JP2011034824A - ショートアーク型放電ランプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 発光管の内部に対向して配置された陽極および陰極を備え、前記陽極の前記陰極に対向する先端部は、陽極中心軸上に形成された凹部と、前記凹部の周囲を包囲する平坦面とを有し、前記陽極と前記陰極とに電圧を印加したときに形成されるアークが、前記陽極に形成された凹部を超えて前記平坦面上に広がるショートアーク型放電ランプであって、前記陽極は、前記凹部および前記平坦面の間にR部が介在しており、前記凹部、R部および平坦面は滑らかに連続することを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
特許文献1は、図6に示すように、陰極2に対向する先端部に凹部30を設けた陽極3を開示する。この陽極構造によれば、陰極2から放出される電子を受け止める点で発生する電界の強さが近づき、陽極表面の電流密度分布が分散するため、陽極3の消耗が低減し放電ランプの寿命が伸びる、とされている。
しかしながら、特許文献1は、電極間に形成されるアークが陽極に設けられた凹部を超えて凹部の周囲に広がった場合について何ら検討していない。
前記陽極は、前記凹部および前記平坦面の間にR部が介在しており、前記凹部、R部および平坦面は滑らかに連続することを特徴とする。
したがって、本発明のショートアーク型放電ランプは、電極間に形成されるアークが陽極に形成された凹部を超えて凹部の周囲の平坦面上に広がるものでありながら、陽極の消耗を確実に抑制することができ、ランプ寿命を延長することができる。
ランプ10は、略球状に形成された発光部11と発光部11の両端のそれぞれに連続する直管状の封止部12Aおよび12Bとで構成される発光管1を備えている。発光管1は、例えば石英ガラスによって一体的に形成されている。封止部12Aおよび12Bには、それぞれ円筒形状を有する給電用の口金13Aおよび13Bが装着されている。
発光管1の内部に形成された放電空間Sには、陰極2と陽極3とが、陽極中心軸X上において互いに対向して配置されると共に発光物質が封入されている。
発光物質は、室温で0.1気圧以上のキセノンガス若しくはアルゴンガス若しくはクリプトンガスと、1mg/cc以上の水銀が封入されている。なお、発光物質として、これらの希ガスおよび水銀のうち、いずれか一方のみが封入されていても良い。
このショートアーク型放電ランプは、陽極3又は陰極2を上にして垂直な姿勢で点灯させるものであり、陰極2および陽極3に電圧を印加したときにアークA(図4参照)が形成され、アークAから波長365nmの紫外光が放射される。ランプ電力は2kW(キロワット)以上である。
陽極3の円錐台部3Aは、図2に示すように、陽極中心軸X上に球面状の凹部30が形成されている。凹部30を設けることにより、陰極2から放出される電子を受け止める点で発生する電界の強さが近づくようになり、陽極中央部に集中していた電界を平均化し、中央部の温度が低下するので、陽極の消耗を抑制することができる。凹部30の直径DRはアーク直径未満であり、凹部30の円弧の角度θは20〜90°である。凹部30の周囲には、凹部30を包囲するように環状の平坦面32が形成されている。
凹部30の端部には、陽極中心軸Xを含む断面において、陽極中心軸Xに対して凸になるように環状のR部31が形成されている。これにより、球面状の凹部30および平坦面32の間に環状のR部31が介在する。R部31の直径は凹部30の直径DRの0.5〜2倍である。
このように、凹部30、R部31および平坦面32は、突起や角部といった電界が局所的に集中し易い箇所を有することなく滑らかに連続している。そのため、陽極3の陰極2から放出される電子を受け止める場所は、局所的に電界が集中しない構成とされている。
陽極3に設けられた凹部30の直径DRは、後述するように、アーク直径2DAの0.47〜0.81の範囲であることが好ましい。凹部30の直径DRが大きすぎると、ランプの初期照度が低下する割合が大きくなるためである。凹部30の直径DRが小さすぎると、陰極2から放出される電子を受け止める点で発生する電界の強さを近づけることができなくなるためである。
アーク半径DAは陽極先端付近の輝度分布より求める。これは輝度分布がほぼ電子の量と比例していると考えられるからである。この輝度分布はほぼ正規分布で近似できる。アーク半径は、この近似した正規分布の2σの値とした。
同図は、縦軸がアーク半径DA(mm)、横軸がランプ電力P(kW)である。同図は、表1に示すように互いに異なる水銀量、電極間距離を有する5つのランプS1、S2、S3、S4、S5をそれぞれ表1に示すランプ電力Pで点灯させ、各ランプについて測定したアーク半径DAの数値をプロットした。表1は、図3に示すグラフを作成するにあたり使用したランプの水銀量、電極間距離、ランプ電力P、アーク半径DAの一例を示す。
(関係式1) DA=1.0+1.8(P−1.6)0.5
関係式1に示すように、アーク半径DAはランプ電力Pが増えるに従って径方向に広がる。
したがって、ランプ点灯時に陰極2および陽極3の間に形成されたアークAは、図4に示すように、アーク直径2DAが凹部30の直径DRよりも大きくなり、凹部30を超えて平坦面32上に広がることになる。
しかも、本発明のランプによれば、陽極3の陽極中心軸X上に設けられた凹部30の曲面に沿って電界が平均化され、陰極2から放出される電子を受け止める陽極表面における電流密度を分散させることができる。
したがって、本発明のランプは、長時間に亘り陽極3の消耗を抑制することができ、ランプの寿命を延長することができる。
従来のランプは、同図に示すようにDR/2DA=0.47の位置に電界強度の鋭いピークが観測された。DR/2DA=0.47は陽極に設けた凹部の直径DRがアーク直径2DAの約半分であり、換言すれば図4に示すようにアークAが凹部30を超えて径方向に広がったことを意味する。
図5に示すシュミレーションの結果から、従来のランプは、アークが凹部を超えて径方向に広がった場合に、凹部の周端部に電界が局所的に集中することが明らかとなった。従来のランプは、アークが凹部を超えて径方向に広がった場合に、陽極の消耗を十分に抑制することができないことが明らかである。
<ランプA1〜A5の基本構成>
・電極間距離L : 5mm
・水銀封入量 : 30mg/cc
・キセノンガス : 1気圧(常温)
・ランプ電力 : 5kW(キロワット)
・アーク直径2DA : 8.6mm
<ランプA1〜A5の陽極の仕様(図4参照)>
・陽極3は凹部30およびR部31を有する
・凹部30の深さH : 0.4〜1.4mm
・凹部30の直径DR : 2〜7mm
・凹部30を構成する円弧の半径DC : 1.5〜5.1mm
・凹部30の円弧の角度θ : 44°
・R部31の直径DQ : 4mm
・アーク直径2DA : 8.6mm
・DR/2DA : 0.23〜0.81
・凹部30の体積 : 0.79〜29mm3
さらに、比較例として凹部を有しない陽極を有するランプC1も作製した。
比較例のランプB1,B2,B3,B4,B5は、陽極がR部を有しないことを除くと、それぞれ本発明のランプA1,A2,A3,A4,A5と同じ陽極の仕様を有するものでありながら、本発明のランプに比べてランプ寿命が短いことが確認された。
本発明のランプA1〜A5は、陽極にR部を有することにより、陽極にR部を有しない比較例のランプB1〜B5に比べランプ寿命が長いことが確認された。なお、凹部を有しない陽極を備えるランプC1は、照度維持率が85%になるまでの時間が180時間であり、本発明のランプA1〜A5に比べてランプ寿命が格段に短いことが確認された。
比較例のランプB1,B2,B3,B4,B5の初期照度は、比較例のランプC1の初期照度を1とした場合に、それぞれ0.97、0.99、1.00、1.00、1.00であることが確認された。
表2に示す結果から、本発明のランプA1〜A5の初期照度は、比較例のランプB1〜B5およびC1の初期照度と概ね同じであることが確認された。
さらに、表2に示す結果から、ランプA1〜A5の初期照度は、概ね凹部の体積が小さくなるほど、高くなる傾向にあり、凹部を有しないランプC1の初期照度に近付くことが確認された。また、凹部の体積は、凹部の直径DRの三乗に影響を受けるため、凹部の直径DRが増減するに従って増減する。したがって、アーク直径2DAに比べて凹部の直径DRを小さくするほど、初期照度の低下を可及的に抑制することができる。
1 発光管
11 発光部
12A,12B 封止部
13A,13B 口金
2 陰極
3 陽極
30 凹部
31 R部
32 平坦面
A アーク
Claims (2)
- 発光管の内部に対向して配置された陽極および陰極を備え、
前記陽極の前記陰極に対向する先端部は、陽極中心軸上に形成された凹部と、前記凹部の周囲を包囲する平坦面とを有し、
前記陽極と前記陰極とに電圧を印加したときに形成されるアークが、前記陽極に形成された凹部を超えて前記平坦面上に広がるショートアーク型放電ランプであって、
前記陽極は、前記凹部および前記平坦面の間にR部が介在しており、
前記凹部、R部および平坦面は滑らかに連続することを特徴とするショートアーク型放電ランプ。 - 前記陽極と前記陰極とに電圧を印加したときに形成されるアークの半径をDA、前記凹部の直径をDRとしたときに、0.47≦DR/2DA≦0.81の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載のショートアーク型放電ランプ。
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