JP2011046847A - 塩化ビニル系プラスチゾル組成物および飲料瓶詰用クリンプキャップ - Google Patents

塩化ビニル系プラスチゾル組成物および飲料瓶詰用クリンプキャップ Download PDF

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Abstract

【課題】高温での焼き付け時における可塑剤の蒸発飛散が少なく、キャップの腐食を抑制でき、飲料内容物への可塑剤の溶出も少なく、ライニング作業性や、密封材が本来備えるべき要求性能も満足することができる塩化ビニル系プラスチゾル組成物とそれを用いた飲料瓶詰用クリンプキャップを提供する。
【解決手段】(A)塩化ビニル樹脂、(B)ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートを必須成分とする塩化ビニル樹脂100質量部に対して65〜85質量部の可塑剤、(C)沈降性硫酸バリウムを必須成分とする塩化ビニル樹脂100質量部に対して20〜60質量部の充填剤、(D)発泡剤、および(E)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.5〜1.5質量部の潤滑剤を含有し、塩化ビニル系プラスチゾル組成物を焼き付けて得た密封材のA硬度が37〜53であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、飲料瓶詰用クリンプキャップに用いられる塩化ビニル系プラスチゾル組成物とそれを用いた飲料瓶詰用クリンプキャップに関するものである。
従来、清酒やジュース類の飲料瓶詰用クリンプキャップの密封用のライナー材として、その密封機能が優れていることから塩化ビニル系プラスチゾル組成物が広く用いられている。
この塩化ビニル系プラスチゾル組成物の可塑剤としては、従来、フタル酸エステル系可塑剤が広く用いられてきた。しかし、飲食品内容物への移行による人体への悪影響の懸念や、土壌や河川の環境汚染等の問題が指摘され、近年ではライナー材へのフタル酸エステル系可塑剤の使用を控える傾向が強まっている。
このような状況において、フタル酸エステル系可塑剤に代替する可塑剤として、アセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価カルボン酸エステル系可塑剤、エポキシ化大豆油やエポキシ化亜麻仁油等のエポキシ系可塑剤、アセチル化モノグリセライドや中鎖脂肪酸トリグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル系可塑剤等が用いられている(特許文献1参照)。
塩化ビニル系プラスチゾル組成物におけるこれらの可塑剤の配合量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して65〜85質量部が一般的であり、塩化ビニル樹脂と可塑剤以外に、充填剤、発泡剤、潤滑剤、安定剤、顔料等が配合される。
塩化ビニル系プラスチゾル組成物の配合組成は、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の製造適性、飲料瓶詰用クリンプキャップへの塗布および焼き付け時の作業性を確保するための粘度適性や硬化適性、瓶詰作業時のキャッピング適性、およびキャップ本来の機能である密封性、開栓性、耐内容物適性等の各種の要求性能を満足するように調整される。
特に、香味が重要な清酒等の酒類のキャップに用いられるライナー材は、清酒等の香味を損なわないように配合組成を厳選することが要求される。
従来、清酒やジュース類のクリンプキャップに用いられるライナー材の塩化ビニル系プラスチゾル組成物では、可塑剤としてエポキシ化大豆油等を用いた場合には飲料内容物の香味に悪影響を与える場合がある等の点から、主にアセチルクエン酸トリブチルが用いられている。
特開2007−217662号公報
しかしながら、可塑剤としてアセチルクエン酸トリブチルを用いた場合、クリンプキャップへのライニング後に200〜220℃で焼き付け硬化を行っているが、アセチルクエン酸トリブチルの沸点が低いため蒸発し易く、蒸発した可塑剤が乾燥炉内の低温部分で凝縮して溜まり、これが肥大化して剥離落下しクリンプキャップを汚染するという問題点があった。
また、アセチルクエン酸トリブチルを可塑剤として用いた塩化ビニル系プラスチゾル組成物は、耐食性が劣るという問題点があった。通常、塩化ビニル系プラスチゾル組成物をライナー材とする飲料瓶詰用クリンプキャップには、塩化ビニル系塗料がコーティングされており、焼き付け硬化時に塩化ビニル系プラスチゾル組成物の可塑剤がこの塩化ビニル系塗料の塗膜を溶融して塩化ビニル系プラスチゾル組成物と塗膜との結合一体化が起こる。この溶融端部は可塑剤により溶融劣化された部分であり、且つ飲料瓶詰用クリンプキャップの成形加工時に損傷を受けた場所でもあり、飲料内容物の酸等の腐食因子や可塑剤の加水分解により発生した酸等によりこの部分が腐食され易い。そしてアセチルクエン酸トリブチルを可塑剤として用いた場合にはこの傾向が強くなる。
また、包装容器には、包装される内容物の香味がオリジナルに近い状態で消費者に届けることが要求される。従って密封材からの可塑剤等の異物の溶出は可能な限り押さえる必要がある。しかしながら、従来のフタル酸エステル系可塑剤を用いた塩化ビニル系プラスチゾル組成物に比べて、アセチルクエン酸トリブチルを可塑剤として用いた塩化ビニル系プラスチゾル組成物はアルコール溶液や水に溶出し易い傾向にあり、瓶詰め製品での過酷な貯蔵によって白濁等が発生するという問題点があった。
以上の問題点、すなわち可塑剤の蒸発飛散、可塑剤によるキャップの腐食、および可塑剤の溶出は、可塑剤の配合量を相当量低減すればある程度まで改良されるが、一方で可塑剤の配合量を低減し過ぎると塩化ビニルプラスチゾル組成物の粘度上昇によりライニング作業性が低下し、さらにガスケット硬度の上昇により密封性が低下し、シーリング材としての機能を失うことになる。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、高温での焼き付け時における可塑剤の蒸発飛散が少なく、キャップの腐食を抑制でき、飲料内容物への可塑剤の溶出も少なく、且つ、ライニング作業性や、密封材が本来備えるべき要求性能も満足することができる塩化ビニル系プラスチゾル組成物とそれを用いた飲料瓶詰用クリンプキャップを提供することを課題としている。
本発明者らは、ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートの物性・性状に注目して鋭意検討を重ねた結果、これを可塑剤として用いることにより、上記した可塑剤の蒸発飛散、可塑剤によるキャップの腐食、および可塑剤の溶出が抑制され、且つ、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の配合組成を適切なものとすることで、ライニング作業性や、密封材が本来備えるべき要求性能も満足することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1:飲料瓶詰用クリンプキャップにおける瓶口との密封面に塗布し硬化することにより密封材を形成するための塩化ビニル系プラスチゾル組成物であって、
(A)塩化ビニル樹脂、
(B)ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートを必須成分とする塩化ビニル樹脂100質量部に対して65〜85質量部の可塑剤、
(C)沈降性硫酸バリウムを必須成分とする塩化ビニル樹脂100質量部に対して20〜60質量部の充填剤、
(D)発泡剤、および
(E)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.5〜1.5質量部の潤滑剤
を含有し、50φの金属製皿に5gの塩化ビニル系プラスチゾル組成物を塗布し、210℃で3分間焼き付けて得た密封材をJIS K−6301 TYPE A硬度計を用いて25℃で測定したA硬度が37〜53であることを特徴とする塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
第2: ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートの配合量が可塑剤100質量部に対して70質量部以上であり、フタル酸エステル系可塑剤を含有しないことを特徴とする上記第1の塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
第3:沈降性硫酸バリウムの配合量が充填剤100質量部に対して60質量部以上であり、B型回転粘度計によりローターNo.3、20rpm、40℃の条件で測定した塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度が1000〜2000mPa・sであることを特徴とする上記第1または第2の塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
第4:発泡剤が、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、および4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記第1から第3のいずれかの塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
第5:上記第1から第4のいずれかの塩化ビニル系プラスチゾル組成物を飲料瓶詰用クリンプキャップにおける瓶口との密封面に塗布し硬化することにより形成された密封材を備えることを特徴とする飲料瓶詰用クリンプキャップ。
本発明によれば、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の可塑剤としてビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートを用いることで、可塑剤の蒸発飛散による飲料瓶詰用クリンプキャップの汚染が防止され、加水分解による酸の発生と塗膜劣化の低減により耐食性が向上し、そして極性が低いことにより飲料内容物への溶出が減少し白濁が防止される。
さらに、塩化ビニル樹脂、充填剤、発泡剤、および潤滑剤の配合組成を適切なものとすることで、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の製造工程からクリンプキャップの密封材としての性能・品質に至るまでの各種の要求性能も満足することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「密封材」にはガスケットが含まれる。また、「塩化ビニル系プラスチゾル組成物」は、ライナー材、あるいはシーリングコンパウンド等とも呼ばれるものである。
本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物に用いられる塩化ビニル樹脂は、塩化ビニルペースト樹脂を単独で用いたものか、あるいは塩化ビニルペースト樹脂と塩化ビニルブレンド樹脂とを併用したものである。
塩化ビニルペースト樹脂は、平均重合度が好ましくは1100〜1700、平均粒子径が好ましくは0.1〜数μmであり、一般には乳化重合法またはマイクロサスペンジョン重合(微懸濁重合)法等の重合法によって製造される。
塩化ビニルブレンド樹脂は、平均重合度が好ましくは1000〜1200、平均粒子径が好ましくは20〜40μmであり、一般には懸濁重合または塊状重合等により製造される。
塩化ビニルペースト樹脂と塩化ビニルブレンド樹脂との配合割合は、好ましくは、質量比で塩化ビニルペースト樹脂:塩化ビニルブレンド樹脂=100:0〜90:10である。可塑剤にビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートを用いた場合、塩化ビニルブレンド樹脂の配合量を多くすると塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度が相当程度に低下する場合がある。
本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物に用いられる可塑剤の配合量は、好ましくは、塩化ビニル樹脂100質量部に対して65〜85質量部である。可塑剤の配合量が少な過ぎると、硬い密封材となり密封性が十分に確保できなくなる場合がある。一方、可塑剤の配合量が多過ぎると、可塑剤の蒸発飛散、腐食、溶出を十分に防止することが困難になる場合があり、また密封材が柔らかくなり過ぎて耐衝撃性等のシーリング性が低下する場合がある。また、必要以上に可塑剤を配合すると塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度を著しく低下させ、適性粘度を確保するための無駄な方策を要することになる。
本発明では、可塑剤としてビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートが配合される。ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートは、可塑剤100質量部に対して好ましくは70質量部以上の割合で配合され、最も好ましい態様の一つでは、可塑剤としてビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートが単独で用いられる。
可塑剤に起因する蒸発飛散、腐食、溶出を十分に防止する点からは、可塑剤としてビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートを単独で用いることが好ましいが、本発明では、可塑剤に起因する蒸発飛散、腐食、溶出の防止等の効果を損なわない範囲内において、例えば粘度調整や発泡状態の調整等を目的として、他の可塑剤を配合することができる。このような可塑剤としては、例えば、アセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価カルボン酸エステル系可塑剤や、アセチル化モノグリセライドや中鎖脂肪酸トリグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル系可塑剤等が挙げられる。ただし、これらの可塑剤の使用は、特に清酒等のアルコール飲料に対してはフレーバーの劣化、ジュース等の飲料に対しては耐食性に懸念があるため、過剰の配合は避ける必要があり、好ましくは可塑剤100質量部に対して30質量部未満の量で配合される。
本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物には、沈降性硫酸バリウムを必須成分とする充填剤が配合される。充填剤は通常、増量剤またはコスト低減のために用いられるが、本発明では、充填剤は粘度調整を主目的として配合される。
ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートを可塑剤として用いた塩化ビニル系プラスチゾル組成物は、粘度調整のための適切な手段を採らない場合粘度が著しく低くなり、ライニング作業を適切に行うことが困難になる。そのため本発明では、増粘手段として、吸油量が多くて増粘効果が大きく、増量剤またはコスト低減としての効果もあり、さらにフレーバー等にも影響を及ぼさない沈降性硫酸バリウムを必須成分とする充填剤を用いている。
本発明では、充填剤として、沈降性硫酸バリウムに加えて他の充填剤を配合することができる。このような充填剤としては、簸性硫酸バリウムが好ましい。簸性硫酸バリウムは吸油量が沈降性硫酸バリウムの約半分と少なく、嵩密度が沈降性硫酸バリウムの約4倍と大きいため、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度や密封材であるガスケットの物性への影響が少なく、一般のキャップ用ライナー材の塩化ビニル系プラスチゾル組成物にも多く用いられている。
沈降性硫酸バリウムに加えて他の充填剤を配合する際には、各種の無機化合物が充填剤として知られているが、酸性飲料に溶出したり、硬過ぎてライニング装置の摩耗を早めたり、取り扱いや健康上および食品衛生上好ましくないものもあるため、適切なものを選択することが必要である。
なお、増粘手段としてアエロジェル(シリカアエロゲル)を塩化ビニル樹脂100質量部に対して例えば数質量部配合することで所定の粘度を確保することもできる。
本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物における充填剤の配合量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して20〜60質量部、好ましくは30〜50質量部である。そして沈降性硫酸バリウムの配合量は、好ましくは充填剤100質量部に対して60質量部以上である。充填剤の配合量をこの範囲内とすることで、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度を、B型回転粘度計によりローターNo.3、20rpm、40℃の条件で測定した値で1000〜2000mPa・sの適切な範囲とすることができる。充填剤の配合量が少な過ぎると、この目標粘度を下回って充填剤が沈降分離する場合があり、充填剤の配合量が多過ぎると、目標粘度を超える場合があり、いずれもライニング作業性に悪影響を与える。さらに、密封材の発泡状態や硬度等の物性も低下する。
本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物には、発泡剤が配合される。発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
発泡剤は、50φの金属製皿に5gの塩化ビニル系プラスチゾル組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉において210℃で3分間焼き付けて得た密封材(ガスケット)を、JIS K−6301 TYPE A硬度計を用いて25℃で測定したA硬度で37〜53、好ましくは40〜50となる量で塩化ビニル系プラスチゾル組成物に配合される。
発泡剤の種類および配合量の好ましい一例では、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを単独で用いて、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.5〜0.9質量部の範囲で塩化ビニル系プラスチゾル組成物に配合される。
また、欧州ではアゾジカルボンアミドの使用を食品衛生上の点から制限している国もあり、これらの国に輸出されるもの等では、発泡剤として、例えば、炭酸水素ナトリウムまたは4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)が単独で、またはこれらを併用して用いられる。この場合、炭酸水素ナトリウムまたは4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を単独で用いると、適性発泡温度領域が狭くなり、焼き付け硬化の作業性の点からは好ましくないが、炭酸水素ナトリウムと4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を併用することで焼き付け硬化の作業性が改善されるため、本発明ではこれらを併用することが好ましい。
炭酸水素ナトリウムと4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を併用した場合の塩化ビニル系プラスチゾル組成物の配合の一例では、塩化ビニル樹脂100質量部、ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート75質量部、その他の成分30質量部に対して、発泡剤として炭酸水素ナトリウム0.75質量部、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)0.22質量部が配合される。この場合の密封材のA硬度は、例えば47となる。
本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物には、潤滑剤が配合される。潤滑剤は、密封材と瓶口との粘着による開栓性の低下を防止する目的で配合される。
潤滑剤としては、例えば、従来から知られている汎用の潤滑剤を用いることができるが、本発明の飲料瓶詰用クリンプキャップが、香味が重要な清酒等の飲料用に用いられることを考慮すると、フレーバーの良い無味無臭に近い潤滑剤を用いることが必要である。本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物に用いられる好ましい潤滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、シリコーンオイル等が挙げられる。
潤滑剤の配合量は、好ましくは、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.5〜1.5質量部である。潤滑剤の配合量が少な過ぎると、開栓性が低下する場合があり、潤滑剤の配合量が多過ぎると、飲料内容物への潤滑剤の落ち込みが生じる場合がある。
本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物には、上記の各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲内において、さらに他の成分を配合することができる。このような他の成分としては、例えば、脂肪酸金属石鹸等の安定剤、酸化チタンや酸化亜鉛等の顔料、発泡助剤等が挙げられる。
本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物は、常法に従って飲料瓶詰用クリンプキャップにおける瓶口との密封面に塗布し加熱硬化することにより密封材とすることができる。例えば、回転するキャップに加圧した塩化ビニル系プラスチゾル組成物をノズルより吐出させて1〜数回の重ね塗りを行うことで、塩化ビニル系プラスチゾル組成物をキャップに吐工(ライニング)し、次いで、焼き付け乾燥加熱炉等を用いて加熱硬化することで密封材を形成することができる。このようにして、瓶口との密封面に密封材が形成された本発明の飲料瓶詰用クリンプキャップを得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
塩化ビニルペースト樹脂A((株)カネカ製、重合度1300)90質量部、塩化ビニルブレンド樹脂C((株)カネカ製、重合度1100)10質量部、ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(BASF社製)75質量部、沈降性硫酸バリウム(堺化学工業(株)製)25質量部、アゾジカルボンアミド(大塚化学工業(株)製)0.8質量部、パラフィンワックス125F(日本精蝋(株)製)0.75質量部、脂肪酸金属石鹸(日産化学工業(株)製)3質量部、酸化チタン(堺化学工業(株)製)5質量部、酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)製)0.5質量部を配合して石川式ライカイ機で混練し、次いで真空脱泡することにより塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物とそれを用いた密封材について、次の評価を行った。
[塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性、粘度安定性、作業適性の評価]
塩化ビニル系プラスチゾル組成物の製造から1日経過後、および38℃で7日間貯蔵後の粘度を測定した。粘度測定は、市販のB型回転粘度計を用いて、ローターNo.3、40℃、20rpmまたは2rpmの条件で行った(以下において2rpmでの粘度を20rpmでの粘度で除した値をV2/20と示す。)。
製造から1日経過後、および38℃で7日間貯蔵後の粘度より、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性、粘度安定性、および作業適性を考慮し、次の基準により評価した。
○:粘度1000〜2000mPa・s(at 20rpm)、且つV2/20≧1
×:上記の範囲外
[密封材の物性評価(発泡状態、硬度、発泡比重)]
直径50φ(50mm)、深さ3mmの金属製皿に塩化ビニル系プラスチゾル組成物5gを塗布し、熱風循環式乾燥炉において210℃で3分間焼き付けることによりガスケットを得た。
このガスケットについて、発泡状態の観察、硬度の測定、および発泡比重の測定を行い次の基準により評価した。なお、硬度の測定はJIS K−6301に準拠して20℃で行い、発泡比重の測定はアルファーミラージュ(株)電子比重計を用いて行った。
○:ガスケット表面や発泡気泡に異常が無く、A硬度が37〜53、且つ、発泡比重が0.55〜1.0
×:上記以外
[実瓶試験による性能評価(耐衝撃性、潤滑剤の落ち込み、開栓性)]
塩化ビニル系プラスチゾル組成物をアルミ製56φクリンプキャップに0.6±0.05g塗布し、205℃で1分45秒焼き付けて試験キャップとした。
この試験キャップを90℃の温水を充填した清酒用カップ瓶に巻き締め、1週間放置後、傾斜角15度の鉄板上30cmの高さから清酒用カップ瓶を倒置落下させて試験キャップに落下衝撃を与えた。
さらに1週間放置後、清酒用カップ瓶内の真空度、潤滑剤の落ち込み、および開栓性(粘着)を次の基準により評価した。(n=10、室温で試験)
○:真空度が35kPa以上で、潤滑剤の落ち込みが肉眼では確認されず、ガスケットと瓶口との粘着がなく開栓性が良い。
×:上記以外
<実施例2>
実施例1において、塩化ビニル樹脂として塩化ビニルペースト樹脂B((株)カネカ製、重合度1100)100質量部を単独で用い、沈降性硫酸バリウムの配合量を30質量部とし、アゾジカルボンアミドの配合量を0.7質量部とし、それ以外は実施例1と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価、密封材の物性評価、および実瓶試験による性能評価を行った。
<実施例3>
実施例1において、発泡剤としてアゾジカルボンアミドに代えて炭酸水素ナトリウム(永和化成工業(株)製)0.75質量部および4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(永和化成工業(株)製)0.22質量部を配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価、密封材の物性評価、および実瓶試験による性能評価を行った。
<実施例4>
実施例1において、塩化ビニルブレンド樹脂Cに代えて塩化ビニルブレンド樹脂D((株)カネカ製、重合度1150)10質量部を配合し、ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートの配合量を85質量部とし、発泡剤としてアゾジカルボンアミドに代えて炭酸水素ナトリウム0.75質量部および4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)0.22質量部を配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価、密封材の物性評価、および実瓶試験による性能評価を行った。
<実施例5>
実施例1において、ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートの配合量を65質量部とし、沈降性硫酸バリウムの配合量を20質量部とし、それ以外は実施例1と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価、密封材の物性評価、および実瓶試験による性能評価を行った。
<実施例6>
実施例1において、沈降性硫酸バリウムの配合量を30質量部とし、充填剤としてさらに簸性硫酸バリウム(堺化学工業(株)製)20質量部を配合し、潤滑剤としてさらにシリコーンオイル(信越化学工業(株)製)0.5質量部を配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価、密封材の物性評価、および実瓶試験による性能評価を行った。
<比較例1>
実施例1において、ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートの配合量を90質量部とし、沈降性硫酸バリウムの配合量を40質量部とし、充填剤としてさらに簸性硫酸バリウム10質量部を配合し、それ以外は実施例1と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度の評価を行った。
<比較例2>
実施例2において、沈降性硫酸バリウムに代えて簸性硫酸バリウム30質量部を配合し、それ以外は実施例2と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価を行った。
<比較例3>
実施例1において、沈降性硫酸バリウムの配合量を15質量部とし、それ以外は実施例1と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価を行った。
<比較例4>
実施例1において、ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートの配合量を60質量部とし、沈降性硫酸バリウムの配合量を20質量部とし、それ以外は実施例1と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価、および密封材の物性評価を行った。
<比較例5>
実施例1において、アゾジカルボンアミドの配合量を0.5質量部とし、それ以外は実施例1と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価、および密封材の物性評価を行った。
<比較例6>
実施例2において、発泡剤としてアゾジカルボンアミドに代えて炭酸水素ナトリウム1.0質量部および4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)0.5質量部を配合し、それ以外は実施例2と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例2と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価、および密封材の物性評価を行った。
<比較例7>
実施例1において、アゾジカルボンアミドの配合量を1.2質量部とし、それ以外は実施例1と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価、および密封材の物性評価を行った。
<比較例8>
実施例1において、パラフィンワックスの配合量を2.0質量部とし、それ以外は実施例1と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価、密封材の物性評価、および実瓶試験による性能評価を行った。
<比較例9>
実施例1において、パラフィンワックスの配合量を0.3質量部とし、それ以外は実施例1と同様の条件にて塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。
得られた塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、実施例1と同様に、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性等の評価、密封材の物性評価、および実瓶試験による性能評価を行った。
実施例1〜6および比較例1〜9の評価結果を表1に示す。
Figure 2011046847
表1より、塩化ビニル樹脂、可塑剤のビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、沈降性硫酸バリウムを必須成分とする充填剤、発泡剤、および潤滑剤をそれぞれ所定量配合した塩化ビニル系プラスチゾル組成物を用いた実施例1〜6では、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度適性、粘度安定性、作業適性、および密封材の発泡状態、硬度、発泡比重が良好であり、実瓶試験による耐衝撃性を有し、潤滑剤の落ち込みがなく、開栓性も良好であった。
一方、可塑剤のビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートの配合量が多い比較例1では、粘度が低下した。
充填剤として沈降性硫酸バリウムを用いなかった比較例2では、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度が低下し、充填剤が沈降分離した。
充填剤として沈降性硫酸バリウムを用いたが配合量が少なかった比較例3では、塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度が低下した。
可塑剤のビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートの配合量が少ない比較例4では、密封材が硬くなり、密封材の物性が低下した。
発泡剤のアゾジカルボンアミドの配合量が少ない比較例5では、ガスケットのA硬度が高く、発泡が不足し密封材が硬くなり、密封材の物性が低下した。
発泡剤の炭酸水素ナトリウムおよび4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)の配合量が多い比較例6では、ガスケットのA硬度が低く、過発泡で密封材が柔らかくなり、密封材の物性が低下した。
発泡剤のアゾジカルボンアミドの配合量が多い比較例7では、ガスケットのA硬度が低く、過発泡で密封材が柔らかくなり、密封材の物性が低下した。
潤滑剤のパラフィンワックスの配合量が多い比較例8では、潤滑剤の落ち込みが発生した。
潤滑剤のパラフィンワックスの配合量が少ない比較例9では、ガスケットの粘着により開栓性が低下した。
<実施例7>
[焼き付け硬化時の蒸発減量]
実施例1と同様の塩化ビニル系プラスチゾル組成物30gを15cm×20cmのアルミ製パンに塗布し、熱風循環式乾燥炉で所定の条件(210℃×3分または220℃×3分)で焼き付け、焼き付け前後の重量変化より蒸発減量(%)を求めた。なお、塩化ビニル系プラスチゾル組成物は、焼き付け直前に真空脱泡して水分を除去した。
[20%アルコール溶出量]
実施例1の塩化ビニル系プラスチゾル組成物を用いて210℃で3分間の焼き付けを行い溶出試験試料を作製した。この溶出試験試料を用いて、食品、添加物等の規格試験(厚生省告示370号)の溶出試験[蒸発残留物(20%エタノール)]に準じて試験を行い、20%アルコール溶出量を測定した。
<比較例10>
従来品(清酒用市販品)の飲料瓶詰用クリンプキャップのライナー材と同様の配合組成を有するものとして、塩化ビニル樹脂100質量部、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル系可塑剤85質量部、および充填剤、発泡剤、潤滑剤、安定剤等のその他の成分合計43.95質量部を配合した塩化ビニル系プラスチゾル組成物を用いて、実施例7と同様に焼き付け硬化時の蒸発減量および20%アルコール溶出量を測定した。
<比較例11>
従来品(清酒用市販品)の飲料瓶詰用クリンプキャップのライナー材と同様の配合組成を有するものとして、塩化ビニル樹脂100質量部、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル系可塑剤60質量部、グリセリン脂肪酸エステル系可塑剤13質量部、および充填剤、発泡剤、潤滑剤、安定剤等のその他の成分合計8.17質量部を配合した塩化ビニル系プラスチゾル組成物を用いて、実施例7と同様に焼き付け硬化時の蒸発減量および20%アルコール溶出量を測定した。
実施例7および比較例10、11の評価結果を表2に示す。
Figure 2011046847
表2より、実施例7では、従来品に準じた比較例10、11に比べて焼き付け硬化時の蒸発減量が少なく、20%アルコール溶出量も少ないものであった。
<参考例1>
[塩化ビニル系プラスチゾル組成物の耐食性(腐食促進試験)]
塩化ビニル樹脂(上記の塩化ビニルペースト樹脂Aと塩化ビニルブレンド樹脂Cとの混合物)100質量部、ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート80質量部、およびその他の成分を合計51.4質量部(充填剤:沈降性硫酸バリウム30質量部および簸性硫酸バリウム10質量部、顔料:酸化チタン5質量部、発泡剤:アゾジカルボンアミド0.8質量部、潤滑剤、安定剤)を配合した塩化ビニル系プラスチゾル組成物を調製し、これを常法に従ってキャップに塗布、焼き付けした。キャップは、市販の47φまたは62φスクリュウキャップを用いた。
食塩、酢酸、クエン酸の各3%混合溶液を75℃に加温して瓶詰めし、上記のキャップを巻き締めた後、38℃で2週間貯蔵し、その後キャップの腐食状況を観察した。
腐食グレードはキャップ本体に殆ど腐食が発生していないものを1とし、著しい腐食が発生したもの(穿孔発生〜発生間近)を5として評価した(n=6)。
<参考例2>
従来品(食品用市販品)の飲料瓶詰用クリンプキャップのライナー材と同様の配合組成を有するものとして、塩化ビニル樹脂100質量部、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル系可塑剤35質量部、エポキシ系可塑剤35質量部、および充填剤、発泡剤、潤滑剤、安定剤等のその他の成分合計30.6質量部を配合した塩化ビニル系プラスチゾル組成物を用いて、参考例1と同様に腐食促進試験を行った。
<参考例3>
従来品(食品用市販品)の飲料瓶詰用クリンプキャップのライナー材と同様の配合組成を有するものとして、塩化ビニル樹脂100質量部、グリセリン脂肪酸エステル系可塑剤50質量部、エポキシ系可塑剤30質量部、および充填剤、発泡剤、潤滑剤、安定剤等のその他の成分合計42.6質量部を配合した塩化ビニル系プラスチゾル組成物を用いて、参考例1と同様に腐食促進試験を行った。
参考例1〜3の評価結果を表3に示す。
Figure 2011046847
表3より、塩化ビニル系プラスチゾル組成物において腐食に及ぼす影響が最も大きい成分である可塑剤としてビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートを塩化ビニル樹脂100質量部に対して80質量部配合し、耐腐食性を評価する上での条件を本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物と同等とした参考例1では、従来品に準じた参考例2、3のヒドロキシ多価カルボン酸エステル系可塑剤やグリセリン脂肪酸エステル系可塑剤とエポキシ系可塑剤との混合物を可塑剤として用いた塩化ビニル系プラスチゾル組成物に比べて耐食性が向上した。

Claims (5)

  1. 飲料瓶詰用クリンプキャップにおける瓶口との密封面に塗布し硬化することにより密封材を形成するための塩化ビニル系プラスチゾル組成物であって、
    (A)塩化ビニル樹脂、
    (B)ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートを必須成分とする塩化ビニル樹脂100質量部に対して65〜85質量部の可塑剤、
    (C)沈降性硫酸バリウムを必須成分とする塩化ビニル樹脂100質量部に対して20〜60質量部の充填剤、
    (D)発泡剤、および
    (E)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.5〜1.5質量部の潤滑剤
    を含有し、50φの金属製皿に5gの塩化ビニル系プラスチゾル組成物を塗布し、210℃で3分間焼き付けて得た密封材をJIS K−6301 TYPE A硬度計を用いて25℃で測定したA硬度が37〜53であることを特徴とする塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
  2. ビス(イソノニル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートの配合量が可塑剤100質量部に対して70質量部以上であり、フタル酸エステル系可塑剤を含有しないことを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
  3. 沈降性硫酸バリウムの配合量が充填剤100質量部に対して60質量部以上であり、B型回転粘度計によりローターNo.3、20rpm、40℃の条件で測定した塩化ビニル系プラスチゾル組成物の粘度が1000〜2000mPa・sであることを特徴とする請求項1または2に記載の塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
  4. 発泡剤が、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、および4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の塩化ビニル系プラスチゾル組成物を飲料瓶詰用クリンプキャップにおける瓶口との密封面に塗布し硬化することにより形成された密封材を備えることを特徴とする飲料瓶詰用クリンプキャップ。
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