JP2012254514A - 切削インサートのクランプ機構、ホルダ、切削インサート及び切削工具 - Google Patents

切削インサートのクランプ機構、ホルダ、切削インサート及び切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】貫通孔が形成された切削インサートをホルダのインサート取付座に安定的に固定することが可能な切削インサートのクランプ機構、ホルダ、切削インサート、及び切削工具を提供する。
【解決手段】貫通孔33が形成された切削インサート3を、固定部材11によってホルダのインサート取付座42に装着するために、固定部材11は、インサート取付座42から突出してインサート取付座42に着座した切削インサート3の貫通孔33を貫通する軸部13と、この軸部13の先端側に設けられるとともにインサート取付座42側に移動可能とされて軸部13の軸線L13回りの一部から軸線L13に直交する方向に張り出すように形成された頭部14とを備えていて、この頭部14が、切削インサート3の軸線L13方向先端側における貫通孔33の開口部に形成された拡径部33bと係合して切削インサート3がクランプされる。
【選択図】図4

Description

本発明は、切削インサートのクランプ機構、及びこれを備えたホルダ、切削インサート、並びに、これらを備える切削工具に関する。
従来、金属材料(被削材)に旋削加工等を施す刃先交換工具が知られている。この種の刃先交換工具として、多角形板状や円板状をなし超硬合金等の硬質材料からなる切削インサートと、軸状をなし、先端部に切削インサートを取り付けるための凹状のインサート取付座が形成されたホルダとを備えたものがある。また、ホルダのインサート取付座と切削インサートとの間にはシート部材が取り付けられる場合がある。切削インサートは、多角形面や円形面からなるすくい面と、このすくい面に交差して連なるとともに該切削インサートの周壁をなす逃げ面と、すくい面の外周縁に形成されてこれらすくい面及び逃げ面の交差稜線部をなす切れ刃とを有している。そして、切削インサートは、ホルダに設けられたクランプ機構によって、ホルダのインサート取付座に装着されている。
切削インサートを装着するクランプ機構としては様々な機構が提案されている。
具体的には、第一の機構としては、切削インサートに取り付けられたL字のレバーの先端を、ホルダに螺合された雄ネジを有する固定部材に係合させて、ネジの締め付け力で押し込むことによってクランプする機構がある(例えば、非特許文献1の図3.3.54参照)。
また、第二の機構としては、ホルダにクランプ駒を固定し、該クランプ駒によって切削インサートをインサート取付座に押し付けることによってクランプする機構がある(例えば、非特許文献1の図3.3.52参照)。
また、第三の機構としては、インサート取付座から突出する軸部と、該軸部の先端から張り出す円錐状の頭部とを有する固定部材を備えている。また、切削インサートを、インサート取付座に着座する着座部から、該着座部と反対側のすくい面まで貫通するとともに、すくい面に開口する側で拡径する拡径部を有する貫通孔を備えるものとする。そして、該固定部材の軸部を、インサート取付座に取り付ける切削インサートの貫通孔に貫通させ、頭部を拡径部に収容させて切削インサートに係合させることによってクランプする機構がある(例えば、非特許文献1の図3.3.53及び図3.3.58、並びに、特許文献1参照)。
特開2006−263856号公報
「超硬工具用語集」、超硬工具協会、2008年8月、p.106
しかしながら、第一の機構では、切削インサートをインサート取付座に押し付ける力が弱く、強固に装着することができない。このため、切削時に切削インサートが振動しやすく、結果被削材にチッピングや欠損が生じやすいという問題があった。
また、第二の機構でも、第一の機構における上記問題を有している。さらに、第二の機構では、切削インサートのすくい面からクランプ駒が突出しているので、特に重切削を行う場合に切屑がクランプ駒に接触してしまうこととなる。このため、クランプ駒が切屑によって摩滅して損傷してしまうおそれがあった。さらに、クランプ駒によって切屑の排出が阻害され、噛み込んでしまい、被削材を傷付けてしまうおそれがあった。
また、第三の機構では、切削インサートを係合する固定部材の頭部が、切削インサートに形成された貫通孔の拡径部に収容されている。ここで、拡径部を大きくすることによって、拡径部に収容し係合させる円錐状の頭部を大きくすることができ、より広い範囲で切削インサートを係合することができる反面、切削インサートにおける空洞部分が大きくなってしまう。このため、切削インサートの強度を確保する観点から、拡径部を大きくすることには限界があり、従って拡径部に収容される固定部材の頭部の大きさにも限界あった。このため、切削インサートを貫通孔の周囲の限られた範囲でしか固定部材によって固定することができず、振動が生じないように安定的に切削インサートを固定することができない問題があった。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、切削インサートをホルダのインサート取付座に安定的に固定することが可能な切削インサートのクランプ機構、ホルダ、切削インサート、及び切削工具を提供するものである。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、貫通孔が形成された切削インサートを、固定部材によってホルダのインサート取付座に装着するための切削インサートのクランプ機構であって、前記固定部材は、前記インサート取付座から突出して前記インサート取付座に着座した前記切削インサートの前記貫通孔を貫通する軸部と、この軸部の先端側に設けられるとともに前記インサート取付座側に移動可能とされて該軸部の軸線回りの一部から該軸線に直交する方向に張り出すように形成された頭部とを備えていて、この頭部が、前記切削インサートの前記軸線方向先端側における前記貫通孔の開口部に形成された拡径部と係合して該切削インサートがクランプされることを特徴としている。
この構成によれば、前記固定部材の前記軸部の先端側に設けられるとともに前記インサート取付座側に移動可能とされて切削インサートの貫通孔開口部の拡径部と係合する頭部が、軸部の軸線回りの一部から、軸線に直交する方向に張り出すように形成されている。このため、軸部から張り出して切削インサートを係合する頭部全体の面積を最小限に抑えつつ、軸部の軸線に直交する方向により離れた位置で切削インサートを係合することができる。
また、上記の切削インサートのクランプ機構において、前記頭部は、前記軸部の軸線回りに等間隔で放射状に複数張り出していることを特徴としている。
この構成によれば、軸部の軸線回りに均等に切削インサートを係合し固定することができる。
また、上記の切削インサートのクランプ機構において、前記頭部は、前記軸部の先端側に向けてテーパ状に拡径していることを特徴としている。
この構成によれば、切削インサートをインサート取付座に押し付ける面がテーパ状に形成されることになるため、頭部から切削インサートに作用する押し付ける力を軸部の軸線に直交する方向にも作用させて、より強固にインサート取付座に切削インサートを固定することができる。
また、上記の切削インサートのクランプ機構において、前記頭部は、前記切削インサートの前記拡径部が形成された多角形面とされる側面と相似形の多角形となる先端面を備えた角錐状に形成されるとともに、該頭部の前記先端面の角部が前記切削インサートの前記側面の角部と、前記軸部の軸線回りに異なる向きとなるように前記頭部が配置されていることを特徴としている。
この構成によれば、頭部の先端面が切削インサートの拡径部が形成された側面と相似形の多角形であることで、切削インサート全体を均一にインサート取付座に押し付けて固定することができる。そして、頭部の先端面の角部が、切削インサートにおいて、切削に用いられる角部と軸部の軸線回りに異なる向きとなるように配置されているので、切削によって生成される切屑が頭部に接触して損傷してしまうことをより確実に防止することができる。
また、上記の切削インサートのクランプ機構において、前記軸部は、前記軸線方向基端側に形成されて前記ホルダの前記インサート取付座に形成された軸部取付用ネジ穴に螺合される第一の雄ネジと、前記軸線方向先端側に形成されて前記第一の雄ネジと逆回りとなるように形成された第二の雄ネジとを有し、前記頭部は、該第二の雄ネジに螺合する締付用ネジ穴を有することを特徴としている。
この構成によれば、切削インサートをホルダのインサート取付座に装着する際には、軸部の第二の雄ネジに頭部の締付用ネジ穴を螺合させる。そして、頭部の回転を規制した状態で、ホルダのインサート取付座に形成された軸部取付用ネジ穴に軸部の第一の雄ネジを螺合させ締付ける。すると、第一の雄ネジと第二の雄ネジとが逆回りであるため、頭部はインサート取付座側へと引き込まれるように移動することとなり、これにより切削インサートをホルダのインサート取付座に押し付けて固定することができる。
また、本発明のホルダは、上記の切削インサートのクランプ機構を備えることを特徴としている。
この構成によれば、上記クランプ機構によって切削インサートをインサート取付座に安定的に固定することができる。
また、本発明は、ホルダのインサート取付座から突出する軸部と、この軸部の先端側に設けられるとともに前記インサート取付座側に移動可能とされて該軸部の軸線と直交する方向に張り出す頭部とを有する固定部材を備えたクランプ機構によって前記ホルダの前記インサート取付座に装着される切削インサートであって、前記ホルダの前記インサート取付座に着座する着座部が形成されたインサート本体に、該着座部が設けられた前記インサート本体の一方の側面から他方の側面に向けて該インサート本体を貫通する貫通孔が形成されており、前記貫通孔には、前記インサート本体の前記他方の側面への開口部側に、該貫通孔の軸線回りの一部で該軸線と直交する方向に張り出すように拡径して前記クランプ機構の前記固定部材における前記頭部が係合する拡径部が形成されていることを特徴としている。
この構成の切削インサートによれば、ホルダのインサート取付座に装着する場合には、例えば拡径部の形状と対応するように軸部の軸線回りの一部で軸線と直交する方向に張り出すように形成された頭部を有する上述のような固定部材を用いて、インサート取付座から突出する軸部を貫通孔に挿入するとともに、頭部をインサート取付座側に移動させて拡径部に係合させることにより、頭部によって切削インサートをインサート取付座側に押し付けて、ホルダのインサート取付座に装着することができる。ここで、固定部材の頭部が係合する拡径部について、貫通孔の軸線回りの一部で、該軸線と直交する方向に張り出すように拡径していることで、拡径部全体の面積を最小限に抑えつつ、対応する形状の固定部材の頭部によって、貫通孔の軸線に直交する方向により離れた位置で係合されるようにすることができる。
また、上記の切削インサートにおいて、前記着座部と前記貫通孔の前記拡径部とは、前記インサート本体の一方の側面と他方の側面との双方の側面にそれぞれに設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、インサート本体の双方の側面のそれぞれに着座部と貫通孔の拡径部とが設けられているので、両側面をすくい面とし、その外縁を切れ刃として用いることができる。すなわち、一方の側面の着座部をインサート取付座に着座させて他方の側面の拡径部に固定部材の頭部を係合させて装着し、他方の側面をすくい面とし、その外縁を切れ刃として用いた後に、インサート本体を反転してインサート取付座に取り付け直すことで、取り付け直し前は他方の側面とされていた側面を一方の側面としてその着座部をインサート取付座に着座させるとともに、取り付け直し前は一方の側面とされていた側面を他方の側面として、その拡径部に固定部材の頭部を係合させて装着し、この側面をすくい面とし、その外縁を切れ刃として用いることができる。
また、上記の切削インサートにおいて、前記着座部は、前記双方の側面のそれぞれに複数設けられ、これら双方の側面のそれぞれに設けられた前記拡径部は、該側面に形成された前記着座部同士の間に張り出すように形成されていることを特徴としている。
この構成によれば、拡径部が、着座部同士の間に張り出すように形成されていることで、貫通孔の軸線回りに互いに干渉することなく、該軸線に直交する方向に離れた位置で、着座部及び拡径部の張り出した部分とを配置することができる。このため、貫通孔に挿入した固定部材の頭部によって、前記軸線に直交する方向により離れた位置で他方の側面の拡径部が係合されるようにすることができるとともに、反対側の一方の側面の着座部によって、貫通孔の軸線に直交する方向により離れた位置でインサート本体をインサート取付座に着座させることができ、安定的に固定することができる。
また、上記の切削インサートにおいて、前記貫通孔の前記拡径部は、前記他方の側面に向けてテーパ状に拡径していることを特徴としている。
この構成によれば、固定部材の頭部によって押し付けられる拡径部がテーパ状に形成されているため、頭部から切削インサートに作用する押し付ける力を貫通孔の軸線に直交する方向にも作用させて、より強固にインサート取付座に固定することができる。
また、上記の切削インサートにおいて、前記他方の側面は多角形とされ、前記貫通孔の前記拡径部は、前記他方の側面への開口部が該他方の側面と相似形の多角形となる凹角錐状とされるとともに、前記開口部の角部が、前記他方の側面の角部の位置に対して、前記貫通孔の軸線回りに異なる位置となるように形成されていることを特徴としている。
この構成によれば、拡径部の開口部が他方の側面と相似形の多角形であることで、拡径部に収容される固定部材の頭部によって均一にインサート取付座に押し付けさせて固定することができる。そして、拡径部の角部が、切削に用いられる他方の側面の角部と、貫通孔の軸線回りに異なる位置となるように形成されていることで、切削によって生成される切屑が拡径部に収容される頭部に接触して損傷してしまうことをより確実に防止することができる。
本発明の切削工具は、上記のホルダと、該ホルダに取り付けられた上記の切削インサートとを備えることを特徴としている。
この構成によれば、切削インサートを振動が生じないように安定的にホルダに取り付けて、当該切削インサートによって被削材を切削することができ、チッピングや欠損を確実に防止することができる。
本発明では、切削インサートをホルダのインサート取付座に安定的に固定することができる。
本発明の第1の実施形態の刃先交換工具の概要を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の刃先交換工具の先端側を拡大した上面図である。 図2の切断線A―Aでの断面図である。 図2の切断線B−Bでの断面図である。 本発明の第1の実施形態の刃先交換工具において、シート部材の詳細を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の刃先交換工具において、固定部材の詳細を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の刃先交換工具において、係止ピンの詳細を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の刃先交換工具において、切削インサートの詳細を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態の刃先交換工具の先端側を拡大した上面図である。 図9の切断線C―Cでの断面図である。 図9の切断線D−Dでの断面図である。 本発明の第2の実施形態の刃先交換工具において、軸部の詳細を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態の刃先交換工具において、頭部の詳細を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態の刃先交換工具の先端側を拡大した上面図である。 図14の切断線E―Eでの断面図である。 図14の切断線F−Fでの断面図である。 本発明の第3の実施形態の刃先交換工具において、固定部材の詳細を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態の刃先交換工具において、切削インサートの詳細を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態の刃先交換工具において、シート部材の詳細を示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態の刃先交換工具の概要を示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態の刃先交換工具の先端側を拡大した上面図である。 本発明の第4の実施形態の刃先交換工具において、切削インサートの詳細を示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態の刃先交換工具において、シート部材の詳細を示す斜視図である。 図21の切断線G―Gでの断面図である。 図21の切断線H−Hでの断面図である。 本発明の第4の実施形態の刃先交換工具において、固定部材の詳細を示す斜視図である。
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図8を参照して説明する。
図1及び図2は、本実施形態の切削工具である刃先交換工具1を示している。図1及び図2に示すように、刃先交換工具1は、工作機械等に保持されるホルダ2と、ホルダ2に着脱可能に装着される平板状をなす切削インサート3とを備える。そして、切削インサート3の切れ刃3cを用いて被削材の旋削加工が行われる。ホルダ2は、断面矩形の軸状をなし、先端部41に切削インサート3が装着されるインサート取付座42を具備する工具本体4と、工具本体4のインサート取付座42との間に介装された平板状をなすシート部材5と、インサート取付座42に切削インサート3を装着するクランプ機構10とを有する。
ここで、工具本体4の延在する方向をX方向とし、インサート取付座42が設けられた先端側を一方X1側、反対側を他方X2側とする。また、X方向に直交して工具本体4に取り付けられた切削インサート3及びシート部材5の概略厚さ方向となる方向をZ方向とし、インサート取付座42が設けられた側を一方Z1側、反対側を他方Z2側とする。さらに、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とし、インサート取付座42が設けられた側を一方Y1側、反対側を他方Y2側とする。
工具本体4は、鋼材等からなり、先端部41以外の中央部及び基端部を工作機械に回り止めされた状態で保持される。工具本体4の先端部41において、Z方向一方Z1側となる上面41aが、中央部及び基端部の上面よりも一方Z1側に向けて一段突出するように形成されている。そして、先端部41の一部が切り欠かれて、Z方向一方Z1側の上面41a、X方向一方X1側の端面である先端面41b、及びY方向一方Y1側の一側面に開口するようにして、切削インサート3が装着されるインサート取付座42が設けられている。また、先端部41の上面41aは、工具本体4の延在するX方向に沿って基端側から先端側に向かうに従い、Z方向に沿って一方Z1側から他方Z2側に向かうように傾斜している。さらに、先端部41の上面41aは、Y方向に沿って他方Y2側から一方Y1側に向かって、Z方向に沿って一方Z1側から他方Z2側に向かうように傾斜している。また、先端部41において、Y方向一方Y1側の一側面41cは、X方向に沿って基端側から先端側に向かって、Y方向に沿って一方Y1側から他方Y2側に向かうように傾斜している。
図2から図4に示すように、工具本体4のインサート取付座42は、底面をなすZ方向一方Z1側を向く座面42aと、座面42aのX方向他方X2側及びY方向他方Y2側の外周縁から立ち上げられて周壁をなす壁面42bとを備えている。座面42aは、略矩形状、本実施形態では略正方形状をなす平面に形成されている。また、壁面42bは、Y方向一方Y1側を向く第一壁面42b1と、X方向一方X1側を向く第二壁面42b2とを有している。第一壁面42b1と第二壁面42b2とが交差する角部にはぬすみ42cが形成されている。座面42aは、工具本体4のX方向に沿って基端側から先端側へ向かうに従って、漸次Z方向一方Z1側から他方Z2側へ向かって傾斜している。詳しくは、座面42aは、先端部41の上面41aに略平行とされている。そして、インサート取付座42の座面42aには、シート部材5及び切削インサート3がこの順で載置される。
また、工具本体4の先端部41には、インサート取付座42の座面42aの中央に開口し、後述する固定部材11の軸部13が挿入される軸部挿入穴43と、上面41aに開口し、後述する係止ピン12が螺合される係止ピン挿入穴44が形成されている。軸部挿入穴43は、Z方向視して、Z方向一方Z1側から他方Z2側に向かうに従って、係止ピン挿入穴44に向かうように傾斜し、Z方向他方Z2側の下面41dに開口している。また、係止ピン挿入穴44は、Z方向視して、Z方向一方Z1側から他方Z2側に向かうに従って、軸部挿入穴43に向かうように傾斜し、Z方向他方Z2側の下面41dに開口している。そして、軸部挿入穴43と係止ピン挿入穴44とは、互いに交差し連通している。係止ピン挿入穴44において、軸部挿入穴43と連通する位置よりもZ方向一方Z1側の内周面には、雌ネジ44aが形成されている。
図3から図5に示すように、シート部材5は、鋼材または超硬合金等の金属材料からなり、インサート取付座42の座面42aに適合する略矩形状に形成されている。そして、シート部材5は、Z方向他方Z2側の下面51が平面に形成され、インサート取付座42の座面42aに当接している。また、シート部材5のZ方向一方Z1側の上面41aには、Z方向一方Z1側に向けて突出し、切削インサート3を支持する略矩形状に形成された台座部52が設けられている。台座部52において、Z方向一方Z1側を向く面は平面とされて台座面52aとして切削インサート3を当接支持している。台座面52aの外周縁には、外側に向かうに従って、次第にZ方向一方Z1側から他方Z2側へと傾斜して上面と接続する傾斜面52bを有している。また、シート部材5は、台座面52aから下面51へと貫通し、工具本体4の軸部挿入穴43と連通し、後述する固定部材11の軸部13が挿入される貫通孔53が形成されている。
図3及び図4に示すように、クランプ機構10は、切削インサート3を係合する固定部材11と、固定部材11を係止する係止ピン12とを有する。図3、図4及び図6に示すように、固定部材11は、軸部挿入穴43に挿入されるとともにインサート取付座42から突出する軸部13と、軸部13の先端に設けられ、軸部13の軸線L13に直交する方向、すなわち径方向に張り出す頭部14とを有する。軸部13は、軸部挿入穴43に挿入された基端部13aと、インサート取付座42の座面42aから突出する先端部13bとを有する。先端部13bは、基端部13aに対して屈曲して、インサート取付座42の座面42aに垂直に配設されている。また、基端部13aの外周面において、軸部挿入穴43に挿入された状態で、係止ピン挿入穴44と対向する位置には、切り欠かれて係止ピン12が係合する凹部13cが形成されている。
また、頭部14は、軸部13の先端部41に支持された基部14aと、基部14aから、軸線L13回りの一部において軸線L13と直交する径方向に張り出す張出部14bとを有し、軸線L13に沿ってZ方向視して非円形形状に形成されている。基部14aは、外径が軸部13の外径よりも僅かに大きく設定されている。また、本実施形態では、張出部14bは、軸線L13回りに90度ずつ異なる位置として、互いに間隔を有して4つ設けられている。2つの張出部14bは、第一壁面42b1に直交する方向で、互いに180度異なる向きに張り出している。また、他の2つの張出部14bは、第二壁面42b2に直交する方向で、互いに180度異なる向きに張り出している。また、各張出部14bは、Z方向視して、軸線L13から離間するに従って次第に幅広となるようにして略扇状に形成されている。また、各張出部14bは、インサート取付座42の座面42a側を向くZ方向他方Z2側の面が、軸線L13から離間するに従って、次第にZ方向他方Z2側から一方Z1側へ向かって傾斜し、すなわち軸部13の先端側に向けてテーパ状に拡径するように形成されている。
また、図3、図4及び図7に示すように、係止ピン12は、外周面に雄ネジ12aが形成されたネジ部12bと、ネジ部12bの先端に設けられた係止部12cとを有する。係止ピン12の基端面には、係止ピン12を軸回りに回転させる工具を挿入させるための穴12dが形成されている。また、係止部12cは、ネジ部12bよりも縮径して、ネジ部12bよりも先端側に突出しており、先端面が固定部材11における軸部13の凹部13cに係合されてネジ部12bをねじ込むことにより、固定部材11の軸部13を頭部14がインサート取付座42の底面42a側に移動するように軸部挿入穴43に引き込むとともに、そのZ方向一方Z1側への引き抜きを規制している。
次に、切削インサート3について説明する。図3、図4及び図8に示すように、切削インサート3は、超硬合金等の硬質材料からなり、インサート取付座42の座面42aに適合する略矩形状に形成されている。本実施形態の切削インサート3は、重切削加工に用いられるものであり、例えば、そのすくい面の外形寸法が□19.05mm以上に設定されている。
切削インサート3は、略矩形平板状をなすインサート本体30に、該インサート本体30の厚さ方向Tを向いて互いに対向しすくい面3aとなる第一面31及び第二面32と、第一面31及び第二面32に交差して該インサート本体30の周壁をなして逃げ面3bとなる周壁面30aと、第一面31及び第二面32の外周縁に形成されて切れ刃3cとなる交差稜線部34とを備えている。ここで、図8は、上方からの斜視図を示しており、上方に第一面31が臨んでいるが、第二面32も同様の構成を備えている。
図3、図4及び図8に示すように、第一面31及び第二面32は略矩形状をなしており、インサート本体30には、第一面31及び第二面32の中央に開口する貫通孔33が形成されている。図8に示すように、第一面31及び第二面32の周縁部には、切れ刃3cとなる交差稜線部34の内側となる第一面31及び第二面32の中央側に連なるように略一定幅のホーニング36が全周にわたって形成されている。ホーニング36は、交差稜線部34から第一面31及び第二面32の中央側に向かうに従い漸次インサート本体30の厚さ方向Tの外側へ向かうように傾斜して形成された、所謂チャンファホーニングとされている。また、ホーニング36のすくい面3aの角部(ノーズ部)における幅は、第一面31及び第二面32の辺部における幅よりも若干小さく設定されている。
また、第一面31及び第二面32におけるホーニング36の内側には、略一定幅とされて該ホーニング36に並行するランド37が、第一面31及び第二面32の全周に亘り形成されている。ランド37は、厚さ方向Tに垂直な平面からなり、該ランド37の第一面31及び第二面32の角部における幅は、第一面31及び第二面32の辺部における幅よりも若干小さく設定されている。
また、第一面31及び第二面32には、交差稜線部34よりも第一面31及び第二面32の中央側に配置されるとともに、交差稜線部34よりも厚さ方向Tの内側に後退して、ブレーカ38が形成されている。ブレーカ38は、ランド37の内側に配置されて全体に略枠状又は略環状をなしている。また、ブレーカ38は、第一面31及び第二面32の角部に対応して位置する略L字状の第一ブレーカ38aと、第一面31及び第二面32のそれぞれの辺部に対応して位置するとともに、第一ブレーカ38aよりも厚さ方向Tの内側に後退して形成された略帯状の第二ブレーカ38bとを備えている。各ブレーカ38は、厚さ方向Tに垂直な平面からなる。
また、ブレーカ38のランド37側(第一面31及び第二面32の外周側)に位置する部位は、ランド37側から第一面31及び第二面32の中央側へ向かうに従い漸次厚さ方向Tの内側に後退するように傾斜して形成されている。また、隣り合う第一、第二ブレーカ38a、38b同士の間に位置する部位は、第一ブレーカ38a側から第二ブレーカ38b側へ向かうに従い漸次厚さ方向Tの内側に後退するように傾斜して形成されている。
また、第一面31及び第二面32には、ブレーカ38よりも第一面31及び第二面32の中央側に略矩形で、ブレーカ38よりも厚さ方向Tの内側に後退した底面39が形成されている。また、底面39内には、貫通孔33の軸線回りに互いに間隔を有して配置され、インサート取付座42にシート部材5を介して着座する着座部40が設けられている。着座部40は、底面39から突出するとともに、該ブレーカ38よりも前記厚さ方向Tの内側に後退するように形成されている。着座部40は、略矩形状でシート部材5に当接する着座面40aを有している。本実施形態では、着座部40は、概略矩形に形成された底面39の四つの角部となる位置にそれぞれ設けられており、互いに隣り合うブレーカ38と着座面40aとの間の部位には溝部40bが形成されている。溝部40bは略L字状をなし、底面39の角部のそれぞれに設けられている。
また、インサート本体30において、第一面31の中央と第二面32の中央とを貫通する貫通孔33は、孔本体33aと、孔本体33aの両端から、孔本体33aの軸線と直交する方向に張り出すように拡径して対応する第一面31および第二面32に開口する二つの拡径部33bとを有する。孔本体33aの内径は、固定部材11の軸部13の外径と等しいか、僅かに大きく設定されている。また、拡径部33bは、頭部14と対応する形状で、該頭部14を収容可能に形成されている。
具体的には、拡径部33bは、孔本体33aの軸線L33回りの一部において軸線L33と直交する方向に張り出す拡大穴部33b1を有し、厚さ方向T視して非円形形状に形成されている。本実施形態では、拡大穴部33b1は、軸線L33回りに90度ずつ異なる位置として、互いに等しい間隔を有して4方向に張り出している。2つの拡大穴部33b1は、インサート取付座42に装着された状態で第一壁面42b1に直交する方向で、互いに180度異なる向きで、着座部40同士の間に張り出している。また、他の2つの拡大穴部33b1は、第二壁面42b2に直交する方向で、互いに180度異なる向きで、着座部40同士の間に張り出している。また、各拡大穴部33b1は、厚さ方向T視して、軸線L33から離間するに従って次第に幅広となるようにして略扇状に形成されている。また、各拡大穴部33b1は、厚さ方向T外側を向く面が、軸線L33から離間するに従って、次第に厚さ方向T内側から外側へ向かって傾斜し、すなわちそれぞれ軸線L33方向において第一面31への開口部側と第二面32への開口部側に向けて拡径するテーパ状に形成されている。
そして、図3及び図4に示すように、第二面32を一方の側面として、その着座部40でインサート取付座42に着座させる場合には、他方の側面となる第一面31側の拡径部33bに固定部材11の頭部14を収容させ係合させることにより切削インサート3をホルダ2のインサート取付座42に装着させ、第一面31をすくい面3a、第一面31の外周縁の交差稜線部34を切れ刃3cとして切削加工することが可能である。また、図3及び図4に示す向きと逆、すなわち第一面31を一方の側面として、その着座部40でインサート取付座42に着座させる場合には、他方の側面となる第二面32側の拡径部33bに固定部材11の頭部14を収容させ係合させることにより切削インサート3をホルダ2のインサート取付座42に装着させ、第二面32をすくい面3a、第二面32の外周縁の交差稜線部34を切れ刃3cとして切削加工することが可能である。
次に、この実施形態の作用について説明する。
切削インサート3は、クランプ機構10の固定部材11によってホルダ2のインサート取付座42に装着されることによって切れ刃3cにより被削材を切削する。ここで、固定部材11の軸部13の先端に設けられ、切削インサート3におけるインサート取付座42の着座面40aに、シート部材5を介して着座する第二面32の着座部40と反対側の第一面31に係合する頭部14が、軸部13の軸線L13回りの一部から、軸線L13に直交する径方向に張り出すように形成されている。このため、Z方向視して、軸部13から張り出して切削インサート3を係合する頭部14全体の面積を最小限に抑えつつ、軸部13が挿入される貫通孔33の軸線L33(L13)に直交する径方向により離れた位置で切削インサート3を係合することができる。
そして、固定部材11の頭部14は、係止ピン12に与えられた締め付け力によって軸部挿入穴43側へと引き込まれるように移動し、これにより切削インサート3をインサート取付座42に押し付けることで固定している。また、固定部材11の頭部14が軸部13の軸線L13(L33)回りに等間隔に張り出していることで軸線L13(L33)回りに均等に切削インサート3を係合し固定することができる。また、固定部材11の頭部14の切削インサート3をインサート取付座42に押し付ける面がテーパ状に形成され、切削インサート3の貫通孔33の拡径部33bもテーパ状の面が形成されているため、頭部14から切削インサート3に作用する押し付ける力を軸部13の軸線L13(L33)に直交する径方向にも作用させて、より強固にインサート取付座42に切削インサート3を固定することができる。
また、着座部40と、貫通孔33の拡径部33bとは、互いに対向する第一面31及び第二面32のそれぞれに設けられているので、着座させる面を第一面31または第二面32のうち一方の側面に選択することで、他方の側面をすくい面3aとし、その外周縁の交差稜線部34を切れ刃3cとして切削することができる。このため、一方の側面の交差稜線部34が切れ刃3cとして寿命を迎えた場合には、反転することにより他方の側面の交差稜線部34を切れ刃3cとして用いることができる。ここで、本実施形態では、着座部40が互いに対向する第一面31及び第二面32のそれぞれに複数設けられているが、第一面31及び第二面32のそれぞれに設けられた貫通孔33の拡径部33bは、当該面に形成された着座部40同士の間に張り出すように形成されている。このため、孔本体33aの軸線L33回りに互いに干渉することなく、孔本体33aの軸線L33に直交する径方向に離れた位置で、着座部40及び拡径部33bの張り出した部分とを配置することができる。これにより、貫通孔33に挿入した固定部材11の頭部14によって、孔本体33aの軸線L33に直交する径方向により離れた位置で係合させることができるとともに、対向する反対側の面の着座部40によって、孔本体33aの軸線L33に直交する径方向により離れた位置でインサート取付座42に着座させることができ、安定的に固定することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図9から図13は、本発明の第2の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
第2の実施形態では、第1の実施形態とクランプ機構の構造が異なっている。図9から図11に示すように、本実施形態の刃先交換工具60のホルダ61における工具本体62の先端部41には、インサート取付座42の座面42aの中央に開口するようにして、後述する軸部66を螺合させる軸部取付用ネジ穴64が形成されている。軸部取付用ネジ穴64は、その軸線がインサート取付座42の座面42aに対して垂直となるように形成され、下面41dまで貫通している。そして、軸部取付用ネジ穴64のインサート取付座42に開口する側には、雌ネジ64aが形成されている。
また、図9から図11に示すように、本実施形態のホルダ61のクランプ機構65は、固定部材として、軸部取付用ネジ穴64の雌ネジ64aに螺合された軸部66と、軸部66の先端部分に螺合された頭部67とを有する。図10から図12に示すように、軸部66は、基端側に形成され、軸部取付用ネジ穴64に螺合される第一の雄ネジ66aと、インサート取付座42の座面42aから突出する先端側に形成された第二の雄ネジ66bと、先端面に形成され軸線回りに回転させる工具を挿入するための穴66cとを有する。第一の雄ネジ66aと第二の雄ネジ66bとは、ネジの向きが互いに逆向きとなるように形成されている。すなわち、例えば、第一の雄ネジ66aが右ネジとして形成されているとともに、第二の雄ネジ66bが左ネジとして形成されている。
また、図10、図11及び図13に示すように、頭部67は、軸部66に螺合されるナットとして構成されている。すなわち、頭部67は、略円盤状で、中央に両面を貫通し軸部66の第二の雄ネジ66bに螺合された締付用ネジ穴67aが形成された基部67bと、基部67bから軸部66の軸線L66に直交する径方向に突出する張出部67cとを有する。張出部67cの形状及び配置は第1の実施形態と同様である。
この実施形態の刃先交換工具60では、以下のようにしてホルダ61のインサート取付座42に切削インサート3を装着する。まず、インサート取付座42にシート部材5、切削インサート3を配置させ、軸部取付用ネジ穴64、シート部材5の貫通孔53、及び切削インサート3の貫通孔33を連通させる。次に、予め頭部67を組み付けておいた軸部66を切削インサート3及びシート部材5の貫通孔33、53に挿入し、第一の雄ネジ66aを軸部取付用ネジ穴64に螺合させるとともに、頭部67を切削インサート3の拡径部33bに収容させる。そして、切削インサート3を押さえて拡径部33bに収容された頭部67が供回りしないようにしながら、軸部66の穴66cに挿入した工具によって軸部66を軸部取付用ネジ穴64に螺合して締付ける方向に回転させる。すると、第一の雄ネジ66aと第二の雄ネジ66bとが逆回りであるため、頭部67はインサート取付座42側へと引き込まれるように移動することとなり、これにより切削インサート3をホルダ61のインサート取付座42に押し付けて固定することができる。
そして、本実施形態の刃先交換工具60においても、頭部67が、軸部66の軸線L66(L33)回りの一部から、軸線L66(L33)に直交する径方向に張り出すように形成されている。このため、第1の実施形態同様に、軸部66から張り出して切削インサート3を係合する頭部67全体のZ方向視した面積を最小限に抑えつつ、軸部66の軸線L66(L33)に直交する径方向により離れた位置で切削インサート3を係合することができ、安定的に固定することができる。また、本実施形態では、クランプ機構65を軸部66と軸部66に螺合するナットとして構成された頭部67とによって構成することで、簡易な構造とすることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図14から図20は、本発明の第3の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
第3の実施形態では、第1の実施形態のクランプ機構と、固定部材の頭部の形状が異なっている。図14から図17に示すように、本実施形態の刃先交換工具70のホルダ71におけるクランプ機構72は、軸部13と頭部74とを有する固定部材73と、固定部材73を係止する係止ピン12とを備える。固定部材73は、頭部74が角錐状に形成され、角錐の底面を先端面74aとし、テーパ状となる錐面74bによって切削インサート80を係合する。また、先端面74aは、切削インサート80の形状と対応して略矩形状に形成されており、より詳しくは切削インサート80の拡径部85bが形成された多角形とされる側面である第一面82及び第二面83の形状と相似形の多角形である四角形とされている。このため、軸部13の軸線L13に対して、先端面74aの四つの角部74a1は、他の部分よりも軸線L13と直交する径方向に張り出すように形成されている。
また、図14、図15及び図18に示すように、本実施形態の切削インサート80も、略矩形平板状のインサート本体81に、該インサート本体81の厚さ方向Tを向いて互いに対向しすくい面80aとなる第一面82及び第二面83と、第一面82及び第二面83に交差して該インサート本体81の周壁をなして逃げ面80bとなる周壁面81aと、第一面82及び第二面83の外周縁に形成されて切れ刃80cとなる交差稜線部84とを備えている。そして、切削インサート80は、第一面82の中央と第二面83の中央とを貫通して貫通孔85が形成されており、該貫通孔85は、孔本体85aと、孔本体85aの両端から、孔本体85aの軸線L85と直交する径方向に張り出すように拡径して対応する第一面82および第二面83に開口する二つの拡径部85bとを有する。拡径部85bは、固定部材73の頭部74の形状と対応して、凹角錐状でテーパ状に拡径しており、開口部85cの開口形状が第一面82及び第二面83と相似形の多角形である四角形とされている。また、拡径部85bの四角形をなす開口部85cは、対角線が、第一面82及び第二面83の互いに対向する交差稜線部84の中点同士を結んだ線分と一致するように形成されている。すなわち、拡径部85bの開口部85cは、角部85c1が、第一面82及び第二面83の中心回りに、第一面82及び第二面83の角部に対して45度回転するようにして形成され、これにより第一面82及び第二面83の角部と貫通孔85の軸線L85回りに異なる位置とされている。
本実施形態のように、クランプ機構72における固定部材73の頭部74の形状を角錐状に形成しても、頭部74が、軸部13の軸線L13(L85)回りの一部から、軸線L13(L85)に直交する径方向に張り出すように形成されている。このため、第1の実施形態同様に、軸部13から張り出して切削インサート80を係合する頭部74全体のZ方向視した面積を最小限に抑えつつ、軸部13の軸線L13(L85)に直交する径方向により離れた位置で切削インサート80を係合することができ、安定的に固定することができる。また、拡径部85bの開口形状が当該開口する面と相似形の多角形であることで、拡径部85bに収容される固定部材73の頭部74によって均一にインサート取付座42に押し付けさせて固定することができる。そして、拡径部85bの開口部85cの角部85c1が、すくい面80aとなる第一面82または第二面83の角部と、孔本体85aの軸線L85回りに異なる位置となるように形成されていることで、切削によって生成される切屑が拡径部85bに収容される頭部74に接触して損傷してしまうことをより確実に防止することができる。
なお、図18に示すように、本実施形態では、切削インサート80において一方の側面が着座部となり他方の側面がすくい面80aとなる第一面82及び第二面83とが平面に形成され、また、図19に示すように、シート部材86において切削インサート80が着座する台座部86aが平面に形成されている。このように、シート部材86と切削インサート80とが平面同士で当接し、すくい面80aも平面に形成されるものとしても良い。
また、本実施形態では、クランプ機構が、固定部材と係止ピンとを備えるものとしたが、これに限るものではなく、第2の実施形態のように第一の雄ネジ及び第二の雄ネジを有する軸部と、軸部の第二の雄ネジに螺合する頭部とで固定部材を構成し、該頭部が角錐状に形成されるものとしても良い。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図20から図26は、本発明の第4の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
第4の実施形態では、第3の実施形態と、切削インサート、シート部材、及びクランプ機構における固定部材の頭部の形状が異なっている。図20〜図23に示すように、この実施形態の刃先交換工具90では、切削インサート100及びシート部材110が三角形平板状、特に正三角形状に形成され、ホルダ91の工具本体92におけるインサート取付座93の形状も対応する三角形状に形成されている。そして、切削インサート100及びシート部材110のそれぞれ厚さ方向Tに互いに対向する二面の中央、すなわち重心となる位置に開口するようにして貫通孔101、111が形成されている。
また、切削インサート100の貫通孔101は、孔本体101aと、孔本体101aの両端から、孔本体101aの軸線L101と直交する径方向に張り出すように拡径して、互いに厚さ方向Tに対向しすくい面となる第一面102及び第二面103に開口する二つの拡径部101bとを有する。拡径部101bは、凹角錐状でテーパ状に拡径しており、開口部101cの開口形状が切削インサート100の第一面102及び第二面103と相似形の多角形である三角形とされている。また、拡径部101bの三角形をなす開口部101cは、各角部(頂点)と対向する辺の中点とを結ぶ線分が、第一面102及び第二面103の各角部と対向する切れ刃となる交差稜線部104の中点同士を結んだ線分と一致するとともに、各角部が第一面102及び第二面103の交差稜線部と対向するように形成されている。すなわち、拡径部101bの開口部101cは、角部が、第一面102及び第二面103の重心回りに、第一面102及び第二面103の角部に対して60度回転するようにして形成され、これにより第一面102及び第二面103の角部と貫通孔101の軸線L101回りに異なる位置とされている。
また、本実施形態のホルダ91におけるクランプ機構94は、軸部13と頭部96とを有する固定部材95と、固定部材95を係止する係止ピン12とを備える。固定部材95は、頭部96が角錐状に形成され、角錐の底面を先端面96aとし、テーパ状となる錐面によって切削インサート100を係合する。また、先端面96aは、切削インサート100の形状と対応して三角形状に形成されており、より詳しくは切削インサート100の第一面102及び第二面103の形状と相似形の多角形である正三角形とされている。このため、軸部13の軸線L13に対して、先端面96aの三つの角部96a1は、他の部分よりも軸線L13と直交する径方向に張り出すように形成されている。
本実施形態の刃先交換工具90においても、切削インサート100及び固定部材95の頭部96の形状が異なるだけで、第3の実施形態同様の効果を奏する。なお、本実施形態においても、第2の実施形態のように第一の雄ネジ及び第二の雄ネジを有する軸部と、軸部の第二の雄ネジに螺合する頭部96とで構成し、該頭部96が角錐状に形成されるものとしても良い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記各実施形態においては、シート部材を備えるものとしたが、これに限るものではなく、インサート取付座の座面に、直接切削インサートを着座させるものとしても良い。また、切削インサートは、上記各実施形態ではネガティブインサートとされて、厚さ方向に対向する両面のいずれもすくい面とし、その外周縁を切れ刃として用いることが可能としたが、ポジティブインサートのように片面のみ使用可能としても良い。
また、上記各実施形態においては、旋盤加工に用いる刃先交換工具を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、少なくともホルダに切削インサートを着脱可能と装着する様々な切削工具、例えばフライス加工に用いる工具に適用しても良い。
1、60、70、90 刃先交換工具(切削工具)
2、61、71、91 ホルダ
3、80、100 切削インサート
10、65、72、94 クランプ機構
13、66 軸部
14、67、74、96 頭部
33、85、101 貫通孔
33a、85a、101a 孔本体
33b、85b、101b 拡径部
40 着座部
42 インサート取付座
64 軸部取付用ネジ穴
66a 第一の雄ネジ
66b 第二の雄ネジ
67a 締付用ネジ穴

Claims (12)

  1. 貫通孔が形成された切削インサートを、固定部材によってホルダのインサート取付座に装着するための切削インサートのクランプ機構であって、
    前記固定部材は、前記インサート取付座から突出して前記インサート取付座に着座した前記切削インサートの前記貫通孔を貫通する軸部と、この軸部の先端側に設けられるとともに前記インサート取付座側に移動可能とされて該軸部の軸線回りの一部から該軸線に直交する方向に張り出すように形成された頭部とを備えていて、
    この頭部が、前記切削インサートの前記軸線方向先端側における前記貫通孔の開口部に形成された拡径部と係合して該切削インサートがクランプされることを特徴とする切削インサートのクランプ機構。
  2. 請求項1に記載の切削インサートのクランプ機構において、
    前記頭部は、前記軸部の軸線回りに等間隔で放射状に複数張り出していることを特徴とする切削インサートのクランプ機構。
  3. 請求項1または請求項2に記載の切削インサートのクランプ機構において、
    前記頭部は、前記軸部の先端側に向けてテーパ状に拡径していることを特徴とする切削インサートのクランプ機構。
  4. 請求項3に記載の切削インサートのクランプ機構において、
    前記頭部は、前記切削インサートの前記拡径部が形成された多角形とされる側面と相似形の多角形となる先端面を備えた角錐状に形成されるとともに、該頭部の前記先端面の角部が前記切削インサートの前記側面の角部と、前記軸部の軸線回りに異なる向きとなるように前記頭部が配置されていることを特徴とする切削インサートのクランプ機構。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の切削インサートのクランプ機構において、
    前記軸部は、前記軸線方向基端側に形成されて前記ホルダの前記インサート取付座に形成された軸部取付用ネジ穴に螺合される第一の雄ネジと、前記軸線方向先端側に形成されて前記第一の雄ネジと逆回りとなるように形成された第二の雄ネジとを有し、
    前記頭部は、該第二の雄ネジに螺合する締付用ネジ穴を有することを特徴とする切削インサートのクランプ機構。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の切削インサートのクランプ機構を備えることを特徴とするホルダ。
  7. ホルダのインサート取付座から突出する軸部と、この軸部の先端側に設けられるとともに前記インサート取付座側に移動可能とされて該軸部の軸線と直交する方向に張り出す頭部とを有する固定部材を備えたクランプ機構によって前記ホルダの前記インサート取付座に装着される切削インサートであって、
    前記ホルダの前記インサート取付座に着座する着座部が形成されたインサート本体に、該着座部が設けられた前記インサート本体の一方の側面から他方の側面に向けて該インサート本体を貫通する貫通孔が形成されており、
    前記貫通孔には、前記インサート本体の前記他方の側面への開口部側に、該貫通孔の軸線回りの一部で該軸線と直交する方向に張り出すように拡径して前記クランプ機構の前記固定部材における前記頭部が係合する拡径部が形成されていることを特徴とする切削インサート。
  8. 請求項7の切削インサートにおいて、
    前記着座部と前記貫通孔の前記拡径部とは、前記インサート本体の双方の前記側面にそれぞれ設けられていることを特徴とする切削インサート。
  9. 請求項8の切削インサートにおいて、
    前記着座部は、前記双方の側面のそれぞれに複数設けられるとともに、
    これら双方の側面のそれぞれに設けられた前記拡径部は、該側面に形成された前記着座部同士の間に張り出すように形成されていることを特徴とする切削インサート。
  10. 請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の切削インサートにおいて、
    前記貫通孔の前記拡径部は、前記他方の側面に向けてテーパ状に拡径していることを特徴とする切削インサート。
  11. 請求項10に記載の切削インサートにおいて、
    前記他方の側面は多角形とされ、
    前記貫通孔の前記拡径部は、前記他方の側面への開口部が該他方の側面と相似形の多角形となる凹角錐状とされるとともに、前記開口部の角部が、前記他方の側面の角部の位置に対して、前記貫通孔の軸線回りに異なる位置となるように形成されていることを特徴とする切削インサート。
  12. 請求項6に記載のホルダと、
    該ホルダに取り付けられた請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の切削インサートとを備えることを特徴とする切削工具。
JP2011130432A 2011-06-10 2011-06-10 切削インサートのクランプ機構、ホルダ、切削インサート及び切削工具 Withdrawn JP2012254514A (ja)

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