JP2011051046A - 加工方法及び加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転砥石を使用して乾式加工を行っても、回転砥石に目詰まりが生じにくい加工方法、及び、該加工方法に適した加工装置を提供する。
【解決手段】加工方法は、砥石本体を、砥石本体の重心を通る第一軸周りに回転させると共に、第一軸とは軸方向が異なる第二軸周りに回転させながら、砥石本体を被加工体に押し込むものである。加工装置1は、砥石本体10と、砥石本体の重心を通る第一軸P1を軸心とし、砥石本体と一体的に回転する回転支軸11と、回転支軸を回転させる第一回転駆動装置14と、回転支軸を砥石本体の両側で回転自在に挿通させる一対の支持体12と、支持体を、第一軸とは軸方向が異なる第二軸P2周りに回転させる第二回転駆動装置19とを具備する。
【選択図】図1
【解決手段】加工方法は、砥石本体を、砥石本体の重心を通る第一軸周りに回転させると共に、第一軸とは軸方向が異なる第二軸周りに回転させながら、砥石本体を被加工体に押し込むものである。加工装置1は、砥石本体10と、砥石本体の重心を通る第一軸P1を軸心とし、砥石本体と一体的に回転する回転支軸11と、回転支軸を回転させる第一回転駆動装置14と、回転支軸を砥石本体の両側で回転自在に挿通させる一対の支持体12と、支持体を、第一軸とは軸方向が異なる第二軸P2周りに回転させる第二回転駆動装置19とを具備する。
【選択図】図1
Description
本発明は、回転砥石を使用した加工方法、及び、該加工方法に適した加工装置に関するものである。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)など繊維強化複合材料は、高強度で弾性率が高いため耐衝撃性に優れると共に軽量である等の長所を有することから、航空機の部材や自動車のボディなどへの利用が期待されている材料であるが、高強度の繊維が絡み合っているため穿孔加工などの切削加工が困難である。このような難加工性材料の場合、通常の金属材料の加工に用いられる切削工具では、磨耗するのが極めて早いため、ダイヤモンド粒子がコーティングされた切削工具が使用されることがある。ところが、かかる切削工具の使用はコストが嵩むという問題がある。
そこで、炭化ケイ素、立方晶窒化ホウ素、溶融アルミナなど、非常に硬いがダイヤモンドほど高価ではないセラミックスの粒子を結合剤で結合し、焼成した回転砥石を使用して、難加工材料を加工する技術の開発が進められている。しかしながら、回転砥石を使用して研削を行う場合は、砥石に目詰まりが生じやすく、短時間の使用で研削能が低下してしまうという問題がある。すなわち、図8(a),(b)に示すように、ドリルによる穿孔と同様の態様で回転砥石Tを自転させて孔h1をあける場合、砥石は全周で被加工体Wと接触し、砥石の表面が研削粉と擦り合わされるように回転するため、研削粉が砥粒間に入り込んで容易に目詰まりしてしまう。
また、穿孔加工として、図9(a),(b)に示すように、回転砥石Tを軸A1周りに自転させると同時に、加工すべき孔h2の中心軸A2周りに公転させながら孔h2の深さ方向に回転砥石Tを送ることにより螺旋状に研削を行う、いわゆるヘリカル加工が行われることがある(例えば、特許文献1参照)。一般的に、研削粉は砥石の自転軸に垂直な方向に飛散しやすいが、図9に例示したヘリカル加工では、回転砥石Tの自転軸A1と公転軸A2とが平行であるため、研削粉は加工される孔h2の内周面に付着しやすい。そして、研削粉が付着した孔h2の内周面に沿って、回転砥石Tが螺旋状に移動することとなるため、研削粉が砥粒間に入り込みやすく容易に目詰まりが生じてしまう。
ここで、砥石の目詰まりを防止するために、液体で研削粉を洗い流しながら研削を行う湿式加工が公知である。しかしながら、湿式加工では、研削粉と液体とが混合した汚泥が被加工体の隙間などに入り込んでこびり付きやすく、加工後の洗浄工程が必須である。そのため、洗浄工程のために労力や経費がかかるという問題がある。特に、航空機部品など、被加工体が大型の場合は、洗浄工程に必要な設備が大掛かりとなると共に、労力や経費も多大となる。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、回転砥石を使用して乾式加工を行っても、回転砥石に目詰まりが生じにくい加工方法、及び、該加工方法に適した加工装置の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる加工方法は、「砥石本体を、該砥石本体の重心を通る第一軸周りに回転させると共に、前記第一軸とは軸方向が異なる第二軸周りに回転させながら、前記砥石本体を被加工体に押し込む」ものである。
上記構成により、軸方向が異なる二つの軸周りに砥石本体が回転することによって、一つの回転軸しか有しない砥石で加工する場合に比べて、砥石本体の表面において被加工体と接触する面積が増大する。そのため、本発明では、所定量の研削粉が生じる加工において、一つの回転軸しか有しない場合に比べて、砥石本体の単位表面積当たりの接触により生じる研削粉の量が少なく、その分、砥石表面の目詰まりが低減される。
また、第一軸は砥石本体の重心を通るため、砥石本体は第一軸周りに自転する。一般的に、被加工体が研削されて生じた研削粉は砥石本体の自転軸に直交する方向に飛散しやすいところ、本発明では第一軸と直交する方向は砥石本体の第二軸周りの回転に伴って変化する。そのため、砥石本体の回転軸が一つである場合に比べて、研削粉が飛散する方向が種々となり、被加工体に付着する研削粉が低減される。これにより、乾式で研削加工を行っても、砥石の表面に目詰まりが生じにくいものとなる。
本発明にかかる加工方法は、上記構成において、「前記第二軸を、前記砥石本体の重心を通ると共に前記第一軸と直交する直交軸と一致させる、または前記直交軸と平行とする」ものとすることができる。
上記構成により、本発明の加工方法で穿孔を行う場合、砥石本体の自転軸である第一軸は、加工される孔の内部空間を横切る方向となる。そのため、自転軸と直交する方向に飛散する研削粉は、孔の内周面に極めて付着しにくい。これにより、乾式で研削加工を行っても、砥石の表面に目詰まりが生じにくいものとなる。
ここで、「第二軸を、前記砥石本体の重心を通ると共に前記第一軸と直交する直交軸と一致させた」場合は、被加工体に、砥石本体における第二軸と直交する方向の最大幅と、ほぼ等しい直径の孔を穿設しやすい。一方、「第二軸を、前記直交軸と平行とする」場合は、砥石本体において第二軸と直交する方向の最大幅より、大径の孔を穿設することができる。なお、砥石本体を第一軸周りに回転させつつ第二軸周りに回転させることに加えて、孔の深さ方向に砥石本体を送ることにより、被加工体に貫通する孔をあけることができる。
本発明にかかる加工方法は、上記構成において、「前記第二軸を、前記第一軸と直角以外の角度で交差させる」ものとすることができる。
上記構成により、砥石本体は第一軸周りに回転しながら、“すりこぎ”のような運動をすることになる。従って、砥石本体の第一軸周りの自転によって被加工体が研削されて生じた研削粉は、第一軸と直交する方向に飛散しつつ、その方向がすりこぎ運動に伴って変化する。そのため、穿孔加工を行う場合であっても、研削粉は加工される孔の外側に飛散しやすく、孔の内周面には付着しにくい。これにより、乾式で穿孔加工を行っても、砥石の表面に目詰まりが生じにくいものとなる。
また、第一軸と第二軸とのなす角度によって、砥石本体のすりこぎ運動の軌跡円の直径が変化する。これにより、第一軸と第二軸とのなす角度を変化させることによって、加工される孔の直径を調整することができる。加えて、砥石本体を第一軸及び第二軸周りに回転させた状態で、被加工体に対して移動させることにより、或いは、被加工体を砥石本体に対して移動させることにより、円形に限定されない種々の形状の孔を加工することができる。
本発明にかかる加工方法は、上記構成に加えて、「前記砥石本体を、被加工体に穿設すべき孔の中心軸と一致する第三軸周りに回転させる」ものとすることができる。
上記構成により、被加工体を砥石本体に対して移動させることなく、砥石本体の最大幅を直径とする孔より大径の孔を、被加工体に穿設することができる。また、第三軸の位置の設定により、種々の直径の孔を被加工体に穿設することが可能となる。なお、砥石本体を第三軸周りに回転させながら、孔の深さ方向に砥石本体を送る螺旋状の運動をさせることにより、被加工体に貫通する孔をあけることができる。
本発明にかかる加工方法は、上記構成に加えて、「前記砥石本体を多孔質体とし、前記砥石本体に気体を供給しながら研削を行う」ものとすることができる。
炭化ケイ素、立方晶窒化ホウ素、溶融アルミナなど、非常に硬いセラミックス粒子を砥粒とし、結合剤で結合して焼成した砥石は、一般的に30体積%〜70体積%の空隙を有する多孔質体である。本発明では、このような「多孔質体」を砥石本体として使用する。また、「気体」としては、空気、アルゴンガス、窒素ガス等を使用可能である。
多孔質体である砥石本体に気体を供給することにより、気体は砥石本体内で連続する空隙を介して流通し、砥石本体の表面から噴出する。そのため、被加工体を研削することによって生じた研削粉は、噴出する気体によって吹き飛ばされる。これにより、乾式で研削加工を行ったとしても、研削粉が砥石本体の表面に付着して砥石表面に目詰まりが生じることを、有効に抑止することができる。なお、気体を砥石本体に供給する際、気体を圧送することとすれば、気体によって研削粉がより吹き飛ばされ易く好適である。
従って、本発明によれば、軸方向の異なる第一軸と第二軸周りに砥石本体を回転させるという砥石本体の運動によって、研削粉の目詰まりが生じにくいという作用効果が得られることに加えて、砥石本体の表面から気体を噴出させるによって、砥石表面に目詰まりが生じることを更に有効に抑制することができる。
次に、本発明にかかる加工装置は、「上記の加工方法に使用される加工装置であって、砥石本体と、該砥石本体の重心を通る第一軸を軸心とし、前記砥石本体と一体的に回転する回転支軸と、前記回転支軸を回転させる第一回転駆動装置と、前記回転支軸を前記砥石本体の両側で回転自在に挿通させる一対の支持体と、該支持体を、前記第一軸とは軸方向が異なる第二軸周りに回転させる第二回転駆動装置とを」具備するものである。
本発明では、第一軸を軸心とする回転支軸を支持体に支持させているが、支持体は回転支軸を回転自在に挿通させるものであって、支持体自体は第一軸周りには回転しない。そして、第二軸周りに支持体を回転させることにより、支持体を介して砥石本体が第二軸周りに回転する。このような構成により、第二回転駆動装置により砥石本体自体を第二軸周りに回転駆動する必要はなく、第二回転駆動装置によって支持体を回転駆動すれば足りる。すなわち、支持体を備えることにより、第一軸周りに回転する砥石本体を、第一軸とは軸方向の異なる第二軸周りに回転させることが容易となる。
従って、本発明によれば、上記の加工方法に適した加工装置を提供することができる。
本発明にかかる加工装置は、「前記第二軸は、前記砥石本体の重心を通ると共に前記第一軸と直交する直交軸と一致し、または前記直交軸と平行であり、前記第二軸を平行移動させる第二軸シフト装置を更に具備する」ものとすることができる。
本発明では、第一軸と直交する直交軸と第二軸が一致する、または平行であることにより、砥石本体の最大幅とほぼ等しい直径を有する孔から、それより少し大径の孔までを、穿設することができる。加えて、第二軸を直交軸と平行にシフトさせる第二軸シフト装置を備えていることにより、直交軸と第二軸との距離を変化させることができるため、一つの加工装置でありながら、種々の直径の孔を被加工体に穿設することができる。
以上のように、本発明の効果として、回転砥石を使用して乾式加工を行っても、回転砥石に目詰まりが生じにくい加工方法、及び、該加工方法に適した加工装置を提供することができる。
以下、本発明の第一実施形態である加工方法、及び、加工方法に適した加工装置1について、図1を用いて説明する。第一実施形態の加工方法は、砥石本体10を、砥石本体10の重心を通る第一軸P1周りに回転させると共に、第一軸P1とは軸方向が異なる第二軸P2周りに回転させながら、砥石本体10を被加工体に押し込むものであり、特に、第二軸P2を第一軸P1と直交する直交軸Zと一致させている。
かかる加工方法に適した加工装置1は、図1(a),(b)に示すように、砥石本体10と、砥石本体10の重心を通る第一軸P1を軸心とし砥石本体10と一体的に回転する回転支軸11と、回転支軸11を回転させる第一回転駆動装置と、回転支軸11を砥石本体10の両側で回転自在に挿通させる一対の支持体12と、支持体12を、砥石本体10の重心を通ると共に第一軸P1に直交する直交軸Zと一致させた第二軸P2周りに回転させる第二回転駆動装置とを具備している。
より詳細には、砥石本体10は円板状であり、その断面円の中心点を結んだ線が第一軸P1に相当する。そして、第一軸P1を軸心とする回転支軸11は砥石本体10を貫通しており、砥石本体10は回転支軸11の回転に伴い一体的に回転する。また、回転支軸11の両端は、砥石本体10を両側から挟み込むように配された一対の支持体12にそれぞれ回転自在に挿通されている。更に、一対の支持体12は基端側で一体となっていると共に、第二軸P2周りに回転する回転体13に取り付けられている。
ここで、回転体13を介して支持体12を第二軸P2周りに回転させる第二回転駆動装置(図示しない)としては、モータを利用可能であり、この場合、モータの回転軸の軸心が第二軸P2となる。また、第一回転駆動装置(図示しない)は、例えば、モータの回転軸の回転を、直交する方向の回転に変換する傘歯車、傘歯車の交差軸の回転を回転支軸11に伝達するプーリ及びベルトによって構成させることができる。
上記の構成により、第一回転駆動装置によって回転支軸11を回転させると共に、第二回転駆動装置によって回転体13を介して支持体12を回転させれば、砥石本体10は第一軸P1周りに回転しながら第二軸P2周りにも回転する。そして、その状態で砥石本体10を被加工体Wに押し込むことにより、被加工体Wに穿孔などの研削加工を行うことができる。
このとき、図1(b)に示すように、一対の支持体12間の距離dを、砥石本体10の第二軸P2に直交する方向の最大長さ、すなわち円板状の砥石本体10の断面円の直径Dより短い設定とすれば、貫通する孔をあける加工を行うことが可能となり、直径Dとほぼ等しい直径を有する孔を穿設することができる。
そして、穿孔加工に際しては、砥石本体10の第一軸P1周りの回転によって穿孔されるべき孔hの直径方向の二箇所が研削され、その研削点が第二軸P2周りに回転することによって孔hが形成される。そのため、図8を用いて上述したドリル様の動作による穿孔とは異なり、ある時点で砥石本体10がその全周にわたって加工される孔hの内周と接触していることはないため、砥石表面に目詰まりが生じにくい。また、研削によって生じた研削粉は、第一軸P1に直交する方向に飛散するため、加工される孔hの内周面には研削粉が付着しにくい。そのため、第二軸P2周りの回転に伴い砥石本体10が孔hの内周に沿って移動しても、砥石表面に目詰まりが生じにくい。
上記では、加工装置1の概念的な構成を図示して説明したが、より具体的な構成として、図1(c)に示す構成を例示することができる。すなわち、回転体13は円筒状であり、同じく円筒状の外筒体18の内部に収容されている。この外筒体18には第二回転駆動装置たるモータ19が支持されており、その回転軸19pの軸心は第二軸P2と一致すると共に、回転軸19pは外筒体18の内部に延ばされて、その先端に回転体13が取り付けられている。また、回転体13の内部には、その内周壁に第一回転駆動装置たるモータ14が支持されており、モータ14の回転軸14pの軸心は第一軸P1と平行である。そして、回転軸14pと一体的に回転するプーリ15と回転支軸11と一体的に回転するプーリ17には、ベルト16が架け渡されている。
かかる構成により、砥石本体10を支持している支持体12は回転体13を介してモータ19により回転駆動され、第二軸P2周りに回転する。また、モータ14の回転軸14pの回転は、プーリ15、ベルト16、及びプーリ17を介して回転支軸11に伝達され、その回転により砥石本体10が第一軸P1周りに回転する。なお、回転体13に支持されていることにより回転する構成であるモータ14への電力の供給は、モータ14に接続された正負一対のブラシ14bと、外筒体18の内周面に沿って取り付けられた正負一対の円環状の電気伝導板18aを介して行うことが可能である。
次に、第二実施形態の加工方法、及び、加工方法に適した加工装置2a,2bについて、図2及び図3を用いて説明する。なお、第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第二実施形態の加工方法は、砥石本体10を、砥石本体10の重心を通る第一軸P1周りに回転させると共に、第一軸P1とは軸方向が異なる第二軸P2周りに回転させながら、砥石本体10を被加工体に押し込むものであり、特に、第二軸P2を、砥石本体10の重心を通ると共に第一軸P1と直交する直交軸Zと平行とするものである。
また、加工装置2aは、図2(a)に示すように、第二回転駆動装置によって回転駆動される回転体13の回転軸である第二軸P2が、砥石本体10の重心を通らず、直交軸Zと平行となっている点で第一実施形態の加工装置1と相違し、その他の構成は加工装置1と同様である。なお、第二軸P2は、砥石本体10の重心を通らないが第一軸P1と直交して直交軸Zと平行である場合と、砥石本体10の重心を通らず第一軸P1とも交差しないが直交軸Zと平行である場合があり得るが、図2では前者の場合を例示している。
かかる加工方法によれば、砥石本体10の断面円の直径Dより大きな直径の孔を穿設することができる。すなわち、図2(b)に示すように、直交軸Zと第二軸P2との距離がLのとき、砥石本体10が第二軸P2周りに回転する軌跡円の直径D2はD+2Lに等しい。従って、本実施形態の加工方法によれば、D2とほぼ等しい直径の孔を穿設することができる。
第二実施形態の加工方法において、直交軸Zと第二軸P2との距離Lを可変とすれば、加工すべき孔の直径に対応して、砥石本体10が第二軸P2周りに回転する軌跡円の直径を変えることができる。このような加工方法は、次の構成の加工装置2bによって実現することができる。加工装置2bは、図3に示すように、砥石本体10と、砥石本体10の重心を通る第一軸P1を軸心とし砥石本体10と一体的に回転する回転支軸11と、回転支軸11を回転させる第一回転駆動装置と、回転支軸11を砥石本体10の両側で回転自在に挿通させる一対の支持体12と、支持体12を、砥石本体10の重心を通ると共に第一軸P1と直交する直交軸Zと平行とされた第二軸P2周りに回転させる第二回転駆動装置と、第二軸P2を平行移動させる第二軸シフト装置20とを具備している。
すなわち、加工装置2bは概念的な構成として、支持体12と回転体13との間に、第二軸シフト装置20が配されている点で加工装置1と相違している。図3では、第二軸シフト装置20として、支持体12に固定されていると共に上面にスライド溝23が形成された第一スライド体21と、回転体13に固定されていると共に、スライド溝23内を摺動可能な突条24が底面に形成された第二スライド体22とを備える構成を例示している。
かかる構成より、図3(c)に示すように、第二スライド体22が第一スライド体21に対して相対的にスライドすることにより、回転体13は支持体12に対して相対的にスライドし、第二軸P2と直交軸Zとの距離Lを変えることができる。
次に、第三実施形態の加工方法、及び、加工方法に適した加工装置3について、図4を用いて説明する。なお、第一実施形態、第二実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。第三実施形態の加工方法は、砥石本体30を、砥石本体30の重心を通る第一軸P1周りに回転させると共に、第一軸P1とは軸方向が異なる第二軸P2周りに回転させながら、砥石本体30を被加工体Wに押し込むものであり、特に、第二軸P2を第一軸P1と直角以外の角度で交差させるものである。
また、加工装置3は、砥石本体30と、砥石本体30の重心を通る第一軸P1を軸心とし砥石本体30と一体的に回転する回転支軸11と、回転支軸11を回転させる第一回転駆動装置と、回転支軸11を砥石本体30の両側で回転自在に挿通させる一対の支持体12と、支持体12を、第一軸P1とは軸方向が異なる第二軸P2周りに回転させる第二回転駆動装置とを具備している。図4では、砥石本体30が球形であると共に、直交軸Zを軸心とする取付軸部33に支持体12が取り付けられており、第二軸P2を軸心として回転する回転軸部38が、多関節部37を介して取付軸部33に連結されていることにより、第二軸P2が第一軸P1と直角以外の角度で交差している場合を例示している。
かかる構成により、第一回転駆動装置によって回転支軸11を回転させると共に、第二回転駆動装置によって回転軸部38及び取付軸部33を介して支持体12を回転させれば、砥石本体30は第一軸P1周りに回転しながら第二軸P2周りにも回転する。その状態で、例えば、面取り加工や孔縁の整形加工を行うことができる。
次に、第四実施形態の加工方法、及び、加工方法に適した加工装置4a,4bについて、図5及び図6を用いて説明する。第四実施形態の加工方法は、砥石本体40を、砥石本体40の重心を通る第一軸P1周りに回転させると共に、第一軸P1とは軸方向が異なる第二軸P2周りに回転させながら、砥石本体40を被加工体Wに押し込むものであり、特に、第二軸P2を、第一軸P1と直角以外の角度で交差させるものである。
より詳細には、図5(a)に示すように、加工装置4aでは第一回転駆動装置41の回転軸42に砥石本体40が取り付けられており、回転軸42の軸心が第一軸P1となる。また、多軸ハンド等を使用し、第一軸P1と直角以外の角度で交差する第二軸P2周りに、第一回転駆動装置41ごと砥石本体40を回転させることにより、砥石本体40は第一軸P1周りに回転しながら第二軸P2周りに回転する。その状態で、図6(a)に示すように、砥石本体40を移動させれば、被加工体Wに移動軌跡に沿った種々の形状の孔を加工することができる。
また、図6(b)に示すように、第一軸P1、第二軸P2に加え、被加工体Wに穿設すべき孔hの中心軸と一致する第三軸P3周りにも砥石本体40を回転させて、加工を行うこともできる。このような構成とすることにより、砥石本体40を第一軸P1周りに自転させると共に第二軸P2周りに回転させながら、加工すべき孔hの内周面に沿って第三軸P3周りに公転させつつ孔の深さ方向に送る、いわゆるヘリカル加工を行うことにより、被加工体Wに孔hを穿設することができる。このとき、砥石本体40が二つの異なる軸周りに回転することにより、研削粉は孔hの内周面に付着しにくい。これにより、砥石本体40が第三軸P3周りの回転により孔hの内側面に沿って移動しても、砥石表面に目詰まりが生じにくいものとなっている。
なお、加工装置4aでは、砥石本体40の形状として、縦断面形状が紡錘形状である場合を例示したが、これに限定されず、例えば図5(b)に示すように、球形の砥石本体45を有する加工装置4bとすることもできる。
次に、第五実施形態の加工方法について説明する。第五実施形態の加工方法は、上記に記載の構成に加えて、砥石本体50,60を多孔質体とし、砥石本体50,60に空気を供給しながら研削を行うものである。
かかる構成の加工方法を使用する加工装置5aは、例えば、図7(a)に示すように、多孔質体で形成された砥石本体50と、砥石本体50に挿通され砥石本体50内において管壁に複数の貫通孔53が設けられたパイプ51と、第一駆動装置による駆動により第一軸P1周りに回転する回転体52と、回転体52とパイプ51との間に介設されたロータリージョイント54とを具備する構成とすることができる。ここで、ロータリージョイント54は、回転体52及びパイプ51と一体的に回転する回転部と、回転部の回転によっては回転しない固定部とを有し、パイプ51内部と連通した空気供給口55が固定部に設けられている。これにより、外部の固定配管から空気供給口55に空気を供給する空気供給管90が、回転体52及びパイプ51の回転によってねじれを生じることなく、パイプ51内に空気を導入することができる。
また、第五実施形態の加工方法を使用する加工装置として、図7(b)に示す加工装置5bを使用することもできる。加工装置5bは、多孔質体で形成された円板状の砥石本体60と、第一回転駆動装置の駆動により砥石本体の重心を通る第一軸P1を軸心とし砥石本体60と一体的に回転する回転支軸61と、回転支軸61を砥石本体60の両側で回転自在に挿通させる一対の支持体62と、第二回転駆動装置の駆動により砥石本体60の重心を通ると共に第一軸P1と直交する第二軸P2周りに支持体62と一体的に回転する回転体63と、回転体63と支持体62との間に介設されたロータリージョイント64と、回転支軸61に挿通され砥石本体60内において管壁に複数の貫通孔66が設けられたパイプ65と、パイプ65の端部に取り付けられたロータリージョイント67とを、主に具備している。
ここで、ロータリージョイント67において回転支軸61の回転に伴っては回転しない固定部には、空気導入管68の一端がパイプ65の内部空間と連通するように接続されている。また、空気導入管68の他端は、ロータリージョイント64において回転体63の回転に伴って回転する回転部に接続されていると共に、ロータリージョイント64の固定部に設けられた空気供給口69を介して外部の固定配管から空気を供給する空気供給管90と連通している。このような構成により、回転支軸61の第一軸P1周りの回転、回転体63及び支持体62の第二軸P2周りの回転によって、空気供給管90及び空気導入管68にねじれを生じることなく、パイプ65内空間に空気を導入することができる。
上記構成の加工措置5a,5bでは、空気をそれぞれ空気供給口55,69を介してパイプ51,65内に導入することにより、空気は貫通孔53,66から砥石本体50,60内部に供給される。そして、空気は砥石本体50,60内の空隙を流通し、砥石本体50,60の表面から噴出する。これにより、砥石本体50,60の表面に付着している研削粉が空気の噴出に伴って吹き飛ばされ、砥石表面の目詰まりがより生じにくいものとなる。
なお、砥石本体50,60において、被加工体Wの研削には使用されない非研削面50s,60sは、樹脂などをコーティングすることにより、表面に沿って所定の深さまで空隙を充填しておくこともできる。これにより、砥石本体50,60内部に供給した空気が非研削面50s,60sから噴出する無駄を排し、研削に使用される砥石表面のみから空気を噴出させることによって、供給した空気を有効に使用して目詰まりを防止することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、本発明は、乾式で研削を行っても砥石本体の表面に目詰まりが生じにくいという優れた作用効果を奏し、上記では、乾式で研削を行う実施形態のみを例示したが、湿式で研削を行うことを排除したものではない。また、第五実施形態では、多孔質体で形成した砥石本体50,60に空気のみを供給し、空気の噴出によって研削粉を吹き飛ばす場合を例示したが、これに限定されない。例えば、空気と共に水滴や水蒸気を噴出させることができ、これにより、研削加工によって加熱された砥石本体50,60や被加工体を冷却することができる。
10,30,40,45,50,60 砥石本体
1,2a,2b,3,4a,4b,5a,5b 加工装置
11,61 回転支軸
12,62 支持体
14,41 第一回転駆動装置
19 第二回転駆動装置
20 第二軸シフト装置
P1 第一軸
P2 第二軸
P3 第三軸
Z 直交軸
W 被加工体
h 穿設すべき孔
1,2a,2b,3,4a,4b,5a,5b 加工装置
11,61 回転支軸
12,62 支持体
14,41 第一回転駆動装置
19 第二回転駆動装置
20 第二軸シフト装置
P1 第一軸
P2 第二軸
P3 第三軸
Z 直交軸
W 被加工体
h 穿設すべき孔
Claims (7)
- 砥石本体を、該砥石本体の重心を通る第一軸周りに回転させると共に、前記第一軸とは軸方向が異なる第二軸周りに回転させながら、前記砥石本体を被加工体に押し込む
ことを特徴とする加工方法。 - 前記第二軸を、前記砥石本体の重心を通ると共に前記第一軸と直交する直交軸と一致させる、または前記直交軸と平行とする
ことを特徴とする請求項1に記載の加工方法。 - 前記第二軸を、前記第一軸と直角以外の角度で交差させる
ことを特徴とする請求項1に記載の加工方法。 - 前記砥石本体を、被加工体に穿設すべき孔の中心軸と一致する第三軸周りに回転させる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の加工方法。 - 前記砥石本体を多孔質体とし、前記砥石本体に気体を供給しながら研削を行う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の加工方法。 - 請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載の加工方法に使用される加工装置であって、
砥石本体と、
該砥石本体の重心を通る第一軸を軸心とし、前記砥石本体と一体的に回転する回転支軸と、
前記回転支軸を回転させる第一回転駆動装置と、
前記回転支軸を前記砥石本体の両側で回転自在に挿通させる一対の支持体と、
該支持体を、前記第一軸とは軸方向が異なる第二軸周りに回転させる第二回転駆動装置と
を具備することを特徴とする加工装置。 - 前記第二軸は、前記砥石本体の重心を通ると共に前記第一軸と直交する直交軸と一致し、または前記直交軸と平行であり、
前記第二軸を平行移動させる第二軸シフト装置を更に具備する
ことを特徴とする請求項6に記載の加工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009200660A JP2011051046A (ja) | 2009-08-31 | 2009-08-31 | 加工方法及び加工装置 |
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JP2009200660A JP2011051046A (ja) | 2009-08-31 | 2009-08-31 | 加工方法及び加工装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019180873A1 (ja) * | 2018-03-22 | 2019-09-26 | 住友電工ハードメタル株式会社 | エンドミル |
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-
2009
- 2009-08-31 JP JP2009200660A patent/JP2011051046A/ja active Pending
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