JP2011042007A - 旋削工具用ステー及びタービンロータ加工用旋盤 - Google Patents

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Abstract

【課題】タービンロータを加工するための旋削工具が取り付けられる旋削工具用ステーの重量を低減しつつ、旋削工具用ステーの先端部の厚み方向への振動を良好に抑制する。
【解決手段】旋削工具用ステー8は、主材部32の厚み方向における両面にそれぞれ積層され、主材部32の長手方向について主材部32よりも高い縦弾性係数を有する炭素繊維強化プラスチックからなる副材部38と、タービンロータ100の加工時における主材部32の先端部の厚み方向への振れを抑制するための振動減衰機構36とを備え、振動減衰機構36は、主材部32の先端部の収容室42内に主材部32の厚み方向に変位可能となるように収容され、主材部32の先端部がその厚み方向に振れたときにその振れと逆向きに収容室42内で変位することにより当該振れを抑制する錘44を有し、副材部38は、主材部32に対する積層により主材部32の厚み方向への撓みを抑制する。
【選択図】図5

Description

本発明は、旋削工具用ステー及びタービンロータ加工用旋盤に関するものである。
従来、旋削加工装置において、先端部に切削チップが設けられ、長く突き出された旋削工具を用いて旋削加工が行われている(例えば、下記特許文献1参照)。被加工物の旋削時には、旋削工具にびびり振動が発生し、その振動は旋削工具の長さが大きいことに起因して増長される。このような振動の発生は、被加工物の加工精度の低下に繋がるため、特許文献1では、旋削工具のシャンクの両側面にシャンクの材質よりも縦弾性係数に優れた超硬合金製の補強部材を取り付けることによって旋削工具の振動を抑制している。
ところで、従来、タービンロータを旋削加工するためのタービンロータ加工用旋盤が知られている。タービンロータは、ロータ軸及びその軸方向に間隔をおいて並ぶ複数枚のディスクを有するものである。タービンロータ加工用旋盤では、旋削工具によりロータ軸の外周面及び各ディスクの側面を旋削加工する。そして、タービンロータ加工用旋盤は、旋削加工のための制御プログラムに従って旋削工具を移動させる移動装置と、その移動装置に基端部が保持されるとともに、当該移動装置からタービンロータ側へ延び、その先端部に旋削工具が装着される板状の旋削工具用ステーを備えている。旋削工具用ステーは、その先端部がタービンロータの隣り合うディスク同士の間に挿入され、その厚み方向がロータ軸と平行となる姿勢で移動装置によって保持される。
タービンロータの隣り合うディスク同士の間の溝部は、その深さに対して幅が非常に小さくなっている。このため、ディスク同士の間に挿入される旋削工具用ステーは、長さが大きく、かつ、その長さに比較して厚みが非常に小さい形状に形成される。しかしながら、この形状により、ステーの先端部は、タービンロータの旋削加工時に厚み方向へのびびり振動を発生しやすくなり、当該ステーの先端部の振動発生に伴ってタービンロータの加工精度の低下が問題となる。このようなステーの先端部の厚み方向への振動を抑制するためには、上記特許文献1の技術を応用してステーの厚み方向の両面に超硬合金製の補強部材を貼り付けることも考えられる。
実用新案登録第3069536号公報
しかし、上記のようにステーに超硬合金製の補強部材を貼り付けてステーの先端部の振動を抑制しようとする場合には、超硬合金の比重が高いことに起因してステーの重量が増大するという問題が生じる。
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、旋削工具用ステーの重量を低減しつつ、旋削工具用ステーの先端部の厚み方向への振動を良好に抑制することである。
本願発明者は、旋削工具用ステーの厚み方向への振動をさらに抑制する手段として、旋削工具用ステーの先端部に形成される収容室と、その収容室内に旋削工具用ステーの厚み方向に変位可能となるように収容された錘とを備える振動減衰機構を前記超硬合金製の補強部材を貼り付けた旋削工具用ステーに設けることを思いついた。この振動減衰機構は、ステーの先端部が厚み方向に振れたときにその振れと逆向きに錘が収容室内で変位することにより当該振れを抑制するものである。この振動減衰機構を旋削工具用ステーに設けることにより、旋削工具用ステーの先端部の厚み方向への振動をより良好に抑制することが可能となる。
しかし、超硬合金製の補強部材を貼り付けた旋削工具用ステーでは、上記したように重量が増大するため、そのことに起因してステーの先端部の振動の周波数が低くなるとともに、ステーの先端部の振動エネルギが大きくなる。そして、前記振動減衰機構では、ステー先端部の振動の周波数及び振動エネルギが異なると、その振動を抑制するために必要な錘の重量が異なる。すなわち、ステー先端部の振動の周波数が低くなるとともにその振動エネルギが増大する程、振動減衰機構に重い錘を用いないとそのステー先端部の振動を抑制できなくなる。従って、旋削工具用ステーの重量増大に起因するステー先端部の振動の周波数の低下及びその振動エネルギの増大により、振動減衰機構では、ステー先端部の振動の抑制のために重い錘を用いることが必要となる。その結果、さらに旋削工具用ステーの重量が増大する。
そこで、本願発明者は、このような旋削工具用ステーの大幅な重量の増大を防ぎつつ、ステー先端部の厚み方向への振動を良好に抑制するために、以下のような構成の旋削工具用ステー及びタービンロータ加工用旋盤を発明した。
すなわち、本発明による旋削工具用ステーは、ロータ軸及びその軸方向に間隔をおいて並ぶ複数枚のディスクを有するタービンロータの当該ディスク同士の間に位置するロータ軸の外周面及び各ディスクの側面の少なくとも一方を旋削加工するための旋削工具を支持する旋削工具用ステーであって、特定方向に延びる板状をなし、その長手方向の一端部が前記タービンロータの旋削加工のために前記旋削工具を移動させるための移動装置により保持される基端部を構成し、他端部が前記旋削工具の装着部位となる先端部を構成し、この先端部が前記ディスク同士の間に挿入され、かつ、厚み方向が前記ロータ軸と略平行となる姿勢で前記移動装置により保持される主材部と、前記主材部の厚み方向における両面にそれぞれ積層され、前記主材部の長手方向についてこの主材部よりも高い縦弾性係数を有する繊維強化プラスチックからなる副材部と、前記主材部において前記旋削工具が装着される部位の近傍の部位に設けられ、前記タービンロータの加工時における前記主材部の先端部の厚み方向への振れを抑制するための振動減衰機構とを備え、前記振動減衰機構は、前記主材部の先端部に形成される収容室と、この収容室内に前記主材部の厚み方向に変位可能となるように収容され、前記主材部の先端部がその厚み方向に振れたときにその振れと逆向きに前記収容室内で変位することにより当該振れを抑制する錘とを有し、前記副材部は、前記主材部のうち前記振動減衰機構よりも前記基端部側の領域を含む領域に積層され、その積層により前記主材部の厚み方向への撓みを抑制する。
この旋削工具用ステーは、主材部の先端部がその厚み方向に振れたときにその振れと逆向きに主材部の先端部に形成された収容室内で錘が変位することにより当該先端部の振れを抑制する振動減衰機構を備えるため、タービンロータの加工時における旋削工具用ステーの先端部の厚み方向への振動を抑制することができる。また、この旋削工具用ステーでは、特定方向に延びる板状の主材部の長手方向について主材部よりも高い縦弾性係数を有する繊維強化プラスチックからなり、主材部の厚み方向の両面のうち振動減衰機構よりも基端部側の領域を含む領域にそれぞれ積層されてその積層により主材部の厚み方向への撓みを抑制する副材部が設けられているため、タービンロータの加工時における旋削工具用ステーの先端部の厚み方向への振動をより良好に抑制することができる。そして、副材部を構成する繊維強化プラスチックは、低比重であるため、主材部の厚み方向への撓みを抑制するという本構成と同様の目的で主材部に超硬合金製の補強材を貼り付ける従来の構成に比べて旋削工具用ステーの重量を低減しつつ、旋削工具用ステーの厚み方向について良好な曲げ剛性を確保することができる。その結果、ステーの先端部の振動の周波数が高くなるとともにその振動エネルギが低減される。このため、振動減衰機構において軽い錘を用いて当該ステーの先端部の厚み方向への振動を抑制することができる。すなわち、超硬合金製の補強材により主材部の厚み方向への撓みを抑制する場合には、ステーの重量増大に起因して振動減衰機構で重い錘を用いざるを得なくなることによりステーのさらなる重量増大を招いていたのに対して、本構成では、低比重である繊維強化プラスチックからなる副材部により主材部の厚み方向への撓みを抑制するので、副材部の分の軽量化と、振動減衰機構において軽い錘を用いることができることによる軽量化とを図ることができる。従って、この旋削工具用ステーでは、旋削工具用ステーの重量を低減しつつ、旋削工具用ステーの先端部の厚み方向への振動を良好に抑制することができる。
上記旋削工具用ステーにおいて、前記副材部は、前記主材部の長手方向に配向された炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチックからなることが好ましい。
炭素繊維強化プラスチックは、繊維強化プラスチックの中でも縦弾性係数が高い材料である。このため、本構成のように副材部が主材部の長手方向に配向された炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチックからなっていれば、主材部の厚み方向への撓みをより有効に抑制することができる。
この場合において、前記副材部を構成する炭素繊維強化プラスチックは、複数の方向に配向された炭素繊維を含んでおり、当該炭素繊維強化プラスチックにおける前記主材部の長手方向への炭素繊維の配向率は、50%よりも高いことが好ましい。
副材部を構成する炭素繊維強化プラスチックのうち主材部の長手方向に配向された炭素繊維が主材部の先端部の振れに伴う主材部の厚み方向への撓みを抑制するのに寄与する。従って、本構成のように副材部を構成する炭素繊維強化プラスチックにおける主材部の長手方向への炭素繊維の配向率が50%よりも高い場合には、当該炭素繊維強化プラスチックに占める前記主材部の厚み方向への撓みの抑制に寄与する炭素繊維の割合がそれ以外の炭素繊維の割合よりも多くなる。すなわち、本構成では、副材部の材料構成を主材部の厚み方向への撓みを良好に抑制可能な構成とすることができる。
上記旋削工具用ステーにおいて、前記副材部は、前記主材部のうち前記振動減衰機構の配設領域以外の領域に積層されていることが好ましい。
このように構成すれば、主材部に設けられた振動減衰機構が副材部によって覆われないので、振動減衰機構の調整やメンテナンス等を行う際に副材部が邪魔にならない。このため、本構成では、副材部により主材部の厚み方向への撓みを抑制しつつ、振動減衰機構の調整やメンテナンス等を容易に行うことができる。
上記旋削工具用ステーにおいて、前記振動減衰機構は、前記主材部の先端部において当該主材部の幅方向の中心位置近傍の第1部位と、その第1部位から前記主材部の幅方向に離間した第2部位とにそれぞれ設けられていることが好ましい。
このように構成すれば、主材部の先端部に振動減衰機構が2つ配設されるので、主材部が長手方向において撓むような形態で主材部の先端部が厚み方向に振動した場合に2つの振動減衰機構により当該先端部の厚み方向への振動を良好に抑制することができる。さらに、主材部の先端部が幅方向において撓むような形態で当該主材部の先端部の幅方向両端部が厚み方向に振動した場合に、前記第2部位に配設された振動減衰機構により当該主材部の先端部の幅方向両端部の厚み方向への振動を抑制することができる。
上記旋削工具用ステーにおいて、前記振動減衰機構は、前記錘の前記主材部の厚み方向への変位に対する抵抗力を当該錘に付与する抵抗力付与部と、当該抵抗力付与部が前記錘に付与する抵抗力の大きさを変更するための抵抗力変更部とを有することが好ましい。
振動減衰機構では、主材部の厚み方向への錘の変位に対する抵抗力が大きくなって錘が主材部の厚み方向に変位しにくくなるほど高い周波数の主材部の先端部の振れを抑制することができ、主材部の厚み方向への錘の変位に対する抵抗力が小さくなって錘が主材部の厚み方向に変位しやすくなるほど低い周波数の主材部の先端部の振れを抑制することができる。このため、本構成のように、振動減衰機構が錘の主材部の厚み方向への変位に対する抵抗力を当該錘に付与する抵抗力付与部と、その抵抗力付与部が錘に付与する抵抗力の大きさを変更するための抵抗力変更部とを有していれば、主材部の厚み方向への錘の変位に対する抵抗力を適宜変更して主材部の厚み方向における錘の変位しやすさを調節することができる。その結果、旋削工具用ステーの先端部の厚み方向への振動を効果的に抑制することができるとともに、抑制可能な旋削工具用ステーの先端部の振動の周波数域を自由に調節することができる。
この場合において、前記抵抗力付与部は、前記主材部の厚み方向における前記錘の一端面と対向する前記収容室の内面との間に配設された第1弾性部材と、前記主材部の厚み方向における前記錘の他端面と対向する前記収容室の内面との間に配設された第2弾性部材とを有し、前記抵抗力変更部は、前記錘の一端面に対する前記第1弾性部材の押し付け力及び前記錘の他端面に対する前記第2弾性部材の押し付け力を変更するための押し付け力変更部とを有していてもよい。
この構成によれば、押し付け力変更部により、主材部の厚み方向における錘の各端面に対する第1弾性部材と第2弾性部材の押し付け力を変更することができ、それによって、主材部の厚み方向への錘の変位に対する抵抗力を変更することができる。すなわち、この構成によれば、前記抵抗力付与部及び前記抵抗力変更部の具体的な構造を構成することができる。
上記振動減衰機構が抵抗力付与部と抵抗力変更部とを有する構成において、前記錘は、環状に形成されており、前記収容室内には、前記主材部の厚み方向に前記錘を貫通するように延び、前記厚み方向に変位可能となるように前記錘を支持する支持軸が設けられ、前記抵抗力付与部は、前記支持軸の外周面と前記錘の内周面との間に弾性変形状態で配設され、その弾発力で前記錘の内周面を内側から押圧する弾性部材を有し、前記抵抗力変更部は、前記錘の内周面に対する前記弾性部材の押圧力が変化するように前記支持軸の径方向外側への前記弾性部材の変形度合いを変更するための変形度変更部を有していてもよい。
この構成によれば、変形度変更部により、支持軸の径方向外側への弾性部材の変形度合いを変更して錘の内周面に対する弾性部材の押圧力を変更することができるので、それによって主材部の厚み方向に錘が変位する際に弾性部材と錘の内周面との間に作用する摩擦力の大きさを変更することができる。その結果、主材部の厚み方向への錘の変位に対する抵抗力を変更することができる。すなわち、この構成によれば、前記抵抗力付与部及び前記抵抗力変更部の具多的な構造を構成することができる。
また、本発明によるタービンロータ加工用旋盤は、ロータ軸及びその軸方向に並ぶ複数枚のディスクを有するタービンロータを旋削加工するためのタービンロータ加工用旋盤であって、上記いずれかの旋削工具用ステーと、タービンロータを前記ロータ軸の軸回りに回転させる回転装置と、前記旋削工具用ステーの前記主材部の先端部に装着される旋削工具と、前記旋削工具用ステーの先端部を隣り合う前記ディスク同士の間に挿入し、かつ、厚み方向が前記ロータ軸と略平行となる姿勢で前記旋削工具用ステーの基端部を保持し、旋削加工用の制御プログラムに従って前記旋削工具を前記ロータ軸に垂直な方向において当該ロータ軸に接離させるとともに前記ロータ軸に平行な方向にその旋削工具を移動させる移動装置とを備えている。
このタービンロータ加工用旋盤では、上記旋削工具用ステーを備えているので、旋削工具用ステーの重量を低減しつつ、旋削工具用ステーの先端部の厚み方向への振動を良好に抑制することができるという上記旋削工具用ステーによる効果と同様の効果を得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、旋削工具用ステーの重量を低減しつつ、旋削工具用ステーの先端部の厚み方向への振動を良好に抑制することができる。
本発明の一実施形態によるタービンロータ加工用旋盤の全体構成を概略的に示す平面図である。 図1に示したタービンロータ加工用旋盤の移動装置、旋削工具用ステー及び旋削工具を移動装置の移動体の移動方向に見た概略図である。 タービンロータのロータ軸の外周面及びその外周面とディスクの側面との間のコーナー部を旋削する際の移動装置による旋削工具の移動形態を示す図である。 タービンロータのディスクの側面を旋削する際の移動装置による旋削工具の移動形態を示す図である。 本発明の一実施形態による旋削工具用ステーの斜視図である。 図5に示した旋削工具用ステーの平面図である。 図6に示した旋削工具用ステーのうち振動減衰機構近傍の部分の拡大図である。 図7中のVIII−VIII線に沿った断面図である。 本発明の一実施形態の変形例による旋削工具用ステーの振動減衰機構の前記図8に対応する断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態によるタービンロータ加工用旋盤の全体構成について説明する。
本実施形態によるタービンロータ加工用旋盤は、タービンロータ100を旋削加工するためのものである。タービンロータ100は、図1に示すように、特定方向に延びるロータ軸100aと、そのロータ軸100aの軸方向に並ぶ複数枚のディスク100bとを有する。本実施形態のタービンロータ加工用旋盤では、このタービンロータ100の隣り合うディスク100b同士の間に後述する旋削工具10を挿入してそのディスク100b同士の間に位置するロータ軸100aの外周面及び各ディスク100bの側面を旋削加工する。
具体的には、このタービンロータ加工用旋盤は、回転装置2と、案内部4と、移動装置6と、旋削工具用ステー8と、旋削工具10とを備えている。
回転装置2は、タービンロータ100の旋削加工用の制御プログラムに従ってタービンロータ100をロータ軸100aの軸回り(水平軸回り)に回転させる。この回転装置2は、ベース12と、第1支持装置14と、第2支持装置16とを有する。
ベース12は、回転装置2の基礎となる部分であり、所定方向へ延びるように設置場所に設置されている。
第1支持装置14と第2支持装置16は、ベース12の長手方向の両端部に分かれて配設されている。第1支持装置14は、ベース12の長手方向の一端部上に設置された第1支持装置本体部14aと、その第1支持装置本体部14aにベース12の長手方向に延びる水平軸回りに回転可能に設けられた第1保持部14bと、その第1保持部14bを回転させる図略のモータとを有する。第2支持装置16は、ベース12の長手方向の他端部上に設置された第2支持装置本体部16aと、その第2支持装置本体部16aに前記第1保持部14bと同じ水平軸回りに回転可能に設けられた第2保持部16bとを有する。第1支持装置14と第2支持装置16は、第1保持部14bと第2保持部16bとの間でタービンロータ100を軸方向の両側から挟み込むようにして支持し、その状態で前記図略のモータの駆動により両保持部14b,16bとともにタービンロータ100を軸回りに回転させる。
案内部4は、移動装置6の後述する移動体22の移動を案内するものである。この案内部4は、ロータ軸100aに平行に延びており、回転装置2のベース12に隣接した位置に設置されている。
移動装置6は、タービンロータ100の旋削加工のために旋削工具10を移動させるものである。すなわち、この移動装置6は、タービンロータ100の旋削加工用の制御プログラムに従って、旋削工具10をロータ軸100aに垂直な方向においてロータ軸100aに接離させるとともに、ロータ軸100aに平行な方向にその旋削工具10を移動させる。そして、この移動装置6は、旋削工具10とともに旋削工具用ステー8をタービンロータ100の隣り合うディスク100b同士の間に挿入し、かつ、旋削工具用ステー8の厚み方向がロータ軸100aと略平行となる姿勢で旋削工具用ステー8の基端部を保持する。
具体的には、この移動装置6は、移動体22と、サドル24とを有する。
移動体22は、案内部4上に搭載されており、図略のモータの駆動により案内部4に沿って前記ロータ軸100aに平行な方向に移動するようになっている。
サドル24は、図2に示すように、移動体22上に搭載されており、図略のモータの駆動により移動体22に対して相対移動するようになっている。このサドル24は、水平方向で、かつ、前記ロータ軸100aに垂直な方向においてロータ軸100aに接離するように移動体22上で移動する。
そして、サドル24は、旋削工具用ステー8が鉛直方向に立った状態で当該サドル24からロータ軸100a側へ突出し、その旋削工具用ステー8の厚み方向がロータ軸100aと平行となる姿勢で旋削工具用ステー8の基端部を保持する。また、サドル24は、旋削工具用ステー8の先端部がタービンロータ100の隣り合うディスク100b同士の間に挿入されるように旋削工具用ステー8の基端部を保持する。また、サドル24は、旋削工具用ステー8を水平方向でかつロータ軸100aに垂直な方向において位置調整可能に保持している。具体的には、サドル24は、旋削工具用ステー8を位置固定するための図略のクランプを有しており、サドル24からロータ軸100a側への旋削工具用ステー8の突出量を調節した後、そのクランプでサドル24に対する旋削工具用ステー8の位置を固定できるようになっている。
移動装置6では、タービンロータ100の旋削加工用の制御プログラムに従って、上記の移動体22のロータ軸100aに平行な方向への移動と、上記のサドル24のロータ軸100aに垂直な方向への移動とを組み合わせて旋削工具用ステー8の先端部に装着された旋削工具10の移動を行う。
旋削工具用ステー8(以下、単にステー8という)は、旋削工具10を支持するものであり、上記のようにその基端部が移動装置6のサドル24に保持され、その先端部に旋削工具10が装着される。このステー8の詳細な構造については、後述する。
旋削工具10は、旋削用のバイトであり、この旋削工具10は、ステー8の先端部に設けられる後述のホルダ34によってステー8の先端部からロータ軸100a側に突出した状態で保持される。この旋削工具10は、その先端から先端部の一方の側部にかけて切削チップが設けられている。そして、旋削工具10は、ステー8の先端部に装着された状態でステー8とともにタービンロータ100の隣り合うディスク100b同士の間に挿入されて当該ディスク100b同士の間に位置するロータ軸100aの外周面、各ディスク100bの側面及びそれらロータ軸100aの外周面とディスク100bの側面との間のコーナー部を旋削加工する。
そして、本実施形態のタービンロータ加工用旋盤では、図3に示すように、タービンロータ100を軸回りに回転させながら、隣り合うディスク100b同士の間に移動装置6のサドル24の移動によって旋削工具10及び旋削工具用ステー8を挿入する。そして、旋削工具10の先端を隣り合うディスク100b同士の間の軸方向の中心位置においてロータ軸100aの外周面に当て、移動体22(図1参照)の移動により当該旋削工具10をロータ軸100aに平行な方向において一方のディスク100b側に移動させながらロータ軸100aの外周面を旋削する。その後、連続して移動体22を移動させながらサドル24をわずかにロータ軸100aから離れる方向に移動させることにより、旋削工具10によってロータ軸100aの外周面とディスク100bの側面との間にRを持ったコーナー部を旋削加工する。さらに、図4に示すように、旋削工具10の先端部の一方の側部をディスク100bの側面に当てながら、移動装置6のうちサドル24のみをロータ軸100aに接近する方向に移動させてディスク100bの側面を旋削する。
そして、隣り合うディスク100b同士の間の軸方向の中心位置から他方のディスク100b側に位置するロータ軸100aの外周面、そのロータ軸100aの外周面と他方のディスク100bの側面との間のコーナー部及び他方のディスク100bの側面については、旋削工具10をその先端から先端部の他方の側部にかけて切削チップが設けられたものに交換して上記と同様に旋削加工を行う。
なお、このようなタービンロータ100の旋削加工時において、前記コーナー部の旋削時及びディスク100bの側面の旋削時にステー8の先端部に厚み方向への振動が生じやすい。本実施形態では、ステー8の下記の構造により当該ステー8の先端部の振動を抑制可能となっている。
次に、図2及び図5〜図8を参照して、本実施形態によるステー8の詳細な構造について説明する。
本実施形態によるステー8は、旋削工具10を支持するものであり、上記したように旋削工具10とともにタービンロータ100の隣り合うディスク100b同士の間に挿入される。このステー8は、主材部32と、ホルダ34(図2参照)と、振動減衰機構36と、副材部38とを有する。
主材部32は、ステー8の基部となるものである。この主材部32は、図5及び図6に示すように、特定方向に延びる略長方形の板状をなしている。主材部32の長手方向の一端部は、前記サドル24によって保持される当該主材部32の基端部を構成し、主材部32の長手方向の他端部は、旋削工具10の装着部位となる当該主材部32の先端部を構成する。主材部32は、その長手方向が前記ロータ軸100aに垂直となり、その厚み方向が前記ロータ軸100aに平行となる姿勢でサドル24によって保持される。
主材部32の先端部の上端部には、旋削工具10を保持するホルダ34が装着される受部32aが形成されている。この受部32aは、主材部32の先端部の上端の角部が矩形状に切り欠かれて形成されている。ホルダ34は、受部32aの切り欠きに嵌め込まれるようにして装着される。すなわち、旋削工具10は、ホルダ34を介して主材部32の先端部の上端部に装着されるようになっている。また、受部32aの鉛直方向に延びる面と水平方向に延びる面とには、それぞれキー溝が形成されている。
ホルダ34は、図2に示すように、受部32aに取り付けられるホルダ本体34aと、旋削工具10をホルダ本体34aに固定するための固定ボルト34bとを有する。
ホルダ本体34aは、受部32aに対して取り付けられる取付部34cを有する。この取付部34cは、鉛直方向に延びる鉛直部34dと、その鉛直部34dの下端から主材部32の長手方向に水平に延びる水平部34eとを有する。鉛直部34dと水平部34eのうち受部32aに取り付けられる面には、それぞれキーが形成されている。ホルダ34が受部32aに嵌め込まれる際、その各キーが受部32aの対応するキー溝に嵌合し、さらに図略のボルトによってその嵌合状態が固定されるようになっている。
また、ホルダ本体34aは、主材部32の長手方向において取付部34cの鉛直部34dからロータ軸100a側へ突出するように延びるボルト保持部34fを有する。このボルト保持部34fと前記水平部34eとは、上下に離間して配置されている。ボルト保持部34fには、上下方向に貫通する図略のボルト穴が主材部32の長手方向に並んで複数形成されている。固定ボルト34bは、その頭部が上側に位置する姿勢で各ボルト穴に螺合されている。旋削工具10は、ホルダ34からロータ軸100a側に突出した状態でボルト保持部34fと水平部34eとの間に差し込まれ、締め込まれた各固定ボルト34bの先端部により水平部34eの上面に押し付けられて固定されるようになっている。
主材部32の先端部のうち受部32aの下側近傍の部位には、振動減衰機構36が設けられている。振動減衰機構36は、タービンロータ100の旋削加工時における主材部32の先端部の厚み方向への振れを抑制するためのものである。この振動減衰機構36は、受部32aの下側の部位に上下に離間して2つ設けられている。具体的には、一方の振動減衰機構36は、主材部32の先端部の上下幅方向についての中心位置にある第1部位P1に配設され、他方の振動減衰機構36は、第1部位P1から主材部32の幅方向下側に離間した位置(主材部32の先端部の下端部近傍の位置)にある第2部位P2に配設されている。
タービンロータ100の旋削加工時には、主材部32が長手方向において撓むような形態の振動(1次固有振動)や主材部32の先端部が幅方向において撓むような形態の振動(2次固有振動)等が主材部32に発生する。主材部32の先端部は、主材部32が長手方向において撓む形態の振動の腹に相当する部位であり、主材部32の先端部の下端部は、主材部32の先端部が幅方向において撓む形態の振動の腹に相当する部位である。このため、前記一方の振動減衰機構36は、主に主材部32が長手方向において撓む形態での主材部32の先端部の厚み方向への振れを抑制する。また、前記他方の振動減衰機構36は、前記一方の振動減衰機構36の場合と同様の形態での主材部32の先端部の厚み方向への振れを抑制する機能に加えて、主材部32の先端部が幅方向において撓む形態での主材部32の先端部の幅方向両端部(上下両端部)の厚み方向への振れを抑制する機能を有する。
各振動減衰機構36は、図8に示すように、収容室42と、錘44と、抵抗力付与部46と、抵抗力変更部48とを有する。
収容室42は、主材部32の先端部のうち受部32aの下側の部位に形成されている。この収容室42は、主材部32の厚み方向の一面側に開口した円形の凹部42aと、その凹部42aの開口部を閉塞する円形の蓋部42bとによって形成されている。
凹部42aは、収容室42の大部分を形成する。この凹部42aは、当該凹部42aの奥側に位置する第1部分42cと、その第1部分42cの手前側に位置して当該凹部42aの開口部を形成し、第1部分42cよりも拡径された第2部分42dとを有する。
第1部分42cの底面(主材部32の厚み方向の前記一面に平行な面)から主材部32の厚み方向の他面側へ貫通するように固定穴42eが形成されている。この固定穴42eは、凹部42aの軸心と同軸となるように配設されている。また、第1部分42cの底面の固定穴42eの周りには、複数の第1取付溝42fが形成されている。各第1取付溝42fは、凹部42aの軸心(収容室42の軸心)と同軸の円状に形成されており、それぞれ異なった直径を有する。すなわち、各第1取付溝42fは、第1部分42cの底面に同心円状に形成されており、その周長がそれぞれ異なっている。また、第2部分42dの底面(主材部32の厚み方向の前記一面に平行な面)には、その周方向に間隔をおいて複数の固定用螺子穴42gが設けられている。
蓋部42bは、凹部42aの第2部分42dに嵌め込まれている。蓋部42bの周縁近傍の部分には、図7に示すように、複数の挿通穴42hが形成されている。各挿通穴42hは、前記各螺子穴42dに対応する位置に形成されている。各挿通穴42hには、図8に示すように、固定螺子42iがそれぞれ挿通され、その固定螺子42iが前記各固定用螺子穴42gに螺合して締め込まれることによって、蓋部42bが凹部42aの第2部分42dに嵌め込まれた状態で固定されるようになっている。また、蓋部42bの周縁近傍の部分には、図7に示すように、各挿通穴42hの周方向両側に蓋部42bを厚み方向に貫通する螺子穴42jがそれぞれ形成されている。
また、蓋部42bの裏面(収容室42内に臨む面)には、複数の第2取付溝42mが形成されている。各第2取付溝42mは、蓋部42bの軸心(収容室42の軸心)と同軸の円状に形成されており、それぞれ異なった直径を有する。すなわち、各第2取付溝42mは、蓋部42bの裏面に同心円状に形成されており、その周長がそれぞれ異なっている。なお、第2取付溝42mは、第1取付溝42fと同じ数だけ設けられており、各第2取付溝42mは各第1取付溝42fと対応する位置及び形状に形成されている。
また、蓋部42bの裏面には、主材部32の厚み方向に延びる支持軸42nが設けられている。この支持軸42nは、後述するように円環状である錘44を主材部32の厚み方向に貫通して、当該錘44を主材部32の厚み方向に変位可能となるように支持するものである。支持軸42nは、蓋部42bと同軸となるように配設されており、蓋部42bが凹部42aの第2部分42dに嵌め込まれた状態で収容室42と同軸となるように収容室42内に設けられる。
錘44は、収容室42内に主材部32の厚み方向に変位可能となるように収容されている。この錘44は、主材部32の先端部がその厚み方向に振れたときにその振れと逆向きに収容室42内で変位することにより当該振れを抑制する。
具体的には、錘44は、全体として円環状に形成されており、重量部44aと、リニアブッシュ44bとを有する。
重量部44aは、錘44の大部分を占めるものであり、鉛によって形成されている。この重量部44aは、円環状に形成されており、当該重量部44aの軸心と同軸にその軸方向に延びる貫通穴44cを有する。重量部44aは、その軸方向が主材部32の厚み方向となるように収容室42内に収容されている。
リニアブッシュ44bは、重量部44aの貫通穴44cに嵌め込まれて固定されるとともに前記支持軸42nに外挿された円筒状の本体部44dと、その本体部44dの内周面と支持軸42nの外周面との間に配設された複数のボール44eとによって構成されている。このリニアブッシュ44bでは、錘44が主材部32の厚み方向に変位する際、ボール44eが本体部44dの内周面と支持軸42nの外周面との間で転がることにより、非常に小さい摩擦抵抗で支持軸42nに沿うように錘44の変位を案内する。
抵抗力付与部46は、主材部32の厚み方向への錘44の変位に対する抵抗力を錘44に付与するものである。この抵抗力付与部46は、第1弾性部材46aと第2弾性部材46bとを有する。
第1弾性部材46aは、主材部32の厚み方向における錘44の重量部44aの一端面と対向する収容室42の内面(凹部42aの第1部分42cの底面)との間に配設されている。具体的には、第1弾性部材46aは、Oリングからなり、第1部分42cの底面に形成された第1取付溝42fに嵌め込まれている。第1弾性部材46aは、第1取付溝42fからその一部分が錘44側に突出しており、この突出した部分が重量部44aの前記一端面に当接するようになっている。そして、錘44が第1部分42cの底面側に変位する場合には、錘44が第1弾性部材46aを押し潰すように弾性変形させ、その反作用として第1弾性部材46aの弾発力が錘44に対して抵抗力として付与される。
なお、第1弾性部材46aは、前記各第1取付溝42fに適合するようにそれぞれ周長の異なる複数のものが用意されている。この周長の異なる複数の第1弾性部材46aのいずれかを適宜選択し、対応する第1取付溝42fに嵌め込んで用いることによって、錘44に付与する抵抗力を変更できるようになっている。
具体的には、周長の小さい第1弾性部材46aを用いるほど、錘44に対する第1弾性部材46aの接触面積が小さくなり、それに起因して第1弾性部材46aから錘44に付与される抵抗力が小さくなる。逆に、周長の大きい第1弾性部材46aを用いるほど、錘44に対する第1弾性部材46aの接触面積が大きくなり、それに起因して第1弾性部材46aから錘44に付与される抵抗力が大きくなる。そして、この第1弾性部材46aから錘44に付与される抵抗力の大きさによって、振動減衰機構36により抑制可能なステー8(主材部32)の先端部の厚み方向への振動の周波数が異なる。すなわち、第1弾性部材46aから錘44に付与される抵抗力が大きいほど高周波数のステー8の先端部の厚み方向への振動が抑制される一方、当該抵抗力が小さいほど低周波数のステー8の先端部の厚み方向への振動が抑制される。このため、ステー8の先端部の固有振動数に応じて複数の第1弾性部材46aの中から適切な周長の第1弾性部材46aが用いられる。
第2弾性部材46bは、主材部32の厚み方向における錘44の重量部44aの他端面と対向する収容室42の内面(蓋部42bの裏面)との間に配設されている。具体的には、第2弾性部材46bは、第1弾性部材46aと同様のOリングからなり、蓋部42bの裏面に形成された第2取付溝42mに嵌め込まれている。第2弾性部材46bは、第2取付溝42mからその一部分が錘44側に突出しており、この突出した部分が重量部44aの前記他端面に当接するようになっている。この第2弾性部材46bが錘44に抵抗力を付与する際の作用は、上記第1弾性部材46aの場合と同様である。また、この第2弾性部材46bも各第2取付溝42mに適合するように周長の異なる複数のものが用意されている。このため、上記第1弾性部材46aの場合と同様、ステー8の先端部の固有振動数に応じてその先端部の厚み方向への振動を抑制するのに適切な周長の第2弾性部材46bを選択できるようになっている。
抵抗力変更部48は、抵抗力付与部46が錘44に付与する前記抵抗力の大きさを変更するためのものである。この抵抗力変更部48は、錘44の前記一端面に対する第1弾性部材46aの押し付け力及び錘44の前記他端面に対する第2弾性部材46bの押し付け力を変更するための押し付け力変更部52を有する。
押し付け力変更部52は、前記蓋部42bと、前記固定螺子42iと、調整螺子52aとによって構成されている。
調整螺子52aは、蓋部42bの各螺子穴42jにそれぞれ螺合されている。この調整螺子52aは、螺子穴42jにねじ込まれることにより、その先端部が蓋部42bの裏面から突出して凹部42aの第2部分42dの底面に当接するようになっている(図8参照)。すなわち、調整螺子52aの先端部が蓋部42bの裏面から突出する分だけ蓋部42bと凹部42aの第2部分42dの底面との間に隙間が形成される。そして、各固定螺子42iを緩めた状態で螺子穴42jに対する調整螺子52aのねじ込み量を変更して蓋部42bの裏面から突出する調整螺子52aの突出量を変更することにより、蓋部42bと凹部42aの第2部分42dの底面との間の隙間の大きさが変更される。そして、この隙間の大きさが変更されることによって、主材部32の厚み方向における収容室42の対向する内面間の間隔(凹部42aの第1部分42cの底面と蓋部42bの裏面との間の間隔)の大きさが変更され、それによって錘44に対する両弾性部材46a,46bの押し付け力が変更される。
錘44に対する両弾性部材46a,46bの押し付け力が変更されることによって、振動減衰機構36により抑制可能なステー8(主材部32)の先端部の厚み方向への振動の周波数が変化する。すなわち、錘44に対する両弾性部材46a,46bの押し付け力が大きくなると、主材部32の厚み方向における錘44の変位に対する抵抗力が大きくなり、それに起因してより高周波数の主材部32の先端部の振動が抑制可能となる。一方、錘44に対する両弾性部材46a,46bの押し付け力が小さくなると、主材部32の厚み方向における錘44の変位に対する抵抗力が小さくなり、それに起因してより低周波数の主材部32の先端部の振動が抑制可能となる。従って、本実施形態では、ステー8の先端部の固有振動数に応じて調整螺子52aのねじ込み量を調整し、その後、固定螺子42iを締め込んで蓋部42bの裏面と凹部42aの第1部分42cの底面との間の間隔を固定することにより、両弾性部材46a,46bの錘44に対する押し付け力をステー8の先端部の振動を抑制するのに適切な値に調整できるようになっている。
主材部32の厚み方向の両面のうち振動減衰機構36の配設領域以外の領域であって振動減衰機構36よりも主材部32の基端部側の領域には、副材部取付部32c(図5参照)がそれぞれ形成されている。この副材部取付部32cは、主材部32の厚み方向の両面の副材部38の形状に対応する領域を副材部38の厚みに対応する深さだけ窪ませることによって形成されている。
副材部38は、主材部32に対して積層され、その積層により主材部32の厚み方向への撓みを抑制するものである。副材部38は、主材部32の各副材取付部32cにそれぞれ嵌め合わされるとともに接着剤でそれぞれ貼り合わされることによって主材部32の厚み方向の両面にそれぞれ積層されている。副材部38は、主材部32に比べて薄い板状に形成されている。副材部38は、主材部32の長手方向について主材部32よりも高い縦弾性係数を有する繊維強化プラスチックからなっている。
詳細には、副材部38は、主材部32の長手方向に配向された炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチックの薄板からなる。この副材部38を構成する炭素繊維強化プラスチックの薄板は、複数の方向に配向された炭素繊維を含んでいる。そして、当該炭素繊維強化プラスチックの薄板は、主材部32の長手方向に配向された炭素繊維を含むシート状の部材の両面に主材部32の長手方向以外の方向に配向された炭素繊維を含むシート状の部材がそれぞれ積層されることによって形成されている。前記主材部32の長手方向に配向された炭素繊維のシートは、主に主材部32の長手方向について縦弾性係数を向上させるのに寄与し、前記主材部32の長手方向以外の方向に配向された炭素繊維のシートは、主に主材部32の長手方向に配向された炭素繊維同士を繋ぎとめる役割を果たす。
また、この炭素繊維強化プラスチックの薄板における主材部32の長手方向への炭素繊維の配向率は、50%よりも高くなっている。なお、当該炭素繊維強化プラスチックの薄板における炭素繊維の好ましい配向の構成は、主材部32の長手方向への炭素繊維の配向率が80%で、主材部32の上下幅方向への炭素繊維の配向率が20%となる構成である。前記薄板の厚み方向の中心に主材部32の長手方向へ配向された炭素繊維を含むシート状の部材が配置され、その部材の両面に主材部32の上下幅方向へ配向された炭素繊維を含むシート状の部材がそれぞれ積層されることによって前記薄板が形成される。なお、主材部32の両面にそれぞれ積層される副材部38は、両方とも同じ構成を有している。そして、このような副材部38が主材部32の厚み方向の両面にそれぞれ積層されることによってステー8の長手方向における縦弾性係数(曲げ剛性)が向上されている。
以上説明したように、本実施形態では、ステー8が、主材部32の先端部がその厚み方向に振れたときにその振れと逆向きに主材部32の先端部に形成された収容室42内で錘44が変位することにより当該先端部の振れを抑制する振動減衰機構36を備えるため、タービンロータ100の旋削加工時におけるステー8の先端部の厚み方向への振動を抑制することができる。
また、本実施形態のステー8では、主材部32の長手方向について主材部32よりも高い縦弾性係数を有し、主材部32の厚み方向の両面のうち振動減衰機構36よりも当該主材部32の基端部側の領域にそれぞれ積層されてその積層により主材部32の厚み方向への撓みを抑制する副材部38が設けられているため、タービンロータ100の旋削加工時におけるステー8の先端部の厚み方向への振動をより良好に抑制することができる。
具体的には、ステー8の先端部の厚み方向への振れ量δは、以下の式によって表される。
δ=W・L/3・E・I
(ただし、W:旋削時にステー8に作用するステー8の厚み方向への曲げ荷重、L:サドル24からのステー8の突出量、E:ステー8の長手方向における縦弾性係数、I:ステー8の厚み方向におけるステー8の断面二次モーメント)
この式からステー8の長手方向における縦弾性係数Eが高くなるにつれて、ステー8の先端部の厚み方向への振れ量δは小さくなることが判る。特に、主材部32の厚み方向の両面に副材部38を貼り合わせることで、ステー8の中立軸から最も離れた部位における長手方向についての縦弾性係数Eを高めることにより、ステー8の曲げ剛性を効果的に向上させて、その先端部の厚み方向への振動を効果的に抑制できることが判る。
そして、本実施形態では、副材部38が低比重の炭素繊維強化プラスチックからなっているため、主材部32の厚み方向への撓みを抑制するという本実施形態と同様の目的で主材部に高比重の超硬合金製の補強材を貼り付けるような構成に比べてステー8の重量を低減しつつ、ステー8の厚み方向について良好な曲げ剛性を確保することができる。その結果、ステー8の先端部の振動の周波数が高くなるとともにその振動エネルギが低減される。このため、振動減衰機構36において軽い錘44を用いて当該ステー8の先端部の厚み方向への振動を抑制することができる。すなわち、本実施形態では、副材部38の分の軽量化と、振動減衰機構36において軽い錘44を用いることができることによる軽量化とを図ることができる。従って、本実施形態では、ステー8の重量を低減しつつ、ステー8の先端部の厚み方向への振動を良好に抑制することができる。
また、本実施形態では、ステー8の副材部38が主材部32の長手方向に配向された炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチックからなる。この炭素繊維強化プラスチックは、繊維強化プラスチックの中でも縦弾性係数が高い材料であるので、主材部32の厚み方向への撓みをより有効に抑制することができる。
また、本実施形態では、副材部38を構成する炭素繊維強化プラスチックにおける主材部32の長手方向への炭素繊維の配向率が50%よりも高いため、当該炭素繊維強化プラスチックに占める主材部32の厚み方向への撓みの抑制に寄与する炭素繊維の割合がそれ以外の炭素繊維の割合よりも多くなる。このため、本実施形態では、副材部38の材料構成を主材部32の厚み方向への撓みを良好に抑制可能な構成とすることができる。
また、本実施形態では、副材部38は、主材部32のうち振動減衰機構36の配設領域以外の領域に積層されているため、振動減衰機構36のメンテナンスや抵抗力変更部48により抵抗力付与部46が錘44に付与する抵抗力の調整を行う際に副材部38が邪魔にならない。このため、本実施形態では、副材部38により主材部32の厚み方向への撓みを抑制しつつ、振動減衰機構36の調整やメンテナンス等を容易に行うことができる。
また、本実施形態では、振動減衰機構36が、主材部32の先端部において当該主材部32の上下幅方向の中心位置にある第1部位P1と、その第1部位P1から主材部32の幅方向下側に離間した第2部位P2とにそれぞれ設けられている。このため、主材部32が長手方向において撓むような形態で主材部32の先端部が厚み方向に振動した場合に2つの振動減衰機構により当該先端部の厚み方向への振動を良好に抑制することができる。さらに、主材部32の先端部が上下幅方向において撓むような形態でその先端部の上下端部が厚み方向に振動した場合に、前記第2部位に配設された振動減衰機構36により主材部32の先端部の上下端部の厚み方向への振動を抑制することができる。
また、本実施形態では、振動減衰機構36が、主材部32の厚み方向への錘44の変位に対する抵抗力を当該錘44に付与する抵抗力付与部46と、当該抵抗力付与部46が錘44に付与する抵抗力の大きさを変更するための抵抗力変更部48とを有している。このため、本実施形態では、主材部32の厚み方向への錘44の変位に対する抵抗力を適宜変更して主材部32の厚み方向への錘44の変位しやすさを調節することができる。その結果、ステー8の先端部の厚み方向への振動を効果的に抑制できるとともに、抑制可能なステー8の先端部の振動の周波数域を自由に調節することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
具体的には、ステー8に設ける振動減衰機構36は、上記のような構造のものに限られない。例えば、図9に示す上記実施形態の変形例のように、振動減衰機構36が、錘44の内周面に弾性部材68a,68bを押し付けることによって主材部32の厚み方向への錘44の変位に対する抵抗力を錘44に付与するような抵抗力付与部46を有していてもよい。
具体的には、この変形例では、錘44は、円環状で鉛製の重量部44aと、その重量部44aの貫通穴44cに嵌合される内嵌部44gとを有する。内嵌部44gは、重量部44aの貫通穴44cに嵌め込まれた円環状で鉄製の第1挟持部44hと、重量部44a及び第1挟持部44hの蓋部42b側に配置される鉄製で円環状の第2挟持部44iとを有する。重量部44aの貫通穴44c近傍の部分が主材部32の厚み方向において両挟持部44h,44iによって挟み込まれた状態でそれら両挟持部44h,44iが螺子44jによって締結されることにより、重量部44aと両挟持部44h,44iが一体化されている。
そして、この変形例では、主材部32の先端部に形成された凹部42aの第1部分42cの底面から主材部32の厚み方向に延びるように軸部62が突設されている。軸部62の蓋部42b側には、当該軸部62と同軸となるように円板状の押え板64が配設されており、この押え板64は調整螺子66によって軸部62に締結されている。本変形例では、この軸部62と押え板64が一体化されたものによって、主材部32の厚み方向に変位可能となるように錘44を支持する支持軸65が構成されている。この支持軸65は、凹部42aの軸心(収容室42の軸心)と同軸に配置されており、主材部32の厚み方向に錘44の両挟持部44h,44iの貫通穴を貫通するように延びている。押え板64は、軸部62の先端面に当接するように配設され、軸部62と同径に形成された小径部64aと、その小径部64aの蓋部42b側に設けられ、小径部64aよりも拡径された大径部64bとを有する。
前記大径部64bと凹部42aの第1部分42cの底面との間には、円環状の第1〜第3弾性部材支持部67a〜67cが配設されている。第1〜第3弾性部材支持部67a〜67cは、凹部42aの第1部分42cの底面側から蓋部42b側へ向かってこの順番で並んでいる。そして、各弾性部材支持部67a〜67cには、支持軸65の軸部62及び小径部64aが主材部32の厚み方向に挿通されている。第1弾性部材支持部67aと第2弾性部材支持部67bの互いに対向する面の外縁部は、それぞれ切り欠かれており、第3弾性部材支持部67cと前記大径部64bの互いに対向する面の外縁部は、それぞれ切り欠かれている。
そして、この変形例では、抵抗力付与部46は、Oリングからなる一対の弾性部材68a,68bを有する。これら一対の弾性部材68a,68bは、支持軸65の外周面と錘44の内周面との間に弾性変形状態で配設され、その弾発力で錘44の内周面を内側から押圧する。
具体的には、一方の弾性部材68aは、第1弾性部材支持部67aの切欠き部と第2弾性部材支持部67bの切欠き部に外嵌しており、その内縁近傍の部分が主材部32の厚み方向において両切欠き部により挟持されている。もう一方の弾性部材68bは、第3弾性部材支持部67cの切欠き部と前記大径部64bの切欠き部に外嵌しており、その内縁近傍の部分が主材部32の厚み方向において両切欠き部により挟持されている。そして、一方の弾性部材68aは、第1弾性部材支持部67aの切欠き部と第2弾性部材支持部67bの切欠き部とによって挟み込まれることにより拡径するように弾性変形し、その外周面が錘44の内嵌部44gの内周面に押圧される。また、もう一方の弾性部材68bは、第3弾性部材支持部67cの切欠き部と前記大径部64bの切欠き部とによって挟み込まれることにより拡径するように弾性変形し、その外周面が錘44の内嵌部44gの内周面に押圧される。この両弾性部材68a,68bが錘44の内周面に押圧されることにより、主材部32の厚み方向に錘44が変位する際には、錘44の内周面と両弾性部材68a,68bとの間に摩擦力が作用し、この摩擦力が錘44の変位に対する抵抗力となる。
また、本変形例では、抵抗力変更部48は、前記押え板64と、前記第1〜第3弾性部材支持部67a〜67cと、調整螺子66とによって構成された変形度変更部70を有する。
この変形度変更部70は、錘44の内周面に対する両弾性部材68a,68bの押圧力が変化するように支持軸65の径方向外側への両弾性部材68a,68bの変形度合いを変更するためのものである。
具体的には、この変形度変更部70では、調整螺子66をねじ込むほど押え板64が凹部42aの第1部分42cの底面側に変位し、それに伴って、第1弾性部材支持部67aと第2弾性部材支持部67bとで挟み込まれた一方の弾性部材68aが主材部32の厚み方向においてより押し潰されるとともに、第3弾性部材支持部67aと押え板64の大径部64bとで挟み込まれたもう一方の弾性部材68bが主材部32の厚み方向においてより押し潰される。これによって、両弾性部材68a,68bは、径方向外側へより拡径するように弾性変形し、錘44の内周面に対する両弾性部材68a,68bの押圧力が増大する。その結果、錘44の前記変位に対する抵抗力が増大する。
逆に、調整螺子66を緩めると、両弾性部材68a,68bの外径が縮小し、錘44の内周面に対する両弾性部材68a,68bの押圧力が低下する。その結果、錘44の前記変位に対する抵抗力が低下する。
このように、調整螺子66のねじ込み量によって、主材部32の厚み方向における錘44の変位に対する抵抗力を調整し、それによって上記実施形態と同様にステー8の先端部の厚み方向への振動を効果的に抑制できるようになっているとともに、抑制可能なステー8の先端部の振動の周波数域を自由に調節できるようになっている。
また、副材部38を構成する材料は、炭素繊維強化プラスチックに限定されない。すなわち、主材部32の長手方向について主材部32よりも高い縦弾性係数を有する繊維強化プラスチックであれば、炭素繊維強化プラスチック以外のものを用いて副材部38を形成してもよい。
また、副材部を構成する繊維強化プラスチックにおける繊維の配向の方向及びその各方向への配向率は、上記構成に限定されない。
また、副材部は、主材部32のうち振動減衰機構36が配設された領域にも積層されていてもよい。また、主材部32の先端まで副材部が積層されているとともに、その副材部のうち振動減衰機構36の蓋部42bに対応する部分だけがくりぬかれていてもよい。
また、主材部32に設けられる2つの振動減衰機構36のうち一方の振動減衰機構36は、主材部32の先端部の幅方向の中心位置近傍の部位に設けられていればよく、他方の振動減衰機構36は、一方の振動減衰機構36から主材部32の先端部の幅方向に離間した部位であれば、主材部32の先端部の下端部に設けられていなくてもよい。すなわち、他方の振動減衰機構は、主材部32の先端部の下端部からある程度上側の部位に設けられていてもよい。また、旋削工具10が主材部の先端部の下端部に設けられるような場合には、主材部の先端部の幅方向の中心位置に設けられた一方の振動減衰機構から主材部の幅方向上側に離間した部位に他方の振動減衰機構が設けられていてもよい。また、一方の振動減衰機構と他方の振動減衰機構とは、主材部の長手方向において互いに多少ずれた位置に配置されていてもよい。
2 回転装置
6 移動装置
8 旋削工具用ステー
10 旋削工具
32 主材部
36 振動減衰機構
38 副材部
42 収容室
42n、65 支持軸
44 錘
46 抵抗力付与部
46a 第1弾性部材
46b 第2弾性部材
48 抵抗力変更部
52 押し付け力変更部
68a,68b 弾性部材
70 変形度変更部
100 タービンロータ
100a ロータ軸
100b ディスク
P1 第1部位
P2 第2部位

Claims (9)

  1. ロータ軸及びその軸方向に間隔をおいて並ぶ複数枚のディスクを有するタービンロータの当該ディスク同士の間に位置するロータ軸の外周面及び各ディスクの側面の少なくとも一方を旋削加工するための旋削工具を支持する旋削工具用ステーであって、
    特定方向に延びる板状をなし、その長手方向の一端部が前記タービンロータの旋削加工のために前記旋削工具を移動させるための移動装置により保持される基端部を構成し、他端部が前記旋削工具の装着部位となる先端部を構成し、この先端部が前記ディスク同士の間に挿入され、かつ、厚み方向が前記ロータ軸と略平行となる姿勢で前記移動装置により保持される主材部と、
    前記主材部の厚み方向における両面にそれぞれ積層され、前記主材部の長手方向についてこの主材部よりも高い縦弾性係数を有する繊維強化プラスチックからなる副材部と、
    前記主材部において前記旋削工具が装着される部位の近傍の部位に設けられ、前記タービンロータの加工時における前記主材部の先端部の厚み方向への振れを抑制するための振動減衰機構とを備え、
    前記振動減衰機構は、前記主材部の先端部に形成される収容室と、この収容室内に前記主材部の厚み方向に変位可能となるように収容され、前記主材部の先端部がその厚み方向に振れたときにその振れと逆向きに前記収容室内で変位することにより当該振れを抑制する錘とを有し、
    前記副材部は、前記主材部のうち前記振動減衰機構よりも前記基端部側の領域を含む領域に積層され、その積層により前記主材部の厚み方向への撓みを抑制する、旋削工具用ステー。
  2. 前記副材部は、前記主材部の長手方向に配向された炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチックからなる、請求項1に記載の旋削工具用ステー。
  3. 前記副材部を構成する炭素繊維強化プラスチックは、複数の方向に配向された炭素繊維を含んでおり、
    当該炭素繊維強化プラスチックにおける前記主材部の長手方向への炭素繊維の配向率は、50%よりも高い、請求項2に記載の旋削工具用ステー。
  4. 前記副材部は、前記主材部のうち前記振動減衰機構の配設領域以外の領域に積層されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の旋削工具用ステー。
  5. 前記振動減衰機構は、前記主材部の先端部において当該主材部の幅方向の中心位置近傍の第1部位と、その第1部位から前記主材部の幅方向に離間した第2部位とにそれぞれ設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の旋削工具用ステー。
  6. 前記振動減衰機構は、前記錘の前記主材部の厚み方向への変位に対する抵抗力を当該錘に付与する抵抗力付与部と、当該抵抗力付与部が前記錘に付与する抵抗力の大きさを変更するための抵抗力変更部とを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の旋削工具用ステー。
  7. 前記抵抗力付与部は、前記主材部の厚み方向における前記錘の一端面と対向する前記収容室の内面との間に配設された第1弾性部材と、前記主材部の厚み方向における前記錘の他端面と対向する前記収容室の内面との間に配設された第2弾性部材とを有し、
    前記抵抗力変更部は、前記錘の一端面に対する前記第1弾性部材の押し付け力及び前記錘の他端面に対する前記第2弾性部材の押し付け力を変更するための押し付け力変更部とを有する、請求項6に記載の旋削工具用ステー。
  8. 前記錘は、環状に形成されており、
    前記収容室内には、前記主材部の厚み方向に前記錘を貫通するように延び、前記厚み方向に変位可能となるように前記錘を支持する支持軸が設けられ、
    前記抵抗力付与部は、前記支持軸の外周面と前記錘の内周面との間に弾性変形状態で配設され、その弾発力で前記錘の内周面を内側から押圧する弾性部材を有し、
    前記抵抗力変更部は、前記錘の内周面に対する前記弾性部材の押圧力が変化するように前記支持軸の径方向外側への前記弾性部材の変形度合いを変更するための変形度変更部を有する、請求項6に記載の旋削工具用ステー。
  9. ロータ軸及びその軸方向に並ぶ複数枚のディスクを有するタービンロータを旋削加工するためのタービンロータ加工用旋盤であって、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の旋削工具用ステーと、
    タービンロータを前記ロータ軸の軸回りに回転させる回転装置と、
    前記旋削工具用ステーの前記主材部の先端部に装着される旋削工具と、
    前記旋削工具用ステーの先端部を隣り合う前記ディスク同士の間に挿入し、かつ、厚み方向が前記ロータ軸と略平行となる姿勢で前記旋削工具用ステーの基端部を保持し、旋削加工用の制御プログラムに従って前記旋削工具を前記ロータ軸に垂直な方向において当該ロータ軸に接離させるとともに前記ロータ軸に平行な方向にその旋削工具を移動させる移動装置とを備えた、タービンロータ加工用旋盤。
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