JP2011052230A - ポリアミド樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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輝久 熊澤
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Abstract

【課題】ガラス繊維などの繊維状補強材によって強化されたポリアミド樹脂組成物であって、伸び、耐衝撃性などの機械的特性、高温での高剛性などの耐熱性に優れ、繊維状補強材の異方性などによるウエルドライン部分の強度低下の少ない成形品が得られるポリアミド樹脂組成物、およびこの組成物より得られる成形品を提供すること。
【解決手段】第1発明は、ポリアミドMX樹脂(成分A)、ポリオレフィン系樹脂(成分B)、粒状等方性無機質充填材(成分C)および繊維状無機質補強材(成分D)を含有してなるポリアミド樹脂組成物であって、成分Aと成分Bとの合計量100重量部に対して成分Bの含有量が0.5〜20重量部、および、成分Cの含有量が0.05〜10重量部であり、かつ、ポリアミド樹脂組成物に対する成分Cと成分Dの含有割合が5〜65重量%であるポリアミド樹脂組成物を要旨とし、第2発明は、この樹脂組成物より得られる成形品を要旨とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物および成形品に関する。さらに詳しくは、機械的特性、耐化学薬品性などに優れ、金属の代替として使用できるポリアミド樹脂組成物、およびこのポリアミド樹脂組成物より得られる成形品に関する。
従来、メタキシリレンジアミンを主成分とするキシレンジアミンと、α,ω−直鎖脂肪族二塩基酸とから合成されるポリアミド樹脂(以下「ポリアミドMX樹脂」と略称する)は、高弾性率繊維または二軸延伸フィルムなどの製造用として優れている。また、ポリアミドMX樹脂にガラス繊維などの充填材を配合することにより、化学的性質、熱的性質、機械的性質などの優れた成形材料として、自動車分野、建築分野、住宅設備関連分野など、多くの分野で使用されている。
例えば、自動車分野では、エンジン近傍の金属部品を代替した部品、ハンドル、ギア近傍の部品などが挙げられる。また、建築分野では、建築用コンクリート内で使用される、コンクリートパネル固定部品や埋め込み型の雌ねじ、錆びないボルト、ナット、釘、ヒンジ、ハンマーなどが挙げられる。住宅設備関連分野では、ドアのノブ、ブラインドの歯車、カーテンポール、カーテンキャップ、階段の手摺などが挙げられる。
ガラス繊維などの繊維状補強材によって強化されたポリアミドMX樹脂は、樹脂組成物から製品を成形する際に、基体樹脂に配合されたガラス繊維が流動の方向に配向して異方性を生じたり、ウエルドライン部分の強度が十分でなかった。本発明者らの実験によれば、ガラス繊維を配合した成形品の流動方向に沿った強度を1とすると、流動方向に直角方向やウエルドライン部分の強度は、0.5〜0.2程度になることがあり、ガラス繊維を配合したことによる強度が十分には発揮されないという欠点があった。
また、ガラス繊維などの繊維状補強材によって強化されたポリアミドMX樹脂は、伸びが小さく変形が大きい用途には不向きであった。伸びを大きくする目的でエラストマーを添加すると、ガラス繊維などの繊維状補強材によって強化されたポリアミドMX樹脂本来の特性、例えば常温で高剛性、高温で高剛性などの特性を、大幅に低下させてしまうという欠点があった。
従って、常温で高剛性、高温での高剛性などの特性を低下させることなく、強度を高めることができると、従来樹脂材料で代替が不可能であった部品、製品を樹脂化することができる。繊維状補強材による強化樹脂組成物の場合、射出成形法で製品を製造する際に、含有させた繊維状補強材が任意の方向に配向すること(異方性)によって、強度低下の原因になる。この強度低下を改善するためには、板状補強材や粒状充填材を配合することが考えられるが、異方性を改良するに十分な量を配合すると、強度や衝撃値が著しく低下し、繊維状補強材による強化樹脂組成物の強度には到底及ぶものではない。
ポリアミドMX樹脂の成形時の流動性、成形性などを改良する目的で、ポリアミドMX樹脂に、不飽和有機酸変性ポリオレフィンまたはアイオノマーを含有させる方法(特開昭53−120761号公報参照)、ポリアミドMX樹脂に、α−オレフィンおよび/または共役ジオレフィン系化合物と、α、β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩とから誘導される構造単位必須とする共重合物とを含有させる方法(特開昭58−201845号公報参照)、ポリアミドMX樹脂に、エチレン成分を含めたエラストマーに同様に相溶化変性したものを含有させる方法(特開昭58−206666号公報参照)などが挙げられる。しかし、これら提案の方法によると、原料樹脂を相溶化変性する必要がある。
一般に、相溶性のない二種類以上の樹脂を混合すると、この混合樹脂組成物から得られる成形品は耐衝撃性が低下する、ウエルド部の強度が大幅に低下するなどのため、これらを改良する方法が多数提案されている。上記の刊行物に記載されている方法は、複数の樹脂を混合する際には、樹脂相互間の相溶性が重要で、相溶性のない複数の樹脂を積極的に利用する可能性は衝撃や強度を必要とする用途では、殆ど考えられないのが実情であった。
ポリアミド樹脂に、非相溶樹脂を含有させることによって発揮される特性を利用して易裂性フィルムとする方法(例えば、特開平7−299858号公報、特開平7−299859号公報、特開平9−111060号公報などを参照)、超微細繊維を製造する方法(例えば、特開平6−341018号公報、特開平7−34325号公報、特開平8−13249号公報などを参照)などが挙げられる。
特開昭53−120761号公報 特開昭58−201845号公報 特開昭58−206666号公報 特開平7−299858号公報 特開平7−299859号公報 特開平9−111060号公報 特開平6−341018号公報 特開平7−34325号公報 特開平8−13249号公報
本発明者らは、かかる状況にあって、ガラス繊維などの繊維状補強材によって強化されたポリアミドMX樹脂組成物であって、機械的特性、高温での高剛性などに優れ、配合された繊維状補強材の異方性とウエルド部分に強度低下が少ない成形品が得られるポリアミド樹脂組成物、および、金属材料製の部品などを代替し得る厚肉成形品を提供することを目的として、鋭意検討した結果本発明に到達したものである。
上記課題を解決するために、第1発明では、ポリアミドMX樹脂(成分A)、ポリオレフィン系樹脂(成分B)、粒状等方性無機質充填材(成分C)、および、繊維状無機質強化材(成分D)を含有してなるポリアミド樹脂組成物であって、成分Aと成分Bとの合計量100重量部に対して、成分Bの含有量が0.5〜20重量部、および、成分Cの含有量が0.05〜10重量部であり、かつ、ポリアミド樹脂組成物に対する成分Cと成分Dの含有割合が5〜65重量%であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物を提供する。
さらに第2発明では、ポリアミドMX樹脂(成分A)、ポリオレフィン系樹脂(成分B)、粒状等方性無機質充填材(成分C)、および、繊維状無機質強化材(成分D)を含有してなるポリアミド樹脂組成物よりなる成形品であって、成分Aと成分Bとの合計量100重量部に対して、成分Bの含有量が0.5〜20重量部、および、成分Cの含有量が0.05〜10重量部であり、かつ、ポリアミド樹脂組成物に対する成分Cと成分Dの含有割合が5〜65重量%であるポリアミド樹脂組成物より製造されたものであることを特徴とする成形品を提供する。
本発明は、以上詳細に説明したとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、ポリアミドMX樹脂(成分A)を主成分とし、これに繊維状補強材(成分D)を含有し、さらにポリオレフィン系樹脂(成分B)と、粒状等方性無機質充填材(成分C)とを含有しているので、この樹脂組成物より得られた成形品は、引張強度が高く機械的特性に優れている。
2.本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、含有する繊維状補強材の異方性などによる強度低下が少なく、高温での高剛性などの耐熱性に優れた成形品が得られる。
3.本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、成形品にウエルドライン部分があってもこのウエルドライン部分が好適に融合するので、ウエルド引張強度の優れた成形品が得られる。
4.本発明に係るポリアミド樹脂組成物より得られた厚肉の成形品は、上記の2ないし3のような効果を奏するので、金属材料製の部品などを代替し得る厚肉の成形品製造用として好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においてポリアミドMX樹脂(成分A)は、本発明に係る樹脂組成物の基体樹脂として機能する。本発明において成分Aとしては、(1)メタキシリレンジアミンを99〜50モル%とパラキシリレンジアミン1〜50モル%からなる混合メタキシリレンジアミンとの混合ジアミン化合物と、炭素数6〜12のα、ω−直鎖脂肪族二塩基酸、または芳香族二塩基酸とした原料の組合わせから得られるポリアミド樹脂、または、(2)ジアミン化合物をメタキシリレンジアミン単独とし、二塩基酸を炭素数6〜12のα、ω−直鎖脂肪族二塩基酸または芳香族二塩基酸とした原料の組合わせから得られるポリアミド樹脂などが挙げられる。
成分Aは、上記(2)のポリアミド樹脂に上記(1)のポリアミド樹脂を混合すると、射出成形法で成形品を製造する際に、成形サイクルを短縮できるので好ましい。また、ポリアミドMX樹脂(成分A)は20重量%まで、脂肪族ポリアミド樹脂で置換することができる。置換する量は、好ましくは10重量%以下である。成分Aの一部を脂肪族ポリアミドで置換すると、成形サイクルを短縮させ易い。脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド66、ポリアミド6などが挙げられ、好ましくはポリアミド66である。
本発明においてポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂(成分B)は、本発明に係る樹脂組成物を成形材料として使用する際に流動性や、ウエルド部分の強度などを改良するように機能する。成分Bとしては、ポリスチレン(GPPS)、ゴム強化ポリスチレン(HIPS)などのポリスチレン系樹脂、および、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂である。
本発明における成分Bとしては、若干の官能基の導入や、成分Aと非相溶性でかつ非反応性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。非相溶性の確認方法は、充填材や補強材を配合していない成分Aと成分Bとを適当な比率で混合し、射出成形機によって製品を製造して、成形金型からの離型性や、製品表面の層分離の状況を目視観察して確認することができる。相溶化しないものは、成形品の表面に相分離が発生してゲートを折る際に成形品に表皮分離が生じたり、金型からの離型時に表皮が金型に残ったりする。しかし、成分Aと成分Bとの組合わせに成分Cおよび成分Dを配合することにより、成形品に表皮分離が生じない。
成分Bの配合量は、成分Aと成分Bとの合計量100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲で選ぶものとする。成分Bの配合量が0.5重量部未満であると、成分Bを配合することによる流動性、成形性などの改良効果が不十分であり、20重量部を超えると、樹脂組成物より得られる成形品の強度などの機械的特性やウエルドライン部分の強度が低下し易い。成分Bの配合量は、成分Aと成分Bとの合計量100重量部に対して、上記の範囲であるが、好ましくは0.5〜10重量部であり、より好ましくは1〜5重量部である。
本発明に係るポリアミド樹脂樹脂組成物は、粒状等方性無機質充填材(成分C)と繊維状無機質強化材(成分D)とを含有してなる。本発明において成分Cは、本発明に係るポリアミド樹脂組成物を成形する際に、結晶核剤として機能するほか、成形品の剛性などの機械的物性を向上させるように機能する。
粒状等方性無機質充填材(成分C)の具体例としては、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、微小ガラスフレーク、窒化硼素、ウオラストナイト、硫酸マグネシウム、セピオライト、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、ガラスビーズ、バルーンなどが挙げられる。中でも、炭酸カルシウム、窒化硼素、シリカなどが好ましい。
上記成分Cは、基体樹脂との界面の親和性を改良する目的で、その表面があらかじめカップリング剤で表面処理されていてもよい。成分Cは、1種類でも2種類以上の混合物であってもよい。成分Cの配合量は、成分Aと成分Bとの合計量100重量部に対して、0.05〜10重量部の範囲で選ぶものとする。成分Cの配合量が0.05重量部を下回ると核剤としての効果、補強材としての効果が不十分である。成分Cの配合量は好ましくは、0.1〜6重量部である。また、成分Cの配合量は後記する成分Dと加算した量としてポリアミド樹脂組成物に対して5〜65重量%である。
繊維状無機質強化材(成分D)としては、外観が繊維状を呈する無機質強化材(D1)のほか、異方性が高くアスペクト比が5以上の繊維状強化材(D2)が挙げられる。上記(D1)の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ステンレススチール繊維、黄銅繊維などの金属繊維類を挙げることができ、上記(D2)の具体例としては、例えば、チタン酸カリウムやホウ酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウムなどのウィスカー類、ウォラストナイトのような鉱物アスペクト比が5以上の繊維状のものが挙げられる。成分Dは、上に例示したものに限定されるものではない。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物に対する成分Cおよび成分Dの配合量は、ポリアミド樹脂組成物に対する成分Cと成分Dとの含有割合を5〜65重量%とする。含有割合が5重量%未満であると、補強効果が低下し、最終的に得られる射出成形品の強度が低下する。含有割合が65重量%を超えると、ポリアミド樹脂組成物の流動性が低下して、成形品の製造が困難となる。ポリアミド樹脂組成物に対する成分Cと成分Dとの含有割合の特に好ましい範囲は、10〜60重量%である。
本発明に係るポリアミド樹脂樹脂組成物は、上記のとおり、成分A、成分B、成分Cおよび成分Dの4成分を含有するが、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、従来から知られている各種の樹脂添加剤、例えば、難燃剤、安定剤、顔料、染料、離型剤、滑剤、発泡剤、成分C以外の核剤、耐候性改良剤などを配合することができる。
本発明に係るポリアミド樹脂樹脂組成物を製造するには、従来から知られている混合方法によることができる。例えば、上記の成分A、成分B、成分Cおよび成分Dの4成分を所定量秤量し、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、ドラムタンブラーなどで混合して混合物とし、この混合物を単軸または2軸スクリュー押出機、コニーダーなどで溶融、混練してペレット状の樹脂樹脂組成物とすることができる。
本発明に係るポリアミド樹脂樹脂組成物は、各種成形品製造用の成形材料として使用できる。適用できる成形方法は、射出成形法、押出成形法、中空成形法、圧縮成形法、トランスファー成形法などが挙げられる。中でも、射出成形法が特に好ましい。
成形品は、自動車分野では、エンジン近傍に装備され金属によって調製されていた部品を代替した部品、ハンドル、ギア近傍の部品などが挙げられる。また、建築分野では、建築用コンクリート内で使用される、コンクリートパネル固定部品や埋め込み型の雌ねじ、錆びないボルト、ナット、釘、ヒンジ、ハンマーなどが挙げられる。住宅設備関連分野では、ドアのノブ、ブラインドの歯車、カーテンポール、カーテンキャップ、玄関・階段・風呂場などの手摺などが挙げられる。成形品は、上に例示したものに限定されるものではない。
本発明に係るポリアミド樹脂樹脂組成物は、従来の繊維強化材のみを配合した場合には、強度を充分に発揮し得ない厚肉の成形品の製造に好適である。従来の繊維強化材のみを配合したポリアミド樹脂樹脂組成物より得られる厚肉の成形品にあっては、流動時の抵抗が少なく、強化材を含む溶融樹脂が金型内に流動すると、溶融樹脂の流動先端が金型面から剥離していわゆるジェッティングを起こしたり、エアーを巻き込んだりして異常な繊維配向が生じ易く、成形品強度の低下が生じ易い。しかしながら、本発明に係るポリアミド樹脂樹脂組成物から得られる厚肉の成形品にあっては、成形品強度の低下が生じ難い。本発明において成形品の厚さとは、板状の部分を有するものはその厚さ(mm)を意味し、棒状のものは最小の径(mm)を意味する。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、以下の記載例に限定されるものではない。なお、以下に記載の例で使用した、成分Aないし成分Dおよびその他の成分は、次のような特性を有するものである。
1.成分Aは、以下に記載の方法で調製した。
1.1.ポリアミド(A1)の製造例
撹拌装置、温度計、還流冷却器、原料滴下装置、加熱装置などを装備した容量が3リットルのフラスコに、アジピン酸730gを仕込み、窒素雰囲気下、フラスコ内温を160℃に昇温してアジピン酸を溶融させた。フラスコ内に、パラキシリレンジアミンを30モル%、メタキシレンジアミンを70モル%含有する混合キシリレンジアミン680gを、約2.5時間かけて逐次滴下した。この間撹拌下、内温を生成物の融点を常に上回る温度に維持して反応を継続し、反応の終期には270℃に昇温した。反応によって発生する水は、分縮機によって反応系外に排出させた。滴下終了後、撹拌下に275℃の温度で1時間反応を続けて反応を終了した。生成物をフラスコより取り出し、水冷しペレット化した。得られた芳香族ポリアミド{以下、これをポリアミド(A1)と略称する}は、融点が258℃、結晶化温度が216℃、相対粘度(96%硫酸溶液1g/100ml)が2.08であった。
1.2.ポリアミド(A2)の製造例
上記ポリアミド(A1)の製造例に記載の例において、ジアミン成分をメタキシレンジアミンを680gと変更して、これを約2.5時間かけて逐次滴下した。この間撹拌下、内温を生成物の融点を常に上回る温度に維持して反応を継続し、反応の終期には255℃に昇温した。滴下終了後、撹拌下に260℃の温度で1時間反応を続けて反応を終了した。生成物を反応釜より取り出し、水冷しペレット化した。得られた芳香族ポリアミド{以下、これをポリアミド(A2)と略称する}は、融点が234℃、結晶化温度が206℃、相対粘度(96%硫酸溶液1g/100ml)が2.16であった。
2.成分Bは、次のような特性を有する市販品を使用した。
2−1.HIPS(B1):シス型を多く含むブチレンゴム成分を12.25%含み、ゴム粒径が0.83μm、ゲル濃度が27%、温度200℃、荷重10kgの条件下で測定したメルトインデックス(MI)が1.4g/10分の耐衝撃性ポリスチレンである。
2−2.GPPS(B2):温度200℃、荷重5kgの条件下で測定したMIが3.0g/10分の一般用ポリスチレンである。
2−3.PP/PE(B3):温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したMIが0.5g/10分であって、曲げ弾性率が11000kgf/cmのプロピレンとエチレンとの共重合体(PP/PEのモル比が95/5のもの)である。
2−4.HDPE(B4):温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定したMIが1.0g/10分の高密度ポリエチレンである。
3.成分Cは、次のような特性を有する市販品を使用した。
3−1.炭酸カルシウム(C):平均粒径が0.89μmの炭酸カルシウム(甘粕化学社製、商品名:NS#2500)である。
4.成分Dは、次のような特性を有する市販品を使用した。
4−1.ガラス繊維(D):直径10μのガラス繊維のチョップドストランド(旭ファイバーグラス社製、商品名:CS03JAFT−2)である。
5.その他の成分
5−1.ポリアミド66:米国デュポン社製、商品名:Zytel−101である。
5−2.AS樹脂:温度220℃、荷重10kgの条件下で測定したMIが6g/10分のスチレン−アクリロニトリル共重合体(A&Mポリスチレン社製、商品名:サンレックスSAN−H)である。
3−1.タルク(C1):平均粒径が4.1μmのタルク(林化成社製、商品名:ミクロホワイト5000A)である。
[実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例3]
<ペレットの調製>
上記の成分Aないしその他の成分を、表−2に記載の割合(重量部)で秤量し、まずガラス繊維を除いた成分をタンブラーによって混合した。得られた混合物を、2軸押出機(東芝機械社製、型式:TEM35B)のホッパーに投入し、シリンダー温度を280℃として混練し、サイドフィード口からガラス繊維を仕込み、シリンダー温度を260℃として混練し、ペレットを得た。
<試験片、ボルト成形品の製造>
上記の方法で調製したペレットを原料とし、射出成形機(住友重機社製、型式:SH100、100トン、シリンダー径36mm)によって引張試験用の試験片、リング状成形品(外径26mm、内径20mm、厚さ3mm、幅15.3mm、ゲートとウエルドの直角方向に幅方向5mm、長さ6.3mmの切れ込みが刻設されている)、および、ボルト成形品(六角ボルトで、頭部の2面幅30mm、頭部の厚さ13mm、首下長さ180mm、ネジ部の長さ50mm、ネジピッチ2.5mmのもの)を、次の成形条件でそれぞれ成形した。
Figure 2011052230
得られた試験片、リング状成形品およびボルト成形品につき、次の方法で物性、強度などを測定し、測定結果を表−2に記載した。
(a)引張強度(MPa):ASTM D690に準拠して測定する方法。
(b)ウエルド引張強度(MPa):引張強度試験のASTM D690に基づいた形状のキャビティに、切り換え式でゲートの位置を試験片の長さ方向の一方の端に一個設けた試験片(ウエルドラインを有しない試験片)と、ゲートの位置を試験片の長さ方向の双方に設けた試験片(ウエルドラインを有する試験片)とに変更できる金型を使用して成形した試験片につき、クロスヘッド速度5mm/分とし、引張強度を測定した。
(c)リング強度(kgf):鈴木式摺動試験用のリング成形品を成形した。上記の形状のリング状成形品は、切れ込みの位置は最大応力位置とならないので破壊強度には関係しない。ウエルドラインが形成される位置は、ゲートの位置とは反対側となる。ウエルドラインとゲートの方向にクロスヘッド速度1mm/分として圧縮荷重を負荷し、その破壊強度を測定した。数値は大きいほど好ましい。破壊は、全てウエルド部分に発生した。
(d)ボルト強度(kgf):ボルト成形品(上記した寸法のもの)は、ボルトヘッドが6角でヘッドの横に軸方向に垂直方向にゲートが設けられた金型を使用した。ボルト強度測定には、ボルトのネジ山に金属ナットを螺合し、ボルトヘッドとナットとの間の引張強度を、引張試験機でクロスヘッド10mm/分として測定した。数値は大きいほど好ましい。
Figure 2011052230
表−2より、次のことが明らかとなる。
(1)成分Aないし成分Dを請求項1に規定する量含有する本発明に係る樹脂組成物より得られた成形品は、引張強度が高く機械的特性に優れており、ウエルド引張強度、リング強度、ボルト強度などにおいても優れている(実施例1〜実施例3参照)。
(2)これに対してポリスチレン系樹脂(成分B)に該当しないAS樹脂を用いた樹脂組成物より得られた比較例1の成形品は、リング強度、ボルト強度が低い。
(3)また、炭酸カルシウムの代わりにタルクを用いた樹脂組成物(比較例2)より得られた成形品は、ボルト強度が低い。
(4)ポリスチレン系樹脂(成分B)を含有しない樹脂組成物(比較例3)より得られた成形品は、ボルト強度が低い。
[実施例4〜実施例9]
実施例1に記載の例において、成分Aないし成分Eを、表−3に記載の割合の変更したほかは、同例に記載したのと同様の手順でペレットを調製し、得られたペレットから同例におけると同様の手順で試験片、成形品を製造し、同例におけると同様の手順で評価試験を行なった。測定結果を表−3に記載した。
Figure 2011052230
表−3より、次のことが明らかとなる。
(1)成分Aないし成分Dを請求項1に規定する量含有する本発明に係る樹脂組成物より得られた成形品は、引張強度が高く機械的特性に優れており、かつ、樹脂組成物のウエルド引張強度、リング強度、ボルト強度などにおいても優れている(実施例4〜実施例9参照)。

Claims (5)

  1. ポリアミドMX樹脂(成分A)、ポリオレフィン系樹脂(成分B)、粒状等方性無機質充填材(成分C)、および、繊維状無機質強化材(成分D)を含有してなるポリアミド樹脂組成物であって、成分Aと成分Bとの合計量100重量部に対して、成分Bの含有量が0.5〜20重量部、および、成分Cの含有量が0.05〜10重量部であり、かつ、ポリアミド樹脂組成物に対する成分Cと成分Dの含有割合が5〜65重量%であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. ポリアミドMX樹脂(成分A)が、20重量%まで脂肪族ポリアミドで置換されたものである、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 繊維無機質強化材(成分D)がガラス繊維である、請求項1または請求項2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. ポリアミドMX樹脂(成分A)、ポリオレフィン系樹脂(成分B)、粒状等方性無機質充填材(成分C)、および、繊維状無機質強化材(成分D)とを含有してなるポリアミド樹脂組成物よりなる成形品であって、成分Aと成分Bとの合計量100重量部に対して、成分Bの含有量が0.5〜20重量部、および、成分Cの含有量が0.05〜10重量部であり、かつ、ポリアミド樹脂組成物に対する成分Cと成分Dの含有割合が5〜65重量%とされてなるポリアミド樹脂組成物より製造されたものであることを特徴とする成形品。
  5. 成形品が、平均厚さが5mm以上のものである、請求項4に記載の成形品。
JP2010276820A 2010-12-13 2010-12-13 ポリアミド樹脂組成物および成形品 Pending JP2011052230A (ja)

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