JP2011043412A - 静電容量型加速度センサ - Google Patents

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純久 福田
Koji Sakai
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Abstract

【課題】広範囲の加速度に対して検出精度を向上した静電容量型加速度センサを提供することを課題とする。
【解決手段】第1の静電容量CAの固定電極を含む第1の固定電極基板11と、第2の静電容量CBの固定電極を含む第2の固定電極基板12と、第1の静電容量CAならびに第2の静電容量CBの可動電極を構成する可動電極基板13とを有し、可動電極基板13には、外部から与えられた加速度に応じて第1の固定電極基板11ならびに第2の固定電極基板12の方向に対して垂直方向に揺動自在に移動する重り部15が形成され、第1の固定電極基板11ならびに第2の固定電極基板12の固定電極の一部が可動電極基板13のの重り部15に対向する対向面を備え、加速度の印加により変化する第1の静電容量CAならびに第2の静電容量CBの容量値に基づいて加速度を検出することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電容量の変化として加速度を検出する静電容量型加速度センサに関する。
従来、この種の技術としては、例えば以下に示す文献に記載されたものが知られている(特許文献1参照)。この文献1に記載されたような静電容量型の加速度センサでは、静電容量の一方の電極を構成する固定電極に対して、静電容量の他方の電極を構成する可動電極に重り部を形成し、この重り部が外部から与えられる加速度により変位することで固定電極と可動電極との間の電極間距離が変化し、これにより固定電極と可動電極とで構成される静電容量が変化し、この静電容量の変化を電気的に検出して加速度を検知している。
特開2001−091534号公報
このような従来の静電容量型加速度センサにおいて、固定電極と可動電極との間の電極間距離の変化を静電容量の変化として検出し、この静電容量の変化により加速度を検出
していた。このような検出方法では、静電容量(C)と電極間距離(d)と加速度(G)との関係において、Cは1/dに比例し、Gはdに比例するので、Cは1/Gに比例することになる。このように、Cが1/Gに比例する関係においては、加速度は大きくなればなるほど非直線的な静電容量の変化は大きくなっていた。このため、センサ出力のリニアリティが悪化して、検出精度の低下を招くおそれがあった。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、広範囲な加速度に対して検出精度を向上した静電容量型加速度センサを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る静電容量型加速度センサは、静電容量の固定電極を含む固定電極基板と、静電容量の可動電極を構成する可動電極基板とを有し、可動電極基板は、外部から与えられた加速度に応じて固定電極基板の方向に対して垂直方向に揺動自在に移動する重り部が形成され、固定電極基板は、固定電極の一部が可動電極基板の重り部に対向する対向面を備え、加速度の印加により固定電極基板の固定電極と可動電極基板の重り部との対向面積の変化に応じて変化する静電容量の容量値に基づいて加速度を検出することを第1の特徴とする。
本発明に係る静電容量型加速度センサは、第1の静電容量の固定電極を含む第1の固定電極基板と、第2の静電容量の固定電極を含む第2の固定電極基板と、記第1の固定電極基板と第2の固定電極基板との間に挟まれ、第1の静電容量ならびに第2の静電容量の可動電極を構成する可動電極基板とを有し、可動電極基板には、外部から与えられた加速度に応じて第1の固定電極基板ならびに第2の固定電極基板の方向に対して垂直方向に揺動自在に移動する重り部が形成され、第1の固定電極基板ならびに第2の固定電極基板は、固定電極の一部が可動電極の重り部に対向する対向面を備え、加速度の印加により第1の固定電極基板と可動電極基板の重り部との対向面積の変化に応じて変化する第1の静電容量の容量値、ならびに加速度の印加により第2の固定電極基板と可動電極基板の重り部との対向面積の変化に応じて変化する第2の静電容量の容量値に基づいて加速度を検出することを第2の特徴とする。
本発明に係る静電容量型加速度センサは、上記第1または第2の特徴の静電容量型加速度センサにおいて、固定電極基板は、固定電極を構成する半導体基板が埋め込まれたガラス基板で形成され、ガラス基板のガラスの面積を調整制御することで、加速度が印加されていない初期状態における第1の固定電極基板の固定電極と可動電極基板の重り部ならびに第2の固定電極基板の固定電極と可動電極基板の重り部との対向面積を設定することを第3の特徴とする。
本発明に係る静電容量型加速度センサは、上記第1〜第3のいずれか1つの特徴の静電容量型加速度センサにおいて、固定電極基板と可動電極基板とは、電気的に並列接続された複数の静電容量を形成することを第4の特徴とする。
本発明に係る静電容量型加速度センサは、上記第1〜第4の特徴の静電容量型加速度センサにおいて、固定電極基板は、ガラス基板に半導体が埋め込まれた埋め込み基板で形成され、可動電極基板は、半導体基板で形成され、固定電極基板と可動電極基板とは、固定電極基板を構成するガラス基板と可動電極基板を構成する半導体基板との陽極接合により接合されていることを第5の特徴とする。
本発明に係る静電容量型加速度センサは、上記第1〜第4のいずれか1つの特徴の静電容量型加速度センサにおいて、固定電極基板の周縁部は半導体基板で形成され、可動電極基板は、半導体基板で形成され、固定電極基板の周縁部を構成する半導体基板と可動電極基板を構成する半導体基板とは、絶縁層を介して接合されていることを第6の特徴とする。
本発明に係る静電容量型加速度センサは、上記第1〜第6のいずれか1つの特徴の静電容量型加速度センサにおいて、重り部が移動する移動面に対して露出した平行面の固定電極基板ならびに可動電極基板に電極配線が接合されていることを第7の特徴とする。
本発明に係る静電容量型加速度センサは、上記第5の特徴の静電容量型加速度センサにおいて、ガラス基板には、可動電極基板に至る貫通孔が形成され、貫通孔を介して電極配線が可動電極基板に接合されていることを第8の特徴とする。
本発明に係る静電容量型加速度センサは、上記第5または第8の特徴の静電容量型加速度センサにおいて、重り部が移動する移動面に対して露出したは平行面の固定電極基板には、導電性の接合剤を介して支持基板が接合され、支持基板には、固定電極基板の電極配線が接合されていることを第9の特徴とする。
本発明に係る第1の特徴の静電容量型加速度センサでは、広範囲な加速度に対して検出精度を向上することが可能となる。
本発明に係る第2の特徴の静電容量型加速度センサでは、広範囲の加速度に対して検出精度をより一層向上することが可能となる。
本発明に係る第3の特徴の静電容量型加速度センサでは、静電容量を構成する電極間の対向面積を容易に調整することが可能となる。
本発明に係る第4の特徴の静電容量型加速度センサでは、単一の静電容量に基づいて加速度を検出する場合に比べて加速度の検出感度を向上させることができる。
本発明に係る第5の特徴の静電容量型加速度センサでは、第1の固定電極基板ならびに第2の固定電極基板と可動電極基板とを陽極接合により容易に接合することが可能となる。
本発明に係る第6の特徴の静電容量型加速度センサでは、各電極基板を構成する半導体基板を酸化処理することで形成される絶縁層を用いて各電極基板を接合することが可能となり、簡便に製造することが可能となる。
本発明に係る第7の特徴の静電容量型加速度センサでは、電極配線を接合して引き出す箇所の制約が少なくなり、電極配線を構成する自由度を高めることが可能となる。
本発明に係る第8の特徴の静電容量型加速度センサでは、可動電極基板に電極配線を容易に形成することが可能となる。
本発明に係る第9の特徴の静電容量型加速度センサでは、各電極基板に接合されるそれぞれの電極配線を同方向に引き出すことが可能となる。
本発明の実施例1〜3に係る静電容量型加速度センサの構成を示す図である。 本発明の実施例4に係る静電容量型加速度センサの静電容量の構成を示す図である。 本発明の実施例5に係る静電容量型加速度センサの構成を示す図である。 本発明の実施例6に係る静電容量型加速度センサの構成を示す図である。 本発明の実施例7に係る静電容量型加速度センサにおける電極配線の接続構成を示す図である。 本発明の実施例8に係る静電容量型加速度センサにおける電極配線の接続構成を示す図である。
以下、図面を用いて本発明を実施するための実施例を説明する。
図1は本発明の実施例1〜実施例3に係る静電容量型加速度センサの構成を示す図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、同図(c)は同図(a)のA−A線に沿った縦断面図、同図(d)は同図(b)のB−B線に沿った横断面図である。
図1に示す実施例1の静電容量型加速度センサ(以下、センサと呼ぶ)は、外部から与えられた加速度を静電容量の変化として検出するセンサとして機能し、第1の静電容量CAの固定電極を含む第1の固定電極基板11と、第2の静電容量CBの固定電極を含む第2の固定電極基板12と、第1の固定電極基板11と第2の固定電極基板12とに挟み込まれて第1の静電容量CAならびに第2の静電容量CBの可動電極を構成する可動電極基板13とを備えて構成されている。
第1の固定電極基板11は、絶縁性のガラス基板11aにシリコン等の導電性の半導体基板11bが埋め込まれた埋め込み基板で形成され、埋め込み基板に埋め込まれた半導体基板11bが固定電極11cを構成する。第2の固定電極基板12は、第1の固定電極基板11と同様に、絶縁性のガラス基板12aにシリコン等の導電性の半導体基板12bが埋め込まれた埋め込み基板で形成され、埋め込み基板に埋め込まれた半導体基板12bが固定電極12cを構成する。
可動電極基板13は、シリコン等の導電性の半導体基板で形成され、基板の略中央部には、外部から与えられた加速度により可動する可動部14が形成されている。この可動部14は、重り部15とバネ部16とで構成されている。バネ部16は、基板周縁部となるフレーム部(接合部)17と重り部15との両端をつづら折れ状に接合し、フレーム部17に対して重り部15を弾性的に揺動自在に可動支持するバネ要素とし機能する。重り部15は、外部から与えられた加速度を受けて、この加速度に応じてバネ部16の弾性作用によりフレーム部17の方向、すなわち固定電極間の方向に対して垂直方向(図1(d)では左右方向)に移動変位する。
このように、基板の略中央部に可動部14が形成された可動電極基板13は、可動部14が凹状に形成され、フレーム部17が凸状に形成され、真空またはそれに限りなく近い雰囲気下でフレーム部17の半導体基板が、第1の固定電極基板11ならびに第2の固定電極基板12の周縁部を構成するガラス基板11a、12aと陽極接合により接合されている。このときに、第1の固定電極基板11の固定電極11cと第2の固定電極基板12の固定電極12cとは非対向して配置され、第1の固定電極基板11の固定電極における第2の固定電極基板12側の一方端11dと、第2の固定電極基板12の固定電極における第1の固定電極基板11側の一方端12dとは略一致するように配置されている。
また、第1の固定電極基板11の固定電極11cにおけるの一方端11dと、可動電極基板13の重り部15の略中央部とが略一致するように配置され、第2の固定電極基板12の固定電極12cにおける一方端12dと、可動電極基板13の重り部15の略中央部とが略一致するように配置されている。
可動電極基板13は、第1の固定電極基板11と第2の固定電極基板12との間に挟まれて各基板と対向して配置され、重り部15は第1の固定電極基板11ならびに第2の固定電極基板12の固定電極と対向して配置され、加速度を受けて第1の固定電極基板11の固定電極11cならびに第2の固定電極基板12の固定電極12cに対して平行して移動変位するように配置されている。
なお、第1の固定電極基板11の固定電極11cと第2の固定電極基板12の固定電極12cとはその一部が対向するように配置されていてもよく、また重り部15の略中央部は第1の固定電極基板11の固定電極11cの一方端11dまたは第2の固定電極基板12の固定電極12cの一方端12dと一致していなくともよい。
このような各電極基板の配置構成においては、第1の固定電極基板11の固定電極11cと可動電極基板13とで第1の静電容量CAが構成され、第2の固定電極基板12の固定電極12cと可動電極基板13とで第2の静電容量CBが構成される。
この実施例1では、第1の静電容量CAを用いて加速度を検出し、以下順を追って説明する実施例2では、第2の静電容量CBを用いて加速度を検出し、実施例3では、2つの静電容量CA、CBを用いて加速度を検出している。
第1の静電容量CAにおいて、可動電極基板13の重り部15が加速度を受けて、受けた加速度に応じて電極間方向に対して垂直方向、図1(d)では左右方向に移動変位すると、可動電極基板13の重り部15と第1の固定電極基板11の固定電極11cとが対向する面積が変動する。加速度が印加されていない状態で第1の固定電極基板11の固定電極11cの一方端11dに可動電極基板13の重り部15の略中心が位置している初期状態において、重り部15が加速度を受けて例えば図1(d)の右側に移動すると、第1の固定電極基板11の固定電極11cと可動電極基板13の重り部15との対向面積は増加する。これにより、第1の静電容量CAの静電容量値Caは増加する。
一方、上記初期状態において、重り部15が加速度を受けて例えば図1(d)の左側に移動すると、第1の固定電極基板11の固定電極11cと可動電極基板13の重り部15との対向面積は減少する。これにより、第1の静電容量CAの静電容量値Caは減少する。
このように、可動電極基板13に加速度が与えられて可動部14が変動することで、第1の固定電極基板11と可動電極基板13とで構成される第1の静電容量CAの静電容量値Caが変化(増減)するので、この静電容量値Caの変化を検出することで、加速度を検出することが可能となる。すなわち、本発明にかかるこの実施例1では、加速度により静電容量を構成する電極間距離の変化を検出して加速度を検出する従来の手法に代えて、加速度により静電容量を構成する電極間の対向面積の変化を検出して加速度を検出するようにしたことを特徴としている。
一方、従来の静電容量型の加速度センサのように、静電容量の一方の電極を可動電極とし、加速度による電極間距離の変化に基づいて静電容量の変化を検出する構成では、既述したように加速度は電極間距離に比例し、かつ静電容量は電極間距離の逆数に比例する関係を用いているので、静電容量は加速度の逆数に比例する関係となる。このため、高加速度になる程多大な非直線性が生じて、センサ出力のリニアリティが悪化し、検出精度の低下を招くおそれがあった。
これに対して、この実施例1では、加速度により第1の固定電極基板11の固定電極11cと可動電極基板13の重り部15との対向面積が変化することに基づいて静電容量の変化を検出する構成を採用しているので、電極間距離に依存することなく加速度を検出することが可能となる。これにより、低加速度から高加速度に至る広範囲で入出力間の高いリニアリティを実現することが可能となり、加速度を精度良く検出することができる。
さらに、センサ個々の特性は、初期の静電容量の電極間距離の影響を受けやすいので、電極間距離の変化に基づいて静電容量の変化を検出する従来構成では、その影響が拡大されやすくなり、結果として製品毎の特性のバラツキが大きくなりやすかった。
これに対して、この実施例1では、電極間距離の変化に基づいて静電容量の変化を検出する構成は採用していないので、初期の静電容量の電極間距離の影響を受けることは回避され、製品毎の特性のバラツキを小さくすることが可能となる。
また、センサの感度を向上させるためには、静電容量の容量値を大きくする必要があるが、コストの低減、構成の小型化を図るためには静電容量の電極間距離の縮小が必要となる。しかし、従来のように加速度により電極間距離が初期値(加速度が印加されていない状態)に比べて減少する構成では、電極間距離の初期値を小さくし過ぎると、ダストやスティッキング等により動作不良を招くおそれがあった。したがって、構成の小型化の障害となっていた。
これに対して、この実施例1では、第1の固定電極基板11と可動電極基板13との間の距離が最小となる部分は、予め設定された一定の間隔を保つように形成することで、第1の固定電極基板11と可動電極基板13との間の距離が最小となる部分ではその距離は変化しない。これにより、電極間におけるダストやスティキング等が回避しやすくなり、動作不良を招くおそれを少なくすることが可能となり、かつ電極間距離を短くして構成の小型化を図ることが可能となる。
また、第1の固定電極基板11を構成する埋め込み基板のガラス基板11aの面積を調整して半導体基板11bの面積を変更することで、第1の静電容量CAの電極対向面積となる、第1の固定電極基板11の固定電極11cと可動電極基板13の重り部15との対向面積を容易に制御することが可能となる。これにより、所望の電極対向面積の静電容量を容易に構成することが可能となる。
さらに、従来構成では、一般的に可動電極と固定電極間に一定の電位差を設け、それによって静電容量に電荷をチャージし、その電荷のチャージにかかる時間に基づいて静電容量の容量値を測定していた。このような手法では、可動電極と固定電極間に設けられた電位差により静電引力が生じるので、電極間距離を変化させる要因に加速度以外の要因が加わってしまい、検出精度が低下するおそれがあった。
これに対して、この実施例1では、上記静電引力が加速度の検出に影響を与えることはないので、静電引力による検出精度の低下を回避することが可能となる。
また、第1の固定電極基板11ならびに第2の固定電極基板12と可動電極基板13とを陽極接合により接合することで、各電極基板を接合する接合部材が不要となり、構成を簡略化することができることに加えて、接合の容易化を図ることができる。
次に、本発明の実施例2について説明する。この実施例2の特徴とするところは、第2の固定電極基板12と可動電極基板13とで構成される第2の静電容量CBにおける静電容量値Cbの変化に基づいて加速度を検出するようにしたことにある。
第2の静電容量CBにおいて、可動電極基板13の重り部15が加速度を受けて、受けた加速度に応じて電極間方向に対して垂直方向、図1(d)では左右方向に移動変位すると、可動電極基板13の重り部15と第2の固定電極基板12の固定電極12cとが対向する面積が変動する。加速度が印加されていない状態で第2の固定電極基板12の固定電極12cの一方端12dに可動電極基板13の重り部15の略中心が位置している初期状態において、重り部15が加速度を受けて例えば図1(d)の左側に移動すると、第2の固定電極基板12の固定電極12cと可動電極基板13の重り部15との対向面積は増加する。これにより、第2の静電容量CBの静電容量値Cbは増加する。
一方、上記初期状態において、重り部15が加速度を受けて例えば図1(d)の右側に移動すると、第2の固定電極基板12の固定電極12cと可動電極基板13の重り部15との対向面積は減少する。これにより、第2の静電容量CBの静電容量値Cbは減少する。
このように、可動電極基板13に加速度が与えられて可動部14が変動することで、第2の固定電極基板12の固定電極12cと可動電極基板13の重り部15とで構成される第2の静電容量CBの静電容量値Cbが変化(増減)するので、この静電容量値Cbの変化を検出することで、加速度を検出することが可能となる。
すなわち、本発明にかかるこの実施例2では、先の実施例1と同様に加速度により静電容量を構成する電極間距離の変化を検出して加速度を検出する従来の手法に代えて、加速度により静電容量を構成する電極間の対向面積の変化を検出して加速度を検出するようにしたことを特徴としている。
したがって、この実施例2においても、先の実施例1と同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の実施例3について説明する。この実施例3の特徴とするところは、第1の固定電極基板11と可動電極基板13とで構成される第1の静電容量CAの静電容量値Caと、第2の固定電極基板12と可動電極基板13とで構成される第2の静電容量CBの静電容量値Cbとの双方の静電容量値の変化に基づいて加速度を検出するようにしたことにある。
第1の固定電極基板11と第2の固定電極基板12との間に配置された可動電極基板13が、加速度の印加により図1(d)の右側に移動すると、先の実施例1ならびに実施例2で説明したように、第1の静電容量CAの静電容量値Caは増加する一方、第2の静電容量CBの静電容量値Cbは減少する。また、可動電極基板13が、加速度の印加により図1(d)の左側に移動すると、先の実施例1ならびに実施例2で説明したように、第1の静電容量CAの静電容量値Caは減少する一方、第2の静電容量CBの静電容量値Cbは増加する。このように、構成の対称性により、静電容量値CaとCbの増減関係が逆となり、増加量と減少量は同じとなる。この実施例3では、この関係に着目して加速度を検出している。
ここで、加速度が印加されていない状態で第1の固定電極基板11の固定電極11cの一方端11dならびに第2の固定電極基板12の固定電極12cの一方端12dに可動電極基板13の重り部15の略中心が位置している初期状態における、第1の静電容量CAの静電容量値をCa1、第2の静電容量CBの静電容量値をCb1、加速度印加時における第1の静電容量CAの容量値の変化量を△Ca1、第2の静電容量CBの容量値の変化量を△Cb1、第1の静電容量CAにおける接合や配線層による寄生容量値をCa2、第2の静電容量CBにおける接合や配線層による寄生容量値をCb2とすると、加速度が印加された際の第1の静電容量CA、CBの静電容量値Ca、Cbは次式(1)で表される。
(数1)
Ca=Ca1+△Ca1+Ca2
Cb=Cb1+△Cb1+Cb2 …(1)
上式(1)において、先の実施例1ならびに実施例2で説明したように、センサにおける構成の対称性から概ね、Ca1=Cb1、△Ca1=−△Cb1ならびにCa2=Cb2となる。したがって、静電容量値Ca、Cbの差分(Ca−Cb)は2△Ca1となる。
このように、静電容量値Ca、Cbの差分を算出することで、印加された(検出しようとする)加速度に対して、先の実施例1、2に比べて容量値において2倍の変化量を得ることができる。したがって、この容量値の差分に基づいて加速度を検出することで、先の実施例1、2に比べて2倍の感度で加速度を検出することが可能となる。これにより、先の実施例1、2で得られる効果に加えて、検出感度が向上して、さらに一層検出精度を高めることができる。
また、両者の差分に基づいて加速度を検出することで、静電容量CA、CBにおける寄生容量の影響を回避することができ、検出精度をより一層向上させることができる。
図2は本発明の実施例4に係る静電容量型加速度センサの構成を示す図であり、同図は先の図1(d)の横断面図と同様の横断面図である。
図2において、先の実施例1に比べて、第1の固定電極基板11を構成するガラス基板11aの周縁部ならびに第2の固定電極基板12を構成するガラス基板12aの周縁部であって、可動電極基板13と接合される箇所には、凸部21が形成されている。
一方、可動電極基板13は、先の実施例1に比べて、可動部14とフレーム部17と境界は平坦に形成され、第1の固定電極基板11ならびに第2の固定電極基板12と対向する対向面が平坦に形成されている。
このような形状の各基板は、第1の固定電極基板11の周縁部を構成するガラス基板11aの凸部21ならびに第2の固定電極基板12の周縁部を構成するガラス基板12aの凸部21と、可動電極基板13の周縁部を構成するフレーム部17の半導体基板とが陽極接合により接合されている。
このような実施例4では、先の実施例1〜3と同様の効果を得ることができることに加えて、可動電極基板13を平坦に構成することができるので、容易に可動電極基板13を形成することが可能となる。
図3は本発明の実施例5に係る静電容量型加速度センサの構成を示す図であり、同図は先の図1(d)の横断面図と同様の横断面図である。
図3において、先の実施例1に比べて、第1の固定電極基板11を構成するガラス基板11aの周縁部、すなわち可動電極基板13と接合される箇所には、可動電極基板13を構成する半導体基板と同様の半導体、例えばシリコン等の半導体からなる接合部11eが形成され、第2の固定電極基板12を構成するガラス基板12aの周縁部、すなわち可動電極基板13と接合される箇所には、可動電極基板13を構成する半導体基板と同様の半導体、例えばシリコン等の半導体からなる接合部12eが形成されている。
一方、可動電極基板13は、先の実施例4と同様に、可動部14とフレーム部17と境界は平坦に形成され、第1の固定電極基板11ならびに第2の固定電極基板12と対向する対向面が平坦に形成されている。
このような形状の各基板は、第1の固定電極基板11の接合部11e、第2の固定電極基板12の接合部12eならびに可動電極基板13を構成する半導体基板を酸化して形成される酸化膜、例えばシリコン酸化膜等の絶縁層32を介して、第1の固定電極基板11の周縁部を構成する半導体の接合部11eならびに第2の固定電極基板12の周縁部を構成する半導体の接合部12eと、可動電極基板13の周縁部を構成するフレーム部17の半導体基板とが接合されている。
このような実施例5では、先の実施例1〜3と同様な効果を得ることができることに加えて、各電極基板を構成する半導体を酸化処理することで形成される絶縁層32を用いることが可能となる。これにより、半導体製造プロセスで一般的に用いられている半導体の酸化処理により各電極基板を接合することが可能となり、簡便に製造することが可能となる。
図4は本発明の実施例6に係る静電容量型加速度センサの構成を示す図であり、同図(a)は先の図1(c)の縦断面図と同様の縦断面図であり、同図(b)は先の図1(d)の横断面図と同様の横断面図である。
図4に示す実施例6に係るセンサの特徴とするところは、先の実施例1で採用した構成の単一の静電容量を複数セット備えてセンサを構成したことにある。
図4において、先の実施例1の構成に比べて、可動電極基板13の重り部15に複数本のスリット41を設けて重り部15を複数形成し、複数の各重り部15に対応して、半導体部42とガラス部43とを所定の間隔で交互に複数配置形成して第1の固定電極基板11の固定電極11cならびに第2の固定電極基板12の固定電極12cを複数構成し、各固定電極11cを電気的に接続し、各固定電極12cを電気的に接続し、1つのセンサにおいて先の実施例1〜3で採用した静電容量CA、CBを複数セット備えている。
このような構成により、スリット41により隔てられた1つの重り部15とガラス部43で分離された1組の固定電極11c、12cとで、先の実施例1〜3で説明した静電容量CA、CBからなる静電容量が1セット形成され、この1セット分の静電容量を複数セット設け、先の実施例1〜3の各静電容量CA、CBを複数並列接続している。
このような実施例6においては、先の実施例1〜3と同様の静電容量CA、CBを複数設けることで、実施例1〜3に比べて加速度の検出感度を格段に向上させることができる。
図5は本発明の実施例7に係る静電容量型加速度センサの構成を示す図であり、先の図1(d)の横断面図と同様の横断面図である。
図5に示す実施例7に係るセンサの特徴とするところは、電極配線51a、51b、51cを、可動電極基板13の重り部15が移動する方向(図5の左右方向)に対して平行な側面、すなわち多数のセンサが形成されるウェハの主に表面側の各基板に接合したことにある。
電極配線51aは、パッド部52aを介して第1の固定電極基板11の固定電極11cの上記側面にワイヤボンディングされて接合されている。電極配線51bは、パッド部52bを介して可動電極基板13の露出した端部側の側面にワイヤボンディングされて接合され、電極配線51aが引き出されている方向と同方向に引き出されている。電極配線51cは、パッド部52cを介して第2の固定電極基板12の固定電極12cの上記側面にワイヤボンディングされて接合され、電極配線51aならびに電極配線51bが引き出されている方向と逆方向に引き出されている。
このような構成では、各基板に電極配線を容易に接合することが可能となり、電極配線を接合して引き出せる箇所の制約が少なくなり、配線を形成する際の自由度を高めることができる。
図6は本発明の実施例8に係る静電容量型加速度センサの構成を示す図であり、先の図1(d)と同様の横断面図である。
図6に示す実施例8に係るセンサの特徴とするところは、先の実施例7に比べて、各電極配線61a、61b、61cを同方向に引き出したことにある。
第1の固定電極基板11には、先の実施例7と同様の側面にパッド部62aを介して電極配線61aがワイヤボンディングされて接合されている。
また、第1の固定電極基板11の周縁部を構成するガラス基板11aには、可動電極基板13に至る配線引き出し用の貫通孔63が形成され、可動電極基板13のフレーム部17の一部表面を露出させている。この露出した可動電極基板13のフレーム部17の側面に、パッド部62bを介して電極配線61bがワイヤボンディングされて接合され、電極配線61aが引き出されている方向と同方向に引き出されている。
第2の固定電極基板12は、その側面に低抵抗で導電性のダイボンディング用の接着剤64を介してセンサを支持する支持基板として機能し各電極基板よりも大きな面積の金属フレーム65にダイボンディングされて接合されている。第2の固定電極基板12に接合された側の金属フレーム65の露出した表面に電極配線61cがパッド部62cを介して接合され、電極配線61a、61bの引き出し方向と同方向に引き出されている。
このような構成により、電極配線61a、61b、61cをすべて同じ方向に引き出すことが可能になることに加えて、電極配線61a、61b、61cを接続して引き出す箇所の制約が少なくなり、配線を形成する際の自由度を高めることができる。
なお、上記各実施例1〜8で採用した特徴的な技術思想は、可能な範囲で適宜組み合わせて実施してもよい。
11…第1の固定電極基板
11a,12a…ガラス基板
11b,12b…半導体基板
11c,12c…固定電極
11,12d…一方端
11e,12e…接合部
12…第2の固定電極基板
13…可動電極基板
14…可動部
15…重り部
16…バネ部
17…フレーム部
21…凸部
32…絶縁層
41…スリット
42…半導体部
43…ガラス部
51a,61a…電極配線
51b,61b…電極配線
51c,61c…電極配線
52a,62a…パッド部
52b,62b…パッド部
52c,62c…パッド部
63…貫通孔
64…接着剤
65…金属フレーム

Claims (9)

  1. 静電容量の固定電極を含む固定電極基板と、
    前記静電容量の可動電極を構成する可動電極基板とを有し、
    前記可動電極基板は、外部から与えられた加速度に応じて前記固定電極基板の方向に対して垂直方向に揺動自在に移動する重り部が形成され、
    前記固定電極基板は、前記固定電極の一部が前記可動電極基板の重り部に対向する対向面を備え、
    加速度の印加により前記固定電極基板の固定電極と前記可動電極基板の重り部との対向面積の変化に応じて変化する前記静電容量の容量値に基づいて加速度を検出する
    ことを特徴とする静電容量型加速度センサ。
  2. 第1の静電容量の固定電極を含む第1の固定電極基板と、
    第2の静電容量の固定電極を含む第2の固定電極基板と、
    前記第1の固定電極基板と前記第2の固定電極基板との間に挟まれ、前記第1の静電容量ならびに前記第2の静電容量の可動電極を構成する可動電極基板とを有し、
    前記可動電極基板には、外部から与えられた加速度に応じて前記第1の固定電極基板ならびに前記第2の固定電極基板の方向に対して垂直方向に揺動自在に移動する重り部が形成され、
    前記第1の固定電極基板ならびに前記第2の固定電極基板は、前記固定電極の一部が前記可動電極の重り部に対向する対向面を備え、
    加速度の印加により前記第1の固定電極基板と前記可動電極基板の重り部との対向面積の変化に応じて変化する前記第1の静電容量の容量値、ならびに加速度の印加により前記第2の固定電極基板と前記可動電極基板の重り部との対向面積の変化に応じて変化する前記第2の静電容量の容量値に基づいて加速度を検出する
    ことを特徴とする静電容量型加速度センサ。
  3. 前記固定電極基板は、前記固定電極を構成する半導体基板が埋め込まれたガラス基板で形成され、ガラス基板のガラスの面積を調整制御することで、加速度が印加されていない初期状態における前記第1の固定電極基板の固定電極と前記可動電極基板の重り部ならびに前記第2の固定電極基板の固定電極と前記可動電極基板の重り部との対向面積を設定する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の静電容量型加速度センサ。
  4. 前記固定電極基板と前記可動電極基板とは、電気的に並列接続された複数の静電容量を形成する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電容量型加速度センサ。
  5. 前記固定電極基板は、ガラス基板に半導体が埋め込まれた埋め込み基板で形成され、
    前記可動電極基板は、半導体基板で形成され、
    前記固定電極基板と前記可動電極基板とは、前記固定電極基板を構成するガラス基板と前記可動電極基板を構成する半導体基板との陽極接合により接合されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電容量型加速度センサ。
  6. 前記固定電極基板の周縁部は半導体基板で形成され、
    前記可動電極基板は、半導体基板で形成され、
    前記固定電極基板の周縁部を構成する半導体基板と前記可動電極基板を構成する半導体基板とは、絶縁層を介して接合されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電容量型加速度センサ。
  7. 前記重り部が移動する移動面に対して露出した平行面の前記固定電極基板ならびに前記可動電極基板に電極配線が接合されている
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電容量型加速度センサ。
  8. 前記ガラス基板には、前記可動電極基板に至る貫通孔が形成され、前記貫通孔を介して電極配線が前記可動電極基板に接合されている
    ことを特徴とする請求項5に記載の静電容量型加速度センサ。
  9. 前記重り部が移動する移動面に対して露出したは平行面の前記固定電極基板には、導電性の接合剤を介して支持基板が接合され、前記支持基板には、前記固定電極基板の電極配線が接合されている
    ことを特徴とする請求項5または8に記載の静電容量型加速度センサ。
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