JP2011052854A - ヒートポンプ式給湯装置 - Google Patents

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Hirobumi Tanaka
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Akito Eda
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正樹 今藤
Norihiro Hori
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Abstract

【課題】本発明は、凝縮器における高い熱効率を維持すると共に、冷媒の漏洩の可能性を低減し、可燃性冷媒を用いても高い安全性が確保できるヒートポンプ式給湯装置を開発することを目的とした。
【解決手段】ヒートポンプ式給湯装置1は、圧縮機5と2つの凝縮器6と膨張弁7と蒸発器8を有し、配管で接続されて環状の回路を構成している。当該回路には熱媒体が封入されており、回路内で相変化する。凝縮器6は、貯留用凝縮器6aと熱交用凝縮器6bを1つずつ有している。貯留用凝縮器6aの前後には、閉止弁14a,14bが配され、閉止弁14a,14bを閉止することで貯留用凝縮器6a内に熱媒体を封止できる。熱交用凝縮器6bでは、熱効率が高い熱交換を行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒートポンプ式給湯装置に関するもので、特に可燃性の高い冷媒を用いたヒートポンプ式給湯装置に関するものである。
従来、冷蔵庫,空気調和器,並びに給湯装置等には、熱媒体としてフロン系冷媒が主に使用されていたが、1987年にオゾン層破壊物質に関するモントリオール議定書が採択されて以来、オゾン破壊係数が高いフロン系冷媒は規制され、オゾン破壊係数がゼロで地球温暖化係数も低い自然冷媒を使用する方向にシフトしてきている。
ところで、自然冷媒には、アンモニア等の化学物質,イソブタン,プロパン,プロピレン等の炭化水素系、さらに自然界に多く存在するCO2等がある。一般的に、これらの自然冷媒のうち、CO2冷媒が最も安全性が高いとされ、近年、特許文献1に開示されているようにヒートポンプ等に採用されている。
特開2007−247985
しかしながら、CO2冷媒は、従来のフロン系冷媒を使用する環境に比べて高圧環境を要するため、高機能性の圧縮機を要し、製造コストが大幅に増加する不満があった。
一方、前記化学物質や炭化水素系の冷媒は、フロン系冷媒と同様に相変化させやすい冷媒であるが、それらの冷媒は毒性や可燃性を有しており、外部に漏洩した場合の安全性が懸念されていた。
そこで、本発明者らは、冷媒の漏洩の可能性を低減するために、比較的耐圧強度が高い凝縮器に熱媒体を封止(封止機能)して、貯留可能とするヒートポンプ式給湯装置を試作した。即ち、この試作した装置は、1つの凝縮器に熱交換機能と封止機能とを兼ね備えた構成とされており、通常運転中は熱交換機能が制御され、運転停止の際に封止機能が制御される。なお、ここで言う封止機能とは、凝縮器の両端に配した閉止弁を閉止して、当該閉止弁間に液化した冷媒を溜め置くことである。
しかしながら、試作したヒートポンプ式給湯装置では、1つの凝縮器に熱交換機能と封止機能の両方を備えた構成としたため、凝縮器が本来機能すべき熱交換を効率的に行うことが難しかった。即ち、封止機能により凝縮器に冷媒が貯留される場合、凝縮器の外部に冷媒が漏洩しないように、凝縮器における冷媒流路(一次側流路)には比較的耐圧強度が高い管状の管路を用いる必要があった。
また、試作したヒートポンプ式給湯装置では、可燃性の冷媒(この種の冷媒は毒性を兼ね備えたものが多い)を採用しているため、湯水の安全性を確保するために、湯水に冷媒が混入しないように、凝縮器の湯水の流路(二次側流路)にも管路を用いる必要があった。即ち、試作した装置の凝縮器においては、冷媒と湯水の双方の流路に管路を採用した構成としている。
ここで、従来技術の熱交換器において、管状の管路同士の間で液・液熱交換(熱交換機能)をする場合、冷媒と湯水が熱交換し得る面積が小さくなり、熱効率が低くなることが知られている。
即ち、試作した装置は、1つの凝縮器に対して、前記したように、耐圧強度が高い管路を採用して、凝縮器に貯留される冷媒の漏洩の可能性を低減すると共に、湯水の流路に管路を採用して、湯水の安全性を確保する構成としたため、必然的に凝縮器における熱効率が低くなるという不満があった。
そこで本発明は、試作したヒートポンプ式給湯装置をさらに改良するものであり、凝縮器における高い熱効率を維持すると共に、冷媒の漏洩の可能性を低減し、可燃性冷媒を用いても高い安全性が確保できるヒートポンプ式給湯装置を開発することを課題とする。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、圧縮機と凝縮器と膨張手段と蒸発器の各機器が一連の配管で接続されて環状の回路を構成し、当該環状の回路内に相変化する熱媒体が封入されてヒートポンプ回路を構成し、凝縮器が発生する熱を熱交換して給湯に供するヒートポンプ式給湯装置であって、前記凝縮器は、2以上設けられ、前記凝縮器として、貯留用凝縮器と熱交用凝縮器を少なくとも1つずつ備え、前記貯留用凝縮器には、両端に閉止弁が設けられ、当該閉止弁間に液化した熱媒体を封止して貯留可能であることを特徴とするヒートポンプ式給湯装置である。
本発明のヒートポンプ式給湯装置は、圧縮機と2以上の凝縮器と膨張手段と蒸発器が一連の配管で接続されて環状の回路を形成し、当該回路中に相変化する熱媒体が封入された構成を有している。そして、本発明のヒートポンプ式給湯装置は、凝縮器が貯留用凝縮器と熱交用凝縮器を少なくとも1つずつ備え、貯留用凝縮器においては両端に閉止弁が設けられ、閉止弁を閉止することで、閉止弁間に液化した熱媒体を封止して貯留可能とされている。
ここで、先に説明したように、1つの凝縮器で、熱交換機能と熱媒体の封止機能の双方を果たそうとすると、凝縮器における熱効率が低下する。これは、先に説明したように、凝縮器において、一次側流路と二次側流路に管路を採用するため、熱交換し得る面積が狭くなることによる。しかしながら、一般的、熱効率が良いとされる熱交換器の構成は、積層式(プレート式)などで、一次側(例えば熱媒体)流路と二次側(例えば湯水)流路における熱交換し得る面積が大きい熱交換器である。
そこで、本発明のヒートポンプ式給湯装置では、凝縮器を2以上設けて、少なくとも1つの凝縮器を液化した熱媒体を貯留可能とする貯留用凝縮器とし、少なくとも1つの凝縮器を効率的に熱交換し得る熱交用凝縮器とした。即ち、主に封止機能を果たす凝縮器と、主に熱交換機能を果たす凝縮器とに分けた構成とした。即ち、熱交換機能を主に果たすことが可能な凝縮器には、熱効率が高い例えば積層式などの高性能熱交換器を採用することが可能である。一方、貯留用凝縮器は、主に封止機能をが果たせればよいため、漏洩の可能性が低いとされる、例えば剛性が高い管状の管路を採用することが可能である。従って、本発明のヒートポンプ式給湯装置によれば、用途別に凝縮器を分けることで、凝縮器における高い熱効率を維持することが可能となると共に、熱媒体の漏洩の可能性を低減し、可燃性冷媒を用いても高い安全性が確保できる。
請求項2に記載の発明は、前記圧縮機を基準として、前記貯留用凝縮器は、他の凝縮器より上流側に位置することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式給湯装置である。
本発明のヒートポンプ式給湯装置は、貯留用凝縮器が、圧縮機を基準に他の凝縮器より上流側に位置するため、他の凝縮器に熱媒体が残留することがない。即ち、ほぼ確実に貯留用凝縮器に熱媒体を貯留することが可能であるため、熱媒体の漏洩の可能性をより確実に低減でき、安全性が高いヒートポンプ式給湯装置を提供できる。
請求項3に記載の発明は、前記貯留用凝縮器は、他の凝縮器より剛性が高い熱交換器からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプ式給湯装置である。
本発明のヒートポンプ式給湯装置は、貯留用凝縮器が、他の凝縮器より剛性が高い、例えば管状の管路を用いた熱交換器からなるため、高い耐圧強度が期待できる。これにより、本発明のヒートポンプ式給湯装置は、貯留用凝縮器に封止した熱媒体が外部に漏洩する可能性が殆どなくなる。
請求項4に記載の発明は、前記貯留用凝縮器は、水冷式であって、一次側に熱媒体が通過し、貯留用凝縮器の二次側には給湯用の湯水が通過し、給湯用の湯水と熱媒体との間で熱交換するものであり、熱媒体を封止する際に、貯留用凝縮器の二次側に給湯用の湯水を通過させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のヒートポンプ式給湯装置である。
本発明のヒートポンプ式給湯装置は、貯留用凝縮器において、一次側に熱媒体が通過し、二次側に給湯用の湯水が通過して熱交換されるものである。即ち、一次側の熱媒体の熱量が二次側の湯水に奪われるため、一次側の熱媒体は冷却される。これにより、貯留用凝縮器に到達した熱媒体の液化が促進されるため、貯留用凝縮器には効率的に液化した熱媒体を貯留できる。
請求項5に記載の発明は、給湯用の湯水を貯留する貯留タンクを有し、前記貯留タンクの水を前記貯留用凝縮器の二次側に導入することを特徴とする請求項4に記載のヒートポンプ式給湯装置である。
本発明のヒートポンプ式給湯装置は、貯留タンクの湯水を貯留用凝縮器の二次側に導入することが可能であるため、熱媒体を封止が必要な場合、即座に貯留タンクの湯水を貯留用凝縮器に導入することが可能である。
本発明のヒートポンプ式給湯装置は、2以上の凝縮器を設けて、凝縮器のうち、主に熱媒体を貯留するものと、主に熱交換するものとを少なくとも1つずつ用いた構成としたため、高い熱効率を維持できると共に、冷媒の漏洩の可能性を低減し、可燃性冷媒を用いても高い安全性が確保できる。
本発明の実施形態に係るヒートポンプ式給湯装置を示す配管系統図である。 図1の実施形態で採用する凝縮器の斜視図である。 貯留モード時の湯水の流れを示す説明図である。 熱媒封止動作時の湯水の流れを示す説明図である。 ヒートポンプ部における熱媒封止動作の説明図で、(a)は通常運転状態、(b)は出口側閉止弁閉止状態、(c)は圧縮機運転停止状態である。 図1の実施形態のヒートポンプ式給湯装置の各部の動作を示すタイムチャートである。 図1の実施形態のヒートポンプ式給湯装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の別の実施形態のヒートポンプ式給湯装置の動作を示すフローチャートである。 貯留用凝縮器を形成する管路の変形例を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
ヒートポンプ式給湯装置1は、図1に示すように、大きく分けてヒートポンプ部2と貯湯部3によって構成されている。
ヒートポンプ部2は、圧縮機5と2つの凝縮器(貯留用凝縮器6a及び熱交用凝縮器6b)6と膨張弁(膨張手段)7と蒸発器(第二熱交換器)8が配管を用いて環状の回路を構成したものであり、当該回路内に相変化する熱媒体が封入されている。熱媒体は、具体的には炭化水素系冷媒であり、圧力と温度に応じて、気相状態と液相状態に相変化するものである。また熱媒体は、可燃性である。
圧縮機5は、公知の密閉形圧縮機である。
凝縮器6は、水冷式の熱交換器であり、主に熱媒体を溜め置く(封止機能)ことを目的とした貯留用凝縮器6aと、主に熱交換(熱交換機能)を目的とした熱交用凝縮器6bとを有している。なお、貯留用凝縮器6aは、圧縮機5を基準とすると、熱交用凝縮器6bより上流側に配置されている。
熱交用凝縮器6bは、熱効率が高い公知の積層式(プレート式)の熱交換器であり、外殻部11bの中に熱媒通路(一次側流路)46及び湯水通路(二次側流路)47が設けられたものである。
貯留用凝縮器6aは、図2のような蛇行状管路(熱媒体通過管路)10を有するもので、当該蛇行状管路10は、外郭部11aの中に設けられている。また、外殻部11a内には、蛇行状管路(一次側流路)10内を流れる熱媒体と熱交換し得るように、湯水が流れる熱媒冷却通路(二次側流路)45が設けられている。具体的には、熱媒冷却通路45も蛇行状であり、蛇行状管路10の直線部10aと熱媒冷却通路45の直線部45aが平行に隣接するように配されている。即ち、蛇行状管路10内には熱媒体が流れ、熱媒冷却通路45内には湯水が通過することによって、直線部10aと直線部45aで熱交換が行われる。なお、蛇行状管路10と熱媒冷却通路45は、隣接する管路同士を連結可能な図示しない楕円状のリング部材や、溶接などの固定手段により部分的に連結されている。
蛇行状管路10は、相当の肉厚を持つ均質な銅管で構成されており、16MPa以上の耐圧を持つ。即ち、蛇行状管路10は、圧縮機5による加圧に対して十分な安全率をもって耐え得る設計強度とされており、ヒートポンプ部2を構成する別の機器(熱交用凝縮器6b含む)あるいはそれらを接続する配管と比較すると、耐圧に優れている。そのため、圧縮機5により管内が高圧にされても破損しにくい構成である。
さらに、蛇行状管路10は、熱媒冷却通路45や、前記した熱交用凝縮器6bの熱媒通路46より内径が大きい。
また、貯留用凝縮器6aの両端側には、蛇行状管路10を挟むように閉止弁14a及び閉止弁14bが設けられている。具体的には、蛇行状管路10には、貯留用凝縮器6aの入口側に入口側閉止弁14b、出口側に出口側閉止弁14aが配されており、当該閉止弁14a,14bが閉止されることで、蛇行状管路10内に液化された熱媒体を貯留できる封鎖領域9を形成可能なものである。なお、本実施形態では、閉止弁14a,14bに公知の電磁弁が採用されている。
蒸発器8は、気液熱交換器であり、熱媒体が通過する熱媒体通過流路を持ち、その周囲に図示しないフィンがあり、送風機24の送風を受けて熱交換する。
従って、ヒートポンプ部2は、前記したように、圧縮機5、貯留用凝縮器6a、熱交用凝縮器6b、膨張弁7、蒸発器8が環状に配管結合されたものであり、圧縮機5を運転することにより、内部のガス状熱媒体が圧縮され、双方の凝縮器6a,6bに入る。そして熱媒体は、熱交用凝縮器6bで熱を奪われて液化する。液化した熱媒体は、膨張弁7から放出され、蒸発器8内で体積膨張して周囲から熱を奪う。そして熱媒体は、再び気化して圧縮機5に戻る。
次に貯湯部3について説明する。貯湯部3は、貯留タンク20と、貯湯ポンプ32を有し、貯湯部3に高温の湯水を溜める回路を備えた部材である。
貯留タンク20は、内部に温度成層を形成するタンクであり、密閉タンクである。貯留タンク20は、上部側に上部側入水口22と上部側出水口23を有し、下部側に下部側入水口25、下部側出水口26及び補助入水口27が設けられている。
また貯留タンク20には、高さを違えて複数の温度センサ30が設けられている。温度センサ30は、どの位置まで高温の湯が溜まったかを知るために設けられたものである。
本実施形態では、貯留タンク20と、熱交用凝縮器6bの二次側流路47と、貯湯ポンプ32とが配管接続された環状の熱交用回路33aと、さらにその熱交用経路33aから分岐して貯留用凝縮器6aの熱媒冷却通路45に接続された冷却用流路33bとにより貯湯回路33が構成されている。
即ち、熱交用回路33aは、貯留タンク20の下部側出水口26が貯湯ポンプ32を経て熱交用凝縮器6bの二次側流路47の入水側に接続され、熱交用凝縮器6bの二次側流路47の出水側は三方弁35を経て貯留タンク20の上部側入水口22に接続されている。なお、熱交用回路33aにおける冷却用流路33bに分岐する分岐点(熱交用凝縮器6bを基準とすると、上流側と下流側の2箇所)近傍には、熱交側上流閉止弁(以下、熱交上流弁と言う)16a及び熱交側下流閉止弁(以下、熱交下流弁と言う)16bが設けられている。具体的には、熱交上流弁16aは、分岐点より下流側であり、熱交下流弁16bは、分岐点より上流側に配されている。
また、冷却用流路33bは、上流側端部が貯湯回路33における貯湯ポンプ32と熱交用凝縮器6bの二次側流路47の入水側との間に接続され、下流側端部が熱交用凝縮器6bの二次側流路47の出水側と三方弁35との間に接続され、中途に熱媒冷却通路45が接続されている。なお、冷却用流路33bには、上流側及び下流側の端部近傍に冷却側上流閉止弁(以下、冷却上流弁と言う)15a及び下流側閉止弁(以下、冷却下流弁と言う)15bが設けられている。
また、冷却用流路33bにおける熱媒冷却通路45の入口近傍と出口近傍にはそれぞれ温度センサ18,19が設けられている。より具体的には、貯留用凝縮器6aの二次側たる熱媒冷却通路45の入口側近傍に入口側温度センサ18が設けられ、熱媒冷却通路45の出口側近傍に出口側温度センサ19が設けられている。従って、湯水が貯留用凝縮器6a内を通過する際には、貯留用凝縮器6aに対する入口側近傍の温度と出口側近傍の温度が、温度センサ18,19によって測定される。
また、前記した三方弁35の残るポートは、貯留タンク20の補助入水口27に接続されている。
従って、三方弁35を貯湯ポンプ32と上部側入水口22が連通する状態にする場合は、図3に示すように、熱交用回路33aにおける熱交上流弁16a及び熱交下流弁16bが開状態にされると共に、冷却用流路33bにおける冷却上流弁15a及び冷却下流弁15bが閉状態とされる。そして、この状態で、貯湯ポンプ32を起動する。すると貯留タンク20の下部から湯水が排出されて熱交用凝縮器6bの二次側流路47を通過し、貯留タンク20の上部側入水口22から貯留タンク20に戻る。
一方、三方弁35を貯湯ポンプ32と補助入水口27が連通する状態にする場合は、図4に示すように、熱交用回路33aにおける熱交上流弁16a及び熱交下流弁16bが閉状態にされると共に、冷却用流路33bにおける冷却上流弁15a及び冷却下流弁15bが開状態とされる。そして、この状態で、貯湯ポンプ32を起動する。すると貯留タンク20の下部から湯水が排出されて貯留用凝縮器6aの熱媒冷却通路45を通過し、貯留タンク20の下部に設けられた補助入水口27から貯留タンク20に戻る。
また、貯留タンク20の残る2つの開口たる、上部側出水口23と下部側入水口25は、外部配管に接続されている。
より具体的には、下部側入水口25は、外部の上水源36に接続されている。一方、上部側出水口23は、給湯路37を介して外部の給湯設備(例えば給湯栓38)に接続されている。また上水源36と給湯路37との間にはバイパス水路40が設けられ、バイパス水路40には流量制御弁41が設けられている。
従って、給湯栓38を開くと、上水源36の水圧によって、貯留タンク20の下部側入水口25から貯留タンク20内に冷水が入り、貯留タンク20の上部に設けられた上部側出水口23から給湯路37に湯水が押し出される。ここで後述するように、貯留タンク20の上部側には、高温の湯が溜められているため、給湯栓38を開くと、上水源36の水圧によって、貯留タンク20に溜められた高温の湯が給湯路37に湯水が押し出されることとなる。そして、この湯水にバイパス水路40を流れる冷水が混合され、温度調節されて給湯栓38から給湯される。
次に本実施形態のヒートポンプ式給湯装置1の機能について説明する。
本実施形態のヒートポンプ式給湯装置1は、ヒートポンプ部2の熱交用凝縮器6bで発生する熱を熱交換して湯を作り、この湯を貯留タンク20に溜置き、必要に応じて給湯に供するものであり、運転モードとして貯留タンク20に湯を溜める貯留モードを備えている。また湯水の貯留を停止する際には、熱媒体を貯留用凝縮器6a内に封止して熱媒体を貯留する熱媒封止動作が実行される。
貯留モードにおいては、熱交用回路33aにおける熱交上流弁16a及び熱交下流弁16bを開状態にすると共に、冷却用流路33bにおける冷却上流弁15a及び冷却下流弁15bを閉状態とした状態でヒートポンプ部2を運転すると共に、貯湯部3の貯湯ポンプ32を起動する。また貯留モードにおいては、三方弁35を貯湯ポンプ32と上部側入水口22が連通する状態にする。
ヒートポンプ部2の圧縮機5を起動すると、前記したように、内部のガス状熱媒体が圧縮され、熱交用凝縮器6bの一次側流路46に入る。ここで熱交用凝縮器6bに入ったガス状熱媒体は、圧縮機5によって断熱圧縮されており、温度が上昇している。
一方、貯湯部3の貯湯ポンプ32が起動されているため、図3に示すように、熱交用凝縮器6bの二次側流路47に水流があり、ガス状熱媒体が発生する熱が二次側流路47の水流に奪われて熱交用凝縮器6b内の熱媒体が液化する。
また、熱交用凝縮器6bの二次側流路47を流れる水は、熱を受けて昇温する。そして二次側流路47を出た湯水は、三方弁35を経て上部側入水口22から貯留タンク20に戻る。
即ち、貯留タンク20の下部から冷水が取り出され、この冷水が熱交用凝縮器6bの熱で昇温して貯留タンク20の上部側から貯留タンク20に導入される。その結果、貯留タンク20の上部側に高温の湯が溜まり、下部側に冷水が残ることとなる。そして貯留モードを続けると、次第に貯留タンク20内の高温の湯の割合が増大する。そして遂には、貯留タンク20内に高温の湯で満たされることとなる。
次に、貯留を停止する際に実行される熱媒封止動作について図面を用いて説明する。
本実施形態では、日常的に運転モードにおいて湯水の貯留を停止する際には、熱媒封止動作が行われる。
即ち、図5(a)に示す状態から、所定の条件が揃って、圧縮機5を停止する際、図6のタイムチャート及び図7のフローチャートに示すように、圧縮機5の停止に先立って圧縮機5のモータ(図示しない)の回転速度を低速(運転周波数の変更)にして(図7のSTEP2)、貯留用凝縮器6aの出口側に設けられた出口側閉止弁14aを閉止する(STEP3)。
一方、貯湯部3側においては、貯湯ポンプ32の運転を維持する(STEP2)。ただし、三方弁35を切り換え、貯湯ポンプ32と上部側入水口22が連通する状態から、貯湯ポンプ32と補助入水口27が連通する状態にする。このとき、前記したように、熱交用回路33aにおける熱交上流弁16a及び熱交下流弁16bを閉状態にすると共に、冷却用流路33bにおける冷却上流弁15a及び冷却下流弁15bを開状態にする。
即ち、三方弁35を切り換えた結果、図4に示すように、貯留タンク20の下部から湯水が排出されて貯留用凝縮器6aの冷却用流路45を通過し、貯留タンク20の下部に設けられた補助入水口27から貯留タンク20に戻ることとなる。
圧縮機5の停止に先立って貯留用凝縮器6aの出口側に設けられた出口側閉止弁14aを閉止した結果、貯留用凝縮器6a内の圧力が一時的に上昇するが、前記したように、出口側閉止弁14aの閉止前に圧縮機5が低速にされ、さらに貯湯ポンプ32の運転が維持され(STEP2)、貯留用凝縮器6aの冷却用流路45の通水が実行されるので、貯留用凝縮器6a内の熱媒体は、貯留用凝縮器6aで熱を奪われて液化する。ただし、前記したように貯留用凝縮器6aの出口側に設けられた出口側閉止弁14aが閉止されている(STEP3)ので、液化した熱媒体は出口を失い、貯留用凝縮器6a内に溜まる。(図5(b))
また、STEP3では、送風機24の運転が維持されるため、万一、熱媒体が外部に漏洩した場合であっても、漏洩したガス状熱媒体を拡散させることができる。即ち、送風機24の運転を一時的に維持することで、漏洩箇所のガス濃度の上昇を抑えることができるため、万一、可燃性の熱媒体が漏洩した場合であっても、安全性を低下させない。
そして、圧縮機5から貯留用凝縮器6aに送られてくるガス状熱媒体は、次々に液化され、貯留用凝縮器6a内に溜まることとなる。一方、他の機器(熱交用凝縮器6b含む)内の熱媒体は、圧縮機5及び貯留用凝縮器6aに奪われ、他の部位は負圧状態となる。
こうして、ヒートポンプ部2の回路内の熱媒体の大半が、貯留用凝縮器6a内に入り、貯留用凝縮器6a内で液化された段階で、図5(c)に示すように、貯留用凝縮器6aの入口側に設けられた入口側閉止弁14bを閉止する(STEP5)。その結果、ヒートポンプ部2内の熱媒体の大半が、貯留用凝縮器6a内の封鎖領域9で液化された状態で封止されて貯留される。
そしてその後に、圧縮機5を停止する。
即ち、本実施形態のヒートポンプ式給湯装置1では、2つの凝縮器6a,6bを用いて、各凝縮器6a,6bを用途別(熱交換機能及び封止機能)に機能させる構成とすることで、凝縮器6における高い熱効率を維持すると共に、熱媒体の漏洩の可能性を低減している。
即ち、本実施形態では、前記したように、熱交用凝縮器6bに、一次側流路46と二次側流路47とが積層されたプレート型熱交換器を採用することで、熱媒体と湯水との熱効率を高く維持できる構成としている。
また、本実施形態では、貯留用凝縮器6aに、剛性が高く、比較的耐圧強度が高い蛇行状管路10を採用すると共に、当該貯留用凝縮器6aを挟むように出口側閉止弁14aと入口側閉止弁14bを設けて、貯留用凝縮器6aに熱媒体を封止可能とすることで、熱媒体の漏洩の可能性を低減することができる構成としている。即ち、本実施形態のヒートポンプ式給湯装置1では、蛇行状管路10に熱媒体が封止されることで外部に漏洩することが殆どなくなるため、高い安全性を確保できる。
従って、本実施形態のヒートポンプ式給湯装置1によれば、熱交用凝縮器6bに主に熱交換を機能させ、貯留用凝縮器6aに主に熱媒体の貯留を機能させることで、凝縮器6における高い熱効率を維持することができると共に、熱媒体の漏洩の可能性を低減できる。これにより、可燃性の熱媒体を用いた場合であっても高い安全性が確保できる。
ここで、貯留用凝縮器6aの入口側閉止弁14bを閉止するタイミング及び圧縮機5を停止するタイミングは、図6のタイムチャート及び図7のフローチャートに示すように、貯留用凝縮器6a内の温度バラツキを監視し(STEP4)、このバラツキが一定の範囲になったならば入口側閉止弁14bを閉止し(STEP5)、その直後に圧縮機5を停止する。具体的には、冷却用流路33bに配した入口側温度センサ18及び出口側温度センサ19により、湯水の温度のバラツキを監視しており、入口側温度センサ18と出口側温度センサ19との温度差が一定以下となることを条件に入口側閉止弁14bを閉止すると共に、圧縮機5を停止することとしている。
より詳細に説明すると、貯留用凝縮器6aは、圧縮機5から、高温高圧の気体(熱媒体)を導入し、これを冷却して膨張弁7側に排出するものであるから、通常の運転時においては、熱媒体の導入部の温度が高く、排出側の温度が低い。
しかしながら、前記したように、貯留用凝縮器6aの出口側を出口側閉止弁14aで封鎖し、ヒートポンプ部2内の熱媒体を次々に貯留用凝縮器6aに送り込んで冷却していくと、液化して温度低下した熱媒体が蓄積されていくため、貯留用凝縮器6a内における低温領域がしだいに増大していく。
そしてついには、貯留用凝縮器6a内における略全ての熱媒体が液化するから、貯留用凝縮器6a内の温度のバラツキが解消される。従って、貯留用凝縮器6a内の温度のバラツキが、熱媒体の貯留用凝縮器6a内への回収率を知る指標となる。
そこで本実施形態では、凝縮器6の熱媒冷却通路45の入口近傍と出口近傍の冷却用流路33bに温度センサ18,19を設け、貯留用凝縮器6a内における入口側の温度と出口側の温度を温度センサ18,19によって監視している。そして2つの温度センサ18,19の検知温度を比較し、両者の差が僅少となったことを条件として、入口側閉止弁14bを閉止し、その直後に圧縮機5を停止する。
具体的には、両者の温度差が摂氏5〜1度未満、好ましくは3〜1度未満となったところで入口側閉止弁14bを閉止し、その直後に圧縮機5を停止する。本実施形態では、通常運転から圧縮機5が低速運転に制御され、圧縮機5が停止するまでに2〜5分程度の時間を要するとされている。
また、貯留用凝縮器6内の温度のバラツキに加えて、あるいは凝縮器6内の温度のバラツキの条件に変えて、出口側閉止弁14aを閉止した後の経過時間によって入口側閉止弁14bを閉止し、圧縮機5を停止してもよい。例えば、図8に示すように、出口側閉止弁14aを閉止した後、2〜5分程度時間が経過したことを条件(図8のSTEP4)として入口側閉止弁14bを閉止し(STEP5)、圧縮機5を停止してもよい。
上記した時間は、ヒートポンプ部2内の熱媒体の大半が貯留用凝縮器6a内に入り、貯留用凝縮器6a内で液化されるのに要する時間であり、ヒートポンプ部2内の熱媒体の量と圧縮機5の圧縮能力等によって決まる時間である。実際上は、実験によって定められる時間である。
上記実施形態では、貯留用凝縮器6aは、一次側流路に蛇行状管路10を採用し、その蛇行状管路10の直線部10aに対して二次側流路の熱媒冷却通路45の直線部45aを平行に隣接するように配した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図9に示すように、一次側の管路(ヒートポンプ部2側)の直線部10aと二次側の管路(貯湯部3側)の直線部45aが互いに交差するように隣接して配した構成の凝縮器であっても構わない。要するに、貯留用凝縮器6aにおいては、二次側流路を流れる湯水などにより、一次側流路において封止される熱媒体が冷却できる構成であれば、いかなる構成であっても構わない。
上記実施形態では、2つの凝縮器6を用いた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、3つ以上の凝縮器6を用いた構成であっても構わない。この場合であっても、少なくとも1つの凝縮器を、上記したような貯留用凝縮器6aとして機能させる必要がある。さらに、貯留用凝縮器6aは、他の凝縮器6より、圧縮機5を基準に上流側に配置されることが好ましい。
上記実施形態では、熱交用回路33aに熱交上流弁16a及び熱交下流弁16bを設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、閉止弁16a,16bを設けない構成であっても構わない。
上記実施形態では、凝縮器6に2つの閉止弁14a,14bを設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、3つ以上の閉止弁を設けた構成であっても構わない。このような構成とすることで、いずれかの閉止弁に不具合が生じた場合であっても、他の閉止弁が代行可能であるため、閉止弁間に封止された熱媒体が漏洩する可能性をより低減させることができる。
上記実施形態では、出口側閉止弁14a,入口側閉止弁14bの双方に電磁弁を採用した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、入口側閉止弁14bに逆止弁を採用した構成であっても構わない。また、この場合であっても、前記したように、入口側閉止弁14bに複数の逆止弁を採用することで、熱媒体を封止する信頼性がより向上される。
以下、例えば、出口側閉止弁14aに2つの電磁弁を採用し、入口側閉止弁14bに2つの逆止弁を採用する場合の封止動作について説明する。
前記したように、封止動作を実行する場合、まず圧縮機5の回転数を低速にしてから、出口側閉止弁14aを閉止する。このとき、圧縮機5を基準として、下流側の閉止弁14aから順番に閉止するか、双方の閉止弁14aを同時に閉止する。そして、二次側流路の湯水の温度のバラツキが、一定以下となることを条件に圧縮機5が停止される。
ここで、前記したように、封止動作中、熱媒体が貯留される貯留用凝縮器6a以外の部位は負圧状態となるため、圧縮機5の停止により、熱媒体が圧縮機5側(上流側)に逆流しようとする。
しかしながら、凝縮器6の入口側に設けた逆止弁により、熱媒体の逆流が防止される。そのため、電磁弁と逆止弁とを採用した場合であっても、上記実施形態と同じように熱媒体を封鎖領域9内に貯留することができるため、上記実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
上記実施形態では、熱交用凝縮器6bに積層式の熱交換器を用いた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、熱効率が高い熱交換器であればいかなる熱交換器であっても構わない。例えば、その他に多管式の熱交換器等が挙げられる。
1 ヒートポンプ式給湯装置
2 ヒートポンプ部
5 圧縮機
6a 貯留用凝縮器(凝縮器)
6b 熱交用凝縮器(凝縮器)
7 膨張弁(膨張手段)
8 蒸発器
10 蛇行状管路(熱媒体通過管路)
14a 出口側閉止弁
14b 入口側閉止弁
20 貯留タンク

Claims (5)

  1. 圧縮機と凝縮器と膨張手段と蒸発器の各機器が一連の配管で接続されて環状の回路を構成し、当該環状の回路内に相変化する熱媒体が封入されてヒートポンプ回路を構成し、凝縮器が発生する熱を熱交換して給湯に供するヒートポンプ式給湯装置であって、
    前記凝縮器は、2以上設けられ、
    前記凝縮器として、貯留用凝縮器と熱交用凝縮器を少なくとも1つずつ備え、
    前記貯留用凝縮器には、両端に閉止弁が設けられ、当該閉止弁間に液化した熱媒体を封止して貯留可能であることを特徴とするヒートポンプ式給湯装置。
  2. 前記圧縮機を基準として、前記貯留用凝縮器は、他の凝縮器より上流側に位置することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式給湯装置。
  3. 前記貯留用凝縮器は、他の凝縮器より剛性が高い熱交換器からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプ式給湯装置。
  4. 前記貯留用凝縮器は、水冷式であって、一次側に熱媒体が通過し、貯留用凝縮器の二次側には給湯用の湯水が通過し、給湯用の湯水と熱媒体との間で熱交換するものであり、
    熱媒体を封止する際に、貯留用凝縮器の二次側に給湯用の湯水を通過させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のヒートポンプ式給湯装置。
  5. 給湯用の湯水を貯留する貯留タンクを有し、前記貯留タンクの水を前記貯留用凝縮器の二次側に導入することを特徴とする請求項4に記載のヒートポンプ式給湯装置。
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