JP2011056604A - ガンドリル工具、深穴加工装置および深穴加工方法 - Google Patents

ガンドリル工具、深穴加工装置および深穴加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】深穴加工の貫通時に切刃の摩耗や損傷を回避できるガンドリル工具、深穴加工装置および深穴加工方法を提供する。
【解決手段】ガンドリル工具20は、主軸に接続されるドライバ50と、ドライバ50に支持されたシャンク60と、シャンク60に固定されたチップ70と、シャンク60の内部に形成された切削油流路20A,20Bと、チップ70の先端面74に形成されかつ切削油流路20Aに連通された主出口75と、シャンク60の周面に形成されかつ切削油流路20Bに連通された副出口63とを有する。深穴が未貫通の状態では主出口75からの切削油が切刃73を経てドライバ50側へ戻り、深穴が貫通した状態では副出口63からの切削油が切刃73を経て開放された深穴の先端へと流れ、何れの状態においても切刃に十分な切削油が供給される。
【選択図】図3

Description

本発明は、ワークに深穴加工を行うためのガンドリル工具、深穴加工装置および深穴加工方法に関する。
従来、合成樹脂成形用などの金型には、その金型温度を成形工程に応じた温度に維持するために、温度調整流体を金型内部に流通させるための通路(温調流体流路)が形成されている。とりわけ、自動車部品などの大型射出成形品の成形に用いられる金型においては、温調流体流路も金型の深い部分まで長く形成される。
このような深く長い穴(深穴)を加工するために、工作機械の主軸に深穴加工用のガンドリル工具を装着した装置が用いられる。この装置では、テーブルに金型となるワークを固定し、ガンドリル工具をワークの加工位置に移動させ、主軸およびガンドリル工具を回転させてワークに対して送り出すことで深穴を穿孔する。
この際、ガンドリル工具においては、先端に形成された切刃によりワークの切削が行われるとともに、主軸内部からガンドリル工具の先端まで達する切削油流路を通して高圧の切削油をガンドリル工具の先端へと供給し、ガンドリル先端の冷却および潤滑を行うとともに、切削されたワークの切粉を切削油の流れによってワーク外へと排出するようにしている(特許文献1)。
深穴加工に用いられるガンドリル工具としては、工作機械の主軸に装着されるドライバと、このドライバに後端が固定された長尺パイプ状のシャンクと、このシャンクの先端にろう付け接合された超硬合金製のチップと、を有する構成が多用されている(特許文献2)。
チップの先端部は、工具軸からずれた位置に配設したアペックスポイントを最先端とする山形に形成され、その外周側にアウター切刃、中心側にはインナー切刃が形成される。
シャンクの内部は切削油流路とされ、その後端側はドライバ内部を通して工作機械から高圧の切削油の供給を受けるとともに、その先端側はガンドリル工具の先端であるチップ先端面に形成された開口から外部へ開放され、チップ先端で切削が進められている深穴の先端部分には高圧の切削油が供給される。
シャンクの外周には穿孔方向のV溝が形成され、このV溝はチップ外周の同様なV溝を経てチップの先端まで達しており、深穴の先端部分に供給された切削油はチップ先端で発生する切削屑を巻き込みながら、V溝内をドライバ側へと流れ、深穴の外へと排出される。
特開2008−213064号公報 特開平9−141510号公報
ところで、ガンドリル工具に供給される高圧の切削油は、ガンドリル内部を通してチップ先端から噴射されるが、加工中の深穴先端が閉塞状態にあるため、ここで行く手を阻まれてチップの周囲に充満し、V溝を通して外部へ排出される。
ここで、深穴の先端がワークの反対側まで貫通し、あるいは交差する他の深穴内まで貫通した場合、閉塞状態であった深穴先端が開放状態となり、チップ先端から噴射される切削油がワーク反対側あるいは交差する他の深穴内へと漏れ出し、V溝へ戻る流れが失われてしまうことになる。
このような貫通時の切削油の漏れ出しが生じると、チップ切刃に対する潤滑あるいは冷却が不十分になり、チップ切刃の摩耗や損傷を誘発する可能性が生じていた。
本発明の目的は、深穴加工の貫通時に切刃の摩耗や損傷を回避できるガンドリル工具、深穴加工装置および深穴加工方法を提供することにある。
本発明のガンドリル工具は、加工装置の主軸に装着されてワークに深穴を加工するガンドリル工具であって、工作機械の主軸に装着されるドライバと、このドライバに後端が固定された長尺パイプ状のシャンクと、このシャンクの先端に固定されかつ外周に切刃が形成されたチップと、前記シャンクの内部に形成された切削油の供給路と、前記チップの先端面に形成されかつ前記供給路に連通された主出口と、前記シャンクの周面または前記チップの周面に形成されかつ前記供給路に連通された副出口と、を有することを特徴とする。
このような本発明において、ガンドリル工具が加工中で深穴が未貫通の状態では、主出口から切削油を供給することで、深穴の閉鎖された先端部に供給された切削油は切刃部分を経てシャンク側へ戻る。これにより、既存のガンドリル工具と同様に、切刃の冷却および潤滑、切削屑の排出が行われる。
ここで、ガンドリル工具の先端がワークの反対側あるいは中空部まで貫通した場合、主出口からの切削油は貫通部分からワーク外へと排出され、切刃を経由する切削油の流れが途絶え、切刃の冷却および潤滑が不十分となる。
しかし、深穴が貫通した状態では、切削油の供給を副出口からに切替えることにより、切削油が副出口から切刃を経て深穴の先端へと流れ、外部へと排出される。
このように、深穴が未貫通の状態では主出口からの切削油が切刃を経てシャンク側へ戻り、深穴が貫通した状態では副出口からの切削油が切刃を経て開放された深穴の先端へと流れる。つまり、何れの状態においても切刃に十分な切削油が供給されるため、これにより深穴加工の貫通時でも切刃の摩耗や損傷を回避することができる。
なお、主出口および副出口への切削油を切替えつつ供給する手段としては、各々に専用となる2系統の切削油ポンプおよび供給経路を設けてもよく、1つの切削油ポンプからの切削油を切替弁で切替えて各々に供給してもよい。
深穴が未貫通の状態か貫通した状態かの判定は、予め加工装置に与えられる設計情報(ワークの加工側表面から反対側表面までの深穴方向の厚さ)と使用するガンドリル工具の諸元(ガンドリル工具の先端までの長さ)とに基づいて、貫通状態に至る深穴の加工方向へのガンドリル工具の送り量を割り出すことで行うことができる。例えば、700mmのガンドリル工具で900mmの厚さのワークに深穴を加工する場合、900−700=200mmだけ送った時点でガンドリル先端はワークの反対側表面に貫通すると判定できる。
切替弁の制御にあたっては、前述した加工プログラムからガンドリル工具の先端の貫通を割り出す方法のほか、主出口への切削油の供給圧を監視する方法が利用できる。すなわち、深穴が未貫通の状態では、深穴の先端は閉塞状態であり、この先端部分に供給される切削油は圧力が高い状態にある。しかし、深穴がワークの反対側あるいは中空部へと貫通した場合には、貫通部分から深穴の外へと切削油が漏れ出し、深穴の先端部分での切削油の圧力が急激に低下する。従って、切削油の圧力変化を利用して、深穴の貫通の有無を判別することができる。このような圧力変動を利用する場合、センサを用いた制御のほか、パイロットバルブにより開閉される機械的な弁装置を用いることができる。
本発明のガンドリル工具において、前記副出口は、前記シャンクの前記チップ側端部の側面に形成されていることが望ましい。
このような本発明では、ガンドリル先端との間に切刃を挟んで反対側でありかつ切刃の最寄り位置に副出口を配置することができ、貫通時に副出口から切削油を供給すれば、切刃を経て深穴先端側に至る切削油の流れを円滑に形成することができる。
本発明のガンドリル工具において、前記供給路は、前記主出口に連通しかつ前記ドライバに形成された主入口に連通する主供給路と、前記副出口に連通しかつ前記ドライバに形成された副入口に連通する副供給路とであることが望ましい。
このような本発明では、ガンドリル工具側では主出口および副出口に対応した2系統の供給経路とすることで、切替弁およびその制御系をガンドリル工具が装着される加工装置側に装備すればよく、ガンドリル工具の構成の簡素化が可能、かつ切替弁およびその制御系を複数のガンドリル工具で共用可能である。
本発明のガンドリル工具において、前記シャンクは、前記シャンクの内部に挿通されたパイプを有し、前記シャンクの内部でありかつ前記パイプの外側である空間が前記主供給路とされ、前記パイプの内部が前記副供給路とされている構成とすることができる。
このような本発明では、シャンクの内部にパイプを通すという簡単な構成で、主供給路と副供給路を形成することができる。
本発明のガンドリル工具において、前記シャンクは、前記シャンクの内部をその長手方向に仕切る隔壁を有し、前記隔壁で仕切られた一方が前記主供給路とされ、他方が前記副供給路とされている構成としてもよい。
このような本発明では、シャンクの内部を隔壁で仕切るという簡単な構成で、主供給路と副供給路を形成することができる。
上述した隔壁方式でもパイプ方式でも、主出口および副出口は、それぞれ主供給路および副供給路に連通するように形成すればよい。一方、主入口および副入口は、主軸側から加圧された切削油を確実に受け取る必要があり、主軸側との接続にあたって所期のシール性を確保する必要があるとともに、切削油ポンプからの経路が回転駆動を許容する構成とすることが要求される。
このような接続部分としては、ガンドリル工具のドライバ部分の外周面に環状の溝を2列に形成し、この環状溝にそれぞれ主入口および副入口を開口させるとともに、ドライバが接続される主軸の受け部分には各溝に対応する位置に、切替弁から続く主供給路および副供給路が連通するようにした構成が採用できる。2系統の環状溝ではなく、1系統の環状溝と、既存のガンドリル工具と同様なドライバ端面の中心軸位置に開口する接続口を用いてもよい。
本発明の深穴加工装置は、主軸に装着されたガンドリル工具でワークに深穴を加工する深穴加工装置であって、前記ガンドリル工具は、前記主軸に装着されるドライバと、このドライバに後端が固定された長尺パイプ状のシャンクと、このシャンクの先端に固定されかつ外周に切刃が形成されたチップと、前記シャンクの内部に形成された切削油の供給路と、前記チップの先端面に形成されかつ前記供給路に連通された主出口と、前記シャンクの周面または前記チップの周面に形成されかつ前記供給路に連通された副出口と、を有し、前記深穴加工装置は、前記ガンドリル工具に切削油を供給する切削油ポンプと、前記切削油ポンプからの切削油を前記主出口または前記副出口の何れかに切替える切替弁と、前記切替弁の切替状態を制御する切替制御手段とを有することを特徴とする。
このような本発明では、切替制御手段により切替弁を制御することで、切削油の供給を主出口と副出口との何れかとすることができ、深穴が未貫通の状態か貫通した状態かなどの状況に応じて、切削油の流路を適宜選択することができる。
本発明の深穴加工方法は、ドライバと、このドライバに後端が固定された長尺パイプ状のシャンクと、このシャンクの先端に固定されかつ外周に切刃が形成されたチップと、前記シャンクの内部に形成された切削油の供給路と、前記チップの先端面に形成されかつ前記供給路に連通された主出口と、前記シャンクの周面または前記チップの周面に形成されかつ前記供給路に連通された副出口と、を有するガンドリル工具を用いるとともに、前記ドライバを介して前記ガンドリル工具が装着される主軸と、前記ガンドリル工具に切削油を供給する切削油ポンプと、前記切削油ポンプからの切削油を前記主出口または前記副出口の何れかに切替える切替弁とを有する深穴加工装置を用い、前記ガンドリル工具で加工中の深穴が未貫通の状態では、前記切替弁を前記主出口側に設定するとともに、前記ガンドリル工具で加工中の深穴が貫通した状態では、前記切替弁を前記副出口側に切替えることを特徴とする。
このような本発明では、深穴が未貫通の状態では主出口からの切削油が切刃を経てシャンク側へ戻り、深穴が貫通した状態では副出口からの切削油が切刃を経て開放された深穴の先端へと流れる。つまり、何れの状態においても切刃に十分な切削油が供給されるため、これにより深穴加工の貫通時でも切刃の摩耗や損傷を回避することができる。
本発明の深穴加工装置の第1実施形態を示す正面図。 前記第1実施形態のワークを示す断面図。 前記第1実施形態のガンドリル工具を示す正面図。 前記第1実施形態のシャンク部分の断面図。 前記第1実施形態のチップ先端面を示す端面図。 前記第1実施形態の制御手段を示すブロック図。 前記第1実施形態の深穴加工プログラムを示す模式図。 前記第1実施形態の深穴加工手順を示すフローチャート。 前記第2実施形態のガンドリル工具を示す正面図。 前記第2実施形態のシャンク部分の断面図。 前記第2実施形態のチップ先端面を示す端面図。 前記第3実施形態を示す正面図。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1から図8には、本発明の第1実施形態が示されている。
図1において、深穴加工装置9は、本発明に基づいてガンドリル工具を用いた深穴加工を行うことにより、図2に示すワークWに温調流体流路1を形成するものである。
図2において、ワークWは、表面に図示省略のキャビティを形成した金型であり、内部には温度調整された流体(温調流体)を流通させる温調流体流路1が形成される。
温調流体流路1は、ワークW内に形成されて縦横に交差する複数の深穴2A,2Bによって構成されている。縦方向の深穴2Aは、ワークWの図中下面側から穿孔され、その先端はワークWの反対側つまり図中上面側の面まで達してはいない。横方向の深穴2Bは、各深穴2Aとの交差部分で各々に連通しているとともに、図中上側の深穴2BはワークWの図中右側面から図中左側面まで、つまり穿孔する側から反対側まで貫通している。
深穴2A,2Bの端部必要箇所には雌ねじ3が加工され、この雌ねじ3には栓部材4が螺合されている。これにより、金型の内部に、温調流体を流通させるための温調流体流路1が形成されている。
図1に戻って、深穴加工装置9は、ベッド11と、このベッド11の上面一側に前後方向(X軸方向)へ移動可能に設けられワークWを載置したテーブル12と、ベッド11の上面他側に左右方向(Z軸方向)へ移動可能に設けられたサドル13と、このサドル13の上面に立設されたコラム14と、このコラム14に沿って上下方向(Y軸方向)へ昇降可能に設けられた主軸ヘッド15と、この主軸ヘッド15に回転可能にかつ主軸モータ16により回転駆動される主軸17と、この主軸17に装着されワークWに深穴加工を行うガンドリル工具20と、自動工具交換装置21と、を備えている。
主軸17には、内部軸方向に沿って2系統の切削油流路17A,17Bが基端から先端にかけて貫通形成されている。切削油流路17A,17Bには、配管23A,23Bおよび切替弁25を介して高圧の切削油を送り出す切削油ポンプ24が接続されている。切削油ポンプ24から圧送される切削油は、切替弁25で選択された配管23Aおよび切削油流路17A、または配管23Bおよび切削油流路17Bの何れかに供給される。
自動工具交換装置21は、複数のガンドリル工具20やタップ(図示省略)をストックし、その中から選択されたいずれかのガンドリル工具20またはタップを主軸17に対して工具交換する。
ガンドリル工具20は、長さが通常のドリルよりも長い、例えば、長さが500mm〜1000mm程度の深穴専用のドリルであり、後述するように、本発明に基づいて2系統の切削油流路20A,20Bを備えている。
図3において、ガンドリル工具20は、主軸17に接続されるドライバ50と、ドライバ50に支持された長尺のシャンク60と、シャンク60の先端に固定されたチップ70とを有する。
ドライバ50は、円柱状に形成された金属製の本体51を有し、この本体51の外周には主軸17のチャック機構に対応した係合構造52が形成され、主軸17に固定された際には主軸17からの回転駆動力を確実に受けられるようになっている。
図4にも示すように、シャンク60は、金属製のパイプ状の本体61を有し、その側面には途中部分から先端(チップ70側)にかけてV字溝62が形成されている。シャンク60の基端はドライバ50に嵌合され、シャンク60の先端にはチップ70が固定されている。
図5にも示すように、チップ70は、円柱状の本体71を有し、その側面にはV字溝72が形成され、このV字溝72の先端側の辺縁には精密に研磨された切刃73が形成されている。
ガンドリル工具20には、切削油を供給するために、本発明の主供給路および副供給路に相当する2系統の切削油流路20A,20Bが形成されている。
チップ70の先端には円錐状の先端面74が形成され、この先端面74には主出口75が形成されている。主出口75は通路76を介してシャンク60の内部へと連通されている。ドライバ50の端面には主入口55が形成され、主入口55は本体51の中心軸線に沿って形成された通路56を介してシャンク60の内部と連通されている。
これらの主入口55から通路56、シャンク60の内部、通路76を経て主出口75に至る一連の経路により、本発明の主供給路である切削油流路20Aが構成されている。
シャンク60には、V字溝62内であって切刃73に最寄りの位置に副出口63が開口されている。ドライバ50には、本体51の外周に環状の凹溝54が形成され、この凹溝54内に副入口53が開口されている。シャンク60の内部ないし通路56の内部にはパイプ64が挿通され、このパイプ64の一方の端部は副出口63に連通され、他方の端部は副入口53に連通されている。
これらの副入口53からパイプ64の内部を経て副出口63に至る一連の経路により、本発明の副供給路である切削油流路20Bが構成されている。
なお、副出口63に至るパイプ64の端部はシャンク60内部からV字溝62の表面に向けて緩やかに傾斜されており、パイプ64から副出口63を経てV字溝62内へと吐出される切削油は、主にV字溝72を経て切刃73に至る向きの流れを形成するようになっている。
また、副出口63は、シャンク60の周面に限らずチップ70の周面に形成されてもよい。
主入口55には、ガンドリル工具20を主軸17に装着した際に、前述した主軸17の切削油流路17Aが接続される。
副入口53が開口する凹溝54には、ガンドリル工具20を主軸17に装着した際に、前述した主軸17の切削油流路17Bが接続される。
ガンドリル工具20においては、前述のような2系統の切削油流路20A,20Bが形成されていることで、加工中の深穴におけるガンドリル工具20の貫通状態、つまり未貫通か貫通か、に応じた切削油供給を行うことができる。
これらの切替えは、前述した切替弁25により行われる。
切替弁25を切替え、切削油ポンプ24から圧送される切削油の流通系統を切削油流路23A,17A側とすれば、切削油が主入口55から切削油流路20Aを経て主出口75へと供給される。
深穴が未貫通の状態であれば、主出口75から供給された切削油はV字溝72,62を経てドライバ50側へ戻り、従来と同様なガンドリル工具20の先端の冷却、潤滑および切削屑の排出が行われる。
深穴が貫通状態となると、主出口75から供給された切削油は貫通部分からそのまま排出されてしまう。
切替弁25を切替え、切削油ポンプ24から圧送される切削油の流通系統を切削油流路23B,17B側とすれば、切削油が副入口53から切削油流路20Bを経て副出口63へと供給される。
深穴が未貫通の状態であれば、副出口63から供給された切削油はV字溝72側には進めず、専らV字溝62を経てドライバ50側へ戻る。従って、ガンドリル工具20の先端の冷却、潤滑および切削屑の排出には不適である。
深穴が貫通状態となると、副出口63から供給された切削油はV字溝72を経て貫通部分から排出される流れを形成し、途中で切刃73を含むガンドリル工具20の先端の冷却、潤滑を行うことができる。
このように、切替弁25により2系統の切削油流路20A,20B(主出口75か副出口63か)を切替えることにより、加工中の深穴の貫通状態に応じてガンドリル工具20の先端の冷却、潤滑に適した切削油の供給を確保することができる。
このような切替弁25の切替えは、後述するNC装置31(本発明の切替制御手段を兼ねる)によって制御される。
深穴加工装置9は、ガンドリル工具20の長さを測定するための工具長測定器22を有する。
工具長測定器22は、主軸17の装着されたガンドリル工具20の先端位置を測定するために用いられる。このガンドリル工具20の先端位置が既知となれば、主軸17の位置からガンドリル工具20の先端位置、つまり加工中の深穴の先端深さを判定することができる。
工具長測定器22は、具体的には、ガンドリル工具20の先端が当接される検出部22Aを備え、検出部22Aにガンドリル工具20の先端が当接されると、接触信号を発する。これを受けて、後述するNC装置31は、サドル13ないし主軸17のZ軸座標値を求め、このZ軸座標値に基づいて主軸17の基準位置に対するガンドリル工具20の長さ(測定長さ)を算出することができる。
深穴加工装置9は制御手段であるNC装置31を有する。
図6において、NC装置31には、深穴加工装置9の各部構成を作動させるための駆動機構などが接続され、これらはNC装置31の制御のもとで連係動作することで深穴加工装置9に所期の加工を実行させる。
具体的に、NC装置31には、テーブル12をX軸方向へ移動させるX軸駆動機構32、主軸ヘッド15をY軸方向へ移動させるY軸駆動機構33、サドル13をZ軸方向へ移動させるZ軸駆動機構34、主軸モータ16を駆動させる駆動回路35、自動工具交換装置21、工具長測定手段としての工具長測定器22、および、切削油ポンプ24のほかに、入力装置41、出力手段としてのディスプレイ42やプリンタ43、プログラムメモリ44、作業用メモリ45などが接続されている。
ここで、テーブル12をX軸方向へ移動させるX軸駆動機構32、主軸ヘッド15をY軸方向へ移動させるY軸駆動機構33、および、サドル13をZ軸方向へ移動させるZ軸駆動機構34により、テーブル12と主軸17とを3次元方向へ相対移動させる相対移動手段が構成されている。なお、これらX軸駆動機構32、Y軸駆動機構33およびZ軸駆動機構34は、送りねじ機構により構成されているが、リニアモータ機構などでもよい。
プログラムメモリ44には、図1に示すワークWに温調流体流路1を加工するための各種加工プログラムが記憶されている。深穴加工を実行する加工プログラムは、既存のNC装置に多用されるGコードを用いて指定される。
作業用メモリ45には、加工プログラムの実行時に用いられる作業用エリアが設けられている。
NC装置31は、順次指定される加工プラグラムに基づいて、主軸17(主軸モータ16)や相対移動手段(X軸駆動機構32、Y軸駆動機構33、Z軸駆動機構34)などを制御し、ワークWに対する深穴加工を実行してゆく。
この際、NC装置31は、ガンドリル工具20で加工中の深穴が未貫通の状態では、前記ガンドリル工具20の加工状態を通常モードに設定し、かつ切削油の供給を切削油流路20Aおよび主出口75から行う。一方、ガンドリル工具20で加工中の深穴が貫通した状態では、ガンドリル工具20の加工状態を通常モードよりもガンドリル工具20の加工負荷が軽い保護モードに切替え、かつ切削油の供給を切削油流路20Bおよび副出口63から行うように切替える制御を行う。
図7には、本発明に基づく深穴加工の詳細が示されている。
図7において、ワークWには縦の深穴2Aが複数加工されており、これらと交差しかつ反対側まで貫通する横の深穴2Bが加工される。
深穴2Bを加工する深穴加工プログラムは、例えば、次のような書式のGコードコマンドとして記述される。
G555 X_Y_Z_R_A_B_C_Q_F_[V1=_,V2=_,V3=_,V4=_,…]
このG555コマンドにおける各パラメータは下記の通りである。
X:深穴中心軸線のX座標値
Y:深穴中心軸線のY座標値
Z:深穴の最終Z座標値
R:早送り接近点
A:アプローチ点(ガンドリル工具を回転停止状態でガイド穴に入れる深さ)
B:ワークの反対面のZ座標値
C:クリアランス量(保護モードへの切替えを実行する範囲の指定)
Q:ガンドリル工具の先端から肩までの距離
F:送り速度
V1,V3,…交差する穴の中心軸線のZ座標値
V2,V4,…交差する穴の直径のZ座標値
このような深穴加工における通常モードおよび保護モードは、例えば次のように設定される。
通常モード:切替弁25を切削油流路20A側に切替える。
通常の回転数Sおよび送り速度Fを指定する。
保護モード:切替弁25を切削油流路20B側に切替える。
送り速度Fは標準モードの送り速度の50%に抑制。
回転数Sは標準モードの回転数の80%に抑制。
これらの通常モードと保護モードとの切替えは、前述したG555コマンドに指定されたパラメータに基づいて、ガンドリル工具の貫通状態を判定し、その結果に応じて実行される。
ガンドリル工具の貫通状態は、交差する穴(深穴2A)に抜けた場合と、ワークWの反対側まで抜けた場合と、がある。
交差する穴に抜けた場合のモード切替えは次のように行われる。
図7において、ガンドリル工具20によるワークWの深穴2Bの加工が図中右側から行われるとすると、ガンドリル工具20は通常モードで深穴2Bを加工しつつ前進し、先ずZ座標V1にある深穴2Aと交差する。この深穴2Aは、前述したG555コマンドのパラメータから、中心軸線がZ座標V1であり、直径V2である。
このことから、ガンドリル工具20の先端は、Z座標(V1−V2/2)で深穴2A内に入り、加工中の深穴2Bは深穴2Aに対して貫通状態となる。ガンドリル工具20が更に前進すると、その先端は、Z座標(V1+V2/2)で深穴2Aの反対側の内壁に達し、ここからは再びワークWの切削を行う。従って、加工中の深穴2Bが貫通状態にあり、ガンドリル工具20の先端が深穴2A内に露出している状態はZ座標(V1−V2/2)からZ座標(V1+V2/2)までの区間(区間幅は深穴2Aの直径V2)である。
前述したG555コマンドには、保護モードへの切替えを実行する範囲を指定するクリアランス量Cが設定されている。
本実施形態においては、前述した深穴2Aの区間に対して、その前後にクリアランス量Cだけ拡張した領域(Z座標(V1−V2/2−C)からZ座標(V1+V2/2+C)まで)を貫通領域とし、この貫通領域にガンドリル工具20の先端がある時に保護モードに切替え、貫通領域外へ出た際には通常モードに戻るものとされている。
以上は、Z座標V1にある深穴2Aに対する保護モードの適用であるが、ワークWに形成される他の深穴2A(Z座標V3,V5,V7位置)についても、中心軸線位置が異なるだけで同様な処理が行われる。
反対側まで抜けた場合のモード切替えは次のように行われる。
図7において、ガンドリル工具20によるワークWの深穴2Bの加工が進み、その先端がワークWの反対側の側面に接近したとする。
前述したG555コマンドには、前述したクリアランス量Cとともに、ワークWの反対面のZ座標値Bおよび最終Z座標値Zが設定されている。
本実施形態においては、ワークWの反対面に対して、その手前にクリアランス量Cだけ拡張した領域を貫通領域とし、この貫通領域にガンドリル工具20の先端が達した時に保護モードに切替える。
保護モードでのガンドリル工具20の加工は、ガンドリル工具20の先端が最終Z座標値Zまで到達するまで継続され、この最終Z座標値Zまでガンドリル工具20が到達したら、加工を終了してガンドリル工具20を深穴2Bから抜き出す処理が行われる。
前述したG555コマンドに対するパラメータの処理手順は、既存の加工動作プログラムと同様に、前述したプログラムメモリ44に格納され、NC装置31により適宜読み出されて実行される。
NC装置31は、前述したG555コマンドで指定される加工プログラムを解析し、深穴加工装置9の相対移動機構(X軸駆動機構32、Y軸駆動機構33およびZ軸駆動機構34)、主軸モータ16、切削油ポンプ24などを制御し、ガンドリル工具20を用いたワークWへの深穴加工を実行する。
例えば、前述したワークWを貫通する深穴2Bの加工を行う場合、次に述べる処理を実行する。
図8には、ワークWに深穴2Bを加工する手順が示されている。
NC装置31は、深穴加工装置9の相対移動機構を高速で移動させ、主軸17に装着されたガンドリル工具20をワークWに対して初期位置へ移動する。具体的には、前述したG555コマンドのパラメータから、ガンドリル工具20の回転軸線をX,Y位置に合わせるとともに、ガンドリル工具20の先端をZ軸位置Rまで前進させる(ステップST1)。
続いて、ガンドリル工具20を低速で送り、ワークWに予め形成しておいた下穴内に導入し、ガンドリル工具20の先端をZ軸位置Aまで前進させる(ステップST2)。
次に、NC装置31は、ガンドリル工具20を回転させ、ワークWに深穴2Bの加工を開始する(ステップST3)。ここで、ガンドリル工具20の回転およびZ軸方向の送り速度は通常モードとされる。
NC装置31は、前述したG555コマンドのパラメータから貫通領域を取得するとともに、加工の進捗に伴うガンドリル工具20の先端位置を監視し、ガンドリル工具20の先端位置が前述した貫通領域にあるか否かを逐次検査する(ステップST4)。
ガンドリル工具20の先端位置が貫通領域から外れている場合、NC装置31は通常モードを選択し、切替弁25を切削油流路20A側に切替えて、主出口75から切削油を供給するとともに、ガンドリル工具20を通常モードの回転数および送り速度としてワークWの加工を進める(ステップST5)。
このような通常モードでは、切削油がガンドリル工具20の先端から進行方向に供給され、既存のガンドリル工具と同様な加工状態が維持される。
ガンドリル工具20の先端位置が貫通領域にある場合、NC装置31は保護モードに切替え、切替弁25を切削油流路20B側に切替えて、副出口63から切削油を供給するとともに、ガンドリル工具20を保護モードの回転数および送り速度に落として加工を進める(ステップST6)。
このような保護モードでは、切削油がガンドリル工具20のチップ70より手前側から先端に向けて供給され、貫通して開放された深穴2Bの先端への流れを形成することができ、貫通状態でも切刃73に対する潤滑および冷却が確保される。
これらを繰り返すことにより、ワークWには深穴2Bが加工されてゆき、ガンドリル工具20は4本の深穴2Aにおいて保護モードに切替えられ、ワークWの反対側に貫通する際に保護モードに切替えられる。
NC装置31は、前述した加工動作を、ガンドリル工具20の先端が最終Z座標値Zに達するまで繰り返し(ステップST7)、ガンドリル工具20の先端が最終Z座標値Zに達したら、ガンドリル工具20の送りおよび回転を停止させる(ステップST8)。その後、NC装置31は、ガンドリル工具20を後退させてワークWから引き出し、深穴加工を終了する。
このような本実施形態によれば、ガンドリル工具20がワークWの反対側あるいはワークW内の深穴2Aなどの中空部まで貫通した際に、ガンドリル工具20の加工状態を通常モードから保護モードに切替えることができ、貫通部位までは通常モードによる効率的な深穴加工を実行するとともに、貫通時には保護モードに切替えることよりガンドリル工具を保護することができる。
特に、通常モードでは、既存のガンドリル工具と同様な切削油供給により、従来と同様な加工状態を維持することができる。一方、保護モードでは、副出口63からの切削油の供給により、貫通して開放された深穴2Bの先端への切削油の流れを形成することができ、貫通状態でも切刃73に対する潤滑および冷却を確保することができる。
〔第2実施形態〕
図9、図10および図11には、本発明の第2実施形態が示されている。
本実施形態は、ガンドリル工具20の細部のみが異なるものであり、深穴加工装置9の構成は前記第1実施形態と同様である。従って、重複する構成については説明を省略し、以下第1実施形態と異なる部分について説明する。
図9、図10および図11において、ガンドリル工具20の主要部分であるドライバ50、シャンク60、チップ70は前記第1実施形態と同様である。また、主入口55から主出口75に至る切削油流路20A(主供給路)も前記第1実施形態と同様である。しかし、シャンク60およびドライバ50内において、切削油流路20Aと切削油流路20B(副供給路)とを区画する構成が、前記第1実施形態とは異なる。
前記第1実施形態では、シャンク60内にパイプ64を挿通し、このパイプ64により副出口63と副入口53とを結ぶことで、切削油流路20Bを形成していた。そして、パイプ64の外側であって、シャンク60の内側となる空間を切削油流路20Aとして用いていた(図3および図4参照)。
これに対し、本実施形態では、シャンク60内およびドライバ50の通路56内を仕切板69,59で2つに区画し、一方の区画は主入口55および主出口75に連通するようにして切削油流路20Aとし、他方の区画は副出口63および副入口53に連通するようにして切削油流路20Bとする。
このような本実施形態のガンドリル工具20においても、切替弁25により2系統の切削油流路20A,20B(主出口75か副出口63か)を切替えることができ、前記第1実施形態と同様な制御により、同様な作用効果を得ることができる。
なお、仕切板はシャンク60内部から通路56内部まで至る連続した板材で構成してもよい。
〔第3実施形態〕
図12には、本発明の第3実施形態が示されている。
前述した第1実施形態では、切削油ポンプ24からの高圧の切削油を切替弁25で切替え、主軸17の切削油流路17A,17Bの何れかおよびガンドリル工具20の切削油流路20A,20Bの何れかを通してガンドリル工具20の先端へ供給するような構成であった。
これに対し、本実施形態では、図12に示すように、主軸ヘッド15の先端に切削油ポンプ24および切替弁25に接続された給油口ブロック18を取り付けるとともに、主軸ヘッド15の内部に給油口ブロック18からガンドリル工具20の切削油流路20A,20Bに連通する切削油流路15A,15Bを形成し、これらの切削油流路15A,15Bおよび切削油流路20A,20Bを通してガンドリル工具20の先端へ切削油を供給する。
なお、深穴加工装置9のその他の各部構成およびガンドリル工具20自体の構成は前記第1実施形態と同様であり、重複する構成の説明は省略する。
このような給油口ブロック18および切削油流路15A,15Bおよび切削油流路20A,20Bを用いても、前述した第1実施形態と同様な効果を得ることができる。さらに、主軸17の内部を通る切削油流路が必要ないため、そのような主軸を有する工作機械であっても本発明を実施することができる。
〔変形例〕
なお、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
すなわち、前記実施形態では、切替弁25の切替制御にあたり、NC装置31を切替制御手段として用い、加工プログラムに基づく動作状況から深穴の貫通状態を判別して切替えるようにしたが、供給する切削油の圧力を監視し、圧力が急激に低下した際に貫通と判別するような切替制御を行ってもよい。
このような切削油の圧力に基づく切替制御としては、例えば主供給路である切削油流路20A,17A,15A(主出口75に至る経路)に圧力センサを設置し、NC装置31で圧力低下を検出して切替弁25を切替える構成が利用できる。
あるいは、切替弁25を外部圧力で切替えられるパイロット弁とし、パイロット圧として切削油流路20A,17A,15Aを導入するものとしてもよい。このようなパイロット弁式の切替弁25を用いることで、電気的な制御およびそのための配線等が不要となり、構造を大幅に簡略化することができる。さらに、配線が不要となるため、切替弁25の設置自由度を高めることができる。
さらに、切替弁25は、切削油ポンプ24の直後に限らず、主軸ヘッド15の経路上、給油口ブロック18に配置してもよく、2系統の切削油流路は切替弁25より下流側のみとすればよい。例えば切替弁25を前述したパイロット弁とするなら、配線を考慮する必要がないため、回転する主軸17あるいはガンドリル工具20の内部に設置してもよい。
前記実施形態では、テーブル12をX軸方向へ、主軸ヘッド15をY軸方向へ、サドル13をZ軸方向へ移動させるように構成したが、テーブル12と主軸17とを相対移動させる相対移動手段としては、これに限られない。要は、テーブル12と主軸17とが、三次元方向へ相対移動できる構造であれば、いずれでもよい。
前記実施形態では、ワークWの温調流体流路1を加工する例について説明したが、本発明は、これに限られない。ワークWに深穴を加工するものであれば、どのようなワークであってもよい。
本発明は、金型に限らず、ガンドリル工具を用いて深穴加工を行う方法や装置一般に利用することができる。
1…温調流体流路
2A,2B…深穴
4…栓部材
9…深穴加工装置
11…ベッド
12…テーブル
13…サドル
14…コラム
15…主軸ヘッド
15A,17A,20A…主供給路である切削油流路
15B,17B,20B…副供給路である切削油流路
16…主軸モータ
17…主軸
18…給油口ブロック
20…ガンドリル工具
21…自動工具交換装置
22…工具長測定器
22A…検出部
23A,23B…配管
24…切削油ポンプ
25…切替弁
31…NC装置(制御手段)、
32…X軸駆動機構(相対移動手段)、
33…Y軸駆動機構(相対移動手段)、
34…Z軸駆動機構(相対移動手段)、
44…プログラムメモリ
45…作業用メモリ
50…ドライバ
51…本体
52…係合構造
53…副入口
54…凹溝
55…主入口
56…通路
60…シャンク
61…本体
62,72…V字溝
63…副出口
64…パイプ
69,59…仕切板
70…チップ
71…本体
73…切刃
74…先端面
75…主出口
W…ワーク。

Claims (7)

  1. 加工装置の主軸に装着されてワークに深穴を加工するガンドリル工具であって、
    工作機械の主軸に装着されるドライバと、このドライバに後端が固定された長尺パイプ状のシャンクと、このシャンクの先端に固定されかつ外周に切刃が形成されたチップと、前記シャンクの内部に形成された切削油の供給路と、前記チップの先端面に形成されかつ前記供給路に連通された主出口と、前記シャンクの周面または前記チップの周面に形成されかつ前記供給路に連通された副出口と、を有することを特徴とするガンドリル工具。
  2. 請求項1に記載のガンドリル工具において、
    前記副出口は、前記シャンクの前記チップ側端部の側面に形成されていることを特徴とするガンドリル工具。
  3. 請求項1または請求項2に記載のガンドリル工具において、
    前記供給路は、前記主出口に連通しかつ前記ドライバに形成された主入口に連通する主供給路と、前記副出口に連通しかつ前記ドライバに形成された副入口に連通する副供給路とであることを特徴とするガンドリル工具。
  4. 請求項3に記載のガンドリル工具において、
    前記シャンクは、前記シャンクの内部に挿通されたパイプを有し、前記シャンクの内部でありかつ前記パイプの外側である空間が前記主供給路とされ、前記パイプの内部が前記副供給路とされていることを特徴とするガンドリル工具。
  5. 請求項3に記載のガンドリル工具において、
    前記シャンクは、前記シャンクの内部をその長手方向に仕切る隔壁を有し、前記隔壁で仕切られた一方が前記主供給路とされ、他方が前記副供給路とされていることを特徴とするガンドリル工具。
  6. 主軸に装着されたガンドリル工具でワークに深穴を加工する深穴加工装置であって、
    前記ガンドリル工具は、前記主軸に装着されるドライバと、このドライバに後端が固定された長尺パイプ状のシャンクと、このシャンクの先端に固定されかつ外周に切刃が形成されたチップと、前記シャンクの内部に形成された切削油の供給路と、前記チップの先端面に形成されかつ前記供給路に連通された主出口と、前記シャンクの周面または前記チップの周面に形成されかつ前記供給路に連通された副出口と、を有し、
    前記深穴加工装置は、前記ガンドリル工具に切削油を供給する切削油ポンプと、前記切削油ポンプからの切削油を前記主出口または前記副出口の何れかに切替える切替弁と、前記切替弁の切替状態を制御する切替制御手段とを有することを特徴とする深穴加工装置。
  7. ドライバと、このドライバに後端が固定された長尺パイプ状のシャンクと、このシャンクの先端に固定されかつ外周に切刃が形成されたチップと、前記シャンクの内部に形成された切削油の供給路と、前記チップの先端面に形成されかつ前記供給路に連通された主出口と、前記シャンクの周面または前記チップの周面に形成されかつ前記供給路に連通された副出口と、を有するガンドリル工具を用いるとともに、
    前記ドライバを介して前記ガンドリル工具が装着される主軸と、前記ガンドリル工具に切削油を供給する切削油ポンプと、前記切削油ポンプからの切削油を前記主出口または前記副出口の何れかに切替える切替弁とを有する深穴加工装置を用い、
    前記ガンドリル工具で加工中の深穴が未貫通の状態では、前記切替弁を前記主出口側に設定するとともに、
    前記ガンドリル工具で加工中の深穴が貫通した状態では、前記切替弁を前記副出口側に切替えることを特徴とする深穴加工方法。
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