JP2011037960A - エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 重合体中のイソプレン単位に占める1,2−結合単位及び3,4−結合単位の合計割合が0.1%以下であるトランスポリイソプレンをエポキシ化して得られるエポキシ化トランスポリイソプレン樹脂。このエポキシ化トランスポリイソプレン樹脂のエポキシ化率は例えば20%以上であるのが好ましい。
【選択図】 なし
Description
エポキシ化率(%)={(エポキシ部位のプロトンNMR積算値)/(エポキシ部位、二重結合部位、副反応部位のプロトンNMR積算値の合計)}×100
なお、エポキシ部位のプロトンのケミカルシフトは2.7ppm付近、二重結合部位のプロトンのケミカルシフトは5.1ppm付近、副反応部位のうちエポキシ基が加水分解を受けて水酸基に変化した部位のプロトン(主鎖のプロトン)のケミカルシフトは3.2ppm付近である。
1Lの4つ口反応器に12タングストリン酸(H3PW12O40・30H2O)1.2g(0.35mmol)とクロロホルム600gを添加し、そこに35重量%過酸化水素水を2.1g(22mmol)添加し、室温で窒素雰囲気下、1時間撹拌した。そこに、ヘキサデシルピリジニウムクロリド1.0g(2.8mmol)とトランスポリイソプレン(日立造船社製、重量平均分子量89万、杜仲由来;トランス1,4−結合単位100%、シス−1,4−結合単位0%、1,2−結合単位及び3,4−結合単位の合計0%)3gを入れ、そして再度、35重量%過酸化水素水を3.1g(32mmol)添加し、室温で15時間撹拌した。反応後は分液させた後に水相を取り除き、亜硫酸水素ナトリウム10重量%水溶液100gで洗浄した。分液によって有機相のみを取り出し、そこに触媒成分を吸着させるためにシリカゲル(和光純薬工業社製、商品名「C−200」)60gを添加し、1時間撹拌した後、濾過した。この溶液(濾液)を樹脂濃度が約20重量%になるまでエバポレーターで濃縮した後、バットに濃縮液を移し、5mmHg以下の圧力で、室温条件下、真空乾燥させた。その結果、透明のエポキシ化されたトランスポリイソプレンのフィルムが2.5g得られた。このフィルムを重クロロホルムに溶解させ、NMR(JEOL社製、商品名「JNM−A500」)でエポキシ化率を測定したところ、95%であった(図1参照;二重結合部位のプロトン積算値=1.0、エポキシ部位のプロトン積算値=19.0)。エポキシ基が加水分解されジオールに変化したものは見られなかった。
原料トランスポリイソプレン添加後の反応時間を15時間から5時間に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行ったところ、透明のエポキシ化されたトランスポリイソプレンのフィルムが2.3g得られた。このフィルムを重クロロホルムに溶解させ、NMR(JEOL社製、商品名「JNM−A500」)でエポキシ化率を測定したところ、35%であった(二重結合部位のプロトン積算値=1.0、エポキシ部位のプロトン積算値=0.54)。エポキシ基が加水分解されジオールに変化したものは見られなかった。
原料トランスポリイソプレン添加後の反応時間を15時間から10時間に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行ったところ、透明のエポキシ化されたトランスポリイソプレンのフィルムが2.3g得られた。このフィルムを重クロロホルムに溶解させ、NMR(JEOL社製、商品名「JNM−A500」)でエポキシ化率を測定したところ、65%であった(二重結合部位のプロトン積算値=1.0、エポキシ部位のプロトン積算値=1.9)。エポキシ基が加水分解されジオールに変化したものは見られなかった。
原料トランスポリイソプレン添加後の反応時間を変化させたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、15%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、27%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、30%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、38%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、50%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、81%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、83%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、96%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂をそれぞれ製造した。
実施例4で得られた30%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、50%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、96%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂を、それぞれ、窒素雰囲気下、200℃で20分間加熱して硬化させ、硬化物を得た。また、96%エポキシ化トランスイソプレン樹脂と、ビスフェノールA樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「1009」)と、フェノール樹脂(群栄化学社製「PS−2980」)とを混合し[96%エポキシ化トランスイソプレン樹脂:ビスフェノールA樹脂(重量比)=50:50、フェノール樹脂の量は96%エポキシ化トランスイソプレン樹脂及びビスフェノールA樹脂のエポキシ基の合計に対してフェノール基が1当量となる量]、窒素雰囲気下、200℃で20分間加熱して硬化させ、硬化樹脂を得た。
実施例で得られた38%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、83%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、参考例1で得られた96%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂の硬化物、原料として用いたトランスポリイソプレン樹脂の粘弾性測定(TAインスツルメント社製「RSA−3」、5℃/min、10Hz、0.05%歪)を行った。その結果を図2に示す。
エポキシ化率が高いほど、tanδのピーク温度が高くなることが分かる。83%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂では、tanδのピーク温度が室温付近であり、制振材としての利用が期待できる。96%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂の硬化物は、広い温度領域で高いtanδ値を示すため、広い温度領域での制振効果が期待できる。
実施例1で得られた95%エポキシ化トランスイソプレン樹脂と、ビスフェノールA樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「1009」)と、フェノール樹脂(群栄化学社製「PS−2980」)とを下記表に示す割合で混合し、窒素雰囲気下、200℃で20分硬化させて得られる樹脂につき、JIS K5400に準拠して、鉛筆硬度を測定した。結果を下記表に示す。なお、フェノール樹脂単体の鉛筆硬度は「H」である。
参考例1で得られた30%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂の硬化物、50%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂の硬化物、96%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂の硬化物、96%エポキシ化トランスイソプレン樹脂とビスフェノールA樹脂とフェノール樹脂の混合物の硬化物、原料として用いたトランスポリイソプレン樹脂について、JIS K6850に準拠して、引張りせん断強度(MPa)を測定した。結果を下記表に示す。
実施例4で得られた83%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、原料として用いたトランスポリイソプレン樹脂について、破断時伸度を測定した(エーアンドディ社製「TENSIRONRTF−1350」、23℃、50%RH、1mm/min、7号ダンベル)。結果を下記表に示す。
実施例4で得られた27%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、81%エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂、及びエポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業社製「PB3600」)について、以下の方法により硬化性試験を行った。
エポキシ基3mmolを含む試料をクロロホルム50gに溶解し、開始剤としてメタノール0.8gを加え、液温を約20℃に調節し、BF3・OEt2 エチレンジクロライド溶液1.21g(BF3・OEt223.5mgに相当)を添加し、反応開始とした。所定時間毎にサンプリングして残存エポキシ量を臭化水素酸にて測定して算出した。結果を図3に示す。図3の縦軸はエポキシ基消失率(%)、横軸は反応時間(分)である。
この結果より、エポキシ化トランスポリイソプレン樹脂の硬化速度が速いことが分かる。したがって、接着等の作業性を向上できるという利点がある。
実施例で得られたエポキシ化ポリイソプレン樹脂と、ビスフェノールA樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「1009」)と、フェノール樹脂(群栄化学社製「PS−2980」)とを下記表に示す割合で混合し、相溶性を評価した。相溶性はクロロホルムで溶媒キャストしたもので評価し、透明なものを○、不透明なものを×とした。
Claims (2)
- 重合体中のイソプレン単位に占める1,2−結合単位及び3,4−結合単位の合計割合が0.1%以下であるトランスポリイソプレンをエポキシ化して得られるエポキシ化トランスポリイソプレン樹脂。
- エポキシ化率が20%以上である請求項1記載のエポキシ化トランスポリイソプレン樹脂。
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