JP2011054280A - 酸化マグネシウム膜およびその成膜方法、ならびにプラズマ生成電極 - Google Patents

酸化マグネシウム膜およびその成膜方法、ならびにプラズマ生成電極 Download PDF

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Abstract

【課題】電極保護膜として用いた場合に電極の放電開始電圧を低くでき、且つ、製造コストが低い酸化マグネシウム膜を提供すること。
【解決手段】酸化マグネシウム膜1は、酸化マグネシウム薄膜部4と、その表面から成長して酸化マグネシウム薄膜部4と一体になっている酸化マグネシウム板状結晶5の集合体6とを有している。酸化マグネシウム膜1は、熱分解により酸化マグネシウムを生成するマグネシウム化合物の溶液を基材2の表面に塗布して熱処理することにより形成した下地層3の表面に、大気開放下での化学気相析出法(CVD法)によって酸化マグネシウム薄膜部4の表面に酸化マグネシウム板状結晶5を成長させることにより形成される。この酸化マグネシウム膜1を電極保護膜として用いたプラズマ生成電極は、放電開始電圧が従来よりも30%以上低減されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、プラズマ生成電極における電極保護膜などに用いる酸化マグネシウム膜およびその成膜方法、ならびにプラズマ生成電極に関するものである。
酸化マグネシウム薄膜などの金属酸化物の薄膜は、プラズマディスプレイパネル(PDP)用保護膜、絶縁膜、触媒膜、表面保護膜などに広く用いられている。例えば、AC型PDPにおいては、前面ガラス基板上に維持電極および走査電極が形成されており、これらの電極は、誘電体層および酸化マグネシウム薄膜からなる電極保護層によって覆われている。
AC型PDPでは、放電ガスとしてネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスを用いているが、発光効率を増大させるために、放電ガス中のXeガス濃度を増大させることが提案されている。しかしながら、電極保護層として酸化マグネシウム薄膜を用いている場合、酸化マグネシウム薄膜のXeガスに対する二次電子放出率が低いため、Xeガス濃度を増大させると電極の放電開始電圧が高くなってしまう(特許文献1参照)。AC型PDPの消費電力や画面輝度などの特性は、電極の放電特性に大きく依存している。特に、電極保護層の二次電子放出率を高くすることができれば、放電開始電圧や放電維持電圧を低減化することができ、消費電力の低減化を図ることができる。
ここで、酸化マグネシウム薄膜などの金属酸化物薄膜を形成する手法としては、従来から、スパッタリング法、真空蒸着法などの物理的成膜法が用いられている。物理的成膜法は、均一で緻密な結晶性の高い薄膜が得られる反面、真空系で成膜を行うため、大型かつ複雑で高価な装置が必要である。更に、バッチ式での生産であるため生産効率が悪く、製造コストが高くなってしまう。
このような物理的成膜法に対して、高価で複雑な装置の必要がなく、しかも簡単な工程で金属酸化物薄膜を形成できる方法として、塗布成膜法が用いられている。しかしながら、塗布成膜法は、加熱焼成時に塗布膜の熱収縮が起こるため、得られた酸化マグネシウム薄膜に亀裂が発生しやすいという問題点がある。また、塗布成膜法で形成された酸化マグネシウム薄膜は、真空蒸着法などで形成された酸化マグネシウム薄膜と比べて結晶性が低い等の理由により、AC型PDPなどの電極保護層に用いると、電極の放電開始電圧の低減効果が得られにくい傾向にある(特許文献2参照)。
特開2009−140611号公報 特開2007−265962号公報
酸化マグネシウム薄膜を電極保護層に用いた電極における放電特性は、酸化マグネシウム薄膜の表面形状や結晶性などの各種の特性に依存するが、上記のように、従来の成膜法においては、スパッタ法や真空蒸着法などの高価で複雑な装置を用いる方法でなければ、放電特性の良好な膜を形成することができなかった。よって、放電開始電圧を低減させようとすると製造コストが高くなってしまっていた。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、電極保護膜として用いた場合に放電開始電圧が低くなり、且つ、製造コストが低い酸化マグネシウム膜、および、このような酸化マグネシウム膜を用いたプラズマ生成電極を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究/検討/実験を重ねた結果、従来にはなかった新たな表面形状の酸化マグネシウム膜を形成することに成功し、この酸化マグネシウム膜を用いれば、従来よりも放電開始電圧を低減させることができるという新たな知見を得た。
本発明は、かかる新たな知見に基づいて完成されたものであり、
酸化マグネシウム薄膜部と、
当該酸化マグネシウム薄膜部の表面から突出する酸化マグネシウム板状結晶の集合体とを有し、
前記酸化マグネシウム板状結晶は、前記酸化マグネシウム薄膜部の表面から成長して前記酸化マグネシウム薄膜部と一体になっていることを特徴とする。
酸化マグネシウム板状結晶の集合体は、従来の成膜方法では形成されたことがなく、本発明らが初めて作成に成功した特徴的な形状である。特に、この酸化マグネシウム板状結晶は、酸化マグネシウム薄膜部の表面から成長しているため、根元が酸化マグネシウム薄膜部とつながって一体になっており、酸化マグネシウム結晶を薄膜表面に散布して付着させたにすぎない従来品とは構成が異なる。本発明者らは、このような表面形状の酸化マグネシウム膜によって被覆された電極では、酸化マグネシウム板状結晶の集合体を備えていない従来の酸化マグネシウム膜によって被覆された電極に比べて、放電開始電圧がおおむね30%以上低くなっていることを確認している。このような効果については、電極表面に酸化マグネシウム板状結晶の集合体が存在することにより、電極への印加電圧による電界強度が大きくなり、放電空間に向けて電子が放出される量が多くなるため、二次電子放出率が向上して放電開始電圧が低くなったものと推測できる。
本発明において、前記酸化マグネシウム板状結晶は、前記酸化マグネシウム薄膜部の表面から直立していることが望ましい。直立した酸化マグネシウム板状結晶は、その端縁が電極表面から上向きに突出した状態となるので、この突出部分から放電空間に向けて電子を放出しやすくなる。
また、前記酸化マグネシウム板状結晶は、その外周端縁に向かって厚みが減少する鱗片状に形成されていることが望ましい。本発明者らは、成膜条件や原料化合物について鋭意検討を重ねた結果、このような鱗片状の酸化マグネシウム板状結晶の集合体をほぼ確実に形成できる条件を見出した。鱗片状の酸化マグネシウム板状結晶は、外周端縁が尖っているので、より電子が放出されやすくなる。
ここで、前記酸化マグネシウム板状結晶は、厚さが20nm以上200nm以下、幅および高さが300nm以上1000nm以下であることが望ましい。また、前記酸化マグネシウム薄膜部の厚さは10nm以上1000nm以下であることが望ましい。本発明者らの実験においては、おおむねこのような寸法範囲の酸化マグネシウム板状結晶および酸化マグネシウム薄膜部を形成できることを確認しており、このような構成で、上述した30%の放電開始電圧の低減効果が得られることを確認している。
本発明において、複数の前記酸化マグネシウム板状結晶は互いに支え合って前記集合体を形成しており、前記集合体における前記酸化マグネシウム板状結晶の数密度は、1μm×1μmの範囲で2枚以上50枚以下であることが望ましい。本発明では、酸化マグネシウム板状結晶が酸化マグネシウム薄膜部の表面に分散しておらず、ある程度の数が集まって集合体を形成している。この集合体は、本発明者らの実験においては、上記の範囲の密度で形成されることが確認されている。そして、この集合体は、酸化マグネシウム板状結晶が互いに支え合って、一見してバラのようにも見える特徴的な形状となっている。よって、他の成膜方法や成膜条件で形成された酸化マグネシウム膜と容易に判別できる。
本発明において、前記酸化マグネシウム薄膜部の表面に、複数の前記集合体が互いに独立して形成されており、前記薄膜部の表面における前記集合体の数密度は、10μm×10μmの範囲で4個以上400個以下であることが望ましい。酸化マグネシウム板状結晶の集合体の存在によって放電空間に向かう電子の放出量が多くなるが、この集合体が薄膜上に過剰に存在すると、かえって電子の放出が妨げられ、放電開始電圧の低減効果が得られにくくなることが推測される。本発明者らの実験によれば、上記の数密度の範囲では、上述した30%の放電開始電圧の低減効果が得られることを確認している。
本発明において、前記酸化マグネシウム薄膜部および前記酸化マグネシウム板状結晶は、大気開放型化学気相析出膜である。また、前記大気開放型化学気相析出膜は、塗布成膜法によって基材表面に形成された塗布酸化マグネシウム膜からなる下地の表面に形成されている。本発明者らは、このような大気開放下での化学気相析出法(CVD法)により、酸化マグネシウム薄膜部と酸化マグネシウム板状結晶の集合体が一体になった酸化マグネシウム膜を形成できることを確認している。
本発明の成膜方法は、気化させた酸化マグネシウム原料を、キャリヤーガスとともに、大気開放下で加熱された下地の表面に吹き付けることにより、前記下地の表面を覆う酸化マグネシウム薄膜と、当該酸化マグネシウム薄膜の表面から立ち上がる酸化マグネシウム板状結晶の集合体とを形成することを特徴とする。このような大気開放下での化学気相析出法(CVD法)によれば、下地層の表面付近に、気化した酸化マグネシウム原料を大量に供給できるという利点がある。また、真空チャンバーを必要としないので、装置コストを低廉にできるという利点がある。そして、このような成膜方法により、従来の成膜方法では作り出すことのできなかった上記各構成の酸化マグネシウム膜を形成できる。
本発明の成膜方法において、前記下地を、熱分解により酸化マグネシウムを生成するマグネシウム化合物の溶液を基材表面に塗布して熱処理することにより形成することが望ましい。本発明者らは、塗布酸化マグネシウム膜を下地として大気開放下での化学気相析出法(CVD法)を行うことにより、従来の成膜方法では作り出すことのできなかった上記各構成の酸化マグネシウム膜を形成できることを確認している。塗布成膜法は高価で複雑な装置の必要がなく、しかも簡単な工程で行うことができる。また、塗布成膜法によって形成した酸化マグネシウム膜(下地)には熱収縮による亀裂ができることがあるが、本発明では、この亀裂を、大気開放下での化学気相析出法(CVD法)によって形成される酸化マグネシウム薄膜部によって覆うことができる。
本発明の成膜方法において、気化させる前記酸化マグネシウム原料として、有機マグネシウム錯化合物を用いることが望ましい。また、前記有機マグネシウム錯化合物は、Mg(Cを含むことが望ましい。
そして、本発明のプラズマ生成電極は、上記各構成の酸化マグネシウム膜からなる電極保護層が表面に設けられていることを特徴としている。
本発明は、酸化マグネシウム薄膜部と、当該酸化マグネシウム薄膜部の表面から突出する酸化マグネシウム板状結晶の集合体からなる、従来の成膜方法では形成されたことがない特徴的な表面形状を備えている。また、このような表面形状の酸化マグネシウム膜を大気開放下での化学気相析出法によって形成することができる。このような表面形状の酸化マグネシウム膜をプラズマ生成電極の表面を覆う電極保護層として用いれば、従来の酸化マグネシウム膜を用いたプラズマ生成電極に比べて、放電開始電圧を大きく低減化できる。また、成膜時に真空チャンバーなどの高価で複雑な装置を必要としないので、製造コストを低廉にすることができる。
本実施形態の酸化マグネシウム膜の断面構成を示す説明図である。 大気開放型CVD装置の説明図である。 酸化マグネシウム膜の走査型電子顕微鏡(SEM)による撮影画像である。 本実施例の酸化マグネシウム膜が表面に形成された電極と、比較例の電極による放電開始電圧のグラフである。 空間制御型電流測定装置の説明図である。 比較例の酸化マグネシウム膜の走査型電子顕微鏡(SEM)による撮影画像である。
以下、図1〜図6を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(酸化マグネシウム膜の構成)
図1は本実施形態の酸化マグネシウム膜の断面構成を示す説明図である。本実施形態の酸化マグネシウム膜1は、基材2の表面に形成された下地層3(塗布酸化マグネシウム膜)と、この下地層3の表面を覆う酸化マグネシウム薄膜部4と、この酸化マグネシウム薄膜部4の表面から成長している多数の酸化マグネシウム板状結晶5を備えている。各酸化マグネシウム板状結晶5は単結晶であり、後述するように、複数個の単結晶が互いに支え合うように集合した形状に成長して、集合体6を形成している(図3参照)。各酸化マグネシウム板状結晶5の根元部分は、酸化マグネシウム薄膜部4と繋がって一体になっている。
基材2は、金属、金属酸化物、硝子、陶磁器、セラミックス、プラスチック、紙などの各種の材料から適宜選択されたものが用いられている。下地層3は、本実施形態では塗布酸化マグネシウム膜としているが、他の成膜方法により形成した酸化マグネシウム膜であってもよい。また、酸化マグネシウム以外の金属酸化物原料により形成した金属酸化物膜であってもよい。
(酸化マグネシウム膜の成膜方法)
本実施形態では、酸化マグネシウム膜1を、(1)基材2の表面に塗布成膜法により下地層3を形成する工程と、(2)この基材2および下地層3を加熱しながら、大気開放下での化学気相析出法(CVD法)によって下地層3の表面に酸化マグネシウム薄膜部4および酸化マグネシウム板状結晶5を成長させる工程の2工程を行うことにより形成している。
下地層3の形成に用いる塗布材料としては、熱分解により酸化マグネシウムを生成するマグネシウム化合物を用いる。そして、このマグネシウム化合物を溶解させた溶液を、基材2の表面に均一に塗布する。塗布方法としては、浸漬法、スピンコート法、ロールコーター法、印刷法などの各種の方法を用いることができる。塗布後、加熱あるいは焼成などの熱処理を行って塗布酸化マグネシウム膜を形成する。
図2は、大気開放下での化学気相析出法(CVD法)による成膜に使用する大気開放型CVD装置の説明図である。大気開放型CVD装置10は、キャリヤーガス供給源11、キャリヤーガス供給配管12、ガス流量計13、原料気化器14、原料混合ガス供給配管15、ノズル16、基材加熱台17を備えており、これらを図示しない防護チャンバー内に収容した構成である。
原料気化器14内には酸化マグネシウム膜などの金属酸化物膜の形成材料(前駆体)である金属錯化合物がセットされ、原料気化器14内を加熱しながらキャリヤーガスを所定の流量で流すことにより、気化させた原料とキャリヤーガスの混合物である原料混合ガスをノズル16に供給できる。基材加熱台17とノズル16との距離(基板間距離)は、金属酸化物膜の形成に適した距離に適宜調整可能となっており、本実施形態では、15mmに設定されている。
大気開放型CVD装置10を用いて酸化マグネシウム膜1を形成するには、まず、酸化マグネシウム膜1の原料となる有機マグネシウム錯化合物を原料気化器14内にセットすると共に、下地層3(塗布酸化マグネシウム膜)が形成された基材2を下地層3の側を上にして基材加熱台17にセットする。そして、原料気化器14を加熱して有機マグネシウム錯化合物を気化させ、キャリヤーガスとして窒素ガスを流して、気化された酸化マグネシウム原料と窒素ガスとの混合ガスをノズル16から下地層3の表面に吹き付ける。このとき、基材加熱台17により、基材2および下地層3を所定の基板加熱温度に加熱した状態にしておく。原料混合ガスの噴射を所定時間継続すると、酸化マグネシウム原料と大気中の成分(水分や酸素)とが反応し、下地層3の表面に酸化マグネシウム薄膜部4が形成される。また、酸化マグネシウム薄膜部4の表面では酸化マグネシウム板状結晶5が成長し、集合体6が形成される。
(実施例)
図3は、上記の成膜方法によって得られた酸化マグネシウム膜1を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって上方から撮影した撮影画像である。図3の酸化マグネシウム膜1は、基材2としてステンレススチール基板(SUS304L)を用い、(株)高純度化学研究所製のMOD材料Mg−03をスピンコート法により基材2の表面に塗布し、大気中で450℃で30分間加熱処理して下地層3を形成し、さらに、大気開放型CVD装置10を用いて、原料気化器14内に入れる原料錯体としてMg(C(マグネシウムアセチルアセトナート)を用いてこれを230℃で気化させ、表面温度が620℃になるように加熱した下地層3の表面に原料混合ガスを吹き付けて酸化マグネシウム薄膜部4および酸化マグネシウム板状結晶5の集合体6を形成したものである。
本実施例の成膜条件では、酸化マグネシウム薄膜部4が、厚さが10nm以上1000nm以下となるように形成されている。また、酸化マグネシウム板状結晶5の集合体6は、酸化マグネシウム薄膜部4の表面において不規則な配置で形成されており、その数密度は、10μm×10μmの範囲で4個以上400個以下である。各集合体6は、図3に示すように、直径がおおむね1μm〜1.5μm程度の丸いバラのような独特な形状の集合体6を形成している。各集合体6における酸化マグネシウム板状結晶5の数密度は、1μm×1μmの範囲において、2枚以上50枚以下となっている。
各マグネシウム板状結晶5は、外周端縁の厚みが薄い鱗片状の形状をしており、おおむね酸化マグネシウム薄膜部4から直立する方向に成長している。また、各マグネシウム板状結晶5の寸法は、おおむね、厚さが20nm以上200nm以下、幅および高さが300nm以上1000nm以下となっている。このような酸化マグネシウム板状結晶5の集合体6は、従来の成膜方法では形成されたことのない新規な結晶形状である。
図4は、本実施例の酸化マグネシウム膜1が表面に形成された電極と、比較例の電極による放電開始電圧のグラフであり、図5は、放電開始電圧を測定するための空間制御型電流測定装置18の説明図である。本発明者らは、本実施例における酸化マグネシウム膜1によって被覆された基材2(MgO被覆電極)を電極に用いて、これを空間制御型電流測定装置18のチャンバー内に電極間距離8mmとなるように配置し、Xeガスが6%、Neガスが94%の混合ガス(ぺニングガス)雰囲気中で周波数20KHzの電力を印加して、チャンバー内圧力を200〜3000Paとしたときの放電開始電圧を測定した。
また、本発明者らは、下地層3のみを形成した状態の基材2を電極に用いた場合(比較例1)と、下地層3の表面に酸化マグネシウム薄膜部4のみが形成されており、酸化マグネシウム板状結晶5の集合体6が成長していないものを電極に用いた場合(比較例2)の2種類の電極についても、同様の条件で放電開始電圧を測定した。図6(a)(b)は、比較例1、2の酸化マグネシウム膜の走査型電子顕微鏡(SEM)による撮影画像である。なお、比較例2は、大気開放型CVD装置10を用いて、上記実施例と異なる成膜条件によって形成されている。
図4に示すように、本実施例の酸化マグネシウム膜1を備える電極による放電開始電圧(図4の符号A)は、比較例1、2の放電開始電圧(図4の符号B1、B2)よりも明らかに低くなっている。最も放電開始電圧が低下している1400Paの状態では、本実施例の酸化マグネシウム膜1を備える電極の放電開始電圧が約72Vであるのに対し、比較例1では約112V、比較例2では約100Vである。このように、本実施例の酸化マグネシウム膜1を電極保護膜として用いることにより、30%以上の放電開始電圧の低減効果が得られる。
なお、上記実施形態では基材2の表面に下地層3を設けてこの表面に酸化マグネシウム膜1を形成していたが、下地層3を省略して、基材2の表面に直接酸化マグネシウム薄膜部4を形成して酸化マグネシウム板状結晶5を成長させてもよい。
(応用)
本実施形態の酸化マグネシウム膜1を電極保護膜に用いた電極(プラズマ生成電極)は、AC型PDPのプラズマ生成電極として用いれば、放電開始電圧を低減化することができ、消費電力の低減などを図ることができる。また、電極の用途はAC型PDPに限定されず、プラズマ発生を利用する各種の装置に利用可能である。さらに、低真空条件下、あるいは大気圧下でも放電を可能にすることができるので、従来は密閉加圧空間を必要としていたネオン管などの照明装置を高真空の密閉型にする必要がなくなり、このようなプラズマ発生を利用する照明装置の設計の自由度が高まる。
1 酸化マグネシウム膜
2 基材
3 下地層
4 酸化マグネシウム薄膜部
5 酸化マグネシウム板状結晶
6 集合体
10 大気開放型CVD装置
11 キャリヤーガス供給源
12 キャリヤーガス供給配管
13 ガス流量計
14 原料気化器
15 原料混合ガス供給配管
16 ノズル
17 基材加熱台
18 空間制御型電流測定装置

Claims (14)

  1. 酸化マグネシウム薄膜部と、
    当該酸化マグネシウム薄膜部の表面から突出する酸化マグネシウム板状結晶の集合体とを有し、
    前記酸化マグネシウム板状結晶は、前記酸化マグネシウム薄膜部の表面から成長して前記酸化マグネシウム薄膜部と一体になっていることを特徴とする酸化マグネシウム膜。
  2. 前記酸化マグネシウム板状結晶は、前記酸化マグネシウム薄膜部の表面から直立していることを特徴とする請求項1に記載の酸化マグネシウム膜。
  3. 前記酸化マグネシウム板状結晶は、その外周端縁に向かって厚みが減少する鱗片状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化マグネシウム膜。
  4. 前記酸化マグネシウム板状結晶は、厚さが20nm以上200nm以下、幅および高さが300nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化マグネシウム膜。
  5. 前記酸化マグネシウム薄膜部の厚さが10nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の酸化マグネシウム膜。
  6. 複数の前記酸化マグネシウム板状結晶が互いに支え合って前記集合体を形成しており、
    前記集合体における前記酸化マグネシウム板状結晶の数密度は、1μm×1μmの範囲で2枚以上50枚以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の酸化マグネシウム膜。
  7. 前記酸化マグネシウム薄膜部の表面に、複数の前記集合体が互いに独立して形成されており、
    前記酸化マグネシウム薄膜部の表面における前記集合体の数密度は、10μm×10μmの範囲で4個以上400個以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の酸化マグネシウム膜。
  8. 前記酸化マグネシウム薄膜部および前記酸化マグネシウム板状結晶は、大気開放型化学気相析出膜であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の酸化マグネシウム膜。
  9. 前記大気開放型化学気相析出膜は、塗布成膜法によって基材表面に形成された塗布酸化マグネシウム膜からなる下地の表面に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の酸化マグネシウム膜。
  10. 気化させた酸化マグネシウム原料を、キャリヤーガスとともに、大気開放下で加熱された下地の表面に向けて供給する大気開放型化学気相析出法により、前記下地の表面を覆う酸化マグネシウム薄膜部と、当該酸化マグネシウム薄膜部の表面から立ち上がる酸化マグネシウム板状結晶の集合体とを形成することを特徴とする酸化マグネシウム膜の成膜方法。
  11. 前記下地を、熱分解により酸化マグネシウムを生成するマグネシウム化合物の溶液を基材表面に塗布して熱処理することにより形成することを特徴とする請求項10に記載の酸化マグネシウム膜の成膜方法。
  12. 気化させる前記酸化マグネシウム原料として、有機マグネシウム錯化合物を用いることを特徴とする請求項10または11に記載の酸化マグネシウム膜の成膜方法。
  13. 前記有機マグネシウム錯化合物は、Mg(Cを含むことを特徴とする請求項12に記載の酸化マグネシウム膜の成膜方法。
  14. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の酸化マグネシウム膜からなる電極保護層が表面に設けられていることを特徴とするプラズマ生成電極。
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