付いたリングフレーム61を搭載し、図9に示す拡張装置のステージ71上に被測定体31をセットする。次に、図10に示すような状態になるように、ステージを15mm引き上げ、フィルムを拡張した後、1分間静置し、上記のように、被測定体フィルムに描いた正方形の長さを測定し、上記の方法と同様に拡張率を測定することも好ましい。
本発明のダイシングフィルムのヘイズは、レーザー光の透過を阻害しないように小さければ小さいほど分断率が高くなり好ましい。具体的には3%以下が好ましく、2%以下だと基板の分断率が高く好ましい。なおここでいうヘイズとは、濁度計(曇り度計)NDH2000(Nippon Denshoku社製)にて、JIS K7136に従い測定されたものである。
本発明のダイシングフィルムの表面粗さ(Ra)は、レーザー光の透過を阻害しないためには小さければ小さいほどよいが、具体的には0.1〜0.5μmであることが好ましい。上記範囲より表面粗さが小さいと、上記ダイシングフィルムを拡張する際に、前記フィルムが滑りにくく、基板を分断しにくくなるからである。
本発明のダイシングフィルムに含まれる粘着層の引張弾性率は3〜50MPaであることが好ましい。引張弾性率が上記範囲より小さいと、基板と粘着層を貼合せた際に基板に密着しすぎて、後述する分断後の基板をピックアップする際に、前記基板を取り出しにくくなるためである。また引張弾性率が上記範囲より大きいと基板と粘着層が密着しにくく、後述する分断工程において、基板に本発明にフィルムの拡張による外部応力が伝わりにくく、分断率が低下する恐れがあるからである。
本発明のダイシングフィルムに含まれる粘着層の粘着力(JIS Z0237)は0.1〜10N/25mmの範囲であることが好ましい。一般的に、ダイシングフィルムを拡張することで、前記ダイシングフィルムと接着している基板に力をかけ基板を分断するため、ダイシングフィルムには高い粘着力が要求される。これは、一定以上の粘着力がないと、ダイシングフィルムを拡張した場合、前記フィルムと前記フィルムと接着した基板が剥がれてしまうからである。また高い粘着力をダイシングフィルムに付与するには、アクリル樹脂などのいわゆる接着剤を粘着層に使用するのが一般的である。しかしダイシングフィルムに上記のような接着剤を使用した場合、接着した基板に前記接着剤が残留し汚染が発生する(のり残り)という問題があった。さらに上記のような接着剤をダイシングフィルムの粘着層に使用すると、後述するような前記ダイシングフィルム越しのレーザーを基板に照射した場合、前記接着剤が変質し、ヘイズが増加するという問題もあった。よって本発明では、ダイシングフィルムに上記のような接着剤を用いることなく、後述する樹脂Aを共押出により層状にしたものを粘着層として用いることで、ヘイズの低減を行った。これにより、レーザーによる基板の改質効率を向上させ、接着剤を用いることなく(粘着層の粘着力が低くても)高い基板分断率を実現することができた。
なお本発明における粘着力(JIS Z0237)とは、SUS304−BA板の表面に貼着し60分間放置後に前記SUS304−BA板の表面から剥離したときの粘着力をいう。
上記粘着層を構成する樹脂Aとしては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ふっ層系エラストマー等が挙げられるがこれらに限られるものではない。具体的には、 Notio(三井化学株式会社製、登録商標)、タフマー、ミラストマー(三井化学株式会社製、登録商標)(参考文献:第1194276号)、ダイナロン(JSR社製、登録商標)等が挙げられるがこれらに限られるものではない。
上記粘着層の厚さは、本発明の全体のフィルムの厚さの50%以下が好ましい。後述するように、ヘイズを低減する観点からは粘着層は薄いほど良いが、一方で、フィルムを薄くするとその表面の凹凸の均一性が低下し、レーザー光の透過率がフィルム面内で均一にならず、結果として基板の分断率が、基板の面内でばらつくからである。
上記基材層の引張弾性率は100MPa〜1500MPaであることが好ましい。引張弾性率が上記範囲より小さいと、基材層を伸張しても前記伸張による応力が粘着層に伝わりにくく、その決河、基板の分断に必要な外部応力が基板に伝わりにくくなり分断率が低下する恐れがある。さらに、本発明のダイシングフィルムを積層させて保管や運搬をする際や基材の分断に用いる際の操作性が低下するからである。一方、引張弾性率が上記範囲より大きいと拡張性が失われる恐れがあるからである。また、上記理由より、フィルム全体としての弾性率は、80MPa〜1000MPaが好ましく、100MPa〜700MPaがさらに好ましい。
上記基材層を構成する樹脂Bとしては、上記のヘイズ以下で、引張弾性率が上記範囲である限りにおいては特に制限は無いが、好ましくは、PET等のポリエステル系、ナイロン系、ポリカーボネート、エラストマー系、ポリオレフィン系のものが適用される。
エラストマー系やポリオレフィンン系のうちヘイズが比較的高いものもあるが、例えばフィルム厚を80μm以下と薄くする事により透過率を向上させる事で、前記のヘイズ以下になれば用いることができる。
上記基材層の厚さは、5μm〜100μmであり、本発明のフィルム全体の厚さの50%以上が好ましい。これは後述するヘイズを低減する観点からは薄いほど良いが、一方で、フィルムを薄くするとその表面の凹凸の均一性が低下し、レーザー光の透過率がフィルム面内で均一にならず、結果として基板の分断率が、基板の面内でばらつくからである。
上記粘着層や基材層を構成する樹脂のMFRは、ASTM D1238に従って測定した場合、230℃で1〜100g/10min.であることが好ましい。さらに、粘着層と基材層のMFR差は、5以下が好ましい。これは後述するように、本発明のダイシングフィルムは、貼り付ける基板への汚染を低減しかつ前記フィルムの拡張性を保つために共押出法で製造されるためである。つまり上記範囲よりMFRが小さいと押出をすることが困難となるからである。一方、上記範囲よりMFRが大きいと樹脂が流れすぎ、粘着層の形状を均一にすることが困難となり、前記粘着層と基板との粘着力が低下するためである。
さらに本発明のダイシングフィルムに含まれる粘着層または/および基材層の表面抵抗値が低いことが好ましく、具体的には1×1017〜1×105Ωが好ましく、1×1012〜1×105Ωであることがより好ましい。ここでいう表面抵抗値とは、JIS K 6911やASTM D257準拠にて測定されたものである。これは本発明のダイシングフィルムを用いて基板を分断した際に、基板が帯電し基板から発生した切削片が分断した基板に付着することを防ぐためである。
表面抵抗値は例えば、JIS K6911に準拠し、R−9740(アドバンテスト社製)を用いて測定することができる。
本発明のダイシングフィルムに帯電防止性能を付与するには、例えば特許4247956号公報で開示されているように、ダイシングテープにイオン伝導性化合物を添加する方法など、公知の方法を用いることができ、特に限定されないが、イオン伝導性化合物を粘着層または/および基材層の原料となる樹脂に予め添加し、後述するように共押出法によって本発明のダイシングフィルムを製造することで、上記性能を付与することができる。
上記イオン伝導性化合物としては、一般的に用いられるものを用いることができ、特に限定されないが、具体的にはペレスタットHC250、ペレスタット230(三洋化成工業株式会社製)が挙げられる。
粘着層または基材層、もしくは粘着層と基材層の両方が上記表面抵抗値の範囲であればよいが、粘着層のみの表面抵抗値が上記範囲であることが好ましい。これは上述したように、帯電防止性能を付与するためにイオン伝導性化合物を添加すると、樹脂の変質や結晶化が促進されダイシングフィルムのヘイズが増加し、基板の分断率が低下する恐れがあるからである。
本発明のダイシングフィルムの最表面の粘着層にさらに離型フィルムを貼りあわせることができる。
一般的にダイシングフィルムなどのフィルムは、ロール状またはシート状に積層し積層体として運搬・保管され、積層体からフィルムを剥がして使用する。積層体からフィルムを剥がせなくなるブロッキングと呼ばれる現象が発生することがある。このブロッキングを防ぐため、一般的には積層するフィルムの表面は凹凸(エンボス)加工される。しかし上述したように、本発明のダイシングフィルムの表面は、レーザー光の透過を阻害しないように、平滑である必要がある。よって本発明のダイシングフィルムを積層体にして運搬・保管する場合は、前記フィルムのより粘着力があるためブロッキングしやすい最表面の粘着層に離型フィルムを貼りあわせるのが好ましい。
離型フィルムとして、一般的に用いられる離型フィルムを用いることができ、特に限定されないが、上記粘着層に汚染物質を付与しないようにアクリル系粘着剤などの接着剤を用いていないものが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタラートフィルム、(シリコーンコートペットフィルム(セパレーターSP−PET、東セロ株式会社製)などが挙げられる。
本発明のダイシングフィルムと上記離型フィルムとは、一般的に用いられる方法で貼りあわせることができ、特に限定されないが、可能な限り前記ダイシングフィルムを引き伸ばすことなく貼りあわせるのが好ましい。これは上記ダイシングフィルムを引き伸ばすと、その拡張性が低下し、基板を分断するにフィルムが拡張しにくくなり、基板の分断率が低下する恐れがあるからである。貼り合わせ方法としては、具体的に通常のシートラミネート装置を用いた方法が挙げられる。
本発明のダイシングフィルムは、少なくとも上記樹脂Aと上記樹脂Bを共押出し、前記共押出後に、実質的に延伸することなく製造するのが好ましい。これは強くフィルムを延伸すると、フィルムの拡張性が損なわれるからである。なお上記の「実質的に延伸することなく」とは、フィルムの拡張率が上記範囲を下回るほど強く延伸しないことを意味し、上記共押出でフィルムを製造した後に、上記本発明の好ましい拡張率の範囲内すなわち101〜120%が好ましく、102〜110%であることがより好ましいならば、上記共押出後に延伸法によって前記フィルムを加工してもよい。
共押出方法としては、公知の方法を用いることができ特に限定されないが、具体的には多層Tダイを用いて、各層を形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度に加熱し溶融させて一体としたものをフラットダイに送り込みダイ内で接着させる方法(フィードブロック法)、各層の溶融物をフラットダイ内の別のマニホールドに送り込み、ダイ内の共通の場所(一般的にはダイリップ入り口前にて、各層を層状に接合して一体としたものをフラットダイに送り込みダイ内で接着させる方法(多数マニホールド法)さらにフィードブロック法と多数マニホールド法の組み合わせ方法などが挙げられる。
2.ダイシング方法
本発明のダイシング方法は、多光子吸収性を有する基板を準備する第1の工程と、前記基板の少なくとも片表面に本発明のダイシングフィルムの粘着層と貼り合わせる第2の工程と、前記ダイシングフィルムを通して前記基板に多光子吸収帯に対応する波長のレーザー光を前記半導体ウェハ内部に焦点光を合わせて照射し改質する第3の工程と、前記ダイシングフィルムを拡張し前記基板を切断分離する第4の工程と、を含む、ダイシング方法である。さらに切断分離された前記基板の各切片をピックアップする第5の工程を含んでもよい。
本発明のダイシング方法は、多光子吸収性を有する基板を準備する第1の工程と、前記基板の少なくとも片表面に本発明のダイシングフィルムの粘着層と貼り合わせる第2の工程と、前記ダイシングフィルムを通して前記基板に多光子吸収帯に対応する波長のレーザー光を前記半導体ウェハ内部に焦点光を合わせて照射し改質する第3の工程と、前記ダイシングフィルムを拡張し前記基板を切断分離する第4の工程と、を含む、ダイシング方法である。さらに切断分離された前記基板の各切片をピックアップする第5の工程を含んでもよい。
以下、本発明のダイシング方法の好ましい実施態様を説明する図1および図2を用いて、上記各工程について詳細に説明する。
上記第1の工程において、多光子吸収性を有する基板を用意する。多光子吸収性を有する基板とは具体的には半導体ウェハなどに用いられるシリコンや、LEDの発光素子にもちいられるサファイアなどが挙げられる。後述するように基板内部にレーザーの焦点をあわせて基板を脆化させて分断するため、基板全体が多光子吸収性を有する材料で形成されている必要はなく、分断するのに必要な最低限の領域が多光子吸収性を有する材料で形成されていればよい。よって、例えば、基板の表面に銅やアルミニウムや絶縁層などで構成形成された回路が形成されていてもよい。
また近年のデバイスの小型化に対応するために、上記基板がバックグラインディングなどにより薄膜化されていてもよく、その厚さは特に限定はされないが、一般的にはバックグラインド工程やエッチング工程等において所定厚みに薄膜化された状態で30〜400μm程度の厚みのものが使用される。薄膜化された基板を分断する際には、後述するように、例えば図1のように本発明のダイシングフィルム15とリングフレーム12で基板を固定支持することで、基板の破損を防ぐことができる。
上記第2の工程において、上記基板の少なくとも片表面に本発明のダイシングフィルム15の粘着層を介して貼りあわせる。貼りあわせる方法は、公知の方法を用いることができ、特に限定されないが、例えば保護テープ貼付装置 TEAM−100、ATM−1100G、ATM−3000(タカトリ株式会社製)など)で貼りあわせることができる。
ダイシングフィルムを貼りあわせる基板面は特に限定されないが、基板に回路が形成されている場合、回路が形成されていない面(つまり平滑な面)に貼りあわせるのが好ましい。これは後述するように、ダイシングフィルム越しにレーザー光が基板に照射されるため、回路面によってレーザー光の透過が阻害されないようにするためである。またこの場合、回路面は固定用チャックテーブル13と接し固定されることになる。
また基板が薄膜化されている場合は、上記貼り合わせにより基板を破損しないように、固定用チャックテーブル13に基板14を予め固定してから、ダイシングフィルム15を貼り合わせ、リングフレーム12で固定するのが好ましい。
固定用チャックテーブルとしては、一般的に用いられる真空チャックなどを用いることができ特に限定されない。
固定用チャックテーブル13に基板14を固定し、かつ前記チャックテーブルに接する基板の面に回路などが形成されている場合、前記基板の回路面を保護するために保護フィルムを貼り合わせてもよい。上記保護フィルムを用いた場合、前記保護フィルムは図1のチャックテーブル13と基板14の間に存在することになる。
前記保護フィルムは、公知の表面保護フィルムを用いることができ、特に限定されないが、具体的に基板14が半導体ウェハでありかつ前記ウェハの裏面を研磨する場合は、三井化学社製 イクロステープなどを用いることができる。また上記保護フィルムは、拡張性がなくてもよいが、ある方が好ましい。上記保護フィルムに拡張性があれば、前記保護フィルムを剥がすことなく、図2のように基板を分断することができ、工程を簡略化でき、かつ上記保護フィルムを基板14から剥がす際に生じる基板の破損を防止することができるからである。上記第3の工程において、本発明のダイシングフィルム15を通して前記基板14に多光子吸収帯に対応する波長のレーザー光11を前記基板内部に焦点を合わせて照射され、基板内部が改質される。
レーザー光の焦点を合わせる方法などの改質方法は、例えば特許3408805号公報や特開2004−001076号公報にて提案されているような方式を用いることができる。本発明のレーザー光により多光子吸収による改質領域を形成する方式においては、焦光点を深さ方向の所定の位置に合わせた状態を維持したままで、切断ラインに沿ってスキャンさせる。
本発明に用いることのできるレーザー光11の種類としては、パルスレーザー光を発生するNd:YAGレーザー、Nd:YVOレーザー、Nd:YLFレーザー、チタンサファイアレーザなど多光子吸収を起こすものを挙げることができ、分断する基板の種類によって選択することができる。具体的には、主にシリコンで構成された半導体ウェハを分断する場合、レーザー光11の波長は、1064nm近傍のものを使用することができる。
図1にあるように、ダイシングフィルム越しにレーザー光を照射する態様を採用することで、薄膜化した基板または脆い基板をダイシングフィルム15とリングフレーム12で固定して改質し、後述する第4の工程で分断することで、基板の破損を防ぐことができる。
上記第4の工程において、例えば図2に示すように、本発明のダイシングフィルム15を拡張し前記基板14を分断する。上記第3の工程で、基板の内部に脆い改質領域が形成されているため、例えば図2に示すように、リングフレーム12を固定用チャックテーブルの方向に押し下げることで、ダイシングフィルム15を拡張し、基板14に外部応力を印加することで、上記改質領域が破壊され、切断ラインに沿って基板が分断される。この際、ダイシングフィルムのヘイズが高い、または回路が形成された基板面側からレーザー光を入射するなどすることで、レーザー光の透過が阻害された場合、基板の改質が十分でないため、分断率が低下する。
またダイシングフィルムの粘着層の基板との粘着力が著しく低い場合(つまり粘着層の引張弾性率が上記好ましい範囲でない場合)や基材層の弾性率が上記好ましい範囲でない場合、ダイシングフィルムの拡張による外部応力が基板に効率的に伝わらず、基板の分断率が低下する。
さらに分断により発生する基板の切削片が、分断後の基板に付着する恐れがあるが、上述したようにダイシングフィルムに帯電防止性能を付与することで切削片の付着を抑制することができる。これは例えば図2に示したように、ダイシングテープが一定の表面抵抗値を有していれば、導電性の金属などで形成されるリングフレーム12とダイシングテープ15が接しているため、ダイシングテープなどにたまった静電気が除電されるからだと考えられる。
さらに上記第5の工程において、分断された前記基板の各切片をピックアップされる。ピックアップする方法は、公知の方法を用いることができ、特に限定されないが、具体的には図2において、固定用チャックテーブル13を外し、分断された基板を真空プローブなどを用いてピックアップする方法が挙げられる。
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。以下に、本発明に使用した物性試験法A〜Eについて説明する。
A.引張弾性率
JIS K7161に記載のプラスチック引張特性の試験方法に準拠して、テープから縦方向と横方向の試験片を作成し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張試験を実施した。
この引張試験より得られた応力−ひずみ曲線で、2点の規定されたひずみにおいて測定された引張応力から、引張弾性率を算出した。後述の実施例で示される引張弾性率(23℃)は、少なくとも5回測定した平均値であり、単位は、MPaである。
JIS K7161に記載のプラスチック引張特性の試験方法に準拠して、テープから縦方向と横方向の試験片を作成し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張試験を実施した。
この引張試験より得られた応力−ひずみ曲線で、2点の規定されたひずみにおいて測定された引張応力から、引張弾性率を算出した。後述の実施例で示される引張弾性率(23℃)は、少なくとも5回測定した平均値であり、単位は、MPaである。
B.粘着力
JIS Z0237に記載の粘着シート試験方法に準拠して、温度23℃、相対湿度50%の環境下で粘着力試験を実施した。SUS−BA板に、粘着シートを約2kgゴムロールで圧力を加えながら試験板に貼り付けて、温度23℃、相対湿度50%の一定環境下に30分間置いてから、粘着シートを180°方向に、速度300mm/分で試験板から引き剥がしながら粘着力を測定した。後述の実施例で示される粘着力(23℃)は、少なくとも2回測定した平均値であり、単位は、N/25mmである。
JIS Z0237に記載の粘着シート試験方法に準拠して、温度23℃、相対湿度50%の環境下で粘着力試験を実施した。SUS−BA板に、粘着シートを約2kgゴムロールで圧力を加えながら試験板に貼り付けて、温度23℃、相対湿度50%の一定環境下に30分間置いてから、粘着シートを180°方向に、速度300mm/分で試験板から引き剥がしながら粘着力を測定した。後述の実施例で示される粘着力(23℃)は、少なくとも2回測定した平均値であり、単位は、N/25mmである。
C.へイズ
JIS K7136に準拠して、濁度計(曇り度計)NDH2000(Nippon Denshoku社製)にて、測定した。後述の実施例で示される値は、少なくとも2回測定した平均値である。
JIS K7136に準拠して、濁度計(曇り度計)NDH2000(Nippon Denshoku社製)にて、測定した。後述の実施例で示される値は、少なくとも2回測定した平均値である。
D.拡張率
図8に示すように拡張率を測定するフィルムを図8に示す8インチウエハ用のリングフレーム61(以下、リングフィレーム61という)の直径約300mm以上の円形に切断し、一辺が100mmの正方形と一辺が50mmの正方形をボールペンなどの筆記具を用いて描く(以下、被測定体31という)。前記被測定体31の中心に描いた正方形の中心と内径が250mmであるリングフレーム61の中心を合わせて、被測定体31の粘着層をリングフレーム61に貼り付ける。その後、図9に示すように、8インチウエハ用のウエハ拡張装置(ヒューグル株式会社製 拡張装置 HS-1810)に、被測定体31が貼り付いたリングフレーム61を搭載し、図9に示すように拡張装置のステージ71上に被測定体31をセットする。次に、図10に示すような状態になるように、ステージを15mm引き上げ、フィルムを拡張した後、1分間静置し、上記のように、被測定体フィルムに描いた正方形の長さを測定した。
図8に示すように拡張率を測定するフィルムを図8に示す8インチウエハ用のリングフレーム61(以下、リングフィレーム61という)の直径約300mm以上の円形に切断し、一辺が100mmの正方形と一辺が50mmの正方形をボールペンなどの筆記具を用いて描く(以下、被測定体31という)。前記被測定体31の中心に描いた正方形の中心と内径が250mmであるリングフレーム61の中心を合わせて、被測定体31の粘着層をリングフレーム61に貼り付ける。その後、図9に示すように、8インチウエハ用のウエハ拡張装置(ヒューグル株式会社製 拡張装置 HS-1810)に、被測定体31が貼り付いたリングフレーム61を搭載し、図9に示すように拡張装置のステージ71上に被測定体31をセットする。次に、図10に示すような状態になるように、ステージを15mm引き上げ、フィルムを拡張した後、1分間静置し、上記のように、被測定体フィルムに描いた正方形の長さを測定した。
フィルムが、均等に拡張されたことを確認した。
得られた長さから、被測定体31に描いた一辺が50mmと100mmの正方形のそれぞれの辺について伸び率計算し、2つの正方形のすべての辺の伸び率を平均し、拡張率とした。後述の実施例で示される値は、少なくとも2回測定した平均値である。
得られた長さから、被測定体31に描いた一辺が50mmと100mmの正方形のそれぞれの辺について伸び率計算し、2つの正方形のすべての辺の伸び率を平均し、拡張率とした。後述の実施例で示される値は、少なくとも2回測定した平均値である。
E.表面抵抗値
JIS K6911に準拠し、R−9740(アドバンテスト社製)を用いて測定。後述の実施例で示される値は、少なくとも2回測定した平均値である。
JIS K6911に準拠し、R−9740(アドバンテスト社製)を用いて測定。後述の実施例で示される値は、少なくとも2回測定した平均値である。
(実施例1)
テープを構成する各層の材料として、以下の材料を用いた。
基材層を構成する樹脂として、F327(プライムポリマー株式会社製、MFR7.3g/10分(ASTM D1238準拠、測定温度230℃))へ帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製、ペレスタットHC250)を10重量%加えた樹脂を用いた。引張弾性率は550MPaであった。粘着層を構成する樹脂としてNOTIO PN3560(三井化学株式会社製、登録商標、MFR6g/10分(ASTM D1238準拠、測定温度230℃)、引張弾性率12MPa)を用いた。
テープを構成する各層の材料として、以下の材料を用いた。
基材層を構成する樹脂として、F327(プライムポリマー株式会社製、MFR7.3g/10分(ASTM D1238準拠、測定温度230℃))へ帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製、ペレスタットHC250)を10重量%加えた樹脂を用いた。引張弾性率は550MPaであった。粘着層を構成する樹脂としてNOTIO PN3560(三井化学株式会社製、登録商標、MFR6g/10分(ASTM D1238準拠、測定温度230℃)、引張弾性率12MPa)を用いた。
次いで、各層の材料をフルルライト型のスクリューを備えた押し出し機により溶融した。成形条件(溶融温度)は、粘着層230℃、基材層230℃であり、この2層の溶融樹脂を多層ダイ内で積層させた(共押出温度:230℃)。
押し出された粘着シートを冷却、セパレータ(SP−PET、東セロ株式会社製)を粘着層面に設けた後、スリットして巻き取った。
このようにして得られた粘着シートは、基材層厚12μm、粘着層厚68μmで、合計厚み80μmであった。A.引張弾性率、B.粘着力引裂強さ、C.へイズ、D.拡張率、E.表面抵抗値について、前記に示した物性試験方法に従って試験し、その結果を表1に示す。
次に、作成したダイシングフィルムを用いてダイシングを行い、パーティクル発生率、チップ分断率、のり残り評価を行った。
具体的には、厚さ625μmであり、一辺の長さが50mmである正方形シリコンウェハの表面に、表1に示すロール状テープの接着面を貼合し、正方形シリコンウェハがテープの中心となるように、幅300mm×長さ300mmの大きさにテープを切り出す。シリコンウェハが貼り合わされたテープを、8インチ用リングフレームの中心に正方形シリコンウェハがセットされるように8インチ用リングフレームに貼付けた。
更に、これを株式会社ディスコ製のレーザー加工装置DFL7360に設置し、半導体ウェハの内部に焦光点が合うように粘着テープ側からレーザー光を入射し、チップサイズが2mm×2mmとなる切断予定ラインに沿って多光子吸収による改質領域を形成した。
更に、これを株式会社ディスコ製のレーザー加工装置DFL7360に設置し、半導体ウェハの内部に焦光点が合うように粘着テープ側からレーザー光を入射し、チップサイズが2mm×2mmとなる切断予定ラインに沿って多光子吸収による改質領域を形成した。
株式会社ディスコ製のレーザー加工装置DFL7360による加工条件の詳細は以下の通り行った。
(a)レーザー光源:半導体レーザー励起Nd:YAGレーザ波長:1064nmレーザー光スポット断面積:3.14×10−8cm2発振形態:Qスイッチパルス繰り返し周波数:100kHzパルス幅:30ns出力:20μJ/パルスレーザー光品質:TEM00 40偏光特性:直線偏光(b)集光用レンズ倍率:50倍NA:0.55レーザー光波長に対する透過率:60パーセント(c)半導体基板が載置される載置台の移動速度 移動速度:100mm/秒
次に、8インチ用リングフレームの内径部のテープ接着面に、図6に示す直径248mm×幅5mm×高さ15mmの拡張リング51を貼付け、さらにテープ接着面とは反対の面より、図6に示す輪41と前記拡張リング51の中心を合わせ、図7に示すように20℃の雰囲気下で、シリコンウェハが貼合されたテープに前記輪41と拡張リング51の下辺が合うまで押し付けテープを拡張し、一辺の長さが50mmである正方形シリコンウェハを、2mm×2mmサイズのチップに分断し、フィルムが、拡張リングの高さ15mm分、均等に拡張されたことを確認した。
次に、8インチ用リングフレームの内径部のテープ接着面に、図6に示す直径248mm×幅5mm×高さ15mmの拡張リング51を貼付け、さらにテープ接着面とは反対の面より、図6に示す輪41と前記拡張リング51の中心を合わせ、図7に示すように20℃の雰囲気下で、シリコンウェハが貼合されたテープに前記輪41と拡張リング51の下辺が合うまで押し付けテープを拡張し、一辺の長さが50mmである正方形シリコンウェハを、2mm×2mmサイズのチップに分断し、フィルムが、拡張リングの高さ15mm分、均等に拡張されたことを確認した。
さらに分断されたチップ表面を250倍の光学顕微鏡で観察し、分断によって発生するパーティクルがチップ表面に存在するか確認した。無作為に抽出した10チップを上記方法で観察し、10チップ中、パーティクルが見られたチップの数によってパーティクル発生率を評価した。(以下、10チップ中にパーティクルが見られたチップ数が3個だった場合、「3/10」と標記する。)
同様に、チップサイズが1mm×1mmに分断した場合、分断されなかったチップ数と、分断されたチップ数を数え、チップ分断率を計算した。具体的には、チップ分断率は、分断されたチップ数を分断されなかったチップと分断されたチップの合計数である2500で割り、100を掛けることで計算し、50%未満を不良(×)、50%以上65%未満を並(△)、65%以上85%未満を良(○)、85以上を優良(◎)として評価した。
次に、チップをテープから取り外し、粘着層成分がチップへ転写されていないか、糊残りを目視で確認したが、糊残りは確認されなかった。
(実施例2〜7)
帯電防止剤の添加量や帯電防止剤を添加する層、基材層と粘着層の厚さを表1のように変えた以外は、実施例1と同様にダイシングフィルムを作成し、評価を行った。実施例2〜7のダイシングフィルムの構成や物性、評価結果を表1に示す。
帯電防止剤の添加量や帯電防止剤を添加する層、基材層と粘着層の厚さを表1のように変えた以外は、実施例1と同様にダイシングフィルムを作成し、評価を行った。実施例2〜7のダイシングフィルムの構成や物性、評価結果を表1に示す。
(比較例1)
基材層を構成する樹脂をポリエチレンテレフタラート樹脂(PETフィルム、50μm)に変え、さらに粘着層を構成する樹脂をアクリル系粘着剤に変え、帯電防止剤を前記基材層と粘着層に加えず、基材層と粘着層の厚さを表1に示すように変え、実施例1と同様に評価を行った。比較例1のダイシングフィルムの構成や物性、評価結果を表1に示す。
基材層を構成する樹脂をポリエチレンテレフタラート樹脂(PETフィルム、50μm)に変え、さらに粘着層を構成する樹脂をアクリル系粘着剤に変え、帯電防止剤を前記基材層と粘着層に加えず、基材層と粘着層の厚さを表1に示すように変え、実施例1と同様に評価を行った。比較例1のダイシングフィルムの構成や物性、評価結果を表1に示す。
比較例1のダイシングフィルム作成方法を以下に詳細に述べる。
<粘着剤層を構成する粘着剤塗布液の調製>
重合反応機に脱イオン水150重量部、重合開始剤として4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド〔大塚化学(株)製、商品名:ACVA〕を0.5重量部、アクリル酸ブチル52.25重量部、メタクリル酸メチル25重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル15重量部、メタクリル酸6重量部、アクリルアミド1重量部、水溶性コモノマーとしてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数の平均値;約20)の硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔第一工業製薬(株)製:商品名:アクアロンHS−20〕0.75重量部を添加し、攪拌下で70℃において9時間乳化重合を実施し、アクリル樹脂系水エマルジョンを得た。これを14重量%アンモニア水で中和し、固形分40重量%を含有する粘着剤ポリマーエマルジョン(粘着剤主剤)を得た。得られた粘着剤主剤エマルジョン100重量部(粘着剤ポリマー濃度:40重量%)を採取し、さらに14重量%アンモニア水を加えてpH9.3に調整した。次いで、アジリジン系架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、商品名:ケミタイトPZ−33〕0.8重量部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル5重量部を添加して粘着剤層を構成する粘着剤塗布液を得た。
<粘着剤層を構成する粘着剤塗布液の調製>
重合反応機に脱イオン水150重量部、重合開始剤として4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド〔大塚化学(株)製、商品名:ACVA〕を0.5重量部、アクリル酸ブチル52.25重量部、メタクリル酸メチル25重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル15重量部、メタクリル酸6重量部、アクリルアミド1重量部、水溶性コモノマーとしてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数の平均値;約20)の硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔第一工業製薬(株)製:商品名:アクアロンHS−20〕0.75重量部を添加し、攪拌下で70℃において9時間乳化重合を実施し、アクリル樹脂系水エマルジョンを得た。これを14重量%アンモニア水で中和し、固形分40重量%を含有する粘着剤ポリマーエマルジョン(粘着剤主剤)を得た。得られた粘着剤主剤エマルジョン100重量部(粘着剤ポリマー濃度:40重量%)を採取し、さらに14重量%アンモニア水を加えてpH9.3に調整した。次いで、アジリジン系架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、商品名:ケミタイトPZ−33〕0.8重量部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル5重量部を添加して粘着剤層を構成する粘着剤塗布液を得た。
<粘着フィルムの調製>
粘着剤塗布液を、ロールコーターを用いてポリプロピレンフィルム(剥離フィルム、厚み:50μm)に塗布し、120℃で2分間乾燥して厚み20μmの粘着剤層を設けた。これに上記基材フィルム(PETフィルム、50μm)を貼り合わせ押圧して、粘着剤層を転写させた。転写後、60℃において48時間加熱した後、室温まで冷却することにより比較例1のダイシングフィルムを製造した。
粘着剤塗布液を、ロールコーターを用いてポリプロピレンフィルム(剥離フィルム、厚み:50μm)に塗布し、120℃で2分間乾燥して厚み20μmの粘着剤層を設けた。これに上記基材フィルム(PETフィルム、50μm)を貼り合わせ押圧して、粘着剤層を転写させた。転写後、60℃において48時間加熱した後、室温まで冷却することにより比較例1のダイシングフィルムを製造した。
本発明によれば、ダイシングを行う基板を効率良く分断でき、かつダイシングテープに由来する汚染、さらには加工時に発生するダストによる汚染を抑制することができる。これにより基板の加工効率を飛躍的に向上させることができ、特に加工後の基板の汚染を低減する必要がある精密機器用の基板を容易に加工にすることができる。
11 レーザー光
12 リングフレーム
13 固定用チャックテーブル
14 基板
15 ダイシングフィルム
31 被測定体
41 輪
51 拡張リング
61 リングフレーム
71 拡張装置のステージ
12 リングフレーム
13 固定用チャックテーブル
14 基板
15 ダイシングフィルム
31 被測定体
41 輪
51 拡張リング
61 リングフレーム
71 拡張装置のステージ
Claims (6)
- 引張弾性率が3〜50MPaであり230℃でのMFRが1〜100g/10min.でありSUS304−BA板の表面に貼着し60分間放置後に前記SUS304−BA板の表面から剥離したときの粘着力(JIS Z0237)が0.1〜10N/25mmである粘着層と、
引張弾性率が100〜1500MPaであり前記粘着層との230℃でのMFRの差が5g/10min.以下である基材層と、
を含んでなり、
拡張率が101〜120%でかつヘイズが0〜10%であるダイシングフィルム。 - 前記粘着層または/および前記基材層の表面抵抗値が1×1017〜1×105Ωである請求項1に記載のダイシングフィルム。
- 前記粘着層の表面抵抗値が1×1017〜1×105Ωであり、前記基材層の表面抵抗値が1×1017Ωを超える請求項1に記載のダイシングフィルム。
- 引張弾性率が80〜1000MPaである請求項1に記載のダイシングフィルム。
- さらに最表面に離型層を有し、前記離型層と接触している前記粘着層を少なくとも1層有する請求項1に記載のダイシングフィルム。
- 230℃でのMFRが1〜100g/10min.でヘイズが0〜10%である樹脂Aと前記樹脂Aと230℃でのMFRの差が5g/10min.以下でヘイズが0〜10%である樹脂Bとを共押出する工程を含み、
前記共押出する工程の後に実質的に延伸工程を含まない、
ダイシングフィルムの製造方法。
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