従来から、自動販売機等の内部には、投入硬貨の正偽を判別するとともに、正貨とみなされた投入硬貨を金種毎に選別収容し、さらに選別収容された硬貨を釣銭等の額に応じて払い出す硬貨処理装置が搭載されている。図25は、このような硬貨処理装置の概略図である。
この硬貨処理装置1は、大別すると、投入硬貨の正偽を判別するとともに投入硬貨を金種別に振り分けるための硬貨選別装置2と、硬貨選別装置2により振り分けられた投入硬貨を金種毎に収納してそこから釣銭等の額に応じた硬貨を選択して払い出すための硬貨払出装置3とから構成されている。そして、硬貨選別装置2は、投入硬貨の正偽を判別する硬貨識別部と、この硬貨識別部が真正硬貨とみなした硬貨を金種別に振り分ける硬貨振分部とを有している。また、硬貨払出装置3は、硬貨選別装置2により金種毎に振り分けられた硬貨をそれぞれ金種毎に収容する複数のコインチューブからなる硬貨収容部と、この硬貨収容部から釣銭等の額に応じた硬貨を選択して払い出す硬貨払出機構とを有している。この硬貨払出機構としては、コインチューブに収容された硬貨を、コインチューブの最下部に開口したスリット状の孔から、ペイアウトスライドと称されているスライド部材によって引き出すことにより硬貨を払い出すものが広く採用されている。また、硬貨払出装置3において、硬貨払出装置3内の硬貨を売上として回収する際に硬貨を取り出しやすくするために、その硬貨収容部は取り外し可能なカセットになっているのが通常である。
特許文献1(特開平07−262426号公報)において、従来の硬貨処理装置が備える硬貨払出装置が開示されている。
以下、図26ないし図28を参照しながら従来の硬貨払出装置の構造について説明する。
図26及び図27は、従来の硬貨払出装置の要部断面図であり、図28は、従来の硬貨払出装置の概念斜視図であって、コインチューブ及び装置の壁等が省略されたものである。図26(a)及び図28は、硬貨の払い出し前の状態(以下、「待機状態」という。)を示したものであり、図27は、硬貨の払い出し動作時の状態(以下、「払出状態」という。)を示したものであり、図26(b)は、硬貨収容部のカセットを取り外した状態を示したものである。
図26ないし図28に示す従来の硬貨払出装置3は、図示しない駆動手段と、この駆動手段の駆動力により一払出動作ごとに一方向(矢印A方向)へ一回転するペイアウトカム10と、このペイアウトカム10の下面に突設されたピン10aと係合する溝9aを有しこのペイアウトカム10が一回転すると図の初期位置から矢印Bの方向へ往復移動するペイアウトリンク9と、このペイアウトリンク9に対しピン9bを介して着脱可能に係合しこのペイアウトリンク9の往復運動に連動して矢印B方向へ往復移動するペイアウトスライド8とを有している。ここで、ペイアウトリンク9とペイアウトスライド8とが着脱可能となっているのは、ペイアウトスライド8が硬貨収容部とともに装置本体4から取り外し可能なカセット5に含まれるものであるためである。
また、前記ペイアウトスライド8には、硬貨収容部の複数のコインチューブ6に対応して、複数のコインチューブ6の各最下面に収容された硬貨を一枚だけ収容する複数の硬貨収容孔8aが形成されている。また、この硬貨収容孔8aの下方にはカセット5の底板7が配設されており図24(a)に示す待機状態において、この硬貨収容孔8aに収容された硬貨を支持している。
一方、前記ペイアウトリンク9には、先端がそのペイアウトスライド8の各硬貨収容孔8aの下方に望み、各硬貨収容孔8aに一枚ずつ収容された硬貨の払出しと非払出しとを切り替えるためのチェンジスライド11が、各硬貨収容孔8aに対応して出没自在に嵌挿している。このチェンジスライド11は、ペイアウトリンク9に連動して移動するものであるが、チェンジスライド11の移動が規制されるとペイアウトリンク9と連動しなくなる。
この各チェンジスライド11の後部には、それぞれ、駆動手段により上下に移動するチェンジレバー12が配設されている。このチェンジレバー12は、ソレノイド13のプランジャ先端に取り付けられており、このソレノイド13によりチェンジレバー12の駆動手段が構成されている。このチェンジレバー12は、ソレノイド13が駆動しない時は、チェンジスライド11の後端と係合してチェンジスライド11の移動を規制し、ソレノイド13が駆動した時は、上に移動し、その結果、チェンジスライド11の後端との係合が解除され、チェンジスライド11の移動を規制しなくなる。このチェンジスライド11、チェンジレバー12及びソレノイド13からなる機構は、各硬貨収容孔8aに一対一に対応して設けられており、それぞれ個別に動作する。
前記チェンジスライド11は、対応するチェンジレバー12と係合した状態においては、図27(b)に示すように、前記ペイアウトリンク9及びペイアウトスライド8の往復移動に連動せずに待機状態の位置を維持し、払出状態において、対応する硬貨収容孔8aの下方を閉鎖する。また、前記チェンジスライド11は、対応するチェンジレバー12との係合が解除された状態においては、図27(a)に示すように、前記ペイアウトリンク9及びペイアウトスライド8の往復移動に連動して往復移動し、払出状態において、対応する硬貨収容孔8aの下方を解放する。
ここで、例として、硬貨払出装置が一つの硬貨収容孔8aに対応するコインチューブ6からのみ硬貨を払い出す場合について説明する。
まず、払い出される硬貨の硬貨収容孔8aに対応するソレノイド13のみを駆動してそのチェンジレバー12を上に移動させる。これにより、そのチェンジレバー12とチェンジスライド11との係合が解除され、ペイアウトスライド8の往復移動に連動して払い出される硬貨の硬貨収容孔8aに対応するチェンジスライド11が往復移動することが可能となる。他方、払い出されない硬貨の硬貨収容孔に対応するソレノイド13は駆動しないため、そのチェンジレバー12とチェンジスライド11との係合は解除されず、払い出されない硬貨の硬貨収容孔8aに対応するチェンジスライド11の移動は規制される。
次に、図示しない駆動手段の駆動によりペイアウトカム10が矢印A方向に沿って一回転して、ペイアウトリンク9及びペイアウトスライド8は矢印B方向に沿って往復運動する。すると、ペイアウトスライド8の各硬貨収容孔8aに収容された各硬貨も、ペイアウトスライド8とともにスライドして、待機状態において硬貨収容孔8aに収容された硬貨を支持する底板7から外れた位置へ移動する。このとき、払い出される硬貨の硬貨収容孔8aに対応するチェンジスライド11はペイアウトリンク9及びペイアウトスライド8の移動に連動して後方へスライド移動しているため、その硬貨収容孔8aの下方が解放され、その硬貨収容孔8aに収容された硬貨が落下して払い出される。他方、払い出されない硬貨の硬貨収容孔8aに対応するチェンジスライド11はチェンジレバー12によりその移動が規制されているため、ペイアウトリンク9及びペイアウトスライド8が移動しても、待機状態の位置を維持する。そのため、ペイアウトリンク9及びペイアウトスライド8が移動したときに硬貨収容孔8aの下方にチェンジスライド11の先端が出没することになり、それにより硬貨収容孔8aに収容された硬貨が支持され、その硬貨は払い出されない。
また、図26(b)に示すように、硬貨払出装置3においては、硬貨払出装置3内の硬貨を売上として回収する際に硬貨を取り出しやすくするために、コインチューブ6を含む硬貨収容部が硬貨払出装置本体4から取り外し可能なカセット5になっているのが通常である。この取り外し可能なカセット5は、通常、コインチューブ6、底板7及びペイアウトスライド8を含んでいる。そして、このカセット5を硬貨払出装置本体4から取り外す際には、ペイアウトスライド8とペイアウトリンク9とのピン9aを介した係合が解かれる。逆に、このカセット5を硬貨払出装置本体4に取り付ける際には、カセット5に含まれるペイアウトスライド8と硬貨払出装置本体4に含まれるペイアウトリンク9とをピン9aを介して係合させる。
以上において説明した従来の硬貨払出装置は、硬貨収容部に収容された硬貨のおおよその枚数を検知あるいは測定する硬貨枚数検知用のセンサを備えているのが通常である。
この硬貨枚数検知用のセンサとしては、これまでに、レバー、ソナーセンサ、磁気センサ及びフォトセンサが用いられている。
レバーによる検知は、コインチューブの側面にレバーを設け、硬貨がそのレバーが設けられた高さまで積載されたときにそのレバーが押されることにより硬貨がその高さまで積載されていることを検知するものである。
磁気センサによる検知は、コインチューブの側面に配置された複数の磁気センサによって積載された硬貨の高さを検知するものである。この磁気センサを備えた硬貨払出装置では、磁気センサの配置された高さまで硬貨が収容されていることを検知すると、その磁気センサの配置高さに相当する硬貨が収容されていることを認識する。この磁気センサを備えた硬貨払出装置は、特許文献2(特開平11−232521号公報)において開示されている。
フォトセンサによる検知は、磁気センサによるものと同様に、コインチューブの側面に配置されたフォトセンサによって積載された硬貨の高さを検知するものである。フォトセンサによる検知には、発光素子と受光素子とをコインチューブを挟んで対抗するように配置して硬貨による光の遮断の有無を検知する方式と、発光素子と受光素子とを並べて配置し硬貨による光の反射の有無を検知する方式がある。このフォトセンサを備えた硬貨払出装置では、フォトセンサの配置された高さまで硬貨が収容されていることを検知すると、そのフォトセンサの配置高さに相当する硬貨が収容されていることを認識する。このフォトセンサを備えた硬貨払出装置は、特許文献3(特開2007−183760号公報)において開示されている。
ソナーセンサによる検知は、コインチューブの上方に配置されたソナーセンサにより硬貨の収容枚数を測定するものである。このソナーセンサを備えた硬貨払出装置は、ソナーセンサから発生した音が積載された硬貨に反射して帰ってくる時間を測定することでソナーセンサから積載された硬貨の上面までの距離を算出し、この距離から硬貨の積載枚数を算出するものである。このソナーセンサを備えた硬貨払出装置は、特許文献4(特表2003−518674号公報)において開示されている。
一方、硬貨払出装置に関係するものではないが、特許文献5(特開2007−58707号公報)において、複数の硬貨の重量を重量センサにより測定し、その重量から硬貨の枚数を算出する硬貨計数機が開示されている。
従来の硬貨枚数検知用のセンサを備えた硬貨払出装置には次のような問題点がある。
レバー、磁気センサ又はフォトセンサによる検知では、コインチューブ内で硬貨が立ってしまった場合に、その立ってしまった硬貨を検知することができないか、誤った枚数で検知してしまう。加えて、レバー、磁気センサ又はフォトセンサによる検知では、センサが配置された位置まで硬貨が積載されているか否かしか検知できない。さらに、磁気センサによる検知では、硬貨1、2枚程度の誤差は避けられない。
また、ソナーセンサによる検知では、コインチューブ内で硬貨が立ってしまった場合に計測を誤ってしまうという問題が生ずる他、コインチューブ内に積載された硬貨の枚数が少ない場合に、硬貨以外のコインチューブ内周面や外部からの影響を受けやすくなり、硬貨枚数の計測の精度が低下してしまう。
このように、従来の硬貨払出装置では、収容されている硬貨の枚数を正確に把握することができない。そのため、従来の硬貨払出装置では、まだ硬貨が残っていても釣銭切れと判断している。
以上のように、従来の硬貨払出装置では、収容されている硬貨の枚数を正確に把握することができないという問題点、また、その結果として、収容されている硬貨のすべてを払い出しに利用することができず販売機会を逃してしまうという問題点を有している。
このような問題点を解決するため、本発明の発明者は、コインチューブの底部に重量センサを設け、収容された硬貨の重量を測定することにより収容された硬貨の枚数を算出することに思い至った。しかし、重量センサをコインチューブの底部付近に配置すると、重量センサの硬貨積載部分がコインチューブ内部に出没するために、ペイアウトスライドが重量センサの硬貨積載部分に接触して硬貨を引き出すことができない。そのため、重量センサを硬貨払出装置に搭載することが困難という問題点が生じる。また、従来の硬貨払出装置において、コインチューブを含む硬貨収容部が装置本体から取り外し可能なカセットとなっていることが通常であることからも、重量センサを硬貨払出装置に搭載することが困難という問題点が生じる。
本発明は、上記の問題点を解決することを課題とする。具体的には、本発明は収容された硬貨の枚数を正確に計測することができる硬貨払出装置を提供することを課題とする。さらに、本発明は収容された硬貨の重量を測定するための重量センサを備えた硬貨払出装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、請求項1の硬貨払出装置は、硬貨を積載して収容するコインチューブと、前記コインチューブに収容された硬貨を前記コインチューブの最下部に開口した孔から引き出すためのペイアウトスライドとを有する硬貨払出装置であって、前記コインチューブの下方に、重量センサと、前記重量センサと当接して又は前記重量センサと一体となって前記コインチューブに収容された硬貨を受ける積載台とを有する硬貨枚数検知センサを備えることを特徴とする。
これにより、硬貨払出装置に収容された硬貨の重量を測定でき、その重量を硬貨一枚当たりの重量で割ることにより、硬貨払出装置に収容された硬貨の枚数を算出できるようになる。
請求項2の硬貨払出装置は、請求項1に記載の硬貨払出装置であって、前記積載台は、前記ペイアウトスライドが前記コインチューブに収容された硬貨を引き出す際に前記ペイアウトスライドと最初に当接する部分が、前記ペイアウトスライドの引き出される方向に向かって順次高くなるテーパー形状となっていることを特徴とする。
これにより、ペイアウトスライドが硬貨を引き出す際に、ペイアウトスライドが積載台を徐々に押し下げるため、積載台がペイアウトスライドの移動の妨げになることが回避される。そのため、収容された硬貨の重量を測定するための重量センサと積載台とを硬貨払出装置に搭載することが可能となり、硬貨払出装置に収容された硬貨の枚数を計測できるようになる。
請求項3の硬貨払出装置は、請求項1に記載の硬貨払出装置であって、前記ペイアウトスライドは、前記コインチューブに収容された硬貨を引き出す際に前記積載台と最初に当接する部分が、前記ペイアウトスライドの引き出される方向に向かって順次高くなるテーパー形状となっていることを特徴とする。
これにより、ペイアウトスライドが硬貨を引き出す際に、ペイアウトスライドが積載台を徐々に押し下げるため、積載台がペイアウトスライドの移動の妨げになることが回避される。そのため、収容された硬貨の重量を測定するための重量センサと積載台とを硬貨払出装置に搭載することが可能となり、硬貨払出装置に収容された硬貨の枚数を計測できるようになる。
請求項4の硬貨払出装置は、請求項1に記載の硬貨払出装置であって、前記ペイアウトスライドは、前記コインチューブに収容された硬貨を引き出す際に前記積載台と接触しないように溝が設けられていることを特徴とする。
これにより、ペイアウトスライドが硬貨を引き出す際に、ペイアウトスライドが積載台に当接しなくなるため、積載台がペイアウトスライドの移動の妨げになることが回避される。そのため、収容された硬貨の重量を測定するための重量センサと積載台とを硬貨払出装置に搭載することが可能となり、硬貨払出装置に収容された硬貨の枚数を計測できるようになる。
請求項5の硬貨払出装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の硬貨払出装置であって、前記コインチューブを含む硬貨収容部が装置本体から着脱可能なカセットとなっており、前記重量センサと前記積載台とが前記カセットに設けられていることを特徴とする。
これにより、収容された硬貨の重量を測定するための重量センサと積載台とを硬貨払出装置に搭載することが可能となり、硬貨払出装置に収容された硬貨の枚数を計測できるようになる。また、重量センサをカセットに設けることにより、カセットを装置本体から取り外した状態においても、簡単な計測用機器を用いるだけでカセットに収容されている硬貨の枚数を計測することができる。
請求項6の硬貨払出装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の硬貨払出装置であって、前記コインチューブを含む硬貨収容部が装置本体から着脱可能なカセットとなっており、前記重量センサと前記積載台とが前記装置本体に設けられていることを特徴とする。
これにより、収容された硬貨の重量を測定するための重量センサと積載台とを硬貨払出装置に搭載することが可能となり、硬貨払出装置に収容された硬貨の枚数を計測できるようになる。また、重量センサを、外部からの衝撃にさらされる機会の多いカセットの下部付近ではなく装置本体に設けることにより、重量センサの損傷を抑えることができる。
請求項7の硬貨払出装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の硬貨払出装置であって、前記コインチューブを含む硬貨収容部が装置本体から着脱可能なカセットとなっており、前記重量センサが装置本体に設けられ、前記積載台が前記カセットに設けられていることを特徴とする。
これにより、収容された硬貨の重量を測定するための重量センサと積載台とを硬貨払出装置に搭載することが可能となり、硬貨払出装置に収容された硬貨の枚数を計測できるようになる。また、重量センサを、外部からの衝撃にさらされる機会の多いカセットの下部付近ではなく、装置本体に設けることにより、重量センサの損傷を抑えることができるとともに、積載台をカセットに設けることにより、コインチューブの底部が塞がった状態になり、コインチューブ内の汚染が防止される。
本発明によれば、硬貨払出装置に収容された硬貨の枚数を正確に計測することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の硬貨払出装置3の縦断面図であり、図2は、その分解斜視図であり、図3は、その硬貨収容部を含むカセット5部分の上面図である。また、図4は、第1の実施形態の(a)待機状態、(b)払出状態及び(c)カセット取り外し状態における要部断面図である。この第1の実施形態の硬貨払出装置3の構造は、重量センサ14及び積載台15が設けられるコインチューブの下方を除いて、前述した従来の硬貨払出装置の構造と同様である。よって、本実施形態における構成部材のうち前述の従来の硬貨払出装置における構成部材と同等の部材には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。これは、以下の実施形態においても同様である。
第1の実施形態の硬貨払出装置3では、カセット5の底板7における各コインチューブ6の下方に、硬貨を受ける積載台15と収容された硬貨の重量を検出するための重量センサ14とを有する硬貨枚数検知センサが配置されている。この積載台15は、底板7の孔7aに上下方向にスライド可能に設けられている。また、硬貨払出装置本体4におけるカセット5が配置されたときにコインチューブ6の下方となる位置には、前述の重量センサ14が配置されている。つまり、硬貨払出装置3の一部としての静止系部分に、重量センサ14が固定状態に取り付けられている。この重量センサ14は、重量を受ける部分が板状になっている。そして、カセット5が硬貨払出装置本体4に搭載されたときに、積載台15の下部が重量センサ14の板状の重量を受ける部分の上面に当接する。このように、重量センサ14を、外部からの衝撃にさらされる機会の多いカセット5の下部付近ではなく、硬貨払出装置本体4に設けることにより、重量センサ14の損傷を抑えることができるとともに、積載台15をカセット5に設けることにより、コインチューブ6の底部が塞がった状態になり、コインチューブ6内の汚染が防止される。このように構成された硬貨払出装置3は、コインチューブ6内に積載された硬貨の重量を、積載台15を介して、重量センサ14で測定する。
この重量センサ14はフォースセンサであり、重量センサ14の上部は、重量によって上下する。近年、0.5Nまでの荷重を測定できるフォースセンサが複数社から販売されている。これらのフォースセンサは、搭載するICが重量に応じた信号を外部へ送出するようになっており、その測定誤差は、通常、0gから500gまでの測定において±1%未満である。また、一般的なフォースセンサの変位する部分の可動幅は0.2mm以下となっている。そこで、この第1の実施形態の硬貨払出装置は、フォースセンサが最大0.2mm程度可動することを想定して設計されている。
図5は、この第1の実施形態における積載台15の斜視図である。この積載台15上面にはテーパー18が設けられている。この積載台15上面は、ペイアウトスライド8がコインチューブ6に収容された硬貨を引き出す際にペイアウトスライド8と当接する部分が、ペイアウトスライド8の引き出される方向に向かって順次高くなるテーパー形状となっている。なお、第1の実施形態では上面全体が緩やかなカーブとなるように構成されているが、本発明の効果を奏するためには、ペイアウトスライド8が引き出されたときに当接する部分にのみテーパーがあればよい。
図6は、この第1の実施形態におけるペイアウトスライド8が引き出される際のペイアウトスライド8と積載台15との動きを示した斜視図であり、(a)が待機状態を示し、(c)が払出状態を示し、(b)がその中間の状態を示している。この第1の実施形態の硬貨払出装置3は、ペイアウトスライド8がペイアウトリンク9によって引き出されると、ペイアウトスライド8における硬貨収容孔8aの内周縁の一部8a1と当接した積載台15がひっかかりなく摺動するペイアウトスライド8によってスムーズに押し下げられるので、積載台15がペイアウトスライド8の移動の障害にならずに硬貨を払い出すことができる。
以上のような構成とすることで、硬貨払出装置3に収容されている硬貨の重量を測定するための重量センサ14を硬貨払出装置3に搭載することが可能となる。そして、その重量センサ14でコインチューブ6に収容されている硬貨の重量を測定し、図示せぬ演算手段によって、その重量を硬貨一枚の重量で割ることにより、そのコインチューブ6に収容されている硬貨の枚数を算出することができる。また、硬貨払出装置3に収容されている硬貨の枚数を正確に把握できることから、収容されている硬貨の全てを釣銭等に用いることが可能となる。そのため、この硬貨払出装置3を自動販売機等に搭載すれば、釣銭切れによる販売機会の喪失を最小限に抑えることが可能となる。
以下に本発明の第2から第6の実施形態を説明する。これらの実施形態において第1の実施形態と同等の部材には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図7は、本発明の第2の実施形態の硬貨払出装置3の(a)待機状態、(b)払出状態及び(c)カセット取り外し状態における要部断面図であり、図8は、その硬貨収容部を含むカセット5部分の上面図である。この第2の実施形態の硬貨払出装置3は、以下で説明する点を除いて第1の実施形態と同様の構造である。
この第2の実施形態では、重量センサ14と積載台15とを両者ともにカセット5の底部に一体的に設けている。なお、重量センサ14と積載台15とを小さいスペースで一体的に形成するために、重量を受ける部分が球形状になっている重量センサ14を用いている。そして、重量センサ14は、カセット5に取り付けられたフレキシブル基盤16上に設けられている。また、カセット5の底部と硬貨払出装置本体4とに、フレキシブル基盤16と硬貨払出装置本体4の主制御とを接続するためのコネクタ17が設けられている。
このような構成としたことで、着脱自在なカセット5に重量センサ14を配置しても、カセット5を硬貨払出装置本体4から取り外すことが可能となる。また、重量センサ14をカセット5に設けることにより、カセット5を硬貨払出装置本体4から取り外した状態においても、簡単な計測用機器を用いるだけでカセット5に収容されている硬貨の枚数を計測することができる。
図9は、本発明の第3の実施形態の硬貨払出装置3の(a)待機状態、(b)払出状態及び(c)カセット取り外し状態における要部断面図である。また、図10は、その硬貨収容部を含むカセット5部分の上面図である。この第3の実施形態の硬貨払出装置3は、以下で説明する点を除いて第1の実施形態と同様の構造である。
この第3の実施形態では、硬貨払出装置本体4に重量センサ14と積載台15とを配置している。なお、重量センサ14は、その重量を受ける部分が球形状になっている。そして、カセット5を硬貨払出装置本体4に取り付けたときにカセット5のコインチューブ6の内部へ積載台15が出没するように、カセット5の底板7のコインチューブ6の下方部分に収容される硬貨よりも小径の孔21を設けている。コインチューブ6の下方の孔21が収容される硬貨よりも大きいと、カセット5を取り外したときに収容された硬貨が落下してしまうので、収容された硬貨を支えられるように、底板7の孔21は収容される硬貨よりも小径となっている。
このような構成としたことで、着脱自在なカセット5の底部に硬貨払出装置本体4に設けられた積載台15が出没するようにしても、カセット5を硬貨払出装置本体4から取り外したときに収容された硬貨がカセット底部の孔から落下してしまうのを防ぐことができる。また、重量センサ14を、外部からの衝撃にさらされる機会の多いカセット5の下部付近ではなく硬貨払出装置本体4に設けることにより、重量センサ14の損傷を抑えることができる。
図11は、本発明の第4の実施形態の硬貨払出装置3の待機状態における要部断面図である。また、図12は、その硬貨収容部を含むカセット部分の上面図であり、図13は、その積載台15及び重量センサ14の斜視図である。なお、この第4の実施例では、重量を受ける部分が板状となっている重量センサ14を用い、この板状の重量を受ける部分を積載台15としている。
この第4の実施形態では、第1の実施形態のように積載台15にテーパーを設けるかわりに、ペイアウトスライド8にテーパー19を設けている。ここでは、ペイアウトスライド8は、コインチューブ6に収容された硬貨を引き出す際に積載台と最初に当接する部分が、ペイアウトスライド8の引き出される方向に向かって順次高くなるテーパー形状となっている。
図14は、この第4の実施形態におけるペイアウトスライド8が引き出される際のペイアウトスライド8と積載台15との動きを示した斜視図であり、(a)が待機状態を示し、(c)が払出状態を示し、(b)がその中間の状態を示している。この第4の実施形態の硬貨払出装置3は、ペイアウトスライド8がペイアウトリンク9によって引き出されると、ペイアウトスライド8と当接した積載台がペイアウトスライド8によって押し下げられるので、積載台がペイアウトスライド8の移動の障害にならずに硬貨を払い出すことができる。
図15は、本発明の第5の実施形態の硬貨払出装置3の(a)待機状態、(b)払出状態及び(c)カセット取り外し状態における要部断面図である。また、図16は、その硬貨収容部を含むカセット5部分の上面図であり、図17は、その積載台15の斜視図である。この積載台15は、軸15aと放射状の3本の腕15bを有するものとして構成している。また、重量センサ14は、その重量を受ける部分が球形状になっている。
この第5の実施形態では、硬貨を引き出す際にペイアウトスライド8が積載台15に当接しないように、ペイアウトスライド8に溝20が設けられている。
図18は、この第5の実施形態におけるペイアウトスライド8が引き出される際のペイアウトスライド8と積載台15との動きを示した斜視図であり、(a)が待機状態を示し、(c)が払出状態を示し、(b)がその中間の状態を示している。このように、この第5の実施形態の硬貨払出装置は、ペイアウトスライド8が引き出されても、ペイアウトスライド8が積載台15とぶつかることがないため、硬貨を払い出すことができる。
また、この第5の実施形態においては、積載台における3本の腕15bが硬貨表面の外周部付近を3点で支える構造となっているが、第1から第4までの実施形態における積載台のように積載台が硬貨中央部付近を支える構造であってもよい。図19は、硬貨中央部付近を支える積載台を用いた場合におけるペイアウトスライド8と積載台15との動きを示した斜視図である。
積載台15が硬貨表面の中央部付近のみで支える構造だと、硬貨の積載台中央からのずれにより、測定される重量に若干のばらつきが生じてしまうが、第5の実施形態のように硬貨の外周部付近の複数箇所を支える構造とすることにより、測定される硬貨の重量のばらつきを最小限に抑えることができる。この硬貨表面の外周部付近を支える構造の積載台15は、硬貨表面の外周部付近を4点以上で支えるものであってもよく、また、1点の面積を広くして2点で支えるものであってもよい。
図20は、本発明の第6の実施形態の硬貨払出装置3の待機状態における要部断面図である。また、図21は、その硬貨収容部を含むカセット5部分の上面図であり、図22は、その積載台15の斜視図である。また、重量センサ14は、その重量を受ける部分が球形状になっている。
この第6の実施形態では、その積載台15をコインチューブ6の直径とほぼ同じにしている。
このような構成にすると、ペイアウトスライド8を引き出す際の負荷が大きくなるというデメリットがある一方、積載台15が広い面積で硬貨を支えることになるため、測定される硬貨の重量のばらつきを抑えることができる。
次に、上述した各実施形態の硬貨払出装置3の動作を説明する。
各実施形態の硬貨払出装置3は、電源を投入したときに、各コインチューブ6に収容されている硬貨の重量を測定し、そこから算出された各コインチューブ6に収容されている硬貨の枚数をメモリへ記憶する。また、各実施形態の硬貨払出装置は公知であるカセット5の着脱を検知するセンサを備えており、それによりカセット5の装着が検知されたときには、メモリをリセットして、各コインチューブ6に収容された硬貨の重量を測定して、各コインチューブ6に収容された硬貨の枚数をメモリへ記憶する。
図23は、各実施形態の硬貨払出装置の硬貨払出時の動作を説明するフロー図である。硬貨払出装置3は、コインチューブ6に収容されている硬貨の重量と硬貨の枚数とを記憶手段により記憶している。ここで、硬貨払出装置3が、硬貨払出装置3が搭載されている外部機器(例えば、自動販売機等の主制御)から硬貨払出の指令を受けると、指令された払出枚数を記憶して、払出を実行する。払出が完了後、払い出した硬貨が収容されていたコインチューブに収容されている硬貨の重量を測定する。そして、払出前の重量から払出後の重量を引いて硬貨1枚の重量で割ることによって払い出した枚数を算出する。この算出した払出枚数と指令された払出枚数とを比較することにより、硬貨が正しく払い出されたかを確認する。算出された払出枚数と指令された払出枚数が等しい場合には、払出処理を終了する。算出された払出枚数が指令された払出枚数より多かった場合には、過払い金種と過払い枚数とをメモリへ記憶したうえで、硬貨払出装置3に異常が発生したとみなし、その機能を停止する。また、算出された払出枚数が指令された払出枚数より少なかった場合には、未払い金種と未払い枚数とをメモリへ記憶したうえで、硬貨払出装置3の機能を停止する。
図24は、各実施形態の硬貨払出装置3の硬貨受入時の動作を説明するフロー図である。各実施形態の硬貨払出装置3は、通常、硬貨選別装置2とセットで自動販売機等に搭載されることになる。そして、硬貨選別装置2が正貨として受け入れた硬貨は、各コインチューブ6へと金種別に収納される。硬貨選別装置2が正貨として受け入れた硬貨の枚数をカウントして記憶する。受け入れた硬貨の受け入れが終了した後にコインチューブ6に収容されている硬貨の重量を測定する。そして、受入前の重量から受入後の重量を引いて硬貨1枚の重量で割ることによってコインチューブ6に収納された硬貨の枚数を算出し、その算出された枚数と先に記憶された硬貨選別装置が正貨として受け入れた硬貨の枚数とを比較する。算出された枚数と記憶された枚数とが異なる場合には、受入異常を検出する。そして、算出された枚数と記憶された枚数とが同じ場合には、硬貨の収容が正常になされたとして、メモリに記憶された硬貨の収容枚数を更新し、受入処理を終了する。
このように、本発明の各実施形態の硬貨払出装置3によれば、実際にコインチューブ6に収容されている硬貨の枚数を正確に把握することができるため、硬貨受入時の硬貨振り分けの異常及び硬貨払出時の硬貨払出の異常を検知することができるようになる。