JP2011052340A - テキスタイルプリント方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、各種の特性の異なる布帛に対し、発色性、にじみ耐性に優れ、高品質な捺染画像が得られるテキスタイルプリント方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、乾燥負荷や洗濯負荷が低く、低コストで高品質な捺染画像が得られるテキスタイルプリント方法を提供することにある。
【解決手段】(A)の水溶性高分子化合物を含有する(1)の機能インク、アルカリを含有する(2)の機能インク、及び染料、水溶性有機溶剤及び水を含む記録インク、を用いて布帛にプリントする記録方法であって、前記(A)の水溶性高分子化合物が、疎水性モノマーおよびカルボキシル基を有する不飽和ビニル化合物を少なくともモノマー成分として重合した共重合体を、該カルボキシル基をアミン中和することにより水溶性としたものであることを特徴とするテキスタイルプリント方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規のテキスタイルプリント方法に関し、詳しくは、記録インクでのプリントと別のヘッドより、プリント品質を向上するための機能インク(前処理剤)を付与するテキスタイルプリント方法に関するものである。
従来のテキスタイルプリントは、版を用いてプリントする方法やスクリーン捺染方法を用いて行われている。一方、インクジェット方式を用いたテキスタイルプリント方法が知られている。このテキスタイルプリント方法は、無版であり、少量多品種対応に適しており、短納期でプリント物を作製することができるという特徴を備えている。
布帛にインクジェット方式でプリントする場合、にじみが発生してしまうケースが起こる。通常、布帛にはにじみ防止や色剤と布帛の定着性向上を目的とした前処理が施される。具体的には、前処理剤として、にじみ防止のための高分子化合物や、定着性向上のためのアルカリ、ヒドロトロピー剤として尿素などを含有する水溶液を、布帛にディッピングあるいはコーティングした後、乾燥する処理が施されている。
このような布帛前処理工程は、インクジェット方式のテキスタイルプリントにはなくてはならないものであるが、現状の方法では、下記に示すような様々な課題を抱えている。
1)前処理に時間を要し、プリントの納期が遅れる
2)前処理工程分のコストがかかる
3)前処理した布帛は経時劣化を起こすため、長期保存することができない
4)プリントしない部分にも前処理が施されることで、白地汚染を発生することがある
以上の様な各課題に対して、プリントの前工程で、布帛前処理を行う方法が提案されている。例えば、布帛前処理をインクジェット法で行う方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この様な布帛前処理をインクジェット法で行うことにより、前処理済み布帛の在庫を多量に持たなくても良いこと、布帛の必要な部分にのみ前処理を行うことができることにより、装置の小型化、時間短縮、薬剤使用量の減量、汚染防止に効果があるとされている。
通常、前処理剤に用いられる高分子化合物としては、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合物等の水溶性高分子化合物が用いられる。水溶性高分子化合物を用いるのは、プリント後に洗浄除去する必要があるためであり、除去が不十分であると、プリント物の風合いを損ねたり、残留した高分子化合物の変色により、プリント物の品質を損ねたりすることがある。
前処理剤における高分子化合物は、にじみ防止のために不可欠であるが、水溶性高分子化合物では、水を主成分とする水性記録インクとの親和性が高く、にじみを防止する為には多量の高分子化合物を布帛に付与する必要がある。しかしながら、インクジェット法による前処理で用いられる前処理剤には、低粘度であることが求められ、高分子化合物の含有量に制限を受けるため、十分な量の高分子化合物を布帛に付与するためには、前処理剤の付与量を多くする必要がある。
このような場合、例えば薄手でインク保持量の小さい布帛に、高濃度の画像をプリントする際に、十分な量の前処理剤を付与することができず、にじみを抑え切れないことがある。また、逆に厚手の布帛では、前処理剤が浸透して布帛表面における前処理剤の量が少なくなり、にじみを抑え切れなかったり、発色が悪くなったりすることがあるため、多量の前処理剤を付与することが必要になり、乾燥負荷や洗濯負荷が上がってしまう。
こうした問題を解決する為に、少量の付与で効率良くにじみを防止でき、かつ十分な発色の得られる前処理剤が望まれていた。
特開2005−232633号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、各種の特性の異なる布帛に対し、発色性、にじみ耐性に優れ、高品質な捺染画像が得られるテキスタイルプリント方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、乾燥負荷や洗濯負荷が低く、低コストで高品質な捺染画像が得られるテキスタイルプリント方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、前処理剤に添加する(A)の水溶性高分子化合物として、疎水性モノマーおよびカルボキシル基を有する不飽和ビニル化合物を少なくともモノマー成分として重合した共重合体を、該カルボキシル基をアミン中和することにより水溶性としたもの、を用いることによって、少量の付与で効率良くにじみを防止でき、更に発色を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
1.(A)の水溶性高分子化合物を含有する(1)の機能インク、
アルカリを含有する(2)の機能インク、及び
染料、水溶性有機溶剤及び水を含む記録インク、
を用いて布帛にプリントする記録方法であって、
前記(A)の水溶性高分子化合物が、疎水性モノマーおよびカルボキシル基を有する不飽和ビニル化合物を少なくともモノマー成分として重合した共重合体を、該カルボキシル基をアミン中和することにより水溶性としたものであることを特徴とするテキスタイルプリント方法。
2.前記(A)の水溶性高分子化合物の含有量が、1〜10質量%であることを特徴とする前記1記載のテキスタイルプリント方法。
3.前記記録インクを付与する画像領域に付与する前記(1)の機能インクおよび(2)の機能インクの付与量の総計が、5〜50ml/mであることを特徴とする前記1または2記載のテキスタイルプリント方法。
4.前記(1)の機能インク、(2)の機能インクの順に布帛に付与することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
5.前記(1)の機能インクおよび(2)の機能インクを布帛に付与する際、布帛が加熱されていることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
6.前記記録インクを布帛に付与する際、布帛が加熱されていることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
7.前記記録インクが、重量平均分子量が3000〜30000の(B)の水溶性高分子化合物を含有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
本発明によれば、各種の特性の異なる布帛に対し、発色性、にじみ耐性に優れ、高品質な捺染画像が得られるテキスタイルプリント方法を提供することができる。
また、乾燥負荷や洗濯負荷が低く、低コストで高品質な捺染画像が得られるテキスタイルプリント方法を提供することができる。
テキスタイルプリント装置の構成の一例を示す部分概略図である。 テキスタイルプリント装置の構成の別の一例を示す部分概略図である。 テキスタイルプリント装置の構成の更に別の一例を示す部分概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明は、
(A)の水溶性高分子化合物を含有する(1)の機能インク、
アルカリを含有する(2)の機能インク、及び
染料、水溶性有機溶剤及び水を含む記録インク、
を用いて布帛にプリントする記録方法であって、
前記(A)の水溶性高分子化合物が、疎水性モノマーおよびカルボキシル基を有する不飽和ビニル化合物を少なくともモノマー成分として重合した共重合体を、該カルボキシル基をアミン中和することにより水溶性としたものであることを特徴とする。
本発明においては、特に機能インク1に含有される前記(A)の水溶性高分子化合物が、疎水性モノマーおよびカルボキシル基を有する不飽和ビニル化合物を少なくともモノマー成分として重合した共重合体を、該カルボキシル基をアミン中和することにより水溶性としたもの、であることで、各種の特性に異なる布帛に対し、発色性、にじみ耐性に優れ、高品質な捺染画像が得られる。
また、乾燥負荷や洗濯負荷が低く、低コストで高品質な捺染画像が得られる。
《機能インク》
本発明に係る機能インクの詳細について説明する。
《(1)の機能インク》
本発明に係る(1)の機能インクは、(A)の水溶性高分子化合物を含有する。本発明に係る(1)の機能インクは(A)の水溶性高分子化合物を含有し、水、その他添加剤を含有することができる。但し、アルカリを含有しない。ここで、実質的にアルカリを含有しないとは、(A)の水溶性高分子化合物を中和するのに用いたアミン以外のアルカリを含有しない、ことを意味する。
((A)の水溶性高分子化合物)
本発明に係る(A)の水溶性高分子化合物は、疎水性モノマーおよびカルボキシル基を有する不飽和ビニル化合物を少なくともモノマー成分として重合した共重合体を、該カルボキシル基をアミン中和(アミンで中和)することにより水溶性としたもの、である。
該疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル等)、スチレン等が挙げられる。
該カルボキシル基を有する不飽和ビニル化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
該アミン中和するのに用いられるアミンとしては、アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン等が挙げられる。特に、沸点が200℃未満のアミンを用いることが、本発明の効果を発揮させる上で好ましい。
本発明に係る(A)の水溶性高分子化合物としては、例えば、ジョンクリル60J、ジョンクリル70J(スチレン・アクリル酸エステル・アクリル酸共重合体をアミン中和して水溶液としたもの。いずれもBASF社製)等の市販品が挙げられる。また、ジョンクリル678、690(スチレン・アクリル酸エステル・アクリル酸共重合体であり、塩基で中和してないもの。いずれもBASF社製)等の市販品を、アミン中和して用いることもできる。
本発明に係る(A)の水溶性高分子化合物は、酸価が80〜300mgKOH/gであることが好ましく、90〜250mgKOH/gであることがより好ましい。また、重量平均分子量は3000〜30000あることが好ましく、7000〜20000であることがより好ましい。
酸価が80mgKOH/g以上であると、インクに対する溶解性、デキャップ耐性の観点から好ましい。また、脱糊性の観点から好ましい。一方、300mgKOH/g以下であるとにじみ抑制効果の観点から好ましい。重量平均分子量が3000以上であるとにじみ抑制効果の観点から好ましく、30000以下であるとデキャップ耐性の観点から好ましい。
本発明に係る(A)の水溶性高分子化合物は、機能インク1中に、1〜10質量%含有されることが好ましい。
(A)の水溶性高分子化合物の機能インク1への添加量として上記に挙げた好ましい範囲については、その下限以上であると本発明の効果を発現でき、上限以下であるとインクジェット射出が安定になる観点から好ましい。
(A)の水溶性高分子化合物は単独で用いても複数種を併用してもよい。
(1)の機能インクには、発色性向上の為にヒドロトロピー剤を添加することで、特に、記録インクに反応性染料を用いた場合、プリント後の発色性向上に好ましい効果を発揮する。ヒドロトロピー剤としては、例えば、水溶性のアミド類、スルホンアミド類、尿素、尿素誘導体等が挙げられ、特に尿素またはエチレン尿素が好ましい。
ヒドロトロピー剤は、機能インク1中に、2質量%以上、40質量%未満の量が好ましい。
このほか、(1)の機能インクには、水溶性溶剤を含有することが出来る。例えば、以下に示す具体例の有機溶剤を含有することができる。
アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、グリコールエーテル類(例えば、エチレングリコールアルキルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、トリプロピレングリコールアルキルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。水溶性溶剤の含有量は、機能インク中、5〜40質量%が好ましい。
《(2)の機能インク》
本発明に係る(2)の機能インクは、アルカリ(以下、アルカリ成分ともいう。)を含有する。本発明に係る(2)の機能インクはアルカリを含有し、水、その他添加剤を含有することができる。該アルカリは、記録インク中の色剤の布帛に対する定着性を向上させる機能を有している。記録インクが色剤として反応性染料を用いる場合に特に好ましい。
本発明において、アルカリとしては、有機塩基、無機塩基から選択することが出来る。中でも水溶性の無機塩基が、発色性、臭気、記録インクへの溶解性、排水負荷などの点で好ましく、中でも炭酸塩あるいは重炭酸塩が好ましい。また、カリウム塩は、ナトリウム塩に対して種々の印字環境下での射出安定性に優れており好ましい。炭酸カリウム、炭酸水素カリウムを、単独あるいは他の塩基と併用して用いることが好ましい。
(2)の機能インクには、発色性向上の為にヒドロトロピー剤を添加することで、特に、記録インクに反応性染料を用いた場合、プリント後の発色性向上に好ましい効果を発揮する。ヒドロトロピー剤としては、例えば、水溶性のアミド類、スルホンアミド類、尿素、尿素誘導体等が挙げられ、特に尿素またはエチレン尿素が好ましい。
ヒドロトロピー剤は、(2)の機能インク中に、2質量%以上、40質量%未満の量が好ましい。
このほか、(2)の機能インクには、水溶性溶剤を含有することが出来る。以下に示す具体例の有機溶剤を含有することができる。
アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、グリコールエーテル類(例えば、エチレングリコールアルキルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、トリプロピレングリコールアルキルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。水溶性溶剤の含有量は、機能インク中、5〜40質量%が好ましい。
前記の、(A)の水溶性高分子化合物を含有する(1)の機能インク、アルカリ成分を含有する(2)の機能インクは各々、複数種の機能インクを用意してもよい。
機能インク中の(A)の水溶性高分子化合物、アルカリ成分などの機能成分について、インクごとに種類や含有量を変えたり、溶剤組成などを変えたものを用意し、より広範囲の布帛に適応できるようにすることは好ましい。
また、同一の機能インクを複数のヘッドから供給することも、供給量の制御や、機能インクの射出不良の場合に筋ムラなどを軽減するために好ましい。
機能インクに用いるヘッド総数は任意に決めることができるが、(A)の水溶性高分子化合物を含有する(1)の機能インクに、1ないし4個のヘッドを用意すること、アルカリ成分を含有する(2)の機能インクに1ないし4個のヘッドを用意することは好ましい態様である。
機能インクに用いるヘッド総数としては、2個ないし8個の範囲で選択することが好ましい。
複数の機能インクを混合しても析出や、激しい増粘を起こさないことが好ましい。機能インク同士を1/1で混合し、24時間放置後も析出変化のないことが好ましい。
〔2種以上の組成の異なる機能インクの使用方法〕
次に、2種以上の組成の異なる機能インクの使い分けについて説明する。
本発明では、後述のプリント条件の判別に従い、2種以上の組成の異なる機能インクを使い分ける。
布帛を判別する方法として、あらかじめ布帛を登録し、布帛ごとに2種以上ある機能インクの選択と、付与量制御を決めておく方法の場合、あらかじめ、布帛ごとに、使用する機能インク種を決めておくことができる。このとき、布帛によっては、複数の機能インクをあらかじめ決めておいた任意の量ごとに付与することもできる。
(A)の水溶性高分子を含有する(1)の機能インクの好ましい使用方法:本(1)の機能インクは布帛上での記録インクのにじみを抑制することが第1の目的である。にじみ発生は、布帛の記録インク保持量と関連があり布帛のインク保持量が少ないほどにじみが発生しやすい。よって、布帛の記録インク保持量を測定し、その測定結果から本(1)の機能インクの使用の有無、あるいは本(1)の機能インクが複数ある場合はどのインクを使用するかを選択する、あるいは(1)の機能インクの付与量を選択するといったアルゴリズムを決めておき、それに順ずる方法が好ましい。また、本(1)の機能インクの第2の目的は、(1)の機能インクおよび(2)の機能インクが必要以上に布帛に浸透することを抑制して、機能インクを布帛表面近傍に留めることであり、布帛の記録インク保持量が比較的多い場合(厚手の布帛等)でも、少量の機能インクの付与で、効率良くにじみの抑制および発色の強化を達成できる。
アルカリ成分を含有する(2)の機能インクの好ましい使用方法:本(2)の機能インクは、記録インク中の色剤を布帛に十分定着させて、高い発色濃度を得ることが目的である。記録インクの付与量、布帛のインク保持量、布帛種類に応じて本(2)の機能インクが複数ある場合はどのインクを使用するかを選択する、あるいは(2)の機能インクの付与量を選択するといったアルゴリズムを決めておき、それに順ずる方法が好ましい。
布帛を判別する方法として、前述の布帛のインク保持量の他に、布帛の厚みを測定する方法を用いてもよい。
プリント条件の判別として、記録インク付与量を判別するプロセスが挙げられ、単位面積当たりの平均インク量を計算し、インク量に応じて機能インクの選択と、付与量を制御するアルゴリズムを決めておく。
《記録インク》
本発明に適用可能な記録インクは、染料、水溶性有機溶剤および水を含有するが、その他各種添加剤を含有することができる。
〈染料〉
記録インクが含有する染料(色剤)としては、反応性染料を用いることができる。
染料の含有量としては、特に制限はないが、3質量%以上、20質量%以下であることが好ましく、更には、5質量%以上、15質量%以下であることが好ましい。特に、同一色の水性インクで最も染料濃度の高い水性インク中の反応性染料の含有量は、10質量%以上、15質量%未満であることが好ましい。
以下、本発明に係る記録インクに適用可能な染料の具体例を列挙するが、本発明では、これら例示する染料にのみ限定されるものではない。
本発明で用いることのできる反応性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができる。
具体的には、
C.I.Reactive Yellow2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176、
C.I.Reactive Orange1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107、
C.I.Reactive Red2、3、3:1、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、226、228、235、
C.I.Reactive Violet1、2、4、5、6、22、23、33、36、38、
C.I.Reactive Blue2、3、4、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236、
C.I.Reactive Green8、12、15、19、21、
C.I.Reactive Brown2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46、
C.I.Reactive Black5、8、13、14、31、34、39等が挙げられる。
〔水溶性有機溶剤〕
本発明に係る記録インクに用いられる水溶性有機溶剤としては、例えば、以下に示す具体例の有機溶剤を挙げることができる。
アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコールエーテル類(例えば、エチレングリコールアルキルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、トリプロピレングリコールアルキルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。水溶性有機溶剤の含有量としては、特に制限はないが、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
〔(B)の水溶性高分子化合物〕
本発明に係る記録インクは、(B)の水溶性高分子化合物を含有することが、特に機能インクの布への付与量が少ない場合のにじみ抑制の観点から好ましい。該(B)の水溶性高分子化合物としては、重量平均分子量が3000以上、30000以下であることが好ましい。重量平均分子量が3000以上であると、にじみ抑制効果の観点から好ましく、また、30000以下であると、記録インクの粘度が高くなりすぎず、インクジェット射出が安定になる観点から好ましい。
記録インクに適用可能な(B)の水溶性高分子化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物、グリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、グリセリンのポリプロピレン付加物、ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、ジグリセリンのポリプロピレン付加物及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
ポリビニルピロリドンは、分子量と相関する粘性特性値で分類されており、K(コリドン)15、K30、K60(以上、東京化成工業社製)などが好ましく用いることができ、特に、K15、K30がインクジェット射出安定性が高く、かつ、にじみ抑制に効果があり好ましい。記録インクへの添加量としては、固形分として2〜20質量%添加することが好ましい。
ポリエチレングリコールとしては、重量平均分子量が3000〜6000のものを好ましく用いることが出来る。記録インクへの添加量としては、2質量%〜20質量%添加することが好ましい。
エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物としては、ポリプロピレングリコールの末端にポリエチレンオキサイドを付加させた構造のもの、ポリエチレングリコールの末端にポリプロピレンオキサイドを付加させた構造のもの、エチレンオキサイド−プロピレノキサイドのランダム共重合体などが挙げられる。
ポリプロピレングリコールの末端にポリエチレンオキサイドを付加させた構造のものとしては、ADEKA株式会社のアデカプルロニックL、P、Fシリーズに種々のエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド配合比率品や種々の分子量のものが市販されており、それらから選択することが出来る。特に、ポリプロピレングリコール部の分子量が2000以下で水溶性のものを好ましく用いることが出来る。具体的には、L−62、L−64、F−68、F−88、F−108、L−44、L−34、L−23などを挙げることができる。
ポリエチレングリコールの末端にポリプロピレンオキサイドを付加させた構造のものとしては、同じくADEKA株式会社のリバースタイプ、17R−2、17R−3、17R−4などから選択して用いることが出来る。
エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物の記録インクへの添加量としては、2質量%〜20質量%添加することが好ましい。
ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物としては、坂本薬品工業株式会社のSC−Eシリーズから選択して用いることができる。SC−E450、SC−E750、SC−E1000、SC−E1500などを好ましく用いることが出来る。記録インクへの添加量としては、2〜20質量%の範囲で添加することが好ましい。
ジグリセリンのポリプロピレン付加物としては、坂本薬品工業株式会社のSC−Pシリーズから選択して用いることができ、SC−P400、SC−P750、SC−P1000などを好ましく用いることが出来る。記録インクへの添加量としては、2〜20質量%の範囲が好ましい。
(B)の水溶性高分子化合物は単独で用いても複数種を併用してもよい。
〔その他の添加剤〕
本発明に係る記録インクにおいては、インクの長期保存安定性を保つため、防腐剤、防黴剤をインク中に添加することができる。防腐剤、防黴剤としては、例えば、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL)などが挙げられる。
《布帛》
本発明に使用することができる布帛または編布を構成する繊維素材としては、綿、麻等の天然セルロース繊維やレーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維等を含むセルロース繊維、および、絹、ナイロン(登録商標)、羊毛、等を挙げることができ、これらの繊維は、織物、編布、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。
《テキスタイルプリント方法》
本発明のテキスタイルプリント方法においては、設定したプリント情報に従って、各色記録インクの吐出位置及び吐出量を決定してプリント条件を設定した後、本発明に係る機能インクを単独または複数種使用する方法および付与量を選択して、布帛に付与することが好ましい。
以下に、本発明のテキスタイルプリント方法に適用することのできる機能インクの付与条件の決定の具体的な方法について説明する。
(機能インクの付与条件の決定方法)
〈布帛の種類を判別して決定する方法〉
本発明のテキスタイルプリント方法において、記録インクによるプリント条件を決定した後、本発明に係る機能インクを単独または複数種使用する方法を選択する判定プロセスの第1の方法は、布帛の種類情報を基づいて決定する方法である。
具体的な決定プロセスとしては、
1)第1ステップとして、使用する布帛種類の情報を入力し、
2)次いで、第2ステップとして布帛種類の情報に応じて本発明に係る機能インクの使用する条件(例えば、2種以上用意されている機能インクのいずれか一方のみを使用するケース、あるいは2種以上の組成の異なる機能インクを組み合わせて用いるケース)を選択し、
3)第3のステップとして、第1ステップ及び第2ステップの情報に基づいて、選択した機能インクの布帛への付与量を決定するプロセスを経て、
指定された布帛上に、上記判定方法に従って決定された機能インクを単独または複数種使用して、所定量吐出して前処理を施した後、記録インクによりプリントを行う方法である。
本発明のテキスタイルプリント方法に適用可能な布帛としては、実に様々な種類のものが挙げられ、布帛を構成する糸の種類、織り方、布帛厚みなどだけをとっても多くのバリエーションがある。
布帛を判別する方法として、あらかじめ種々の布帛情報を登録し、使用する布帛ごとに2種以上ある機能インクの選択と、付与量制御を決定する方法を用いる。プリンタを制御するパソコンにて、登録してある布帛情報を選択することで、自動的に2種以上ある機能インクの選択と、付与量制御が決定され、所定の条件で機能インクが布帛に付与される。
〈布帛の機能インク保持量を判別して決定する方法〉
本発明のテキスタイルプリント方法において、記録インクによるプリント条件を決定した後、本発明に係る機能インクを単独または複数種使用する方法を選択する判定プロセスの第2の方法は、布帛の記録インクの保持量情報に基づいて決定する方法である。
具体的な決定プロセスとしては、
1)第1ステップとして、使用する布帛の記録インクの保持量情報を入力し、
2)次いで、第2ステップとして布帛の記録インクの保持量情報に応じて本発明に係る機能インクの使用する条件(例えば、2種以上用意されている機能インクのいずれか一方のみを使用するケース、あるいは2種以上の組成の異なる機能インクを組み合わせて用いるケース)を選択し、
3)第3のステップとして、第1ステップ及び第2ステップの情報に基づいて、選択した機能インクの布帛への付与量を決定するプロセスを経て、
指定された布帛上に、上記判定方法に従って決定された2種以上の組成の異なる機能インクを単独または複数種使用して、所定量吐出して前処理を施した後、記録インクによりプリントを行う方法である。
布帛の記録インク保持量情報は、対象の布帛の記録インク保持量を予め測定しておき、得られた測定結果から、機能インクの選択と、その付与量を制御するアルゴリズムを決めておき、それに順じて、布帛上に所定の前処理液を付与する方法である。なお、本発明でいう布帛の記録インク保持量は、布帛を一定面積に裁断した試料片を記録インクに浸した後、一定条件で搾り、未処理の試料片の質量と搾った後の試料片の質量の差より測定することできる。この布帛の記録インク保持量は、使用する布帛を構成する糸の種類、織り方、布帛厚みなどにより決定される因子である。
〈布帛の厚みを判別して決定する方法〉
本発明のテキスタイルプリント方法において、記録インクによるプリント条件を決定した後、本発明に係る2種以上の組成の異なる機能インクを単独または複数種使用する方法を選択する判定プロセスの第3の方法は、布帛の厚み情報に基づいて決定する方法である。
具体的な決定プロセスとしては、
1)第1ステップとして、使用する布帛の厚み情報を入力し、
2)次いで、第2ステップとして布帛の厚み情報に応じて本発明に係る2種以上の組成の異なる機能インクの使用する条件(例えば、2種以上用意されている機能インクのいずれか一方のみを使用するケース、あるいは2種以上の組成の異なる機能インクを組み合わせて用いるケース)を選択し、
3)第3のステップとして、第1ステップ及び第2ステップの情報に基づいて、選択した機能インクの布帛への付与量を決定するステップを経て、
指定された布帛上に、上記判定方法に従って決定された2種以上の組成の異なる機能インクを単独または複数種使用して、所定量吐出して前処理を施した後、記録インクによりプリントを行う方法である。
本発明において、布帛の厚みを測定する方法としては、一般的な厚み測定機器、例えば、ノギス、マイクロメータ、ダイアルシックネスゲージ、山文電気(株)製のオフライン厚み計測装置TOF/V(Ver.3.22)、非接触型厚さ測定装置Vario Metric(日本レーザー社製)等を用いて容易に測定して求めることができる。
得られた布帛の膜厚情報より、機能インクの選択と、布帛への機能インクの付与量を制御するアルゴリズムを決めておき、それに順ずる方法である。
〈記録インクの付与量を判別して決定する方法〉
本発明のテキスタイルプリント方法において、記録インクによるプリント条件を決定した後、本発明に係る2種以上の組成の異なる機能インクを単独または複数種使用する方法を選択する判定プロセスの第4の方法は、単位面積当たりの記録インクの平均付与量情報に基づいて決定する方法である。
具体的な決定プロセスとしては、
1)第1ステップとして、決定した記録インクのプリント条件情報から、単位面積当たりの記録インクの平均付与量を計算し、
2)次いで、第2ステップとして、記録インクの上記平均付与量に応じて、2種以上の組成の異なる機能インクの使用する条件(例えば、2種以上用意されている機能インクのいずれか一方のみを使用するケース、あるいは2種以上の組成の異なる機能インクを組み合わせて用いるケース)を選択し、
3)第3のステップとして、第1ステップ及び第2ステップの情報に基づいて、選択した機能インクの布帛への付与量を決定するステップを経て、
指定された布帛上に、上記判定方法に従って決定された2種以上の組成の異なる機能インクを単独または複数種使用して、所定量吐出して前処理を施した後、記録インクによりプリントを行う方法である。
第4の方法では、記録インクによるプリント条件情報に従って、布帛のプリント領域を分割し、分割した各々のプリント部位ごとの単位面積当たりの記録インクの平均付与量を計算し、記録インク付与量に応じて機能インクの使用する種類の選択と、付与量を制御するアルゴリズムを予め決めておく方法を適用することが好ましい。この場合の分割た単位面積当たりの記録インクの平均付与量としては、プリント図柄単位ごと(例えば、1m×1m)でもよいし、より小面積の単位ごとでもよい(例えば、1cm×1cm)、さらに、画像解像度から計算できる1ピクセルごとに記録インク量を計算してもよい。
〈各種情報を総合的に判別して決定する方法〉
本発明のテキスタイルプリント方法において、記録インクによるプリント条件を決定した後、本発明に係る2種以上の組成の異なる機能インクを単独または複数種使用する方法を選択する判定プロセスの第5の方法は、布帛種類、布帛の記録インク保持量及び布帛の厚みから選ばれる少なくとも1種の情報に基づいて決定する方法である。
具体的な決定プロセスとしては、
1)第1ステップとして、使用する布帛の種類、布帛の記録インク保持量及び布帛の厚みから選ばれる少なくとも1種の情報を入力し、
2)次いで、第2ステップとして、単位面積当たりの記録インクの平均付与量を入力し、
3)第3のステップとして、第1ステップ及び第2ステップの情報に応じて本発明に係る2種以上の組成の異なる機能インクの使用する条件(例えば、2種以上用意されている機能インクのいずれか一方のみを使用するケース、あるいは2種以上の組成の異なる機能インクを組み合わせて用いるケース)を選択し、機能インクの布帛への付与量を決定するステップを経て、
指定された布帛上に、上記判定方法に従って決定された2種以上の組成の異なる機能インクを単独または複数種使用して、所定量吐出して前処理を施した後、記録インクによりプリントを行う方法である。
すなわち、機能インクの布帛上への付与をより最適化された条件で行う観点からは、布帛に関する各種情報と、記録インクの付与量に関する情報とを踏まえて、機能インクの種類と付与量を決定することが好ましい。
本発明に係る機能インクの付与方法、特に機能インクの付与量の総計について以下のように制御して行うことは特に好ましい。
本発明の効果を充分に発現させるために、少なくとも記録インクを付与する画像領域に付与するインクジェット機能インクの付与量の総計が、90%Duty以上500%Duty未満とすることは特に好ましい。
90%Duty未満では、布帛によっては染めムラを充分に抑えることが出来ない場合がある。500%Duty以上では、乾燥に負荷がかかり、充分乾燥できないなどしてにじみを充分に抑制できないことがあるからである。
ここでいう、機能インクの付与量の総計とは、機能インクを付与するヘッドごとの各射出Duty%の総計である。
例えば、4つのヘッドを用いて機能インクを付与し、ヘッドごとの射出Dutyが、50%、50%、25%、25%の場合、総量は150%Dutyとなる。
以上は、機能インクの付与の均一性と、総付与液量の両方から勘案されるものであるので、上記の規定は、機能インクを付与する各ヘッドは射出する液滴量が大きく違わないものが好ましい。好ましくは、液滴量が1pl〜30plの範囲のものが好ましい。
さらに好ましくは、4plから30plである。
また、本発明の効果を充分に発現させるために、少なくとも記録インクを付与する画像領域に付与するインクジェット機能インクの付与量の総計が、5ml/m以上、50ml/m未満であることが好ましい。
5ml/m以上であると、染めムラを抑えることができる観点から好ましく、50ml/m以下であると乾燥に負荷がかからず、充分乾燥できてにじみを抑制できる観点から好ましい。
ここでいう、機能インクの付与量の総計とは、機能インクを付与する各ヘッドから付与する機能インクの総計である。
《テキスタイルプリント装置》
本発明のキスタイルプリント方法に適用可能なテキスタイルプリント装置の一例について説明する。
〔機能インクを付与するのに用いるインクジェットヘッド〕
本発明のテキスタイルプリント方法においては、本発明に係る機能インクをインクジェットヘッド(以下、単にヘッドともいう)を用いて布帛上に付与することができる。
機能インクをヘッドで付与することで、必要な部位に必要な量を均一にムラなく付与することが出来る。
機能インクを付与するヘッドは、後述する記録インクを付与するヘッドを搭載したキャリッジと別キャリッジに搭載することが好ましい。別キャリッジに機能インクを付与するヘッドを搭載することで、機能インクを付与した後、記録インクを付与するまでの間に機能インクを乾燥する乾燥装置を設けることができる。
機能インクの吐出に用いるヘッドとしては、ピエゾ方式、サーマル方式、コンティニュアス方式などさまざまな方法から選択することができる。ピエゾ方式、コンティニュアス方式は高分子材料を含むインクなどでも安定に射出する可能性が高く好ましい、特にピエゾ方式は小型で集積度が高く好ましい。
〔乾燥手段〕
本発明のテキスタイルプリント装置においては、布帛上に機能インクの付与した後、布帛を乾燥する乾燥手段を有していることが好ましい。
本発明において、乾燥工程においては、付与された機能インクの機能を最大限に発現する程度まで乾燥することが好ましい。多くの場合、機能インクの付与により、後続の記録インクでの記録と合わせて、総インク量が増えて、それによりにじみが発生しやすくなるため、可能な限り、布帛に付与された機能インクの水分及び有機溶剤を乾燥することが好ましい。本発明においては、布帛表面温度を30℃から80℃の範囲で、布帛や機能インクの組成ごとに適した温度設定をすることが好ましい。
上記乾燥工程においては、乾燥により機能インクが保持していた水分や有機溶剤がプリンタ内部に充満すると、乾燥速度が低下するだけでなく、プリンタ内部のセンサーなどの電気系統が腐食などを起こす可能性があるので、これらの揮発成分はプリンタ外部に排出することが好ましい。例えば、排気塔を設け、ファンなどを利用し強制的に排出することが好ましい。
本発明に使用するテキスタイルプリント装置において適用可能な乾燥手段の具体的な方法としては、温度制御可能な風または温風による乾燥手段、ホットプレートを用いた乾燥手段、可視光或いは遠赤外光を用いた乾燥手段、ヒートローラーを用いた乾燥手段、マイクロ波を照射する手段を用いた乾燥手段等を適宜選択して用いることができる。
〔記録インクの付与に用いるインクジェットヘッド〕
記録インクの付与に用いるインクジェットヘッドとしては、ピエゾ方式、サーマル方式、コンティニュアス方式などさまざまな方法から選択することができる。ピエゾ方式、コンティニュアス方式は高分子材料を含むインクなどでも安定に射出する可能性が高く好ましい、特にピエゾ方式は小型で集積度が高く好ましい。
〔テキスタイルプリント装置の構成〕
以下に、図を用いて上記説明した本発明に適用可能なテキスタイルプリント装置について説明するが、本発明は、これら例示する図面に示す構成にのみ限定されるものではない。
図1は、テキスタイルプリント装置の構成の一例を示す部分概略図である。
図1は、テキスタイルプリント装置の粘着性ベルトと、粘着性ベルトを駆動するローラーと、機能インクを付与するインクジェットヘッドと、布帛に機能インクを付与した後に布帛を乾燥する乾燥手段と、布帛に記録インクを付与するインクジェットヘッドの構成のみを示したものであり、本発明に用いることができるテキスタイルプリント装置においては、その他に、機能インク及び記録インクを付与する制御手段等を備えている。
図1において、粘着性ベルト1は、サポートロール2、搬送ロール3に保持され、無端基材ベルト上に粘着手段、特に好ましくは地貼り剤を有する粘着性ベルトである。
右方向より搬送された布帛Pは、ニップロール4と粘着性ベルト1とで狭持され、粘着性ベルト1に固定される。次いで、機能インクを機能インク吐出用ヘッド5より布帛上に付与した後、温度制御可能な風または温風を吹き付ける手段で、内部にファン6A及び発熱体6Bを備えた温風付与手段6により付与した機能インクを十分に乾燥した後、記録インクをヘッド7より布帛上に付与して画像形成を行う。
図2は、テキスタイルプリント装置の構成の別の一例を示す部分概略図である。
図2に示すテキスタイルプリント装置は、上記図1に示したテキスタイルプリント装置に対し、機能インク吐出用のヘッド5B(図1中の機能インク吐出用ヘッド5に相当)の上流側に温風付与手段6を追加し、且つ、該「ヘッド5Bの上流側に追加した温風付与手段6」とニップロール4との間に機能インク吐出用ヘッド5Aを追加し、更に布帛加熱手段として、ヘッド5A、ヘッド5Bおよびヘッド7の下部に、内部に発熱体を備え、布帛の全巾をカバーする大きさのホットプレート10をそれぞれ配置した、構成である。機能インク1、2を吐出するヘッド5A、5Bの下流側にそれぞれ設けた温風付与手段6により、布帛に付与された機能インク1、2をそれぞれ速やかに乾燥させることができる。
図3は、テキスタイルプリント装置の構成の更に別の一例を示す部分概略図である。
図3に示すテキスタイルプリント装置は、前述した図1に示したテキスタイルプリント装置に対し、更に布帛加熱手段として、機能インクを付与するヘッド5、および記録インクを付与するヘッド7の下部に、内部に発熱体を備え、布帛の全巾をカバーする大きさのホットプレート10をそれぞれ配置した例を示してある。
本発明に適用可能なテキスタイルプリント装置には、上記説明した構成に加えて、布帛の種類、布帛の記録インク保持量、布帛の厚さ、単位面積当たりの記録インクの平均付与量により機能インクの吐出条件を制御するためのCPUを含む機能インク制御部、あるいは設定されたプリント条件に従って各色記録インクの吐出を制御する記録インク制御部を備えている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《機能インクの調製》
〔本発明に係る(A)の水溶性高分子化合物等を含有する(1)の機能インク(機能インクP−1〜P−8)の調製〕
((1)の機能インクの調製)
表1記載の各素材を混合、溶解させ、次いで、5μmのPTFE製フィルターを用いてろ過を行った後、減圧下で脱気を行って(1)の機能インク((1)の機能インクP−1〜P−8)を調製した。
尚、P−6で用いる樹脂溶液は下記のようにして調製した。
(樹脂溶液の調製)
下記の各素材を混合、溶解して、樹脂溶液を調製した。
水酸化カリウム 3.2部
ジョンクリル678(*1) 15.0部
イオン交換水 81.8部
(*1)ジョンクリル678:スチレン・アクリル酸エステル・アクリル酸共重合体であり塩基で中和してないもの、平均分子量8500、酸価215(BASF社製)
Figure 2011052340
表1中、
PG:プロピレングリコール
DEGBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
ジョンクリル60J:スチレン・アクリル酸エステル・アクリル酸共重合体をアミン中和して水溶液としたもの、平均分子量8500、酸価215、固形分34%(BASF社製)
ジョンクリル70J:スチレン・アクリル酸エステル・アクリル酸共重合体をアミン中和して水溶液としたもの、平均分子量16500、酸価240、固形分30%(BASF社製)
アルギン酸ナトリウム:(ULV−L3、キミカ社製)
カルボキシメチルセルロース:(CMC1130、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ダイセル社製)
〔アルカリ成分を含有する(2)の機能インク((2)の機能インクA−1〜A−3)の調製〕
表2記載の各素材を混合、溶解させ、次いで、5μmのPTFE製フィルターを用いてろ過を行った後、減圧下で脱気を行って、表2記載の(2)の機能インク((2)の機能インクA−1〜A−3)を調製した。
Figure 2011052340
〔本発明に係る(A)の水溶性高分子化合物、及び、アルカリ成分、を含有する機能インク(機能インクT−1)の調製〕
表3記載の各素材を混合、溶解させ、次いで、5μmのPTFE製フィルターを用いてろ過を行った後、減圧下で脱気を行って、表3記載の機能インク(機能インクT−1)を調製した。
Figure 2011052340
《記録インクセットAの調製》
表4記載の各素材を混合し、次いで、5μmのPTFE製フィルターを用いてろ過を行った後、減圧下で脱気を行って、表4記載の記録インクセットA(イエローインクY1、マゼンタインクM1、シアンインクC1、ブラックインクK1)を調製した。
Figure 2011052340
RY95:C.I.Reactive Yellow95
RR24:C.I.Reactive Red24
RB72:C.I.Reactive Blue72
RK39:C.I.Reactive Black39
《記録インクセットBの調製》
表5記載の各素材を混合し、次いで、5μmのPTFE製フィルターを用いてろ過を行った後、減圧下で脱気を行って、表5記載の記録インクセットB(イエローインクY2、マゼンタインクM2、シアンインクC2、ブラックインクK2)を調製した。
Figure 2011052340
表5中、
PVP(K15):ポリビニルピロリドン(K15)、平均分子量8000(五協産業社製)
《テキスタイルプリント試料の作製》
(テキスタイルプリント装置)
図3に記載のテキスタイルプリント装置を用いて、下記に示す各布帛に対し、ヘッド5により機能インクを付与した後に、温風付与手段6により乾燥し、次いで、ヘッド7により記録インクセットを吐出し、Y、M、C、K、B、G、R、混合K(Y、M、C各100%)の最大濃度で、半径30mmの水玉(真円、塗りつぶし)及び、1辺30mmの正方形(塗りつぶし。画像内部に10、12、15、20ポイントの白抜き文字を有する)、デザインプリント柄模様3種を複数描画する画像を、連続して描画した。
即ち、各布帛Pを繰り出し部(不図示)より搬送し、無端基材ベルト上に粘着手段を有する粘着性ベルト1で布帛Pを保持、搬送しながら、ヘッド5より布帛P上に均一に機能インクを、表6〜12記載の様に所定量付与した。ヘッド5は、4つのヘッドより構成され、各ヘッドは液滴量14pl、駆動周波数10kHz、のピエゾ形ヘッド(ノズル数512)であり、一種類の機能インクに対し2基使用し、機能インクとして〔(A)の水溶性高分子化合物を含有する(1)の機能インク(機能インクP−1〜P−8)〕、〔アルカリ成分を含有する(2)の機能インク(機能インクA−1〜A−3)〕をそれぞれ2基のヘッドに装填した。また、(1)の機能インク、次いで(2)の機能インクの順に布帛に付与されるように、各ヘッドを配置した。
機能インクT−1を使用する場合(比較)は、4つのヘッド全てに装填した。
また、ヘッド5の下部に、内部に発熱体を備え、布帛の全巾をカバーする大きさのホットプレート10を配置し、布帛を45℃に加熱した。
ヘッド5とヘッド7との間には、内部にファン6A及び発熱体6Bを備えた温風付与手段6を設け、搬送する布帛の表面温度が55℃になるように制御して、機能インクの乾燥を行った。
画像記録に用いる記録インク吐出用ヘッド7は、4基のヘッドから構成され、それぞれのインク(Y1、M1、C1、K1)、(Y2、M2、C2、K2)に対応して、1基ずつ使用した。これらのヘッドは、液滴量14pl、駆動周波数10kHz、のピエゾ形ヘッド(ノズル数512)である。各ヘッドのインク吐出量(100%Duty)は9ml/mとなるように調製した。
また、ヘッド5、ヘッド7を構成する各ヘッドとも、720dpi×720dpiの解像度で、8パス印字モードの同条件で記録した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。
〔布帛の種類〕
布帛1:綿ローン
布帛2:コットン200
布帛3:ベアテン
布帛4:サテンシルク12匁
〔後処理〕
上記印字画像をプリントした後、布帛を粘着性ベルト1から剥離し、剥離した布帛を乾燥機に入れて、70℃の送風乾燥条件で乾燥した後、ロール上に一旦巻き取った。次いで、巻き取ったプリント物を、捺染用スチーマーにて加熱発色した。その後、水洗、湯洗、ソーピング、乾燥を行って、テキスタイルプリント試料6−1〜12−24を得た。
《プリント画像の評価》
〔発色性の評価〕
Y、M、C、K、B、G、R、混合K(Y、M、C各100%)のすべての濃度を測定した。
発色性は、上記方法により形成した1辺30mmの正方形(塗りつぶし)の濃度を測色計X−Rite938を用いて測定し、下記評価基準に従って評価した。
○ :濃度1.5以上
○△:濃度1.3以上
△ :濃度1.0以上
× :濃度1.0未満
〔にじみ耐性の評価〕
上記方法により形成した1辺30mmの正方形(塗りつぶし)の境界部分のにじみの有無を目視観察し、下記の基準に従って、にじみ耐性を評価した。
○ :にじみなし
○△:輪郭がやや乱れ気味であるが、実用上問題なし
△ :にじみがやや大きい
× :にじみが大きい
〔抜き文字品質の評価〕
上記方法により形成した抜き文字(各ベタに10、12、15、20ポイント文字)、を描画した部分を目視観察し、「何ポイントの文字まで再現できるか」をもって、抜き文字品質を示す指標とした。
〔デキャップ耐性の評価〕
機能インクのインクジェットヘッドからの出射を停止して、インクジェットヘッドをキャップした状態で放置した際、ノズル欠を発生することなく再出射することができる停止時間を測定し、下記の基準に従って、デキャップ耐性を評価した。
○ :15分間の出射停止で問題ない
○△:10分間の出射停止で問題ない
△ :5分間の出射停止で問題ない
× :5分未満の出射停止で再出射不可能となる
以上により得られた結果を、表6〜12に示す。
Figure 2011052340
Figure 2011052340
Figure 2011052340
Figure 2011052340
Figure 2011052340
Figure 2011052340
Figure 2011052340
表6〜12に記載の結果より明らかなように、本発明の場合には、各種の特性の異なる布帛に対し、発色性、にじみ耐性に優れ、高品質な捺染画像が得られることがわかる。
また、本発明により、乾燥負荷や洗濯負荷が低く、低コストで高品質な捺染画像が得られた。
表6から、本発明の構成、特に、本発明に係る(A)の水溶性高分子化合物(カルボキシル基をアミン中和したもの)は、アルカリと分離して別に用いることで、本発明の効果がより好ましく奏されることがわかる。
表7から、本発明に係る(A)の水溶性高分子化合物(カルボキシル基をアミン中和したもの)の含有量が1〜10質量%であると(P−1〜P−2の場合)、デキャップ耐性の観点からも好ましいことがわかる。
表8から、本発明に係る記録インクに、本発明に係る重量平均分子量が3000〜30000の(B)の水溶性高分子化合物を含有させると(記録インクセットB(PVP(K15)を含有)を用いた場合)、前処理付与量が少ない場合のにじみが改善されることがわかる。
表9から、本発明に係る(A)の水溶性高分子化合物を、アルカリと共存させては(即ち、機能インクT−1を用いた場合には)、本発明の効果が発揮されにくいことがわかる。
表10から、機能インク1に含有させる水溶性高分子化合物として、「本発明に係る水溶性高分子化合物」以外のもの(ジョンクリル678(スチレン・アクリル酸エステル・アクリル酸共重合体であり塩基で中和してないもの。BASF社製)を水酸化カリウムで中和したもの)を用いた場合には、即ち、機能インク1としてP−6を用いた場合には、本発明の効果が発揮されないことがわかる。
表11から、機能インク1に含有させる水溶性高分子化合物として、「本発明に係る水溶性高分子化合物」以外のもの(アルギン酸ナトリウム)を用いた場合には、即ち、機能インク1としてP−7を用いた場合には、本発明の効果が発揮されないことがわかる。
表12から、機能インク1に含有させる水溶性高分子化合物として、「本発明に係る水溶性高分子化合物」以外のもの(カルボキシメチルセルロース)を用いた場合には、即ち、機能インク1としてP−8を用いた場合には、本発明の効果が発揮されないことがわかる。
実施例2
実施例1の《テキスタイルプリント試料の作製》において、「図3に記載のテキスタイルプリント装置を用いて、各布帛に対し、ヘッド5により機能インクを付与した後に、温風付与手段6により乾燥し、次いで、ヘッド7により記録インクセットを吐出し、連続して描画する」方法に代えて、「図2に記載のテキスタイルプリント装置を用いて、各布帛に対し、ヘッド5Aにより機能インク1を付与した後に、温風付与手段6により乾燥し、次いで、ヘッド5Bにより機能インク2を付与した後に、下流の温風付与手段6により乾燥し、次いで、ヘッド7により記録インクセットを吐出し、連続して描画する」方法に変更した他は実施例1と同様にして、テキスタイルプリント試料13−1〜13−24を作製した。
実施例1と同様にして、評価した結果を表13に示す。
Figure 2011052340
表13に記載の結果より明らかなように、本発明の場合には、各種の特性の異なる布帛に対し、発色性、にじみ耐性に優れ、高品質な捺染画像が得られることがわかる。
また、本発明により、乾燥負荷や洗濯負荷が低く、低コストで高品質な捺染画像が得られた。
特に、機能インク1の付与と機能インク2の付与の間に乾燥を入れることで、ローンのようなインクの保持量が小さい薄手の布帛を用いた場合でも、機能インクの裏抜けを防止し、付き量を上げることができる為、機能インクの効果がより発揮され、更ににじみが改善されることがわかる。
また、乾燥能力が上がるので、機能インクの総付与量が多くても、乾燥不良によるにじみの劣化が起こらないことがわかる。
1 粘着性ベルト
2 サポートロール
3 搬送ロール
4 ニップロール
5、5A、5B 機能インク吐出用ヘッド
6 温風付与手段
7 記録インク吐出用ヘッド
10 ホットプレート
P 布帛

Claims (7)

  1. (A)の水溶性高分子化合物を含有する(1)の機能インク、
    アルカリを含有する(2)の機能インク、及び
    染料、水溶性有機溶剤及び水を含む記録インク、
    を用いて布帛にプリントする記録方法であって、
    前記(A)の水溶性高分子化合物が、疎水性モノマーおよびカルボキシル基を有する不飽和ビニル化合物を少なくともモノマー成分として重合した共重合体を、該カルボキシル基をアミン中和することにより水溶性としたものであることを特徴とするテキスタイルプリント方法。
  2. 前記(A)の水溶性高分子化合物の含有量が、1〜10質量%であることを特徴とする請求項1記載のテキスタイルプリント方法。
  3. 前記記録インクを付与する画像領域に付与する前記(1)の機能インクおよび(2)の機能インクの付与量の総計が、5〜50ml/mであることを特徴とする請求項1または2記載のテキスタイルプリント方法。
  4. 前記(1)の機能インク、(2)の機能インクの順に布帛に付与することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
  5. 前記(1)の機能インクおよび(2)の機能インクを布帛に付与する際、布帛が加熱されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
  6. 前記記録インクを布帛に付与する際、布帛が加熱されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
  7. 前記記録インクが、重量平均分子量が3000〜30000の(B)の水溶性高分子化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
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