JP5956921B2 - 動吸振器 - Google Patents

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Description

本発明は、回転する工具を備えた工作機械に取り付けられて、工具の回転に伴って発生する振動を低減する動吸振器に関する。
従来、マシニングセンタなどの回転する工具を備えた工作機械に動吸振器を取り付けて、工具の振動を抑制することが知られている。一般に、動吸振器は、振動系の固有振動数と等しいような固有振動数を有するバネ−マス−ダンパ振動系を振動系に付加することにより、振動系の固有振動数周辺での共振現象を抑制するとともに振動を減衰させるものである。
例えば、特許文献1では、回転する工具の周りにハウジングを設け、このハウジングに振動減衰部(振動減衰部は動吸振器に相当)を取り付けた工作機械が示されている。この工作機械では、振動減衰部を構成する弾性部材および錘が、工具の回転の半径方向に沿うようにハウジングに取り付けられている。
特開2007−21657号公報
横型マシニングセンタなどの工作機械では、主軸の軸方向と略平行な方向をZ方向としたときに、Z方向と直交するX方向およびY方向ならびにZ方向に工具を移動させながら加工を行う。このような工作機械に取り付けられる動吸振器にはX方向とY方向に等しい制振特性、つまり、等方性を有する制振特性が要求される。動吸振器の制振特性が前述のような等方性を備えない場合は、例えば、工具がX方向に切削しながら移動するときとY方向に切削しながら移動するときとで動吸振器の制振効果が異なる。この結果、ワークの加工品質に異方性が生じる。
特許文献1に示された工作機械では、弾性部材と錘が工具の回転の半径方向に沿うように設けられるので、工具の回転の半径方向への振動抑制が期待できる。しかし、ハウジングに対し2か所の弾性部材を介して錘が取り付けられており、この構成では工具に対する振動減衰部の位置によっては制振効果に差が生じる虞れがある。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、工作機械に取り付けられる動吸振器であって、工具のX方向およびY方向への振動に対し等しい制振効果を発揮するものを提供することを目的とする。
本発明は、工作機械に取り付けられる動吸振器であって、
前記工作機械の主軸の軸方向と略平行な仮想のZ10軸を有するとともに、前記Z10軸と略平行な方向をZ1方向、前記Z1方向と略直交する2方向をそれぞれX1方向およびY1方向とする仮想のX1−Y1−Z1座標系を有し、
筐体と、前記X1方向および前記Y1方向の力に対する等方性を備えるように前記Z10軸の周りに配置されるとともに前記Z1方向の一方の端部が前記筐体に連結された4以上のバネから成るバネ要素と、前記バネ要素の前記Z1方向の他方の端部に連結されたマス要素と、前記マス要素の前記Z1方向の両側において前記マス要素と前記筐体との間に設けられたダンパ要素とを、備えているものである。上記において「前記X1方向および前記Y1方向の力に対する等方性」とは、X1方向およびY1方向の力を受けたときのバネ要素の物理的性質が、力を受ける方向によって変わらないことをいうものとする。
前記動吸振器において、前記4以上のバネの各々の中心が前記Z10軸を中心とする或1つの円周上にあり、前記4以上のバネが前記Z10軸を中心として周方向に均等に振り分け配置されていてよい。
また、前記動吸振器において、前記4以上のバネの各々の中心が前記Z10軸を中心とする或1つの円周上にあり、前記4以上のバネが前記Z10軸上で略直交するX1−Y1平面上の2直線上に配置されていてよい。
上記発明によれば、動吸振器はX1方向の振動とY1方向の振動に対し等しい制振効果を発揮できる。工作機械の主軸の軸方向を機械座標のZ方向とし、これと直交する2方向をそれぞれ機械座標のX方向とY方向としたときに、工作機械の主軸の周囲に取り付けられた動吸振器のZ10軸は機械座標のZ方向と略平行であり、動吸振器のX1−Y1平面は機械座標のX−Y平面と略平行である。よって、主軸に取り付けられた工具の機械座標のX方向の振動とY方向の振動に対して、動吸振器は等しい制振効果を発揮することができる。つまり、動吸振器は機械座標のX方向の振動とY方向の振動に対して等方性を有する制振特性を備えている。さらに、動吸振器は4以上のバネからなるバネ要素を備えることによって、バネ−マス−ダンパ振動系がZ10軸回りのねじれ方向(回転方向)に変形しにくい。このように動吸振器のねじれ方向の変形を抑制することにより、動吸振器の制振効果の低下を防止できる。
本発明は、前記動吸振器において、前記マス要素が、前記バネ要素の前記Z1方向の他方の端部に連結された錘基板と、前記錘基板に前記Z1方向に積層固定された複数の錘板とから成るものである。
上記構成によれば、錘板を異なる重さのものと取り換えることでマス要素の重量を容易に増減させることができる。
本発明は、前記動吸振器において、前記錘板の少なくとも1枚は、前記Z1方向の板厚が等しいが比重の異なる材料で構成された他の錘板と入れ替え可能であるものである。
上記構成によれば、マス要素の重量を増減する際に、マス要素全体のZ1方向の大きさを変化させることなく、重さだけを変化させることができる。これにより、マス要素の重量の調整に際して筐体や他の要素との位置やスペースの調整が不要であり、容易にマス要素の重量を調整することができる。
本発明は、前記動吸振器において、前記筐体の前記Z1方向と略直交する少なくとも1面および前記Z1方向と略平行な少なくとも1面が、開口枠と前記開口枠に着脱可能に取り付けられた面材とで形成されているものである。
動吸振器のバネ要素およびマス要素は、開口枠である前記筐体の前記Z1方向と直交する少なくとも1面から前記Z1方向に組み付けることができる。そして、マス要素の重量の調整の際にも、前記Z1方向にマス要素を解体および組み付けできることで、作業が容易となる。
本発明によれば、動吸振器はX1方向の振動とY1方向の振動に対し等しい制振効果を発揮できる。よって、動吸振器が取り付けられた工作機械の主軸の軸方向を機械座標のZ方向とし、これと直交する2方向をそれぞれX方向とY方向としたときに、主軸に取り付けられた工具の機械座標のX方向およびY方向への移動に対して、動吸振器は等しい制振効果を発揮することができる。
本発明の実施の形態に係る動吸振器が取り付けられた工作機械をX方向から見た図である。 本発明の実施の形態に係る動吸振器が取り付けられた工作機械をY方向から見た図である。 本発明の実施の形態に係る動吸振器の斜視図である。 動吸振器の内部構造を示す斜視図である。 動吸振器をY1−Z1平面で切断した断面図である。 動吸振器をX1−Y1平面で切断した断面図である。 本実施の形態に係るバネの配置をZ1方向から見た概略図である。 変形例1に係るバネ要素をZ1方向から見た概略図である。 変形例2に係るバネ要素をZ1方向から見た概略図である。 変形例3に係るバネ要素をZ1方向から見た概略図である。
次に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下では動吸振器を取り付ける工作機械の一例として横型マシニングセンタを用いて説明する。ただし、本発明に係る動吸振器が適用される工作機械はマシニングセンタに限定されない。図1は本発明の実施の形態に係る動吸振器が取り付けられた工作機械をX方向から見た図であり、図2は本発明の実施の形態に係る動吸振器が取り付けられた工作機械をY方向から見た図である。ここで、工作機械の主軸12の軸方向を機械座標のZ方向とし、Z方向と略直交する2方向をそれぞれX方向、Y方向とする。図1において、機械座標のX方向は紙面を貫く方向であり、Y方向は紙面の上下方向である。また、図2において、機械座標のX方向は紙面の左右方向であり、Y方向は紙面の上下方向である。
図1および2に示すように、本実施の形態に係る動吸振器10は、アダプター11を介して横型マシニングセンタの主軸12の周囲に取り付けられている。ここでは主軸12のX方向に動吸振器10が取り付けられているが、動吸振器10は主軸12の周囲のどの位置に取り付けられていても構わない。主軸12には工具13が着脱可能に装着されている。この工具13は、例えば、切削加工を行う刃具である。治具によりイケール15に固定されたワーク16に対して、主軸12が工具13を回転させながらX,Y,Z方向に移動させることにより、ワーク16が加工される。なお、マシニングセンタは一般に知られた工作機械であり、その詳細な説明については省略する。
動吸振器10は、機械座標のZ方向と平行な軸方向を有する。以下では、動吸振器10の軸方向と平行な方向をZ1方向とし、Z1方向と略直行する2方向をそれぞれX1方向、Y1方向とする。このように動吸振器10は仮想のX1−Y1−Z1座標系を有することとする。図2において、主軸12の外周の接線方向がY1方向であり、工具13を中心とする放射方向(半径方向)がX1方向である。
図3は本発明の実施の形態に係る動吸振器の斜視図、図4は動吸振器の内部構造を示す斜視図、図5は動吸振器をY1−Z1平面で切断した断面図、図6は動吸振器をX1−Y1平面で切断した断面図である。図4は、動吸振器10を図3と同じ方向から見た斜視図であるが、内部構造をわかりやすくするために、筐体21から面材23が外されている。
図3〜6に示すように、動吸振器10はZ1方向に延びる仮想のZ10軸を有する。動吸振器10では、Z10軸を中心軸として、筐体21内にバネ要素、マス要素およびダンパ要素から成るバネ−マス−ダンパ振動系が構築されている。以下、動吸振器10の構造について詳細に説明する。
まず、筐体21について説明する。筐体21は、フレーム22と、フレーム22に取り付けられた複数の面材23とで全体として直方体に形成されている。フレーム22は、アダプター11に固定される固定板221と、固定板221と略直交する組付け基板222と、他の枠構成部材223,,,とで直方体に形成されている。組付け基板222の主面は、Z10軸と略直交するX1−Y1平面である。フレーム22の固定板221と組付け基板222以外の4面は開口枠となっている。ただし、筐体21は、Z1方向と直交する少なくとも1面およびZ1方向と略平行な少なくとも1面が、開口枠となっていればよい。このフレーム22の開口枠を利用して、筐体21内に動吸振器10の各構成要素をZ1方向から組み付けることができる。そして、筐体21内部に構成要素を組み付けたあとで、フレーム22の開口枠となっている面の各々に面材23が着脱可能に取り付けられる。フレーム22に取り付けられた面材23は筐体21の剛性を向上させており、これにより筐体21の変形が抑制されている。
次に、バネ要素について説明する。バネ要素はZ1方向の一方の端部が筐体21の組付け基板222に連結された4以上のバネ25から成る。4以上のバネ25はいずれも同じ形状であって同じ弾性係数(バネ定数)のものである。4以上のバネ25は、バネ要素全体としてX1方向およびY1方向の力に対する等方性を備えるように筐体21内に配置されている。ここで「X1方向およびY1方向の力に対する等方性」とは、X1方向およびY1方向の力を受けたときのバネ要素の物理的性質が、力を受ける方向によって変わらないことをいう。
本実施の形態では、4本のバネ25が、バネ要素全体としてX1方向およびY1方向の力に対して等方性を備えるように、筐体21に配置されている。図7は本実施の形態に係るバネ25の配置をZ1方向から見た概略図である。図7では、バネ25と筐体21の組付け基板222以外の要素を省略して示しており、Z10軸を通るX1方向の直線をX10軸とし、Z10軸を通るY1方向の直線をY10軸として示している。図6および図7に示すように、4本のバネ25をZ1方向から見たときに、Z10軸を中心とする或1つの円周上に4本のバネ25の各中心軸25Cが位置しており、4本のバネ25が配置Z10軸の周りに周方向に均等に振り分け配置されている。このように配置された4本のバネ25は、隣接するバネ同士の中心軸25Cの中心角が等しく、且つ、Z10軸から中心軸25Cまでの距離が等しい。また、4本のバネ25をZ1方向から見たときに、X1−Y1平面上のZ10軸を通るどの直線に関しても、4本のバネ25が線対称となっている。例えば、図7では、X10軸とY10軸とにより区画される第1〜4象限のそれぞれにバネ25が配置されている。そして、X10軸を挟んで2つずつ配置された計4つのバネ25は、X10軸に関し線対称となるように配置されている。同様に、Y10軸を挟んで2つずつ配置された計4つのバネ25は、Y10軸に関し線対称となるように配置されている。
上記のように配置された本実施の形態に係るバネ要素は、バネ25が組み付けられる略正方形の組付け基板222を基準として見れば、組付け基板222の4隅に弾性係数の等しい4本のバネ25が配置されている。換言すれば、弾性係数の等しい4本のバネ25がZ10軸で直交する2本のX1−Y1平面上の直線上(ここでは、組付け基板222の直交対角線上)に配置されている。ただし、バネ要素の形態は上記に実施の形態に限定されない。例えば、図8に示すように、バネ要素は、前述の実施の形態のバネ要素と比較して各バネ25の位相がZ10軸を中心として45°ずれて配置されていてもよい。
また、本実施の形態に係るバネ要素は弾性係数の等しい4本のバネを備えているが、バネ25の数は4本以上であればよく、さらに、弾性係数の異なるバネが用いられていてもよい。要するに、バネ要素がX1方向およびY1方向の力に対して等方性を備えていれば、バネ要素を構成しているバネ25の形態は上記実施の形態に限定されない。例えば、図9に示すように、バネ要素は、弾性係数の等しい4の倍数(8,12,,,)本のバネ25が、Z10軸から中心軸25Cまでの距離が等しくなるように、配置Z10軸の周りに周方向に均等に振り分け配置されたものであってよい。ここでは、動吸振器10にX1方向とY1方向に対し等しい制振効果を発揮するバネ要素を簡易に設計するために、バネ要素を構成しているバネ25の数を4の倍数としている。また、例えば、図10に示すようにバネ要素が配置されてもよい。この例では、X10軸とY10軸とにより区画される第1象限と第3象限にそれぞれ2つの小さい円で示されるバネ25が配置され、第2象限と第4象限にそれぞれ大きな円で示されるバネ25が配置されている。そして、小さな円で示される2つのバネ25の組が、大きな円で示される1つのバネ25とバネの特性上等価であることによって、バネ要素はX1方向およびY1方向の力に対して等方性を備えている。なお、上記図8〜10は、変形例1〜3に係るバネ要素をZ1方向から見た概略図であり、これらの図ではバネ25と筐体21の組付け基板222以外の要素を省略して示しており、Z10軸を通るX1方向の直線をX10軸とし、Z10軸を通るY1方向の直線をY10軸として示している。
上記のように4以上のバネ25はバネ要素がX1方向およびY1方向の力に対して等方性を備えるように配置され、これらのバネ25でマス要素を支持することにより、動吸振器10はX1方向の振動とY1方向の振動に対し等しい制振効果を発揮できるようになっている。さらに、動吸振器10がZ10軸の周りに配置された4以上のバネ25からなるバネ要素を備えることによって、動吸振器10のバネ−マス−ダンパ振動系がZ10軸回りのねじれ方向(回転方向)に変形しにくい。バネ−マス−ダンパ振動系にねじれ方向の振動モードが発生すると、バネ−マス−ダンパ振動系のパフォーマンスが阻害されて制振効果が低下してしまう。これに対し、上記動吸振器10では、バネ−マス−ダンパ振動系のねじれ方向の変形が抑制されていることにより、制振効果の低下を防止することができる。
バネ要素を構成している各バネ25は、Z1方向に延びる中心軸25Cを回転の中心とする回転体に形成されている。バネ25は、例えばポリアセタール(POM)から成る樹脂バネであって、一体的に成形されたものである。ただし、バネ25の材質は樹脂に限らず、金属等であってもよい。要するに、バネ25の形状および材質は所望の共振周波数が得られる形状および材質であればよい。バネ25の大部分はZ1方向に延びる柱状体であって、バネ25のZ1方向の両端近傍にフランジ251,251が設けられている。バネ25の一方のフランジ251は、筐体21の組付け基板222にボルト40とナットプレート41からなる締結具で固定されている。バネ25の他方のフランジ251は、後述する錘26の錘基板261にボルト42とナットプレート43から成る締結具で固定されている。
バネ25のZ1方向の両端はフランジ251,251よりも突出した突出部252,252となっている。この突出部252,252が組付け基板222と後述する錘基板261の各々に設けられた位置決め孔222a,261aに嵌入することによって、バネ25が組付け基板222と錘基板261に相対的に位置固定される。
続いて、マス要素について説明する。マス要素である錘26は、バネ要素のZ1方向の端部に連結された錘基板261と、錘基板261にY1方向に積層され固定された複数の錘板262とから構成されている。錘基板261と複数の錘板262とはボルト44およびナット45から成る締結具によってY1方向に締結されている。錘26はその重心がZ10軸上にあるように配置されている。本実施の形態に係る錘基板261および錘板262は、Z10軸と略直交する主面が略正方形であり、Z1方向に厚みを有する厚板状である。そして、錘基板261および錘板262の略正方形の対角線の交点にZ10軸が位置している。ただし、錘基板261および錘板262の形状はこれに限定されず、例えば、Z10軸と略直交する主面がZ10軸を中心とした円形であってZ1方向に厚みを有する厚板状とすることもできる。
錘板262は複数種類の板厚のものが用いられている。さらに、錘板262の少なくとも1枚は、Z1方向の板厚が等しいが比重の異なる材料で構成された他の錘板と入れ替え可能に構成されている。このように、錘板262を異なる重さのものと取り換えることで、マス要素の重量を容易に増減させることができるようにしている。さらに、マス要素の重量を増減する際に、マス要素全体のZ1方向の大きさを変化させることなく、重さだけを変化させることができるようにしている。これにより、マス要素の重量の調整に際して筐体や他の要素との位置やスペースの調整が不要であり、容易にマス要素の重量を調整することができる。例えば、アルミニウム等の比較的比重の小さい材料でなる錘板262と、タングステン等の比較的比重の大きい材料でなる錘板262とをそれぞれ用意し、外形(特に、Z1方向の厚み)が同じで重さの異なる錘板262同士を入れ替える。本実施の形態では、錘基板261はステンレス製であり、錘板262のうち比較的比重の大きい材料でなるものはタングステン合金製である。そして、主として使用される錘板262を比較的比重の大きいタングステン合金製とすることによって、錘26の体積をより小さくして動吸振器10全体がコンパクトになるようにしている。
続いて、ダンパ要素について説明する。動吸振器10のダンパ要素は、振動エネルギーを吸収して振動を減衰させるものであって、本実施の形態では2つのダンパ27から成る。2つのダンパ27のダンパ特性(減衰係数)は同じであってもよいし相違していてもかまわない。本実施形態に係るダンパ27は板状のゴム材である。ダンパ27は、錘26のZ1方向両側のそれぞれにおいて、Z10軸の周囲に設けられている。第1のダンパ271は、錘基板261のZ1方向一方側に設けられたスペーサブロック30と、筐体21の組付け基板222との間に設けられている。第2のダンパ272は、錘26と筐体21の面材23との間に設けられている。従って、筐体21の組付け基板222からZ1方向に、第1のダンパ271、スペーサブロック30、錘26(錘基板261および複数の錘板262)、第2のダンパ272、および筐体21の面材23の順に並んでいる。
ここで、上記構成の動吸振器10のマシニングセンタの主軸12への組み付け手順を説明する。
まず、マシニングセンタの主軸12の周囲に、アダプター11を固定する。ここで、図6に示すように、アダプター11はボルト等の締結具51により主軸12の周囲に締結される。さらに、アダプター11に筐体21のフレーム22のうち固定板221を固定する。ここでも、図6に示すように、固定板221はボルト等の締結具52によりアダプター11に締結される。
次に、4本のバネ25のZ1方向の一方の端部を筐体21の組付け基板222に取り付ける。具体的には、組付け基板222に設けられた位置決め孔222aにバネ25の突出部252を嵌め入れ、バネ25のフランジ251と組付け基板222をこれらをZ1方向に貫くボルト40とナットプレート41から成る締結具で締結する。このようにして4本のバネ25の一方の端部を組付け基板222に固定する。
続いて、4本のバネ25のZ1方向の他方の端部を錘26の錘基板261を取り付ける。具体的には、錘基板261に設けられた位置決め孔261aにバネ25の突出部252を嵌め入れ、バネ25のフランジ251と錘基板261をこれらをZ1方向に貫くボルト42とナットプレート43から成る締結具で締結する。それと同時に、組付け基板222と錘基板261との間に、第1のダンパ271とスペーサブロック30とを介挿する。なお、組み立てを容易にするために、スペーサブロック30に第1のダンパ271が接着剤などで固定されていてもよい。
続いて、錘基板261に錘板262を固定する。具体的には、錘基板261と複数の錘板262をZ1方向に積層し、これらをZ1方向に貫くボルト44とナット45から成る締結具で締結する。
最後に、筐体21のフレーム22の開口枠となっているすべての面に面材23を固定する。面材23はフレーム22の開口枠を覆うように配置され、ボルトおよびナットから成る締結具によりフレーム22と締結される。ここで、組付け基板222と対向する面材23をフレーム22に固定するときには、錘26の最も端に位置する錘板262と面材23との間に第2のダンパ272を介挿する。なお、組み立てを容易にするために、錘26の最も端に位置する錘板262に第2のダンパ272が接着剤などで固定されていてもよい。
上記のように動吸振器10の筐体21に組み付けられたバネ−マス−ダンパ振動系は、振動を抑制する対象物体である主軸12の固有振動数と同じまたは近い固有振動数となるように調整される。バネ−マス−ダンパ振動系の調整のために、動吸振器10では主に錘26の重量を変更させる。場合によっては、バネ25をバネ定数が異なるバネに取り換えたり、ダンパ27を減衰係数の異なるダンパに取り換えたりする。このように調整された動吸振器10では、主軸12の振動に伴いバネ−マス−ダンパ振動系が共振することにより主軸12の振動を低減できる。さらに、動吸振器10のダンパ27が振動エネルギーを吸収する結果、主軸12の振動を減衰させることができる。
以上のようにマシニングセンタの主軸12に取り付けられた動吸振器10のZ10軸およびZ方向は、主軸12の機械座標のZ方向と略平行である。したがって、主軸12の機械座標のX−Y平面は、動吸振器10のX1−Y1平面と略平行である。動吸振器10は、4本のバネ25がX1方向およびY1方向の力に対して等方性を備えるようにZ10軸の周りに配置されることによって、X1方向の振動とY1方向の振動に対し等しい制振効果を発揮できる。ここで、上述の通り主軸12の機械座標のX−Y平面は動吸振器10のX1−Y1平面と略平行であるので、動吸振器10では主軸12の機械座標のX方向の振動とY方向の振動に対し等しい制振効果を発揮することができる。換言すれば、動吸振器10は工作機械の主軸12の軸方向に垂直な2方向(X方向とY方向)の振動に対して等方性を有する制振特性を備えている。
また、動吸振器10では、前述のとおりバネ−マス−ダンパ振動系の特性の調整を行うが、この調整作業を容易とするために、動吸振器10は一方向(ここではZ1方向)から構成要素の組み付けができるように構成されている。さらに、筐体をフレーム構造とし、フレーム22の開口枠を通って内部へ構成要素を組み付けできるようにしている。例えば、錘26の重量を変更する場合には、組付け基板222と対向する面材23をフレーム22から取り外し、複数の錘板262を錘基板261に締結しているボルト44を取り外し、錘板262を異なる重さのものと取り換え、再びボルト44で複数の錘板262を錘基板261に締結し、組付け基板222と対向する面材23をフレーム22へ取り付ける。
上述のように動吸振器10ではバネ−マス−ダンパ振動系の調整作業を容易に行うことができる。したがって、動吸振器10のバネ−マス−ダンパ振動系の特性を、取り付ける工作機械の特性に合わせて最適に調整することが容易である。つまり、既存の工作機械にも本実施形態に係る動吸振器10を適用することが容易である。
〔実施例1〕
ここで、工作機械に上記動吸振器10を取り付けた一実施例を紹介する。この実施例に係る工作機械は横型マシニングセンタである。この横型マシニングセンタでは、主軸に刃具を取り付けてチタン合金等の難削材の切削加工を行っている。動吸振器を取り付ける以前は、切削加工時の加工条件(切り込み量、主軸回転数など)によってはビビリ振動が発生することがあった。ビビリ振動は、工具とワークの間で継続的に発生する振動のことである。このビビリ振動が生じるとワークの切削面に振動に対応した痕跡が残り、加工品質が低下する。また、ビビリ振動は工具や工作機械を損傷させる原因となり得る。よって、ビビリ振動の発生を回避するために加工速度を上げることができず、生産効率の上昇が妨げられていた。
そこで、以下のようにして設計されたパッシブな動吸振器を横型マシニングセンタの主軸に取り付けて、ビビリ振動を抑制するようにした。動吸振器は、横型マシニングセンタの主軸の軸方向と動吸振器のZ10軸とが略平行となるように、横型マシニングセンタの主軸の側部に取り付けた。
動吸振器のバネ−マス−ダンパ振動系の特性の設計条件を、固有値計測の結果と、3次元CADおよびCAEによる固有値解析結果とから求めた。なお、設計の制約として、軸方向の切り込み量の絶対安定限界を1.5倍とした。
固有値計測の結果、横型マシニングセンタの主軸の上下(図1ではY方向に相当)及び左右(図1ではX方向に相当)の固有振動モードが96Hzであった。よって、動吸振器のバネ−マス−ダンパ振動系の目標固有振動数の目標値を96Hzとした。
バネ−マス−ダンパ振動系のマス要素の重量は、横型マシニングセンタとマス要素の質量比が0.05以上となる値とした。また、バネ要素のバネ定数は、固有値解析により導き出された最適値の0.9〜1.1倍の範囲に含まれる値とした。また、ダンパ要素の減衰係数は、固有値解析により導き出された最適値の0.5〜2.0倍の範囲に含まれる値とした。
上記のように設計された動吸振器を横型マシニングセンタの主軸に取り付けることにより、従来と比較して切削速度や主軸回転数を上げてもビビリ振動の発生が抑制された。つまり、従来と比較して切削速度や主軸回転数が増加しても高品質の切削加工を行えるようになった。これにより切削加工速度を増加させることが可能となるので、生産効率の向上が期待される。
10 動吸振器
11 アダプター
12 (工作機械の)主軸
13 工具
15 イケール
16 ワーク
21 筐体
22 フレーム
221 固定板
222 組付け基板
222a 位置決め孔
23 面材
25 バネ
251 フランジ
252 突出部
26 錘
261 錘基板
261a 位置決め孔
262 錘板
27 ダンパ
271 第1のダンパ
272 第2のダンパ
30 スペーサブロック

Claims (6)

  1. 工作機械に取り付けられる動吸振器であって、
    前記工作機械の主軸の軸方向と略平行な仮想のZ10軸を有するとともに、前記Z10軸と略平行な方向をZ1方向、前記Z1方向と略直交する2方向をそれぞれX1方向およびY1方向とする仮想のX1−Y1−Z1座標系を有し、
    筐体と、
    前記X1方向および前記Y1方向の力に対する等方性を備えるように前記Z10軸の周りに配置されるとともに前記Z1方向の一方の端部が前記筐体に連結された4以上のバネから成るバネ要素と、
    前記バネ要素の前記Z1方向の他方の端部に連結されたマス要素と、
    前記マス要素の前記Z1方向の両側において前記マス要素と前記筐体との間に設けられたダンパ要素とを、
    備えている、動吸振器。
  2. 前記4以上のバネの各々の中心が前記Z10軸を中心とする或1つの円周上にあり、
    前記4以上のバネが前記Z10軸を中心として周方向に均等に振り分け配置されている、請求項1に記載の動吸振器。
  3. 前記4以上のバネの各々の中心が前記Z10軸を中心とする或1つの円周上にあり、
    前記4以上のバネが前記Z10軸上で略直交するX1−Y1平面上の2直線上に配置されている、請求項1に記載の動吸振器。
  4. 前記マス要素が、前記バネ要素の前記Z1方向の他方の端部に連結された錘基板と、前記錘基板に前記Z1方向に積層固定された複数の錘板とから成る、請求項1〜3のいずれか一項に記載の動吸振器。
  5. 前記錘板の少なくとも1枚は、前記Z1方向の板厚が等しいが比重の異なる材料で構成された他の錘板と入れ替え可能である、請求項4に記載の動吸振器。
  6. 前記筐体の前記Z1方向と略直交する少なくとも1面および前記Z1方向と略平行な少なくとも1面が、開口枠と前記開口枠に着脱可能に取り付けられた面材とで形成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の動吸振器。
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