JP2011037752A - 害虫防除用粒剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】目的量を目的領域に均一に散布することのできる害虫防除用粒剤を提供する。
【解決手段】殺虫有効成分(ピレスロイド系化合物)と、担体と、共力剤(メチレンジオキシフェニル基を有する化合物)とを含むことを特徴とする害虫防除用粒剤。
【選択図】なし

Description

この発明は害虫防除用粒剤に関し、特に詳しくは、目的量を目的領域に散布可能であり、歩行性不快害虫に対する防除効果が高い害虫防除用粒剤に関する。
従来において、歩行性不快害虫に適用することのできる防除剤が開発されてきた。
特許文献1には、「最長粒径が3mm以上8mm以下の範囲にある粒状担体、又は最長粒径が3mm以上8mm以下の範囲にある粒状担体に最長粒径が1mm以上3mm未満の範囲にある粒状担体を50重量部未満の範囲で混合した粒状担体を用いることを特徴とするシロアリ防除方法」が記載されている(特許文献1の請求項1参照)。また、有効成分としては、ネオニコチノイド系殺虫剤、フェニルピラゾール系殺虫剤、オキサダイアジン系殺虫剤及び/又はクロルフェナピルであることも記載されている(特許文献1の請求項2参照)。
特許文献2には、「固体担体の固体酸強度pKaと固体農薬組成物中の担体質量/農薬活性成分質量で表される両者の質量比との間に下記の式で表される関係を有する農薬活性成分と固体担体を必須原料として配合してな・・・る、農薬活性成分が安定化された固体農薬組成物。・・・」が記載されている(特許文献2の請求項1参照)。
また、特許文献3には、「天然精油であるオークモス、サンダルウッド油、スペアミント油、タイムホワイト油、パチョウリ油、ガーリック油、シナモンリーフ油、タイムレッド油、ペルーバルサムの1種又は2種以上を有効成分として含有することを特徴とするアリ類の忌避剤」が記載されている(特許文献3の請求項1参照)。この「アリ類の忌避剤」には、「さらにピレスロイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤の1種又は2種以上を有効成分として含有する」ことも記載されている(特許文献3の請求項3参照)。
更に、除虫菊由来のピレトリンを有効成分とする製品が市販されている。しかしながら、いずれの製品も粉剤であり、目的量を目的領域に散布することが困難であった。また、風雨によって目的領域以外に飛散及び流出することも多かった。更に、雨天日の翌日も目的領域が乾燥していなければ散布することができなかった。粉剤は、容器に充填し難い上に、粉剤の排出口に密集して圧力がかかり易く、かつ吸湿によって排出口に目詰まりを起こすことがあった。更に、散布後に晴天であっても、粉剤が大気中の水分を吸湿して粉末粒子同士が結着することにより粉剤全体が固化し、防除効果が低下してしまうこともあった。
合成ピレスロイドを有効成分とする粒状の殺虫剤が開発され、現に市販もされている。除虫菊由来のピレトリンは揮発性が低いので、防除効果を発揮させるには、燃焼による強制的な揮発を促すか、粉剤にして対象害虫に直接接触させるしかなかった。これに対して合成ピレスロイドは、除虫菊由来のピレトリンに比べて揮発性が高いので、粒剤であっても害虫に対して殺虫効果があった。
しかしながら、天然物由来の物質を用いた防除用粒剤であって、目的量を目的領域に散布することのできる防除用粒剤は無かった。
特開2005−154364号公報 特開2003−81704号公報 特許第3848412号
この発明が解決しようとする課題は、目的量を目的領域に散布可能であり、歩行性不快害虫に対する防除効果が高い害虫防除用粒剤を提供することである。
前記課題を解決するための手段としては、
(1)殺虫有効成分と、担体と、共力剤とを含むことを特徴とする害虫防除用粒剤、
(2)前記殺虫有効成分が、ピレスロイド系化合物である(1)に記載の害虫防除用粒剤、
(3)前記担体は、平均粒径が50〜800μmである(1)又は(2)に記載の害虫防除用粒剤、
(4)前記担体は、平均粒径が50〜300μmである第1担体と、平均粒径が400〜800μmである第2担体との混合物である(1)又は(2)に記載の害虫防除用粒剤、
(5)前記共力剤が、メチレンジオキシフェニル基を有する化合物である(1)〜(4)のいずれか一つに記載の害虫防除用粒剤、
(6)油脂成分含有の滑剤を更に含む(1)〜(5)のいずれか一つに記載の害虫防除用粒剤、及び、
(7)前記滑剤が、植物由来の油脂成分を含む(6)に記載の害虫防除用粒剤を挙げることができる。
この発明によると、目的量を目的領域に散布可能であり、歩行性不快害虫に対する防除効果が高い害虫防除用粒剤を提供することができる。
図1は、散布能評価を行う実験装置の概略図である。
この発明に係る害虫防除用粒剤は、殺虫有効成分と、担体と、共力剤とを含む。
前記殺虫有効成分としては、歩行性不快害虫に対しては微量で高い効力を発揮するが、人間等の温血動物には殆ど無害である成分を用いることができ、速効性成分及び遅効性成分のいずれであってもよい。
具体的には、前記殺虫有効成分として、例えばピレスロイド系化合物、カルバメート系化合物、ネオニコチノイド系化合物、昆虫生育制御剤、マクロライド系化合物及びフェニルピラゾール系化合物等を用いることができる。更に詳しく言うと、ピレスロイド系化合物としては、例えばピレトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルスリン、テラレスリン、フタルスリン、イミプロスリン、アレスリン、D−テトラメトリン、レスメトリン、フラメトリン、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、ブラトリン、エトフェンプロックス、シルフトリン、シクロプロトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、シラフルオフェン、アクリナトリン、フェンプロパトリン、テフルトリン及びエンペンスリン等を用いることができる。カルバメート系化合物としては、例えばカルボスルファン、ベンフラカルブ及びチオジカルブ等を用いることができる。ネオニコチノイド系化合物としては、例えばアセタミプリド、イミダクロプリド、チアクロプリド、ニテンピラム、クロチアニジン、チアメトキサム及びジノテフラン等を用いることができる。昆虫生育制御剤としては、例えばクロルフルアズロン、フルフェノクスロン、ルフェヌロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン、テブフェノジド、メトキシフェノジド及びクロマフェノジド等を用いることができる。マクロライド系化合物としては、例えばアバメクチン、エマメクチン安息香酸塩及びスピノサド等を用いることができる。フェニルピラゾール系化合物としては、例えばフィプロニルを用いることができる。なお、この発明においては、殺虫有効成分が、歩行性不快害虫を死に至らしめるだけでなく、忌避することもできる化合物であってもよい。
この発明に係る害虫防除用粒剤が防除する歩行性不快害虫とは、基本的に地面を歩行して移動する昆虫であって、不快と感じられる種類の昆虫である。歩行性不快害虫としては、例えばアリ科に属する昆虫、甲虫目に属する昆虫、ゴキブリ目に属する昆虫、カメムシ目に属する昆虫、ムカデ綱に属する節足動物及びアブラムシ上科に属する昆虫等を挙げることができる。
前記殺虫有効成分は、歩行性不快害虫がこの発明に係る害虫防除用粒剤に接触したときに、殺虫有効成分が歩行性不快害虫に付着することができれば良い。よって、この発明に係る害虫防除用粒剤を製造するときには、前記殺虫有効成分は粉末及び液体のいずれであっても良い。殺虫有効成分が粉末である場合は、後述の担体と、後述の共力剤と、殺虫有効成分を含む粉末とを混合することにより、この発明に係る害虫防除用粒剤を製造することができる。殺虫有効成分が液体である場合は、殺虫有効成分を含む液体中に担体と共力剤とを浸漬した後に乾燥させることにより、殺虫有効成分が担体及び共力剤を被覆した状態とすることで、接触した歩行性不快害虫に殺虫有効成分が付着可能なこの発明に係る害虫防除用粒剤を製造することができる。なお、殺虫有効成分と共に共力剤も液体である場合は、殺虫有効成分と共力剤との混合液に担体を浸漬した後に乾燥させることにより、殺虫有効成分と共力剤とが担体を被覆した状態とすることで、接触した歩行性不快害虫に殺虫有効成分が付着可能なこの発明に係る害虫防除用粒剤を製造することができる。
前記殺虫有効成分が粉末である場合に、その平均粒径は特に限定されないが、1〜50μmであると、小型の歩行性不快害虫にも付着し易く、後述の担体及び共力剤と殺虫有効成分との均一な混合も容易であるので好ましい。
この発明に係る害虫防除用粒剤に含まれる前記担体は、殺虫効果及び忌避効果を有しない粒状体であって、前記殺虫有効成分及び後述の共力剤と混合されて使用される。前記担体としては、殺虫有効成分及び共力剤と均一に混合することができ、この発明に係る害虫防除用粒剤全体の体積及び/又は質量を増大させることができる限り、特に制限されず、種々の担体を用いることができる。なお、前記殺虫有効成分の粉末のみを防除剤として用いる態様以外の防除剤は、担体を用いることが多い。前記殺虫有効成分と共に担体を用いる態様においては、担体の体積及び質量によって防除剤全体の体積及び質量も決定付けられる。以下においては、担体として粒状物を用いる防除剤を「防除用粒剤」と称することがあり、担体として粉状物を用いる防除剤を「防除用粉剤」と称することがある。
一般的に、粉剤、粉末及び粉状物とは、粉末度試験法の乾式法により試験するとき45μmのふるいを全量の85%以上が通過する物質を言い、実際的には平均粒子径が10μm程度であることが多い。
前記担体は、上述したように、この発明に係る害虫防除用粒剤全体の体積及び/又は質量を増大させることを一つの目的として用いられる。この発明に係る害虫防除用粒剤全体の体積を増大させるということは、この発明に係る害虫防除用粒剤に含まれる粒子の平均粒子径を増大させることである。この発明に係る害虫防除用粒剤に含まれる粒子の平均粒子径が増大すると、散布されたときに散布領域表面に多数の凹凸を形成することができるので、歩行性不快害虫が散布領域を歩行するときに、凹凸を跨いで越えて行く必要が生じる。歩行性不快害虫が平坦な領域上を歩行する場合に比べて、歩行性不快害虫が散布領域表面の凹凸を越えて行く必要のある場合の方が、殺虫有効成分と歩行性不快害虫の体表面における散布領域に面する部位との接触機会が多くなるので、歩行性不快害虫に前記殺虫有効成分が付着し易くなる。また、この発明に係る害虫防除用粒剤全体の質量を増大させると、一旦散布したこの発明に係る害虫防除用粒剤が飛散し難くなる。この担体によって得られる技術的効果については、この発明に係る害虫防除用粒剤の作用説明と共に後述する。
前記担体としては鉱物由来の粒状物が好ましく、その鉱物としては、石英、カンラン石、輝石、角閃石及び長石等を挙げることができる。前記担体として石英を主成分とする珪砂は、入手し易く、殺虫有効成分及び共力剤に悪影響を与え難いので特に好ましい。もっとも、前記担体として鉱物以外の粒状物、例えばエラストマー、プラスチック、セラミックス、金属及び材木のいずれかから成る粒状物を用いることもできる。担体は、担体のpH、水分、表面酸性及び塩基置換能等を考慮して適宜に選択すると良い。
前記担体の粒径は、粉状物よりも大きい粒径を有していれば良く、例えば50〜3000μmの範囲内であるのが好ましい。担体の粒径の測定法は、例えばJIS規格に準拠した方法で測定することができ、具体的には、ふるい分け法、沈降法、顕微鏡法、光散乱法及び電気抵抗試験方法等を挙げることができる。また、担体の平均粒径は50〜1000μmの範囲内であるのが好ましく、更に好ましくは50〜800μmの範囲内、特に好ましくは50〜300μmの範囲内であると良い。担体の粒度分布としては、粒径が50〜1000μmの範囲内に少なくとも粒子の70%が含まれているのが好ましい。担体の粒径、平均粒径及び粒度分布が上記の数値範囲を満たしていると、この発明に係る害虫防除用粒剤を目的領域に目的量だけ散布し易くなる。
前記共力剤は、それ自体には殺虫力が全く無い物質、又は殺虫力が小さい物質であって、殺虫剤と混合して用いた場合にその殺虫剤の殺虫力を強める物質である。具体的には、共力剤として、植物油、メチレンジオキシフェニル基を有する化合物、例えばセサミン、セサモリン、ピペロニルブトキサイド、サフロキサン、サルホキサイド、n−プロピルイソム、セソキサン等を採用することができ、好ましくは植物油、セサミン又はセサモリンを用いると良い。メチレンジオキシフェニル基を有する化合物は、殺虫有効成分であるピレスロイド系化合物が歩行性不快害虫の体内で分解されるのを阻害するので、ピレスロイド系化合物と共に使用するとより一層効果的である。
なお、この発明に係る害虫防除用粒剤においては、前記殺虫有効成分が粉末であるとき、更にパーライト等の鉱物系微粉末を添加することにより、粒状の前記担体と粉末の殺虫有効成分とが均一に混合し易くなることがある。この鉱物系微粉末の添加量としては、例えばこの発明に係る害虫防除用粒剤の全量を100質量部としたときに、1〜30質量部の範囲内とするのが好ましい。
この発明に係る害虫防除用粒剤における殺虫有効成分の含有量は、この発明に係る害虫防除用粒剤の全量を100質量部としたときに、0.005質量部以上、好ましくは0.005〜10質量部、更に好ましくは0.005〜1質量部であると良い。また、この発明に係る害虫防除用粒剤における担体の含有量は、この発明に係る害虫防除用粒剤の全量を100質量部としたときに、10〜98質量部であると良い。更に、この発明に係る害虫防除用粒剤における共力剤の含有量は、この発明に係る害虫防除用粒剤の全量を100質量部としたときに、0.1〜3質量部であると良い。殺虫成分、担体及び共力剤の含有量が上記の様であると、歩行性不快害虫の防除効果が高いので好ましい。
次に、この発明に係る害虫防除用粒剤の製造方法について説明する。この発明に係る害虫防除用粒剤は、基本的には、粉末の殺虫有効成分と、粒状の担体と、粉末又は液体の共力剤とを適宜の混合装置に投入して混合することによって得られる。混合効率が低いときには適宜の溶媒中で殺虫有効成分と担体と共力剤とを混合した上で固液分離することにより、この発明に係る害虫防除用粒剤としても良い。混合に溶媒を使用する場合は、殺虫有効成分、担体及び共力剤が意図しない変質を起こさない溶媒を適宜選択する必要がある。この発明に係る害虫防除用粒剤は、全ての粒子が通過することのできる排出口を設けて成る容器に充填され、保管及び使用されることとなる。
なお、この発明に係る害虫防除用粒剤の製造方法においては、必ずしも混合装置中で混合する必要は無い。例えば粉末の殺虫有効成分と、粒状の担体と、粉末又は液体の共力剤とを、この発明に係る害虫防除用粒剤が充填されることになる容器にそれぞれ投入し、容器を震盪することにより、この発明に係る害虫防除用粒剤を得ることができる。
ここで、この発明に係る害虫防除用粒剤の使用方法及び作用を説明する。
この発明に係る害虫防除用粒剤の散布は、例えばこの発明に係る害虫防除用粒剤を充填した容器に設けられた排出口を下方向に向けた状態で、目的領域の上方から容器を複数回上下動、水平動又は振盪させることにより達成される。
この発明に係る害虫防除用粒剤の散布領域は、使用者の行動範囲内で歩行性不快害虫が発生している領域であり、防除する歩行性不快害虫の種類、及びこの発明に係る害虫防除用粒剤の使用者の行動場所に応じて適宜決定すれば良い。この発明に係る害虫防除用粒剤は、例えば、食物を保存及び貯蔵する倉庫、物置、庭園、田畑、飲食店の厨房並びに廃棄物収集所等に散布することができる。
この発明に係る害虫防除用粒剤は、担体が粒状物であると、目的量を散布することができて、好ましい。防除用粉剤を散布する場合、例えば充填容器の上下に一回振盪したときの防除用粉剤の排出量がバラつくことが多く、更に粉末の粒子が纏まって排出されることにより意図していない多量の防除用粉剤が排出されることも多い。したがって、防除用粉剤は目的領域に目的量だけ散布することが困難である。これに対して、防除用粒剤であるところの、この発明に係る害虫防除用粒剤の場合、前記充填容器の上下に一回振盪したときの防除用粒剤の排出量がほぼ一定になり、更に粉末に比べて大きい径を有する粒状物は粒子同士が固着せずに個々に分離して排出されるので意図した通りの排出量を維持することができる。したがって、この発明に係る害虫防除用粒剤は目的領域に目的量だけを散布することができる。
更に、防除用粉剤は吸湿して充填容器内で固化することがあり、排出口で凝集することにより排出口の目詰まりも起こし易い。これに対して、この発明に係る害虫防除用粒剤は、たとえ殺虫有効成分が粉末であって吸湿しても、殺虫有効成分と担体と共力剤とが均一に混合されていれば、充填容器内で防除用粒剤全体が固化することも無く、充填容器の排出口に目詰まりを起こすことは無い。
この発明に係る害虫防除用粒剤は、殺虫有効成分だけでなく共力剤も含んでいるので、歩行性不快害虫に対する防除効果が高い。また、担体により散布領域表面に多数の凹凸を形成することができるので、散布領域を通過する歩行性不快害虫が前記凹凸を越えていくときに、担体表面に付着している殺虫有効成分が歩行性不快害虫の体表面に接触し易くなる。防除用粉剤が散布された平坦な散布領域を通過した歩行性不快害虫に比べて、この発明に係る害虫防除用粒剤の散布領域を通過した歩行性不快害虫は、大量の殺虫有効成分が接触する。したがって、この発明に係る害虫防除用粒剤は、歩行性不快害虫に対する防除効果が高い。
次に、この発明に係る害虫防除用粒剤の好ましい態様について説明する。
この発明に係る害虫防除用粒剤の好ましい態様の一つとして、天然物由来の化合物を含む態様を挙げることができる。上述した歩行性不快害虫には、食品を扱う場所にも多く出現し、衛生害虫と成ることがある。食品に関する衛生害虫の防除には、例えば農林水産省が定める「有機加工食品の日本農林規格」において規定された基準等を満たすことが好ましい。詳述すると、「有機加工食品の日本農林規格」においては、第4条の「製造、加工、包装、保管その他の工程に係る管理」という項目に、「有害動植物の防除は、物理的又は生物の機能を利用した方法によること。ただし、物理的又は生物の機能を利用した方法にのみによっては効果が不十分な場合には、別表2の薬剤に限り使用することができる」と記載されている。また、使用することのできる薬剤として別表2には、「除虫菊抽出物」が、「共力剤としてピペロニルブトキサイドを含まないものに限ること」と記載されている。よって、農林水産省が奨励している有機加工食品に関する管理作業には、天然成分由来の化合物を用いる必要がある。
天然成分由来の殺虫有効成分としては、例えば天然ピレスロイド、すなわち除虫菊由来のピレトリン、シネリン及びジャスモリン等を挙げることができる。除虫菊由来のピレスロイドを用いた場合、上述した担体の内、天然物で入手し易い珪砂を用いると共に、上述した共力剤の内、天然成分由来の植物油又はセサミンを用いるのが特に好ましい。これら天然成分由来の化合物を用いると、農林水産省が奨励している有機加工食品に関する管理作業に使用可能な防除用粒剤を得ることができ、更に歩行性不快害虫に対する防除効果も高い。
この発明に係る害虫防除用粒剤の好ましい態様の一つとして、担体として、平均粒径が50〜300μmである第1担体と、平均粒径が400〜800μmである第2担体との混合物を用いる態様を挙げることができる。第1担体と第2担体との混合比は、質量部比(第2担体/第1担体)で2〜20であるのが好ましい。平均粒径が異なる2種類の担体を用いると、平均粒径が1種類のみの担体を用いたときに比べて散布領域表面により一層多くの凹凸が形成されることとなり、歩行性不快害虫の歩行領域上にも多数の凹凸が形成されることにより、殺虫有効成分と歩行性不快害虫、特に歩行性不快害虫の体表面における散布領域に面する部位との接触機会が増加するので、殺虫有効成分及び共力剤の使用量を低減することができる。
この発明に係る害虫防除用粒剤の好ましい態様の一つとして、前記殺虫有効成分、前記担体及び前記共力剤以外に滑剤及び/又は害虫誘引剤等を更に添加する態様を挙げることができる。
前記滑剤は、この発明に係る害虫防除用粒剤の流動性及び分散性を向上させることのできる物質であり、例えばモノイソプロピルホスフェートとジイソプロピルホスフェートとの混合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、トール油脂肪酸及びステアリン酸カルシウム等を用いることができる。滑剤が粉末である場合は殺虫有効成分、担体及び共力剤の混合物に配合すれば良く、滑剤が液体である場合は殺虫有効成分、担体及び共力剤の混合物を浸漬すれば良い。
前記害虫誘引剤は、散布したこの発明に係る害虫防除用粒剤に歩行性不快害虫が引き寄せることにより防除効果を向上させる物質であり、例えばダイアモルア、ピーチフルア、スウィートビルア及びメチルオイゲノール等を用いることができる。害虫誘引剤が粉末である場合は殺虫有効成分、担体及び共力剤の混合物に配合すれば良く、害虫誘引剤が液体である場合は殺虫有効成分、担体及び共力剤の混合物を浸漬すれば良い。
(試料の作製)
殺虫有効成分としてピレトリン含有率0.5質量%の除虫菊粉末と、担体として珪砂と、共力剤として大豆油、ゴマ油又は単離精製されたセサミンとを混合して成る混合物を実施例の試料とした。実施例によっては、珪砂は、粒径が50〜100μmの粒子が全量の約90%を占める珪砂A(市販品)と、粒径が400〜850μmの粒子が全量の95%を占める珪砂B(市販品)とを用いた。
なお、試料によっては、上記混合物に粉末の練り合わせに用いる水、すなわち練合水、鉱物系微粉末としてパーライト粉末及び大豆油である界面活性剤大豆油を更に配合することとした。また、顆粒状の試料は、スクリーンを用いて手押し造粒することにより作製した。配合量は表1に質量部として表示する。
Figure 2011037752
表1に示す実施例8の大豆油は、滑剤として添加した。表1中、「*」を付した試料は比較例であり、「**」を付した試料は参照例である。表1中、「顆粒状」とは、比較例1*は、0.7mmの目を有するふるいにかけて全量通過する程度の大きさであり、比較例2*は、0.55mmの目を有するふるいにかけて全量通過する程度の大きさである。参照例1**は、ピレトリンを殺虫有効成分とする市販の殺虫剤であり、共力剤としてピペロニルブトキサイドを含んでいる。また、参照例2**は、除虫菊粉末単体である。
<防除効果測定>
試料0.2gを薄く敷いたプラスチック製シャーレ(直径90mm、高さ12mm)に供試虫であるコクゾウムシを10頭投入した上で、シャーレを封蓋した。試験室内は27℃に設定し、シャーレを封蓋してから48時間経過するまでの供試虫の状態を、目視によりノックダウン率及び致死率の測定を行った。なお、防除効果の測定は、同条件で3回繰り返して、ノックダウン率及び致死率の平均値を算出することとした。測定結果を表2に示す。
なお、表2において、ノックダウン率を「KD」で示し、致死率を「D」で示した。また、ノックダウンを程度に応じて、次のように区別した。供試虫が仰向けになるが、よく動き、元に戻ることもある状態のときには「KD+1」で示し、供試虫が仰向けであるが、足をよく動かす状態であるときは「KD+2」で示し、供試虫が殆ど動かず、僅かに足が痙攣している状態であるときは「KD+3」で示した。
Figure 2011037752
表2に示す結果では、担体である珪砂を用いていない比較例1*及び2*に比べて、珪砂を用いた実施例1〜8は、ノックダウン率及び致死率が共に高い。これは、比較例1*及び2*には含まれていない共力剤を、実施例1〜8が含有しているからである。
また、実施例5〜8については、ピペロニルブトキサイドを含む参照例1**と同等の防除効果を発揮していた。実施例1〜8において使用した殺虫有効成分、担体及び共力剤は全て天然物由来であり、農林水産省が定める「有機加工食品の日本農林規格」において規定された基準を満たしているので、食品の周辺においても歩行性不快害虫を防除するのに使用することができる。なお、ピペロニルブトキサイドを含む参照例1**は食品の周辺において使用することは好ましくない。
実施例7及び8は、第1担体である珪砂Aと、第2担体である珪砂Bとを混合して用いていたことにより、1種類の担体Aのみを用いた実施例1〜6に比べて、歩行性不快害虫の歩行軌道上である散布領域表面により大きな凹凸を形成することができ、結果として担体に付着した殺虫有効成分と歩行性不快害虫、特に歩行性不快害虫における散布領域に面する体表面との接触機会を増加させることができたので、防除効果が上昇した。これにより、害虫防除に要する防除剤の必要量が低減したので、殺虫有効成分である除虫菊粉末及び共力剤であるセサミンの使用量を低減することができた。
<散布能評価>
試料が正確に目的領域に散布されるかを次のように評価した。
図1に示すように、試料10gを投入した容器1から、15cm四方の紙片である目的領域2に、試料を散布する。このとき、目的領域2近傍には、扇風機3(株式会社山善製、YTF−131)を噴出口の風速7m/sに設定して発生させた風を送ることにした。容器1と目的領域2との距離Hは50cm、目的領域2と扇風機3との距離Dは30cmに設定した。
試料は、上記実施例8と、参照例1**とを評価することにした。評価は目的領域2上に着地した試料の量を測定し、飛散状況も目視により調査することとした。飛散状況の判断基準としては、散布対象領域から5cm以内に試料が飛散している場合は「小」とし、散布対象領域から30cm以内に試料が飛散している場合は「中」とし、散布対象領域から30cmを超えて飛散している場合は「大」とした。なお、散布能の評価は、同条件で3回繰り返した。評価は3評価結果を表3に示す。
Figure 2011037752
表3中、散布量とは目的領域上に着地した試料の量である。
参照例1**は粉剤であるので飛散状況がいずれも「大」であり目的領域に散布することが困難であったのに対して、実施例8は担体を含んでいるので風が発生していても大きく飛散することなく目的領域に散布することができた。更に言うと、参照例1**は目的領域に目的量を散布するには目的量の3倍程度の量が必要となるのに対して、実施例8は1.2倍程度の量で済むので、目的量を目的領域により一層確実に散布することができるようになったと分かる。
評価は実施例8のみ行ったが、担体を含む実施例1〜7及びこの発明に係る害虫防除用粒剤についても、実施例8と同様の効果を有すると推測することができる。
この発明に係る害虫防除用粒剤は、使用者の行動範囲内に生息する歩行性不快害虫に対して使用することができ、好ましくは歩行性不快害虫であって食品の周辺に発生する衛生害虫に対して使用することができる。
1 容器
2 目的領域
3 扇風機

Claims (7)

  1. 殺虫有効成分と、担体と、共力剤とを含むことを特徴とする害虫防除用粒剤。
  2. 前記殺虫有効成分が、ピレスロイド系化合物である請求項1に記載の害虫防除用粒剤。
  3. 前記担体は、平均粒径が50〜800μmである請求項1又は2に記載の害虫防除用粒剤。
  4. 前記担体は、平均粒径が50〜300μmである第1担体と、平均粒径が400〜800μmである第2担体との混合物である請求項1又は2に記載の害虫防除用粒剤。
  5. 前記共力剤が、メチレンジオキシフェニル基を有する化合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の害虫防除用粒剤。
  6. 油脂成分含有の滑剤を更に含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の害虫防除用粒剤。
  7. 前記滑剤が、植物由来の油脂成分を含む請求項6に記載の害虫防除用粒剤。
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