JP2010192736A - 原子層成長装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高々300℃程度の低温処理を前提とされたアルミナ膜を形成する原子層成長装置において、装置内部に堆積する堆積物によるパーティクルの発生が容易に抑制できるようにする。
【解決手段】装置本体101に、成膜対象の基板が配置される成膜室102を備える。成膜室102の内部には、基板が載置される基板台103が設けられ、基板台103は、基板を加熱するための加熱機構104を内蔵している。また、装置本体101には、成膜室102に原料ガスを導入するためのガス導入口105、成膜室102に酸素ガスを導入するためのガス導入口106を備える。加えて、装置本体101は、成膜室102の内部にエッチングガスを導入するためのエッチングガス導入口107を備え、成膜室102の内壁に形成された堆積阻止膜112を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】装置本体101に、成膜対象の基板が配置される成膜室102を備える。成膜室102の内部には、基板が載置される基板台103が設けられ、基板台103は、基板を加熱するための加熱機構104を内蔵している。また、装置本体101には、成膜室102に原料ガスを導入するためのガス導入口105、成膜室102に酸素ガスを導入するためのガス導入口106を備える。加えて、装置本体101は、成膜室102の内部にエッチングガスを導入するためのエッチングガス導入口107を備え、成膜室102の内壁に形成された堆積阻止膜112を備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、気相において基板の上に原料ガスを供給することで薄膜を形成する原子層成長装置および方法に関する。
近年、300℃程度の低温で良質な薄膜がより均質な状態で形成可能であるなどの種々の特徴を備える技術として、原子層成長(Atomic Layer Deposition:ALD)法が、注目されている。原子層成長法は、形成対象の膜を構成する各元素の原料を基板に交互に供給することにより、原子層単位で薄膜を形成する技術である。原子層成長方法では、各元素の原料を供給している間に1層あるいはn層(nは2以上の整数)だけを表面に吸着させ、余分な原料は成長に寄与させないようにしている。原子層成長方法によれば、一般的なCVDと同様に高い形状適応性と膜厚制御性を併せ持っており、より低温でより広い面積に対して均一な薄膜を再現性よく形成できる技術として、大画面のフラットパネルディスプレイ製造への適用が検討されている。
大型化に対応する原子層成長装置としては、1辺が数十cmを越える矩形の基板が対象となるため、基板に平行にガスを供給する横型の装置が一般に用いられている。横型の装置では、よく知られているように、基板に平行にガスを供給しており、装置の構成が単純であり、基板の大型化に適用しやすい構成となっている。また、原子層成長方法は、前述したように成長の自己停止作用を備えており、他の化学的気相成長法に比較し、形成される膜の状態が供給されるガスの分布にあまり影響をされない。このため、基板の大型化に伴い、ガスの供給口からの距離が大きく異なる状態となっていても、基板全域に対して均一な膜の形成が期待できる。
ところで、上述したような成長装置では、供給される原料(ガス)が装置内壁にも接するため、内壁に堆積物が付着していく。この堆積物が多くなると、堆積物の剥がれによるパーティクルが発生しやすくなり、これが製品に付着して異物となることにより製品の収率(歩留まり)が低下する。このため、装置内部のクリーニングが重要となる。この装置内部のクリーニングでは、例えば、塩素ガスを用いたドライクリーニングが用いられている(特許文献1参照)。この技術では、塩素ガスを用いてアルミナによる堆積物の除去を行っている。ただし、このようなドライクリーニングでは、高温の処理が必要となる。例えば、塩素ガスを用いる場合、500℃を超える高温にしないと、アルミナによる堆積物が除去できないことが確認されている。
ところが、前述したようなフラットパネルディスプレイ製造を対象とした原子層成長装置では、成膜の温度が高々300℃程度であり、500℃を超える高温に耐えられる構造となっていない。例えば、装置の密閉性を得るためのシール部には、300℃程度に耐えられるような高分子材料が用いられているため、500℃を超える高温処理が行えない。このように、アルミナ膜を形成する原子層成長装置においては、上述したようなドライクリーニングを適用させることが困難であり、装置内部に堆積する堆積物の発生を抑制することが容易ではない。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、高々300℃程度の低温処理を前提とされたアルミナ膜を形成する原子層成長装置において、装置内部に堆積する堆積物によるパーティクルの発生が容易に抑制できるようにすることを目的とする。
本発明に係る原子層成長装置は、成膜対象の基板が配置される成膜室と、この成膜室にアルミニウムの原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、原料ガスの供給により基板の上に形成された吸着層を酸化するための酸化ガスを成膜室内に供給する酸化ガス供給手段と、成膜室にエッチングガスを供給するエッチングガス供給手段と、成膜室の内部を排気する排気手段と、エッチングガスによりエッチングされる材料から構成されて成膜室の内壁に形成された堆積阻止膜とを少なくとも備える。なお、材料はシリコンであり、エッチングガスは、CF4のプラズマおよびClF3のいずれかから構成されたものであればよい。
また、本発明に係る原子層成長方法は、成膜対象の基板が配置される成膜室の内壁に堆積阻止膜を形成する第1工程と、成膜対象の基板が配置された成膜室にアルミニウムの原料ガスを供給して基板の上に原料ガスの成分からなる吸着層を形成する第2工程と、成膜室より原料ガスを排出した後、酸化ガスを供給して吸着層を酸化し、基板の上に酸化アルミニウムの層を形成する第3工程と、成膜室に堆積阻止膜をエッチングするエッチングガスを供給して堆積阻止膜をエッチングする第4工程とを少なくとも備える。なお、材料はシリコンであり、エッチングガスは、CF4のプラズマおよびClF3のいずれかから構成されたものであればよい。
以上説明したように、本発明によれば、成膜室の内壁に堆積阻止膜を形成し、堆積阻止膜をエッチングガスでエッチングするようにしたので、高々300℃程度の低温処理を前提とされたアルミナ膜を形成する原子層成長装置において、装置内部に堆積する堆積物によるパーティクルの発生が容易に抑制できるという、優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
初めに、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1における原子層成長装置の構成を示す構成図である。この原子層成長装置は、まず、装置本体101に、成膜対象の基板(不図示)が配置される成膜室102を備える。成膜室102の内部には、基板が載置される基板台103が設けられ、基板台103は、基板を加熱するための加熱機構104を内蔵している。また、装置本体101には、成膜室102に原料ガスを導入するためのガス導入口105、成膜室102に酸素ガスを導入するためのガス導入口106を備える。加えて、装置本体101は、成膜室102の内部にエッチングガスを導入するためのエッチングガス導入口107を備える。また、装置本体101は、成膜室102の内部に接続する排気口108を備える。
初めに、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1における原子層成長装置の構成を示す構成図である。この原子層成長装置は、まず、装置本体101に、成膜対象の基板(不図示)が配置される成膜室102を備える。成膜室102の内部には、基板が載置される基板台103が設けられ、基板台103は、基板を加熱するための加熱機構104を内蔵している。また、装置本体101には、成膜室102に原料ガスを導入するためのガス導入口105、成膜室102に酸素ガスを導入するためのガス導入口106を備える。加えて、装置本体101は、成膜室102の内部にエッチングガスを導入するためのエッチングガス導入口107を備える。また、装置本体101は、成膜室102の内部に接続する排気口108を備える。
また、成膜室102の上部には、高周波発生源109が設けられ、高周波発生源109には、高周波電力を供給するための高周波電力供給部110が接続されている。また、ガス導入口105には、成膜室102にアルミニウムの原料ガスを供給するための原料ガス供給部151が接続している。アルミニウムの原料ガスとしては、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)のガスである。また、アルミニウムの原料ガスとしては、トリエチルアルミニウム(TEA)など他の有機金属化合物であってもよい。
また、ガス導入口106には、成膜室102に酸素ガスを供給する酸化ガス供給部161が接続している。また、エッチングガス導入口107には、成膜室102に、後述する堆積阻止膜112をエッチングするためのエッチングガスを供給するエッチングガス供給部171が接続している。また、排気口108には、成膜室102の内部を排気する真空ポンプ(排気手段)111が接続している。
本実施の形態では、後述するように酸化ガス供給部161より供給された酸素ガスを高周波発生源109により供給される高周波でプラズマとし、この酸素ガスのプラズマを酸化ガスとして用いる。従って、この場合、高周波発生源109,高周波電力供給部110,および酸化ガス供給部161により、酸化ガス供給手段が構成されているものとして考えることができる。
加えて、本実施の形態における原子層成長装置は、成膜室102の内壁に形成された堆積阻止膜112を備える。堆積阻止膜112は、エッチングガス供給部171より供給され、エッチングガス導入口107より成膜室102内に導入されるエッチングガスでエッチングされる材料から構成されているものである。例えば、堆積阻止膜112は、シリコンから構成されている。この場合、エッチングガスとしてはCF4を用い、CF4を高周波発生源109により供給される高周波でプラズマとすればよい。この場合、高周波発生源109,高周波電力供給部110,およびエッチングガス供給部171により、エッチングガス供給手段が構成されているものとして考えることができる。なお、堆積阻止膜112は、ガス導入口105,ガス導入口106,エッチングガス導入口107,および排気口108の内壁など、成膜室102に連通する空間に接触する内壁に形成されていてもよい。
このように構成した本実施の形態における原子層成長装置では、成膜室102内に導入したエッチングガス(エッチングガスのプラズマ)で、堆積阻止膜112がエッチングされることにより、堆積阻止膜112の上に堆積しているアルミニウム原料による堆積物を除去する。
以下、原子層成長によるアルミナ膜の形成について説明する。まず、原子層成長装置の成膜室102の内部にガラス基板を載置し、真空ポンプ111を動作させて成膜室102内を2〜3Pa程度の圧力とする。また、加熱機構104を動作させ、ガラス基板を250℃程度に加熱する。なお、ガラス基板の加熱は、一連の薄膜形成が終了するまで継続される。
この状態で、原料ガス供給部151から供給されるTMAからなる原料ガスを、ガス導入口105から成膜室102内に導入し、ガラス基板の上に原料ガスが供給された状態とする。原料ガスの供給は、例えば約1秒間行う。このことにより、ガラス基板の上に原料であるTMA分子(有機化合物)が吸着した吸着層が形成される。なお、原料ガスの供給において、真空ポンプ111による排気口108からの排気を継続させてもよい。
次に、成膜室102内への原料ガスの導入を停止し、成膜室102内より原料ガスを排出する。例えば、成膜室102の内部を真空ポンプ111により排気する状態で、窒素やアルゴンなどの不活性ガス(パージガス)を導入することで、ガラス基板に吸着(化学吸着)したもの(吸着層)以外の余剰ガスを、成膜室102から除去(パージ)する。なお、図1では、パージガスを導入する機構については省略している。
次に、酸化ガス供給部161から供給される例えば酸素ガスを、ガス導入口106から成膜室102の内部に導入するとともに、成膜室102の内部のガラス基板の上方に配置された高周波発生源109に高周波電力供給部110から高周波電力を供給し、導入した酸素ガスのプラズマを生成し、原子状酸素を吸着層の表面に供給する。このプラズマの生成は、約0.2秒間とする。
この酸素ガスのプラズマ(酸化ガス)により、ガラス基板の表面に吸着している吸着層が酸化され、ガラス基板の表面にアルミニウム1原子層分の酸化アルミニウム層が形成された状態となる。なお、例えばアルゴンなどの不活性ガスを導入して成膜室102内の圧力がある程度安定した状態で酸素ガスを導入し、この状態でプラズマを発生させるようにしてもよい。また、酸素ガスの供給において、真空ポンプ111による排気口108からの排気を継続させてもよい。
次に、成膜室102内への酸素ガスの導入を停止し、また、高周波電力供給部110から高周波電力の供給を停止し、成膜室102内より酸素ガスを排出する。例えば、成膜室102の内部を真空ポンプ111により排気する状態で、図示しないパージガス導入部よりパージガスを導入して成膜室102の内部から酸素ガスを除去(パージ)する。
次に、ガラス基板の上に前述同様に原料ガスを供給し、酸化アルミニウム層の上に新たな吸着層を形成する。次に、成膜室102内への原料ガスの導入を停止し、成膜室102内より原料ガスを排出する。例えば、成膜室102の内部を真空ポンプにより排気する状態で、パージガスを導入して余剰ガスを成膜室102から除去する。
次に、成膜室102の内部に前述同様に酸素ガスを導入するとともに、前述同様に高周波発生源109に高周波電力を供給し、導入した酸素ガスのプラズマを生成し、原子状酸素をTMA分子層の表面に供給する。このプラズマの生成は、約0.2秒間とする。このことにより、既に形成されている酸化アルミニウム層の表面に吸着している吸着層が酸化され、酸化アルミニウム層の表面にアルミニウム1原子層分の新たな酸化アルミニウム層が形成される。
以上説明したように、吸着→原料ガス排出→プラズマ酸化→酸化ガス排出の一連の基本工程により、ガラス基板の上に、酸化アルミニウム層が形成されるようになる。このような原子層成長による酸化アルミニウム層(酸化アルミニウム膜)の形成工程を繰り返した後、本実施の形態によれば、上述したエッチングガスを用いたクリーニング工程を行う。
上述した原子層成長による酸化アルミニウム層の形成工程を繰り返すと、図2Aに示すように、堆積阻止膜112の上に酸化アルミニウムからなる堆積層201が堆積していく。加えて、堆積層201は、ある程度厚く形成されると、クラック202が形成されるようになる。図2Bの写真に示すように、酸化アルミニウムからなる堆積物には、クラックが形成されるようになる。なお、図2Bの横方向に延在するすじ状の部分、および図2Bの右下の領域のすじ状の部分が、クラックである。
このような状態で、エッチングガス供給部171より供給されるエッチングガスを、エッチングガス導入口107から成膜室102の内部に導入する。例えば、エッチングガスとしてCF4ガスを500sccmの流量で導入する。なお、sccmは流量の単位であり、0℃・1気圧の流体が1分間に1cm3流れることを示す。このとき、酸素ガスを200sccm程度同時に導入してもよい。これらのガスの導入により、成膜室102内の圧力を40Pa程度とする。
加えて、成膜室102の内部のガラス基板の上方に配置された高周波発生源109に高周波電力供給部110から高周波電力を供給し、導入したエッチングガスプラズマを生成する。例えば、1000Wの高周波電極を供給し、成膜室102内に導入したガスのプラズマを生成する。
このエッチングガスのプラズマは、堆積層201に形成されたクラック202より堆積阻止膜112に到達し、図2Cに示すように、堆積阻止膜112をエッチングする。このエッチングにより、堆積層201と装置本体101の内壁との間に、空間203が形成されるようになる。このように堆積阻止膜112がエッチングされて空間203が形成されることにより、成膜室102を含む装置本体101の内壁より、堆積層201が剥離する。このようにして堆積層201を剥離させた後、成膜室102内へのエッチングガスの導入を停止し、また、高周波電力供給部110から高周波電力の供給を停止し、成膜室102内においてサイクルパージを行う。
このサイクルパージでは、よく知られているように、真空ポンプ111を動作させて成膜室内を排気している状態で、成膜室102内に、窒素ガスなどのパージガスを50リットル/分程度で導入するパージを、繰り返せばよい。このサイクルパージにより、剥離した堆積膜は、成膜室102を含む装置本体101より排出される。この結果、本実施の形態によれば、パーティクルの発生源となる堆積物を、除去できるようになるので、パーティクルの発生が抑制できるようになる。例えば、自然に剥離する程度にまで堆積層が厚く形成される前に、上述したクリーニング工程を行えばよい。
なお、上述では、酸化アルミニウムの形成において、基板加熱温度を250℃としたが、これに限るものではない。例えば、TMAを原料とした酸化アルミニウムの原子層成長は、基板温度を常温〜300℃の範囲で行える。この酸化アルミニウムの原子層成長を常温で行う場合、加熱機構104は無くてもよい。また、上述では、高周波発生源109により、成膜室102の内部にプラズマを生成させるようにしたが、これに限るものではない。例えば、成膜室102の内部にプラズマ生成のためのアンテナを設けるようにしてもよい。また、成膜室102の上面と基板台103とを電極とした平行平板型のプラズマ発生機構としてもよい。また、よく知られた他の構成のプラズマ発生機構を用いるようにしてもよい。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図3は、実施の形態2における原子層成長装置の構成を示す構成図である。この原子層成長装置は、まず、装置本体301に、成膜対象の基板(不図示)が配置される成膜室302を備える。成膜室302の内部には、基板が載置される基板台303が設けられ、基板台303は、基板を加熱するための加熱機構304を内蔵している。また、装置本体301には、成膜室302に原料ガスを導入するためのガス導入口305、成膜室302にオゾンガスを導入するためのガス導入口306を備える。加えて、装置本体301は、成膜室302の内部にエッチングガスを導入するためのエッチングガス導入口307を備える。また、装置本体301は、成膜室302の内部に接続する排気口308を備える。
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図3は、実施の形態2における原子層成長装置の構成を示す構成図である。この原子層成長装置は、まず、装置本体301に、成膜対象の基板(不図示)が配置される成膜室302を備える。成膜室302の内部には、基板が載置される基板台303が設けられ、基板台303は、基板を加熱するための加熱機構304を内蔵している。また、装置本体301には、成膜室302に原料ガスを導入するためのガス導入口305、成膜室302にオゾンガスを導入するためのガス導入口306を備える。加えて、装置本体301は、成膜室302の内部にエッチングガスを導入するためのエッチングガス導入口307を備える。また、装置本体301は、成膜室302の内部に接続する排気口308を備える。
また、ガス導入口305には、成膜室302にアルミニウムの原料ガスを供給するための原料ガス供給部351が接続している。アルミニウムの原料ガスとしては、例えば、TMAのガスである。また、アルミニウムの原料ガスとしては、TEAなど他の有機金属化合物であってもよい。
また、ガス導入口306には、成膜室302にオゾンガスを供給する酸化ガス供給部361が接続している。酸化ガス供給部361は、例えば、よく知られた酸素よりオゾンを生成するオゾナイザーなどを用いることができる。また、エッチングガス導入口307には、成膜室302に、後述する堆積阻止膜312をエッチングするためのエッチングガスを供給するエッチングガス供給部371が接続している。また、排気口308には、成膜室302の内部を排気する真空ポンプ311が接続している。
加えて、本実施の形態における原子層成長装置は、成膜室302の内壁に形成された堆積阻止膜312を備える。堆積阻止膜312は、エッチングガス供給部371より供給され、エッチングガス導入口307より成膜室302内に導入されるエッチングガスでエッチングされる材料から構成されているものである。例えば、堆積阻止膜312は、シリコンから構成されている。この場合、エッチングガスとしてはClF3を用いればよい。なお、堆積阻止膜312は、ガス導入口305,ガス導入口306,エッチングガス導入口307,および排気口308の内壁など、成膜室302に連通する空間に接触する内壁に形成されていてもよい。
このように構成した本実施の形態における原子層成長装置では、成膜室302内に導入したエッチングガスにより、堆積阻止膜312がエッチングされることにより、堆積阻止膜312の上に堆積しているアルミニウム原料による堆積物を除去する。
以下、原子層成長によるアルミナ膜の形成について詳細に説明する。まず、原子層成長装置の成膜室302の内部にガラス基板を載置し、真空ポンプ311を動作させて成膜室302内を2〜3Pa程度の圧力とする。また、加熱機構304を動作させ、ガラス基板を250℃程度に加熱する。なお、ガラス基板の加熱は、一連の薄膜形成が終了するまで継続される。
この状態で、原料ガス供給部351から供給されるTMAからなる原料ガスを、ガス導入口305から成膜室302内に導入し、ガラス基板の上に原料ガスが供給された状態とする。原料ガスの供給は、例えば約1秒間行う。このことにより、ガラス基板の上に原料であるTMA分子が吸着した吸着層が形成される。なお、原料ガスの供給において、真空ポンプ311による排気口308からの排気を継続させてもよい。
次に、成膜室302内への原料ガスの導入を停止し、成膜室302内より原料ガスを排出する。例えば、成膜室302の内部を真空ポンプ311により排気する状態で、窒素やアルゴンなどの不活性ガスからなるパージガスを導入することで、ガラス基板に吸着(化学吸着)したもの(吸着層)以外の余剰ガスを、成膜室302からパージする。なお、図3では、パージガスを導入する機構については省略している。
次に、酸化ガス供給部361から供給されるオゾンガスを、ガス導入口306から成膜室302の内部に導入して吸着層の表面に供給する。オゾンガスの供給時間は、約0.2秒間とする。
このオゾンガスにより、ガラス基板の表面に吸着している吸着層が酸化され、ガラス基板の表面にアルミニウム1原子層分の酸化アルミニウム層が形成された状態となる。なお、オゾンガスの供給において、真空ポンプ311による排気口308からの排気を継続させてもよい。
次に、成膜室302内へのオゾンガスの導入を停止し、成膜室302内よりオゾンガスを排出する。例えば、成膜室302の内部を真空ポンプ311により排気する状態で、図示しないパージガス導入部よりパージガスを導入することで、成膜室302の内部からオゾンガスをパージする。
次に、ガラス基板の上に前述同様に原料ガスを供給し、酸化アルミニウム層の上に新たな吸着層を形成する。次に、成膜室302内への原料ガスの導入を停止し、成膜室302内より原料ガスを排出する。例えば、成膜室302の内部を真空ポンプにより排気する状態で、パージガスを導入することで、余剰ガスを成膜室302から除去する。
次に、成膜室302の内部に前述同様にオゾンガスを導入してTMA分子層の表面に供給される状態とする。このオゾンガスの供給時間は、約0.2秒間とする。このことにより、既に形成されている酸化アルミニウム層の表面に吸着している吸着層が酸化され、酸化アルミニウム層の表面にアルミニウム1原子層分の新たな酸化アルミニウム層が形成される。
以上説明したように、吸着→原料ガス排出→オゾン酸化→酸化ガス排出の一連の基本工程により、ガラス基板の上に、酸化アルミニウム層が形成されるようになる。このような原子層成長による酸化アルミニウム層(酸化アルミニウム膜)の形成工程を繰り返した後、本実施の形態によれば、上述したエッチングガスを用いたクリーニング工程を行う。
上述した原子層成長による酸化アルミニウム層の形成工程を繰り返すと、図4Aに示すように、堆積阻止膜312の上に酸化アルミニウムからなる堆積層401が堆積していく。加えて、堆積層401は、ある程度厚く形成されると、クラック402が形成されるようになる。
このような状態で、エッチングガス供給部371より供給されるエッチングガス(ClF3)を、エッチングガス導入口307から成膜室302の内部に導入する。導入したエッチングガスは、堆積層401に形成されたクラック402より堆積阻止膜312に到達し、図4Bに示すように、堆積阻止膜312をエッチングする。本実施の形態では、プラズマを生成することなく、ClF3ガスによりシリコンからなる堆積阻止膜312がエッチングできる。
このエッチングにより、堆積層401と装置本体301の内壁との間に、空間403が形成されるようになる。このように堆積阻止膜312がエッチングされて空間403が形成されることにより、成膜室302を含む装置本体301の内壁より、堆積膜401が剥離する。このようにして、堆積膜401を剥離させた後、成膜室302内へのエッチングガスの導入を停止し、成膜室302内においてサイクルパージを行う。
このサイクルパージでは、前述した実施の形態1と同様であり、真空ポンプ311を動作させて成膜室内を排気している状態で、成膜室302内に、窒素ガスなどのパージガスを50リットル/分程度で導入するパージを、繰り返せばよい。このサイクルパージにより、剥離した堆積膜は、成膜室302を含む装置本体301より排出される。この結果、本実施の形態によれば、パーティクルの発生源となる堆積物を、除去できるようになるので、パーティクルの発生が抑制できるようになる。例えば、自然に剥離する程度にまで堆積層が厚く形成される前に、上述したクリーニング工程を行えばよい。
なお、上述では、堆積阻止膜をシリコンから構成したが、これに限るものではない。堆積阻止膜はSiO2やSiNなどのシリコン化合物から構成してもよい。また、エッチングガスとしては、CF4,ClF3などのF系のガスに限るものではなく、Cl2などのCl系のガスやBr2などのBr系のガスなど、シリコン化合物をエッチングできるエッチングガスを用いるようにしてもよい。
101…装置本体、102…成膜室、103…基板台、104…加熱機構、105…ガス導入口、106…ガス導入口、107…エッチングガス導入口、108…排気口、109…高周波発生源、110…高周波電力供給部、111…真空ポンプ(排気手段)、112…堆積阻止膜、151…原料ガス供給部、161…酸化ガス供給部、171…エッチングガス供給部。
Claims (4)
- 成膜対象の基板が配置される成膜室と、
この成膜室にアルミニウムの原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
前記原料ガスの供給により前記基板の上に形成された吸着層を酸化するための酸化ガスを前記成膜室内に供給する酸化ガス供給手段と、
前記成膜室にエッチングガスを供給するエッチングガス供給手段と、
前記成膜室の内部を排気する排気手段と、
前記エッチングガスによりエッチングされる材料から構成されて前記成膜室の内壁に形成された堆積阻止膜と
を少なくとも備えることを特徴とする原子層成長装置。 - 請求項1記載の原子層成長装置において、
前記材料はシリコンであり、
前記エッチングガスは、CF4のプラズマおよびClF3のいずれかから構成されたものである
ことを特徴とする原子層成長装置。 - 成膜対象の基板が配置される成膜室の内壁に堆積阻止膜を形成する第1工程と、
成膜対象の基板が配置された前記成膜室にアルミニウムの原料ガスを供給して前記基板の上に前記原料ガスの成分からなる吸着層を形成する第2工程と、
前記成膜室より前記原料ガスを排出した後、酸化ガスを供給して前記吸着層を酸化し、前記基板の上に酸化アルミニウムの層を形成する第3工程と、
前記成膜室に前記堆積阻止膜をエッチングするエッチングガスを供給して前記堆積阻止膜をエッチングする第4工程と
を少なくとも備えることを特徴とする原子層成長方法。 - 請求項3記載の原子層成長方法において、
前記材料はシリコンであり、
前記エッチングガスは、CF4のプラズマおよびClF3のいずれかから構成されたものである
ことを特徴とする原子層成長方法。
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