図1乃至図11は本発明の第1の実施形態を示すもので、同図に示す光コネクタ10は光ファイバ1を相手側コネクタに接続するためのものである。
この光コネクタ10は、光ファイバ1が挿入されるコネクタ本体11と、コネクタ本体11の一端側に取付けられたフェルール12と、コネクタ本体11内に設けられたファイバガイド13と、光ファイバ1をコネクタ本体11に固定する固定部材14と、コネクタ本体11内に挿入された光ファイバ1の被覆を除去する被覆除去部15と、コネクタ本体11内に挿入された光ファイバ1の先端面をテーパ状に研削する端面研削部16とを備えている。
コネクタ本体11は、例えば裸ファイバ素線1aの外径が125μm、被覆1bの外径が250μmの光ファイバ1が挿入され、相手側コネクタに嵌合可能に形成されている。
フェルール12は被覆を除去された裸ファイバ素線1aの外径とほぼ等しい内径の孔を径方向中心部に有し、この孔に挿入された裸ファイバ素線1aを保持するようになっている。
ファイバガイド13はコネクタ本体11内に固定され、V溝または円形孔によって光ファイバ1の被覆部分をフェルール12と同軸状に位置決めするように形成されている。ファイバガイド13内には光ファイバ1の撓み部分を受容可能な撓み受容部13aが設けられ、撓み受容部13aは着脱自在な蓋部材13bによって閉塞されている。即ち、蓋部材13bは光コネクタ10を相手側コネクタに接続する際に取り外され、コネクタ接続時の光ファイバ1の押し込みによって生ずる撓み部分が撓み受容部13aに受容されるようになっている。
固定部材14はコネクタ本体11の他端側に設けられ、挿入された光ファイバ1を締め付けることにより、光ファイバ1を固定するように形成されている。
被覆除去部15はフェルール12の基端側に設けられ、裸ファイバ素線1aを挿通可能な挿通孔を有する円錐形の部材からなる。この被覆除去部15は、コネクタ本体11内に挿入された光ファイバ1の先端面が当接すると、光ファイバ1の挿入力によって光ファイバ1の被覆1bを切り開きながら剥がし、裸ファイバ素線1aをフェルール12内に挿通させるようになっている。この場合、被覆除去部15の裸ファイバ素線1aが挿入される挿通孔の内径は、裸ファイバ素線1aの外径よりも大きく、光ファイバ1の被覆部分の外径よりも小さくなければならないので、挿通孔の内径は、例えば175μm以上200μm以下に形成されている。尚、被覆除去部15における光ファイバ1との当接面は、光ファイバ1の軸方向に対して垂直に形成されていてもよい。
端面研削部16はフェルール12内に設けられ、図2に示すように光ファイバ1の挿入方向に互いに間隔をおいて配置された複数の研削部材16aと、各研削部材16aに対向するように配置された複数のダミー部材16bと、各研削部材16a及び各ダミー部材16bをそれぞれ保持する一対の保持部材16cとからなる。この端面研削部16は、保持部材16cに設けたガイド溝16dに沿って裸ファイバ素線1aが挿入されると、図3(a) に示すように裸ファイバ素線1aの先端がダミー部材16bに案内されて研削部材16aに接触し、図3(b) に示すように研削部材16aによって裸ファイバ素線1aの先端の片側がテーパ状に研削されるようになっている。また、端面研削部16は、各研削部材16a及び各ダミー部材16bを互いに反対側に配置した他の保持部材16cを備え、先端の片側を研削された裸ファイバ素線1aの先端の他の片側を研削することにより、裸ファイバ素線1aの先端面を全周に亘ってテーパ状に研削するようになっている。
次に、前記光コネクタ10の組み立てに用いる組立工具について、図4乃至図6を参照して説明する。
同図に示す組立工具20は、光コネクタ10が配置されるコネクタ配置部21と、コネクタ配置部21に配置された光コネクタ10に向かって光ファイバ1を摺動可能なガイド部材としてのガイドプレート22と、ガイドプレート22に沿って摺動する光ファイバ1の先端部に加傷を付与する端部処理部としての加傷付与部23とから構成され、ガイドプレート22には光ファイバ1の先端部を摺動させるV字状のガイド溝22aが設けられている。
コネクタ配置部21はガイドプレート22の一端側に配置され、ガイドプレート22のガイド溝22aの一端がコネクタ本体11の挿入口11aに臨むように光コネクタ10を配置可能に形成されている。
ガイド溝22aはガイドプレート22の上面に設けられ、コネクタ配置部21に向かって延びるように形成されている。
加傷付与部23はガイド溝22aの一端側(コネクタ配置部21側)に配置された刃からなり、例えば薄いステンレス製のカッターによって形成されている。加傷付与部23はガイド溝22aの底部から上方に突出するように設けられ、ガイド溝22aに沿って摺動する光ファイバ1の被覆1bの先端部に切り込みを入れて加傷を付与するようになっている。
続いて、前記組立工具20を用いた光コネクタの組立方法について、図7及び図8を参照して説明する。
まず、光コネクタ10の固定部材14を光ファイバ1が挿入可能な状態にし、コネクタ配置部21に光コネクタ10を配置する。次に、図7(a) に示すように光ファイバ1をファイバホルダ30で把持し、光ファイバ1の先端部をガイドプレート22のガイド溝22aに沿ってコネクタ本体11側に摺動する。その際、図7(b) に示すように光ファイバ1の先端部がガイド溝22aの加傷付与部23に達すると、光ファイバ1の先端部が加傷付与部23に接触して切り込み状の加傷部1c(図8参照)が形成され、そのまま光ファイバ1を摺動させることにより、図7(c) に示すように光ファイバ1がガイド溝22aからコネクタ本体11の挿入口11aに挿入される。
コネクタ本体11内に挿入された光ファイバ1は、図8(a) に示すようにファイバガイド13に案内されて被覆除去部15に当接し、図8(b) に示すように被覆除去部15によって被覆1bを除去される。その際、光ファイバ1の先端部には加傷部1cが形成されているため、光ファイバ1の挿入力により、被覆1bを除去するための切り裂きを加傷部1cから容易に生じさせることができる。被覆除去部15によって被覆1bを除去された裸ファイバ素線1aはフェルール12内に挿入され、図8(c) に示すようにフェルール12内の端面研削部16によって先端面の角部をテーパ状に研削された後、フェルール12の先端から外部に突出する。その際、裸ファイバ素線1aの先端をフェルール12の外側に配置した当接板24に当接させることにより、裸ファイバ素線1aを所定の突出長さに規制し、この状態で光ファイバ1の後端側を固定部材14によって固定する。また、ファイバガイド13の撓み受容部13aは蓋部材13bによって閉塞されているので、当接板24との当接によって光ファイバ1の撓みが生ずることはない。
前述のように組立てられた光コネクタ10を相手側コネクタと接続する際は、ファイバガイド13から蓋部材13bを取り除き、図8(d) に示すようにフェルール12を相手側コネクタのフェルール12′と突き合わせる。その際、相手側コネクタとの嵌合圧によって光ファイバ1がコネクタ本体11内に押し込まれるが、光ファイバ1の後端側は固定部材14によって固定されているため、ファイバガイド13内の光ファイバ1に撓み部1dが生ずる。この撓み部1dは撓み受容部13a内に受容され、撓み部1dの復元力によってファイバ端面が相手側コネクタのファイバ端面に押し付けられる。この場合、光ファイバ1の先端面は角部を削り取られているため、突き合わせ端面の面積が小さくなり、光接続に必要な圧力が十分に得られる。ファイバ端面はフェルール12によりコア中心が相手側ファイバのコア中心と一致するように調心され、ファイバ端面同士は撓み部1dの復元力によって密着しているので、互いに信号光を通光可能となる。
このように、本実施形態によれば、光ファイバ1の先端部を組立工具20のガイドプレート22に沿って光コネクタ10側に摺動し、光ファイバ1の先端部がガイドプレート22の加傷付与部23に達すると、光ファイバ1の先端部を加傷付与部23に接触させて加傷部1cを形成した後、光ファイバ1をガイド溝22aから光コネクタ10内に挿入し、光ファイバ1の先端面を被覆除去部15に当接させて光ファイバ1の被覆1bを除去するようにしたので、光ファイバ1の先端部を組立工具20のガイドプレート22に沿ってコネクタ本体11側に摺動させる動作により、光ファイバ1の先端部に被覆除去用の加傷部1cを容易に形成することができるとともに、光ファイバ1を光コネクタ10に容易に挿入することができる。これにより、専用の加工工具を用いて別途光ファイバ1の加傷を行う必要がなく、例えば現場組立てにおける組立作業を効率良く行うことができる。
また、光コネクタ10内に設けた被覆除去部15により、光ファイバ1の挿入力によって光ファイバ1の被覆を除去するようにしたので、光ファイバ1の挿入前に専用の加工工具を用いて被覆の除去を行う必要がなく、組立作業の効率化に極めて有利である。
更に、光コネクタ10内に設けた端面研削部16により、光ファイバ1の挿入力によって光ファイバ1の先端面の角部を研削するようにしたので、光ファイバ1の挿入前に専用の加工工具を用いて端面の研削処理を行う必要がなく、組立作業の効率化に極めて有利である。
尚、前記実施形態では、光ファイバ1をファイバホルダ30のみで把持してガイドプレート22に沿って摺動させるようにしたものを示したが、図9に示すようにガイドプレート22に沿って移動可能なスライド部材25を用い、スライド部材25のガイド孔25aに光ファイバ1を挿入し、スライド部材25と共に光ファイバ1をガイドプレート22に沿って摺動させるようにすれば、ガイド孔25aによって光ファイバ1の撓みを防止することができる。この場合、スライド部材25は光コネクタ10への光ファイバ1の挿入後に取り外すように構成することが好ましい。
また、前記実施形態では、加傷付与部23を刃によって光ファイバ1に切り込みを入れるようにしたものを示したが、砥石やヤスリ等の研削材によって加傷を付与するようにしてもよい。
更に、前記実施形態の組立工具20を使用して光コネクタ10を組立てる際、挿入する光ファイバ1の先端部の被覆に加傷部1dが形成されることから、被覆除去部15において十分小さい力で被覆を除去することが可能になる。
例えば、非特許文献2に示した被覆除去試験用刃(Stripping tool blades)の形状に被覆付き光ファイバ心線を押し当てた場合において、被覆に加傷を付与していない光ファイバと、被覆に加傷を付与した光ファイバについて、被覆の除去に必要な押し付け力をそれぞれ20本ずつ測定した結果を図10及び図11に示すと、挿入口径に拘わらず加傷を付与した方がより小さい力で被覆を除去できることが分かる。
この場合、加傷を付与していない場合の被覆除去に必要な押し付け力は4.95Nであり、被覆除去に必要な押し付け力は作業者がファイバを挿入する力によって発生する。一方、ファイバが挿入途中で座屈して撓むと、それ以上ファイバを挿入してもファイバの先端は挿入されず、撓みのみが増大することになる。このため、ファイバの座屈降伏荷重以上の挿入力を発生することはできない。非特許文献3に記載のとおり、座屈降伏荷重は撓み幅に依存するので、ファイバの最大挿入力は撓み幅に起因する。このため、4.95N以上の挿入力を発生させるためには、ファイバの可撓部(撓みうる部分)の長さは2.5mm以下でなければならない。この場合、被覆除去部にファイバが当接した状態でファイバを拘束するコネクタ内のファイバガイド後端からファイバホルダまでの距離は2.5mm以下でなければならないことになる。即ち、被覆除去部にファイバ先端が当接した状態でのファイバの残りの挿入代は2.5mm未満であることになる。一方、一般的なコネクタフェルールのファイバガイド孔の内径とファイバのクラッド外径との間には2μm程度の隙間が存在するので、ガイド孔に収容されるファイバの長さが短くなると、調心誤差に起因する損失が増加する。この損失増加量を0.05dB未満とするため、被覆除去後のファイバの調心には2mm以上の長さがあることが望ましい。ファイバの撓み部に吸収される長さやコネクタに必要な挿入部でのテーパなどを考慮すると、この条件では前記実施形態の光コネクタを実現することは困難である。
一方、被覆を加傷した場合の被覆除去に必要な押し付け力2.7Nを実現するためには、可撓部は3.5mm以下でよい。この場合は十分に設計マージンをとれることから、前記実施形態のコネクタ形態を採用することができる。
図12乃至図18は本発明の第2の実施形態を示すもので、同図に示す光コネクタ40は光ファイバ1を相手側コネクタに接続するためのものである。
この光コネクタ40は、光ファイバ1が挿入されるコネクタ本体41と、コネクタ本体41の一端側に取付けられたフェルール42と、コネクタ本体41内に設けられたファイバガイド43と、光ファイバ1をコネクタ本体41に固定する固定部材44と、コネクタ本体41内に挿入された光ファイバ1の被覆を除去する被覆除去部45とを備え、ファイバガイド43には撓み受容部43a及び蓋部材43bが設けられている。尚、これらの構成は第1の実施形態と同等であるため、詳細な説明は省略する。
次に、前記光コネクタ40の組み立てに用いる組立工具について、図13乃至図15を参照して説明する。
同図に示す組立工具50は、光コネクタ40が配置されるコネクタ配置部51と、コネクタ配置部51に配置された光コネクタ40に向かって光ファイバ1を摺動可能なガイド部材としてのガイドプレート52と、ガイドプレート52に沿って摺動する光ファイバ1の先端面をテーパ状に研削する端部処理部としての端面研削部53とから構成され、ガイドプレート52には光ファイバ1の先端部を摺動させるV字状のガイド溝52aが設けられている。
コネクタ配置部51はガイドプレート52の一端側に配置され、ガイドプレート52のガイド溝52aの一端がコネクタ本体41の挿入口41aに臨むように光コネクタ40を配置可能に形成されている。
ガイド溝52aはガイドプレート52の上面に設けられ、コネクタ配置部51に向かって延びるように形成されている。
端面研削部53はガイド溝52aの内面の一部をなすようにガイド溝52aの長手方向に亘って設けられた研磨材からなり、例えば研磨シート、砥石、ヤスリ等によって形成されている。端面研削部53はガイド溝52aの底部に表面が凹状の曲面をなすように形成され、ガイド溝52aに沿って摺動する光ファイバ1の先端面の角部をテーパ状に削り取るようになっている。
続いて、前記組立工具50を用いた光コネクタの組立方法について、図16及び図17を参照して説明する。
まず、光コネクタ40の固定部材44を光ファイバ1が挿入可能な状態にし、コネクタ配置部51に光コネクタ40を配置する。次に、図16(a) に示すように光ファイバ1をファイバホルダ30で把持し、光ファイバ1の先端部をガイドプレート52のガイド溝52aに沿ってコネクタ本体41側に摺動する。その際、光ファイバ1の先端部がガイド溝52aの端面研削部53に接触しながら摺動することにより、光ファイバ1の先端面の角部の片側がテーパ状に研削される。次に、図16(b) に示すように光ファイバ1を周方向に180゜反転させ、再度光ファイバ1の先端部をガイドプレート52のガイド溝52aに沿ってコネクタ本体41側に摺動する。これにより、図16(c) に示すように光ファイバ1の先端面の角部の他の片側がテーパ状に研削され、そのまま光ファイバ1を摺動させることにより、図16(d) に示すように光ファイバ1がガイド溝52aからコネクタ本体41の挿入口41aに挿入される。
コネクタ本体41内に挿入された光ファイバ1は、図17(a) に示すようにファイバガイド43に案内されて被覆除去部45に当接し、図17(b) に示すように被覆除去部45によって被覆1bを除去される。被覆除去部45によって被覆1bを除去された裸ファイバ素線1aはフェルール42内に挿入され、図17(c) に示すようにフェルール42の先端から外部に突出する。その際、裸ファイバ素線1aの先端をフェルール42の外側に配置した当接板54に当接させることにより、裸ファイバ素線1aを所定の突出長さに規制し、この状態で光ファイバ1の後端側を固定部材44によって固定する。また、ファイバガイド43の撓み受容部43aは蓋部材43bによって閉塞されているので、当接板54との当接によって光ファイバ1の撓みが生ずることはない。
前述のように組立てられた光コネクタ40を相手側コネクタと接続する際は、ファイバガイド43から蓋部材43bを取り除き、図17(d) に示すようにフェルール42を相手側コネクタのフェルール42′と突き合わせる。その際、相手側コネクタとの嵌合圧によって光ファイバ1がコネクタ本体41内に押し込まれるが、光ファイバ1の後端側は固定部材54によって固定されているため、ファイバガイド43内の光ファイバ1に撓み部1dが生ずる。この撓み部1dは撓み受容部43a内に受容され、撓み部1dの復元力によってファイバ端面が相手側コネクタのファイバ端面に押し付けられる。この場合、光ファイバ1の先端面は角部を削り取られているため、突き合わせ端面の面積が小さくなり、光接続に必要な圧力が十分に得られる。ファイバ端面はフェルール42によりコア中心が相手側ファイバのコア中心と一致するように調心され、ファイバ端面同士は撓み部1dの復元力によって密着しているので、互いに信号光を通光可能となる。
このように、本実施形態によれば、光ファイバ1の先端部を組立工具50のガイドプレート52に沿ってコネクタ本体41側に摺動し、光ファイバ1の先端部がガイド溝52aの端面研削部53に接触しながら摺動することにより、光ファイバ1の先端面をテーパ状に研削した後、光ファイバ1をガイド溝52aから光コネクタ40内に挿入し、光ファイバ1の先端面を被覆除去部45に当接させて光ファイバ1の被覆1bを除去するようにしたので、光ファイバ1の先端部を組立工具50のガイドプレート52に沿って光コネクタ40側に摺動させる動作により、光ファイバ1の先端面をテーパ状に研削することができるとともに、光ファイバ1を光コネクタ40に容易に挿入することができる。これにより、専用の加工工具を用いて別途光ファイバ1の先端面の研削処理を行う必要がなく、例えば現場組立てにおける組立作業を効率良く行うことができる。
また、光コネクタ40内に設けた被覆除去部45により、光ファイバ1の挿入力によって光ファイバ1の被覆を除去するようにしたので、光ファイバ1の挿入前に専用の加工工具を用いて被覆の除去を行う必要がなく、組立作業の効率化に極めて有利である。
尚、前記実施形態では、組立工具50に一つのガイドプレート52を設けたものを示したが、図18に示すように2つのガイドプレート52を並設し、図18(a) に示すように光ファイバ1の先端部を一方のガイドプレート52に沿って摺動させながら一方の端面研削部53によって角部の片側を研削した後、光ファイバ1を周方向に180゜反転させ、図18(b) に示すように光ファイバ1の先端部を他方のガイドプレート52に沿って摺動させながら他方の端面研削部53によって角部の他の片側を研削するようにしてもよい。また、3つのガイドプレート52を設けることにより、光ファイバ1を周方向に120゜ずつ反転させることも可能である。
また、前記実施形態では、光ファイバ1の先端部を組立工具50の端面研削部53で研削する際、光ファイバ1を周方向に反転させることにより角部を片側ずつ研削するようにしたものを示したが、光ファイバ1を軸周りに回転させながらガイドプレート52に沿って摺動させることにより、光ファイバ1の先端面を全周に亘って研削するようにしてもよい。
図19及び図20は本発明の第3の実施形態を示すもので、同図に示す光コネクタ60は光ファイバ1同士を接続するためのものである。
この光コネクタ60は、光ファイバ1が挿入されるコネクタ本体61と、コネクタ本体61内に設けられた調心フェルール62と、コネクタ本体61内に設けられた第1及び第2のファイバガイド63,64と、光ファイバ1をコネクタ本体61に固定する第1及び第2の固定部材65,66と、コネクタ本体61内に挿入された光ファイバ1の被覆を除去する第1及び第2の被覆除去部67,68とを備えている。
コネクタ本体61は、例えば裸ファイバ素線1aの外径が125μm、被覆1bの外径が250μmの光ファイバ1が一端側及び他端側からそれぞれ挿入され、光ファイバ1同士が端面を突き合わせて接続されるようになっている。
調心フェルール62は被覆を除去された裸ファイバ素線1aの外径とほぼ等しい内径または若干大きい内径の孔を径方向中心部に有し、この孔に挿入された裸ファイバ素線1aを保持するようになっている。また、調心フェルール62内のファイバ突き合わせ位置には屈折率整合剤69が配置されている。
第1のファイバガイド63はコネクタ本体61内の一端側に固定され、V溝または円形孔によって一方の光ファイバ1の被覆部分を他方の光ファイバ1と同軸状に位置決めするように形成されている。
第2のファイバガイド64はコネクタ本体61内の他端側に固定され、V溝または円形孔によって他方の光ファイバ1の被覆部分を一方の光ファイバ1と同軸状に位置決めするように形成されている。第2のファイバガイド64内には光ファイバ1の撓み部分を受容可能な撓み受容部64aが設けられ、撓み受容部64aは着脱自在な蓋部材64bによって閉塞されている。即ち、蓋部材64bは光ファイバ1同士を接続する際に取り外され、光ファイバ1の押し込みによって生ずる撓み部分が撓み受容部64aに受容されるようになっている。
第1の固定部材65はコネクタ本体61の一端側に設けられ、挿入された一方の光ファイバ1を締め付けることにより、一方の光ファイバ1を固定するように形成されている。
第2の固定部材66はコネクタ本体61の他端側に設けられ、挿入された他方の光ファイバ1を締め付けることにより、他方の光ファイバ1を固定するように形成されている。
第1及び第2の被覆除去部67,68は調心フェルール62の両端側にそれぞれ設けられ、裸ファイバ素線1aを挿通可能な挿通孔を有する円錐形の部材からなる。各被覆除去部67,68は、第1の実施形態と同様、コネクタ本体61内に挿入された光ファイバ1の先端面が当接すると、光ファイバ1の挿入力によって光ファイバ1の被覆1bを切り開きながら剥がし、裸ファイバ素線1aを調心フェルール62内に挿通させるようになっている。この場合、第1の実施形態と同様、各被覆除去部67,68の挿通孔の内径は、例えば175μm以上200μm以下に形成され、光ファイバ1との当接面は光ファイバ1の軸方向に対して垂直に形成されていてもよい。
次に、前記光コネクタ60の組み立てに用いる組立工具について、図19を参照して説明する。
同図に示す組立工具70は、光コネクタ60が配置されるコネクタ配置部71と、コネクタ配置部71に配置された光コネクタ60の一端に向かって光ファイバ1を摺動可能なガイド部材としての第1のガイドプレート72と、コネクタ配置部71に配置された光コネクタ60の他端に向かって光ファイバ1を摺動可能なガイド部材としての第2のガイドプレート73と、第1のガイドプレート72に沿って摺動する光ファイバ1の先端部に加傷を付与する端部処理部としての第1の加傷付与部74と、第2のガイドプレート73に沿って摺動する光ファイバ1の先端部に加傷を付与する端部処理部としての第2の加傷付与部75とから構成され、第1及び第2のガイドプレート72,73には光ファイバ1の先端部を摺動させるV字状のガイド溝72a,73aがそれぞれ設けられている。
コネクタ配置部71は第1及び第2のガイドプレート72,73の間に配置され、各ガイドプレート72,73のガイド溝72aの一端がそれぞれコネクタ本体61の挿入口61aに臨むように光コネクタ60を配置可能に形成されている。
ガイド溝72a,73aは第1及び第2のガイドプレート72,73の上面に設けられ、それぞれコネクタ配置部71に向かって延びるように形成されている。
第1及び第2の加傷付与部74,75はガイド溝72a,73aの一端側(コネクタ配置部71側)にそれぞれ配置された刃からなり、例えば薄いステンレス製のカッターによって形成されている。各加傷付与部74,75はガイド溝72a,73aの底部から上方に突出するように設けられ、ガイド溝72a,73aに沿って摺動する光ファイバ1の被覆1bの先端部に切り込みを入れて加傷を付与するようになっている。
続いて、前記組立工具70を用いた光コネクタの組立方法について、図20を参照して説明する。
まず、光コネクタ60の第1及び第2の固定部材65,66を光ファイバ1が挿入可能な状態にし、コネクタ配置部71に光コネクタ60を配置する。次に、一方の光ファイバ1をファイバホルダ30で把持し、組立工具70の第1のガイドプレート72及び第1の加傷付与部74によって一方の光ファイバ1の先端部に加傷部1cを形成するとともに、ガイド溝72aからコネクタ本体61の挿入口61aに挿入する。尚、組立工具70による加傷付与工程とコネクタへの挿入工程は、第1の実施形態と同様であるため詳細な説明は省略する。
コネクタ本体61内に挿入された一方の光ファイバ1は、図20(a) に示すように第1のファイバガイド63に案内されて第1の被覆除去部67に当接し、第1の被覆除去部67によって被覆1bを除去される。その際、光ファイバ1の先端部には加傷部1cが形成されているため、光ファイバ1の挿入力により、被覆1bを除去するための切り裂きを加傷部1cから容易に生じさせることができる。第1の被覆除去部67によって被覆1bを除去された裸ファイバ素線1aは調心フェルール62内に挿入され、図20(b) に示すようにファイバホルダ30が第1の固定部材65に当接するまで挿入した後、光ファイバ1の後端側を第1の固定部材65によって固定する。これにより、光ファイバ1の先端が調心フェルール62内の屈折率整合剤62aで位置決めされる。この位置決めは、ファイバホルダ30を第1の固定部材65に当接させる代わりに、例えば組立工具70側に設けた当接部にファイバホルダ30を当接させることによって行うようにしてもよい。
次に、他方の光ファイバ1をファイバホルダ30で把持し、組立工具70の第2のガイドプレート73及び第2の加傷付与部75によって他方の光ファイバ1の先端部に加傷部1cを形成するとともに、ガイド溝73aからコネクタ本体61の挿入口61aに挿入する。尚、組立工具70による加傷付与工程とコネクタへの挿入工程は、第1の実施形態と同様であるため詳細な説明は省略する。
コネクタ本体61内に挿入された他方の光ファイバ1は、図20(c) に示すように第2のファイバガイド64に案内されて先端面が第2の被覆除去部68に当接し、図20(d) に示すように第2の被覆除去部68によって被覆1bを除去される。その際、光ファイバ1の先端部には加傷部1cが形成されているため、光ファイバ1の挿入力により、被覆1bを除去するための切り裂きを加傷部1cから容易に生じさせることができる。また、第2のファイバガイド64の撓み受容部64aは蓋部材64bによって閉塞されているので、他方の光ファイバ1に撓みが生ずることはない。第2の被覆除去部68によって被覆1bを除去された他方の光ファイバ1の裸ファイバ素線1aは調心フェルール62内に挿入され、一方の光ファイバ1の裸ファイバ素線1aと屈折率整合剤62aを介して突き合わされる。この後、図20(e) に示すように第2のファイバガイド64から蓋部材64bを取り除き、他方の光ファイバ1を更に押し込むと、第2のファイバガイド64内の光ファイバ1に撓み部1dが生ずる。この撓み部1dは撓み受容部64a内に受容され、この状態で光ファイバ1の後端側を第2の固定部材66によって固定することにより、撓み部1dの復元力によって光ファイバ1の端面同士が押し付けられる。ファイバ端面同士は調心フェルール62によりコア中心が互いに一致するように調心され、ファイバ端面同士は撓み部1dの復元力によって密着しているので、互いに信号光を通光可能となる。
このように、本実施形態によれば、互いに接続される光ファイバ1の先端部をそれぞれ組立工具70の第1及び第2のガイドプレート72,73に沿ってコネクタ本体61側に摺動させる動作により、各光ファイバ1の先端部に被覆除去用の加傷部1cを容易に形成することができるとともに、各光ファイバ1を光コネクタ60内に容易に挿入することができる。これにより、第1の実施形態と同様、専用の加工工具を用いて別途光ファイバ1の加傷を行う必要がなく、例えば現場組立てにおける組立作業を効率良く行うことができる。この場合、第1及び第2のガイドプレート72,73をそれぞれコネクタ配置部71の両側に設けたので、コネクタ配置部71に配置した光コネクタ60に第1及び第2のガイドプレート72,73からそれぞれ光ファイバ1を挿入することができ、光コネクタ60の組立作業をより効率良く行うことができる。
尚、前記実施形態では、ファイバ端面の接続に屈折率整合剤62aを用いるとともに、撓み部1dの復元力によって押圧力を付与しているが、ファイバ端面の光学的特性が良好である場合は、屈折率整合剤62a及び撓み部1dの何れか一方または両方を省略するようにしてもよい。
図21及び図22は本発明の第4の実施形態を示すもので、同図に示す光コネクタ80は光ファイバ1同士を接続するためのものである。
この光コネクタ80は、光ファイバ1が挿入されるコネクタ本体81と、コネクタ本体81内に設けられた調心フェルール82と、コネクタ本体81内に設けられた第1及び第2のファイバガイド83,84と、光ファイバ1をコネクタ本体81に固定する第1及び第2の固定部材85,86と、コネクタ本体81内に挿入された光ファイバ1の被覆を除去する第1及び第2の被覆除去部87,88とを備え、第2のファイバガイド84には撓み受容部84a及び蓋部材84bが設けられている。尚、これらの構成は第3の実施形態と同等であるため、詳細な説明は省略する。
次に、前記光コネクタ80の組立てに用いる組立工具について、図21を参照して説明する。
同図に示す組立工具90は、光コネクタ80が配置されるコネクタ配置部91と、コネクタ配置部91に配置された光コネクタ80の一端に向かって光ファイバ1を摺動可能なガイド部材としての第1のガイドプレート92と、コネクタ配置部91に配置された光コネクタ80の他端に向かって光ファイバ1を摺動可能なガイド部材としての第2のガイドプレート93と、第1のガイドプレート92に沿って摺動する光ファイバ1の先端面をテーパ状に研削する端部処理部としての第1の端面研削部94と、第2のガイドプレート93に沿って摺動する光ファイバ1の先端面をテーパ状に研削する端部処理部としての第2の端面研削部95とから構成され、第1及び第2のガイドプレート92,93には光ファイバ1の先端部を摺動させるV字状のガイド溝92a,93aがそれぞれ設けられている。
コネクタ配置部91は第1及び第2のガイドプレート92,93の間に配置され、各ガイドプレート92,93のガイド溝92aの一端がそれぞれコネクタ本体81の挿入口81aに臨むように光コネクタ80を配置可能に形成されている。
ガイド溝92a,93aは第1及び第2のガイドプレート92,93の上面に設けられ、それぞれコネクタ配置部91に向かって延びるように形成されている。また、第1及び第2のガイドプレート92,93はそれぞれ2つずつ並設されている。
第1及び第2の端面研削部94,95はガイド溝92a,93aの内面の一部をなすようにガイド溝92a,93aの長手方向に亘って設けられた研磨材からなり、例えば研磨シート、砥石、ヤスリ等によって形成されている。各端面研削部94,95はガイド溝92a,93aの底部に表面が凹状の曲面をなすように形成され、ガイド溝92a,93aに沿って摺動する光ファイバ1の先端面の角部をテーパ状に削り取るようになっている。
続いて、前記組立工具90を用いた光コネクタの組立方法について、図22を参照して説明する。
まず、光コネクタ80の第1及び第2の固定部材85,86を光ファイバ1が挿入可能な状態にし、コネクタ配置部91に光コネクタ80を配置する。次に、一方の光ファイバ1をファイバホルダ30で把持し、組立工具90の第1のガイドプレート92及び第1の端面研削部94によって一方の光ファイバ1の先端面の角部をテーパ状に研削するとともに、ガイド溝92aからコネクタ本体81の挿入口81aに挿入する。尚、組立工具90による端面研削工程とコネクタへの挿入工程は、第2の実施形態と同様であるため詳細な説明は省略する。
コネクタ本体81内に挿入された一方の光ファイバ1は、図22(a) に示すように第1のファイバガイド83に案内されて第1の被覆除去部87に当接し、第1の被覆除去部87によって被覆1bを除去される。第1の被覆除去部87によって被覆1bを除去された裸ファイバ素線1aは調心フェルール82内に挿入され、図22(b) に示すようにファイバホルダ30が第1の固定部材85に当接するまで挿入した後、光ファイバ1の後端側を第1の固定部材85によって固定する。これにより、光ファイバ1の先端が調心フェルール82内の屈折率整合剤82aで位置決めされる。この位置決めは、ファイバホルダ30を第1の固定部材85に当接させる代わりに、例えば組立工具90側に設けた当接部にファイバホルダ30を当接させることによって行うようにしてもよい。
次に、他方の光ファイバ1をファイバホルダ30で把持し、組立工具90の第2のガイドプレート93及び第2の加傷付与部95によって他方の光ファイバ1の先端部に加傷部1cを形成するとともに、ガイド溝93aからコネクタ本体81の挿入口81aに挿入する。尚、組立工具90による加傷付与工程とコネクタへの挿入工程は、第1の実施形態と同様であるため詳細な説明は省略する。
コネクタ本体81内に挿入された他方の光ファイバ1は、図22(c) に示すように第2のファイバガイド84に案内されて先端面が第2の被覆除去部88に当接し、図22(d) に示すように第2の被覆除去部88によって被覆1bを除去される。その際、光ファイバ1の先端部には加傷部1cが形成されているため、光ファイバ1の挿入力により、被覆1bを除去するための切り裂きを加傷部1cから容易に生じさせることができる。また、第2のファイバガイド84の撓み受容部84aは蓋部材84bによって閉塞されているので、他方の光ファイバ1に撓みが生ずることはない。第2の被覆除去部88によって被覆1bを除去された他方の光ファイバ1の裸ファイバ素線1aは調心フェルール82内に挿入され、一方の光ファイバ1の裸ファイバ素線1aと突き合わされる。この後、図22(e) に示すように第2のファイバガイド84から蓋部材84bを取り除き、他方の光ファイバ1を更に押し込むと、第2のファイバガイド84内の光ファイバ1に撓み部1dが生ずる。この撓み部1dは撓み受容部84a内に受容され、この状態で光ファイバ1の後端側を第2の固定部材86によって固定することにより、撓み部1dの復元力によって光ファイバ1の端面同士が押し付けられる。この場合、光ファイバ1の先端面は角部を削り取られているため、突き合わせ端面の面積が小さくなり、光接続に必要な圧力が十分に得られる。ファイバ端面同士は調心フェルール82によりコア中心が互いに一致するように調心され、ファイバ端面同士は撓み部1dの復元力によって密着しているので、互いに信号光を通光可能となる。
このように、本実施形態によれば、互いに接続される光ファイバ1の先端部をそれぞれ組立工具90の第1及び第2のガイドプレート92,93に沿ってコネクタ本体81側に摺動させる動作により、各光ファイバ1の先端面を容易にテーパ状に研削することができるとともに、各光ファイバ1を光コネクタ80内に容易に挿入することができる。これにより、第1の実施形態と同様、専用の加工工具を用いて別途光ファイバ1の端面研削を行う必要がなく、例えば現場組立てにおける組立作業を効率良く行うことができる。この場合、第1及び第2のガイドプレート92,93をそれぞれコネクタ配置部91の両側に設けたので、コネクタ配置部91に配置した光コネクタ80に第1及び第2のガイドプレート92,93からそれぞれ光ファイバ1を挿入することができ、光コネクタ80の組立作業をより効率良く行うことができる。
尚、前記実施形態では、組立工具90の第1及び第2のガイドプレート92,93をそれぞれ2つずつ並設したものを示したが、1つずつまたは3つずつ設けるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、ファイバ端面に撓み部1dの復元力によって押圧力を付与しているが、ファイバ端面の光学的特性が良好である場合は、撓み部1dを省略するようにしてもよい。