JP2011048166A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】普通紙と塗工紙の両方に対して、記録材や加熱ニップの条件が多少変化しても、十分なしわの抑制効果を実現できる像加熱装置を搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】加圧ローラ52を長手方向の中央部で両端部よりも直径が大きい正クラウン形状とし、定着ローラ51よりも撓み易く形成する。加圧機構50は、加圧ローラ52の両端に印加する総圧力を高めることで、加熱ニップNの長手方向における両端部の加圧力を中央部よりも高くする第1の加圧モードを設定し、総圧力を低下させることで中央部の加圧力を両端部よりも高くする第2の加圧モードを設定する。制御部62は、加圧機構50を制御して普通紙の定着では第1の加圧モードを設定させ、塗工紙の定着では第2の加圧モードを設定させる。
【選択図】図2
【解決手段】加圧ローラ52を長手方向の中央部で両端部よりも直径が大きい正クラウン形状とし、定着ローラ51よりも撓み易く形成する。加圧機構50は、加圧ローラ52の両端に印加する総圧力を高めることで、加熱ニップNの長手方向における両端部の加圧力を中央部よりも高くする第1の加圧モードを設定し、総圧力を低下させることで中央部の加圧力を両端部よりも高くする第2の加圧モードを設定する。制御部62は、加圧機構50を制御して普通紙の定着では第1の加圧モードを設定させ、塗工紙の定着では第2の加圧モードを設定させる。
【選択図】図2
Description
本発明は、加熱処理する記録材の種類に応じて加熱ニップの長手方向の圧力分布を変更可能な像加熱装置を搭載した画像形成装置、詳しくは画像面に塗工層を有する記録材のしわ発生を抑制する制御に関する。
トナー像が転写された記録材を加熱部材と加圧部材の加熱ニップで搬送して記録材にトナー像を熱定着させる定着装置を搭載した画像形成装置が広く用いられている。像加熱装置は、このような定着装置の他に、半定着又は定着済み画像を担持した記録材を加熱処理して光沢度等を調整する画像仕上げ装置を含む。
像加熱装置は、大きな加圧力を印加して記録材を搬送するため、加熱ニップと記録材のわずかな条件の違いで、記録材に各種のしわが発生する。代表的なしわの1つである後端しわは、記録材の中央が両端よりも早く送られて後端中央に形成される。別の1つであるあばらしわは、記録材の両端が早く送られて伸びることにより記録材がワカメ状に変形し、その変形がプレスされて両端に形成される。
そして、近年、厚紙、薄紙、塗工紙といった表面の性質が異なる多種類の記録材が画像形成装置で用いられている。特許文献1には、フルカラー画像の光沢度を画像面全体で均一にするために、画像面に塗工処理をした記録材が示される。このため、普通紙でしわが発生しない加熱ニップでも、このような特殊な記録材に切り替えられると、しわが発生し易くなる場合がある。逆に、特殊な記録材でしわができないように加熱ニップを設計すると、今度は普通紙でしわが発生したり、紙詰まりが発生したりする場合がある。
このような記録材の変更に伴うしわの発生を抑制するために、画像形成装置の像加熱装置には各種の対策が施されている(特許文献2〜4)。
特許文献2には、逆クラウン形状(鼓型)の支持ローラで内側面を支持した定着ベルト(加熱部材)に、正クラウン形状(太鼓型)の加圧ローラ(加圧部材)を圧接して記録材の加熱ニップを形成する像加熱装置が示される。これにより、薄い塗工紙を用いた場合でも、普通紙を用いた場合でも、後端しわとあばらしわの両方を抑制できる。
特許文献3には、加熱部材(定着ローラ)に加圧部材(加圧ローラ)を圧接して形成した加熱ニップの加圧力を二段階に切り替え可能な像加熱装置が示される。ここでは、記録材の厚さと種類とを制御部が自動判別して、厚い記録材の場合には加熱ニップの加圧力を高くし、薄い記録材に対しては加圧力を低下させている。
特許文献4には、加熱部材(定着ローラ)に加圧部材(加圧ローラ)を圧接して形成される加熱ニップの長手方向の圧力分布を複数通りに変更可能な像加熱装置が示される。
特許文献2に示されるように、普通紙と塗工紙の両方に対して共通の加熱ニップを適用した場合、普通紙と塗工紙の両方に対して、いずれも十分にはしわの抑制効果を期待できないことが判明した。しわを抑制できる記録材の範囲が狭く、普通紙の摩擦係数が異なったり、塗工紙の厚さを変更したりすると、記録材にしわが発生し易くなる。
塗工紙は、塗工層により表面の平滑性が高いため、加熱ニップで軽微なスリップを伴って加熱ニップを通過して普通紙、厚紙、薄紙とは異なる特殊な挙動を示す。また、塗工層を有し平滑度が高い場合でも、記録材の剛度が高い場合、記録材の変形つまりしわに至らない場合もある。このため、特に塗工紙においては平滑度と剛度により、加熱部材の形状、加圧部材の形状、加熱ニップの圧力分布等の最適な組み合わせが、普通紙、厚紙、薄紙とは大きく異なるからである。
本発明は、普通紙と塗工紙の両方に対して、記録材や加熱ニップの条件が多少変化しても、十分なしわの抑制効果を実現できる像加熱装置を搭載した画像形成装置を提供することを目的としている。
本発明の画像形成装置は、記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、記録材を挟持搬送しながらトナー像を加熱するためのニップ部を形成する一対の回転部材と、前記ニップ部の幅方向両端部の圧力を幅方向中央部よりも高くする第1の加圧モードと前記ニップ部の幅方向中央部の圧力を幅方向両端部よりも高くする第2の加圧モードを含む複数の加圧モードの中から1つを記録材の種類に応じて設定する設定手段とを有するものである。そして、前記設定手段は、記録材のベック平滑度/ガーレー剛度が所定値未満のとき前記第1の加圧モードに設定し、記録材のベック平滑度/ガーレー剛度が所定値以上のとき前記第2の加圧モードに設定する。
本発明の画像形成装置では、ベック平滑度/ガーレー剛度の数値が低い、塗工処理されていない記録材に対しては第1の加圧モードを設定して、加熱ニップの両端部の加圧力を中央部よりも高くすることにより、後端しわの発生を確実に阻止する。
しかし、ベック平滑度/ガーレー剛度の数値が高い、塗工処理がされた記録材に対しては、第2の加圧モードを設定して、加熱ニップの中央部の加圧力を両端部よりも高くするので、第1の加圧モードを設定した場合に比較して、表面のスリップにより発生するしわ発生を抑制できる。
従って、普通紙と塗工紙の両方に対して、適正範囲の中心に加熱ニップの諸条件を設定できるため、記録材や加熱ニップの条件が多少変化しても、十分なしわの抑制効果を実現できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、塗工紙と普通紙とで加熱ニップの長手方向の圧力分布が変更される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、本発明は、中間転写体方式、記録材搬送体方式、感光体から記録材へ枚葉式にトナー像を転写する方式、タンデム型、1ドラム型、フルカラー、モノクロの区別無く実施できる。本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
また、画像形成装置に搭載される像加熱装置は、加熱ローラに加圧ローラを圧接した組み合わせに限らず、加熱ベルトに加圧ローラ、加熱ローラに加圧ベルト、加熱ベルトに加圧ベルトの組み合わせでもそれぞれ実施できる。
なお、特許文献1〜4に示される画像形成装置及び像加熱装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
<実施例1における画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト130に沿ってブラックの画像形成部PKを配置した中間転写ベルト方式モノクロプリンタである。
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト130に沿ってブラックの画像形成部PKを配置した中間転写ベルト方式モノクロプリンタである。
画像形成部PKは、感光ドラム3の周囲に、帯電ローラ2、露光装置5、現像装置1、一次転写ローラ24、クリーニング装置4を配置している。感光ドラム3は、帯電極性が負極性の感光層を形成した金属円筒で構成され、所定のプロセススピードで矢印R1方向に回転する。
帯電ローラ2は、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加されて感光ドラム3の表面を一様な負極性の電位に帯電させる。露光装置5は、帯電した感光ドラム3の表面に画像の静電像を書き込む。現像装置1は、二成分現像剤を攪拌して帯電させ、負極性に帯電したトナーで感光ドラム3Yの静電像を反転現像する。
一次転写ローラ24は、中間転写ベルト130の内側面を押圧して感光ドラム3と中間転写ベルト130との間に一次転写部を形成する。一次転写ローラ24に正極性の直流電圧を印加することにより、感光ドラム3に担持されたトナー像が中間転写ベルト130に一次転写される。クリーニング装置4は、中間転写ベルト130への一次転写を逃れて感光ドラム3に連れ回る転写残トナーを回収する。
二次転写ローラ11は、対向ローラ14に内側面を支持された中間転写ベルト130に当接して二次転写部T2を形成する。二次転写部T2は、トナー像を担持した中間転写ベルト130に重ね合わせて記録材Pを挟持搬送し、二次転写ローラ11に正極性の直流電圧を印加することで、中間転写ベルト130から記録材Pへトナー像が二次転写される。
記録材カセット20から引き出されて分離ローラ21で1枚ずつに分離された記録材Pは、レジストローラ12で待機し、中間転写ベルト130のトナー像にタイミングを合わせて、二次転写部T2へ送り出される。
二次転写部T2でトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置9で加熱加圧を受けて、表面にトナー像を定着された後に、排出ローラ23を通じて筐体外部へ排出される。ベルトクリーニング装置19は、中間転写ベルト130にクリーニングブレードを当接させて、二次転写部T2を通過して中間転写ベルト130に残留した転写残トナーを除去する。
画像形成装置100は、記録材Pとして普通紙を用いる普通紙モードと塗工処理がされた塗工紙を用いる塗工紙モードとを、操作パネル106又はパソコンの印刷画面を通じて選択できる。そして、普通紙モードが選択されるとプロセススピードが300mm/secに設定されるが、塗工紙モードが選択されるとプロセススピードが普通紙モードの半分の150mm/secに低下される。
<定着装置>
図2は実施例1における定着装置の構成の説明図である。図3は加圧機構の説明図である。図4は加熱ニップの長手方向の圧力分布としわ発生の関係の説明図である。
図2は実施例1における定着装置の構成の説明図である。図3は加圧機構の説明図である。図4は加熱ニップの長手方向の圧力分布としわ発生の関係の説明図である。
画像形成装置100は、トナーにより形成された記録材P上の画像を加熱溶融して記録材に定着させるための定着装置9を備えている。定着装置9は加熱手段を内蔵した加熱部材に加圧部材を所定の圧力で圧接させて記録材の加熱ニップを構成している。そして、未定着トナー像が転写された記録材は、加熱ニップを通して搬送される過程で、加熱部材及び加圧部材から受ける熱と圧力で未定着トナー像を定着画像とする。
図2に示すように、定着装置9は、一対の回転部材の一例である定着ローラ51と加圧ローラ52とを圧接して記録材の加熱ニップNを形成する熱ローラ方式の定着装置である。
定着ローラ51は、外径がφ40mmのストレート形状の回転部材(ローラ部材)である。定着ローラ51は、両端を回転可能に支持された金属の円筒材料からなる芯金70の表面に30μm厚さのPFAチューブからなる離型層77を被覆して構成される。芯金70は、軟鋼を用い、加圧ローラ52が加圧されたときの撓み、及び熱容量を考慮して0.8mmの厚みである。芯金70の厚みは、0.5mm〜1.0mmが有効であり、0.7mm〜0.8mmがさらに有効である。
加圧ローラ52は、長手方向の中央部から両端部に向かって直径が減少する正クラウン形状の回転部材(ローラ部材)であって、長手方向の中央部の外径がφ35mm、両端部の外径がφ33mmである。
加圧ローラ52は、回転駆動される定着ローラ51に当接して従動回転する。加圧ローラ52は、外径φ20mmの軟鋼の棒状の芯金73の周囲にシリコンゴムからなる弾性層72を設け、弾性層72の表面を50μm厚さのPFAチューブからなる離型層74で被覆して形成される。
図3に示すように、加圧ローラ52の両端には、定着ローラ51に対する加圧力を変更可能な加圧機構50が配置され、普通紙の定着では、定着ローラ51に対して総圧1000N(100KgF)で加圧される。加圧機構50は、加圧を行うばね59の圧縮量を偏心カム60が変化させることで、定着ローラ51に対する加圧ローラ52の加圧力を変化させる。
定着ローラ51の内部には、定着ローラ51の内壁面を赤外線加熱する熱源としてのハロゲンランプヒータ56が非回転に配置されている。定着ローラ51の表面には、接触式の温度検知を行うサーミスタ57が配置されている。温度調節回路58は、サーミスタ57の検出温度に応じてハロゲンランプヒータ56への電力供給を制御することにより、定着ローラ51の表面温度を所定温度(例えば180℃)に温調を行って維持する。
定着装置9は、このように加圧力と加熱温度が調整された加熱ニップNで記録材Pの挟持搬送を行うことにより、熱と圧力によってトナーを記録材Pに定着させる。
ところで、一般的な定着装置においては、加熱ニップを記録材が搬送されることにより生じる記録材の変形の問題がある。代表的な変形としては、記録材が搬送過程で加熱ニップの長手方向の中央部へ寄ることにより、搬送方向に平行な折れ目ができる後端しわである。後端しわは、一般的に、加熱ニップにおいて中央部より両端部の搬送速度が速くなるようなローラ部材の外観形状を採用することで防止される。加熱ニップを形成する一対のローラ部材の少なくとも一方を、両端部の外径が中央部の外径よりも大きくなる逆クラウン形状、いわゆる鼓形状にすることが実施されている。
ここで、上述したように、特許文献2には、加熱部材と加圧部材の外観形状の組み合わせだけで普通紙と薄い塗工紙の両方で後端しわの抑制を両立できる提案がされている。ここでは、定着ベルトを張架する定着ローラに長手方向の両端部の外径を中央部よりも大きくする逆クラウン形状を採用している。そして、定着ローラに内側面を支持された定着ベルトに圧接して加熱ニップを形成する加圧ローラに長手方向の両端部の外径が中央部より小さい正クラウン形状(又は外径が均一なストレート形状)を採用している。
しかし、特許文献1に示される加熱部材と加圧部材の組み合わせは、塗工紙と普通紙とで後端しわの回避を両立できるクラウン形状の選択範囲が狭い。普通紙と塗工紙とでは後端しわを回避できる加熱部材と加圧部材の外径形状の組み合わせが違っているからである。そのため、ローラ部材の設計と加工に精度が要求され、加圧によるローラ部材の撓み量も厳密に管理する必要がある。また、画像形成の累積に伴うクラウン形状の変化やゴム材料の劣化によっても普通紙又は塗工紙で変形やしわが発生する可能性がある。
さらに、塗工紙は、画像面全体に高い光沢度を付与する使用目的からしても、トナー像の定着処理に関して、高光沢の定着条件が適用されることが多い。高光沢の定着条件では、搬送速度を低下させる(又は加熱部材の温調温度を上げる)ことにより、加熱ニップ内で画像面に与える熱量を増やして、トナーを十分に溶融させて加圧することにより、平滑な定着画像面を形成する。その結果、熱による塗工紙の変形が顕著になるため、後端しわを抑制できるローラ部材の外径形状の選択範囲がさらに狭くなる。
これに対して、特許文献3〜4では、記録材の個別の種類に適合させて加熱ニップの加圧力や長手方向の加圧力分布を最適化することで、記録材のしわ発生を抑制することが提案されている。しかし、特許文献3〜4で課題とされている厚紙、薄紙、封筒等への対応をそのまま利用したのでは、塗工紙でのしわ発生を十分に抑制できない。塗工紙に対しては、これらの記録材とも普通紙とも異なる特殊な加熱ニップの最適化が必要だからである。
一般に表面に塗工層を形成した塗工紙では、表面に接着剤と顔料を含む塗工剤が塗工されているため表面の平滑度が非常に高く、定着ローラの表面との摩擦力が低くなる傾向があり、加熱ニップにおいて非塗工紙とは異なる搬送挙動を示す。接着剤として、一般にビニル系重合体や共重合体類、メチルメタクリレート−ブタジエン系等の合成ゴムラテックス、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂等の合成高分子化合物が挙げられる。また、顔料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、構造性カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムが挙げられる。また、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、微粒子状珪酸カルシウム、微粒子状炭酸マグネシウム、微粒子状軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料も挙げられる。ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂並びにそれらの微小中空粒子や貫通孔型の有機顔料等も挙げられる。
また、記録材の剛性により同じ搬送挙動を示す記録材においても、記録材の変形つまりしわに至るかどうかが異なる。一般に記録材の剛度が低いほど、しわ発生に至り易い。これらの事象を考慮して実験を行った結果、記録材の平滑度/剛度をパラメーターにしわの発生発生感度があることがわかった。
具体的には、図4に示すように、平滑度/剛度が低い記録材では、普通紙同様に定着ニップ長手方向の両端の圧力を中央に対して高く設定することでしわの発生を回避可能である。一方、平滑度/剛度が高い記録材材では、定着ニップ長手方向の両端部より中央を高く設定することによりしわの発生を回避可能である。また、図4からわかるように、平滑度/剛度が165以上462以下の範囲では、定着ニップ長手方向の両端部の圧力を中央に対して高く設定しても、両端部より中央を高く設定しても、しわの発生がないことがわかった。
本実験では、以下の物性測定装置を用いてベック平滑度とガーレー剛度とを測定した。また、実験で使用した記録剤は、図4に示す平滑度/剛度が26以上150以下のものは非塗工紙であり、165以上のものは塗工紙である。
<平滑度測定装置>
熊谷理機工業株式会社製 ベック平滑度試験機 HF型
測定条件:JIS P 8119にて規定された条件
<剛度測定装置>
熊谷理機工業株式会社製 ガーレーステフネステスター
測定条件:TAPPI T−543pm−84
<平滑度測定装置>
熊谷理機工業株式会社製 ベック平滑度試験機 HF型
測定条件:JIS P 8119にて規定された条件
<剛度測定装置>
熊谷理機工業株式会社製 ガーレーステフネステスター
測定条件:TAPPI T−543pm−84
通常、非塗工紙である普通紙においては、ニップ部(N)の幅方向両端部の圧力を幅方向中央部よりも高くする(第1の加圧モードを設定する)ことにより、ニップ部(N)の通過時に中央部より両端部の搬送速度がより速くなる。結果、幅方向中央部から幅方向端部に向けての速度勾配により、記録材を中央部から端部に引っ張りつつ搬送するため後端しわの発生を防ぐことができる。
しかし、平滑度/剛度が高い記録材、特に塗工紙は、表面に塗工剤からなる塗工層を持つため定着ローラ51の表層との摩擦力が低くなる。このため、普通紙と同様に長手方向における中央部より両端部の加圧力が高い状態では中央部と比較して両端部の速度を上げることが困難である。
また、塗工紙は、表面の平滑度が高く摩擦力が低いために、普通紙と同様に、幅方向中央部よりも幅方向両端部の圧力が高い状態では、圧力勾配により圧力が高い両端部から低い中央部へ記録材がすべる。このため、記録材の剛度が低い場合にはしわ発生に至る場合がある。しかし、記録材の剛度が低い場合、図4に示すように、ニップ部(N)の幅方向中央部の圧力を幅方向両端部よりも高くする(第2の加圧モードを設定する)ことにより、しわを回避することが可能となる。
以上の理由により、普通紙と塗工紙とでは、加熱ニップNを通過するときに記録材の変形、とくにしわの発生を回避するために最適な加熱ニップNの長手方向の圧力分布が異なる。
そこで、本発明では、平滑度/剛度の関係を用いて定着ニップの長手圧分布を変更することが特徴である。以下に詳細を説明する。
図5は加熱ニップの長手方向の圧力分布と総圧力との関係の説明図である。図6は第1の加圧モードと第2の加圧モードの説明図である。図5に示すように、本実施例の定着装置9は長手方向の外径形状がストレート形状の定着ローラ51に、長手方向の外径形状が正クラウン形状の加圧ローラ52を当接させて加圧力を上げていく。
このとき、加圧ローラ52の両端に印加する総圧力が700N(70Kgf)以下の場合、加熱ニップNの長手方向の圧力分布は、中央部が高く両端部が低くなる。しかし、総圧力を上げていくと、加圧ローラ52の撓みが発生して、加熱ニップNの長手方向の圧力分布は、両端部のほうが中央部よりも高い状態になる。
このような特性を用いて、図6の(a)に示すように、平滑度/剛度が低い場合には、記録材が加熱ニップNを通過するときには、第1の加圧モードを適用して、総圧力を1000N(100KgF)とする。そして、図6の(b)に示すように、平滑度/剛度が高い記録材が加熱ニップNを通過するときには、第2の加圧モードを適用して、総圧力を600N(60Kgf)まで小さくすることで、圧力分布を第1の加圧モードとは変更している。
平滑度/剛度が高くて462を超えている場合、従来の画像形成装置とは逆に、定着装置9の加熱ニップNにおいて、平滑度/剛度が低くて165に満たない場合に適用される第1の加圧モードよりも総圧力を低下させた第2の加圧モードを設定する。また、平滑度/剛度が165以上462以下の範囲では、第1もしくは第2のどちらの加圧モードを設定してもしわの発生は回避可能であるため、第1の加圧モードと第2の加圧モードを切り替える所定値は、165以上462以下の範囲で設定可能である。しかし、実施例1では所定値を165として、165以上462以下の範囲では第2の加圧モードを選択している。ここで、平滑度/剛度は、上述したとおりベック平滑度/ガーレー剛度の実測値で規定している。
<実施例1の制御>
図7は実施例1の制御のブロック図である。図8は実施例1の制御のフローチャートである。図2を参照して図7に示すように、制御部62は、CPU101、ROM102、RAM103、及び画像処理部104を含む。
図7は実施例1の制御のブロック図である。図8は実施例1の制御のフローチャートである。図2を参照して図7に示すように、制御部62は、CPU101、ROM102、RAM103、及び画像処理部104を含む。
プリンタエンジン部107は、画像形成部PK、給紙部(20)、定着装置9等から構成される。CPU101は、プリンタエンジン部107の各部を制御しながら各種処理を行う。CPU101は、操作パネル106を通じた操作に応答して、ROM102に格納された各制御プログラムや各種データを用いてRAM103に呼び出し、RAM103を作業領域に用いて画像形成装置100の全体を制御する。画像処理部104は、不図示の画像読取装置(リーダ部)やネットワーク上から送られてくる入力画像信号を作像用画像データに分解する。
図7を参照して図8に示すように、画像形成動作がスタートすると、CPU101は、RAM103に格納された給紙部(20)に納められた記録材情報を取得する(S1)。この記録材情報は、記録材の種類、坪量の情報と共にROM102に記憶されていて、記録材の名称を選択することで必要な情報を取得できる。ROM102内には、記録材名称に記録材の平滑度と剛度の情報が関連付けられて保存されている。この記録材Pの情報は、給紙部情報として操作パネル106や、不図示のネットワークを介してユーザーがRAM103に書き込んだ情報である。
次に、CPU101は、取得した記録材Pの情報により記録材Pのベック平滑度/ガーレー剛度が所定値(165)以上か否かを判断する(S2)。ここで、記録材Pのベック平滑度/ガーレー剛度が所定値以上(165以上)の場合(S2のYES)、加圧機構50を作動させて、定着装置9に第2の加圧モードを設定する(S4)。これに対して、記録材Pのベック平滑度/ガーレー剛度が所定値未満(165を下回る)の場合(S2のNO)、加圧機構50を作動させて、定着装置9に第1の加圧モードを設定する(S3)。
次に、CPU101は、設定された加圧モードと記録材のその他の情報により得られたプロセススピードでプリンタエンジン部107を作動させて画像形成を行う(S5)。第2の加圧モードでは、記録材の加熱ニップ通過時間を第1の加圧モードよりも長くするように加熱部材及び加圧部材(51、52)の回転速度を低下させる。第1の加圧モード(普通紙モード)ではプロセススピードが300mm/secに設定されるが、第2の加圧モード(塗工紙モード)ではプロセススピードが150mm/secに設定される。
図1に示すように、画像形成部PKで形成されたトナー像は、中間転写ベルト130へ転写された後、記録材Pへ二次転写され、定着装置9で適正な圧力分布により記録材Pにしわを発生するとこなく定着画像とされる。
また、ユーザーが使用する記録材の名称がROM102に無い場合や、名称選択をしなかった場合には、非塗工紙の場合、第1の加圧モードを選択し、塗工紙の場合には第2の加圧モードを選択する。上記したように、一般に平滑度/剛度が低い記録材は非塗工紙に多く、平滑度/剛度が高い塗工紙が多い。また、中間にあたる平滑度/剛度が165以上462以下の記録材は、どちらの加圧モードにおいてもしわの発生はない。このため、非塗工紙と塗工紙が記録材の情報としてあれば、実質上、しわは発生を回避可能である。
画像形成終了後、上記したスタンバイ状態の加圧状態、実施例1では第1の加圧モードの加圧力に戻る。
また、通紙を行わないいわゆるスタンバイ状態では、実施例1では、通常、平滑度/剛度が165以下の定着条件である第1の加圧モードで定着ローラ51及び加圧ローラ52を停止して次のプリントを待機している。これは、一般的には、平滑度/剛度が165以下である非塗工紙のほうがプリント機会が多いため、第1の加圧モードで待機させたほうが切り替え時間を節約できるからである。しかし、使用条件として塗工紙での画像形成が多い場合には塗工紙に適用される第2の加圧モードで待機させることが好ましい。
また、待機時間が長い使用状況では、加圧ローラ52の変形を防止するために、総圧力をさらに減らした状態で待機させてもよい。スタンバイ状態での加圧ローラ52への熱伝導による消費電力を減らしたい場合には、加熱ニップNを離間した状態で待機させてもよい。
以上説明したように、実施例1では、加熱ニップNの長手方向における圧力分布を普通紙と塗工紙で最適に切り替えることにより、記録材Pにしわなどの変形を生じることなく、良好な定着画像が得られた。
<実施例2>
図9は実施例2における定着装置の説明図である。図10は実施例2における第1の加圧モードと第2の加圧モードの説明図である。
図9は実施例2における定着装置の説明図である。図10は実施例2における第1の加圧モードと第2の加圧モードの説明図である。
図9の(a)に示すように、実施例2では、加圧部材(52)の長手方向における弾性層(72)の端面を押圧して両端部の弾性層(72)の厚みを変化させる押圧部材(75)を有する。加熱ニップNの長手方向の圧力分布を変更する加圧機構としてリング状加圧部材75を設けている。
そして、押圧部材(75)を中央側へ移動させて、加圧時の両端部の弾性層(72)の厚みを増すことにより第1の加圧モードを設定する。また、押圧部材(75)を両端部側へ移動させて加圧時の両端部の弾性層(72)の厚みを減らすことにより第2の加圧モードを設定する。
これ以外の画像形成装置100、定着装置9の構成、温度設定等の制御は実施例1と同様であるため、実施例1と共通する構成及び制御には図1〜図8と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
加圧ローラ52の両端には、定着ローラ51に対する加圧力を普通紙の定着でも塗工紙の定着でも総圧600N(60KgF)とする加圧機構50Bが配置される。
加圧機構50Bによる総圧力が一定の条件下で加熱ニップNの長手方向の圧力分布だけを変更する機構として、加圧ローラ52の弾性層72を両端から中央へ向かって加圧するリング状加圧部材75を着脱可能に配置している。
すなわち、超音波アクチュエータ63は、芯金73に固定したステイター63aの斜面をロータ63bが矢印R6方向に回転することにより、リング状加圧部材75を矢印R5方向に移動させる。リング状加圧部材75が加圧ローラ52の弾性層72に密着すると加圧時の弾性層72が外側へ変形できなくなるので、両端部の弾性層72の加圧力が高まる。一方、リング状加圧部材75が加圧ローラ52の弾性層72から離間すると加圧時の弾性層72が外側へ変形して、両端部の弾性層72の加圧力が低下する。このようにして、加熱ニップNの長手方向の圧力分布を可変とする。
図10の(a)に示すように、第1の加圧モードでは、リング状加圧部材75を加圧ローラ52の弾性層72の端面に加圧して着状態とする。これにより、加圧ローラ52の弾性層72のゴムを長手方向の中央側へ押し込むため、加熱ニップNの長手方向の圧力分布は中央部よりも両端部が高くなる。
図10の(b)に示すように、第2の加圧モードでは、リング状加圧部材75を弾性層72の端面に接触させない脱状態にする。これにより、加熱ニップNの長手方向の圧力分布は中央部が両端部より高くなる。
制御部62は、リング状加圧部材75の着脱を制御して、平滑度/剛度が所定値未満(165未満)の記録材が加熱ニップNを通過するときには第1の加圧モードを設定する。しかし、所定値以上(165以上)の記録材が加熱ニップNを通過するときには第2の加圧モードを設定するとともに、普通紙の場合よりも加熱ニップNの搬送速度を低下させる。
以上説明したように、加熱ニップNに長手方向の圧力分布を普通紙と塗工紙とで最適な圧力分布に切り替えることにより、記録材にしわなどの変形を生じることなく良好な定着画像が得られた。
<実施例3>
本実施例は加圧部を内部からローラからる加圧ローラとパッド部材により加圧ベルトを加圧することで定着ニップを形成する定着装置における構成である。
本実施例は加圧部を内部からローラからる加圧ローラとパッド部材により加圧ベルトを加圧することで定着ニップを形成する定着装置における構成である。
<実施例3の画像形成装置>
図11は実施例3の画像形成装置の構成の説明図である。図11に示すように、画像形成装置100Cは、中間転写ベルト130に沿って画像形成部PY、PM、PC、PKを配置したタンデム型フルカラープリンタである。画像形成部PYでは、感光ドラム3Yにイエロートナー像が形成されて、中間転写ベルト130に一次転写される。画像形成部PMでは、感光ドラム3Mにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト130のイエロートナー像に重ねて一次転写される。画像形成部PC、PKでは、感光ドラム3C、3Kにそれぞれシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて、同様に中間転写ベルト130のトナー像に重ねて順次一次転写される。
図11は実施例3の画像形成装置の構成の説明図である。図11に示すように、画像形成装置100Cは、中間転写ベルト130に沿って画像形成部PY、PM、PC、PKを配置したタンデム型フルカラープリンタである。画像形成部PYでは、感光ドラム3Yにイエロートナー像が形成されて、中間転写ベルト130に一次転写される。画像形成部PMでは、感光ドラム3Mにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト130のイエロートナー像に重ねて一次転写される。画像形成部PC、PKでは、感光ドラム3C、3Kにそれぞれシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて、同様に中間転写ベルト130のトナー像に重ねて順次一次転写される。
中間転写ベルト130に担持された四色のトナー像は、二次転写部T2で記録材Pへ一括二次転写される。記録材カセット20から引き出された記録材Pは、分離ローラ21で1枚ずつに分離してレジストローラ12で待機し、中間転写ベルト130のトナー像にタイミングを合わせて、二次転写部T2へ送り出される。
二次転写部T2でトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置9Aで加熱加圧を受けて、表面にトナー像を定着された後に、排出ローラ23を通じて筐体外部へ排出される。
画像形成部PY、PM、PC、PKは、それぞれに付設された現像装置で用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部PKについて説明し、他の画像形成部PY、PM、PC、PKについては、説明中の符号末尾のKを、Y、M、Cに読み替えて説明されるものとする。また、画像形成部PKは、図1を参照して説明した画像形成部PKと同一のものであるため、図1の構成と共通する構成には図1と共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
画像形成部PKは、感光ドラム3Kの周囲に、帯電ローラ2K、露光装置5K、現像装置1K、一次転写ローラ24K、クリーニング装置4Kを配置している。帯電ローラ2Kは、感光ドラム3Kの表面を一様な負極性の電位に帯電させる。露光装置5Kは、帯電した感光ドラム3Kの表面に画像の静電像を書き込む。現像装置1Kは、感光ドラム3Kの静電像を反転現像する。
そして、一次転写ローラ24Kに正極性の直流電圧を印加することにより、感光ドラム3Kに担持されたトナー像が中間転写ベルト130に一次転写される。また、二次転写ローラ11に正極性の直流電圧を印加することで、中間転写ベルト130に担持されたトナー像が記録材Pへ二次転写される。
画像形成装置100は、記録材Pとして普通紙を用いる普通紙モードと塗工紙を用いる塗工紙モードとを、操作パネル106又はパソコンの印刷画面を通じて選択できる。そして、普通紙モードが選択されるとプロセススピードが300mm/secに設定されるが、塗工紙モードが選択されるとプロセススピードが普通紙モードの半分の150mm/secに低下される。
<実施例3における定着装置>
図12は実施例3における定着装置の構成の説明図である。図13は実施例3における加圧パッド及び板ばね部材の斜視図である。
図12は実施例3における定着装置の構成の説明図である。図13は実施例3における加圧パッド及び板ばね部材の斜視図である。
実施例3では、内部に複数の加圧部材(81、82)を持つ加圧ベルト(85)を定着ローラ(51C)に加圧して加熱ニップNを形成する。加圧部材(85)にベルト部材を用いることで、ローラ部材のように定着装置の断面を大きくすることなく、加熱ニップNの搬送方向の長さを広げている。その結果、カラーの画像形成や、高速の画像形成により有効である。
実施例3では、フルカラープリンタの画像形成装置100Cに搭載された定着装置9Aについて、普通紙に適用される第1の加圧モードと塗工紙に適用される第2の加圧モードとが切り替えられる。そして、定着装置9Aは、加熱部材としての定着ローラ51に加圧部材としての加圧ベルト85を圧接して加熱ニップNを形成する。
図12に示すように、定着ローラ51Aは、外径がφ60のストレート形状のローラである。定着ローラ51Aは、両端を回転可能に支持された肉厚3mmのアルミニウム円筒材料からなる芯金70の表面に厚さ1.5mmのシリコンゴムの弾性層76を設けている。弾性層76の表面は、30μm厚さのPFAチューブからなる離型層77を被覆している。
定着ローラ51の内部には、芯金70の内壁面を赤外線加熱するハロゲンランプヒータ56が非回転に配置され、定着ローラ51の表面には、温度検出を行うためのサーミスタ57が配置されている。温度調節回路58は、サーミスタ57の検出温度に応じてハロゲンランプヒータ56への電力供給を制御することにより、定着ローラ51の表面温度を所定温度(例えば180℃)に温調を行って維持する。
加圧ベルト85は、加圧ローラ81とテンションローラ86と加圧パッド82とに掛け渡して支持され、回転駆動される定着ローラ51Aに当接して従動回転する。加圧ベルト85は、厚さ70μmのポリイミド樹脂の無端状ベルト部材の表面に厚さ300μmのシリコンゴムの弾性層を形成し、弾性層の表面に厚さ30μmのPFAからなる離型層を形成している。
加圧ローラ81は、外径が長手方向の中央部においてφ20.5mm、両端部においてφ20mmの正クラウン形状のローラ部材であってステンレスからなる。
加圧パッド82は、定着ローラ51Aと加圧ローラ81との加圧時に加圧ベルト85の内側に形成される楔部に入り込むようにシリコンゴムで形成される。加圧ベルト85と加圧パッド82の間には、摺動性を保つための摺動シート87を配置している。摺動シート87は、厚さ100μmのポリイミド樹脂フィルムの表面にフッ素樹脂PTFEをコートしたシート材料である。
加圧パッド82は、ステンレスからなる梁状の支持部材84によって、クラウンスペーサ83を介して、長手方向で連続的に支持されている。支持部材84は、加圧ベルト85の外側で両端を支持機構80によって両持ち支持されている。加圧パッド82と支持部材84との間には、両端部の厚みが中央部よりも0.5mm薄い正クラウン形状の厚み分布を持たせた板状のクラウンスペーサ83が配置される。クラウンスペーサ83は、加圧パッド82の加圧ベルト85接触面の長手方向の中央部を両端部よりも高くする。
図13に示すように、加圧パッド82の上流には、加圧パッド上流端部を加圧する板ばね部材88を持つ。押圧部材の一例である板ばね部材88は、ベルト部材(85)の回転方向の上流側から下流側へ向かって両端部の弾性層(82)を押圧して上流側へ向かう弾性層(82)の変形量を規制する。このため、加圧機構80が偏心カム60を回転させて、加圧パッド82を押し上げる加圧力を上げていくと、支持部材84の中央部の撓み量とクラウンスペーサ83の厚み分布のバランスによって加圧パッド82の長手方向の圧力分布が変化する。
すなわち、加圧パッド82に印加する総圧力が300N以下(〜30Kgf)の場合は、加圧パッド82と板ばね部材88間の押し圧力が小さく、長手方向の圧力分布は中央が高く端部が低い第2の加圧モードとなる。
しかし、加圧パッド82に印加する総圧力が500N以上(50KgF〜)になると、加圧パッド82が加圧されて上流側へ大きく変形するが、長手方向の両端部では、板ばね部材88によって変形が押し戻される。このため、定着ローラ51Aへ向かう圧力が高まって、加圧パッド82の長手方向における圧力分布は、両端部の加圧力が中央部よりも高い第1の加圧モードとなる。
制御部62は、加圧パッド82のこのような特性を用いて、平滑度/剛度が165を下回る記録材が加熱ニップを通過するときには加圧機構80の加圧力を高くして第1の加圧モードを設定する。加熱部材(51A)と加圧部材(82)と間に印加される総圧力を高めて中央部よりも両端部で弾性層(82)の圧力を高めることにより、第1の加圧モードを設定する。しかし、平滑度/剛度が165以上の記録材が加熱ニップを通過するときには加圧力を低くする。また、総圧力を低下させて中央部よりも両端部で弾性層(82)の圧力を低下させることにより第2の加圧モードを設定する。
実施例3の定着装置9Aは、加圧パッド82の下にクラウンスペーサ83を配置し、加圧パッド82の長手方向の両端部に板ばね部材78を配置することで、加圧パッド82に印加する総圧力で圧力分布を変更可能にしている。
そして、実施例1と同様に、平滑度/剛度165未満の記録材が加熱ニップNを通過するときには、第1の加圧モードを用いて加熱ニップNの長手方向における両端部の加圧力を中央部よりも高く設定する。しかし、平滑度/剛度が165以上の記録材が加熱ニップNを通過するときには、第2の加圧モードを適用して中央部の加圧力を両端部よりも高く設定するとともに、普通紙の場合よりも搬送速度を低下させる。これにより、定着処理に伴って記録材にしわが発生するとこなく良好な定着画像を得られる。
実施例3によれば、加圧ベルト85を用いた定着装置9Aにおいても、加熱ニップNの長手方向の圧力分布を平滑度/剛度の値によりそれぞれ最適に切り替えることにより記録材にしわなどの変形を生じることなく良好な定着画像が得られる。
<実施例4>
図14は実施例4の定着装置の構成の説明図である。実施例4では、起動時の立ち上がりが早いクイックスタート方式(あるいはオンデマンド方式)の像加熱装置での本発明の応用を説明する。特開2000−29334号公報には、支持部材に固定したヒータ部材に摺擦して回転するフィルム状のベルト部材の外側面に駆動ローラを圧接して記録材の加熱ニップを形成するクイックスタート方式の定着装置が示される。
図14は実施例4の定着装置の構成の説明図である。実施例4では、起動時の立ち上がりが早いクイックスタート方式(あるいはオンデマンド方式)の像加熱装置での本発明の応用を説明する。特開2000−29334号公報には、支持部材に固定したヒータ部材に摺擦して回転するフィルム状のベルト部材の外側面に駆動ローラを圧接して記録材の加熱ニップを形成するクイックスタート方式の定着装置が示される。
図14に示すように、定着ベルト51Dの回転ガイド部材として断面形状が概略円弧状に形成されたニップ形成部材51bの下面に、セラミックヒータからなるヒータ56Dが固定されている。ヒータ56Dは、ニップ形成部材51bの下面に形成した溝部に嵌め入れて耐熱性接着剤等により固定してある。
定着ベルト51Dは、円筒状の耐熱性のベルト部材であり、ニップ形成部材51bに対してルーズに外嵌させてある。定着ベルト51Dは、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために薄く形成され、Ni金属層の内面にPI樹脂をコーティングする一方、外面に、弾性層としてシリコンゴム層を設けている。
ステー51cは、ニップ形成部材51bの内側に配設した梁状の加圧部材であり、ニップ形成部材51bの長手方向の全長に密着して加熱ニップを加圧し、ニップ形成部材51bの撓みを抑制している。ステー51cは、定着ベルト51Dを貫通した両端が加圧機構50Dによって両持ち支持され、加圧機構50Dは、加熱ニップNに印加する総圧力を2段階に切り替え可能である。
加圧ローラ52は、駆動モータ61によって回転駆動されるローラ部材である。加圧ローラ52の回転に伴って、固定のニップ形成部材51bの周囲を、定着ベルト51Dが従動回転する。加圧ローラ52は、実施例1のものと同一に構成され、芯金73の外周面に弾性層72を配置し、弾性層72には、長手方向の両端部から中央部へ向かって直径が大きくなる正クラウン形状が形成されている。
このように構成された実施例4の定着装置9Dにおいても、実施例1と同様に、図8のフローチャートに従って加熱ニップNの長手方向の加圧力分布が記録材の種類に応じて調整される。記録材Pが塗工紙の場合、加圧機構50Dを作動させて定着装置9Dに第2の加圧モードを設定するとともに、普通紙の場合よりも搬送速度を低下させる。これに対して、記録材Pが普通紙の場合、加圧機構50Dを作動させて定着装置9Dに第1の加圧モードを設定する。
50 加圧機構、51 定着ローラ、52 加圧ローラ
56 ハロゲンランプヒータ、57 サーミスタ、58 温度調節回路
60 偏心カム、62 制御部、70、73 芯金、72 弾性層
74 離型層、P 記録材、PK 画像形成部
56 ハロゲンランプヒータ、57 サーミスタ、58 温度調節回路
60 偏心カム、62 制御部、70、73 芯金、72 弾性層
74 離型層、P 記録材、PK 画像形成部
Claims (8)
- 記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、
記録材を挟持搬送しながらトナー像を加熱するためのニップ部を形成する一対の回転部材と、
前記ニップ部の幅方向両端部の圧力を幅方向中央部よりも高くする第1の加圧モードと前記ニップ部の幅方向中央部の圧力を幅方向両端部よりも高くする第2の加圧モードを含む複数の加圧モードの中から1つを記録材の種類に応じて設定する設定手段と、を有し、
前記設定手段は、記録材のベック平滑度/ガーレー剛度が所定値未満のとき前記第1の加圧モードに設定し、記録材のベック平滑度/ガーレー剛度が所定値以上のとき前記第2の加圧モードに設定することを特徴とする画像形成装置。 - ベック平滑度/ガーレー剛度の所定値は165以上462以下であることことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記一対の回転部材は、加熱部材と加圧部材とで構成され、前記加圧部材は、前記加熱ニップの加圧力に応じて前記加熱部材よりも大きく変形する弾性層を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
- 前記加圧部材は、両端を支持されて前記加熱部材よりも前記中央部が撓み易いローラ部材であって、
前記設定手段は、前記加熱部材と前記加圧部材と間に印加される総圧力を前記第1の加圧モードよりも低下させて前記加圧部材の撓み量を減らすことにより前記第2の加圧モードを設定することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。 - 前記加圧部材は、前記中央部から前記両端部に向かって直径が減少する正クラウン形状のローラ部材であって、
前記設定手段は、前記第2の加圧モードよりも前記総圧力を高めて前記加圧部材の撓み量を増すことにより前記第1の加圧モードを設定することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。 - 前記加圧部材は、両端を支持されたローラ部材であって、
前記設定手段は、前記加圧部材の長手方向における前記弾性層の端面を押圧して前記両端部の前記弾性層の厚みを変化させる押圧部材を有し、前記押圧部材を前記中央側へ移動させて前記両端部で弾性層の厚みを増すことにより前記第1の加圧モードを設定し、前記押圧部材を前記両端部側へ移動させて前記両端部で弾性層の厚みを減らすことにより前記第2の加圧モードを設定することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。 - 前記加圧部材は、前記弾性層を有する加圧パッドで内側面を支持されたベルト部材であって、
前記設定手段は、前記ベルト部材の回転方向の上流側から下流側へ向かって前記両端部の前記弾性層を押圧して前記上流側へ向かう前記弾性層の変形量を規制する押圧部材を有し、前記加熱部材と前記加圧部材と間に印加される総圧力を高めて前記中央部よりも前記両端部で前記弾性層の圧力を高めることにより前記第1の加圧モードを設定し、前記総圧力を低下させて前記中央部よりも前記両端部で前記弾性層の圧力を低下させることにより前記第2の加圧モードを設定することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。 - 前記第2の加圧モードでは、記録材の加熱ニップ通過時間を前記第1の加圧モードよりも長くするように前記加熱部材及び加圧部材の回転速度を低下させることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の画像形成装置。
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