JP2011047303A - 容積式ポンプの異常検出装置 - Google Patents

Abstract

【課題】ソレノイドまたはモータを駆動源とするポンプの何れにも適用できて、しかも、簡単且つ安価に製造できる汎用性の高い容積式ポンプの異常検出装置を提供する。
【解決手段】ソレノイドまたはモータのいずれかを駆動源とする容積式ポンプ２の異常を検出する容積式ポンプの異常検出装置において、容積式ポンプ２の吐出口に接続される配管３に、圧電素子で構成されるセンサ１０を外嵌し、さらに、ソレノイドを駆動源とした場合におけるセンサ１０の検知信号を処理する第一信号処理手段と、モータを駆動源とした場合におけるセンサ１０の検知信号を処理する第二信号処理手段とが、各駆動源に応じて切り換えできるように構成される信号処理部１５を備える。
【選択図】図１

Description

本発明は、容積式ポンプ（以下、単にポンプという場合もある）から配管に吐出される流体の脈動を検知して、例えば高濃度の薬液を使用した場合に生じる、ガスの揮発によるガスロック、及びポンプの吐出口の閉塞状態の異常を検知する容積式ポンプの異常検出装置に関する。

従来の容積式ポンプの異常検出装置としては、例えば、弁室が内部に形成されたポンプ本体と、該ポンプ本体に往復動自在に設けられたプランジャと、該プランジャを往復駆動させるソレノイドと、プランジャの駆動によって、弁室内の流体を出口通路に吐出させるボール弁体と、ポンプ本体に接続されると共に、弁室に連通する出口通路が内部に形成された出口通路部材と、該出口通路部材に外嵌された圧電素子とを備えたものが公知になっている。

前記装置によれば、ソレノイドのオン・オフに同期して、プランジャ、ボール弁体を出退動作させることで、流体を吐出・吸引させる。この際、圧電素子によって、正常時の波形と、オイル切れ及び出口通路の詰まりの異常が生じたときの波形とを比較し、オイル切れ及び出口側の詰まりの異常を検知している。

また、他の従来例の容積式ポンプの異常検出装置としては、駆動軸の先端部に装着されたダイヤフラムと、該ダイヤフラムとポンプ本体とで形成されたポンプ室と、該ポンプ室から下方及び上方に形成された吸入通路及び吐出通路と、該吐出通路から分岐される吐出通路及び液圧検出通路と、吐出通路に接続されるチャッキ弁と、液圧検出通路に設けられる圧力センサとを備えたものが公知になっている。そして、前記圧力センサは、圧力に応動するダイヤフラムと、該ダイヤフラムの上面に形成された、ダイヤフラムの歪みを検出する複数のピエゾ抵抗体や電子回路とで構成されている。また、ダイヤフラムは、液圧検出通路に臨むように配置されるので、接液による腐食を防止するために表面処理されている。

前記装置によれば、圧力センサで検出する出力に基づいて、吐出サイクルの開始タイミングを検出すると共に、ポンプの脈動に応じた所定のパルスを出力するようにしている。そして、ポンプ内部に空気が混入される異常時においては、液圧検出通路の圧力が急激に低下することになり、パルス信号の出力が停止して、警報が出力されるようになっている。

特開２００２−４８０７３号公報 特許第３３４３０４２号公報

しかしながら、前者の容積式ポンプの異常検出装置は、ソレノイド式ポンプに適用できるものの、モータポンプに適用できる記載事項は何ら開示乃至示唆されておらず、汎用性が低いと考えられる。

また、後者の容積式ポンプの異常検出装置は、圧力センサを使用しているので、ダイヤフラムの接液面に表面処理を施す必要があり、その分、製造工程が多くなってコスト高になると考察される。

本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ソレノイド及びモータを駆動源とするポンプの何れにも適用できて、しかも、簡単且つ安価に製造できる汎用性の高い容積式ポンプの異常検出装置を提供することを課題とする。

上記課題を解決するために、本発明の容積式ポンプの異常検出装置は、ソレノイドまたはモータのいずれかを駆動源とする容積式ポンプ２の異常を検出する容積式ポンプの異常検出装置において、容積式ポンプ２の吐出口に接続される配管３に外嵌される、圧電素子で構成されるセンサ１０を備える。

この場合、容積式ポンプ２の吐出口に接続される配管３に、圧電素子で構成されるセンサ１０を外嵌するようにしたので、センサ１０の検知面を接液させることなく、流体の脈動を、配管３を介して検知することができる。このため、従来のように、センサ１０の検知面に表面処理を施す必要がなく、その分加工工程が不要になり、コストも低減できる。

また、本発明によれば、ソレノイドを駆動源とした場合におけるセンサ１０の検知信号を処理する第一信号処理手段と、モータを駆動源とした場合におけるセンサ１０の検知信号を処理する第二信号処理手段とが、前記各駆動源に応じて切り換えできるように構成される信号処理部を備えるようにしてもよい。

この場合、ソレノイド、モータのいずれを駆動源とする容積式ポンプ２であっても、駆動源に応じた信号処理が行われるようになり、汎用性が高くなる。

本発明によれば、容積式ポンプの吐出口に接続される配管に、圧電素子で構成されるセンサを外嵌し、配管に伝達される流体の脈動を検知するようにしたので、簡単且つ安価に製造できる効果がある。

本発明の一実施形態に係る容積式ポンプの異常検出装置を備えた流体搬送装置の概略構成図。 圧電素子が内装された固定アダプタを示す分解斜視図。 図２の固定部材を上下方向に断面した斜視図。 固定部材にボルトが螺合した状態の平断面図。 （ａ）は、ソレノイドのオン信号と、該オン信号にセンサの検知信号を同期させて、第一及び第二設定レベルの範囲内にある検知信号をＡ／Ｄ変換して、正常波形を形成する状態を示す図。（ｂ）は、ソレノイドのオン信号と、該オン信号にセンサの検知信号を同期させて、第二設定レベルを越える検知信号をＡ／Ｄ変換して、閉塞波形を形成する状態を示す図。（ｃ）は、ソレノイドのオン信号と、該オン信号にセンサの検知信号を同期させて、第一設定レベルよりも低い検知信号をＡ／Ｄ変換して、ガスロック波形を形成する状態を示す図。

以下、本発明に係る容積式ポンプの異常検出装置の実施形態について、図１〜図５を参照しつつ説明する。

本発明の一実施形態に係る容積式ポンプの異常検出装置について、該容積式ポンプによって流体を搬送する流体搬送装置を含めて、図１〜図４を参照しつつ説明する。流体として、例えば高濃度の薬液が貯留されるタンク１と、該タンク１の流体を吸引・吐出して、後述する接続配管３を経て供給配管４に流体を搬送する容積式ポンプ２と、該容積式ポンプ２の吐出口に接続される接続配管３と、該接続配管３に接続される供給配管４と、接続配管３に、固定アダプタ５によって外嵌されるセンサ１０と、容積式ポンプ２の駆動源（ソレノイド及びモータ）に応じて、センサ１０の検知信号を処理する信号処理部１５と、該信号処理部１５に備えられた、駆動源に応じてセンサ１０の検知信号の信号処理を行う複数の信号処理手段を切り換える切換スイッチ（図示せず）とで構成されている。

容積式ポンプ２は、図示していないが、ソレノイドを駆動源とし、該ソレノイドのオフ・オンによって、プランジャが往復動して、流体を吸引・吐出し、下流側の供給配管４に搬送するように構成されている。

固定アダプタ５は、図２〜図４に示すように、角柱状の固定部材６と、該固定部材６に螺合するボルトＢとを備えている。該固定部材６は、一側面の中央部から中心部にかけてボルトＢのねじ孔７が形成される一方、該ねじ孔７に直交するように、該一面に隣接する他面の中央部から対向する面の中央部にかけて接続配管３の挿通孔８が形成されている。また、図４に示すように、ねじ孔７に対向する挿通孔８の内面に、センサ１０をセットするための凹部８ａが形成されている。そして、センサ１０が凹部８ａにセットされた状態においては、センサ１０の検知面１０ａが挿通孔８の内面から臨出した状態、即ちセンサ１０の検知面１０ａが接続配管３の外面に当接する状態にある。

センサ１０は、図２〜図４に示すように、直径５ｍｍ、厚さ１．５ｍｍの円板状のピエゾ素子（圧電素子）で構成されている。そして、接続配管３に流れる流体の脈動を検知した検知信号を、後述する信号処理部１５によって、所要の信号処理を行う。即ち、センサ１０の検知信号を、ソレノイドのオン信号に同期させると共に、所定のレベルに設定される二つの閾値（設定レベル）と比較し、ポンプ２の正常・異常を判断する。この信号処理については、後から詳細に説明する。

信号処理部１５は、モータを駆動源とソレノイドを駆動源としてセンサ１０の検知信号を処理する第一信号処理手段と、モータを駆動源としてセンサ１０の検知信号を処理する第二信号処理手段と、ソレノイドまたはモータの駆動源に応じて、各信号処理手段を切り換える駆動源切換モードとを備えている。

第一信号処理手段は、ソレノイドのオン信号と、センサ１０の検知信号とを同期させ、同期させた検知信号を、所定のレベルに設定された第一及び第二設定レベルと比較し、図５（ａ）に示すように、第一及び第二設定レベルの範囲に、検知信号のレベル（約２Ｖ）がある場合は、判定した検知信号を正常波形として、Ａ／Ｄ変換、即ちパルス波形に変換し、該パルス波形を外部に常時出力する。また、図５（ｂ）に示すように、検知信号のレベルが、第二設定レベルを超える（約５Ｖ）場合は、判定した検知信号を閉塞波形としてパルス波形に変換し、該パルス波形が連続（例えば、１〜５回）して検知された場合は、閉塞警報を出す。また、図５（ｃ）に示すように、検知信号のレベルが、第一設定レベル未満（約０〜１Ｖ）の場合は、判定した検知信号をガスロック波形としてパルス波形に変換し、該パルス波形が所定回数連続して検知された場合は、ガスロック警報を出す。また、閉塞及びガスロック警報が出されている場合に、正常波形が連続して検知された場合は、各警報を停止するように構成されている。

第二信号処理手段は、図５（ａ）に示す正常波形が、所定時間（例えば１〜６０秒）内、即ちポンプの運転サイクルの最低１サイクルを越える時間内に、に入力されなければ、ガスロック状態であると、判断してガスロック警報を発する。また、図５（ｂ）に示す閉塞波形が、前記所定時間内に連続（例えば、１〜５回）して出力されると、閉塞状態であると判断して閉塞警報を発する。また、図５（ｃ）に示すガスロック波形が、前記所定時間内に連続して出力されると、ガスロック状態であると判断してガスロック警報を発する。また、正常波形、閉塞波形、ガスロック波形のいずれも前記所定時間に出力されない場合は、ガスロック警報を発する。

そして、センサ１０を接続配管３に内装するには、予め、固定部材６の挿通孔８の凹部８ａに、センサ１０をセットすると共に、固定部材６のねじ孔７に、ボルトＢを螺合させて仮締めしておき、固定部材６の挿通孔８に接続配管３を挿通する。その後、ボルトＢを本締めすることで、接続配管３に固定部材６が固定されて、接続配管３の外面にセンサ１０の検知面１０ａが圧接し、接続配管３を流れる流体の脈動がセンサ１０によって検知される。

そして、容積式ポンプ２の駆動源に応じてセンサ１０の検知信号を処理できるように、信号処理部１５の駆動源切換モードを、切換スイッチによって、ソレノイドまたはモータのいずれかに切り換える。例えば、容積式ポンプ２の駆動源がソレノイドの場合、切換スイッチを「ソレノイド」に切り換える。その後、容積式ポンプ２を駆動させると、流体が接続配管３を通って供給配管４に搬送され、センサ１０が接続配管３を介して脈動を検知する。具体的には、上述した信号処理部１５の第一信号処理手段において、図５（ａ）〜（ｃ）に示すように、ソレノイドにオン信号が入力されると、これに同期するように、センサ１０の検知信号を出力させ、該検知信号が、第一及び第二設定レベルの範囲内であるか、高めに設定されている第二設定レベルを超えたか否か、低めに設定された第一設定レベルよりも低いか否かを判断して、ポンプ２の正常・異常を判断する。

また、容積式ポンプ２の駆動源がモータの場合、切換スイッチを「モータ」に切り換え、容積式ポンプ２を駆動させると、ポンプのオン信号の立上りから所定時間内、即ちポンプの運転サイクルの最低１サイクルを越える時間内に、信号処理部１５の第二信号処理手段において、図５（ａ）に示す正常波形、図５（ｂ）に示す閉塞波形、及び、図５（ｃ）に示すガスロック波形が出力されるか否かで、ポンプ２の正常異常を判断する。

なお、前記実施形態の場合、信号処理部１５における複数の信号処理手段を駆動源に応じて切換スイッチ（手動）で切り換えるようにしたが、容積式ポンプの吸引・吐出に同期する同期信号の有無を検知して自動で切り換えるようにしてもよい。

また、前記実施形態の場合、図５（ａ）に示す正常波形をカウントすることで、ポンプの異常を検知するようにしたが、搬送される流体の流量や、ポンプの運転時間を測定することもできるため、ポンプの流量計や寿命管理をする装置にも適用することができる。

また、前記実施形態の場合、角柱状の固定部材６としたが、二つに分割された固定部材であってもよく、分割された固定部材によって、配管３を挟むように装着するようにしてもよい。

１…タンク、２…容積式ポンプ、３…接続配管、４…供給配管、５…固定アダプタ、６…固定部材、７…ねじ孔、８…挿通孔、８ａ…凹部、１０…センサ、１０ａ…センサの検知面、１５…信号処理部、Ｂ…ボルト。

Claims (2)

1. モータまたはソレノイドのいずれかを駆動源とする容積式ポンプ（２）の異常を検出する容積式ポンプの異常検出装置において、
   容積式ポンプ（２）の吐出口に接続される配管（３）に外嵌される、圧電素子で構成されるセンサ（１０）を備えたことを特徴とする容積式ポンプの異常検出装置。
2. ソレノイドを駆動源とした場合におけるセンサ（１０）の検知信号を処理する第一信号処理手段と、モータを駆動源とした場合におけるセンサ（１０）の検知信号を処理する第二信号処理手段とが、前記各駆動源に応じて切り換えできるように構成される信号処理部（１５）を備えることを特徴とする請求項１に記載の容積式ポンプの異常検出装置。

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