JP3886708B2 - ねじキャップシール用プラスチゾル組成物、それを用いたねじキャップおよびその製造方法 - Google Patents
ねじキャップシール用プラスチゾル組成物、それを用いたねじキャップおよびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリューキャップやラグキャップのようなねじキャップをシールするためのプラスチゾル組成物、それを用いて得られた密封性、開栓性に優れたねじキャップおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のねじキャップ方式飲食品容器用キャップのシール用組成物は、塩化ビニル系のプラスチゾルが主に使用され、可塑剤としてはフタル酸エステル系のものが多用されてきた。塩化ビニル系プラスチゾルはキャップシール材として、密封性、フレーバー性、作業性、コスト等をはじめ優れた性能をもつ材料であるため広く使用されてきたが、焼却時における塩化水素の放出、特定環境でのダイオキシンの生成、環境ホルモン等の環境衛生問題が懸念されるようになった。非塩化ビニル系プラスチゾルとしては、特公昭55−16177号公報記載のアクリル系プラスチゾル等が古くから知られている。その後、特開平7−188390号公報では食品容器用のキャップシール用アクリルプラスチゾルが紹介されている。しかし、前記アクリルプラスチゾルの場合、耐クリープ性は確かに良好であるが、常温ではキャップシールとしては、柔軟性、弾性に乏しく、その結果、蓋と容器の嵌合性が十分でなく、その結果密封不良になりやすい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、柔軟性、弾性があり、かつ密封性および開栓性が良好なねじキャップ方式飲食品容器などの容器のキャップに適したプラスチゾル組成物、それを用いたキャップおよびその製造方法を提供する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、
(A)(a)ガラス転移点が70〜100℃で平均粒子径が0.3〜10μmのアクリル系樹脂微粒子60〜90重量%および(b)ガラス転移点が105〜120℃で平均粒子径が0.3〜10μmのアクリル系樹脂微粒子40〜10重量%よりなるアクリル系樹脂微粒子成分100重量部
(B)(a)クエン酸エステル系可塑剤60〜95重量%および(b)グリセリンエステル系可塑剤40〜5重量%よりなる可塑剤成分55〜110重量部
(C)(a)脂肪酸アミドワックス潤滑剤50〜100重量%および(b)その他の潤滑剤50〜0重量%よりなる潤滑剤成分0.5〜4重量部
よりなることを特徴とするねじキャップシール用プラスチゾル組成物に関する。
本発明の第二は、
前記(A)(a)のアクリル系樹脂が、アルキル基の炭素数が1〜2の(メタ)アクリレート単量体とアルキル基の炭素数が3〜12の(メタ)アクリレート単量体との共重合体であり、前記(A)(b)のアクリル系樹脂が、アルキル基の炭素数が1〜2の(メタ)アクリレート単量体とグリシジル(メタ)アクリレート単量体との共重合体である請求項1記載のねじキャップシール用プラスチゾル組成物に関する。
【0005】
本発明の第三は、請求項1または2記載のねじキャップシール用プラスチゾル組成物をキャップ内に所定厚の層に形成した後、150〜250℃で加熱することを特徴とするねじキャップの製造方法に関する。
【0006】
本発明の第四は、請求項1または2記載のねじキャップシール用プラスチゾル組成物を用い、5℃〜38℃保存1ヶ月後の開栓トルクがD×0.065N・m以下〔ただしDはキャップ径(mm)〕であることを特徴とするねじキャップに関する。
【0007】
本発明に用いられるアクリル系樹脂は、ガラス転移点(Tg)が70〜100℃のものと105〜120℃のものとの混合物が良く、Tgが70〜100℃の樹脂と105〜120℃の樹脂の混合比が90/10〜60/40重量%の範囲にあることが重要である。Tgが70〜100℃の樹脂は、常温で適度な柔軟性があるので、キャップと容器の嵌合性は良好であるが耐熱性が劣る。一方、Tgが105〜120℃の樹脂は高温での物性が優れているので、耐熱性が良好であるが、常温での柔軟性は十分でなく、キャップと容器の嵌合性はやや劣る。そこで、この2つの樹脂を併用することにより、キャップと容器の嵌合性と耐熱性が良好なキャップシールが得られることを本発明で見出した。Tgが70〜100℃の樹脂が90重量%より多いと、キャップシールが柔軟になりすぎて殺菌時に破断したりして耐熱性が劣る。60重量%より少ないとキャップシールの柔軟性が低下し、キャップと容器の嵌合性が十分でなく、キャップシールとしての密封機能が劣る。
【0008】
可塑剤は、クエン酸エステル系とグリセリンエステル系の混合物であって、クエン酸エステル系とグリセリンエステル系の混合重量比が95/5〜60/40、好ましくは90/10〜60/40の範囲にあることが重要である。グリセリンエステル系の割合が5重量%より少ないとアクリルゾルの貯蔵安定性が悪く、40重量%より多いと可塑剤がブリードし、内容物を汚染して好ましくない。
【0009】
前記可塑剤の量は、アクリル系樹脂100重量部に対して55〜110重量部、好ましくは65〜100重量部であり、可塑剤が55重量部より少ないとゾル粘度が高すぎて、キャップに塗布することが困難である。また硬度が上がり、キャップと容器の嵌合性が十分でないために密封性が劣ってくる。一方、可塑剤量が110重量部より多いと硬度が低下し、キャップシールが柔軟になりすぎて殺菌時に破断したりして耐熱性が劣る。
【0010】
前記クエン酸エステル系可塑剤として好ましい化合物としては、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ2エチルヘキシル等が挙げられる。
【0011】
前記グリセリンエステル系可塑剤として好ましい化合物としては、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレエート、グリセリンモノアセトモノステアレート等のアセチル化モノグリセライド、炭素数7から11の脂肪酸トリグリセライド等が挙げられる。
【0012】
前記の可塑剤の中で特に有用なものは、クエン酸エステル系がアセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、グリセリンエステル系がグリセリンジアセトラウレート、グリセリンジアセトモノオレエート、炭素数8から10の脂肪酸トリグリセライド等である。
【0013】
潤滑剤として、脂肪酸アミドワックスと必要に応じてこれにその他潤滑剤を混合して用いることができる。潤滑剤はアクリル系樹脂100重量部に対して、0.5〜4重量部、好ましくは0.8〜3.5重量部であることが重要である。潤滑剤が0.5重量部より少ない場合は十分な潤滑性が得られず、開栓トルクが大きくなる。また、潤滑剤が4重量部より多い場合は、潤滑剤が内容物中に落ち込んだり、開栓トルクが小さくなり好ましくない。
【0014】
前記脂肪酸アミドワックスの適当な例としては、ステアロアミド、オキシステアロアミド、オレイルアミド、エルシドアミド、ラウリルアミド、エチレンビスステアロアミド、エチレンビスオレイルアミド、エチレンビスラウリルアミド等が挙げられる。
【0015】
本発明においては、本発明の組成物に脂肪酸アミドワックス以外の潤滑剤を併用しても良い。ただし、併用する量は脂肪酸アミドワックスの重量の50%以下であることが重要である。50重量%を超えると十分な潤滑性が得られず、開栓トルクが大きくなるかもしくは潤滑剤が内容物に落ち込んで好ましくはない。
【0016】
併用する潤滑剤の適当な例としては、流動パラフィン、合成パラフィン、石油系ワックス、石油炭化水素、シリコーン油、グリセリン脂肪酸トリエステルワックス、レシチン等が挙げられる。
【0017】
本発明においては、必要に応じ発泡剤を加えることにより、発泡タイプにすることもできる。発泡剤は、アゾジカーボンアミド系が良く、アクリル系樹脂100重量部に対し、0.05〜1.0重量部が適当である。
【0018】
発泡剤としては、分解性発泡剤と揮発性発泡剤があるが、分解性発泡剤としては、(a)アゾ化合物;アゾジカーボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド(ABFA)、アゾビスイソブチロニトリル(AZDN)、アゾジカルボン酸バリウム、ジアゾアミノベンゼン(DAB)、バリウムアゾジカルボキシレート、トリヒドラジノトリアジン、(b)ニトロソ化合物;N−N′ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT)、N−N′ジメチルN,N′−ジニトロテレフタロアミド(DMDNTK)、(c)スルホニルヒドラジッド化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジッド(BSH)、p−トルエンスルホニルヒドラジッド(TSH)、p−p′オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド(OBSH)、(d)スルホニルセミカルバジッド化合物;p−トルエンスルホニルセミカルバジッド(TSSC)などの有機化合物があるが、とくにアゾジカーボンアミド系化合物が好適である。また、揮発性発泡剤としては、C5〜C7の脂肪族炭化水素、アルコール類、ケトン類などがあるが、具体例にはペンタン、メチレンクロライド、石油エーテル、アセトン、イソヘキサン、ヘキサン、ベンゼンなどを挙げることができる。
【0019】
ねじキャップシール用プラスチゾル組成物をキャップ内に所定厚の層に形成した後150〜250℃に加熱することも重要である。加熱温度が150℃より低いとキャップとシール材との接着性が十分でなく、シール材が剥離したりして好ましくない。また、250℃より高いとアクリル樹脂が分解し、キャップシールとしての性能が劣化するので好ましくない。加熱処理条件によりキャップシールとしての性能が左右されるので、十分な管理が必要である。
【0020】
本発明に用いられるアクリル系樹脂(A)のうちの(a)成分としては、ガラス転移点(Tg)が70〜100℃のものであることが重要である。通常のアクリル系樹脂たとえばポリメチルメタクリレートはTgが110℃前後であるから、Tgを下げるためにはメチル(メタ)アクリレートのようにアルキル基の炭素数が1〜2の(メタ)アクリレート単量体にアルキル基の炭素数が3〜12の(メタ)アクリレート単量体を共重合した共重合体を用いる。
【0021】
本発明に用いるアクリル系樹脂(A)のうちの(b)成分としては、ガラス転移点(Tg)が105〜120℃のものであることが重要である。このようなTgをもつ樹脂としては、メチル(メタ)アクリレートのようにアルキル基の炭素数が1〜2の単一重合体やこれを主要成分とした(メタ)アクリレート系単量体、グリシジル(メタ)アクリレート系単量体などとの共重合体を用いることができる。
【0022】
前記アクリル系樹脂(A)を得るための共重合成分としては、前記共重合成分のほかに必要に応じて少量の他の種々の単量体を共重合させることができる。このような単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、酢酸ビニル、酢酸アリルなどを例示することができる。これら第3のグループの単量体の使用量は、共重合体の物性が特許請求の範囲の条件を満すものであれば、とくに制限はないが、通常、全単量体に対して10重量%以下、好ましくは5重量%以下の範囲で使用することができる。
【0023】
本発明のアクリル系樹脂を得るための重合方法には特に制限はないが、本発明のプラスチゾル形成に用いるためアクリル系樹脂は微粒子であることが必要である。平均粒子径としては0.3〜10μmであることが望ましい。
【0024】
本発明のアクリル系樹脂の分子量は、通常20万以上、好ましくは50万〜500万である。その理由は、所望する十分な機械的強度を得るためで、前述の分子量未満では引張強度等の物性が不充分になる恐れがあるためである。
【0025】
本発明においては、アクリル系樹脂に可塑剤、潤滑剤のほか、必要に応じて抗菌剤、防かび剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、充填剤、着色剤などの添加剤を配合することができる。
【0026】
本発明のキャップに用いる金属は、通常のスクリューキャップ、ラグキャップ、ピルファープルーフキャップに用いられる金属なら何れでもよく、とくに表面処理鋼板やアルミニウム合金板が用いられることが多い。
【0027】
本発明のねじキャップにかかる5℃〜38℃保存1ヶ月後の開栓トルクは、D×0.065N・m以下〔ただしDはキャップ径(mm)〕であることが必要であるが、好ましくはD×0.033N・m〜D×0.065N・mであることがのぞましい。
【0028】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0029】
合成例1
〔ガラス転移点(Tg)が70〜100℃のアクリル系樹脂(a)の合成〕
ステンレス容器にメタクリレート系単量体としてメチルメタクリレート65重量部、n−ブチルメタクリレート33重量部、メタクリル酸2重量部;乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.0重量部;分散剤として炭素数18の高級アルコール1.5重量部及び重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.3重量部と脱イオン水150重量部を添加し、室温下で30分間撹拌混合した後、ホモミキサーの高剪断下での均一処理を通し、ステンレス製重合容器に移送して油相の液滴径が0.1〜5μmの微細懸濁液として撹拌調整した。続いて重合温度65℃で5時間撹拌下にて重合を行い、少量サンプリングした反応液の固形分濃度により重合率95%以上を確認してから反応を終了させ、水酸化カリウム水溶液で中和処理してラテックスを得た。同ラテックスを170℃の窒素気流の噴霧乾燥機にて乾燥し、さらに窒素シールした粉砕機を通して微粉末とした。このようにして得られた重合体樹脂粒子の平均粒子径は1.5μm、ガラス転移点は84℃、分子量は250万であった。
【0030】
合成例2
〔ガラス転移点(Tg)が105〜120℃のアクリル系樹脂(b)の合成〕
ステンレス容器にメタクリレート系単量体としてメチルメタクリレート94重量部、グリシジルメタクリレート6重量部;乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.0重量部;分散剤として炭素数18の高級アルコール1.5重量部及び重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.3重量部と脱イオン水150重量部を添加し、室温下で30分間撹拌混合した後、ホモミキサーの高剪断下での均質処理を通し、ステンレス製重合容器に移送して油相の液滴径が0.1〜4μmの微細懸濁液として調整した。続いて重合温度65℃で5時間撹拌下にて重合を行い、少量サンプリングした反応液の固形分濃度により重合率97%以上を確認してから反応を終了させた。得られたラテックスを170℃の窒素気流の噴霧乾燥機にて乾燥し、更に窒素シールした粉砕機を通して微粉末とした。このようにして得られた重合体樹脂粒子の平均粒子径は1.8μm、ガラス転移点は110℃、テトラヒドロフラン(THF)不溶解分は63.5%であった。
【0031】
実施例1
合成例1のアクリル樹脂(a)80g、合成例2のアクリル樹脂(b)20g、アセチルクエン酸トリブチル60g、グリセリンジアセトモノラウレート20g、オレイルアミド1g、エルシドアミド1gを石川式らい潰機で60分間混練する。これを真空脱泡してアクリルゾルを調製し、後述の各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表1のとおりである。
【0032】
実施例2
前記アクリル系樹脂(a)60g、前記アクリル系樹脂(b)40g、アセチルクエン酸トリブチル70g、グリセリンジアセトモノラウレート10g、ステアロアミド1g、エルシドアミド1gを使用する以外は、実施例1と同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表1のとおりである。
【0033】
実施例3
前記アクリル系樹脂(a)を90g、前記アクリル系樹脂(b)を10g、エルシドアミド2g、シリコーンオイル1gを潤滑剤として使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表1のとおりである。
【0034】
実施例4
実施例1の組成における可塑剤のかわりにアセチルクエン酸トリブチル60g、グリセリンジアセトモノオレエート20gの可塑剤を使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表1のとおりである。
【0035】
実施例5
実施例1の組成における特定の潤滑剤のかわりに、潤滑剤としてオレイルアミド2g、大豆レシチン0.5gおよびアゾジカーボンアミド系発泡剤0.3gを使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表1のとおりである。
【0036】
実施例6
アクリル系樹脂は実施例1と同じであるが、それ以外の成分は、可塑剤としてアセチルクエン酸トリブチルを65g、グリセリンジアセトモノオレエートを25g、潤滑剤としてエルシドアミド1g、シリコーンオイル0.5gを使用し、実施例1と同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表2のとおりである。
【0037】
実施例7
可塑剤として、アセチルクエン酸トリブチル40gとグリセリンジアセトモノラウレート25gを使用する以外は実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表2のとおりである。
【0038】
実施例8
可塑剤として、アセチルクエン酸トリブチル90g、グリセリンジアセトモノラウレート10gを使用する以外は実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表2のとおりである。
【0039】
実施例9
潤滑剤としてオレイルアミド0.2g、エルシドアミド0.6gを使用する以外は実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表2のとおりである。
【0040】
実施例10
潤滑剤としてオレイルアミド0.5g、エルシドアミド2g、シリコーンオイル1gを使用する以外は実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表2のとおりである。
【0041】
比較例1
アクリル系樹脂として前記アクリル系樹脂(a)のみ100g使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表3のとおりである。
【0042】
比較例2
アクリル系樹脂として、前記アクリル系樹脂(a)50g、前記アクリル系樹脂B50gを使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表3のとおりである。
【0043】
比較例3
可塑剤としてアセチルクエン酸トリブチル60g、グリセリンジアセトモノオレエート20g、潤滑剤としてシリコーンオイル2gを使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表3のとおりである。
【0044】
比較例4
潤滑剤としてオレイルアミド0.3gを単独使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表3のとおりである。
【0045】
比較例5
可塑剤としてアセチルクエン酸トリブチル90g単独使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表3のとおりである。
【0046】
比較例6
可塑剤としてアセチルクエン酸トリブチルを45g、グリセリンジアセトモノラウレートを35g使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表4のとおりである。
【0047】
比較例7
可塑剤としてアセチルクエン酸トリブチル90g、グリセリンジアセトモノオレエート30g使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表4のとおりである。
【0048】
比較例8
可塑剤としてアセチルクエン酸トリブチル40g、グリセリンジアセトモノオレエートを10g使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表4のとおりである。
【0049】
比較例9
可塑剤としてアセチルクエン酸トリブチル70g、グリセリンジアセトモノオレエート20g、潤滑剤としてオレイルアミド2g、エルシドアミド3gを使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表4のとおりである。
【0050】
比較例10
潤滑剤としてオレイルアミド0.4g、エルシドアミド0.4g、シリコーンオイル1.2gを使用する以外は、実施例1と同一の処方でかつ同様の方法でアクリルゾルを調製し、各試験を行った。ゾルの組成、各種物性、試験結果は下記表4のとおりである。
【0051】
<各試験方法について>
(1)初期粘度
初期粘度は調製したアクリルゾルを液温40℃にしBH型粘度計で測定した。(2)引張強度と伸び率
ゾル20gをテフロンシート上にうすく伸ばし、210℃×3分間加熱処理を行い、シートを作製した。これをダンベル3号で打ち抜き試料を作製した。この試料を(株)東洋精機製作所製の引張試験機(ストログラフR型)で、JIS K6251により、試験温度23℃、引張速度500mm/min.で引張試験を行い、引張強度、伸び率を測定した。
(3)硬度
硬度は、JIS K6253によりタイプAデュロメータを用い、試験温度23℃で測定した。
(4)可塑剤等のブリードの有無
作成したシートを室温で1週間保存し、評価結果を下記表中に示した。表中、○は可塑剤のブリードがない場合であり、×は可塑剤のブリードがある場合である。
【0052】
(5)衝撃密封性試験および開栓トルク試験
(a)試験キャップの作成
直径63mmφのラグキャップの内面側頂面外周縁部に調製したアクリルゾルを1.4g環状に塗布し、210℃×2分加熱して作製した。作製した試験キャップを用いて以下の方法で充填し、密封性、開栓トルク試験の試料とした。185ccのガラス瓶に90℃の温水を130cc充填し、試験キャップを3.4N・mで閉栓した後、100℃×40分間湯没殺菌する。その後、50℃の温水で20分冷却、常温水で20分冷却した後、各保存条件で保存し、以下の方法で各試験を行った。
(b)衝撃密封性試験
充填後、室温で1日間保存した試験瓶のキャップ側面に先端が直径12.7mmの半球状のポンチをあて、デュポン式衝撃試験機を用い、500gの荷重を10cmの高さから落下させ衝撃を加える。一晩静置保存した後、保存後の瓶に対してバキュームゲージを用いて真空度を測定することにより、漏洩の有無を調べた(調査本数は10本とした:n=10)。
(c)開栓トルク試験
充填した試験瓶を、5℃、室温、38℃の各条件で1ヶ月間保存し、トルクメーターで開栓トルクを測定した。下記表中の開栓トルクの評価は、キャップ径(本試験ではD=63)の1/3〜2/3の数値に0.098を乗じた値(単位はN・m)が2.1N・m〜4.1N・mである場合を○とし、それ以外を×と表示した。
開栓トルクがキャップ径の(1/3)×0.098N・m即ちD×0.033N・m(本試験では2.1N・m)より小さいと衝撃によるキャップのゆるみにより漏洩が発生することがあり、また開栓トルクがキャップ径の(2/3)×0.098N・m即ちD×0.065N・m(本試験では4.1N・m)より大きいと開けづらくなる。下記表中の潤滑剤の落ち込みの評価は、開栓トルク試験時に内容物を目視して調べた。潤滑剤の落ち込みがなく良好なものを○とし、潤滑剤の落ち込みが見られたものを×と表示した。
【0053】
(6)キャップシールの耐熱性
キャップシールの耐熱性試験は、開栓トルク試験の試験キャップの状態を観察することにより評価した。キャップシールに異常が見られず、良好な状態のものを○とし、キャップシールが瓶口に沿って破断しているなどの異常がみられるものを×として表示した。
【0054】
(7)ゾル粘度の貯蔵安定性
25℃で1ヶ月間保存した後アクリルゾルを液温40℃で粘度を測定し、1ヶ月後の粘度を初期粘度で割り算した粘度経時変化指数を算出して判断した。この指数が1.5未満の場合は粘度安定性が良好であり、2.5以上の場合は粘度安定性が悪く、塗布作業に支障をきたすことがある。これらの結果を表中に示すが、表中の○、△、×の表示は下記の通りである。
○ : 粘度経時変化指数<1.5
△ : 1.5≦粘度経時変化指数<2.5
× : 粘度経時変化指数≧2.5
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【発明の効果】
本発明により、柔軟性、弾性があり、かつ密封性および開栓性が良好なねじキャップ方式の飲食品容器などの容器のキャップに適したプラスチゾル組成物、それを用いたねじキャップおよびその製造方法が提供できた。
Claims (4)
- (A)(a)ガラス転移点が70〜100℃で平均粒子径が0.3〜10μmのアクリル系樹脂微粒子60〜90重量%および(b)ガラス転移点が105〜120℃で平均粒子径が0.3〜10μmのアクリル系樹脂微粒子40〜10重量%よりなるアクリル系樹脂微粒子成分100重量部
(B)(a)クエン酸エステル系可塑剤60〜95重量%および(b)グリセリンエステル系可塑剤40〜5重量%よりなる可塑剤成分55〜110重量部
(C)(a)脂肪酸アミドワックス潤滑剤50〜100重量%および(b)その他の潤滑剤50〜0重量%よりなる潤滑剤成分0.5〜4重量部
よりなることを特徴とするねじキャップシール用プラスチゾル組成物。 - 前記(A)(a)のアクリル系樹脂が、アルキル基の炭素数が1〜2の(メタ)アクリレート単量体とアルキル基の炭素数が3〜12の(メタ)アクリレート単量体との共重合体であり、前記(A)(b)のアクリル系樹脂が、アルキル基の炭素数が1〜2の(メタ)アクリレート単量体とグリシジル(メタ)アクリレート単量体との共重合体である請求項1記載のねじキャップシール用プラスチゾル組成物。
- 請求項1または2記載のねじキャップシール用プラスチゾル組成物をキャップ内に所定厚の層に形成した後、150〜250℃で加熱することを特徴とするねじキャップの製造方法。
- 請求項1または2記載のねじキャップシール用プラスチゾル組成物を用い、5℃〜38℃保存1ヶ月後の開栓トルクがD×0.065N・m以下〔ただしDはキャップ径(mm)〕であることを特徴とするねじキャップ。
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