JP7421269B2 - 捺染物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、布に、発色に優れ、かつ、摩擦堅牢性(耐乾燥摩擦性)に優れた捺染を行える捺染物の製造方法に関する。
従来、布帛などのテキスタイル基材(織布)に対してインクジェット印刷をする際、インクの滲みを抑え、発色性を向上させるため、多価金属塩、カチオン性高分子、有機酸等の物質を含む前処理液でテキスタイル基材を前処理した後、インクをインクジェット印刷し、前処理済みのテキスタイル基材に付与された多価金属塩、カチオン性高分子、有機酸等の物質にインクが接触し、インクの分散系の安定性が破壊されることで、インクを凝集させる方法が用いられている(特許文献1~3)。
特許文献1は、布帛に洗濯堅牢性および発色性に優れた画像を捺染するために、前処理液中に濃度0.025mol/kg~0.08mol/kgの多価金属塩を含有させることを提案している。
特許文献2は、布帛をインクジェット印刷する際に、高い着色濃度を得るために、カチオン系水溶性樹脂をバインダー樹脂として含有するインク受理性付与剤を用いて布帛に加工することを提案している。
特許文献3は、布帛にインクジェット印刷する前に、少なくとも水、カチオンポリマーおよび高分子微粒子を含む前処理液によって布帛を前処理することを提案している。
特許文献4は、摩擦堅牢性にも優れた捺染物を得るために、布帛にインクジェット印刷した後、印刷されたインクの上にオーバーコート剤を塗布する方法を開示している。
特開2015-161043号公報 特開2009-154312号公報 特開2011-168912号公報 特開2010-150453号公報
しかし、特許文献1~3の方法の場合、得られた印刷物は発色に優れるが、いずれも摩擦堅牢性が不十分であった。
また、特許文献4の方法では、オーバーコート剤が塗布された布帛の部分が硬くなり、風合いを低下させるという問題があった。
本発明は、その一実施形態によれば、布に、発色に優れ、かつ、摩擦堅牢性(耐乾燥摩擦性)にも優れた捺染を行える捺染物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、従来の前処理された布の表面に直接インクが付着した場合、凝集力が強すぎて上記表面でインクの塊ができてしまい、これが摩擦堅牢性を落としてしまう原因であることが分かった。そこで、インク凝集力の高い前処理液で布を前処理した後、それよりもインク凝集力の小さい前処理液で布を前処理し、しかる後、この前処理された布にインクジェット印刷することにより、発色に優れ、かつ、摩擦堅牢性(耐乾燥摩擦性)にも優れた捺染物が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一局面によれば、水及びインク凝集剤を少なくとも含有する第一の前処理液を布に塗布する第一の工程と、第一の前処理液よりもインク凝集力の小さい第二の前処理液を前記布に塗布する第二の工程と、水性インクジェットインクを用いて前記布にインクジェット印刷する第三の工程と、を含む捺染物の製造方法が提供される。
本発明によれば、インク凝集性の第一の前処理液と、それよりもインク凝集力の小さい第二の前処理液とを用意し、布に第一の前処理液を塗布した後、第二の前処理液を塗布することとしたので、第一の前処理液に由来する布表面に位置するインク凝集剤を布の表面よりも内部に浸透させて、布表面に存在するインク凝集剤の濃度を減らす一方で、布表面に隣接した布内部のインク凝集剤の濃度を高めることができる。したがって、このように前処理された布の表面にインクジェット印刷した場合、布の表面にインクの塊が発生するのを抑制し、かつインクの滲みや布内部の深部への浸透を抑えることが可能となるため、発色性と摩擦堅牢性に優れた印刷物が得られる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
1.前処理液
本発明の上記局面では、インク凝集力の異なる2種類の前処理液、すなわち、インク凝集力の高い第一の前処理液と、第一の前処理液よりもインク凝集力の低い第二の前処理液を使用する。第一の前処理液は、第一の工程にて布の表面を処理するのに用いられ、第二の前処理液は、第二の工程にて、第一の工程にて第一の前処理液で処理された布の表面を更に処理するのに用いられる。
1-1.第一の前処理液
第一の前処理液は、通常、水及びインク凝集剤を少なくとも含有してなる。水としては、印刷の分野で使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、水道水、イオン交換水、脱イオン水等が挙げられる。
1-1-1.インク凝集剤
インク凝集剤は、インク凝集性のある物質であれば特に限定されないが、例えば、カチオン性高分子、金属塩、有機酸等が挙げられる。これらの凝集剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第一の前処理液中の全インク凝集剤の含有量の下限は、画質の向上の観点から、第一の前処理液全量に対して、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、第一の前処理液中の全インク凝集剤の含有量の上限は、第一の前処理液全量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらにより好ましく、12質量%以下が特に好ましい。第一の前処理液中の全インク凝集剤の量は、第一の前処理液全量に対して、0.5~30質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましく、1~20重量%がさらにより好ましく、3~20質量%が一層さらにより好ましく、5~15質量%がより一層さらにより好ましく、8~12質量%が特に好ましい。
カチオン性高分子としては、インク凝集性のある物質であれば特に限定されないが、例えば、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン硫酸塩、ポリアリルアミン塩酸塩、アリルアミンジアリルアミン共重合体、アリルアミンジアリルアミン共重合体硫酸塩、アリルアミンジアリルアミン共重合体塩酸塩、アリルアミンジメチルアリルアミン共重合体、アリルアミンジメチルアリルアミン共重合体硫酸塩、アリルアミンジメチルアリルアミン共重合体塩酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン塩酸塩、メチルジアリルアミンアミド、メチルジアリルアミンアミド硫酸塩、メチルジアリルアミンアミド塩酸塩、ジアリルアミン二酸化硫黄共重合体、ジアリルアミン二酸化硫黄共重合体硫酸塩、ジアリルアミン二酸化硫黄共重合体塩酸塩、メチルジアリルアミン二酸化硫黄共重合体、メチルジアリルアミン二酸化硫黄共重合体硫酸塩、メチルジアリルアミン二酸化硫黄共重合体塩酸塩、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
第一の前処理液中のカチオン性高分子の含有量の下限は、画質の向上の観点から、第一の前処理液全量に対して、0.5質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が特に好ましい。一方、第一の前処理液中のカチオン性高分子の含有量の上限は、摩擦堅牢性の観点から、第一の前処理液全量に対して、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらにより好ましい。第一の前処理液中のカチオン性高分子の量は、第一の前処理液全量に対して、例えば、0.5~30質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましく、5~15質量%が特に好ましい。
金属塩は、インク凝集性のあるものであれば特に限定されないが、例えば、多価金属塩が挙げられる。
多価金属塩は、2価以上の多価金属イオンとアニオンから構成される。2価以上の多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Mg2+、Cu2+、Ni2+、Zn2+、Ba2+が挙げられる。アニオンとしては、例えば、Cl、NO3-、SO 2-、CHCOO、I、Br、ClO が挙げられる。多価金属塩の具体例としては、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硝酸銅、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムなどが挙げられる。これらの金属塩は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属塩の第一の前処理液中の濃度の下限は、第一の前処理液全量に対して0.5質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が特に好ましい。金属塩の第一の前処理液中の濃度の上限は、第一の前処理液全量に対して30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下が特に好ましい。金属塩の第一の前処理液中の濃度は、第一の前処理液全量に対して、例えば、1~30質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましく、例えば、3~12質量%、または5~12質量%であってよい。
有機酸としては、インク凝集性のあるものであれば特に限定されないが、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられる。なかでも、23℃で液体の有機酸が好ましく、23℃で液体の有機酸としては、例えば、酢酸、乳酸等が好ましい。これらの有機酸は、1種単独で、または複数種を組み合わせて用いてもよい。
第一の前処理液中の有機酸の含有量の下限は、画質の向上の観点から、第一の前処理液全量に対して、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらにより好ましく、8質量%以上が特に好ましい。一方、第一の前処理液中の有機酸の含有量の上限は、第一の前処理液全量に対して、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらにより好ましい。第一の前処理液中の有機酸の量は、親水性の低い布でも高画質を形成する観点から、第一の前処理液全量に対して、例えば、1~30質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましく、5~15質量%がさらにより好ましく、8~12質量%が特に好ましい。
1-1-2.その他の成分
第一の前処理液は、その性状に悪影響を与えない限り、上記成分以外に、例えば、水溶性有機溶剤、pH調整剤、界面活性剤、分散剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を含有してもよい。
水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解可能な有機化合物を使用することができ、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合する水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。かかる水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、2-メチル-2-プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のアセチン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエタノールアミン、1-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、β-チオジグリコール、スルホラン等を用いることができる。水溶性有機溶剤の沸点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。水溶性有機溶剤の第一の前処理液中の含有量は、1種単独で用いられる場合はその含有量として、及び、2種以上が用いられる場合はその合計含有量として、5~90質量%であることが好ましく、10~50質量%であることがより好ましい。
1-1-3.第一の前処理液の作製方法
第一の前処理液は、例えば、水中にインク凝集剤、及び必要に応じてその他の成分を分散又は溶解することにより得ることができる。
1-2.第二の前処理液
第二の前処理液は、第一の前処理液よりもインク凝集力が低いものであれば特に限定されず、例えば、第一の前処理液以上にインク凝集力が付与されない程度にインク凝集剤を含有するもの、または、インク凝集剤を全く含有しないためインク凝集力を備えないものが挙げられる。より具体的には、第二の前処理液としては、水及びインク凝集剤を少なくとも含有してなり、インク凝集剤が第一の前処理液に含まれるインク凝集剤と同じであり、当該インク凝集剤の含有量が第一の前処理液よりも低いもの、又は、インク凝集剤を含有せず、水及び所望によりその他の成分を含有してなるものを用いることができる。
インク凝集剤としては、第一の前処理液について上記したものを使用することができる。第二の前処理液中の全インク凝集剤の含有量は、第二の前処理液全量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらにより好ましく、0.1%以下が特に好ましいが、本発明で併用する第一の前処理液と同等のインク凝集力が付与される含有量よりも低い量に限られる。
第二の前処理液は、その他の成分を含有してもよい。該その他の成分としては、第一の前処理液について上記したものを上記した量で使用することができる。
第二の前処理液は、例えば、水中にインク凝集剤、及び必要に応じてその他の成分を分散又は溶解すること、または、水中に必要に応じてその他の成分を分散又は溶解することにより得ることができる。
2.水性インクジェットインク
本発明で使用する水性インクジェットインクは、水性溶媒及び色材から主として構成されるが、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
2-1.水性溶媒
水性溶媒は、水のみから構成されてもよく、水に加えて水溶性有機溶剤を含有してもよい。水としては、水道水、イオン交換水、脱イオン水等が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、第一の前処理液について上記したものを上記した量で使用することができる。
2-2.色材
色材としては、顔料及び染料の何れも使用することができ、単独で使用しても両者を併用してもよい。印刷物の耐候性及び印刷濃度の点から、色材として顔料を使用することが好ましい。
色材は、水性インクジェットインク全量に対して0.01~20質量%の範囲で含有されることが好ましい。
2-2-1.染料
染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料等を挙げることができる。これらの染料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
2-2-2.顔料
顔料としては、アゾ系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、キナクリドン、ジスアゾイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラックなど)、コバルト、鉄、クロム銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物及び硫化物、ならびに黄土、群青、紺青などの無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類等が挙げられる。また、顔料として、顔料表面を親水性官能基で修飾した自己分散性顔料や顔料表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料等も使用することができる。かかる顔料分散体の市販品としては、例えば、キャボット社製CAB-O-JETシリーズ(CAB-O-JET200、300、250C、260M、270C)、オリエント化学工業株式会社製CW-1、CW-2等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
2-3.その他の成分
水性インクジェットインクには、インクの性状に悪影響を与えない限り、上記水性溶媒、色材以外に、例えば、界面活性剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
2-4.水性インクジェットインクの製造方法
水性インクジェットインクは、公知の方法で製造することができ、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。
3.捺染物の製造方法
本発明の上記一局面による捺染物の製造方法は、
(1)第一の前処理液を布に塗布する第一の工程と、
(2)第二の前処理液を前記布に塗布する第二の工程と、
(3)水性インクジェットインクを用いて前記布にインクジェット印刷する第三の工程と
を含む。
第二の前処理液としては、第一の前処理液よりもインク凝集力の小さいものが使用される。第二の前処理液は、前記布に塗布された第一の前処理液に重ねて塗布される。
第一の工程、第二の工程及び第三の工程はこの順序で行われる。第一の工程及び第二の工程は、他の工程を介在させることなく連続的に行ってもよいし、または、第一の工程で布に塗布された第一の前処理液を乾燥させる乾燥工程を行った後、第二の工程を行ってもよい。第二の工程及び第三の工程は、他の工程を介在させることなく連続的に行ってもよいし、または、第二の工程で布に塗布された第二の前処理液、又は、第一及び第二の工程で布に塗布された第一及び第二の前処理液を乾燥させる乾燥工程を行った後、第三の工程を行ってもよい。
布への第一及び第二の前処理液の塗布は、塗工(コーティング)、印刷等の方法で布の表面に適用することにより行うことができ、具体的には、刷毛、ローラー、バーコーター、ブレードコーター、ダイコーター、ロールコーター、エアナイフコーター等の塗布装置を使用して行ってもよく、または、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷手段によって画像を印刷することで行ってもよい。
第三の工程における水性インクジェットインクを用いたインクジェット印刷は、通常のインクジェットプリンタを用いて行うことができる。
したがって、本発明の捺染物の製造方法は、例えば、インクジェットプリンタを使用し、布の表面上へ第一の前処理液をインクジェット印刷方式で吐出した後、これに重ねて第二の前処理液をインクジェット印刷方式で吐出した後、これに重ねて更に水性インクジェットインクを連続的にインクジェット印刷方式で吐出させることにより行ってもよい。
第一の前処理液の塗工量は、布面積当たり0.1~100g/mであることが好ましく、1~50g/mがより好ましい。第二の前処理液の塗工量は、布面積当たり15g/m以下であることが好ましく、0.5~15g/mがより好ましい。第二の前処理液の塗工量が上記範囲にあると、インク中の色材が布表面に止まらずに布内部へ浸透するが、布内部への浸透が適度に抑制されるので、発色及び摩擦堅牢性の両立した良好な印刷画像が得られる。
4.布
本発明において、布は、特に限定されるものではなく、金属繊維、ガラス繊維、岩石繊維および鉱サイ繊維等の無機繊維、セルロース系およびたんぱく質系等の再生繊維、セルロース系等の半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびポリフッ化エチレン等の合成繊維、綿、麻、絹および毛等の天然繊維等各種の繊維から選ばれた少なくとも1種からなる布を用いることができる。布には、織布の他、不織布及び編物が含まれる。
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
製造例1(評価用インクの作製)
表1に記載の配合比で原材料を混合し、混合後0.8μmのセルロースアセテートメンブレンフィルターで粗粒を除去し、評価用インクを得た。
Figure 0007421269000001
尚、表1記載の原材料の詳細は下記のとおりである。
・CW1(商品名):カーボンブラック15%含有自己分散顔料/オリヱント化学工業株式会社製
・CAB-O-JET300(商品名): カーボンブラック15%含有自己分散顔料/キャボット株式会社製
・スーパーフレックス470(商品名):ウレタン樹脂エマルション/第一工業製薬株式会社製
・スーパーフレックス500M(商品名):ウレタン樹脂エマルション/第一工業製薬株式会社製
・オルフィンE1020(商品名):アセチレングリコール系界面活性剤/日信化学工業株式会社製
・ジエチレングリコール:水溶性有機溶剤/富士フィルム和光純薬株式会社製
製造例2(前処理液の作製)
表2に記載の配合比で原材料を混合し、混合後0.8μmのセルロースアセテートメンブレンフィルターで粗粒を除去し、前処理液を得た。凝集剤を含む前処理液のインク凝集力は、直径90mmのガラスシャーレに前処理液を10mL入れて150℃で10分間乾燥させた後、その上に第三の工程に使用するインクをインクジェット吐出し、着弾した単一インクドット径(ここで、「単一」とはインクドットが他のインクドットと混じっていないことを意味する)の長さで評価した。インクジェットプリンタとしては、マスターマインド社製テキスタイルプリンタ「MMP813BT」(商品名)を用いた。インクドット径が長いほど凝集力が弱く、短いほど凝集力が強いことになる。したがって、表2に示す凝集剤を含む前処理液のインク凝集力は、強い順に、前処理液A3、前処理液A1、前処理液A2、前処理液B3となる。
Figure 0007421269000002
尚、表2記載の原材料の詳細は下記のとおりである。
・シャロール DC-902P(ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド51%)(商品名):カチオン性高分子/第一工業製薬株式会社製
・塩化カルシウム:金属塩/富士フィルム和光純薬株式会社
・スーパーフレックス470(商品名):ウレタン樹脂エマルション/第一工業製薬株式会社製
・オルフィンE1020(商品名):アセチレングリコール系界面活性剤/日信化学工業株式会社製
・ジエチレングリコール:水溶性有機溶剤/富士フィルム和光純薬株式会社製
実施例1~10及び比較例1~3
表3に示す第一の前処理液、第二の前処理液及びインクを用意し、下記の3つの工程を行った後、得られた捺染物を下記の方法で評価した。結果を表3に示す。
(1)第一の工程
布(綿100%織物)にエアブラシを用いて表3に示す塗布量で第一の前処理液を塗布した。
(2)第二の工程
第一の工程後の布に、エアブラシを用いて表3に示す塗布量で第二の前処理液を塗布した。
(3)第三の工程
第二の工程後の布をオーブン中にて150℃で60秒加熱したのち、表3に示したインクを用いてインクジェット印刷を行った後、オーブン中にて150℃で60秒加熱し、捺染物を得た。インクジェット印刷は、マスターマインド社製テキスタイルプリンタ「MMP813BT」(商品名)を用い、80mm×80mmのベタ画像を印刷することで行った。
評価方法
(1)発色の評価方法
捺染物のベタ画像のOD値を分光測色計X-Rite eXact(ビデオジェット・エックスライト株式会社製)を用いてOD値を測定し、下記基準に従い評価した。
A・・・OD値1.20以上
B・・・OD値1.20未満1.15以上
C・・・OD値1.15未満1.10以上
(2)乾燥摩擦堅牢度の評価方法
乾燥摩擦堅牢度は、JIS L 0849:2013(摩擦に対する染色堅ろう度試験方法)に従い、学振試験機RT-200(大栄科学精器製作所)を用いて、乾燥した綿布で捺染物の印面を100往復擦過し、下記基準に従い評価した。
A・・・4級以上
B・・・2-3級以上、4級未満
C・・・2-3級未満
Figure 0007421269000003
表3の結果から、以下のことがわかる。インク凝集剤を含む第一の前処理液と、第一の前処理液よりもインク凝集力の低い第二の前処理液を用いた実施例1~10は、発色及び乾燥摩擦堅牢度の何れにおいても良好な結果が得られた。これに対し、前処理をしなかった比較例1は、発色が劣り、第二の工程を行わなかった比較例2は、発色は良かったが乾燥摩擦堅牢度が劣り、凝集剤の濃度が極めて低い前処理液を用いた比較例3は、発色が劣った。
実施例11~16及び比較例4~5
布として綿100%織物の代わりにポリエステル100%織物を使用し、表4に示す第一の前処理液、第二の前処理液及びインクを使用した以外、実施例1と同様の方法で捺染物を作成し、評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0007421269000004
表4の結果から、以下のことがわかる。インク凝集剤を含む第一の前処理液と、第一の前処理液よりもインク凝集力の低い第二の前処理液を用いた実施例11~16は、発色及び乾燥摩擦堅牢度の何れにおいても良好な結果が得られた。これに対し、前処理をしなかった比較例4は、発色が劣り、第二の工程を行わなかった比較例5は、発色は良かったが乾燥摩擦堅牢度が劣った。
本発明は、各種布にインクジェットプリンタで印刷する捺染の分野で広く利用できる。

Claims (6)

  1. 水及びインク凝集剤を少なくとも含有する第一の前処理液を布に塗布する第一の工程と、第一の前処理液よりもインク凝集力の小さい第二の前処理液を前記布に塗布する第二の工程と、水性インクジェットインクを用いて前記布にインクジェット印刷する第三の工程と、を含み、前記インク凝集剤が、カチオン性高分子、金属塩、及び有機酸からなる群から選択される少なくとも一種類以上であり、前記第一の前処理液、前記第二の前処理液、及び前記水性インクジェットインクは少なくとも部分的に重なるように前記布に塗布又は印刷される、捺染物の製造方法(ただし、前記第一の前処理液がポリビニルアルコールを含有し、かつ、前記第二の前処理液がホウ砂を含有するものを除く)
  2. 前記第一の前処理液の塗布量が布面積当たり0.1~100g/m であり、かつ、前記第二の前処理液の塗布量が布面積当たり0.5~15g/m である、請求項1に記載の捺染物の製造方法。
  3. 前記水性インクジェットインクの色材として顔料を使用したものである、請求項1又は2に記載の捺染物の製造方法。
  4. 前記第二の前処理液が、前記第一の前処理液以上にインク凝集力が付与されない程度にインク凝集剤を含有するか、または、インク凝集剤を含有しない、請求項1に記載の捺染物の製造方法。
  5. 前記第一の前処理液は、前記インク凝集剤を第一の前処理液中に1~20重量%含有する、請求項1またはに記載の捺染物の製造方法。
  6. 前記第二の前処理液の塗布量は、布面積当たり0.5~15g/mである、請求項に記載の捺染物の製造方法。
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