JP2011045193A - 回転電機及びその駆動システム - Google Patents

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Abstract

【課題】単一のインバータで駆動でき、且つ、磁気騒音やリップルを低減できる回転電機を提供すること。
【解決手段】本発明の回転電機1は、第1の巻線群4aと第2の巻線群4bがπ/6の位相差をもって巻装されている。また、第1の巻線群4aは各相巻線が互いに接続されてΔ結線を形成し、第2の巻線群4bはΔ結線の各相巻線間に対して接続されてY結線を形成することで、ΔY複合結線を形成しているため、通常の三相交流電流を通電すれば、必然的に両巻線群4a、4bに通電される電流もπ/6の位相差を有する。これによって、両巻線群4a、4bそれぞれの第6次高調波は互いに相殺されるため回転電機1の磁気騒音やトルクリップルを低減でき、且つ、位相の異なる第1の巻線群4aと第2の巻線群4bとを単一のインバータ5で駆動することができるので、システムの大型化やコストの増大を抑制できる。
【選択図】図3

Description

本発明は、多相巻線を備えた回転電機、及びその制御システムに関する。
従来より、永久磁石を備える回転子と三相巻線が巻装される固定子とを備える交流三相回転電機がある。このような回転電機は、正弦波電流に高周波成分が重畳しており、これに起因して電磁騒音やリップルが生じることが知られている。これらの問題の原因となる脈動磁力成分は、空間磁束の基本波に対して第3次高調波成分に基づくものが主成分であり、その磁気加振力は磁束の2乗に比例して分布するため第6次高調波成分である。
特許文献1には、コイルが各スロットに集中巻にて巻装されると共に、回転子の磁極数と固定子のスロット数の比が12±2:12である同期機が開示されている。コイルは、それぞれ3相分のコイルを有する第1のコイル群と第2のコイル群とからなり、各コイル群のコイルがその配列方向に沿って交互に配置されている。このような構成によると、隣り合うスロットに巻装される第1のコイル群と第2のコイル群との間に生じる位相差が電気角でπ/6となる。この位相差π/6は、第6次高調波成分の波長π/3の半波分に相当するため、各コイル群の第6次高調波成分は互いに逆位相となるため相殺される。従って、この第6次高調波成分に起因する磁気騒音や電流リップルを低減することができる。特許文献1は同期機に関する発明であるが、この構成を電動機に応用することが可能であり、この場合は第6次高調波成分に起因する磁気騒音やトルクリップルを低減することができる。
特開2008−5603号公報
しかし、上記構成によると、第1のコイル群と第2のコイル群へ通電する電流にπ/6の位相差を与えるために、各コイル群は協調制御される2組の三相インバータにより別々に通電させる必要がある。通常、交流三相回転電機に使用する三相インバータは単一であり、上記構成のようにトルクリップルの低減効果を得るために2組使用するのは、システムの大型化やコストの増大を招く他、協調制御のためのシステムの複雑化も招くという問題がある。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、集中巻にて巻装される固定子を有する回転電機を単一の三相インバータで駆動でき、且つ、磁気騒音やリップルを低減できる回転電機を提供することにある。
(請求項1の発明)
本発明は、NS磁極が交互に形成される回転子と、回転子と対向して配置されると共にティースを周方向に複数有する固定子コアと、ティースに集中巻で巻装される巻線とを備える回転電機において、磁極の数は10nまたは14nであると共にティースの数は12nであって(nは自然数)、巻線は、X相巻線、Y相巻線、Z相巻線からなる第1の巻線群と、U相巻線、V相巻線、W相巻線からなる第2の巻線群とを有するとともに、周方向に順に、U相巻線、X相巻線、V相巻線、Y相巻線、W相巻線、Z相巻線、と配置され、U相巻線とX相巻線、V相巻線とY相巻線、W相巻線とZ相巻線とは、互いに巻回方向が異なるようにティースに巻装され、第1の巻線群および第2の巻線群のうち一方の巻線群は、各相巻線が互いに接続されてΔ結線を形成し、他方の巻線群の各相巻線は、一端部が一方の巻線群の各相巻線間に接続されてY結線を形成すると共に他端部が外部接続端子を形成するか、若しくは、一端部が一方の巻線群の各相巻線間に接続されて外部接続端子を形成すると共に他端部が中性点で接続されてY結線を形成することで、ΔY複合結線を形成し、ΔY複合結線を固定子コアの周方向に2n組有することを特徴とする。
磁極の数は10nまたは14nであると共にティースの数は12nである。即ち、磁極の数とティースの数との比は5:6または7:6であり、磁極のピッチπに対するティースのピッチは(1±1/6)πとなる。そして、隣り合うティースに巻装される第1の巻線群の相巻線と第2の巻線群の相巻線との巻回方向が互いに異なるため、第1の巻線群に対して第2の巻線群は位相が反転する。このため、実質的な位相差は(1±1/6)π−π=±π/6。ここで、ΔY複合結線の外部接続端子に通常の三相交流電流を通電すれば、必然的に第1の巻線群と第2の巻線群とでは通電電流の位相差もπ/6となる。これによって、位相の異なる第1の巻線群と第2の巻線群とを単一のインバータで駆動することができ、且つ、第6次高調波を相殺することで磁気騒音やリップルを低減できる。
(請求項2の発明)
請求項1に記載の回転電機において、第1の巻線群と第2の巻線群のうち、Δ結線される一方の巻線群の各ティースへの巻回数は、Y結線される他方の巻線群の各ティースへの巻回数に対して1.6〜1.9倍の範囲内であることを特徴とする。
ΔY複合結線仕様においては、Y結線される巻線群の各ティースへの巻回数とΔ結線される巻線群の巻回数との比を1:√3とする必要がある。そこで、Δ結線の巻回数をY結線の巻回数に対して1.6〜1.9倍の範囲内とすることで、理想比に近い巻回数とすることができる。これによって、Δ結線に所望の振幅と位相の電流を流すことができるため、より磁気騒音やトルクリップルを効果的に低減することができる。
(請求項3の発明)
本発明は、NS磁極が交互に形成される回転子と、回転子と対向して配置されたティースを周方向に複数有する固定子コアと、ティースに集中巻で巻装されたコイルを接続して形成される巻線とを備える回転電機において、磁極の数は10nまたは14nであると共にティースの数は12nであって(nは自然数)、巻線は、第1の巻線群と第2の巻線群とを有し、第1の巻線群は、互いに巻回方向が異なるX1単位巻線とX2単位巻線とからなるX相巻線と、互いに巻回方向が異なるY1単位巻線とY2単位巻線とからなるY相巻線と、互いに巻回方向が異なるZ1単位巻線とZ2単位巻線とからなるZ相巻線と、からなると共に、周方向に順に、X1単位巻線、X2単位巻線、Y1単位巻線、Y2単位巻線、Z1単位巻線、Z2単位巻線と配置され、第2の巻線群は、互いに巻回方向が異なるU1単位巻線とU2単位巻線とからなるU相巻線と、互いに巻回方向が異なるV1単位巻線とV2単位巻線とからなるV相巻線と、互いに巻回方向が異なるW1単位巻線とW2単位巻線とからなるW相巻線と、からなると共に、周方向に順に、U1単位巻線、U2単位巻線、V1単位巻線、V2単位巻線、W1単位巻線、W2単位巻線と配置され、U1単位巻線とX2単位巻線、U2単位巻線とY1単位巻線、V1単位巻線とY2単位巻線、V2単位巻線とZ1単位巻線、W1単位巻線とZ2単位巻線、W2単位巻線とX1単位巻線、とがそれぞれ同一のティースに巻装されると共に、U1単位巻線とX1単位巻線、U2単位巻線とX2単位巻線、V1単位巻線とY1単位巻線、V2単位巻線とY2単位巻線、W1単位巻線とZ1単位巻線、W2単位巻線とZ2単位巻線、とは、互いに巻回方向が異なるようにティースに巻装され、第1の巻線群および第2の巻線群のうち一方の巻線群は、各相巻線が互いに接続されてΔ結線を形成し、他方の巻線群の各相巻線は、一端部が一方の巻線群の各相巻線間に接続されてY結線を形成すると共に他端部が外部接続端子を形成するか、若しくは、一端部が一方の巻線群の各相巻線間に接続されて外部接続端子を形成すると共に他端部が中性点で接続されてY結線を形成することで、ΔY複合結線を形成し、ΔY複合結線を固定子コアの周方向に2n組有することを特徴とする回転電機。
磁極の数は10nまたは14nであると共にティースの数は12nである。即ち、磁極の数とティースの数との比は5:6または7:6であり、磁極のピッチπに対するティースのピッチは(1±1/6)πとなる。そして、隣り合うティースに巻装される第1の巻線群の相巻線と第2の巻線群の相巻線との巻回方向が互いに異なるため、第1の巻線群に対して第2の巻線群は位相が反転する。このため、実質的な位相差は(1±1/6)π−π=±π/6。ここで、ΔY複合結線の外部接続端子に通常の三相交流電流を通電すれば、必然的に第1の巻線群と第2の巻線群とでは通電電流の位相差もπ/6となる。これによって、位相の異なる第1の巻線群と第2の巻線群とを単一のインバータで駆動することができ、且つ、第6次高調波を相殺することで磁気騒音やリップルを低減できる。また、第1の巻線群と第2の巻線群との対応する各相巻線が1ティース分ずれることで3つのティースに渡って巻装されるので、磁束の第3次高調波成分がより均等に分布されるため第6次高調波成分の相殺効果が顕著である。
(請求項4の発明)
請求項3に記載の回転電機において、隣り合う2つのティースに巻装されるX1単位巻線とX2単位巻線、Y1単位巻線とY2単位巻線、Z1単位巻線とZ2単位巻線、U1単位巻線とU2単位巻線、V1単位巻線とV2単位巻線、W1単位巻線とW2単位巻線は、それぞれ直列に接続されていることを特徴とする。
これによって、巻線を隣り合う2つのティースに連続して巻回することができるため、製造工数を低減することができる。
(請求項5の発明)
請求項3または4に記載の回転電機において、第1の巻線群と第2の巻線群のうち、Δ結線される一方の巻線群の各ティースへの巻回数は、Y結線される他方の巻線群の各ティースへの巻回数に対して1.6〜1.9倍の範囲内であることを特徴とする。
Δ結線とY結線を組み合わせた結線仕様においては、Y結線される巻線群の各ティースへの巻回数とΔ結線される巻線群の巻回数との比を1:√3とする必要がある。そこで、Δ結線の巻回数をY結線の巻回数に対して1.6〜1.9倍の範囲内とすることで、理想比に近い巻回数とすることができる。これによって、Δ結線に生じる循環電流を抑制することができ、より磁気騒音やトルクリップルを効果的に低減することができる。
(請求項6の発明)
請求項3〜5に記載の何れかの回転電機において、第1の巻線群と第2の巻線群のうち、Δ結線される一方の巻線群はY結線される他方の巻線群の巻線よりも細い巻線を使用すると共に、一方の巻線群はティース間距離の短い内径側に巻装され、他方の巻線群はティース間距離の長い外径側に巻装されることを特徴とする。
これによって、巻線の細い一方の巻線群はティース間距離の短い内径側に巻装されるため、各ティース間のスペースを有効利用することができるため巻線の占積率を高くすることができ、回転電機の性能を高くすることができる。
(請求項7の発明)
請求項1〜6に記載の何れかに記載の回転電機において、磁極の着磁に、スキュー角を設けることを特徴とした回転電機。
回転電気が高速で回転すると循環電流がΔ結線に流れ電流波形が歪む。しかし、ロータ磁石の着磁にスキュー角を設けることで電流波形の歪が低減する。これによって、高速回転領域でも電磁騒音、トルクリップル低減効果を得ることができる。
(請求項8の発明)
請求項1〜7に記載の何れかの回転電機と、回転電機を制御する三相インバータを有する回転電機の制御システムにおいて、回転電機は、外部接続端子に接続される単一の三相インバータにより駆動されていることを特徴とする。
第1の巻線群と第2の巻線群とはティースのピッチに由来するπ/6の位相差をもって巻装されるが、Δ結線される第1の巻線群とY結線される第2の巻線群とに通電される電流はπ/6の位相差を有するため、単一のインバータにより駆動できる。これによって、従来技術のように磁気騒音やリップルを低減するために2組のインバータを用いる必要がないため、システムの大型化やコストの増大を抑制でき、また協調制御も必要としないためシステムの複雑化も抑制できる。
(請求項9の発明)
請求項1〜7に記載の何れかに記載の回転電機と、回転電機を制御するレクチファイアを有する回転電機の制御システムにおいて、回転電機は、巻線が3つの外部接続端子に単一のレクチファイアが接続されることにより整流されて直流電流を生成していることを特徴とする。
第1の巻線群と第2の巻線群とがそれぞれ生成する電流はティースのピッチに由来するπ/6の位相差をもって出力される。しかし、Δ結線される第1の巻線群とY結線される第2の巻線群とに通電される電流はπ/6の位相差を有するため、単一のレクチファイアにより整流できる。これによって、従来技術のように磁気騒音やリップルを低減するために2組のレクチファイアを用いる必要がないため、システムの大型化やコストの増大を抑制でき、また協調制御も必要としないためシステムの複雑化も抑制できる。
回転電機の断面図である。 第1実施形態の回転電機断面の展開図である。 第1実施形態の固定子の巻線仕様図である。 第1、2実施形態の回転電機のシステム概略図である。 第1の巻線群と第2の巻線群とへ通電される電流の波形図である。 第1の巻線群と第2の巻線群との第6次高調波が相殺される様子を示す波形図である。 第1実施形態の回転電機と通常の回転電機におけるトルク波形の比較図である。 第1実施形態の回転電機断面の展開図である。 第2実施形態の固定子の巻線仕様図である。 第3実施形態の固定子の巻線仕様図である。 第1、2実施形態の回転電機のシステム概略図である。 第4実施形態の固定子の巻線仕様図である。 変形形態の回転電機断面(ティース間ピッチが(1+1/6)π)の展開図である。 変形形態の回転電機断面(ティース間ピッチが(1+1/6)π)の展開図である。 磁極埋め込み型の回転子を有する回転電気の断面図である。
(第1実施形態)
本実施形態の回転電機1は、図1に示す様に、NS磁極2aが交互に形成される回転子2と、回転子2と対向して配置されると共にティース3aを周方向に複数有する固定子コア3と、ティース3aに集中巻で巻装される巻線4とを備える。
図2は、回転子2及び固定子4の軸方向断面の展開図である。回転子2の磁極2aは、10個の永久磁石がNS極交互に並んで構成される。また、固定子4の固定子鉄心には12個のティース3aが形成され、隣り合う2つのティース3aの間に巻線4を収容する12個のスロット3bが構成される。磁極3a数が10個に対してティース3a数が12個であることから、磁極3aの数とティース3aの数との比は5:6であり、磁極3aのピッチπに対するティース2aのピッチは電気角で(1−1/6)πとなる。
固定子鉄心に巻装される巻線仕様を図3に示す。巻線4は、図1に示す電機子鉄心の各ティース3aを周回するように巻装される所謂集中巻き構成であり、X相巻線、Y相巻線、Z相巻線からなる第1の巻線群4aと、U相巻線、V相巻線、Z相巻線からなる第2の巻線群4bを有する。ここでは、固定子4のティース3aには1t〜12tまで順番に番号を付け、各ティース3a間に形成されるスロット3bには1s〜12sまで順番に番号をつけて説明する。
第1の巻線群4aは以下のようにして巻装される。
スロット1sから2sにティース2tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のX相巻線(X−1)を構成し、連続してスロット4sから3sにティース4tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のY相巻線(Y−1)を構成し、さらに連続してスロット5sから6sにティース6tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のZ相巻線(Z−1)を構成し、スロット6sから出た端末をスロット1sの端末と接続しΔ結線を構成する。
スロット8sから7sにティース8tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のX相巻線(X−2)を構成し、連続してスロット9sから10sにティース10tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のY相巻線(Y−2)を構成し、さらに連続してスロット12sから11sにティース12tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のZ相巻線(Z−2)を構成し、スロット11sから出た端末をスロット8sの端末と接続しΔ結線を構成する。
第2の巻線群4bは以下のようにして巻装される。
スロット1sから12sにティース1tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のU相巻線(U−1)を構成し、第1の巻線群のティース6tと1tとを結ぶ巻線間にスロット12sの端末を接続する。また、スロット2sから3sにティース3tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のV相巻線(V−1)を構成し、第1の巻線群のティース2tと4tとを結ぶ巻線間にスロット4sの端末を接続する。また、スロット5sから4sにティース5tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のW相巻線(W−1)を構成し、第1の巻線群のティース3tと5tとを結ぶ巻線間にスロット4sの端末を接続する。いわば、第1のU相巻線、第1のV相巻線、第1のW相巻線は、第1の巻線群のΔ結線を中性点としたY結線を形成している。
スロット6sから7sにティース7tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のU相巻線(U−2)を構成し、第1の巻線群のティース12tと8tとを結ぶ巻線間にスロット7sの端末を接続する。また、スロット9sから8sにティース9tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のV相巻線(V−2)を構成し、第1の巻線群のティース7sと9sとを結ぶ巻線間にスロット4sの端末を接続する。また、スロット10sから11sにティース5tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のW相巻線(W−2)を構成し、第1の巻線群のスロット10sと12sとを結ぶ巻線間にスロット4sの端末を接続する。いわば、第2のU相巻線、第2のV相巻線、第2のW相巻線は、第2の巻線群のΔ結線を中性点としたY結線を形成している。
ここで、Δ結線される第1の巻線群の各ティースへの巻回数は、Y結線される第2の巻線群の各ティースへの巻回数の1.6〜1.9倍の範囲とするのが望ましい。
そして、スロット1sから出た第1のU相巻線(U−1)の端末とスロット6sから出た第2のU相巻線(U−2)の端末とは接続され、外部接続端子T1を形成する。また、スロット2sから出た第1のV相巻線(V−1)の端末とスロット9sから出た第2のV相巻線(V−2)の端末とは接続され、外部接続端子T2を形成する。また、スロット5sから出た第1のW相巻線(W−1)の端末とスロット10sから出た第2のW相巻線(W−2)の端末とは接続され、外部接続端子T3を形成する。
以上の巻線仕様を有する回転電機1を駆動するシステムについて図4を用いて説明する。
回転電機1は、巻線4の外部接続端子T1、T2、T3がインバータ5に接続されることで通電されて駆動される。このインバータ5は周知の構成のものであり説明は省略する。駆動方法に関しても周知の正弦波PWM駆動であり、演算機能付きの制御回路6で生成した駆動信号7により、インバータ5のトランジスタ8を駆動して巻線4へ略正弦波電流を通電する。このため、制御回路6からの駆動信号7はトランジスタ6個分が必要となる。制御は回転子に装着された例えばレゾルバなどの位置センサ9の情報に基づいて制御すればよい。また、必要に応じて図示しない電流検出器で実電流を検出して周知のフィードバック制御を実施してもよい。
(第1実施形態の効果)
通常、三相交流の回転電機1においては、正弦波電流にパワートランジスタを保護するためのデッドタイム等に起因した高周波成分が重畳しているため、これに起因して電磁騒音やトルクリップルが生じることが知られている。これらの問題の原因となる脈動磁力成分は、基本波に対して第3次高調波成分に基づくものが主成分であり、その磁気加振力は磁束の2乗に比例して分布するため第6次高調波成分である。
ここで、本実施形態の回転電機1は、第1の巻線群4aと第2の巻線群4bとが(1−1/6)πのピッチを有するティース3aに交互に巻装され、且つ、隣り合うティース3aに巻装される第1の巻線群4aと第2の巻線群4bの巻線方向は互いに逆向きであるため、第1の巻線群4aに対して第2の巻線群4bは位相が反転する。このため、ティース3aのピッチにより生じる実質的な位相差は、(1−1/6)π−π=−π/6となる。また、図5に示す様に、ΔY複合結線仕様により、外部接続端子T1、T2、T3に通常の三相交流電流を通電すれば、必然的に第1の巻線群4aと第2の巻線群4bに通電される電流はπ/6の位相差を有する。そして、このπ/6の位相差は第6次高調波成分の波長π/3の半波分に相当する。即ち、第6次高調波成分同士は位相差がπとなるため、第1の三相巻線4aが発生する磁気加振力と第2の三相巻線4bが発生する磁気加振力とは互いに相殺され(図6参照)、これに起因する磁気騒音やトルクリップルを低減することができる。実際に本発明により、図7に示す様に、トルクリップルが約50%低減できた。
従来、磁気騒音やトルクリップルの低減のために2組の三相巻線群にπ/6の位相差を設けた回転電機においては、巻線への通電電流にもπ/6の位相差を設ける必要があるため2組のインバータを協調制御して使用せざるを得なかった。しかし、本実施形態のようにΔY複合結線仕様とすることで、位相の異なる第1の巻線群4aと第2の巻線群4bとを単一のインバータ5で駆動することができるので、システムの大型化やコストの増大を抑制でき、また協調制御も必要としないためシステムの複雑化も抑制できる。
また、Δ結線とY結線を組み合わせた結線仕様においては、Δ結線される第1の巻線群4aの各ティース3aへの巻回数とY結線される第2の巻線群4bの巻回数との比を1:√3とする必要がある。そこで、第1の巻線群4aの巻回数を第2の巻線群4bの巻回数に対して1.6〜1.9倍とすることで、理想比に近い巻回数とすることができる。これによって、Δ結線に所望の振幅と位相の電流を流すことができるため、より磁気騒音やトルクリップルを効果的に低減することができる
(第2実施形態)
本実施形態の回転電機1は、第1実施形態と同様に(図2参照)、NS磁極2aが交互に形成される回転子2と、回転子2と対向して配置されると共にティース3aを周方向に複数有する固定子コア3と、ティース3aに集中巻で巻装される巻線4とを備える。
図8は、回転子2及び固定子4の軸方向断面の展開図である。回転子2の磁極2aは、10個の永久磁石がNS極交互に並んで構成される。また、固定子4の固定子鉄心には12個のティース3aが形成され、隣り合う2つのティース3aの間に巻線4を収容する12個のスロット3bが構成される。磁極2a数が10個に対してティース3a数が12個であることから、磁極2aの数とティース3aの数との比は5:6であり、磁極2aのピッチπに対するティース2aのピッチは電気角で(1−1/6)πとなる。
固定子鉄心に巻装される巻線仕様を図9に示す。巻線4は、図1に示す電機子鉄心の各ティース3aを周回するように巻装される所謂集中巻き構成であり、X相巻線、Y相巻線、Z相巻線からなる第1の巻線群と、U相巻線、V相巻線、Z相巻線からなる第2の巻線群を有する。ここでは、固定子のティース3aには1t〜12tまで順番に番号を付け、各ティース3a間に形成されるスロット3bには1s〜12sまで順番に番号をつけて説明する。尚、便宣上内径側ティースと外径側ティースとを分離して表記しているが、上下の図でティース番号、スロット番号は共通である。
第1の巻線群4aは以下のようにして巻装される。
スロット11sから12sにティース12tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のX1単位巻線(X1−1)を形成した後、スロット2sから1sにティース1tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のX2単位巻線(X2−1)を形成して第1のX相巻線を構成し、連続してスロット2sから1sにティース2tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のY1単位巻線(Y1−1)を形成した後、スロット2sから3sにティース3tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のY2単位巻線(Y2−1)を形成して第1のY相巻線を構成し、連続してスロット3sから4sにティース4tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のZ1単位巻線(Z1−1)を形成した後、スロット5sから4sにティース5tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のZ2単位巻線(Z2−1)を形成して第1のZ相巻線を構成し、スロット4sから出た端末をスロット11sの端末と接続しΔ結線を構成する。
スロット6sから5sにティース6tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のX1単位巻線(X1−2)を形成した後、スロット6sから7sにティース7tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のX2単位巻線(X2−2)を形成して第2のX相巻線を構成し、連続してスロット7sから8sにティース8tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のY1単位巻線(Y1−2)を形成した後、スロット9sから8sにティース9tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のY2単位巻線(Y2−2)を形成して第2のY相巻線を構成し、連続してスロット10sから9sにティース10tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のZ1単位巻線(Z1−2)を形成した後、スロット10sから11sにティース11tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のZ2単位巻線(Z2−2)を形成して第2のZ相巻線を構成し、スロット11sから出た端末をスロット6sの端末と接続しΔ結線を構成する。
第2の巻線群4bは以下のようにして巻装される。
スロット1sから12sにティース1tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のU1単位巻線(U1−1)を形成した後、スロット1sから2sにティース2tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のU2単位巻線(U2−1)を形成して第1のU相巻線を構成し、第1の巻線群のティース5tと12tとを結ぶ巻線間にスロット2sの端末(C1)を接続する。また、スロット2sから3sにティース3tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のV1単位巻線(V1−1)を形成した後、スロット4sから3sにティース4tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のV2単位巻線(V2−1)を形成して第1のV相巻線を構成し、第1の巻線群のティース2tと3tとを結ぶ巻線間にスロット3sの端末(C2)を接続する。また、スロット5sから4sにティース5tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のW1単位巻線(W1−1)を形成した後、スロット5sから6sにティース6tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のW2単位巻線(W2−1)を形成して第1のW相巻線を構成し、第1の巻線群のティース3tと4tとを結ぶ巻線間にスロット6sの端末(C3)を接続する。
スロット6sから7sにティース7tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のU1単位巻線(U1−2)を形成した後、スロット8sから7sにティース8tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のU2単位巻線(U2−2)を形成して第2のU相巻線を構成し、第1の巻線群のティース11tと6tとを結ぶ巻線間にスロット7sの端末(C4)を接続する。また、スロット9sから8sにティース9tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のV1単位巻線(V1−2)を形成した後、スロット9sから10sにティース10tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のV2単位巻線(V2−2)を形成して第2のV相巻線を構成し、第1の巻線群のティース7tと8tとを結ぶ巻線間にスロット2sの端末(C5)を接続する。また、スロット10sから11sにティース11tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のW1単位巻線(W1−2)を形成した後、スロット12sから11sにティース12tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のW2単位巻線(W2−2)を形成して第2のW相巻線を構成し、第1の巻線群のティース9tと10tとを結ぶ巻線間にスロット11sの端末(C6)を接続する。
そして、スロット1sから出た第1のU1単位巻線(U1−1)の端末とスロット6sから出た第2のU1単位巻線(U1−2)の端末とは接続され、外部接続端子T1を形成する。また、スロット2sから出た第1のV1単位巻線(V1−1)の端末とスロット9sから出た第2のV1単位巻線(V1−2)の端末とは接続され、外部接続端子T2を形成する。また、スロット5sから出た第1のW1単位巻線(W1−1)の端末とスロット10sから出た第2のW2単位巻線(W2−2)の端末とは接続され、外部接続端子T3を形成する。
以上の巻線仕様を有する回転電機1を駆動するシステムについては、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
(第2実施形態の効果)
本実施形態においては、本実施形態の回転電機1は、第1の巻線群4aと第2の巻線群4bとが1ティース3a分ずれて巻装されている。そして、隣り合うティース3aに巻装される第1の巻線群4aと第2の巻線群4bの巻線方向は互いに逆向きであるため、第1の巻線群4aに対して第2の巻線群4bは位相が反転する。このため、ティース3aのピッチにより生じる実質的な位相差は、(1−1/6)π−π=−π/6となる。これによって、磁気騒音やトルクリップルが低減できる効果は第1実施形態と同様であるが、第1の巻線群4aと第2の巻線群4bの対応する相巻線が1ティース分ずれることで3つのティースに渡って巻装されるので、磁束の第3次高調波成分がより均等に分布されるため第6次高調波成分の相殺効果が顕著である。
(第3実施形態)
本実施形態の回転電機1は、第1実施形態と同様に、NS磁極2a(本実施形態では永久磁石)が交互に形成される回転子2と、巻線4が巻装されるティース3aを周方向に複数有する固定子4と、を備える。また、磁極2aとティース3aの構成も、第1実施形態と同様に図2に示す展開図のとおりである。
固定子鉄心に巻装される巻線仕様を図10に示す。巻線4は、図1に示す電機子鉄心の各ティース3aを周回するように巻装される所謂集中巻き構成であり、X相巻線、Y相巻線、Z相巻線からなる第1の巻線群4aと、U相巻線、V相巻線、Z相巻線からなる第2の巻線群4bを有する。ここでは、固定子のティース3aには1t〜12tまで順番に番号を付け、各ティース3a間に形成されるスロット3bには1s〜12sまで順番に番号をつけて説明する。
第1の巻線群4aは以下のようにして巻装される。
スロット1sから2sにティース2tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のX相巻線(X−1)を構成し、連続してスロット4sから3sにティース4tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のY相巻線(Y−1)を構成し、さらに連続してスロット5sから6sにティース6tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のZ相巻線(Z−1)を構成し、スロット6sから出た端末をスロット1sの端末と接続しΔ結線を構成する。
スロット8sから7sにティース8tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のX相巻線(X−2)を構成し、連続してスロット9sから10sにティース10tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のY相巻線(Y−2)を構成し、さらに連続してスロット12sから11sにティース12tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のZ相巻線(Z−2)を構成し、スロット11sから出た端末をスロット8sの端末と接続しΔ結線を構成する。
そして、スロット6sから出た第1のU相巻線(U−1)の端末とスロット6sから出た第2のU相巻線(U−2)の端末とは接続され、外部接続端子T1を形成する。また、スロット2sから出た第1のV相巻線(V−1)の端末とスロット9sから出た第2のV相巻線(V−2)の端末とは接続され、外部接続端子T2を形成する。また、スロット5sから出た第1のW相巻線(W−1)の端末とスロット10sから出た第2のW相巻線(W−2)の端末とは接続され、外部接続端子T3を形成する。
第2の巻線群4bは以下のようにして巻装される。
スロット1sから12sにティース1tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のU相巻線(U−1)を構成し、一端部を第1の巻線群のティース6tと1tとを結ぶ巻線間にスロット12sの端末を接続すると共に他端部を中性点Nへ接続する。また、スロット2sから3sにティース3tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のV相巻線(V−1)を構成し、一端部を第1の巻線群のティース2tと4tとを結ぶ巻線間にスロット4sの端末を接続すると共に他端部を中性点Nへ接続する。また、スロット5sから4sにティース5tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のW相巻線(W−1)を構成し、一端部を第1の巻線群のティース3tと5tとを結ぶ巻線間にスロット4sの端末を接続すると共に他端部を中性点Nへ接続する。
スロット6sから7sにティース7tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のU相巻線(U−2)を構成し、一端部を第1の巻線群のティース12tと8tとを結ぶ巻線間にスロット7sの端末を接続すると共に他端部を中性点Nへ接続する。また、スロット9sから8sにティース9tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のV相巻線(V−2)を構成し、一端部を第1の巻線群のティース7sと9sとを結ぶ巻線間にスロット4sの端末を接続すると共に他端部を中性点Nへ接続する。また、スロット10sから11sにティース5tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のW相巻線(W−2)を構成し、一端部を第1の巻線群のスロット10sと12sとを結ぶ巻線間にスロット4sの端末を接続すると共に他端部を中性点Nへ接続する。
そして、スロット1sから出た第1のU相巻線(U−1)の端末とスロット6sから出た第2のU相巻線(U−2)の端末とは接続され、外部接続端子T1を形成する。また、スロット2sから出た第1のV相巻線(V−1)の端末とスロット9sから出た第2のV相巻線(V−2)の端末とは接続され、外部接続端子T2を形成する。また、スロット5sから出た第1のW相巻線(W−1)の端末とスロット10sから出た第2のW相巻線(W−2)の端末とは接続され、外部接続端子T3を形成する。
以上の巻線仕様を有する回転電機1を駆動するシステムについては、図11に示す様に、第1の巻線群4aと第2の巻線群4bとの結線仕様が異なる点以外は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
また、本実施形態の効果についても第1実施形態と同様である。
(第4実施形態)
本実施形態の回転電機1は、第2実施形態と同様に(図8参照)、NS磁極2a(本実施形態では永久磁石)が交互に形成される回転子2と、巻線4が巻装されるティース3aを周方向に複数有する固定子4と、を備える。
固定子鉄心に巻装される巻線仕様を図12に示す。巻線4は、図1に示す電機子鉄心の各ティース3aを周回するように巻装される所謂集中巻き構成であり、X相巻線、Y相巻線、Z相巻線からなる第1の巻線群4aと、U相巻線、V相巻線、Z相巻線からなる第2の巻線群4bを有する。ここでは、固定子のティース3aには1t〜12tまで順番に番号を付け、各ティース3a間に形成されるスロット3bには1s〜12sまで順番に番号をつけて説明する。
第1の巻線群4aは以下のようにして巻装される。
スロット11sから12sにティース12tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装した第1のX1単位巻線(X1−1)を形成した後、スロット2sから1sにティース1tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装した第1のX2単位巻線(X2−1)を形成して第1のX相巻線を構成し、連続してスロット2sから1sにティース2tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のY1単位巻線(Y1−1)を形成した後、スロット2sから3sにティース3tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のY2単位巻線(Y2−1)を形成して第1のY相巻線を構成し、連続してスロット3sから4sにティース4tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のZ1単位巻線(Z1−1)を形成した後、スロット5sから4sにティース5tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のZ2単位巻線(Z2−1)して第1のZ相巻線を構成し、スロット4sから出た端末をスロット11sの端末と接続しΔ結線を構成する。
スロット6sから5sにティース6tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のX1単位巻線(X1−2)を形成した後、スロット6sから7sにティース7tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のX2単位巻線(X2−2)を形成して第2のX相巻線を構成し、連続してスロット7sから8sにティース8tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のY1単位巻線(Y1−2)を形成した後、スロット9sから8sにティース9tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のY2単位巻線(Y2−2)を形成して第2のY相巻線を構成し、連続してスロット10sから9sにティース10tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のZ1単位巻線(Z1−2)を形成した後、スロット10sから11sにティース11tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のZ2単位巻線(Z2−2)を形成して第2のZ相巻線を構成し、スロット11sから出た端末をスロット6sの端末と接続しΔ結線を構成する。
そして、ティース5tと12tとの間とティース11tと6tとの間は渡り線C1によって接続される。また、ティース1tと2tとの間とティース6tと7tとの間は渡り線C2によって接続される。また、ティース3tと4tとの間とティース8tと9tとの間は渡り線C3によって接続される。
第2の巻線群4bは以下のようにして巻装される。
スロット1sから12sにティース1tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のU1単位巻線(U1−1)を形成した後、スロット1sから2sにティース2tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のU2単位巻線(U2−1)を形成して第1のU相巻線を構成し、中性点Nにスロット2sの端末を接続する。また、スロット2sから3sにティース3tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のV1単位巻線(V1−1)を形成した後、スロット4sから3sにティース4tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のV2単位巻線(V2−1)を形成して第1のV相巻線を構成し、中性点Nにスロット3sの端末を接続する。また、スロット5sから4sにティース5tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第1のW1単位巻線(W1−1)を形成した後、スロット5sから6sにティース6tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第1のW2単位巻線(W2−1)を形成して第1のW相巻線を構成し、中性点Nにスロット6sの端末を接続する。
スロット6sから7sにティース7tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のU1単位巻線(U1−2)を形成した後、スロット8sから7sにティース8tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のU2単位巻線(U2−2)を形成して第2のU相巻線を構成し、中性点Nにスロット7sの端末を接続する。また、スロット9sから8sにティース9tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のV1単位巻線(V1−2)を形成した後、スロット9sから10sにティース10tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のV2単位巻線(V2−2)を形成して第2のV相巻線を構成し、中性点Nにスロット10sの端末を接続する。また、スロット10sから11sにティース11tを周回するように(紙面では反時計回り)所定回数だけ巻装して第2のW1単位巻線(W1−2)を形成した後、スロット12sから11sにティース12tを周回するように(紙面では時計回り)所定回数だけ巻装して第2のW2単位巻線(W2−2)を形成して第2のW相巻線を構成し、中性点Nにスロット11sの端末を接続する。
そして、スロット1sから出た第1のU1相巻線(U1−1)の端末とスロット6sから出た第2のU1相巻線(U1−2)の端末とは接続されると共に、渡り線C1が接続されて外部接続端子T1を形成する。また、スロット2sから出た第1のV1相巻線(V1−1)の端末とスロット9sから出た第2のV1相巻線(V1−2)の端末とは接続されると共に、渡り線C2が接続されて外部接続端子T2を形成する。また、スロット5sから出た第1のW1相巻線(W1−1)の端末とスロット10sから出た第2のW1相巻線(W1−2)の端末とは接続されると共に、渡り線C3が接続されて外部接続端子T3を形成する。
以上の巻線仕様を有する回転電機1を駆動するシステムについては、図11に示す様に、第1の巻線群4aと第2の巻線群4bとの結線仕様が異なる点以外は第2実施形態と同様であるため説明を省略する。
また、本実施形態の効果についても第2実施形態と同様である。
(変形実施形態)
第1〜4実施形態の回転電機1は、磁極2a数が10個に対してティース3a数が12個であるが、図13、図14に示す様に磁極2a数を14個としてもよい。この場合、磁極2aの数とティース3aの数との比は7:6となり、磁極2aのピッチπに対するティース2aのピッチは電気角で(1+1/6)πとなる。そして、隣り合うティース3aに巻装される第1の巻線群4aと第2の巻線群4bの巻装方向は互いに逆向きであるため、第1の巻線群4aに対して第2の巻線群4bは位相が反転する。このため、ティース3aのピッチにより生じる実質的な位相差は、(1+1/6)π−π=π/6となる。このように、磁極2aの数とティース3aの数との比は7:6であっても実質的な位相差がπ/6となるため、第1〜4実施形態と同様にして磁気騒音やトルクリップルを低減させることができる。
また、図15に示す様に、磁極2a(永久磁石)が回転子の内部に埋め込まれた磁極埋め込み型の回転子2を使用しても良い。この場合、一般に第1〜4実施形態のような磁極表面型の回転子2を用いた回転電機1に比べ電磁騒音、トルクリップル低減の面で有利であり、本発明の効果をより一層高めることができる。
また、回転子2の磁極2aには永久磁石を用いずに、磁気抵抗の位置変化によりトルクを発生させるリラクタンス型でも良いし、電磁石により磁界を発生させる電磁石型でも良い。
また、磁極2aの数は10nまたは14n、ティース3aの数は12n(nは自然数)であればよく、その場合の巻線仕様は実施形態1〜4のΔY複合結線の繰り返しとなる。
また、第2、4実施形態の回転電機1において、第1の巻線群4aと第2の巻線群4bとをティース3aの内径側と外径側の2層に分けて巻装してもよい。この場合、Δ結線される第1の巻線群4aはY結線される第2の巻線群4bの巻線よりも細い巻線を使用すると共に、第1の巻線群4aは前記ティース間距離の短い内径側に巻装し、第2の巻線群4bは前記ティース3a間距離の長い外径側に巻装する。これによって、巻線の細い一方の巻線群はティース3a間距離の短い内径側に巻装されるため、各ティース3a間のスペースを有効利用することができるため巻線の占積率を高くすることができ、回転電機の性能を高くすることができる。
また、回転子2の磁極2aの着磁にスキュー角を設けてもよい。スキュー角がない場合、一般的に永久磁石の着磁パターンに潜む高調波成分、特に3次成分に起因する逆起電圧の3次成分に起因する高調波電流や、インバータ制御時のデッドタイム等に起因する高調波電流が△結線に循環する電流として重畳してしまい所望のπ/6位相差の正弦波電流を生成することが困難となる。この現象は回転数が高くなるにつれて顕著である。一方、磁極2aの着磁にスキュー角を設けることにより電流の高調波成分を効果的に除去することができ循環電流を低減できる。即ち、高速回転領域でも電磁騒音、トルクリップル低減効果を得ることができる。
また、第1〜4実施形態の回転電機1は、インバータ5に接続されて巻線4が通電されることで回転力を発生するものであったが、レクチファイアに接続すれば回転力から電力を生成する発電機としても応用が可能ある。この場合も、単一のレクチファイアにより発電できるため、システムの大型化やコストの増大を抑制でき、また協調制御も必要としないためシステムの複雑化も抑制できる。
1 回転電機
2 回転子
2a 磁極
3a ティース
3b スロット
4 巻線
4a 第1の巻線群
4b 第2の巻線群
5 インバータ

Claims (9)

  1. NS磁極が交互に形成される回転子と、
    前記回転子と対向して配置されると共にティースを周方向に複数有する固定子コアと、
    前記ティースに集中巻で巻装される巻線とを備える回転電機において、
    前記磁極の数は10nまたは14nであると共に前記ティースの数は12nであって(nは自然数)、
    前記巻線は、X相巻線、Y相巻線、Z相巻線からなる第1の巻線群と、U相巻線、V相巻線、W相巻線からなる第2の巻線群とを有するとともに、周方向に順に、前記U相巻線、前記X相巻線、前記V相巻線、前記Y相巻線、前記W相巻線、前記Z相巻線、と配置され、
    前記U相巻線と前記X相巻線、前記V相巻線と前記Y相巻線、前記W相巻線と前記Z相巻線とは、互いに巻回方向が異なるように前記ティースに巻装され、
    前記第1の巻線群および前記第2の巻線群のうち一方の巻線群は、各相巻線が互いに接続されてΔ結線を形成し、
    他方の巻線群の各相巻線は、一端部が前記一方の巻線群の各相巻線間に接続されてY結線を形成すると共に他端部が外部接続端子を形成するか、若しくは、一端部が前記一方の巻線群の各相巻線間に接続されて外部接続端子を形成すると共に他端部が中性点で接続されてY結線を形成することで、ΔY複合結線を形成し、
    前記ΔY複合結線を前記固定子コアの周方向に2n組有することを特徴とする回転電機。
  2. 請求項1に記載の回転電機において、
    前記第1の巻線群と前記第2の巻線群のうち、Δ結線される一方の前記巻線群の各前記ティースへの巻回数は、Y結線される他方の前記巻線群の各前記ティースへの巻回数に対して1.6〜1.9倍の範囲内であることを特徴とする回転電機。
  3. NS磁極が交互に形成される回転子と、
    前記回転子と対向して配置されたティースを周方向に複数有する固定子コアと、
    前記ティースに集中巻で巻装されたコイルを接続して形成される巻線とを備える回転電機において、
    前記磁極の数は10nまたは14nであると共に前記ティースの数は12nであって(nは自然数)、
    前記巻線は、第1の巻線群と第2の巻線群とを有し、
    前記第1の巻線群は、互いに巻回方向が異なるX1単位巻線とX2単位巻線とからなるX相巻線と、互いに巻回方向が異なるY1単位巻線とY2単位巻線とからなるY相巻線と、互いに巻回方向が異なるZ1単位巻線とZ2単位巻線とからなるZ相巻線と、からなると共に、周方向に順に、前記X1単位巻線、前記X2単位巻線、前記Y1単位巻線、前記Y2単位巻線、前記Z1単位巻線、前記Z2単位巻線と配置され、
    前記第2の巻線群は、互いに巻回方向が異なるU1単位巻線とU2単位巻線とからなるU相巻線と、互いに巻回方向が異なるV1単位巻線とV2単位巻線とからなるV相巻線と、互いに巻回方向が異なるW1単位巻線とW2単位巻線とからなるW相巻線と、からなると共に、周方向に順に、前記U1単位巻線、前記U2単位巻線、前記V1単位巻線、前記V2単位巻線、前記W1単位巻線、前記W2単位巻線と配置され、
    前記U1単位巻線と前記X2単位巻線、前記U2単位巻線と前記Y1単位巻線、前記V1単位巻線と前記Y2単位巻線、前記V2単位巻線と前記Z1単位巻線、前記W1単位巻線と前記Z2単位巻線、前記W2単位巻線と前記X1単位巻線、とがそれぞれ同一の前記ティースに巻装されると共に、
    前記U1単位巻線と前記X1単位巻線、前記U2単位巻線と前記X2単位巻線、前記V1単位巻線と前記Y1単位巻線、前記V2単位巻線と前記Y2単位巻線、前記W1単位巻線と前記Z1単位巻線、前記W2単位巻線と前記Z2単位巻線、とは、互いに巻回方向が異なるように前記ティースに巻装され、
    前記第1の巻線群および前記第2の巻線群のうち一方の巻線群は、各相巻線が互いに接続されてΔ結線を形成し、
    他方の巻線群の各相巻線は、一端部が前記一方の巻線群の各相巻線間に接続されてY結線を形成すると共に他端部が外部接続端子を形成するか、若しくは、一端部が前記一方の巻線群の各相巻線間に接続されて外部接続端子を形成すると共に他端部が中性点で接続されてY結線を形成することで、ΔY複合結線を形成し、
    前記ΔY複合結線を前記固定子コアの周方向に2n組有することを特徴とする回転電機。
  4. 請求項3に記載の回転電機において、
    隣り合う2つの前記ティースに巻装される前記X1単位巻線と前記X2単位巻線、前記Y1単位巻線と前記Y2単位巻線、前記Z1単位巻線と前記Z2単位巻線、前記U1単位巻線と前記U2単位巻線、前記V1単位巻線と前記V2単位巻線、前記W1単位巻線と前記W2単位巻線は、それぞれ直列に接続されていることを特徴とする回転電機。
  5. 請求項3または4に記載の回転電機において、
    前記第1の巻線群と前記第2の巻線群のうち、Δ結線される一方の前記巻線群の各前記ティースへの巻回数は、Y結線される他方の前記巻線群の各前記ティースへの巻回数に対して1.6〜1.9倍の範囲内であることを特徴とする回転電機。
  6. 請求項3〜5に記載の何れかの回転電機において、
    前記第1の巻線群と前記第2の巻線群のうち、Δ結線される一方の巻線群はY結線される他方の巻線群の巻線よりも細い巻線を使用すると共に、前記一方の巻線群は前記ティース間距離の短い内径側に巻装され、前記他方の巻線群は前記ティース間距離の長い外径側に巻装されることを特徴とする回転電機。
  7. 請求項1〜6に記載の何れかに記載の回転電機において、
    前記磁極の着磁に、スキュー角を設けることを特徴とした回転電機。
  8. 請求項1〜7に記載の何れかの回転電機と、前記回転電機を制御する三相インバータを有する回転電機の制御システムにおいて、
    前記回転電機は、前記外部接続端子に接続される単一の三相インバータにより駆動されていることを特徴とする回転電機の制御システム。
  9. 請求項1〜7に記載の何れかに記載の回転電機と、前記回転電機を制御するレクチファイアを有する回転電機の制御システムにおいて、
    前記回転電機は、前記巻線が3つの前記外部接続端子に単一のレクチファイアが接続されることにより整流されて直流電流を生成していることを特徴とする回転電機の制御システム。
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