JP2011032373A - ウェットマスターバッチの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴムラテックスと充填剤スラリーの混合液の混合条件を適正化することで、両者のミクロ的な分散性を向上させ、ゴム組成物に配合したときに、低発熱性及び耐疲労性を向上可能なウェットマスターバッチの製造方法を提供する。
【解決手段】ゴムラテックスと、充填剤スラリーとを混合し、この混合液を凝固させる混合・凝固工程を有するウェットマスターバッチの製造方法であって、混合液を凝固させる凝固槽9に、回転軸11まわりに回転するディスク12と、ディスク12の外周に沿ってディスクの表裏両側に回転軸方向に突設された破砕羽根13とを有し、かつ条件(a)を満たす回転翼10を設け、回転翼10を周速20m/s以上になるように回転させて混合液を混合しながら凝固物を生成させる。
(a)ディスク12の直径をD、破砕羽根13の高さをTとしたときに、1<D/T<2.5で、かつ、凝固槽9の内径をIとしたときに、1<I/D<2.6
【選択図】図2

Description

本発明は、ゴムラテックスと、カーボンブラック等の充填剤を分散させたスラリーとを用いたウェットマスターバッチの製造方法及びそれを用いたゴム組成物に関する。
従来より、分散性や加工性に優れたゴムの製造方法として、特許文献1に示すように、天然ゴムラテックスとカーボンブラック等の充填剤スラリーとを混合し、凝固剤により天然ゴムと充填剤の混合物を凝固させ、得られた凝固物を水から分離し、さらに脱水処理した後に乾燥する、いわゆるウェットマスターバッチを用いる方法が知られている。この方法で得られたウェットマスターバッチは、天然ゴムと充填剤とを混練ロール等を用いて混練して得られるドライマスターバッチに比べてゴム成分に対するカーボンブラックの分散性に優れ、加硫後のゴム特性(破断強度、耐摩耗性等)に優れるという利点を有する。
さらに、ゴムマスターバッチの均一性を向上させるために、特許文献2に示すように、ゴムラテックスと充填剤スラリーとを高せん断ミキサーを用いて混合する方法が知られている。
特許登録第2633913号公報 再表2005/012396号公報
ところで、特許文献2に記載されているのは、ゴムラテックスと充填剤スラリーの混合液を凝固させた凝固物1gスケールでの均一性についてであり、ゴムラテックスとカーボンブラックとの粒子レベルでのミクロ的な分散性についての記載はなく、さらにこのようなミクロ的な分散性の差異が最終ゴム製品の特性にどのように影響を及ぼすかについてはまったく知られていない。
そこで、本発明では、上記問題に鑑み、ゴムラテックスと充填剤スラリーの混合液の混合条件を適正化することで、ゴム成分と充填剤とのミクロ的な分散性を向上させることが可能で、ゴム組成物に配合したときに、低発熱性及び耐疲労性を向上させることができるウェットマスターバッチの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、ゴムラテックスと、充填剤を水に分散させたスラリーとを混合し、この混合液を凝固させる混合・凝固工程を有するウェットマスターバッチの製造方法であって、前記混合・凝固工程において、前記混合液を凝固させる凝固槽に、回転軸まわりに回転するディスクと、前記ディスクの外周に沿ってディスクの表裏両側に回転軸方向に突設された破砕羽根とを有し、かつ下記条件(a)を満たす回転翼を設け、前記回転翼を周速20m/s以上になるように回転させて前記ゴムラテックス及びスラリーを混合しながら凝固物を生成させることを特徴とする。
(a)前記ディスクの直径をD、前記破砕羽根の高さをTとしたときに、1<D/T<2.5で、かつ、前記凝固槽の内径をIとしたときに、1<I/D<2.6
上記工程を経て得られた凝固物(マスターバッチ)は、ゴム成分と充填剤とのミクロ的な分散性に優れ、この凝固物をゴム組成物に配合すると、最終的に得られるゴム製品の加工性、低発熱性及び耐疲労性を向上させることが可能となる。
これら特性が向上する要因としては、以下のように考えられる。すなわち、充填剤は、混合液中において、複数の一次粒子が凝集して形成される凝集体(アグリゲート)乃至凝集体がいくつか凝集して形成される凝集塊(アグロメレート)の形態で存在している。そして、これら凝集体や凝集塊とゴム粒子とが混合液中で分散した状態で存在している。
上記混合液にせん断力を加えると、従来から公知のごとく、充填剤とゴムラテックスとが分散した状態のまま凝固する。本発明では、混合液にせん断力を加えるに際して、回転翼を周速20m/sという高速で回転させることにより、凝固物生成時に、同時にその大きなエネルギーによって充填剤の凝集塊を破砕するため、ミクロ的にゴム粒子と充填剤粒子とのミクロ的な分散性がより向上するものと考えられる。
なお、ゴム成分と充填剤とのミクロ的な分散性を向上させる方法として、充填剤スラリーにせん断力を加え、その後、充填剤スラリーとゴムラテックスとを混合して凝固物を生成させることも考えられる。しかしながら、この方法では充填剤の凝集塊を破砕した後、凝固物を生成させるまでの間に充填剤の再凝集が生じる。これに対して、本発明では、充填剤の破砕と凝固物の生成とが同時進行することから充填剤の再凝集を抑制することが可能となり、ゴム成分と充填剤とのミクロ的な分散性をより向上させることができる。
回転翼は、ディスクの直径をD、破砕羽根の高さをTとしたときに、1<D/T<2.5で、かつ、凝固槽の内径をIとしたときに、1<I/D<2.6を満たすことが必要とされる。上記要件を満たすことで、凝固槽に応じた大きさの回転翼を用いることが可能となる。従って、凝固槽内の混合液全体に対して短時間でせん断力を加えることができ、凝固物が生成する前に充填剤の凝集塊を破砕することが可能となる。
本発明において特筆すべきは、得られる凝固物が微細な粒状物であるという点である。すなわち、混合液中で凝固物の核が生成すると、それを中心にして凝固物が成長する。本発明では一定の大きさの回転翼を高速で回転させることにより、混合液に強力なせん断力を与えるため、混合・凝固工程の初期において、混合液中に凝固物の核が多数生成する。そして、生成した核を中心に凝固物の成長が均等に進行するため、微細で粒状の凝固物を得ることができるものと考えられる。
本発明により得られた凝固物は、大部分が1mm〜10mm程度の大きさとなるため、後の脱水・乾燥工程において水分が抜けやすく、また、表面積が大きいためスムーズに乾燥することが可能となる。さらに、流動性に優れているため、脱水・乾燥工程において、脱水装置や乾燥装置内で詰まって排出できなくなるといった事態を招くおそれがない。
本発明に係る天然ゴムマスターバッチの製造方法においては、高速で回転する回転翼により凝固剤を使用せずにゴムラテックスと充填剤とを効率よく凝固させることができる。したがって、上記工程を凝固剤の不存在下に行うことができ、これにより、凝固物中の凝固剤を洗い流す手間を省略することが可能となる。
本発明においては、上述のように、混合・凝固工程において凝固剤は必ずしも添加する必要はない。ただ、凝固剤を添加することにより、混合液中に残存するゴムラテックス及び充填剤の量を少なくすることができると共に、凝固をより短時間で終了させることが可能となる。凝固剤を添加する場合は、先ず、破砕羽根の回転を開始し、所定時間経過後に凝固剤を混合液に添加するのが好ましい。破砕羽根の回転開始と同時に凝固剤を添加すると、凝固物の生成が急激に進行し、凝固物が塊状になりやすくなるとともに、破砕羽根に凝固物が付着・堆積するためである。
以上説明したように、本発明により得られたウェットマスターバッチは、ゴム粒子と充填剤粒子との分散性に優れている。したがって、係るウェットマスターバッチを用いたゴム組成物は、加工性、耐疲労性及び低発熱性に優れるため、タイヤのドレッドゴム、サイドウォールゴムなどのタイヤ用ゴム組成物を始め、各種ゴム組成物に好適に使用することができる。
本発明では、ゴムラテックスと、充填剤を水に分散させたスラリーとを凝固槽に供給して混合・凝固させる際に、凝固槽に対して一定の大きさのディスク型の回転翼を周速20m/s以上の高速で回転させるようにしたため、ゴム成分と充填剤とのミクロ的な分散性に優れ、この凝固物をゴム組成物に配合すると、最終的に得られるゴム製品の加工性、低発熱性及び耐疲労性を向上させることが可能となる。
本発明に係るウェットマスターバッチの製造方法を示す工程図 上記混合・凝固工程で用いる凝固装置の概略断面図 図2の凝固装置における回転翼の拡大図 回転翼の別の態様を示す拡大図
以下、本発明の実施形態について図面を基に説明する。図1は、本発明に係るウェットマスターバッチの製造方法を示す工程図である。まず、最初に、ゴムラテックス調製工程1及び充填剤スラリー調整工程2を実施して、ゴムラテックス及び充填剤スラリーを調製する。
ゴムラテックスとしては、天然ゴムラテックスのほか、合成ゴムラテックスを使用することも可能である。ゴムラテックスは水等の分散媒によって固形分が10重量%〜40重量%になるように濃度調整するのが好ましい。
充填剤としては、カーボンブラック、シリカのほかに、タルク、クレー、その他の無機充填剤等を用いることができる。充填剤としてカーボンブラックを用いる場合、通常、ゴム用充填剤として用いられる種々のグレードを使用することができる。具体的には、SAF、ISAF、HAF、GPF、FEF等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して使用することが可能である。充填剤のスラリー濃度は固形分が1重量%〜20重量%が好ましく、3重量%〜15重量%であることがより好ましい。
調製したゴムラテックス及び充填剤スラリーは、必要に応じて分散処理を行う。分散処理は、ハイシア(ローター/ステーター)ミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル等を用いて行うことができる。これらの装置は、回転数を高くしたり、処理時間を長くすることにより粒子を微細化することができる。
図2は、ゴムラテックス及び充填剤スラリーを混合・凝固させる凝固装置を示す断面図であり、図3は回転翼の拡大図である。凝固装置8は、内径Iの凝固槽9と、回転翼10とを備えている。本実施形態で使用される回転翼10は、ディスパー型回転翼であって、回転軸11に接続されるディスク12と、ディスク12の外周に沿って設けられた破砕羽根13とを備えている。
破砕羽根13は回転式のこぎり歯のようにディスク12の両側にそれぞれ回転軸方向に突設されている。回転翼10は、ディスク12の直径をD、破砕羽根13の高さをTとしたときに、1<D/T<2.5、かつ、1<I/D<2.6であることが必要とされる。
なお、ディスク12の表側と裏側とで突設される破砕羽根13の高さが異なる場合は、図4に示すように、ディスク表側に設けられた破砕羽根13の高さをt1、ディスク裏側に設けられた破砕羽根13の高さをt2とすると、両方の高さの平均値(t1+t2)/2をTとすればよい。
ディスク12に設けられる破砕羽根13の枚数については、適宜設定することが可能である。具体的には、破砕羽根13の枚数を(ディスク表側枚数)/(ディスク裏側枚数)で表すと、最少で2/2、最大でおおよそ(D×π÷9)/(D×π÷9)の範囲内で設定することができる。回転翼を高速で回転させるほど、凝固物の形状は破砕羽根の枚数よりも破砕羽根の高さT及び回転翼の周速に大きく影響されるためである。
上記要件を満たす回転翼10は、凝固槽9に供給された混合液に対して十分な撹拌能力を有する。したがって、回転翼10を周速20m/s以上で回転させることで、混合液中の充填剤を全体的に均一に微細化することが可能になる。さらに、混合・凝固工程の初期に、混合液中に多数の凝固物の核を生成させることができる。すなわち、初期に生成される凝固物の数が多いほど最終的な凝固物の粒径は小さく、大きさが揃ったものとなる。
凝固剤を添加する場合は、破砕羽根9の回転を開始し、凝固物の生成・成長が落ち着いた段階で添加するのが好ましい。具体的には、破砕羽根9の回転を開始した後、2〜4分経過後ぐらいが好ましい。凝固剤としては、蟻酸などの酸や、硫酸アルミニウム等の金属塩等を使用することができる。
以上のようにして得られた凝固物は、固液分離工程4にて、固液分離と凝固剤を洗い流す洗浄とを交互に実施した後、水分及び不純物を取り除いた状態で脱水処理を行う(脱水工程5)。具体的には遠心分離、スクリュープレス、フィルタープレスなどの方式を採用することができる。脱水後、凝固物は、乾燥工程6にかけられる。
乾燥工程6においては、バンド乾燥機、コンベヤー式乾燥機、ドラム乾燥機又は押出機等を使用することができる。その中でも特に、押出機を用いれば、乾燥と同時に可塑化を行うことが可能となる点で好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明について更に詳細に説明するが、本発明をその要旨を越えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
[混合・凝固工程の実施内容]
本実施例においては、上記ゴムラテックス調製工程1におけるゴムラテックスとして天然ゴムラテックスを使用し、ゴム成分25重量%になるように濃度を調整した。さらに、充填剤スラリー調製工程2における充填剤としてカーボンブラック(東海カーボン社製シースト9)を用い、これをシルバーソン社製撹拌機(フラッシュブレンド)によって3600rpm×30minの条件で水に分散させ、固形分5重量%のスラリーを調製した。
その後、混合・凝固工程3において、凝固装置としてみづほ工業社製のLR−1を使用し、凝固槽(内径100mm、高さ119mm、容積500mL)を40℃に温調した状態で、ゴムラテックス80mLとカーボンブラックスラリー200mL(重量比でゴム成分:カーボンブラック=100:50)を同時に投入した。
回転翼としては、ディスク径D、破砕羽根高さT及び破砕羽根枚数を調整することによりI/D値及びD/T値を変化させた複数のタイプを用意した。そして、各回転翼を底面からの高さが30mmとなるように凝固槽内に設置し、凝固槽にゴムラテックスとカーボンブラックスラリーとを投入した後、直ちに、所定の周速で30分間回転させて混合液を撹拌した。なお、本実施例では凝固剤は使用しなかった。30分間の攪拌終了後、凝固物の生成状態を目視にて観察した。
上記凝固物を水洗した後、脱水、乾燥処理を行い、含有する水分を蒸発させることで最終的にウェットマスターバッチを得た。そして、さらに、ウェットマスターバッチを用いて、ゴム組成物を調製した。
ゴム組成物の配合は、ウェットマスターバッチ150重量部(うちゴム成分100重量部)に対して、ステアリン酸(日本油脂製)1重量部、老化防止剤(モンサント製6PPD)1重量部、亜鉛華(三井金属製亜鉛華1号)3重量部、ワックス(日本精蝋製)1重量部、硫黄(鶴見化学工業製)2重量部、促進剤(三新化学製CBS)1重量部を配合した。ゴム組成物は、150℃×30minの条件にて加硫処理を行った。
[評価項目]
凝固物については、形状及び分散性の評価を行い、さらに、加硫ゴムについては、分散性、耐疲労性及び発熱性の評価を行った。以下に評価試験の内容を記す。
(1)凝固物の形状
凝固物の形状を目視で判断した。評価基準としては、凝固物の粒径の大半が1mm〜10mmと小さく、良好な流動性を有するものを○とした。その中でも特に、粒径が微細で大きさが揃っており、より流動性が優れているものを◎とした。一方、凝固物全体のうち、一部にでも粒径10mm超の塊が含まれている場合は×とした。
(2)凝固物における天然ゴムとカーボンブラックの分散性
ウェットマスターバッチ中の天然ゴムとカーボンブラックの分散性をフィリップス法により測定した結果を併記した。フィリップス法による分散性は、ディスパグレーター(Tech Pro社製)を用いてRCBメソッドのX値からカーボンブラックの分散性を評価した。この値が大きいほど分散性に優れていることを示す。
(3)加硫ゴムにおける天然ゴムとカーボンブラックの分散性
ASTM D2663−69(B法)に準拠して測定した。
(4)耐疲労性
JIS K6270に準拠して測定し、後述する表1に示す比較例1の特性値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど耐疲労性が良好であることを示す。
(3)発熱性
JIS K6265に準拠して測定し、後述する表1に示す比較例1の特性値を100とした指数で表示した。指数が小さいほど発熱温度が低く、低発熱性であることを示す。
[評価結果]
評価結果を表1〜表3に示す。表1では、回転翼の周速及びD/T値を一定にし、I/D値を種々変化させたときの凝固物(ウェットマスターバッチ)の物性及びそれを用いたゴム組成物の物性を評価した(実施例1〜実施例5、比較例1及び2)。表2では、回転翼の周速及びI/D値を一定にし、D/T値を種々変化させたときの凝固物の物性およびそれを用いたゴム組成物の物性を評価した(実施例6〜実施例8、比較例3及び4)。表3では、回転翼のI/D値及びD/T値を一定にし、周速を種々変化させたときの凝固物の物性及びそれを用いたゴム組成物の物性を評価した(実施例9〜実施例12、比較例5)。
表1より、回転翼の周速が20m/s以上で、D/T値が条件(a)の範囲内であっても、I/D値が2.5以上と大きい比較例1及び比較例2は、分散性(フィリップス法及びASTM B法の両方)の評価は低くなった。これは、破砕羽根の大きさが凝固槽内径に比べて小さく、混合液全体に含まれるカーボンブラックの凝集体を破砕する前に凝固物の生成が進行したために分散性が低くなったものと考えられた。また、分散性の低下に伴い、加硫ゴムの物性(耐疲労性、発熱性)も低下した。
また、比較例1及び比較例2では、得られた凝固物の形状は×で、かなり大きな塊が存在した。これは、回転翼が小さいために、混合液の一部にしか破砕羽根のせん断力が及ばないために、初期に生成する凝固物の核の数が少なくなるためと考えられた。すなわち、初期に生成した凝固物は、後から生成した凝固物よりも成長が早くなり、凝固物が巨大化したものと推測された。
これに対して、回転翼の周速を20m/s、D/T値を2.0で一定にし、I/D値を1.1〜2.5の範囲内で変化させた実施例1〜実施例5は、いずれも比較例1、2に比べて分散性が向上しており、加硫ゴムの物性も良好なものとなった。さらに、凝固物の形状も◎〜○と、良好な流動性を示すことが判明した。
表2より、回転翼の周速を20m/s、I/D値を2.0で一定にし、D/T値を条件(a)の範囲内(D/T=1.1〜2.0)で変化させた実施例6〜実施例8は、分散性、加硫ゴムの物性ともに良好であり、凝固物の形状も微細な粒状となり、良好な流動性を示すことが分かった。一方、D/T値が2.5以上である比較例3及び比較例4は、分散性の評価は低くなり、加硫ゴムの物性も低下した。これは、ディスク径に対する破砕羽根の相対的な高さが短くなり、混合液にかかるせん断力及び撹拌力が低下したためと考えられた。
また、表3より、回転翼のI/D値を2.0、D/T値を2.0で一定にし、周速を20m/s以上の条件で変化させた実施例9〜実施例12は、分散性、加硫ゴムの物性ともに良好であり、回転翼の周速が速くなるほど凝固物の形状も微細な粒状となり、良好な流動性を示すことが分った。一方、回転翼の周速が20m/s未満である比較例5では、分散性の評価は低くなり、加硫ゴムの物性も低下した。これは、回転翼の周速低下により混合液にかかるせん断力及び撹拌力が低下したためと考えられた。
なお、本実施例において、原料となる天然ゴムラテックスとしては濃縮ラテックス(DRC60%)を用いたが、実施例11のみフィールドラテックス(DRC30%)を用いた。実施例1と実施例12とは天然ゴムラテックスの種類が異なるほかは、すべて同じ条件で凝固物を生成させた。その結果、原料となるゴムラテックスの濃度の差による凝固物及び加硫ゴムの物性に差異は認められなかった。
Figure 2011032373
Figure 2011032373
Figure 2011032373
1 ゴムラテックス調製工程
2 充填剤スラリー調製工程
3 混合・凝固工程
4 固液分離工程
5 脱水工程
6 乾燥工程
7 混練工程
8 凝固装置
9 凝固槽
10 回転翼
11 回転軸
12 ディスク
13 破砕羽根

Claims (5)

  1. ゴムラテックスと、充填剤を水に分散させたスラリーとを混合し、この混合液を凝固させる混合・凝固工程を有するウェットマスターバッチの製造方法であって、前記混合・凝固工程において、前記混合液を凝固させる凝固槽に、回転軸まわりに回転するディスクと、前記ディスクの外周に沿ってディスクの表裏両側に回転軸方向に突設された破砕羽根とを有し、かつ下記条件(a)を満たす回転翼を設け、前記回転翼を周速20m/s以上になるように回転させて前記ゴムラテックス及びスラリーを混合しながら凝固物を生成させることを特徴とするウェットマスターバッチの製造方法。
    (a)前記ディスクの直径をD、前記破砕羽根の高さをTとしたときに、1<D/T<2.5で、かつ、前記凝固槽の内径をIとしたときに、1<I/D<2.6
  2. 前記工程を凝固剤の不存在下に行うことを特徴とする請求項1記載の天然ゴムマスターバッチの製造方法。
  3. 前記混合・凝固工程において、前記破砕羽根の回転開始から所定時間経過後に凝固剤を混合液に添加することを特徴とする請求項1記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造されたウェットマスターバッチ。
  5. 請求項4記載のウェットマスターバッチを用いたゴム組成物。
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