JP2011044606A - エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】砥粒を含まず水溶性高分子を含むアルカリ性水溶液の研磨液を用いて、シリコンウェーハの表面を鏡面研磨する。水溶性高分子をアルカリ性水溶液に添加したので、摩擦係数を低下させ、鏡面研磨されたウェーハ表層部に発生する加工起因のLPDの密度を低減でき、LPD密度が低いエピタキシャルシリコンウェーハを製造できる。しかも、鏡面研磨されたウェーハ表面に発生する表面粗さを小さくでき、表面粗さ品質に優れたエピタキシャルシリコンウェーハを提供できる。
【選択図】図1
Description
一般的な研磨方法によれば、シリコンウェーハの表面に1次研磨、2次研磨、仕上げ研磨および各研磨段階後の洗浄が順次施される。研磨はその段階が移行する毎に、例えば研磨砥粒が微細化し、研磨布が低硬度化してウェーハ表面の面粗さが低い値となるようにウェーハ表面に多段の研磨処理が施される。
ところが、このような多段階にわたる精密な研磨方法では、各段階で研磨と洗浄とが繰り返されることから、より高硬度化された低抵抗ウェーハになるほど、その研磨時間が長くなっていた。その結果、シリコンウェーハの表面の平坦度が低下し、ウェーハ表面にピットが生じるとともに、シリコンウェーハの外周部にダレや周期的な凹凸が発生していた。また、1次研磨、2次研磨、仕上げ研磨などシリコンウェーハに対する多段研磨処理にコストがかかる問題があった。
また、砥粒を含む研磨液を供給しながらウェーハ表面を1次鏡面研磨した場合、原子間力顕微鏡を用いて1μm×1μmという小さい測定面積域でのRMS値はある程度低くできるものの、10μm×10μmという大きい測定面積域でのRMS値は非常に高く、その後のエピタキシャル膜の表面の粗さも非常に粗いものであった。
この発明は、シリコンウェーハの鏡面研磨された表面に発生する加工起因のLPDの密度を低減し、かつウェーハ表面の表面粗さを小さくすることにより、LPD密度が低く、表面粗さが小さいエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法を提供することを目的としている。
また、研磨液を、砥粒を含まないアルカリ性水溶液に水溶性高分子が添加されたものとしたので、研磨中の研磨荷重の一部を水溶性高分子が受け、摩擦係数を小さくすることができる。その結果、原子間力顕微鏡を用いて1μm×1μmという小さい測定面積域でのRMS値だけでなく、10μm×10μmという大きい測定面積域でのRMS値も低減することができ、表面粗さ品質に優れたエピタキシャル膜を有するエピタキシャルシリコンウェーハを製造することができる。
一般的に、シリコンウェーハの表面の加工ダメージの有無を評価する手法として、TZDB測定によるCモード評価により、ウェーハの良品、不良品の判定が行われる。しかしながら、例えば、Cモード評価で99%以上と判定されたシリコンウェーハであっても、より厳しいC+mode占有率で評価した場合には、その占有率が大きく低下し、酸化膜耐圧特性が低いことが明らかとなった。このため、C+mode占有率を99%以上、さらに100%であるような優れた酸化膜耐圧特性を有することは極めて重要である。
なお、酸化膜耐圧(GOI;Gate Oxide Integrity)特性とは、シリコンウェーハの表面に酸化膜(ゲート酸化膜)と電極を形成してMOS(Metal Oxide Semiconductor)構造を作製した後、電極に電圧を印加して酸化膜を破壊させ、ブレイクダウン電圧や電流を測定するものである。
<測定条件>
ウェーハ表面にゲート酸化膜厚25nmの酸化膜を形成し、この酸化膜表面にゲート電極面積10mm2のポリシリコン電極を形成して、各電極にステップ電圧印加法(SV法)により電圧を印加する。0.5MV/cmステップ(各ステップの電圧印加時間:200msec)刻みで電圧を増大させ、8MV/cm以上の電圧を印加したとき、酸化膜を通して流れる電流密度が10μA/cm2以下で、かつ、その後、印加する電圧を一旦、0MV/cmに降下させた後、再び2MV/cmの電圧を印加したとき、酸化膜を通して流れる電流密度が1μA/cm2以下のセルをC+modeと呼び、このC+mode個数の割合がC+mode占有率である。
本発明では、砥粒を含まないアルカリ性水溶液に水溶性高分子が添加された研磨液を用いてシリコンウェーハの表面を鏡面研磨することにより、1μm×1μm角および10μm×10μm角の測定面積域を測定した場合でも、どちらもRMS表示で0.3nm以下にすることができ、その後に形成されるエピタキシャル表面粗さ品質を高めることができる。
シリコンウェーハの直径としては、例えば100mm、125mm、150mm、200mm、300mm、450mmなどが挙げられる。
アルカリ性水溶液としては、pH8〜pH14の範囲内に調整したアルカリ性水溶液を用いることが望ましい。アルカリ性水溶液がpH8未満では、エッチング作用が低くなりすぎてしまい、シリコンウェーハの表面にスクラッチ、傷などの加工起因の欠陥が発生し易くなる。また、強塩基水溶液のようにpH14を超えれば、研磨液の取り扱いが困難になる。pH調整剤としては、アンモニア水溶液、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムの水酸化アルカリ性の水溶液、炭酸アルカリ性の水溶液を採用することができる。その他、ヒドラジンやアミン類の水溶液を採用することができる。研磨レートを高める観点から、特にアミンを用いることが望ましい。
また、前記アルカリ性水溶液に添加される水溶性高分子の濃度は、0.01ppm〜1000ppmの範囲に調整することが望ましい。水溶性高分子の濃度が0.01ppm未満では、研磨時の摩擦が大きくなり過ぎてしまい、鏡面研磨したウェーハ表面に加工起因の欠陥を生じてしまうおそれがある。また、1000ppmを超えれば、研磨レートが極端に低下し、鏡面研磨処理に多大な時間を要することになる。
ウェーハ表面に対するその他の鏡面研磨条件としては、例えば、研磨レートが0.2〜0.6μm/分、研磨量が5〜20μm、研磨荷重が200〜300g/cm2、研磨時間が10〜90分、研磨中の研磨液の温度が20〜30℃を例示することができる。
また、シリコンウェーハの研磨は、表面のみの片面研磨でも、ウェーハ表裏面を同時に研磨する両面研磨でもよい。両面研磨装置としては、サンギヤ(遊星歯車)方式のもの、または、キャリアプレートに自転をともなわない円運動をさせてシリコンウェーハの表裏両面を同時に研磨する無サンギヤ方式ものを採用することができる。特に、両面研磨装置を用いれば、一度の研磨処理でウェーハ表面だけでなくウェーハ裏面の高平坦化までを達成することができ、低コストで高平坦度なエピタキシャルウェーハの提供に有効となる。
エピタキシャル膜の気相エピタキシャル成膜方法としては、例えば常圧気相エピタキシャル法、減圧気相エピタキシャル法、有機金属気相エピタキシャル法などを採用することができる。気相エピタキシャル法では、例えばエピタキシャルシリコンウェーハを横置き状態(表裏面が水平な状態)でウェーハ収納部に収納する、平面視して円形で、ウェーハが1枚または複数枚載置可能なサセプタが使用される。気相エピタキシャル法は、ウェーハと同じ素材をエピタキシャル成長させるホモエピタキシでも、ウェーハと異なる素材をエピタキシャル成長させるヘテロエピタキシでもよい。なお、エピタキシャル膜の性状はウェーハ表面性状の影響を大きく受けるので、ある程度の厚み以上の膜厚が必要である。例えば、1〜10μm厚みのエピタキシャル膜を形成することが望ましい。
すなわち、実施例1のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法は、結晶引き上げ工程、結晶加工工程、スライス工程、面取り工程、ラッピング工程、エッチング工程、鏡面研磨工程、洗浄工程、エピタキシャル成長工程、最終洗浄工程を備えている。
結晶引き上げ工程では、坩堝内でボロンが所定量ドープされたシリコンの溶融液から、チョクラルスキー法により直径306mm、直胴部の長さが2500mm、比抵抗が0.01Ω・cm、初期酸素濃度1.0×1018atoms/cm3の単結晶シリコンインゴットが引き上げられる。
スライス工程では、三角配置された3本のグルーブローラにワイヤが巻掛けられたワイヤソーが用いられる。ワイヤソーによりシリコン単結晶から、直径300mm、厚さ775μmの多数枚のシリコンウェーハがスライスされる。
ラッピング工程では、両面ラッピング装置によりシリコンウェーハの両面を同時にラッピングする。すなわち、シリコンウェーハの両面を所定速度で回転中の上下のラップ定盤間でラッピングする。
エッチング工程では、エッチング槽内の酸性エッチング液に、ラッピング後のシリコンウェーハを浸漬してエッチングし、面取りおよびラッピングによるダメージやシリコンウェーハの表面の自然酸化膜を除去する。シリコンウェーハの表面に酸化膜が付いた状態で、砥粒を含まない研磨液を使用して鏡面研磨すれば、研磨初期の加工レートが小さくなってしまうため、予めシリコンウェーハ表面の酸化膜をエッチングで除去しておくことが有効となる。
以下、図2および図3を参照して、無サンギヤ方式の両面研磨装置を具体的に説明する。
図2および図3に示すように、両面研磨装置の上定盤120は、上方に延びた回転軸12aを介して、上側回転モータ16により水平面内で回転駆動される。また、上定盤120は軸線方向へ進退させる昇降装置18により垂直方向に昇降させられる。昇降装置18は、シリコンウェーハ11をキャリアプレート110に給排する際等に使用される。なお、上定盤120および下定盤130のシリコンウェーハ11の表裏両面に対する押圧は、上定盤120および下定盤130に組み込まれた図示しないエアバック方式等の加圧手段により行われる。下定盤130は、その出力軸17aを介して、下側回転モータ17により水平面内で回転させられる。キャリアプレート110は、そのプレート110自体が自転しないように、キャリア円運動機構19によって、そのプレート110の表面と平行な面(水平面)内で円運動する。
キャリアホルダ20の外周部には、90°ごとに外方へ突出した4個の軸受部20bが配設されている。各軸受部20bには、小径円板形状の偏心アーム24の上面の偏心位置に突設された偏心軸24aが挿着されている。また、これら4個の偏心アーム24の各下面の中心部には、回転軸24bが垂設されている。各回転軸24bは、環状の装置基体25に90°ごとに合計4個配設された軸受部25aに、それぞれ先端部を下方へ突出させた状態で挿着されている。各回転軸24bの下方に突出した先端部には、それぞれスプロケット26が固着されている。各スプロケット26には、一連にタイミングチェーン27が水平状態で架け渡されている。これらの4個のスプロケット26とタイミングチェーン27とは、4個の偏心アーム24が同期して円運動を行うように、4本の回転軸24bを同時に回転させる。
したがって、円運動用モータ29を起動すれば、その回転力は、ギヤ30,28および長尺な回転軸24bに固着されたスプロケット26を介してタイミングチェーン27に伝達され、タイミングチェーン27が周転することで、他の3個のスプロケット26を介して、4個の偏心アーム24が同期して回転軸24bを中心に水平面内で回転する。これにより、各偏心軸24aに一括して連結されたキャリアホルダ20、ひいてはこのホルダ20に保持されたキャリアプレート110が、このプレート110に平行な水平面内で、自転をともなわない円運動を行う。
この距離Lは、偏心軸24aと回転軸24bとの距離と同じである。この自転を伴わない円運動により、キャリアプレート110上の全ての点は、同じ大きさ(半径r)の小円の軌跡を描く。これにより、キャリアプレート110に形成されたウェーハ収納部11aに収納されたシリコンウェーハ11が、両研磨定盤120,130の回転方向を反対とし、研磨定盤120,130の回転速度、研磨圧、研磨時間などを調整して、研磨量が片面6μm(両面12μm)となるように両面同時鏡面研磨を施した。この両面研磨時、両研磨布15には、pHが10.5%のアミン水溶液(アルカリ性水溶液)にヒドロキシエチルセルロース(水溶性高分子)が100ppm添加された砥粒を含まない研磨液を使用した。
鏡面研磨されたシリコンウェーハ11には、洗浄工程が施される。ここでは、各シリコンウェーハ11に対して、アルカリ溶液と酸溶液とを使用したSC1洗浄が行われる。
図4に示すように、気相エピタキシャル成長装置60は、上下にヒータが配設されたチャンバの中央部に、平面視して円形で、シリコンウェーハ11が1枚載置できるサセプタ61が水平配置されたものである。サセプタ61は、カーボン製の基材をSiCによりコーティングしたものである。
サセプタ61の上面の内周部には、シリコンウェーハ11を横置き状態(表裏面が水平な状態)で収納する凹形状のザグリ(ウェーハ収納部)62が形成されている。ザグリ62は、周壁62aと、幅6mmの平面視して環状の段差62bと、底板(ザグリの底壁面)62cとからなる。
チャンバの一側部には、チャンバの上部空間に、所定のキャリアガス(H2ガス)と所定のソースガス(SiHCl3ガス)とを、ウェーハ表面に対して平行に流すガス供給口が配設されている。また、チャンバの他側部には、ガスの排気口が形成されている。
最終洗浄工程では、外観検査直後の各エピタキシャルシリコンウェーハ10が最終洗浄される。具体的には、各エピタキシャルシリコンウェーハ10に対して、アルカリ溶液と酸溶液とを使用した洗浄が行われる。
図5から明らかなように、砥粒を含む研磨液を使用した従来例では、C+mode占有率は30%未満であるのに対して、砥粒を含まないアルカリ性水溶液に水溶性高分子が添加された研磨液を使用した本発明例では、C+mode占有率は99.7%であった。
図6および図7から明らかなように、砥粒を含まない研磨液を使用した本発明法の方が、砥粒を含む研磨液を使用した従来法に比べて、シリコンウェーハの鏡面研磨面のLPDの発生数およびこの鏡面研磨面に成膜されたエピタキシャル膜の表面のLPDの発生数は減少した。なお、図6の本発明例のシリコンウェーハ(PW)のLPD評価結果において、僅かながらもLPDが観察されたが、先の実験結果で示したように、このシリコンウェーハ(PW)の酸化膜耐圧特性(TZDB測定によるC+mode占有率)はほぼ100%(図5)であることから、図6で観察されたLPDは加工ダメージなどの加工起因のLPDではなく、パーティクルである考えられる。仮に加工起因のLPDであったとしても、C+mode占有率に影響を与えない非常にサイズの小さな加工ダメージであると特定することができ、エピタキシャル膜の表面品質に影響を与えるおそれは少ない。
一方、従来法の砥粒を含む研磨液を使用して1次鏡面研磨されたシリコンウェーハの表面において、10μm×10μmの測定面積域の面粗さは、RMS表示で0.458nm(図9のPW)であった。また、エピタキシャルシリコンウェーハの表面の同一測定面積域の面粗さは、RMS表示で0.132nmであった(図9のEW)。
図8および図9から明らかなように、砥粒を含まない研磨液を使用した本発明法の方が、砥粒を含む研磨液を使用した従来法に比べて、シリコンウェーハの鏡面研磨面およびこの鏡面研磨面に成膜されたエピタキシャル膜の表面の面粗さが改善(低減)されたことが判明した。
一方、従来法の砥粒を含む研磨液を使用して1次鏡面研磨されたシリコンウェーハの表面において、1μm×1μmの測定面積域の面粗さは、RMS表示で0.311nm(図11のPW)であった。また、エピタキシャルシリコンウェーハの表面の同一測定面積域の面粗さは、RMS表示で0.103nmであった(図11のEW)。
図10および図11から明らかなように、本発明法の方が従来法に比べて、シリコンウェーハの鏡面研磨面およびエピタキシャル膜の表面の面粗さを低減することができた。
11 シリコンウェーハ。
Claims (5)
- 砥粒を含まないアルカリ性水溶液に水溶性高分子が添加された研磨液を用いて、シリコンウェーハの表面を鏡面研磨し、
該鏡面研磨後、前記シリコンウェーハの鏡面化された表面にエピタキシャル膜を気相成長させるエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。 - 前記鏡面研磨後、前記シリコンウェーハの酸化膜耐圧特性評価においてTZDB測定によるC+mode占有率が99%以上である請求項1に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
- 前記鏡面研磨後、前記シリコンウェーハの表面の面粗さは、原子間力顕微鏡により10μm×10μmの測定面積域を測定した際、RMS表示で0.3nm以下である請求項1または請求項2に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
- 前記アルカリ性水溶液は、pH8〜pH14の範囲内に調整されたアルカリ性水溶液であって、pH調整剤として塩基性アンモニア塩、塩基性カリウム塩、塩基性ナトリウム塩の何れかが添加されたアルカリ性水溶液もしくは炭酸アルカリ性水溶液、あるいはヒドラジンもしくはアミンが添加されたアルカリ性水溶液である請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
- 前記アルカリ性水溶液に添加される前記水溶性高分子は、ヒドロキシエチルセルロースまたはポリエチレングリコールである請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
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