JP2011046091A - 液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】過不足のないフラッシング処理を行うことができる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】噴射対象の一種である記録紙に対してインクを噴射する第1の噴射モードとしての印刷モードの実行、及び、増粘したインクを排出するための第2の噴射モードとしてのフラッシングモードの実行を制御する制御部を備えたプリンターにおいて、ノズル26から噴射されるインクの先端部から後端部までの連続長を液柱長さとして測定する液柱測定部47を有し、制御部は、液柱測定部によって測定された液柱長さに基づいて、フラッシングモードの実行の要否を判断する。また、制御部は、測定された液柱長さに基づいてフラッシング条件を決定する。
【選択図】図4
【解決手段】噴射対象の一種である記録紙に対してインクを噴射する第1の噴射モードとしての印刷モードの実行、及び、増粘したインクを排出するための第2の噴射モードとしてのフラッシングモードの実行を制御する制御部を備えたプリンターにおいて、ノズル26から噴射されるインクの先端部から後端部までの連続長を液柱長さとして測定する液柱測定部47を有し、制御部は、液柱測定部によって測定された液柱長さに基づいて、フラッシングモードの実行の要否を判断する。また、制御部は、測定された液柱長さに基づいてフラッシング条件を決定する。
【選択図】図4
Description
本発明は、インクジェット式プリンター等の液体噴射装置に関するものであり、特に、ノズルから液体を強制的に噴射させることで増粘した液体を排出するフラッシング処理を行う液体噴射装置に関するものである。
例えば、液体噴射装置は、ノズルから液体を噴射可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液体状のインクを記録紙等の記録媒体(着弾対象物)に対して噴射・着弾させることで画像等の記録を行うインクジェット式プリンター(以下、単にプリンターという。)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造装置等、各種の製造装置にも液体噴射装置が応用されている。
上記記録ヘッドは、プリンターの電源がオフの状態、或いは、電源がオンの状態において印刷を行っていない待機状態のときには、ノズル面がキャップ部材によって封止(キャッピング)される。これにより、ノズルからインクの溶媒が蒸発することが抑制されるようになっている。ところが、印刷動作中(記録動作中)では、ノズル面がキャッピング状態から開放されるので、ノズルにおけるインクの自由表面、すなわちメニスカスは大気中に晒される。そのため、キャップ部材から開放されている期間中、時間の経過と共にインクの溶媒が徐々に蒸発することによりノズル近傍のインクの粘度が増加する。また、キャップ部材が保有していた水分が印字中に蒸発し、キャップ部材の保湿剤の濃度が上昇する。この状態でノズル面がキャップ部材によって封止(キャッピング)されると、キャップ部材の保湿剤がノズル面から水分を奪ってしまうためノズル近傍のインクの粘度が増加する。さらに、キャッピング中においても、インクの粘度の増加を完全に防止することはできない。このようなインクの増粘により、噴射されるインクの重量や飛翔速度が低下したり、インクが噴射されなかったり等の不具合(噴射障害)が生じる虞がある。
このような噴射障害を防止するために、この種のプリンターでは、記録動作とは関係なくノズルからインクを強制的に噴射させるフラッシング処理を行っている。具体的には、定期的に、記録紙等の記録媒体から外れた位置にあるキャップ部材などのインク受け部材まで記録ヘッドを移動させ、その位置でインク滴を噴射させることで増粘したインクを排出させて、上記の不具合を未然に防止している(例えば、特許文献1参照)。また、一連の記録動作が終了した場合に、上記キャップ部材によってキャッピングする直前に、上記の定期フラッシング処理の場合よりも多くのインクを噴射させることで増粘インクをより確実に排出するためのフラッシング処理も行われている。
従来のフラッシング処理では、一般的に、フラッシング条件、即ち、フラッシングを行うための駆動パルスの駆動電圧やフラッシングにおける噴射回数(フラッシングセグメント数)は一定の値に固定されている。これにより、インクの増粘状態によっては、フラッシングが不十分だったり、逆にフラッシングが余分であったりする可能性がある。フラッシングが不十分だった場合には、インクの増粘による噴射障害が生じる虞があるし、フラッシングが余分だった場合には、その分、インクを無駄に消費してしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、過不足のないフラッシング処理を行うことができる液体噴射装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、ノズルに連通する圧力発生室の容積を変動させる圧力発生手段を駆動することで前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
噴射対象に対して液体を噴射する第1の噴射モードの実行、及び、増粘した液体を排出するための第2の噴射モードの実行を制御する制御部と、
を備えた液体噴射装置であって、
前記ノズルから噴射される液体の先端部から後端部までの連続長を液柱長さとして測定する液柱測定手段を有し、
前記制御部は、前記液柱測定手段によって測定された前記液柱長さに基づいて、前記第2の噴射モードの実行の要否を判断することを特徴とする。
噴射対象に対して液体を噴射する第1の噴射モードの実行、及び、増粘した液体を排出するための第2の噴射モードの実行を制御する制御部と、
を備えた液体噴射装置であって、
前記ノズルから噴射される液体の先端部から後端部までの連続長を液柱長さとして測定する液柱測定手段を有し、
前記制御部は、前記液柱測定手段によって測定された前記液柱長さに基づいて、前記第2の噴射モードの実行の要否を判断することを特徴とする。
上記構成によれば、液柱長さの測定結果に基づいて前記第2の噴射モード実行の要否を判定するので、不必要な第2の噴射モードが実行されることがない。これにより、液体が無駄に消費されることが防止される。
上記実施形態において、前記制御部が、前記第2の噴射モードの実行が必要と判断した場合、前記液柱長さに基づいて前記第2の噴射モードでノズルから液体を噴射するための噴射条件を決定する構成を採用することが望ましい。
また、この構成において、前記噴射条件が、前記圧力発生手段を駆動するための駆動パルスの電圧、駆動パルスの電圧波形、又は、噴射回数の少なくとも何れか一つであることが望ましい。
また、この構成において、前記噴射条件が、前記圧力発生手段を駆動するための駆動パルスの電圧、駆動パルスの電圧波形、又は、噴射回数の少なくとも何れか一つであることが望ましい。
上記構成によれば、液体の粘度と相関のある液柱長さに基づいて第2の噴射モードにおける噴射条件を決定するので、第2の噴射モードにおいて過不足のない噴射を行うことができる。これにより、第2の噴射モードで消費される液体の量を削減することができる。
また、上記実施形態において、前記制御部が、前記液柱測定手段によって測定された前記液柱長さに応じて、前記第2の噴射モードの終了の要否を判断する構成を採用することができる。
上記構成によれば、液柱測定手段によって測定された液柱長さに基づいて第2の噴射モードの終了の要否を判定するので、第2の噴射モードの過不足をより低減することができる。
さらに、上記実施形態において、前記液柱測定手段が、液柱長さの測定時に測定用駆動パルスを前記圧力発生手段に印加することによりノズルから液体を噴射させる構成を採用することもできる。
また、上記実施形態において、前記液体噴射ヘッドが複数のノズルを列設してなるノズル群を有し、前記液柱測定手段は、前記ノズル群における一又は複数のノズルから噴射される液体の液柱長さを測定する構成を採用することが望ましい。
上記構成において、前記液柱測定手段は、前記ノズル群を構成する複数のノズルについて液柱長さを測定する場合、測定対象の各ノズルについて個別に測定を行う構成を採用することができる。
この構成によれば、複数のノズルから同時に液体を噴射した場合における液柱長さや液体の飛翔速度等のばらつきの影響が無く、また、複数のノズルから同時に液体を噴射するときに生じる所謂クロストークの影響が無いため、より高い精度で液柱長さを測定することができる。
この構成によれば、複数のノズルから同時に液体を噴射した場合における液柱長さや液体の飛翔速度等のばらつきの影響が無く、また、複数のノズルから同時に液体を噴射するときに生じる所謂クロストークの影響が無いため、より高い精度で液柱長さを測定することができる。
また、液柱測定手段は、前記ノズル群を構成する複数のノズルについて液柱長さを測定する場合、測定対象の各ノズルから同時に液体を噴射して測定を行う構成を採用することもできる。
この構成によれば、1回の測定でノズル群を構成する各ノズルに対する測定が完了するので、各ノズルを個別に測定する構成と比較して測定時間を短縮することができる。
この構成によれば、1回の測定でノズル群を構成する各ノズルに対する測定が完了するので、各ノズルを個別に測定する構成と比較して測定時間を短縮することができる。
以下、本発明を実施するための一形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1は、このプリンター1の基本構成を説明する斜視図である。この図1に示すように、プリンター1は、ガイド軸2に取り付けられたキャリッジ3を有し、その下面には記録ヘッド4(本発明における液体噴射ヘッドの一種)が取り付けられている。また、このキャリッジ3の内部にはインクカートリッジを着脱可能に保持するカートリッジホルダ部が設けられている(何れも図示せず)。そして、キャリッジ3は、キャリッジモーター(パルスモーター)5の回転軸に接合された駆動プーリー6と遊転プーリー7との間に掛け渡されたタイミングベルト8に接続されているので、キャリッジモーター5の駆動によって記録紙9(噴射対象の一種)の幅方向である主走査方向に移動する。
上記のインクカートリッジは、インク(本発明の液体の一種)を貯留する貯留部材である。このインクは、インク溶媒中に色材を溶解或いは分散させたものであり、例えば、色材として顔料や染料が用いられ、インク溶媒として水が用いられる。そして、このインクカートリッジがカートリッジホルダ部に装着されると、カートリッジホルダ部に設けられたインク供給針(図示せず)がインクカートリッジ内に挿入される。このインク供給針は記録ヘッド4内部のインク流路に連通されているため、インク供給針が挿入されると、インクカートリッジ内のインクが記録ヘッド4内に供給可能な状態になる。なお、プリンター本体(筐体)側にインクカートリッジが配置され、当該インクカートリッジ内のインクがインク供給チューブを通じて記録ヘッド4側に供給される構成を採用することもできる。
ガイド軸2の下方には、プラテン11が設けられている。このプラテン11は、記録紙9を下方から支持する板状部材である。このプラテン11にはスポンジ等の吸液部材12が敷設されている。このプラテン11上において、記録紙9のサイズに応じた位置、具体的には、記録紙9の幅方向の端部よりもやや外側(図1において左側)に外れた位置には、フラッシング処理時の噴射インク滴を受けるフラッシングポジションとしてのインク受け部11´が複数設けられている。フラッシング処理の詳細については後述する。吸液部材12よりも紙送り上流側には、ガイド軸2と平行に紙送りローラー13が配置されている。この紙送りローラー13は、記録紙9の搬送時において、紙送りモーター14(ステッピングモーター又はDCモーター)からの駆動力によって回転される。
キャリッジ3の移動範囲内であってプラテン11よりも外側の位置には、ホームポジションが設定されている。記録ヘッド4は、待機状態においてホームポジションに位置付けられる。このホームポジションには、記録ヘッド4のノズル形成面(ノズルプレート18)を払拭するためのワイパー機構15と、印刷休止状態においてノズル形成面を封止可能なキャッピング機構16とがガイド軸2に沿って横並びに配設されている。キャッピング機構16は、エラストマーやゴムなどの弾性部材により上面が開放されたトレイ状に形成されたキャップ部材16′を備えており、このキャップ部材16′の開放面を記録ヘッド4のノズル形成面に押し付けることでキャッピングするようになっている。このキャッピング状態では、記録ヘッド4のノズル26からインクの溶媒が蒸発することが抑制される。なお、キャップ部材16′は、後述するフラッシング処理においてインク滴を受けるインク受部としても機能する。
図2は、上記記録ヘッド4の構成を説明する図であり、(a)は記録ヘッド4の平面図(b)は(a)におけるA−A′線断面図、図2(c)は圧力発生室23の幅方向(圧電素子短尺方向)の要部断面図である。本実施形態における記録ヘッド4は、流路形成基板17、ノズルプレート18、弾性体膜19、絶縁体膜20、圧電素子21(本発明における圧力発生手段の一種)、及び、保護基板22等を積層して構成されている。
流路形成基板17は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、この流路形成基板17には、複数の圧力発生室23がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板17の圧力発生室23の長手方向外側の領域には連通部24が形成され、連通部24と各圧力発生室23とが、圧力発生室23毎に設けられたインク供給路25を介して連通されている。なお、連通部24は、後述する保護基板22のリザーバー部29と連通して各圧力発生室23の共通のインク室となるリザーバー30の一部を構成する。インク供給路25は、圧力発生室23よりも狭い幅で形成されており、連通部24から圧力発生室23に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
流路形成基板17の開口面側には、各圧力発生室23のインク供給路25とは反対側の端部に連通するノズル26が開設されたノズルプレート18が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。一方、流路形成基板17の開口面とは反対側には、例えば二酸化シリコン(SiO2)からなる弾性体膜19が形成され、この弾性体膜19上には、酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜20が形成されている。また、この絶縁体膜20上には、下電極膜21aと、圧電体層21bと、上電極膜21cとが積層状態で形成され、これらが圧電素子21を構成している。一般的には、圧電素子21の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層21bを圧力発生室23毎にパターニングして構成する。そして、パターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層21bから構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜21aは圧電素子21の共通電極とし、上電極膜21cを圧電素子21の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合によってこれを逆にする構成とすることもできる。何れの場合においても、圧力発生室23毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、このような各圧電素子21の上電極膜21cには、例えば、金(Au)等からなるリード電極27がそれぞれ接続されている。
ノズルプレート18は、例えば、ステンレス鋼などの金属板やシリコン基板等から作製された板材であり、複数のノズル26を列設してなるノズル列(ノズル群の一種)を有している。ノズル列は、例えば180個のノズル26から成り、インクの種類毎、つまりインクの色毎に設けられる。なお、1つのノズル列が、複数のノズル26の組から成るノズルブロックに複数区分され、各ブロックにそれぞれ異なる色が割り当てられる構成も採用することができる。
流路形成基板17上の圧電素子21側の面には、保護基板22が接合されている。この保護基板22において、圧電素子21に対向する領域には、圧電素子21の変位を阻害しない程度の大きさの空間となる圧電素子保持部28が形成されている。圧電素子21は、この圧電素子保持部28内に収容される。さらに、保護基板22には、流路形成基板17の連通部24に対応する領域にリザーバー部29が設けられている。このリザーバー部29は、保護基板22を厚さ方向に貫通した貫通孔であり、平面視においては圧力発生室23の並設方向に沿った細長い長方形状の開口形状を呈している。このリザーバー部29は、流路形成基板17の連通部24と連通されて各圧力発生室23の共通のインク室となるリザーバー30を構成する。
また、保護基板22の圧電素子保持部28とリザーバー部29との間の領域には、保護基板22を厚さ方向に貫通する貫通孔31が設けられ、この貫通孔31内に下電極膜21aの一部及びリード電極27の先端部が露出されている。そして、リード電極27(上電極膜21c)と下電極膜21aとの間には、プリンター本体側の駆動信号発生回路42(図3)からの駆動信号が印加される。保護基板22上には、封止膜32及び固定板33とからなるコンプライアンス基板34が接合されている。封止膜32は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、ポリフェニレンサルファイドフィルム)からなり、この封止膜32によってリザーバー部29の一方面が封止されている。また、固定板33は、金属等の硬質の材料(例えば、ステンレス鋼等)で形成される。この固定板33のリザーバー30に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部35となっているため、リザーバー30の一方面は可撓性を有する封止膜32のみで封止されている。
上記構成の記録ヘッド4では、インクカートリッジからインクを取り込み、リザーバー30からノズル26に至るまで内部をインクで満たした後、プリンター本体側からの駆動信号の供給により、圧力発生室23に対応するそれぞれの下電極膜21aと上電極膜21cとの間に噴射パルスを印加し、弾性体膜19、絶縁体膜20、下電極膜21a及び圧電体層21bを撓み変形させることにより圧力発生室23の容積が変動する。圧力発生室23の容積が変動することで内部のインクの圧力が変動し、この圧力変動を制御することで、ノズル26からインクが噴射(吐出)される。
次に、プリンター1の電気的構成について説明する。図3に示すように、プリンター1は、プリンターコントローラー36と、プリントエンジン37とを備えている。プリンターコントローラー36は、図示しないホストコンピューター等からの印刷データ等を受信する外部インターフェース38(外部I/F38)と、各種データの記憶等を行うRAM39と、各種データ処理のための制御ルーチン等を記憶したROM40と、CPU等からなる制御部41と、記録ヘッド4に供給する駆動信号を発生可能な駆動信号発生回路42と、クロック信号を生成する発振回路43と、印刷データや駆動信号等をプリントエンジン37側に送信するための内部インターフェース44(内部I/F44)と、計時手段としてのタイマー回路45等を備えている。そして、これらの各部は、内部バスを介して相互に電気的に接続されている。
制御部41は、このプリンター1における各種制御を行う部分であり、プリントエンジン37の各部を制御する。例えば、記録動作の制御では、図示しないホストコンピューターからの印刷データに基づいてドットパターンデータを生成し、生成したドットパターンデータを記録ヘッド4に転送する。また、キャリッジモーター5を動作させてキャリッジ3(即ち、記録ヘッド4)を移動させ、紙送りモーター14を動作させて記録紙9を搬送させる。さらに、制御部41は、以下で説明する液柱測定部47による液柱長さ測定処理やフラッシング処理を制御する。
プリントエンジン37は、キャリッジ3を移動させるキャリッジモーター5と、紙送りローラー13を回転させる紙送りモーター14と、インクの液柱長さを測定する液柱測定部47と、記録ヘッド4の電気駆動系等を備えている。液柱測定部47は、プリンターコントローラー36と共に本発明の液柱測定手段の一部として機能する部分であり、ノズル26からインクを捨て撃ちするフラッシング処理が行われるフラッシングポイント、例えば、キャッピング機構16の近傍に設けられている。図4に示すように、この液柱測定部47は、光源となる発光素子48を有する発光ユニット49と、受光した光の強度に応じた電圧の電気信号を出力可能な受光素子50を有する受光ユニット51を備えたフォトインタラプターから構成されている。発光ユニット49と受光ユニット51とは、互いにインク飛翔領域を間に挟む状態で記録ヘッド4のノズル列の両側に対を成すように向かい合わせで配置されている。本実施形態において、発光素子48は、例えばレーザーダイオードであり、受光ユニット51の対応する受光素子50に光軸を向けた姿勢でインク飛翔方向に複数設けられている。同様に、発光ユニット49の受光素子48も発光素子48に対応させてインク飛翔方向に複数設けられている。これらの発光素子48と受光素子50の組は、少なくとも、噴射されたインクの先端部から後端部までの連続長を検出できるような範囲に渡って配置される。
発光素子48から照射されるレーザー光線は、インク飛翔領域に向けて照射されて、対応する受光素子50に受光される。受光素子50は、受光量(受光強度)に応じた電圧の信号を出力する。この受光量は、ノズル26から噴射されてインク飛翔領域を飛翔するインクがレーザー光線を遮ることによって変化する。即ち、インクがレーザー光線を遮ることによって、受光量が減少するため、受光信号の電圧も低下する。受光信号は、プリンターコントローラー36に出力される。したがって、プリンターコントローラー36の制御部41は、液柱測定部47の受光素子50から出力される信号の電圧の変化に基づいてノズル26から噴射されたインクを検出することができる。
受光素子50からの受光信号の電圧については閾値が設けられており、電圧が閾値以下となった場合にインクが検出されたと判定される。本実施形態のように、対を成す発光素子48と受光素子50の組がインク飛翔方向に複数設けられている構成では、インクが検出された受光素子50の数に基づいて、ノズル26から噴射されたインクの先頭部分から後端部分までの連続長さ(液柱長さ)を測定することができる。つまり、インクが検出された発光素子48と受光素子50の組のうち、最もノズル形成面(ノズルプレート18)から離れた位置にある組と、最もノズル形成面に近い位置にある組との間の設置距離が、大凡の液柱長さとなる。したがって、発光素子48と受光素子50の組の設置数が多いほど、測定精度が向上する。なお、液柱長さについては、一組の発光素子48と受光素子50により測定することもできる。つまり、レーザー光線がインクにより遮られてから受光素子50で再度受光されるまでの経過時間と飛翔速度の関係から間接的に液柱長さを算出することも可能である。
次に、上記の構成において、インクの増粘による噴射障害を防止又は回復するためのフラッシング処理について説明する。本発明に係るプリンター1は、インクの増粘状態に応じてフラッシング条件(第2の噴射モードにおける噴射条件)を最適化することにより、過不足のないフラッシング処理を行うことができるようになっている。
図7は、記録紙9に対してテキストや画像等の印刷を行う通常の印刷モード(本発明における第1の噴射モードに相当)からフラッシング処理を行うフラッシングモード(本発明における第2の噴射モードに相当)に切り替える場合の処理の流れを示したフローチャートである。
まず、印刷モードにおいて印刷が開始されると(S1)、キャップ部材16′からノズル形成面が開放されてからの累積時間(累積印刷時間T1)がタイマー回路45によって計時される。また、タイマー回路45は、これとは別に、キャップ部材16′によってノズル形成面がキャッピングされて印刷等が行われていなかった時間(休止時間T2)も計時している。プリンターコントローラー36の制御部41は、タイマー回路45を監視し、フラッシング処理を行うタイミングが到来したか否かを判定する(S2)。上記の累積印刷時間T1と休止時間T2については、それぞれフラッシング処理を行うのに適した値が予め定められている。そして、ステップS2において、未だフラッシング処理を行う必要が無い、即ち、予め定められた時間に達していないと判定した場合、制御部41は、印刷処理を続行すると共にタイマー回路45の監視を続ける。一方、フラッシング処理を行うタイミングが到来した、即ち、予め定められた経過時間に達したと判定した場合、制御部41は、上記液柱測定部47による液柱長さ測定処理に移る(S3)。
まず、印刷モードにおいて印刷が開始されると(S1)、キャップ部材16′からノズル形成面が開放されてからの累積時間(累積印刷時間T1)がタイマー回路45によって計時される。また、タイマー回路45は、これとは別に、キャップ部材16′によってノズル形成面がキャッピングされて印刷等が行われていなかった時間(休止時間T2)も計時している。プリンターコントローラー36の制御部41は、タイマー回路45を監視し、フラッシング処理を行うタイミングが到来したか否かを判定する(S2)。上記の累積印刷時間T1と休止時間T2については、それぞれフラッシング処理を行うのに適した値が予め定められている。そして、ステップS2において、未だフラッシング処理を行う必要が無い、即ち、予め定められた時間に達していないと判定した場合、制御部41は、印刷処理を続行すると共にタイマー回路45の監視を続ける。一方、フラッシング処理を行うタイミングが到来した、即ち、予め定められた経過時間に達したと判定した場合、制御部41は、上記液柱測定部47による液柱長さ測定処理に移る(S3)。
液柱長さ測定処理では、記録ヘッド4がフラッシングポイント、例えば、キャッピング機構16のキャップ部材16′の上方に位置付けられる。図4に示すように、キャッピング機構16は、記録ヘッド4から噴射されるインクがキャップ部材16′に着弾可能な位置まで図示しない昇降機構によってキャップ部材16′を上昇させて、記録ヘッド4のノズル形成面に非接触状態で対向させる。そして、測定用駆動信号に含まれる測定用駆動パルスPdを用いて圧電素子21を駆動することによりノズル26からインクが噴射される。
図5は、測定用駆動パルスPdの構成を説明する波形図である。本実施形態における測定用駆動パルスPdは、印刷処理で比較的大きいドットを形成するための大ドット用駆動パルスと同一波形となっている。より具体的には、基準電位Vc1から第1膨張電位VL1まで比較的緩やかな勾配で電位が下降する第1膨張要素p11と、第1膨張電位VL1を所定時間保持する第1膨張ホールド要素p12と、第1膨張電位VL1から第1収縮電位VH1まで急勾配で電位を上昇させる第1収縮要素p13と、第1収縮電位VH1を所定時間保持する第1収縮ホールド要素p14と、第1収縮電位VH1から基準電位Vc1まで電位を下降させる第1復帰要素p15とを含む電圧波形で測定用駆動パルスPdが構成されている。このように測定用駆動パルスPdを大ドット用駆動パルスと同一波形としたのは、噴射するインクの量が多いほど液柱の長さが長くなるので、液柱長さを観察しやすいからである。
測定用駆動パルスPdが圧電素子21に供給されると、まず第1膨張要素p11により圧電素子21の中央部が圧力発生室23から遠ざかる方向に撓んで弾性体膜19を変形させる。これにより、圧力発生室23が比較的緩やかに膨張し圧力発生室23が減圧される。圧力発生室23の膨張状態は、第1膨張ホールド要素p12の圧電素子21への供給期間に亘って維持される。その後、第1収縮要素p13によって圧電素子21の中央部が圧力発生室23側に撓み、圧力発生室23がごく短時間で収縮する。第1収縮要素p13の供給により、圧力発生室23内のインクが急激に加圧されてノズル12からインクが押し出される。圧力発生室23の収縮状態は、第1収縮ホールド要素p14の供給期間に亘って維持される。この間に、ノズル12から押し出された液柱部分がメニスカスから分離してインク滴として噴射される。その後、第1復帰要素p15によって圧力発生室23が緩やかに膨張して基準容積まで復帰し、噴射された後のインクの振動が収束される。
上記の測定用駆動パルスPdを用いてノズル26から噴射された直後のインクは、図4に示すように、飛翔方向に細長く連続した液柱状を呈する。そして、図6に示すように、インクの粘度と液柱長さには相関があり、インクの粘度が上昇するほど液柱が長くなる。したがって、ノズル26から噴射されたインクの液柱長さを測定することで、その時点におけるインクの粘度を間接的に把握することができる。本実施形態の場合、液柱測定部47において、インクが検出された受光素子50の数に基づいて、ノズル26から噴射されたインクの液柱長さを測定(推定)することができる。この液柱長さの測定はノズル列毎に行われる。
この場合、ノズル列を構成するノズル26のうちの何れか1つのノズル26から単独でインクを噴射して測定する方法(第1の方法)と、ノズル列を構成する全てのノズル26から同時にインクを噴射して測定する方法(第2の方法)と、ノズル列を複数のノズルの組から成るブロックに区分けしてブロック毎に測定する方法(第3の方法)の3つに大別される。第1の方法は、複数のノズル26から同時にインクを噴射した場合における液柱長さやインク飛翔速度等のばらつきの影響が無く、また、複数のノズル26から同時にインクを噴射するときに生じる所謂クロストークの影響が無いため、最も高い精度で液柱長さを測定することができる。
ノズル列を構成する各ノズル26のうちの一部のノズル26に対してのみ測定を行う場合、測定時の噴射によって消費されるインクの量を低減することができる。ただし、液柱長さの測定時にインクを噴射することによっても当該ノズル26近傍のインクに粘度変化が生じるので、即ち、インクを噴射したノズル26の近傍のインク粘度が低下するので、各ノズル26のインクの粘度を揃えるべく、最終的にはノズル列の全てのノズル26から同じ量だけそれぞれインクを噴射することが望ましい。この場合、全てのノズル26について逐次測定して各測定結果の平均を採用しても良い。全てのノズル26に対して逐次個別に液柱長さの測定を行うことにより、インクの重量やインクの飛翔速度が基準値よりも著しく変動しているノズル26やインクが噴射されないノズル26を検出することもできる。即ち、液柱測定部47を、噴射不良を検出する手段としても利用することができる。なお、噴射不良の検出が不要である場合、1つのノズル26についての測定結果を代表として採用し、残りのノズル26については測定を行わずに捨て撃ちとしても良い。これにより、測定時間を短縮することができる。
第2の方法は、各ノズル26間の液柱長さのばらつきや飛翔速度のばらつきが測定結果に多少反映されるため、第1の方法よりも測定精度は低下する反面、1回の測定でノズル列を構成する全てのノズル26に対する測定が完了するので、測定時間を第1の方法の場合よりも短縮することができる。なお、上記ばらつきに関しては、測定精度が著しく低下するほど大きくなることは無いので測定上問題は無い。
第3の方法は、ノズル列が複数のノズルブロックに区分されて各ブロックにそれぞれ異なる色のインクが対応している構成に対して好適である。なお、ノズル列における「ブロック」には、隣接するノズルの組には限らず、例えば、1つ或いは複数個おきのノズルの組なども含まれる。
第3の方法は、ノズル列が複数のノズルブロックに区分されて各ブロックにそれぞれ異なる色のインクが対応している構成に対して好適である。なお、ノズル列における「ブロック」には、隣接するノズルの組には限らず、例えば、1つ或いは複数個おきのノズルの組なども含まれる。
このようにして、液柱長さが測定されたならば、続いて、制御部41は、測定結果に基づいてフラッシング処理の要否を判定する(S4)。例えば、液柱長さの測定結果が判定基準値よりも小さい場合、制御部41はフラッシング処理を行う必要が無いと判定し、フラッシングモードへの切替は行わずに一連の処理を終了する。その後は、印刷処理等を続行すると共にタイマー回路45の監視を続ける。このように、液柱長さの測定結果に基づいてフラッシングの要否(印刷モードからフラッシングモードへの切替の要否)を判定することにより、不必要なフラッシング処理が行われることが防止される。一方、液柱長さの測定結果が判定基準値よりも大きい場合、制御部41はフラッシング処理を行う必要があると判定し、印刷モードからフラッシングモードへ切り替えて、ステップS5のフラッシング条件決定処理に移る。
図8は、フラッシング処理で使用されるフラッシング用駆動信号に含まれるフラッシング用駆動パルスPfの一例を説明する波形図である。本実施形態におけるフラッシング用駆動パルスPfは、印刷処理で比較的小さいドットを形成するための小ドット駆動パルスと同一波形となっている。より具体的には、基準電位Vc2から第1中間膨張電位VM1まで比較的緩やかな勾配で電位が下降する前側膨張要素p21と、第1中間膨張電位VM1から第2膨張電位VL2まで前側膨張要素p21よりも急峻な勾配で電位が降下する後側膨張要素p22と、第2膨張電位VL2を所定時間保持する第2膨張ホールド要素p23と、第2膨張電位VL2から第2収縮電位VH2まで急勾配で電位を上昇させる第2収縮要素p24と、第2収縮電位VH2を所定時間保持する第2収縮ホールド要素p25と、第2収縮電位VH2から第2中間電位VM2まで電位を下降させる引き込み膨張要素p26と、第2中間電位VM2を所定時間維持する引き込み維持要素p27と、第2中間電位VM2から制振膨張電位Vrまで電位が上昇する制振膨張要素p28と、制振膨張電位Vrを所定時間保持する制振ホールド要素p29と、制振膨張電位Vrから基準電位Vc2まで電位が復帰する制振復帰要素p30と、を含む電圧波形でフラッシング用駆動パルスPfが構成されている。このフラッシング用駆動パルスPfを小ドット駆動パルスと同一波形としたのは、大ドット駆動パルスや測定用駆動パルスPdよりも噴射時の流速が速いため、増粘したインクを効率良く排出することができるからである。
フラッシング用駆動パルスPfが圧電素子21に印加されると、まず、前側膨張要素p21によって圧電素子21の中心部が圧力発生室23から離隔する方向に撓み、これにより圧力発生室23が基準電位Vc2に対応する基準容積から第1中間膨張電位VM1に対応する第1中間膨張容積まで膨張する。この膨張により、ノズル26のメニスカスが圧力発生室23側に比較的ゆっくり引き込まれる。続いて、後側膨張要素p22によって圧電素子21が圧力発生室23から離隔する方向にさらに急速に撓む。これにより、第1中間膨張容積から第2膨張電位VL2に対応する最大膨張容積まで急激に膨張し、メニスカスが圧力発生室23側に大きく引き込まれる。この圧力発生室23の膨張状態は、第2膨張ホールド要素p23の供給期間中に亘って維持される。その後、第2収縮要素p24により圧電素子21の中心部が圧力発生室23側に近接する方向に撓む。この圧電素子21の変位により、圧力発生室23は最大膨張容積から第2収縮電位VH2に対応する収縮容積まで急激に収縮される。この圧力発生室23の急激な収縮により圧力発生室23内のインクが急激に加圧されてノズル26からインク(液柱)が押し出される。圧力発生室23の収縮状態は、第2収縮ホールド要素p25の供給期間に亘って維持される。
続いて、引き込み膨張要素p26により圧電素子21の中心部が圧力発生室23から離隔する方向に少しだけ撓み、圧力発生室23が収縮容積から第2中間電位VM2に対応する第2中間膨張容積まで膨張する。これにより、メニスカスが圧力発生室23側に引き込まれる。そして、ノズル26から押し出された液柱がメニスカスから分離して、インク滴として噴射される。第2中間膨張容積は、引き込み維持要素p27によって所定時間だけ維持される。その後、制振膨張要素p28によって圧電素子21の中心部が圧力発生室23から離隔する方向に撓み、圧力発生室23が第2中間膨張容積から制振膨張電位Vrに対応する制振膨張容積まで膨張する。ここで、インク噴射後の残留振動を打ち消すようなタイミングで制振膨張要素p28が圧電素子21に印加されるように、引き込み維持要素p27の時間幅pwhが調整されている。そして、制振膨張容積が制振ホールド要素p29によって所定時間維持された後、制振復帰要素p30によって圧電素子21が圧力発生室に近接する方向に撓み、圧力発生室23が制振膨張容積から基準容積まで復帰する。
上記のフラッシング用駆動パルスPfの駆動電圧Vf(第2膨張電位VL2から第2収縮電位VH2までの電位差)については基準値が予め定められている。そして、フラッシング条件決定処理において制御部41は、液柱長さ測定処理で得られた結果に基づき、フラッシング条件として駆動電圧Vfを決定する。具体的には、図9に示すように液柱長さと、インク粘度と、基準値に対する電圧補正値とが対応付けられた電圧設定テーブルを参照して、液柱長さ測定処理で得られた結果に対応する補正値を基準値に加えて得られた値をフラッシング用駆動パルスPfの駆動電圧Vfの適正値とする。
フラッシング条件を決定したならば、当該フラッシング条件の下でフラッシング処理が実行される(S6)。このフラッシング処理では、制御部41は、フラッシング条件決定処理で駆動電圧Vfが設定されたフラッシング用駆動信号を繰り返し圧電素子21に印加することで、各ノズル26に対して規定回数だけ連続してインクを噴射させる。このフラッシング時の噴射回数をフラッシングセグメントと呼ぶ。そして、このようなフラッシング処理を行うことにより増粘したインクがノズル26から排出され、インクの粘度増加による噴射障害が未然に防止される。本発明に係るプリンター1では、インクの粘度と相関のある液柱長さに基づいてフラッシング条件を決定するので、過不足のないフラッシング処理を行うことができる。これにより、フラッシング処理で消費されるインクの量を削減することができる。
上記のようにしてフラッシング処理を実行したならば、一連の処理が終了される。
なお、フラッシング処理の後、ステップS3に戻り、液柱測定部47による液柱長さ測定処理を再度実行することが望ましい。そして、この測定結果に基づいて、制御部41はフラッシング処理の要否を判定する(S4)。即ち、液柱長さの測定結果が判定基準値よりも小さい場合、制御部41はこれ以上フラッシング処理を行う必要が無いと判定し、フラッシングモードを終了する。その後は、印刷モードに切り替え、印刷処理を続行すると共にタイマー回路45の監視を続ける。一方、液柱長さの測定結果が判定基準値よりも大きい場合、制御部41はさらにフラッシング処理を行う必要があると判定し、ステップS5のフラッシング条件決定処理に移る。このようにして、規定量のフラッシング処理を行う毎に液柱長さを測定し、測定結果に基づいてフラッシングモードの終了の要否を判定するので、より過不足のないフラッシング処理を行うことができる。
なお、フラッシング処理の後、ステップS3に戻り、液柱測定部47による液柱長さ測定処理を再度実行することが望ましい。そして、この測定結果に基づいて、制御部41はフラッシング処理の要否を判定する(S4)。即ち、液柱長さの測定結果が判定基準値よりも小さい場合、制御部41はこれ以上フラッシング処理を行う必要が無いと判定し、フラッシングモードを終了する。その後は、印刷モードに切り替え、印刷処理を続行すると共にタイマー回路45の監視を続ける。一方、液柱長さの測定結果が判定基準値よりも大きい場合、制御部41はさらにフラッシング処理を行う必要があると判定し、ステップS5のフラッシング条件決定処理に移る。このようにして、規定量のフラッシング処理を行う毎に液柱長さを測定し、測定結果に基づいてフラッシングモードの終了の要否を判定するので、より過不足のないフラッシング処理を行うことができる。
なお、フラッシング条件に関し、上記第1実施形態では、フラッシング用駆動パルスPfの駆動電圧Vfを液柱長さに応じて決定する構成を例示したが、これには限られない。例えば、フラッシング処理における噴射回数(フラッシングセグメント数)をフラッシング条件とすることも可能である。より具体的には、制御部41は、図10に示すように、液柱長さと、インク粘度と、フラッシングセグメント数とが対応付けられたセグメント数設定テーブルを参照して、液柱長さ測定処理で得られた結果に対応するセグメント数をフラッシング条件とし、フラッシング処理ではフラッシング用駆動パルスPfの駆動電圧Vfは基準値で固定として、フラッシング条件として決定されたセグメント数だけインクの噴射を行う構成を採用することもできる。即ち、測定された液柱長さが長いほどインクの粘度が高くなるので、これに応じてフラッシングセグメント数を増加させることにより、適切なフラッシング処理を行うことができる。
また、駆動電圧Vf以外のフラッシング用駆動パルスPfの電圧波形、即ち、各波形要素の時間幅や傾きなどをフラッシング条件とすることも可能である。例えば、図11に示すように、液柱長さと、インク粘度と、フラッシング用駆動パルスPfの引き込み維持要素p27の時間幅pwhとが対応付けられたpwh設定テーブルを参照して、液柱長さ測定処理で得られた結果に対応する時間幅pwhをフラッシング条件としてフラッシング用駆動パルスPfに設定し、当該フラッシング用駆動パルスPfを用いてフラッシング処理を行う構成を採用することもできる。この構成では、引き込み維持要素p27の時間幅pwhを変更することにより、噴射後の残留振動を適切に制御することができる。基準となるフラッシング用駆動パルスPfでは、上述したようにインク噴射後の残留振動を打ち消すようなタイミングで制振膨張要素p28が圧電素子21に印加されるように時間幅pwhが調整されている。一方、インクの増粘が進むと残留振動の周期が長くなるため時間幅pwhを調整する必要がある。したがって、液柱長さが長いほど、残留振動が大きくなるようなpwhを設定することで、適切なフラッシング処理を行うことができる。
さらに、フラッシング条件としては、例示したフラッシング用駆動パルスPfの駆動電圧Vf、電圧波形、フラッシングセグメント数を組み合わせることもできる。
さらに、フラッシング条件としては、例示したフラッシング用駆動パルスPfの駆動電圧Vf、電圧波形、フラッシングセグメント数を組み合わせることもできる。
また、上記第1実施形態では、液柱長さ測定処理(S3)を行った後、フラッシング条件を決定(S5)してからフラッシング処理(S6)を実行する構成を例示したが、これには限られず、例えば、フラッシング処理中に液柱長さ測定処理を実行する構成を採用することも可能である。この構成では、例えば、フラッシングタイミングが到来した場合に、まず制御部41は、累積印刷時間T1と休止時間T2と、フラッシング用駆動パルスPfの駆動電圧Vfの基準値に対する電圧補正値とが対応付けられた初期電圧設定テーブルを参照して、タイマー回路45から得られた時間T1,T2の組み合わせに対応する電圧補正値を基準値に加えて得られた値をフラッシング用駆動パルスPfの駆動電圧Vfの初期値とする。そして、当該フラッシング用駆動パルスPfを用いてフラッシング処理を行い、このフラッシング処理中に噴射されたインクの液柱長さを液柱測定部47によって測定し、その測定結果に基づいて以降のフラッシング処理におけるフラッシング条件を決定する。この構成によれば、液柱長さ測定処理を単独で行わない分、インクの消費を低減することができる。
また、上記第1実施形態では印刷開始後にフラッシング処理が必要かどうか判断しているが、これに限られるものでない。例えば、印字休止中に印字開始命令があった場合にフラッシング処理が必要かどうか判断し、フラッシング処理を実行する構成を採用することもできる。印字開始前にフラッシング処理が行われているので、速やかに印字処理に移行することができる。
さらに、液柱測定部47に関し、上記第1実施形態では、フォトインタラプターで構成した例を示したが、これには限られない。例えば、液柱測定部47をカメラによって構成し、当該カメラによってノズル26から噴射されるインクを撮像し、撮像した画像に基づいて液柱長さを測定する構成を採用することも可能である。この構成によれば、フォトインタラプターで液柱長さを測定する構成と比較して、測定精度を高めることができる。
また、上記各実施形態では、圧力発生手段として、所謂撓み振動型の圧電素子21を例示したが、これには限られず、例えば、所謂縦振動型の圧電素子を採用することも可能である。この場合、図5及び図8で例示した駆動パルスに関し、電位の変化方向、つまり上下が反転した波形となる。
さらに、以上では、液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンター1を例に挙げて説明したが、本発明は、噴射する液体の増粘が問題となる他の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタを製造するディスプレー製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーやFED(面発光ディスプレー)等の電極を形成する電極製造装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置,ごく少量の試料溶液を正確な量供給するマイクロピペットにも適用することができる。そして、ディスプレー製造装置では、色材吐出ヘッドからR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極製造装置では、電極材吐出ヘッドから液状の電極材料を吐出する。チップ製造装置では、生体有機物吐出ヘッドから生体有機物の溶液を吐出する。
1…プリンター,4…記録ヘッド,16…キャッピング機構,16′…キャップ部材,18…ノズルプレート,21…圧電素子,23…圧力発生室,26…ノズル,36…プリンターコントローラー,47…液柱測定部,48…発光素子,49…発光ユニット,50…受光素子,51…受光ユニット
Claims (8)
- ノズルに連通する圧力発生室の容積を変動させる圧力発生手段を駆動することで前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
噴射対象に対して液体を噴射する第1の噴射モードの実行、及び、増粘した液体を排出するための第2の噴射モードの実行を制御する制御部と、
を備えた液体噴射装置であって、
前記ノズルから噴射される液体の先端部から後端部までの連続長を液柱長さとして測定する液柱測定手段を有し、
前記制御部は、前記液柱測定手段によって測定された前記液柱長さに基づいて、前記第2の噴射モードの実行の要否を判断することを特徴とする液体噴射装置。 - 前記制御部は、前記第2の噴射モードの実行が必要と判断した場合、前記液柱長さに基づいて、前記第2の噴射モードでノズルから液体を噴射するための噴射条件を決定することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記噴射条件は、前記圧力発生手段を駆動するための駆動信号の電圧、駆動信号の電圧波形、又は、噴射回数の少なくとも何れか一つであることを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
- 前記制御部は、前記液柱測定手段によって測定された前記液柱長さに応じて、前記第2の噴射モードの終了の要否を判断することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体噴射装置。
- 前記液柱測定手段は、液柱長さの測定時に測定用駆動信号を前記圧力発生手段に印加することによりノズルから液体を噴射させることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体噴射装置。
- 前記液体噴射ヘッドは、複数のノズルを列設してなるノズル群を有し、
前記液柱測定手段は、前記ノズル群における一又は複数のノズルから噴射される液体の液柱長さを測定することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記液柱測定手段は、前記ノズル群を構成する複数のノズルについて液柱長さを測定する場合、測定対象の各ノズルについて個別に測定を行うことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。
- 前記液柱測定手段は、前記ノズル群を構成する複数のノズルについて液柱長さを測定する場合、測定対象の各ノズルから同時に液体を噴射して測定を行うことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。
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