JP2011047521A - 潤滑油循環システム - Google Patents

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Abstract

【課題】高速回転する遠心分離機の回転軸を確実に支持できて、滑らかで効率的な回転軸の回転を確保できると共に、遠心分離機の定期点検や部品交換を速やかに且つ効率的に実施することができ、また常に良質で良好な潤滑油をベアリングに安定供給できて、ベアリングの摩耗などを防止でき、遠心分離機を適切に効率よく運転でき、且つ遠心分離機自体の寿命延長を図ることができる潤滑油循環システムを提供することにある。
【解決手段】基部ハウジングと、該基部ハウジングに装着する上部ハウジングと、前記基部ハウジングと前記上部ハウジングにより形成されるハウジングボックス内に保持され、外胴ボウルと内胴スクリュウを備えた遠心分離機の回転軸を支持するベアリングと、前記ハウジングボックス内に配設され、潤滑油噴射ノを備え、潤滑油を供給する潤滑油供給器とからなる遠心分離機用回転軸支持装置、潤滑油を貯留する貯油槽、潤滑油を冷却するオイルクーラーおよび潤滑油を循環させる移送ポンプを備えた潤滑油循環システムとした。
【選択図】図9

Description

この発明は、遠心分離機において、高速回転する回転軸の交換やメンテナンスに好適な構造とした回転軸支持装置を備えた潤滑油循環システムに関するものである。
従来の一般的な遠心分離機用回転軸支持装置では、メンテナンスなどの際に分割できない一体構造のハウジングボックスを適用し、該ハウジングボックスの内部にベアリングを組み込んで遠心分離機の支軸(回転軸)を支持している。
このような遠心分離機用回転軸支持装置では、分割できない一体構造のハウジングボックスの内部に組み込まれたベアリングや支軸の状況を点検・確認することができないため、遠心分離機の維持管理上、好ましくないという課題があった。特に、遠心分離機の定期点検やベアリング等の部品交換を行う際には、遠心分離機のみならず、ハウジングボックスも分解したり取り外したりしなければならないという課題があった。
そこで、工作機械の分野では、支軸頭のハウジングを前部ハウジングと後部ハウジングに分割し、前部ハウジングと前部軸受部、支軸および後部軸受部とを一体的に組み付けた前部ハウジングユニットを構成し、この前部ハウジングユニットを後部ハウジングとの間で着脱可能に締結した工作機械の支軸装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
このような特許文献1の工作機械の支軸装置によれば、前部ハウジングユニットを後部ハウジングから軸方向に抜き出すことによって、前部ハウジングユニットごと前部軸受部、支軸及び後部軸受部を交換できるというものである。
特開2007−1010号公報(段落〔0009〕、〔0014〕および図1)
従来の一般的な遠心分離機用回転軸支持装置では、前述のようにベアリングや支軸が組み込まれたハウジングボックスを分割できないため、遠心分離機の定期点検やベアリング等の部品交換を行う際には遠心分離機本体のみならず、ハウジングボックスも分解したり取り外したりしなければならないという課題があった。
特許文献1の工作機械の支軸装置においても、メンテナンスに際して前部ハウジングユニット内部の軸受や支軸の状況を点検・確認することができないという課題がある。また、前部ハウジングユニット内部の部品交換に際しては、特殊で大がかりな支軸交換冶具を所定の箇所に設置し、該支軸交換冶具により前部ハウジングユニットを後部ハウジングから軸方向に抜き出して前部ハウジングユニットごと新たなものと取り替えなければならず、新たな前部ハウジングユニットの組み付けも非常に煩雑化しており、精密で厳格な技術や作業が要求される遠心分離機において、分解等を伴う定期点検や部品交換等の維持管理業務を速やかに効率よく実施するという点での難点が多く、さらには特殊で大がかりな支軸交換冶具は設備費も嵩む等の課題がある。
遠心分離機は、高速で回転して大きな重力加速度を発生させる重機械であるため、わずかな歪みや水準の誤差等により破損したり破壊したりしてしまう。
そのため、精密機器として取り扱う必要があるばかりか、慎重且つ精密な設置・据え付けを行わなければならず、高度な技術や長年の経験を必要とし、さらには煩雑な作業が伴う。
このような遠心分離機の定期点検や部品交換(法規制で手法や頻度が厳密に規定)において、遠心分離機本体のみならず、ハウジングボックスも分解したり取り外したりすると、その都度、慎重且つ精密な設置・据付を行わなければならず、高度な技術や長年の経験を持つ熟練した技術者が必要で、煩雑な作業が伴う。そのため、点検が完了するまで長い期間や多くの人手が必要となり、費用が高額になってしまう。
さらに、点検中であっても通常の運転、処理を行わなければならず、そのため、代替装置の設置や予め余裕を持った設備の構築、また、これに要する広い敷地など、建設コストの上昇を招いていた。
また、ベアリングへの良好な潤滑油の供給が適切且つ効率的に行われないと、当然ながら分解しての点検や修理修繕の頻度が増え、上述した課題が頻繁に発生し、例えば、汚泥処理用の遠心分離機の運転に支障を来すと共に、所有者の負担を増大させてしまう。また、腐敗性の物質(例えば、排水処理に伴い発生する汚泥)を固液分離する遠心分離機の場合、運転の支障により汚泥が腐敗してしまい、その処理がさらなる負担をもたらす。
点検により、遠心分離機の回転体に不具合があり修理が必要な場合、据付等の精度上、容易に予備の回転体と交換することができないため、相当期間、運転を停止しなければならず、設備全体の運転(処理)に多大な影響を及ぼしていた。
高速回転して大きな重力加速度を発生させる遠心分離機を安定して効率よく稼動させるためには、ベアリングを良好な状態に維持し、損傷や破壊を防がなければならない。そのためには、適切に安定して良質で良好な(異物の混入がなく、適正な温度、粘性、量の)潤滑油を供給する必要がある。
遠心分離機は高速回転しているため、潤滑油は、回転支軸(回転軸)やベアリングの摩耗や接触により生じた金属粉などの異物が混入したり、摩擦熱等により変質・混濁したりして、劣化することは避けられない。そのような潤滑油を使用し続けると、回転支軸の回転やベアリングに影響を及ぼし、これが連鎖(異物の混入等による潤滑油の劣化→回転支軸やベアリングの損傷→さらなる異物の混入→回転支軸やベアリングの大きな損傷)すると、遠心分離機の重大な故障や破壊につながる。
潤滑油は、回転支軸の高速回転等による摩擦熱で加熱されるが、これを適宜冷却しないと、変質して回転支軸の回転に影響を及ぼし、やはりベアリングや回転支軸の破損につながる。
回転支軸の安定した滑らかな回転およびベアリングの機能発揮のため、ハウジングボックス内へ潤滑油を十分に供給する必要があるが、ベアリングを覆うハウジングボックスがしっかりシールされていないと、潤滑油が外部に漏れ出し(飛散し)、周辺を汚損させるだけでなく、潤滑油を浪費しランニングコストの上昇を招く。もちろん潤滑油が不足することにもつながり、回転支軸の安定した滑らかな回転やベアリングの機能発揮を阻害し、遠心分離機の故障を誘発することになる。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、次のことを特に目的とする。
高速回転する遠心分離機(遠心脱水機や遠心濃縮機など)の回転軸を確実に支持できて、滑らかで効率的な回転軸の回転を確保できると共に、遠心分離機の定期点検や部品交換を速やかに且つ効率的に実施することができ、また常に良質で良好な潤滑油をベアリングに安定供給できて、ベアリングの摩耗などを防止でき、遠心分離機を適切に効率よく運転でき、且つ遠心分離機自体の寿命延長を図ることができる潤滑油循環システムを提供することを目的とする。
この発明に係る潤滑油循環システムは、基部ハウジングと、該基部ハウジングに装着する上部ハウジングと、前記基部ハウジングと前記上部ハウジングにより形成されるハウジングボックス内に保持され、外胴ボウルと内胴スクリュウを備えた遠心分離機の回転軸を支持するベアリングと、前記ハウジングボックス内に配設され、潤滑油噴射ノズルを備え、潤滑油を供給する潤滑油供給器とからなる遠心分離機用回転軸支持装置、潤滑油を貯留する貯油槽、潤滑油を冷却するオイルクーラーおよび潤滑油を循環させる移送ポンプを備えたことを特徴とする。
この発明に係る潤滑油循環システムは、潤滑油をろ過するろ過器を備えたことを特徴とする。
この発明に係る潤滑油循環システムの前記基部ハウジングには、前記回転軸の外周に配設した突起が嵌合するみぞが設けられていることを特徴とする。
この発明に係る潤滑油循環システムの前記上部ハウジングには、ガイドプレートが設けられていることを特徴とする。
この発明の潤滑油循環システムによれば、次のような幾多の効果が得られる。
(1)基部ハウジングと上部ハウジングとからなるハウジングボックス内に収納保持させるベアリングを前記上部ハウジングにより前記基部ハウジングとの間で挟み込んで組み付けことができるので、高速回転する遠心分離機の回転軸を確実に支持できると共に、前記ハウジングボックスの内部には潤滑油が供給されるので、滑らかで効率的な回転軸の回転を確保できる。
(2)ハウジングボックスの基部ハウジングから上部ハウジングを取り外すだけの簡単な操作により、精密で厳格な技術や作業が要求される遠心分離機の定期点検や部品交換を速やかに且つ効率的に実施することができる。
(3)このため、遠心分離機の回転軸やベアリングを十分に維持管理して適正に保守できるだけでなく、遠心分離機を長時間にわたり保守でき、安定して機能を発揮させることができる。
(4)高速回転して大きな重力加速度を発生させるために精密な設置・据付が必要な遠心分離機において、定期点検や部品交換を容易に行えるため、これに要する時間、人手、費用を低減でき、常に安定した安全運転を行うことができる。
(5)加えて、予備機の配備も最小限に抑えることができるため、設置コスト、建設コスト、設置面積の低減化が図れる。
(6)また、遠心分離機による汚泥処理の場合、運転が滞ることがないため、汚泥の腐敗等を防止し、安定して効率的な分離性能を発揮することができる。
(7)回転体と遠心分離機用回転軸支持装置とが従来に比して容易に分離可能であるので、回転体の不具合で修理が必要な場合などは、予備機の回転体と交換して、直ちに定常運転を再開することができる。
さらに、この発明の潤滑油循環システムによれば、次のような幾多の効果が得られる。
(1)常に良質で良好な潤滑油をベアリングに安定供給することができ、このため、ベアリングの摩耗などを防止でき、遠心分離機を適切に効率よく運転でき、且つ遠心分離機自体の寿命を延ばすことが可能である。
(2)大きな負荷がかかるだけでなく高速で回転する遠心分離機では、回転支軸やベアリングの摩耗や接触により生じた金属粉などの異物が潤滑油に混入したり、摩擦熱等により潤滑油が変質・混濁したりして、潤滑油の効果が低下するばかりか、損傷の原因になるが、この発明によれば、潤滑油に混入する異物を確実に除去すると共に、冷却できるので、常に良質の潤滑油を遠心分離機用回転軸支持装置内へ供給でき、遠心分離機の損傷を防ぎ、遠心分離機を安定して効率よく運転することができる。
(3)回転軸の安定した滑らかな回転およびベアリングの機能発揮のため、ハウジングボックス内へ十分に潤滑油を供給できるだけでなく、潤滑油の外部への漏れ出し(飛散)や周辺の汚損を防止でき、潤滑油の補給量を抑制してランニングコストの低減化が図れる。
(4)潤滑油の不足を防止できるため、回転軸の安定した滑らかな回転やベアリングの機能を確保でき、遠心分離機の故障や損傷を回避できる。
(5)本システムはいわゆる「強制潤滑方式」に利用されるが、いわゆる「はねかけ方式、油浴式」にも採用することができる。
<実施の形態1>
図1は、この発明の実施の形態1による遠心分離機用回転軸支持装置を一部切欠して示す斜視図、図2は、図1中の上部ハウジングを示す斜視図である。
この実施の形態1の遠心分離機用回転軸支持装置(以下、「回転軸支持装置」という)1は、上下に2分割可能なハウジングボックス2を備えている。このハウジングボックス2は、図示しない台座に固定される基部ハウジング3と、該基部ハウジング3上に着脱可能に装着される上部ハウジング4とから形成されて、遠心分離機の回転軸5を支持するベアリング6を保持している。
前記基部ハウジング3は、半円形状の内周面に形成された凹溝からなってベアリング6の外輪半周部位を嵌合させるベアリング取付用の嵌合凹部30と、前記台座に取り付け固定するためのアンカーボルト(図示せず)を挿通させるための固定ボルト穴31と、前記上部ハウジング4を締め付け固定する締結ボルト7を螺合させるためのボルト螺合孔32と、ハウジングボックス2内の潤滑油が漏れ出さないようにシールする環状のオイルシール44を嵌合させるオイルシールみぞ35を有する構造となっている。
前記上部ハウジング4は、半円形状の内周面に形成されて前記基部ハウジング3の嵌合凹部30と対称形状をなし、前記ベアリング6の外輪の残り半周部位を嵌合させるベアリング取付用の嵌合凹部40と、前記締結ボルト7を挿通させるボルト挿通孔41(図2参照)と、ハウジングボックス2内の潤滑油が漏れ出さないようにシールする環状のオイルシール44を嵌合させるオイルシールみぞ45を有する構造となっている。いわゆる「密封式接触装置(接触型シール)」と言われる構造である。
したがって、この実施の形態1による回転軸支持装置1は、台座にアンカーボルトとナットで固定された基部ハウジング3の嵌合凹部30に対して回転軸5を支持するベアリング6の外輪半周部位を嵌合させた後、該ベアリング6の外輪の残り半周部位に上部ハウジング4の嵌合凹部40を嵌合させ、この状態で上部ハウジング4のボルト挿通孔41を介して基部ハウジング3のボルト螺合孔32に締結ボルト7を螺合緊締することにより組み立てられている。換言すると、前記回転軸5のベアリング6は、基部ハウジング3の嵌合凹部30と上部ハウジング4の嵌合凹部40とに嵌合されて締結ボルト7により基部ハウジング3と上部ハウジング4とで挟持固定され、締結ボルト7を取り外すことによって基部ハウジング3から上部ハウジング4を外すことができるようになっている。
前述のように組み立てられた回転軸支持装置1において、ハウジングボックス2内には、ベアリング6の内輪と外輪との間に潤滑油を供給する潤滑油供給器9が配設されている。この潤滑油供給器9には潤滑油供給管8が接続されている。また、ハウジングボックス2内には潤滑油排出管10が接続されている。
以上において、前記基部ハウジング3および上部ハウジング4は、FC200,FC250などの鋳物が好適であるが、耐性があり加工できるものであれば、どのようなものでも良い。また、上部ハウジング4の基部ハウジング3への装着は、通常、合わせマークやリーマピン等で位置合わせして、2本または4本のボルトで止めるが、確実に装着できる方法であれば、これに限るものではない。さらに、基部ハウジング3の台座への固定は、通常アンカーボルトで行うが、確実に台座へ固定できる方法であれば、これに限るものではない。
また、前記潤滑油供給器9としては、耐食性に優れたステンレス製でベアリング6へ直接潤滑油を供給できるものが好ましいが、これに限定されるものではなく、確実に潤滑油をハウジングボックス2内に供給できるものであればよい。例えば、先端がノズル状になっているもの、先端にノズルが配設されたもの、回転可能なものなど、確実に潤滑油をハウジングボックス2内に供給できるものであれば如何なる構造のものでもよい。
とくに、潤滑油供給器9に潤滑油噴射ノズルを採用した場合、潤滑油移送ポンプから送られてくる潤滑油を即座に且つ確実にベアリング6へ噴射させることができ、回転軸5の安定した滑らかな回転およびベアリング6の機能発揮に大変有効である。
なお、いわゆる「はねかけ方式、油浴式」の場合には、潤滑油供給器9としてハウジングボックス2内へ潤滑油を供給する潤滑油供給管(図示せず)を採用すればよい。
以上説明した実施の形態1による回転軸支持装置1によれば、ハウジングボックス2を基部ハウジング3と上部ハウジング4とに上下2分割できるように構成したので、遠心分離機のメンテナンス時やベアリング交換時に、台座から遠心分離機を取り外さなくても、締結ボルト7を取り外すだけで前記上部ハウジング4を基部ハウジング3から簡単に外すことができ、このため、回転軸支持装置1のハウジングボックス2内を容易に点検でき、また手際よくハウジングボックス2内のベアリング6を交換することができ、遠心分離機のメンテナンス作業性が格段に向上するという効果がある。
とくに、汚泥などが供給された上で高速回転する遠心分離機に前記実施の形態1の回転軸支持装置1を用いた場合、前述のようにハウジングボックス2を上下に2分割できるため、遠心分離機の定期点検(オーバーホール)時には、基部ハウジング3から遠心分離機本体のみを取り外せばよく、オーバーホール終了後は基部ハウジング3に遠心分離機本体を戻すだけでよい。このように基部ハウジング3は元のままで遠心分離機の定期点検を行うことができるので、遠心分離機の設置・据付時に行うような精密な水準(水平)を取る作業を省くことができる。
このように、ハウジングボックス2を上下に2分割できるため、日頃の維持管理業務を確実に実施できるだけでなく、ベアリング6の状況や回転軸5周りなど機械中心部の状況を簡便に確認作業できると共に、異常の早期発見にも役立つという効果がある。また、修理が必要な回転体と予備の回転体を容易に交換でき、速やかに定常運転を再開することができるという効果がある。
また、遠心分離機をオーバーホールする際も、基部ハウジング3から取り外した遠心分離機の再設置・据付(位置合わせなど)がとても簡単で、効率的に作業を行うことができるという効果がある。そして、日頃の維持管理やオーバーホールを適切且つ確実に実施することができ、これにより、遠心分離機を長期間にわたり保守でき、安定して機能を発揮させることができるという効果がある。加えて、基部ハウジング3の両側に設けられたオイルシールみぞ35と上部ハウジング4の両側に設けられたオイルシールみぞ45とにより形成される回転軸5の外周面を取り囲む環状の2本のみぞに、それぞれオイルシール(Z型シール等)44を装着してシールするので、ハウジングボックス2内から外部に漏れ出そうとする(飛散しようとする)潤滑油をハウジングボックス2内に留まらせることができ、潤滑油の漏れ出しによる周辺の汚損や潤滑油の浪費を抑制することができるという効果も得られる。
さらに、前記実施の形態1の回転軸支持装置1を備えた遠心分離機を、正規の技術者が、規格化された手順に従って、製造されるものの内10%にも満たない稀少で高品質なベアリング等の部品を用いて、維持管理、部品交換、オーバーホールすることにより、遠心分離機をより長期間にわたり保守でき、安定して機能を発揮させることができるという効果がある。あえて換言すれば、本発明の回転軸支持装置を備えていない遠心分離機を、技術を習熟していない作業者が、適宜、汎用品を用いて、維持管理、部品交換、オーバーホールすることは、長期間にわたる保守どころか、安定した運転さえも危うくするが、本発明はこのような事態を回避することに有効である。
<実施の形態2>
図3は、この発明の実施の形態2による遠心分離機用回転軸支持装置を一部切欠して示す斜視図、図4は、図3中のハウジングボックスを示す分解斜視図、図5は、図3,4中の基部ハウジングを示す拡大平面図であり、図1および図2と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施の形態2の回転軸支持装置1では、基部ハウジング3および上部ハウジング4のそれぞれの両側内周面に複数のみぞ(以下、「油みぞ」という)33,43を設けた点、基部ハウジング3の油みぞ33に排油孔34(図5参照)を設けた点、該排油孔34とハウジングボックス2(基部ハウジング3)内とを連通するオイルドレイン11を設けた点が、前記実施の形態1と大きく異なる。
さらに詳述すると、この実施の形態2において、前記油みぞ33,43は、潤滑油供給器9からハウジングボックス2内に供給された潤滑油が該ハウジングボックス2内から外部に漏れ出す(飛散する)のを防止するために該潤滑油を貯めておくもので、基部ハウジング3の油みぞ33は、基部ハウジング3の両側部に形成されて回転軸5の軸方向に隣り合う複数(2〜5本、通常3本)の半円弧状の油みぞ33a(1〜2本、通常1本),33b(1〜3本、通常2本)からなっている。これらの油みぞ33a,33bにおいて、ハウジングボックス2の最も内側に位置する油みぞ(以下、「内側油みぞ」という)33aは、該内側油みぞ33aの外側に位置する油みぞ(以下、「外側油みぞ」という)33bよりも、みぞの深さが深く形成されている。
このような基部ハウジング3の油みぞ33と同様に、上部ハウジング4の油みぞ43も、上部ハウジング4の両側部に形成されて回転軸5の軸方向に隣り合う複数(2〜5本、通常3本)の半円弧状の油みぞ43a(1〜2本、通常1本),43b(1〜3本、通常2本)からなっている(図3参照)。これらの油みぞ43a,43bにおいて、ハウジングボックス2の最も内側に位置する油みぞ(以下、「内側油みぞ」という)43aは、該内側油みぞ43aの外側に位置する油みぞ(以下、「外側油みぞ」という)43bよりも、みぞの深さが深く形成されている。
基部ハウジング3上に上部ハウジング4を装着した状態では、基部ハウジング3の内側油みぞ33aおよび外側油みぞ33bと、上部ハウジング4の内側油みぞ43aおよび外側油みぞ43bとによって、回転軸5の外周面を取り囲む断面円形環状の油みぞが形成されるようになっている。
そして、下記実施の形態3で詳述するが、ハウジングボックス2の油みぞ33,43に回転自在に嵌合するように遠心分離機の回転軸5の外周に同心円形鍔状の突起12(図6参照)を設け、潤滑油がハウジングボックス2内から外部への漏れ出すのを遮る(シールする)構造とする。
前記排油孔34は、前記油みぞ33に留まる潤滑油を順次排出させるためのもので、その排油孔34は、前記油みぞ33に留まる潤滑油をハウジングボックス2内に返送する構造とすることが望ましい。このため、前記排油孔34は、油みぞ33とハウジングボックス2内とを連通する孔となっている。
このような排油孔34は、通常直径1〜30mm程度で、基部ハウジング3の油みぞ33の最も低い位置、すなわち、この実施の形態2では、みぞの深さが最も深い内側油みぞ33aの底部に設けられている。なお、前記排油孔34は、一つの油みぞ33に一つまたは二つ以上を設けてもよいし、前述のように複数の油みぞ33a,33bがある場合には、必ずしも内側油みぞ33aに設ける必要はなく、いずれにしろ、油みぞ33a,33bに流れ込んできた潤滑油を適切に排除できる位置・構造であれば、これに限るものではない。
前記排油孔34とハウジングボックス2内とを連通するオイルドレイン11は、所望する油みぞ33(実施の形態2では内側油みぞ33a)内の潤滑油のレベル高(油面)に合わせ、立上管の形状とすることが有効である。この実施の形態2では、前記排油孔34に基端を接続したオイルドレイン11の先端を立ち上げてハウジングボックス2内に開口させた立上管形状のオイルドレイン11を設けている。このように、オイルドレイン11は立上管形状とすることが望ましいが、油みぞ33内の潤滑油のレベル高を一定に保持できるものであれば、これに限定されるものではない。
なお、前記オイルドレイン11は、直径1〜30mm程度で、アルミやステンレスなどで製作してもよく、基部ハウジング3と同じ素材でもよく、基部ハウジング3と一体成型してもよい。要するに、排油孔34に接続して油みぞ33の潤滑油をハウジングボックス2内に返送・排除できるオイルドレイン11であればよい。
以上説明した実施の形態2によれば、基部ハウジング3および上部ハウジング4の両側部に、これらの側面と平行して両者の組付け合体時に円形環状みぞとなる油みぞ33,43を形成し、これに嵌合する同心円形鍔状の突起12を回転軸5の外周に設けたので、潤滑油供給器9からハウジングボックス2内に供給されて該ハウジングボックス2内から外部に漏れ出そうとする(飛散しようとする)潤滑油を、前記突起12で遮ると共に前記油みぞ33,43で留まらせることができ、このため、ハウジングボックス2内から外部への潤滑油の漏れ出しに起因した周辺の汚損および潤滑油の浪費を抑制できるという効果がある。
また、基部ハウジング3の油みぞ33に排油孔34を設けると共に、該排油孔34とハウジングボックス2内とをオイルドレイン11で接続し、該オイルドレイン11によって、前記油みぞ33の潤滑油のレベル高を一定に保持できるように構成したので、前記油みぞ33に流れ込んだ潤滑油を前記排油孔34とオイルドレイン11によってハウジングボックス2内に返送できると共に、前記オイルドレイン11によって前記油みぞ33の潤滑油を一定のレベル高に保持できるため、前記油みぞ33の潤滑油が外部へ溢れ出したり、潤滑油不足で回転軸5およびベアリング6の回転に支障を来したりするのを防止することができるという効果がある。
<実施の形態3>
図6は、この発明の実施の形態3による遠心分離機用回転軸支持装置の要部を示す斜視図であり、図1〜図5と同一部分には同一符号を付して説明する。
この実施の形態3では、上述したように、前記実施の形態2による遠心分離機の回転軸5の外周に同心円形鍔状の突起(フランジ)12を一体に設け、該突起12をハウジングボックス2の油みぞ33,43(図6では上部ハウジング4が取り外されていることにより油みぞ43は図示されていないが、該油みぞ43については図3参照)に回転自在に嵌合して、いわゆる「非密封式接触装置(非接触型シール)」と言われる構造にしたことについて詳説する。
前記突起12は、油みぞ33,43と接触することを考慮して、加工しやすく柔軟性のある材質、例えば黄銅やステンレスを適宜採用することができ、回転軸5に直接加工してもよく、また、ブッシュとして別途製作し溶接などで回転軸5に固定してもよい。
以上説明した実施の形態3によれば、ハウジングボックス2内から外部に漏れ出そうとする(飛散しようとする)潤滑油が突起12で遮られて油みぞ33,43に留まることにより、ハウジングボックス2内の潤滑油が外部に漏れ出したり飛散したりするのを確実に防止できると共に、回転軸5に連動して前記油みぞ33,43内で回転する突起12を潤滑することができるという効果がある。
そして、前記実施の形態2で説明したように、基部ハウジング3の油みぞ33(内側油みぞ33a)に設けた排油孔34と、該排油孔34とハウジングボックス2内とを連通する立上管形状のオイルドレイン11とを有する構造となっているので、前記油みぞ33,43に多量の潤滑油が流れ込んでも該潤滑油を前記オイルドレイン11によってハウジングボックス2内に返送することができ、かつ、前記油みぞ33,43の潤滑油を一定のレベル高に保持できるため、ハウジングボックス2内から外部への潤滑油の漏れ出し、潤滑油の漏れ出しに起因した周辺の汚損および潤滑油の浪費を効率よく確実に抑制できるという効果がある。
なお、前記実施の形態3では、回転軸5の外周に突起12を設け、該突起12を基部ハウジング3の油みぞ33および上部ハウジング4の油みぞ43に嵌合させる構造としたが、前記突起12に代えて前記回転軸5の外周に環状凹構造の一つまたは二つ以上の嵌合凹部(図示せず)を設け、該嵌合凹部と基部ハウジング3の油みぞ33の側壁および上部ハウジング4の油みぞ43の側壁とを嵌合させる構造としてもよく、この場合も前記実施の形態3と同様の作用効果が期待できる。
<実施の形態4>
図7は、この発明の実施の形態4に用いる遠心分離機用回転軸支持装置のハウジングボックスを分解状態で示す斜視図、図8は、図7中の基部ハウジングを示す拡大平面図であり、図1〜図5と同一部分には同一符号を付して説明する。
この実施の形態4では、上部ハウジング4の軸方向両側部に、該上部ハウジング4の径方向両側部から垂下する板状のガイドプレート13を設けた点が、前記実施の形態2と大きく異なる。
前記ガイドプレート13は、基部ハウジング3上に対する上部ハウジング4の組付け接合時において、ハウジングボックス2内の部材等を傷付けないように、また、基部ハウジング3の油みぞ33における内側油みぞ33aの内側壁面にスムーズに接合するように設けられ、基部ハウジング3の油みぞ33と上部ハウジング4の油みぞ43との接続部で基部ハウジング3と上部ハウジング4との接合面間に生じる僅かな隙間をハウジングボックス2の内側から遮るものである。
このようなガイドプレート13としては、厚さ1〜10mm程度で、一枚または二枚以上の長方形や円弧状のプレートを適用して上部ハウジング4に配設することが可能であり、その材質は、ステンレスなどで製作してもよく、また、上部ハウジング4と同じ素材で製作したり、上部ハウジング4と一体成型したりしてもよいが、必ずしもこれらに限られるものではない。なお、前記ガイドプレート13は、必要に応じて基部ハウジング3に設けてもよい。
以上説明した実施の形態4によれば、基部ハウジング3の油みぞ33と上部ハウジング4の油みぞ43との接続部において、基部ハウジング3と上部ハウジング4との接合面間の僅かな隙間をハウジングボックス2の内側から遮るガイドプレート13を上部ハウジング4に設けたので、潤滑油供給器9からハウジングボックス2内に供給された潤滑油が、ベアリング6や回転軸5にぶつかって飛び散り、基部ハウジング3と上部ハウジング4との接合面間の僅かな隙間から漏れ出すのを前記ガイドプレート13で防止することができ、このため、潤滑油の外部漏出による周辺の汚損および潤滑油の浪費を防止することができるという効果がある。
<実施の形態5>
図9は、この発明の実施の形態5による潤滑油循環システムを示す概要図であり、図1〜図5と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施の形態5の潤滑油循環システム100は、前記実施の形態1から前記実施の形態4のいずれかと同一構造の回転軸支持装置1と、潤滑油を貯留する貯油槽14とを備え、前記貯油槽14内の潤滑油を、移送ポンプ16により、メッシュフィルター25、ろ過器17およびオイルクーラー18ならびに計測機器19を介し潤滑油供給器9からハウジングボックス2内のベアリング6に向かって供給する基本構造となっている。
さらに詳述すると、前記貯油槽14内の潤滑油中とろ過器17の入口とを接続する潤滑油移送管15に前記移送ポンプ16が設けられ、潤滑油移送管15の潤滑油吸込口にはメッシュフィルター25が取り付けられており、前記ろ過器17の出口とオイルクーラー18の入口が配管接続され、前記オイルクーラー18の出口と潤滑油供給器9とが潤滑油供給管8で接続され、該潤滑油供給管8に計測機器19が配設されている。また、前記貯油槽14には、ハウジングボックス2の基部ハウジング3に接続された潤滑油排出管10が接続されている。
前記貯油槽14は、ハウジングボックス2の基部ハウジング3内に貯まった潤滑油を、該基部ハウジング3の潤滑油排出管10から自然流下やポンプ(図示せず)による引き抜きにより導入して貯留する槽である。かかる貯油槽14としては、通常、耐食性(例えば、ステンレス製)のある角形や円筒形のタンクを用いるが、これに限らず潤滑油を安定して安全に貯留できるものであればよい。なお、貯油槽14の槽底面の腐食(水混入による錆の発生など)防止のため、槽内面を金属表面処理してもよい。
通常、遠心分離機のオーバーホール時や一定の運転時間経過時などにおいて、貯油槽14内の潤滑油が劣化している場合には、その潤滑油を引き抜いて新しい潤滑油と交換、または補充する(一年に一回は潤滑油の全量交換が望ましい)。なお、点検等で潤滑油中に水分や異物(例えば微少な金属片)や混濁が観察された場合には、直ちに潤滑油全量を交換する。また、日常の点検で貯油槽14内の結露等に起因する水分が確認された場合には、貯油槽14に設けたドレインコック(図示せず)を使用して、速やかに(潤滑油と共に)水分を排除することが望ましい。
上述したように、貯油槽14にはドレインコックの他に、点検窓や水位計(油面計)を設けておくことで、適切な日常点検が行えると共に、安定した潤滑油の循環が確保できる。また、前記貯油槽14には、必要に応じて温度計や濁度計などの性状を把握できる計測機器を設けてもよい。
前記移送ポンプ16は、通常、貯油槽14内の潤滑油を汲み上げ、該潤滑油をろ過器(オイルフィルター)17によるろ過やオイルクーラー18による冷却を行った後に、回転軸支持装置1のハウジングボックス2内に圧送供給するためのものであり、潤滑油循環システムの規模や潤滑油流量を考慮し、1台または2台以上を設ける。
かかる移送ポンプ16は、貯油槽14の側面や上面などの外側に配設される。その移送ポンプ16としては、例えば、電動式のトロコイドポンプが用いられるが、これに限らず、潤滑油を安定して確実に移送できるものであればよい。
通常、回転軸支持装置1のハウジングボックス2内から貯油槽14への潤滑油の移送(返送)は、自然流下式にすることが省エネルギの観点からも好ましいが、設置上や運転上、必要があれば、基部ハウジング3内の潤滑油を貯油槽14に返送する潤滑油排出管10に潤滑油返送ポンプ(図示せず)を設けてもよい。
ろ過器17は、貯油槽14からハウジングボックス2内に供給する潤滑油を正常に保つため、該潤滑油に混入する異物や懸濁物質を除去するオイルフィルターであり、潤滑油循環システム100の規模や潤滑油流量を考慮し、1台または2台以上を設ける。
かかるろ過器17は、貯油槽14内の配管に配設する金属製のメッシュフィルター、もしくは貯油槽14の側面や上面などの外部に配設するラインフィルターのいずれでもよく、また、その両方を設けてもよい。これに限らず、前記ろ過器17は、概ね10μm程度の異物や汚濁物質を確実に除去できるものであればよく、図示しないが、回転軸支持装置1の潤滑油流出口や潤滑油供給器9の直前に設けてもよい。
なお、潤滑油の流量低下、圧力上昇、温度上昇などの異常を検知した場合、ろ過器17の目詰まりが考えられるため、速やかにろ過器(オイルフィルター)17の清掃などメンテナンス作業を実施するものである。
オイルクーラー18は、高速回転する回転軸5を潤滑させる潤滑油を適正温度(25℃〜40℃)に冷却するためのものであり、潤滑油循環システムの規模や潤滑油流量を考慮し、1台または2台以上を設ける。通常、水冷式のものが用いられる。
かかるオイルクーラー18は、通常、貯油槽14の側面や上面などの外部に配設する水冷式のもの(例えばステンレス製チューブ)が好ましいが、これに限らず遠心分離機の至近個所に設置してもよく、また空冷式などのものを用いてもよく、潤滑油の温度を適正かつ確実に調節できるものであればよい。
前記計測機器19としては、潤滑油の保全やシステムの適正運転のため、潤滑油の性状や状態を把握する各種の計器、例えば、潤滑油の油温計、油圧計、油量計、油面計、濁度計、粘度計などを用いることが望ましく、これらの計測機器により、日常点検や遠心分離機の運転制御に用いることができる。その運転制御を行うために、前記計測機器19の出力側は制御器20に接続されている。この制御器20は、前記計測機器19から入力信号に基づいた出力制御信号により、例えば遠心分離機本体の薬品注入設備を適正に運転制御可能としているものである。
ここで、前記計測機器19として用いる油温計、油圧計、油量計、濁度計、粘度計の個々について説明する。
油温計は、潤滑油の性状や回転軸支持装置1内の状況を確認でき、潤滑の不具合による回転軸支持装置1内での異常な摩擦熱の発生、ろ過器17やオイルクーラー18の異常、潤滑油の劣化などを把握する上で重要である。その油温計としては、通常の接点付温度計を用いるが、安定して確実に油温を計測できるものであれば、これに限るものではない。
油圧計は、各設備の運転状況や回転軸支持装置1内の状況を確認でき、ろ過器17やオイルクーラー18の異常、回転軸支持装置1内での潤滑油量不足、移送ポンプ16の異常などを把握する上で重要である。油圧計としては、プレッシャースイッチ付圧力計を用いるが、安定して確実に油圧を計測できるものであれば、これに限るものではない。
油量計も、ろ過器17やオイルクーラー18の異常、回転軸支持装置1内での潤滑油量の過不足、移送ポンプ16の異常を把握できる。油量計としては、接点付オイルシグナル流量計(リードスイッチ方式)を用いるが、安定して確実に油量を計測できるものであれば、これに限るものではない。
濁度計でも、潤滑油の性状の変化や回転軸支持装置1内での摩耗を確認することは可能である。濁度計としては、光学式濁度計を用いるが、安定して確実に潤滑油の濁度を計測できるものであれば、これに限るものではない。
粘度計でも、潤滑油の性状の変化(劣化、異常高温、異物混入)を確認することは可能である。粘度計としては、振動式、回転式などの粘度計を用いるが、安定して確実に潤滑油の粘度を計測できるものであれば、これに限るものではない。
また、貯油槽14に設ける前記計測機器19として油面計21を用いてもよく、油面計21で潤滑油の漏れや配管や各種機械設備での目詰まりにより、潤滑油の減少や偏在を把握することができる。油面計21としては、差圧式、電極式、フロート式の油面計やゲージなどを用いるが、安定して確実に貯油槽14内の油面を計測できるものであれば、これに限るものではない。
以上説明した各種計測機器19(油面計21を含む)の設置は、通常、ろ過および冷却された潤滑油を回転軸支持装置1のハウジングボックス2内に供給する配管に設けることが望ましく、これにより、適正な潤滑油の供給を確認することができると共に、異常を速やかに認知することができる。なお、貯油槽14から供給される潤滑油を計測してもよく、安定して確実に潤滑油を計測できれば、これに限るものではない。また、各種計測は複数地点で行ってもよく、計測機器19を複数台設けて逐次潤滑油を計測することにより、より確実なシステムの運転を行うことができる。
前記各種の計測機器19は、日常の点検作業において運転状況を確認し、これを記録するために活用されるが、さらに遠心分離機の運転制御に使用することができる。つまり、計測機器19の計測値(高温、高圧、低流量など)があれば、その信号を制御器(コントローラー)20に送り、遠心分離機本体やこれに付属する薬品供給設備、移送コンベア、汚泥供給ポンプなどの運転を制御(緊急停止など)させることができ、遠心分離機や付帯設備の保守管理や破損・破壊防止に役立ち、遠心分離機の重要な保障回路(異常監視)を構築することができる。
例えば、潤滑油の温度上昇(80℃)、圧力上昇、油量低下等の計測信号を制御器20が受信した場合、遠心分離機の「重故障」と設定する。そして、異常を計測機器19が検知すると、それを受信した制御器19は、遠心分離機のフリーラン(free run)停止、薬品供給ポンプの停止、汚泥供給ポンプの停止等の制御信号を遠心分離機に送信し、これにより遠心分離機の各機械設備は直ちに停止し破壊や破損を防止することができる(なお、遠心分離機の保護のため、潤滑油循環システムの移送ポンプ16やオイルクーラー18用冷却水供給設備は、遠心分離機停止後に順次停止させることができる)。なお、計測機器19による計測対象は一つでも複数を組み合わせてもよく、制御器20への送信も1つでも2つ以上でもよく、異常を直ちに検知して遠心分離機や付帯設備を確実に停止させたり、運転速度や回転数を低下させたりすることができれば、これに限るものではない。
以上説明した実施の形態5の潤滑油循環システム100では、遠心分離機の回転軸支持装置1内へ確実に良好な潤滑油を効率よく供給でき、基部ハウジング3の底部に貯まった潤滑油は適宜引き抜かれて貯油槽14に貯油される。貯油槽14内の潤滑油は、移送ポンプ16により、メッシュフィルター25でろ過されてから汲み上げられ、再度ろ過器17の例えばオイルフィルター(ラインフィルター)でろ過された後、オイルクーラー18で所定の温度に冷却され、遠心分離機の回転軸支持装置1内に供給され、遠心分離機の回転軸5を潤滑する。
このような実施の形態5の潤滑油循環システム100では、適宜計測機器19および制御器20を設けたので、潤滑油の循環や潤滑油の性状を計測し、異常発生時には異常信号を制御器20に発して、制御器20が直ちに遠心分離機や付帯設備(薬品注入ポンプや汚泥供給ポンプなど)の運転を停止、または抑制することで、重大な故障や破損・破壊を防止することができるという効果がある。
<実施の形態6>
図10は、この発明の実施の形態6による潤滑油循環システムを示す概要図であり、図9と同一部分には同一符号を付して説明する。
この実施の形態6の潤滑油循環システム100では、前記計測機器19として、貯油槽14の側面に油面計21を配設すると共に、潤滑油供給管8に油圧計22と油温計23および油量計(潤滑油流量計)24を配設した点が、前記実施の形態5と大きく異なる。その他の構造は前記実施の形態5と同じである。
この実施の形態6の潤滑油循環システム100によれば、
油面計21によって、前述のように潤滑油の漏れや配管や各種機械設備での目詰まりにより、潤滑油の減少や偏在を把握することができる効果と、
油圧計22によって、各設備の運転状況や回転軸支持装置1内の状況を確認でき、ろ過器17やオイルクーラー18の異常、回転軸支持装置1内での潤滑油量不足、移送ポンプ16の異常などを把握することができる効果と、
油温計23によって、潤滑油の性状や回転軸支持装置1内の状況を確認でき、潤滑の不具合による回転軸支持装置1内での異常な摩擦熱の発生、ろ過器17やオイルクーラー18の異常、潤滑油の劣化などを把握することができる効果と、
油量計24によって、ろ過器17やオイルクーラー18の異常、回転軸支持装置1内での潤滑油量の過不足、移送ポンプ16の異常を把握できる効果を得ることができる。
また、前記油面計21、油圧計22、油温計23、油量計24のそれぞれによる計測信号を図9中の制御器20に送信することにより、該制御器20からの出力制御信号で遠心分離機を適正に制御することが可能になるという効果がある。
<実施の形態7>
図11は、この発明の実施の形態7による潤滑油循環システムを示す概要図であり、図9および図10と同一部分には同一符号を付して説明する。
この実施の形態7の潤滑油循環システム100では、油面計21を貯油槽14の上部に配設した点、貯油槽14内の潤滑油移送管(潤滑油汲み上げ管)15の潤滑油吸込口にろ過器17としてメッシュフィルターを取り付け、潤滑油移送管(潤滑油汲み上げ管)15と移送ポンプ16を接続した点が前記実施の形態6と大きく異なり、その他の構造は前記実施の形態6と同じである。この実施の形態7の潤滑油循環システムの場合も前記実施の形態6と同様の効果を得ることができる。
<実施の形態8>
図12は、この発明の実施の形態5〜実施の形態7による潤滑油循環システムのいずれかを適用した遠心分離機を示す一部切欠正面図である。
この実施の形態8による遠心分離機50は、外胴ボウル51と、この外胴ボウル51内に回転可能に収納配置された内胴スクリュウ52と、ギアボックス(差速調整機)53と、前記外胴ボウル51および前記内胴スクリュウ52を回転駆動する回転駆動機54Aと、前記内胴スクリュウ52の回転数を調整する回転調整駆動機54Bとを備え、内胴スクリュウ52内に供給された原液(原汚泥)を固液分離する基本構造となっている。
このような基本構造の遠心分離機50において、外胴ボウル51および内胴スクリュウ52は個々に回転支軸(回転軸)51A,52Aを有しており、このうち回転支軸51Aが前記回転軸支持装置1によって支持されている。この回転軸支持装置1は、前記実施の形態1〜実施の形態4のいずれかと同一構造のものであり、また、前記実施の形態5〜実施の形態7のいずれかの潤滑油循環システム100を備えている。
なお、図12においては、遠心分離機50の両側に回転支軸51Aを支持する回転軸支持装置1が設けられているが、これに限定されるものではなく、どちらか一方に設けてもよい。また、一方の回転軸支持装置1(図12の紙面上で左側)について潤滑油循環システム100を構築したが、他方の回転軸支持装置1(図2の紙面上で右側)についても潤滑油循環システム100を構築してもよく、さらには2つの回転軸支持装置1兼用の潤滑油循環システム100を構築してもよい。
さらに詳述すると、遠心分離機50はケーシング56内に配設されており、該ケーシング56の両端部には分離液排出室57と汚泥排出室58が形成されている。分離液排出室57は下端に分離液排出口57aを有し、汚泥排出室58は下端に汚泥排出口58aを有している。
外胴ボウル51の回転支軸51Aは、一方がケーシング56の一端(図12の紙面上で右端)から突出して回転軸支持装置1に支持され、他方もケーシング56の他端(図12の紙面上で左端)から突出して回転軸支持装置1に支持され、前記ギアボックス53に連結されている。
前記外胴ボウル51の回転支軸51Aの一方(図12の紙面上で右側)の内側には、内胴スクリュウ52の回転支軸52Aと汚泥供給管55が配置されている。また、回転支軸51Aの他方(図12の紙面上で左側)の内側にも、内胴スクリュウ52の回転支軸52Aが延伸し、ギアボックス53に連結されている。
外胴ボウル51は、伝動ベルト59aを介して回転駆動機54Aの駆動により回転し、外胴ボウル51内に回転可能に配置され、内胴ベアリングで支持されている内胴スクリュウ52も外胴ボウル51に同伴して回転する。そして内胴スクリュウ52の回転数は、回転調整駆動機54Bの駆動が伝動ベルト59bを介してギアボックス53に伝達されることにより、調整される。
遠心分離機50内へ汚泥供給管55を介して供給された原液(原汚泥)は、遠心力により分離物(濃縮汚泥や脱水汚泥)と分離液(濃縮分離液や脱水分離液)に分離され、機外へ排出される。
次に、この実施の形態8による遠心分離機50をオーバーホール(分解−点検−組立)する際の代表的な手順および作業内容の概要を以下に説明する。
1.電源確認
1-1 回転駆動機54A等の電源を「切」にして、制御盤面に安全標識(操作禁止等)を掲示した後、遠心分離機50の分解作業を開始する。
2.遠心分離機の分解手順
2-1 遠心分離機50の回転体(内胴スクリュウ52、回転支軸52A,52B,ギアボックス53等)が搬出できる移動空間を確保するために、パッケージカバーを取り外す。
2-2 主ベルトカバー、差速ベルトカバー、ギアボックスカバー53aを、次いで伝動ベルト59、差速ベルトを取り外す。
2-3 汚泥供給管55のホルダーを取り外した後、汚泥供給管55を引き抜き、遠心分離機50本体のケーシング56を開放する。
2-4 遠心分離機50の回転支軸51Aを支持する回転軸支持装置1の上部ハウジング4を基部ハウジング3からチェーンブロックなどを用いて取り外す。
3.回転体の取り外し
3-1 遠心分離機50の架台にシッピングボルトを取り付け、吊り上げワイヤー等を回転体に取り付ける。
3-2 チェーンブロック等を使用して回転体を吊り上げる。
3-3 その吊り上げ時には主軸受(2箇所)を透明ラップ等で養生し、移動時に潤滑油の漏洩が生じないようにする。
3-4 回転体を取り外し搬出したならば、正規の技術者が、規格化された手順に従って、製造されるものの内10%にも満たない稀少で高品質(P5〜P6クラス)なベアリング6等の交換や各種部品の点検を行った後、前記回転軸支持装置1を嵌め合わせ、異物やホコリ等が侵入しないように養生する。
3-5 潤滑油循環システム100の潤滑油を交換し、構成機器等の適宜点検や補修を行う。
4.回転体の修繕
4-1 搬出した回転体は、工場等で消耗部品等の交換、点検、補修などの修繕を行う。
5.回転体の搬入
5-1 遠心分離機50に適用した回転軸支持装置1の上部ハウジング4を取り外し、修繕され搬入されてきた回転体を元の位置に設置する。
5-2 各種機器やカバー類を順次取り付ける。
5-3 清掃された貯油槽14内に潤滑油を供給する。
5-4 基部ハウジング3と上部ハウジング4の接触面に液体パッキングを塗布し、回転支軸51Aと共に前記回転軸支持装置1を組み立てる(基部ハウジング3上に上部ハウジング4を取り付ける)。
6.試運転
6-1 電源を「入」にして、遠心分離機50、潤滑油循環システム100、各種機器を手動運転して状況を確認する。
6-2 遠心分離機50の回転や潤滑油の循環量などを適宜調整して問題がないことを確認する。
以上により、遠心分離機50のオーバーホールが完了する。
以上説明した実施の形態8の遠心分離機50においても、回転軸支持装置1の点検に際しては、遠心分離機50を分解することなく、回転軸支持装置1におけるハウジングボックス2の上部ハウジング4を取り外すだけで回転軸支持装置1内の点検を容易に手際よく行うことができるという効果がある。
また、回転軸支持装置1内へ適切な潤滑油を安定して供給できると共に、潤滑油等の異常を速やかに検知できるため、遠心分離機50を安定して効率よく運転できるばかりか、重大な故障や破損・破壊を防止することができるという効果がある。
この発明の実施の形態1による遠心分離機用回転軸支持装置を一部切欠して示す斜視図である。 図1中の上部ハウジングを示す斜視図である。 この発明の実施の形態2による遠心分離機用回転軸支持装置を一部切欠して示す斜視図である。 図3中のハウジングボックスを示す分解斜視図である。 図3,4中の基部ハウジングを示す拡大平面図である。 この発明の実施の形態3による遠心分離機用回転軸支持装置の要部を示す斜視図である。 この発明の実施の形態4に用いる遠心分離機用回転軸支持装置のハウジングボックスを分解状態で示す斜視図である。 図7中の基部ハウジングを示す拡大平面図である。 この発明の実施の形態5による潤滑油循環システムを示す概要図である。 この発明の実施の形態6による潤滑油循環システムを示す概要図である。 図11はこの発明の実施の形態7による潤滑油循環システムを示す概要図である。 この発明の実施の形態5〜実施の形態7による潤滑油循環システムのいずれかを適用した遠心分離機を示す一部切欠正面図である。
1 遠心分離機用回転軸支持装置
2 ハウジングボックス
3 基部ハウジング
4 上部ハウジング
5 回転軸
6 ベアリング
7 締結ボルト
8 潤滑油供給管
9 潤滑油供給器
10 潤滑油排出管
11 オイルドレイン
12 突起
13 ガイドプレート
14 貯油槽
15 潤滑油移送管
16 移送ポンプ
17 ろ過器
18 オイルクーラー
19 計測機器
20 制御器
21 油面計
22 油圧計
23 油温計
24 油量計
25 メッシュフィルター
30 嵌合凹部
31 固定ボルト穴
32 ボルト螺合孔
33 油みぞ
33a 内側油みぞ
33b 外側油みぞ
34 排油孔
35 オイルシールみぞ
40 嵌合凹部
41 ボルト挿通孔
43 油みぞ
43a 内側油みぞ
43b 外側油みぞ
44 オイルシール(Z型シール)
45 オイルシールみぞ
50 遠心分離機
51 外胴ボウル
51A 回転支軸(回転軸)
52 内胴スクリュウ
52A 回転支軸(回転軸)
53 ギアボックス
54A 回転駆動機
54B 回転調整駆動機
55 汚泥供給管
56 ケーシング
57 分離液排出室
57a 分離液排出口
58 汚泥排出室
58a 汚泥排出口
59a,59b 伝動ベルト

Claims (4)

  1. 基部ハウジングと、
    該基部ハウジングに装着する上部ハウジングと、
    前記基部ハウジングと前記上部ハウジングにより形成される
    ハウジングボックス内に保持され、
    外胴ボウルと内胴スクリュウを備えた遠心分離機の回転軸を支持するベアリングと、
    前記ハウジングボックス内に配設され、
    潤滑油噴射ノズルを備え、潤滑油を供給する潤滑油供給器と
    からなる遠心分離機用回転軸支持装置、
    潤滑油を貯留する貯油槽、
    潤滑油を冷却するオイルクーラー
    および
    潤滑油を循環させる移送ポンプ
    を備えたことを特徴とする潤滑油循環システム。
  2. 潤滑油をろ過するろ過器
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の潤滑油循環システム。
  3. 前記基部ハウジングには、
    前記回転軸の外周に配設した突起が嵌合するみぞが設けられている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の潤滑油循環システム。
  4. 前記上部ハウジングには、
    ガイドプレートが設けられている
    ことを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の潤滑油循環システム。
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