JP2011055573A - 希土類磁石を用いた直流モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】組立て時の作業性が向上し、メンテナンス性に優れた希土類磁石を用いた直流モータを提供する。
【解決手段】上記の課題は、希土類磁石が固定され、回転子の一端を支持する第1のケースと、前記第1のケースと嵌合し、前記回転子の他端を支持する第2のケースと、を備えた直流モータであって、前記第1のケースおよび前記第2のケースのそれぞれの嵌合部が、テーパ状の傾斜面を有するガイドを有することを特徴とする直流モータ等により解決することができる。
【選択図】図1
【解決手段】上記の課題は、希土類磁石が固定され、回転子の一端を支持する第1のケースと、前記第1のケースと嵌合し、前記回転子の他端を支持する第2のケースと、を備えた直流モータであって、前記第1のケースおよび前記第2のケースのそれぞれの嵌合部が、テーパ状の傾斜面を有するガイドを有することを特徴とする直流モータ等により解決することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、直流モータに関し、特に、複数のケースにより構成される希土類磁石を用いた直流モータに関する。
直流モータは、回転数の制御が容易で、応答性がよく、効率もよいことから、小型機械やバッテリー駆動の機械に広く利用されているモータである。しかし、近年、環境問題への要求が高まり、高効率、小型化のモータが望まれていた。
ところで、直流モータは、界磁に永久磁石を使用した永久磁石界磁モータと、界磁に巻線による電磁石を使用した巻線界磁モータに大きく分けることができる。このうち、永久磁石界磁モータは、制御が容易で、コストが安く、小型化に向いている反面、大きな磁束密度を発生できる永久磁石がなかったため出力トルクに限界があった。
しかし、ネオジウム磁石をはじめとする希土類磁石の実用化により、永久磁石界磁モータでも大きな出力を得ることができるようになった。これにより、現在では、小型、高出力、高効率の直流モータとして、希土類磁石を用いた直流モータが広く利用されるようになっている。
界磁に希土類磁石を用いた直流モータは、ケースの内側に固定された永久磁石と、その内側に回転自在に支持された回転子とから構成される。永久磁石は、極性の異なる永久磁石を交互に配置する。また、回転子は、回転軸に周りに固定された複数のコイルと当該コイルの磁力を伝達するコアとで構成されている。
ところで、組立作業や分解修理作業の利便性から、ケースは2つ以上の部分に分割されていることが一般的である。すなわち、永久磁石が固定され回転子の軸の一端を支持するケースと、回転子の軸の他端を支持するケースとに分割され、両者を嵌合して組立てを行うような構造になっている。組立てにあたっては、回転子と永久磁石とが一定の間隔を保つように、軸心を支持しなければならない。軸心のずれ(芯ずれ)があると、出力トルクむら、回転むら、騒音等の原因となり、最悪の場合にはモータ自身の破損に至る可能性もある。
ところで、直流モータの回転子は強磁性体(軟磁性材料)であるため、近くに永久磁石があると引き寄せられる。このため、上述した組立て工程においてケースを嵌合する前の状態、すなわち、回転子の軸の一端がケースに支持され、他端が支持されていない状態では、回転子が永久磁石に吸い寄せられ、回転子と永久磁石との軸心がずれている状態となる。
特許文献1に記載されたような永久磁石にフェライト磁石を用いた直流モータでは、磁石の吸引力は小さいため、作業者は手で容易にケースの嵌合や軸心の調整を行うことができる。
しかし、強力な希土類磁石を用いた直流モータの場合、磁石の吸引力が非常に強いために一度磁石に吸引された回転子を戻す事は容易ではなく、組み付け作業の作業性が悪くまた怪我の元にもなりやすい。そこで、ケースと回転体の軸をそれぞれ支持する冶具を用いて嵌合や調整作業を行うことが一般的であった。
しかし、モータを冶具に固定して精密な位置合わせを行う作業は、熟練者であっても相当の時間が必要となる。また、ブラシ交換など市場で行うメンテナンス作業では、メンテナンスを行う現場に冶具を持っていかなければならず、メンテナンスの利便性に欠けるという問題があった。
上記の課題は、希土類磁石が固定され、回転子の一端を支持する第1のケースと、前記第1のケースと嵌合し、前記回転子の他端を支持する第2のケースと、を備えた直流モータであって、前記第1のケースおよび前記第2のケースのそれぞれの嵌合部が、テーパ状の傾斜面を有するガイドを有することを特徴とする直流モータにより解決することができる。
すなわち、ケースの嵌合時に、それぞれのケース(ブラケット)に設けたガイドにより、ケースどうしが所定の位置関係となるように誘導され位置決めされる。回転子の軸は、それぞれのケースにより支持されているため、ケースどうしが所定の位置関係で嵌合されると、永久磁石の吸引力により生じた軸心のずれ(芯ずれ)が矯正される。これにより、特殊な冶具を用いずに、軸心のずれを矯正することができる。
さらに、嵌合部の嵌合面に対するガイドの傾斜角度(θ1、θ2)が、45度以下であることが望ましく、また、嵌合面と直交する方向の第1のケースのガイドの厚さ(β1)と、嵌合面と直交する方向の第2のケースのガイドの厚さ(β2)の合計が、前記希土類磁石と前記回転子との空隙(δ)より大きく、かつ、前記空隙(δ)の2倍よりも小さい、すなわちδ<β1+β2<2δであることが望ましい。
本発明により、組立て時の作業性が向上し、メンテナンス性に優れた希土類磁石を用いた直流モータを提供することができる。
図1に本発明に係る直流モータの斜視図を、図2に該直流モータの中心軸を含む面における断面図をそれぞれ示す。直流モータは、回転子3と、回転子3の両端をそれぞれ支持するケース9およびケース17と、ケース9とケース17を結合状態で保持するためのスルーボルト14と、から構成されている。ケース17は図4にあるように、フロントブラケット8、ヨーク1、センターブラケット13らで構成されており、それぞれのブラケットとヨークが嵌合部で結合され、ケース17を形成する。本実施例のモータでは、ケース17が「第1のケース」に、リアブラケット9が「第2のケース」に対応する。このため、以下の説明では、リアブラケット9をケース9と表記する場合がある。
このうち、フロントブラケット8は、ボールベアリング10を介して回転子3の軸18の一端を回転自在に支持する。また、円筒形のヨーク1の内側には、希土類磁石であるネオジウム磁石2が接着されている。センターブラケット13には、ブラシホルダー5が固定されている。さらに、ブラシホルダー5には、ブラシスプリング7とブラシ6が収納されている。リアブラケット9は、ボールベアリング11を介して回転子3の軸18の他端を回転自在に支持する。
回転子3は、回転軸18と、コア21と、その周囲に配置されたコイル19および整流子4とから構成されている。回転軸18には、センター穴16が設けられている。また、整流子4は、センターブラケット5に収納されているブラシ6と接するように構成されている。
また、図6のように、センターブラケット13とリアブラケット9の嵌合部の嵌合面12a、12bには、テーパ状の傾斜面を有するガイド15a、15bが設けられ、ゴム製のOリング20によりシールされている。図7に、リアブラケット9のガイド15bの拡大図を示す。嵌合面12bに対する、ガイド15bの傾斜角度(θ2)は30度に設定されている。
同様に、センターブラケット13のガイド15aも、嵌合面12aに対する、ガイド15aの傾斜角度(θ1)は30度に設定されている。また、センターブラケット13のガイド15aの傾斜角度(θ1)と、リアブラケット9のガイド15bの傾斜角度(θ2)とは等しいことが望ましい。
ここで、上述した傾斜角度(θ1、θ2)は45度以下であることが望ましい。なぜならば、ケース17とリアブラケット9とを嵌合する際にはスルーボルト14を締め付けることにより、ケース9、17に回転子3の軸方向の力が付与される。ガイド15a、bは、かかる軸方向の力の一部を軸と直交する方向の力に変換し、ケース17とリアブラケット9とを所定の位置で嵌合するように位置決めし、回転子3の軸18と磁石2とを一定の間隔で保持するように位置決めする機能を果たす。図6に示すように、軸方向の力をFa、軸と直交する方向の力をFvとしたときに傾斜角度θが45度とするとFa=tan45°・Fv、つまり、Fa=Fvとなり軸と直行する力Fm(磁石による吸引力)を矯正するのに、軸方向の力FaをFvと同等の力を加えればよい。しかし現状ではスルーボルトの締め付けによる軸方向の力は磁石による吸引力Fmより十分な力を得ることが出来るため、傾斜角度を45度より大きくする必要はない。また、傾斜角度を45以下にするとことで、ボルトを締める際の組み付け性が良い。また、テーパーの垂直成分長さを、軸成分長さ以下に抑えることができ、ガイドの厚さを必要以上の厚さにする必要がなく材料費のコストを抑制することもできる。また、Oリング20の変形を防止する観点からも、傾斜角度(θ)は45度以下であることが望ましい。
さらに、図7のように、嵌合面12aと直交する方向のセンターブラケット13のガイド15aの厚さ(β1)と、嵌合面12bと直交する方向のリアブラケット9のガイド15bの厚さ(β2)との合計が、希土類磁石2と回転子3との空隙(δ)より大きく、かつ、該空隙(δ)の2倍よりも小さいことが望ましい。すなわちδ<β1+β2<2δであることが望ましい。これにより、ブラケットが肉厚になるのを防ぐことができる。
次に、図1の直流モータの組立て順序を図2〜4を参照しながら説明する。図3は直流モータのリアブラケット9を結合する前の状態の断面図、図2は結合後すなわち直流モータ組立後の断面図である。また、図5は、図1の直流モータのセンターブラケット13とリアブラケット9との嵌合部分の拡大図である。
はじめに、ヨーク1に希土類磁石2を接着して着磁をする。次にボールベアリング10、11を圧入した回転子3をフロントブラケット8のベアリングハウジング内に組付ける。次に回転子3のシャフト先端部に設けられたセンター穴16を利用し両端を固定する治具を用意し、センター穴16とヨーク1の外周を同心としたヨーク1の外周受ける治具で、前述のフロントブラケット8を組付けた回転子3に挿入しフロントブラケット8とヨーク1の嵌合部にて結合する。この状態で治具から取外すと回転子3は磁石2に吸引され接触する。次に、ブラシ6を組み込んだブラシホルダー5を肯定したセンターブラケット13を、ヨーク1とセンターブラケット13との嵌合部にて結合してケース17が組みあがる。
図3のように、さらに、リアブラケット9にOリング20を取り付けて、ケース17とリアブラケット9とを嵌合すればモータが完成する。しかし、図3の状態では、回転子3と磁石2とが接触して芯ずれが起こっているため、双方の嵌合部(図3の領域A)がかみ合わない。
そこで、センターブラケット13の嵌合部とリアブラケット9との嵌合部のそれぞれに設けられたガイド15a、15bを接触させ、この状態でスルーボルト14を締め付けて軸方向の力を加えることにより、ガイド15a、15bが芯ずれの分を矯正する。これにより、ケース17とリアブラケット9とを結合すると同時に、回転子3と永久磁石2との間隔が一定となるように、ケース17と回転子3との位置合わせを行うことができる。
図6に、センターブラケット13とリアブラケット9との結合部分(図3の領域Aの部分)の拡大図を示す。図6aは結合前、図6bは結合の途中、図6cは結合後の嵌合部近傍の断面図である。結合する前の状態では、センターブラケット13の嵌合部12aの位置とリアブラケット9の嵌合部12bの位置とがずれ、それぞれのガイド15a、15bが接触している。
この状態で、スルーボルト14を締め付けると、センターブラケット13とリアブラケット9のガイドに平行な力Fが付与される。ガイド15a、15bは、軸方向に対して傾斜を有しているため、付与された力Fは、軸方向の力Faと軸方向に垂直な力Fvに分解される。このうち、軸方向に垂直な力Fvが、永久磁石の吸引力に抗してリアブラケット9を押し下げることにより、両者が嵌合面12a、12bで嵌合する(図6c)。これにより、回転子3とケース17との軸心のずれが矯正され、回転子3と磁石2とが一定の間隔で保持された状態で、直流モータの組立てが完了する。
以上、本発明に係る技術的思想を特定の実施態様を参照しつつ詳細にわたり説明したが、本発明の属する分野における当業者には、請求項の趣旨及び範囲から離れることなく様々な変更及び改変を加えることが出来ることは明らかである。例えば、ケースは、上述した実施例のように3つの部分で構成する必要はなく、モータの特性・用途により設計上好ましい数の部分で構成するように変更可能である。また、上述した実施例では、センターブラケットとリアブラケットとの嵌合部にテーパ状のガイドを設けているが、ガイドを設ける嵌合部はかかる嵌合部に限定されるものではなく、ケースを構成する他のブラケットの嵌合部に同様なガイドを設けてもよい。
1 ヨーク
2 磁石
3 回転子
4 整流子
5 ブラシホルダー
6 ブラシ
7 ブラシスプリング
8 フロントブラケット
9 リアブラケット
10、11 ボールベアリング
13 センターブラケット
14 スルーボルト
16 センター穴
17 ケージ
18 軸
19 コイル
20 Oリング
21 コア
2 磁石
3 回転子
4 整流子
5 ブラシホルダー
6 ブラシ
7 ブラシスプリング
8 フロントブラケット
9 リアブラケット
10、11 ボールベアリング
13 センターブラケット
14 スルーボルト
16 センター穴
17 ケージ
18 軸
19 コイル
20 Oリング
21 コア
Claims (3)
- 希土類磁石が固定され、回転子の一端を支持する第1のケースと、
前記第1のブラケットと嵌合し、前記回転子の他端を支持する第2のケースと、
を備えた直流モータであって、
前記第1のケースおよび前記第2のケースのそれぞれの嵌合部が、テーパ状の傾斜面を有するガイドを有することを特徴とする直流モータ。 - 前記嵌合部の嵌合面に対する、前記ガイドの傾斜角度(θ1、θ2)が、45度以下であることを特徴とする請求項1に記載の直流モータ。
- 前記嵌合面と直交する方向の前記第1のケースの前記ガイドの厚さ(β1)と、前記嵌合面と直交する方向の前記第2のケースの前記ガイドの厚さ(β2)との合計が、前記希土類磁石と前記回転子との空隙(δ)より大きく、かつ、前記空隙(δ)の2倍よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の直流モータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009199265A JP2011055573A (ja) | 2009-08-31 | 2009-08-31 | 希土類磁石を用いた直流モータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009199265A JP2011055573A (ja) | 2009-08-31 | 2009-08-31 | 希土類磁石を用いた直流モータ |
Publications (1)
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JP2011055573A true JP2011055573A (ja) | 2011-03-17 |
Family
ID=43944009
Family Applications (1)
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JP2009199265A Pending JP2011055573A (ja) | 2009-08-31 | 2009-08-31 | 希土類磁石を用いた直流モータ |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2011055573A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104184244A (zh) * | 2013-05-27 | 2014-12-03 | 株式会社电装 | 旋转电机 |
CN115622312A (zh) * | 2022-11-15 | 2023-01-17 | 扬州市华天电机有限公司 | 一种具有防水功能的电机壳 |
WO2023013663A1 (ja) * | 2021-08-05 | 2023-02-09 | 株式会社デンソー | 回転電機 |
-
2009
- 2009-08-31 JP JP2009199265A patent/JP2011055573A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104184244A (zh) * | 2013-05-27 | 2014-12-03 | 株式会社电装 | 旋转电机 |
US9337698B2 (en) | 2013-05-27 | 2016-05-10 | Denso Corporation | Rotating electric machine |
WO2023013663A1 (ja) * | 2021-08-05 | 2023-02-09 | 株式会社デンソー | 回転電機 |
CN115622312A (zh) * | 2022-11-15 | 2023-01-17 | 扬州市华天电机有限公司 | 一种具有防水功能的电机壳 |
CN115622312B (zh) * | 2022-11-15 | 2024-03-19 | 扬州市华天电机有限公司 | 一种具有防水功能的电机壳 |
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