JP2011044605A - 有機電界発光素子及び表示媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】4,4’−ビスカルバゾリルビフェニルを用いた有機電界発光素子に比べ、素子寿命の長い有機電界発光素子を提供すること。
【解決手段】陽極及び陰極よりなる一対の電極と、前記一対の電極間に設けられた、少なくとも下記一般式(I)で表される化合物を含有する有機発光層と、を備える有機電界発光素子。一般式(I)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Aは芳香族複素六員環を形成するための少なくとも1個の窒素原子を含む複素環残基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。

【選択図】なし

Description

本発明は、有機電界発光素子及び表示媒体に関する。
電界発光素子は、自発光性の全固体素子であり、視認性が高く衝撃にも強いため、広く応用が期待されている。現在は無機蛍光体を用いたものが主流であって、広く使用されていた。
一方、有機化合物を用いた電界発光素子研究は、最初アントラセン等の単結晶を用いて始まり、蒸着法による薄膜化が試みられている(例えば、非特許文献1参照)。この素子の発光は、電極の一方から電子が注入され、もう一方の電極から正孔が注入されることにより、素子中の発光材料が高いエネルギー準位に励起され、励起された発光体が基底状態に戻る際の余分なエネルギーを光として放出する現象である。
また、1987年にTangらにより、機能分離型の有機電界発光素子が報告された(例えば、非特許文献2及び特許文献1参照)。この素子は、正孔輸送性有機低分子化合物と電子輸送能を持つ蛍光性有機低分子化合物とを、真空蒸着法により極めて薄い薄膜として透明基板上に順次積層するものである。この機能分離型の有機電界発光素子は、10V程度の低電圧で1000cd/m以上の高輝度が得られると報告されている。以来、有機電界発光素子の研究・開発が活発に行われている。
積層構造の電界発光素子は、有機発光体と電荷輸送性の有機物(電荷輸送材料)を電極に積層した構造であり、それぞれの正孔と電子が電荷輸送材料中を移動して、再結合して励起子を生成させ、この励起子が失活することにより発光する。
有機発光体としては8−キノリノールアルミニウム錯体やクマリン化合物など蛍光を発する有機色素などが用いられる。また、電荷輸送材料としては、N,N−ジ(m−トリル)N,N’−ジフェニルベンジジンや1,1−ビス[N,N−ジ(p−トリル)アミノフェニル]シクロヘキサンといったジアミノ化合物や、4−(N,N−ジフェニル)アミノベンズアルデヒドーN,N−ジフェニルヒドラゾン化合物等が挙げられる。
また、従来、有機電界発光素子は蛍光発光を利用してきたが、素子の発光効率を向上させるために、りん光発光を用いることが検討されている。
例えば、オルトメタル化イリジウム錯体(Ir(ppy)3:Tris-Ortho-Metalated Complex of Iridium(III) with 2-Phenylpyridine)からの発光を利用した有機電界発光素子が提案されている(特許文献2参照)。
これらに記載のりん光発光を利用した有機電界発光素子には、電荷輸送材料としてのホスト材料としてカルバゾール誘導体CBP(4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル)が用いられている(非特許文献3及び特許文献3参照)。
特開昭59−194393号公報 特開2001−247859号公報 国際公開第03/080760号パンフレット
Thin Solid Films,94,171(1982) Appl.Phys.Lett., 51,913(1987) Appl.Phys.Lett., 75,4(1999)
本発明の課題は、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニルを用いた有機電界発光素子に比べ、素子寿命が長い有機電界発光素子を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
陽極及び陰極よりなる一対の電極と、
前記一対の電極間に設けられた、少なくとも下記一般式(I)で表される化合物を含有する有機発光層と、
を備える有機電界発光素子である。
一般式(I)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Aは芳香族複素六員環を形成するための少なくとも1個の窒素原子を含む複素環残基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。
請求項2に係る発明は、
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(III)で表される化合物である請求項1に記載の有機電界発光素子である。
一般式(III)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Rは水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換若しくは未置換の炭素数6以上10以下のアリール基、又は置換若しくは未置換の炭素数6以上10以下のアリールオキシ基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。
請求項3に係る発明は、
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である請求項1に記載有機電界発光素子である。
一般式(II)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。
請求項4に係る発明は、
マトリックス状及びセグメント状の少なくとも一方で配列した、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子と、
前記有機電界発光素子を駆動する駆動手段と、
を備える表示媒体である。
請求項1に係る発明によれば、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニルを用いた有機電界発光素子に比べ、素子寿命の長い有機電界発光素子が提供される。
請求項2に係る発明によれば、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニルを用いた有機電界発光素子に比べ、素子寿命の長い有機電界発光素子が提供される。
請求項3に係る発明によれば、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニルを用いた有機電界発光素子に比べ、素子寿命の長い有機電界発光素子が提供される。
請求項4に係る発明によれば、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニルを用いた表示媒体に比べ、素子寿命の長い表示媒体が提供される。
本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示した概略構成図である。 本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示した概略構成図である。 本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示した概略構成図である。 本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示した概略構成図である。
まず、本実施形態の有機電界発光素子について詳細に説明する。
本実施形態の有機電界発光素子は、陽極及び陰極よりなる一対の電極と、前記一対の電極間に設けられた、少なくとも下記一般式(I)で表される化合物を含有する有機発光層と、を備える。
一般式(I)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Aは芳香族複素六員環を形成するための少なくとも1個の窒素原子を含む複素環残基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。
一般式(I)において、Rで表されるアルキル基は、炭素数が1以上20以下である。有機溶媒への溶解性の観点から、Rで表されるアルキル基の炭素数は、1以上12以下であることがより好ましく、4以上8以下であることが更に好ましい。
で表されるアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、有機溶媒への溶解性の観点からは直鎖アルキル基であることが好ましい。
で表されるアルキル基は置換基を有していてもよいが、正孔輸送能を有し且つ溶解性を高める観点からは、未置換アルキル基であることが好適である。
一般式(I)において、Rで表されるアルコキシ基は、炭素数が1以上20以下である。有機溶媒への溶解性の観点から、Rで表されるアルコキシ基の炭素数は、11以上12以下であることがより好ましく、4以上8以下であることが更に好ましい。
で表されるアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、有機溶媒への溶解性の観点から、直鎖アルコキシ基であることが好ましい。
で表されるアルコキシ基は、置換基を有していてもよいが、未置換アルコキシ基であることが、溶解性、結晶性、正孔輸送性等の観点から好適である。
これらのなかでも、一般式(I)におけるRは、水素原子又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基であることがより好ましく、未置換の炭素数1以上12以下のアルキル基であることが更に好ましく、未置換の炭素数4以上8以下の直鎖アルキル基であることが更に好ましい。
一般式(I)におけるRの置換位置は、ベンゼン環上、チオフェン環(1位)に対して、3位又は4位であることが正孔輸送能の観点で好ましく、4位であることがより好ましい。
一般式(I)において、nは1以上3以下の整数を表し、1又は2であることが好ましい。
一般式(I)において、Aは芳香族複素六員環を形成するための少なくとも1個の窒素原子を含む複素環残基を表す。Aによって形成される芳香族複素六員環は、トリアジン、トリアジン誘導体、ピラジン、又はピラジン誘導体であることが、電荷輸送能の発揮の観点から好適である。
したがって、一般式(I)で表される化合物は、特に下記一般式(II)で表されるピラジン誘導体及び下記一般式(III)で表されるトリアジン誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(II)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、nは各々独立に、1〜3の整数を表す。
一般式(II)におけるR及びnは、一般式(I)におけるR及びnとそれぞれ同義であり、好適な範囲も同様である。
一般式(II)で表されるピラジン誘導体は、ピラジン環の2位と6位にチオフェン基が導入されている。このような構造の一般式(II)で表されるピラジン誘導体は、有機溶媒に対する溶解性に優れ、成膜性が向上する。そのなかでもRが炭素数1以上12以下のアルキル基の場合には有機溶媒に対する溶解性が更に優れ、また未置換のアルキル基の場合には正孔輸送材料として好適である。
また、ピラジン環の2位と6位にチオフェン基が導入された一般式(II)で表されるピラジン誘導体は、薄膜化したときの分子配向性の点でも優れている。
一般式(III)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Rは水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換若しくは未置換の炭素数6以上10以下のアリール基、又は置換若しくは未置換の炭素数6以上10以下のアリールオキシ基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。
一般式(III)におけるR及びnは、一般式(I)におけるR及びnとそれぞれ同義であり、好適な範囲も同様である。
一般式(III)において、Rで表されるアルキル基は、炭素数が1以上10以下である。有機溶媒への溶解性の観点から、Rで表されるアルキル基の炭素数は、1以上4以下であることがより好ましい。
で表されるアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、有機溶媒への溶解性の観点からは直鎖アルキル基であることが好ましい。
で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよいが、未置換アルキル基であることが有機溶媒への溶解性の観点から好適である。
一般式(III)において、Rで表されるアルコキシ基は、炭素数が1以上20以下である。有機溶媒への溶解性の観点から、Rで表されるアルコキシ基の炭素数は、炭素数が1以上10以下であることが好ましく、1以上4以下であることがより好ましく、メトキシ基が更に好ましい。
で表されるアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、有機溶媒への溶解性の観点からは直鎖アルコキシ基であることが好ましい。
で表されるアルコキシ基は、置換基を有していてもよいが、未置換アルコキシ基であることが有機溶媒への溶解性の観点から好適である。
一般式(III)において、Rで表されるアリール基は、炭素数が6以上10以下である。有機溶媒への溶解性の観点から、Rで表されるアリール基は、フェニル基であることがより好ましい。
で表されるアリール基の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子などが挙げられ、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましい。
一般式(III)において、Rで表されるアリールオキシ基は、炭素数が6以上10以下である。有機溶媒への溶解性の観点から、Rで表されるアリールオキシ基は、フェノキシ基であることがより好ましい。
で表されるアリールオキシ基の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子などが挙げられ、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましい。
これらのなかでも、一般式(III)におけるRは、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基であることが好ましく、未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基であることがより好ましく、未置換の炭素数1以上10以下のアルコキシ基であることが更に好ましく、未置換の炭素数1以上4以下の直鎖アルコキシ基であることが更に好ましく、メトキシ基であることが更に好ましい。
一般式(III)で表されるトリアジン誘導体は、トリアジン環の2位と6位にチオフェン基が導入されている。このような構造の一般式(III)で表される化合物は、トリアジン環の2位、4位、6位にチオフェン基が導入された化合物に比べて、有機溶媒に対する溶解性に優れ、塗布法などによる電子部材の製造において有益である。
一般式(III)で表されるトリアジン誘導体のなかでも、Rが炭素数1以上12以下のアルキル基の場合には、更に有機溶媒に対する溶解性に優れる。
また、一般式(III)で表されるトリアジン誘導体は、チオフェン環にフェニル基が置換している。このような構造とすることで、正孔輸送性に優れる。
一般式(I)で表される化合物の具体例として、一般式(II)で表されるピラジン誘導体の具体例を下記表1に、一般式(III)で示されるトリアジジン誘導体の具体例を下記表2示す。なお、本発明は下記具体例に限定されない。
次に、本実施形態の有機電界発光素子の構成について詳述する。
本実施形態の有機電界発光素子は、陽極及び陰極よりなる一対の電極と、それら電極間に設けられた一つまたは複数の有機化合物層より構成され、該有機化合物層の少なくとも一層に上記に説明した一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含有してなるものであればその層構成は特に限定されない。
本実施形態の有機電界発光素子においては、有機化合物層が1つの場合は、有機化合物層は電荷輸送能を持つ発光層を意味し、該発光層が前記一般式(I)で表される化合物を含有してなる。一方、有機化合物層が複数の場合(即ち、各層が異なる機能を有する機能分離型の場合)は、少なくともいずれか一層が発光層であり、この発光層は電荷輸送能を持つ発光層であってもよい。この場合、前記発光層あるいは前記電荷輸送能を持つ発光層と、その他の層からなる層構成の具体例としては、下記(1)乃至(3)が挙げられる。
(1)発光層と、電子輸送層及び電子注入層の少なくともいずれかの層と、から構成される層構成。
(2)正孔輸送層及び正孔注入層の少なくともいずれかの層と、発光層と、電子輸送層及び電子注入層の少なくともいずれかの層と、から構成される層構成。
(3)正孔輸送層及び正孔注入層の少なくともいずれかの層と、発光層と、から形成される層構成。
これら層構成(1)乃至(3)の発光層及び電荷輸送能を持つ発光層以外の層は、電荷輸送層や電荷注入層としての機能を有する。
なお、層構成(1)乃至(3)のいずれの層構成においても、いずれか一層に前記一般式(I)で表される化合物が含まれていればよい。好適には、正孔輸送材料として前記一般式(I)で表される化合物が含まれていることが、素子のキャリアバランス、素子寿命等の観点から望ましい。
また、本実施形態の有機電界発光素子において、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層は、前記一般式(I)で表される化合物以外の電荷輸送性化合物(正孔輸送材料、電子輸送材料)を更に含んでもよい。該電荷輸送性化合物の詳細については後述する。
以下、図面を参照しつつ、より詳細に説明するが、本実施形態の有機電界発光素子はこれらに限定されるわけではない。
図1乃至図4は、本実施形態の有機電界発光素子の層構成を説明するための模式的断面図であって、図1、図2、図3の場合は、有機化合物層が複数の場合の一例であり、図4の場合は、有機化合物層が1つの場合の例を示す。なお、図1乃至図4において、同一の機能を有するものは同じ符号を付して説明する。
図1に示す有機電界発光素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、発光層4、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5並びに背面電極7が順次積層されたもので、層構成(1)に相当するものである。但し、符号5で示される層が、電子輸送層及び電子注入層から構成される場合には、発光層4の背面電極7側に、電子輸送層、電子注入層、背面電極7がこの順に積層される。
また、発光層4は電荷輸送能を持つ発光層6であってもよい。つまり、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、電荷輸送能を持つ発光層6、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5、及び背面電極7を順次積層したものであってもよい。
図2に示す有機電界発光素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3、発光層4、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5並びに背面電極7が順次積層されたもので、層構成(2)に相当するものである。但し、符号3で示される層が、正孔輸送層及び正孔注入層から構成される場合には、透明電極2の背面電極7側に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層4がこの順に積層される。また、符号5で示される層が、電子輸送層及び電子注入層から構成される場合には、発光層4の背面電極7側に、電子輸送層、電子注入層、背面電極7がこの順に積層される。
また、発光層4は電荷輸送能を持つ発光層6であってもよい。つまり、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3、電荷輸送能を持つ発光層6、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5、及び背面電極7を順次積層したものであってもよい。
図3に示す有機電界発光素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3、発光層4並びに背面電極7が順次積層されたもので、層構成(3)に相当するものである。但し、符号3で示される層が、正孔輸送層及び正孔注入層から構成される場合には、透明電極2の背面電極7側に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層4がこの順に積層される。
また、発光層4は電荷輸送能を持つ発光層6であってもよい。つまり、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3、電荷輸送能を持つ発光層6、及び背面電極7を順次積層したものであってもよい。
図4に示す有機電界発光素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、電荷輸送能を持つ発光層6及び背面電極7が順次積層されたものである。
また、トップエミッション構造や陰極・陽極共に透明電極を用いて透過型にする場合、さらには図1乃至図4の層構成を複数段積重ねた構造とすることも可能である。
以下、各々を詳しく説明する。
本実施形態における前記一般式(I)で表される化合物は、含有される有機化合物層の機能によって、正孔輸送能、電子輸送能のいずれの機能をも付与される。
例えば、本発明の含窒素複素環化合物は、図1に示される有機電界発光素子の層構成の場合、発光層4及び電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5のいずれに含有されてもよく、発光層4及び電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5としていずれも作用し得る。
また、図2に示される有機電界発光素子の層構成の場合、一般式(I)で表される化合物は、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくともいずれかの層3、発光層4及び電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5のいずれに含有されてもよく、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3、発光層4及び電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5としていずれも作用し得る。
また、図3に示される有機電界発光素子の層構成の場合、一般式(I)で表される化合物は、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3及び発光層4のいずれに含有されてもよく、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3及び発光層4としていずれも作用し得る。
さらに、図4に示される有機電界発光素子の層構成の場合、電荷輸送能を持つ発光層6に含有され、電荷輸送能を持つ発光層6として作用し得る。
図1乃至図4に示される有機電界発光素子の層構成の場合、透明絶縁体基板1は、発光を取り出すため透明なものが好ましく、ガラス、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等のプラスチックフィルム等が用いられるがこれに限られるものではない。プラスチック基板を用いる場合は、ガスバリア層を設けても良い。なお、上記透明とは、可視領域の光の透過率が10%以上であることを意味し、更に透過率が75%以上であることが好ましい。以下これに準ずる。
また、透明電極2は、透明絶縁体基板に準じて発光を取り出すための透明または半透明であって、且つ正孔の注入を行うため仕事関数の大きなものが好ましく、仕事関数が4eV以上のものが好ましい。なお、前記半透明とは、可視領域の光の透過率が70%以上であることを意味し、更に透過率が80%以上であることが好ましい。以下これに準ずる。
透明電極2には、具体例には、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の酸化膜、及び蒸着或いはスパッタされた金、白金、パラジウム、ポリピロール、ポリアニリン等が用いられるが、これに限られるものではない。
透明電極2のシート抵抗は、低いほどが望ましく、数百Ω/□以下が好ましく、さらには100Ω/□以下がより好ましい。また、透明絶縁体基板に準じて、透明電極2における可視領域の光の透過率が10%以上で、更に透過率が75%以上であることが好ましい。
図1乃至図3に示される有機電界発光素子の層構成の場合、電子輸送層や正孔輸送層等は、目的に応じた機能(電子輸送能、正孔輸送能)が付与された前記一般式(I)で表される化合物単独で形成されていてもよい。
更に、例えば正孔移動度を調節するため、前記一般式(I)で表される化合物以外の正孔輸送材料を、層を構成する材料全体に対して0.1質量%乃至50質量%の範囲で混合分散して形成されてもよいし、互いに層を形成してもよい。
前記正孔輸送材料としては、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニレンジアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、スピロフルオレン誘導体、アリールヒドラゾン誘導体、ポルフィリン系化合物が挙げられる。
これらの中では、非晶質性、可視光の透過率が高いことから、テトラフェニレンジアミン誘導体、スピロフルオレン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、フタロシアニン誘導体が好ましい。
特に正孔輸送材料としては、芳香族三級アミン化合物が好ましい。芳香族三級アミン化合物の種類は特に限定しないが、平滑性、非晶質性の観点から、重量平均分子量が10,000以上1,000,000以下の高分子化合物が好ましい。
好ましい芳香族三級アミン化合物の高分子としては、下記一般式(III−1)および(III−2)で示される高分子化合物が上げられる。
前記一般式(III−1)及び(III−2)中、Aは下記一般式(IV−1)及び(IV−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、Rは置換もしくは未置換の芳香環数2乃至10の1価の多核芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の芳香環数2乃至10の1価の縮合芳香族炭化水素基、炭素数1乃至6の1価の直鎖状炭化水素基、炭素数2乃至10の1価の分枝鎖状炭化水素基、ヒドロキシル基を表す。Yは2価のアルコール残基を表し、Zは2価のカルボン酸残基を表し、mは1乃至5の整数を表し、pは5乃至5000の整数を表す。また、B及びB’は、−O−(Y−O)−H、または−O−(Y−O)−CO−Z−CO−ORで表される基(ただし、Y、Z、mは上記と同義である。Rは水素原子、アルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換のアラルキル基を表す)を表す。
前記一般式(IV−1)及び(IV−2)中、Arは、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換の芳香環数2乃至10の1価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2乃至10の1価の縮合芳香族炭化水素、又は置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環を表し、Xは、置換もしくは未置換のフェニレン基、置換もしくは未置換の芳香環数2乃至10の2価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2乃至10の2価の縮合芳香族炭化水素、又は置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環を表し、jは0又は1を表し、Tは炭素数1乃至6の2価の直鎖状炭化水素基または炭素数2乃至10の2価の分枝鎖状炭化水素基を表す。
また、電子移動度を調整する場合は、層を構成する材料全体に対して電子輸送材料を0.1質量%から50質量%の範囲で混合分散して形成されてもよい。
前記電子輸送材料として、オキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、シロール誘導体、キレート型有機金属錯体、多核または縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、トリアゾール誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等が挙げられる。
また、正孔移動度及び電子移動度の両方の調整が必要な場合は、前記前記電荷輸送材料に前記正孔輸送材料及び電子輸送材料の両方を一緒に混在させてもよい。
さらに、成膜性の向上、ピンホール防止等のため、適切な樹脂(ポリマー)、添加剤を加えてもよい。具体的な樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリススチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレンブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリシラン樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂等が用いられる。また、添加剤としては、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等が用いられる。
また、電荷注入性を向上させる場合は、正孔注入層や電子注入層を用いてもよい。
この正孔注入材料としては、トリフェニルアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、フタロシアニン誘導体、インダンスレン誘導体、ポリアルキレンジオキシチオフェン誘導体(Adv.Mater.,12,481(2000))等が用いられる。このような化合物のうちいずれか1種を単独で含有してもよく、2種以上含有してもよい。また、これらには、ルイス酸、スルホン酸等を混合してもよい。
電子注入材料としては、Li、Ca、Ba、Sr、Ag、Au等の金属、LiF、MgF等の金属フッ化物、MgO、Al、LiO等の金属酸化物が用いられる。
また、前記一般式(I)で表される化合物を発光機能以外で用いる場合は、発光性化合物を発光材料として用いる。発光材料としては、固体状態で高い発光量子効率を示す化合物を用いる。発光材料は、低分子化合物または高分子化合物どちらでもよい。
発光材料が有機低分子の場合の好適な例としては、キレート型有機金属錯体、多核または縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。
発光材料が高分子の場合の好適な例としては、ポリパラフェニレン誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアセチレン誘導体等が挙げられる。
発光材料の好適な具体例として、下記の化合物(X−1)〜(X−17)が用いられるが、これらに限定されたものではない。
なお、上記構造式(X−13)乃至(X−17)中、Vは前記Xと同義の2価の有機基、n及びgはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
また、有機電界発光素子の耐久性向上あるいは発光効率向上を目的として、上記発光材料又は前記一般式(I)で表される化合物中にゲスト材料として蛍光発光材料をドーピングしてもよい。
該蛍光発光材料のドーピングの割合としては、対象となる層の0.001質量%乃至40質量%、好適には0.01質量%乃至10質量%である。
このドーピングに用いられる材料としては、蛍光発光材料との相容性が良く、かつ発光層の良好な薄膜形成を妨げない有機化合物が用いられ、好適にはクマリン誘導体、DCM誘導体、キナクリドン誘導体、ペリミドン誘導体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ルブレン誘導体、ポルフィリン誘導体、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスニウム、イリジウム、白金、および金などの金属錯体化合物等が用いられる。
また、ゲスト材料として蛍光発光材料の代わりに燐光発光材料を用いてもよい。燐光発光材料としては、例えば、周期表7族乃至11族から選ばれる遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体が挙げられる。
周期表7ないし11族から選ばれる遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、金及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金である。
ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer-Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、ハロゲン配位子、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリン等)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトン等)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子等)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよい。また、2つ以上有する複核錯体であってもよい。異種の金属原子をともに含有していてもよい。
これらは発光材料としての好適な具体例としては、下記の化合物(XI−1)乃至(XI−6)が用いられるが、これらに限定されるものではない。
また、発光層4は、前記発光材料単独で形成されていてもよいが、電気特性及び発光特性をさらに改善する等の目的で、前記発光材料に前記一般式(I)で表される化合物を1質量%以上50質量%以下の範囲で混合・分散して形成させてもよい。
もしくは前記発光材料中に、前記電荷輸送材料以外の電荷輸送性材料を1質量%以上50質量%以下の範囲で混合・分散して形成させてもよい。
また、前記電荷輸送材料が発光特性も兼ね備えたものである場合、発光材料として用いてもよく、その場合、電気特性及び発光特性をさらに改善する等の目的で、前記一般式(I)で表される化合物以外の電荷輸送性材料を1質量%以上50質量%以下の範囲で混合分散して形成させてもよい。
図4に示される有機電界発光素子の層構成の場合、電荷輸送能を持つ発光層6は、目的に応じて機能(正孔輸送能、あるいは電子輸送能)が付与された前記一般式(I)で表される化合物中に、発光材料(好適には、前記発光材料(X−1)乃至(X−17)から選ばれる少なくとも1種)を1質量%以上50質量%以下で分散させた有機化合物層である。
更に、有機電界発光素子に注入される正孔と電子のバランスを調節するために前記一般式(I)で表される化合物以外の電荷輸送材料を10質量%以上50質量%以下分散させてもよい。
前記電荷輸送材料としては、電子移動度を調節する場合、電子輸送材料として8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体等の金属錯体、シロール誘導体、キノクサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニデンメタン誘導体等が挙げられる。
図1乃至図4に示される有機電界発光素子の層構成の場合、背面電極7には、真空蒸着可能で、電子注入を行うため仕事関数の小さな金属、金属酸化物、金属フッ化物等が使用される。
前記金属としてはマグネシウム、アルミニウム、金、銀、インジウム、リチウム、カルシウムおよびこれらの合金が挙げられる。金属酸化物としては、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化スズインジウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛等が挙げられる。また、金属フッ化物としては、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウムが挙げられる。
また、背面電極7上には、さらに素子の水分や酸素による劣化を防ぐために保護層を設けてもよい。具体的な保護層の材料としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Alなどの金属、MgO、SiO、TiO等の金属酸化物、ポリエチレン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層の形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ重合法、CVD(化学気相成長 (Chemical Vapor Deposition))法、コーティング法が適用される。
これら図1乃至図4に示される有機電界発光素子は、まず透明電極2の上に各有機電界発光素子の層構成に応じた個々の層を順次形成することにより作製される。なお、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3、発光層4、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5、或いは、電荷輸送能を持つ発光層6は、上記各材料を真空蒸着法、もしくは、適切な有機溶媒に溶解或いは分散し、得られた塗布液を用いて前記透明電極上にスピンコーティング法、キャスト法、ディップ法、インクジェット法等により形成される。
本実施形態における一般式(I)で表される化合物は、上記各層の形成しやすさ、素子としての安定性等を考慮すると、図2、図4に示される構成の有機電界発光素子に用いられることが望ましい。
特に、本実施形態に係る一般式(I)で表される化合物を用いた図2に示す構成の有機電界発光素子では、層構成により機能が分担されエネルギー効率が向上する。
正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3、発光層4、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5、並びに、電荷輸送能を持つ発光層6の膜厚は、各々10μm以下、特に0.001μm以上5μm以下の範囲であることが好ましい。
上記各材料(前記非共役系高分子、発光材料等)の分散状態は分子分散状態でも微結晶などの粒子状態でも構わない。塗布液を用いた成膜法の場合、分子分散状態とするために分散溶媒は上記各材料の分散性及び溶解性を考慮して選択する。粒子状に分散するためには、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、アトライター、ホモジナイザー、超音波法等が利用される。
そして最後に、図1及び図2に示す有機電界発光素子の場合には、電子輸送層及び電子注入層の少なくともいずれかの層5の上に背面電極7を真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することにより、本実施形態の有機電界発光素子が得られる。また、図3に示す有機電界発光素子の場合には、発光層4の上に、図4に示す有機電界発光素子の場合には、電荷輸送能を持つ発光層6の上に背面電極7を真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することにより本実施形態の有機電界発光素子が得られる。
<表示媒体>
本実施形態の表示媒体は、マトリックス状及びセグメント状の少なくとも一方で配列した上記有機電界発光素子と、この有機電界発光素子を駆動する駆動手段と、を備える。
表示装置として具体的には例えば、図1〜図4に示すように、有機電界発光素子の一対の電極(電極2、背面電極7)に連結され、当該一対の電極間に直流電圧を印加するための電圧印加装置9を、駆動手段として備えたものが挙げられる。
電圧印加装置9を用いた有機電界発光素子の駆動方法としては、例えば、一対の電極間に、4V以上20V以下で、電流密度1mA/cm以上200mA/cm以下の直流電圧を印加することによって有機電界発光素子を発光させる。
本実施形態において有機電界発光素子をマトリクス状に配置する場合、電極のみをマトリクス状に配置する態様であってもよいし、電極及び有機化合物層の両方をマトリクス状に配置する態様であってもよい。また、本実施形態において有機電界発光素子をセグメント状に配置する場合、電極のみをセグメント状に配置する態様であってもよいし、電極及び有機化合物層の両方をセグメント状に配置する態様であってもよい。
前記マトリクス状またはセグメント状の有機化合物層は、例えば前述したインクジェット法を用いることにより容易に形成可能である。
マトリクス状に配置した有機電界発光素子及びセグメント状に配置した有機電界発光素子から構成される表示媒体の駆動装置及び駆動方法としては、従来公知のものが用いられる。例えば、複数の行電極及び列電極を配し、行電極を走査駆動しながら各行電極に対応する画像情報に応じて列電極を一括して駆動させる単純マトリクス駆動や、各画素に配された画素電極によるアクティブマトリックス駆動等が利用される。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
目的物の同定には、H−NMRスペクトル(H−NMR、溶媒:CDCl、VARIAN株式会社製、UNITY−300、300MHz)と、IRスペクトル(KBr錠剤法にてフーリェ変換赤外分光光度計(株式会社堀場製作所、FT−730、分解能4cm−1))を用いた。
[実施例1]
<化合物の製造>
(化合物(II−6)の合成)
2,6−ジクロロピラジン(東京化成工業(株)製)4.0g(27mmol)、2−チオフェンボロン酸(東京化成工業(株)製)7.5g(59mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(以下、Pd(PPhと記載する場合がある)(東京化成工業(株)製)0.43g(0.37mmol)をテトラヒドロフラン150mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)14.5gを水60mlに溶解した溶液を加え、窒素気流下、60℃で6時間攪拌した。
放冷後、混合物を水500ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄し、減圧乾燥後、トルエンに溶解し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により不純物を除去、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,6−ビス(2’−チエニル)ピラジン3.3g(理論収量の50%)を得た。
上記で得られた2,6−ビス(2’−チエニル)ピラジン3.0g(12mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド80mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド(以下NBSと記載する場合がある)(和光純薬工業(株)製)5.5g(31mmol)を加え、窒素気流下、80℃で5時間攪拌した。
放冷後、混合物を水500ml中に注ぎ、析出した沈殿を濾取、水で洗浄し、減圧乾燥後、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,6−ビス(5’−ブロモ−2’−チエニル)ピラジン2.45g(理論収量の49%)を得た。
上記で得られた2,6−ビス(5'−ブロモ−2'−チエニル)ピラジン0.52g(1.3mmol)、4−n−ブチルベンゼンボロン酸(和光純薬工業(株)製)0.51g(2.9mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)0.017g(0.015mmol)をN−メチルピロリドン25mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)0.80g(6.8mmol)を水5mlに溶解した溶液を加え、6時間攪拌した。
放冷後、混合物を水400ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄した。これを減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、化合物(II−6)0.45g(理論収量の69%)を得た。
得られた化合物(II−6)の融点は、152℃〜152.5℃であった。
また、得られた化合物(II−6)は、赤外吸収測定、H−NMRにて同定した。
<有機電界発光素子の製造>
ガラス基板上に形成されたITO(三容真空社製)を短冊状のフォトマスクを用いてフォトリソグラフィによりパターニングし、さらにエッチング処理することにより短冊状のITO電極(幅2mm)を形成した。
次に、このITOガラス基板を中性洗剤、超純水、アセトン(電子工業用、関東化学製)及びイソプロパノール(電子工業用、関東化学製)で超音波洗浄を各5分間行った後、スピンコーターで乾燥し、更に紫外線オゾン洗浄を行った。
前記基板に、正孔輸送層として銅フタロシアニンを5nm蒸着し、次に、α‐NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン)を45nm蒸着した。
この上に、発光材料となる前記例示化合物(X−1)と前記化合物(II−6)を共に用い、8:92の比率(質量比)で35nm蒸着し発光層を形成した。更に、前記発光層の上に、前記例示化合物(X−1)を30nm蒸着した。
更にこの上に、短冊状の穴が設けられている金属性マスクを用いて、フッ化リチウムを1nm蒸着した後、アルミニウム100nmを蒸着し、背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機電界発光素子の有効面積は0.04cmであった。
[実施例2]
(化合物(II−11)の合成)
化合物(II−6)と同様にして得られた2,6−ビス(5'−ブロモ−2'−チエニル)ピラジン3.8g(9.4mmol)、2−チオフェンボロン酸(東京化成工業(株)製)2.7g(21mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)0.18g(0.16mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)5.7g(48mmol)を水30mlに溶解した溶液を加え、90〜100℃で4時間攪拌した。
放冷後、混合物を水700ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄し、減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,6−ビス(2' ,2''−ビチエニル)ピラジン1.8g(理論収量の47%)を得た。
上記で得られた2,6−ビス(2',2''−ビチオフェン−5'−イル)ピラジン1.36g(12mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド80mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド(和光純薬工業(株)製)1.33g(31mmol)を加え、窒素気流下、70℃で5時間攪拌した。放冷後、混合物を水500ml中に注ぎ、析出した沈殿を濾取、水で洗浄した。これを減圧乾燥後、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,6−ビス(5''−ブロモ−2',2''−ビチオフェン−5'−イル)ピラジン1.43g(理論収量の76%)を得た。
上記で得られた2,6−ビス(5''−ブロモ−2',2''−ビチオフェン−5'−イル)ピラジン1.0g(0.18mmol)、4−n−オクチルベンゼンボロン酸(東京化成工業(株)製)1.0g(0.44mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.076g(0.066mmol)をN−メチルピロリドン200mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)1.4g(1.2mmol)を水5mlに溶解した溶液を加え、窒素気流中、100℃で6時間攪拌した。
放冷後、混合物を水800ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄し、減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエンより再結晶して、化合物(II−11)0.23g(理論収量の16%)を得た。得られた化合物(II−11)の融点は、197.5℃〜199℃であった。
得られた化合物(II−11)は、赤外吸収測定、H−NMRにて同定した。
<有機電界発光素子の製造>
実施例1における前記(II−6)の代わりに、上記合成した化合物(II−11)を用いて有機電界発光素子を作製した。
[実施例3]
(化合物(III−7)の合成)
2,4−ジクロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン(シグマ‐アルドリッチ社製)4.0g(22mmol)、2−チオフェンボロン酸(東京化成工業(株)製)6.2g(48mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.10g(0.09mmol)をテトラヒドロフラン160mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)12.3gを水50mlに溶解した溶液を加え、窒素気流下、60℃で6時間攪拌した。
放冷後、混合物を水800ml中に注ぎ、油溶分を酢酸エチルで抽出した。これを減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により不純物を除去し、更にトルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,4−ビス(2'−チエニル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン4.55g(理論収量の74%)を得た。
上記で得られた2,4−ビス(2'−チエニル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン4.0g(9.6mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド50mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド(和光純薬工業(株)製)6.2g(35mmol)を加え、窒素気流下、80℃で5時間攪拌した。
放冷後、混合物を水800ml中に注ぎ、析出した沈殿を濾取、水で洗浄した。これを減圧乾燥後、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,4−ビス(5'−ブロモ−2'−チエニル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン2.45g(理論収量の49%)を得た。
上記で得られた2,4−ビス(5'−ブロモ−2'−チエニル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン1.03g(1.3mmol)、4−n−ブチルベンゼンボロン酸(和光純薬工業(株)製)1.0g、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)0.021g(0.018mmol)をN−メチルピロリドン60mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.0g(6.8mmol)を水15mlに溶解した溶液を加え、窒素気流中、90℃で6時間攪拌した。
放冷後、混合物を水400ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄し、減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、化合物(III−7)0.80g(理論収量の62%)を得た。得られた化合物(III−7)の融点は、140℃〜141℃であった。
得られた化合物(III−7)は、赤外吸収測定、H−NMRにて同定した。
<有機電界発光素子の製造>
実施例1における前記(II−6)の代わりに、上記合成した化合物(III−7)を用いて有機電界発光素子を作製した。
[実施例4]
(化合物(III−11)の合成)
化合物(III−7)で得られた2,4−ビス(5'−ブロモ−2'−チエニル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン1.1g(2.6mmol)、2−チオフェンボロン酸(東京化成工業(株)製)1.0g(8.0mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)0.04g(0.035mmol)をN−メチルピロリドン40mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.0g(6.8mmol)を水15mlに溶解した溶液を加え、窒素気流中、80℃で4時間攪拌した。
放冷後、混合物を水400ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄した。これを減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,4−ビス(2',2''−ビチオフェン−5'−イル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン0.78g(理論収量の71%)を得た。
上記で得られた2,4−ビス(2',2''−ビチオフェン−5'−イル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン0.76g(1.8mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド35mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド(和光純薬工業(株)製)0.68g(3.8mmol)を加え、窒素気流下、70℃で3時間攪拌した。
放冷後、混合物を水400ml中に注ぎ、析出した沈殿を濾取、水で洗浄した。これを減圧乾燥後、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,4−ビス(5''−ブロモ−2',2''−ビチオフェン−5'−イル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン0.71g(理論収量の68%)を得た。
上記で得られた2,4−ビス(5''−ブロモ−2',2''−ビチオフェン−5'−イル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン0.65g(1.1mmol)、4−n−ブチルベンゼンボロン酸(和光純薬工業(株)製)0.45g(2.5mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)0.014g(0.012mmol)をN−メチルピロリドン80mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)0.61g(5.2mmol)を水4mlに溶解した溶液を加え、90℃で6時間攪拌した。
放冷後、混合物を500ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄し、減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエンより再結晶して、化合物(III−11)0.22g(理論収量の30%)を得た。得られた化合物(III−11)の融点は、171℃〜173℃であった。
得られた化合物(III−11)は、赤外吸収スペクトル測定、H−NMRスペクトルにて同定した。
<有機電界発光素子の製造>
実施例1における前記(II−6)の代わりに、上記合成した化合物(III−11)を用いて有機電界発光素子を作製した。
[比較例1]
実施1の前記例示化合物(II−6)の代わりに、下記化合物(VII)の4,4’−ビスカルバゾリルビフェニルを用い、比較例1と同様に素子評価した。
<発光寿命の評価>
以上のように作製した有機EL素子の発光寿命の評価は、乾燥空気中、室温(25℃)において直流駆動方式(DC駆動)で初期輝度を500cd/m2とし、比較例1の素子の輝度(初期輝度L:500cd/m)が輝度L/初期輝度L=0.5となった時点の駆動時間を1.0とした場合の相対時間、及び素子の輝度が輝度L/初期輝度L=0.5となった時点での電圧上昇分(=電圧/初期駆動電圧)により評価した。結果を表3に示す。
表3から、本実施例の有機電界発光素子は、比較例1に比べて電圧上昇が抑えられ、素子寿命が長いことがわかる。
1 透明絶縁体基板
2 透明電極
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 電荷輸送能を持つ発光層
7 背面電極

Claims (4)

  1. 陽極及び陰極よりなる一対の電極と、
    前記一対の電極間に設けられた、少なくとも下記一般式(I)で表される化合物を含有する有機発光層と、
    を備える有機電界発光素子。

    〔一般式(I)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Aは芳香族複素六員環を形成するための少なくとも1個の窒素原子を含む複素環残基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。〕
  2. 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(III)で表される化合物である請求項1に記載の有機電界発光素子。

    〔一般式(III)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Rは水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換若しくは未置換の炭素数6以上10以下のアリール基、又は置換若しくは未置換の炭素数6以上10以下のアリールオキシ基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。〕
  3. 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である請求項1に記載有機電界発光素子。

    〔一般式(II)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。〕
  4. マトリックス状及びセグメント状の少なくとも一方で配列した、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子と、
    前記有機電界発光素子を駆動する駆動手段と、
    を備える表示媒体。
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