JP2011032243A - カルニチンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、カルニチン製造方法に関する。
ベタインの一種であるL−カルニチンはビタミンBTとも言われ、生体内で脂肪酸の代謝に関係している重要な化合物である。L−カルニチンは、心臓疾患治療剤(特許文献1参照)、過脂肪質血症治療剤(特許文献2参照)、静脈疾患治療剤等(特許文献3参照)としても注目されている。
カルニチンアミドからカルニチンを得る方法としては、カルニチンアミド塩化物を加温シュウ酸水溶液中で加水分解する方法(特許文献4参照)、カルニチンアミドにアミダーゼを作用させて加水分解させ方法(特許文献5参照)、カルニチンニトリルクロライドに塩基と水性過酸化水素を作用させてカルニチンアミド塩化物を得、引き続き塩基を作用させカルニチンを得る方法(特許文献6参照)等が知られている。
しかしながら、上記文献には不純物については記載されておらず、例えば、カルニチンアミドを合成した際に反応液中に含まれた不純物が、その後の加水分解反応により特定困難な不純物に変化することがある。
したがって、本発明は、特定困難な不純物が低減された純度の高いカルニチンを効率よく製造する方法を提供することを主な目的とする。
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、特定の不純物の濃度を低減させたカルニチンアミド水溶液を原料として用いることにより、特定困難な不純物が低減された高純度なカルニチン化合物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
下記一般式(I)
下記一般式(I)
本発明によれば、特定困難な不純物が低減された高純度なカルニチン化合物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)化合物(A)
下記一般式(I)
(1)化合物(A)
下記一般式(I)
で示される化合物(以下、「化合物(A)」という。)は、塩基性条件下で加水分解した際に特定困難な不純物に変化し、最終生成物であるカルニチンに含まれるおそれがある。
そこで、本発明は、当該化合物(A)のカルニチンアミド溶液中の含有量を1質量%以下とすることを特徴とする。当該化合物(A)のカルニチンアミド溶液中の含有量を1質量%以下とすることにより、カルニチンアミドを塩基性触媒により加水分解を行った際に生じる特定困難な不純物の、カルニチン中への含有量を抑制又は減少することができる。当該化合物(A)のカルニチンアミド溶液中の含有量は、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。
ここで、Xは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。アルカリ金属としてはNa、K等、アルカリ土類金属としてはCa、Mg等が好ましい。
「C1〜C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1〜C20炭化水素基が非環式の場合には、直鎖であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。「C1〜C20炭化水素基」には、C1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C4〜C20アルキルジエニル基、C6〜C18アリール基、C7〜C20アルキルアリール基、C7〜C20アリールアルキル基、C3〜C20シクロアルキル基、C4〜C20シクロアルケニル基、(C3〜C10シクロアルキル)C1〜C10アルキル基などが含まれる。
「C1〜C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1〜C20炭化水素基が非環式の場合には、直鎖であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。「C1〜C20炭化水素基」には、C1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C4〜C20アルキルジエニル基、C6〜C18アリール基、C7〜C20アルキルアリール基、C7〜C20アリールアルキル基、C3〜C20シクロアルキル基、C4〜C20シクロアルケニル基、(C3〜C10シクロアルキル)C1〜C10アルキル基などが含まれる。
本明細書において、「C1〜C20アルキル基」は、C1〜C10アルキル基であることが好ましく、C1〜C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
「C2〜C20アルケニル基」は、C2〜C10アルケニル基であることが好ましく、C2〜C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、2−ブテニル等を挙げることができる。
「C2〜C20アルキニル基」は、C2〜C10アルキニル基であることが好ましく、C2〜C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
「C4〜C20アルキルジエニル基」は、C4〜C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C4〜C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
「C6〜C18アリール基」は、C6〜C12アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
「C7〜C20アルキルアリール基」は、C7〜C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。
「C7〜C20アリールアルキル基」は、C7〜C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
「C3〜C20シクロアルキル基」は、C3〜C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
「C4〜C20シクロアルケニル基」は、C4〜C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
具体的な化合物としては、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド、4−ヒドロキシブタ−2−エンニトリル、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸エチル、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの化合物は、カルニチンアミド溶液中に単独で含まれる場合もあるし、二種以上が含まれる場合もある。
具体的な化合物としては、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド、4−ヒドロキシブタ−2−エンニトリル、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸エチル、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの化合物は、カルニチンアミド溶液中に単独で含まれる場合もあるし、二種以上が含まれる場合もある。
(2)カルニチンアミド溶液
(2−1)カルニチンアミド
本発明で使用するカルニチンアミドの製造方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。
(i)カルニチンニトリルに塩基と過酸化水素とを作用させることにより、カルニチンアミドを得ることができる。この場合、前駆体のカルニチンニトリルは、4−ハロ−3−ヒドロキシブチロニトリルにトリメチルアミンを作用させることにより得ることができる(特開平1−287065号公報参照)。
(ii)D−樟脳酸−L−カルニチンアミドをイソプロピルアルコールに溶解させ、当該溶液に塩化水素ガスを通じることによってカルニチンアミドを得ることも可能である(特開昭55−13299号公報参照)。
(iii)p−トルエンスルホン酸存在下、カルニチン塩酸塩をアルコール中で加熱することによりカルニチンエステルを合成し、続いてアンモニア水で処理することによって、カルニチンアミドを得ることも可能である。
(iv)4−ハロ−3−ヒドロキシブタンアミドにトリメチルアミンを作用させることにより、カルニチンアミドを得ることができる。この場合、前駆体の4−ハロ−3−ヒドロキシブタンアミドは、4−ハロ−3−ヒドロキシブチロニトリルを塩基触媒や酵素触媒を用いてアミド化することにより得ることができる。本発明では、当該方法で得られたカルニチンアミドを使用するのが好ましい。当該方法によれば効率よくカルニチンアミドが得られ、また、当該方法で得られたカルニチンアミドを使用することにより、本発明の効果をより奏しやすいからである。
(2−1)カルニチンアミド
本発明で使用するカルニチンアミドの製造方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。
(i)カルニチンニトリルに塩基と過酸化水素とを作用させることにより、カルニチンアミドを得ることができる。この場合、前駆体のカルニチンニトリルは、4−ハロ−3−ヒドロキシブチロニトリルにトリメチルアミンを作用させることにより得ることができる(特開平1−287065号公報参照)。
(ii)D−樟脳酸−L−カルニチンアミドをイソプロピルアルコールに溶解させ、当該溶液に塩化水素ガスを通じることによってカルニチンアミドを得ることも可能である(特開昭55−13299号公報参照)。
(iii)p−トルエンスルホン酸存在下、カルニチン塩酸塩をアルコール中で加熱することによりカルニチンエステルを合成し、続いてアンモニア水で処理することによって、カルニチンアミドを得ることも可能である。
(iv)4−ハロ−3−ヒドロキシブタンアミドにトリメチルアミンを作用させることにより、カルニチンアミドを得ることができる。この場合、前駆体の4−ハロ−3−ヒドロキシブタンアミドは、4−ハロ−3−ヒドロキシブチロニトリルを塩基触媒や酵素触媒を用いてアミド化することにより得ることができる。本発明では、当該方法で得られたカルニチンアミドを使用するのが好ましい。当該方法によれば効率よくカルニチンアミドが得られ、また、当該方法で得られたカルニチンアミドを使用することにより、本発明の効果をより奏しやすいからである。
本発明で使用するカルニチンアミドとしては、上記製造方法で製造したカルニチンアミドの反応終了液中の上記不純物の濃度が1質量%以下の場合は、当該反応終了液(カルニチンアミド溶液)をそのまま用いることもできる。
1質量%を超える場合は、反応終了後のカルニチンアミド溶液を精製し、上記不純物の濃度を1質量%以下とした溶液を使用することができる。カルニチンアミドを精製する方法は限定されず、抽出、カラム分離、再結晶、電気透析、イオン交換法などの公知の方法を用いることができる。
なお、本発明で使用するカルニチンアミドは、ラセミ体であってもよいし、D体又はL体のいずれか一方が他方よりも多く含まれている光学活性体であってもよい。もちろん、100%e.e.の光学活性体を使用することも可能である。一般に、カルニチンアミドを製造するための原料化合物(前駆体)が光学活性を有していれば、得られるカルニチンアミドも光学活性を有している。
また、光学活性を有するカルニチンアミドを使用したい場合には、カルニチンアミドのラセミ体から、光学分割剤を用いて光学活性体を得ることができる。その光学活性体をカルニチンアミドのラセミ体に任意の量を混ぜることで、任意の光学純度を持った光学活性カルニチンアミドを得ることもできる。
(2−2)溶媒
本発明において、カルニチンアミドを加水分解に供する際にカルニチンアミドを溶解する溶媒は、カルニチンアミドが十分に溶解し、且つ、加水分解によりカルニチンが得ることができれば、限定されない。
なお、本発明で使用するカルニチンアミドは、ラセミ体であってもよいし、D体又はL体のいずれか一方が他方よりも多く含まれている光学活性体であってもよい。もちろん、100%e.e.の光学活性体を使用することも可能である。一般に、カルニチンアミドを製造するための原料化合物(前駆体)が光学活性を有していれば、得られるカルニチンアミドも光学活性を有している。
また、光学活性を有するカルニチンアミドを使用したい場合には、カルニチンアミドのラセミ体から、光学分割剤を用いて光学活性体を得ることができる。その光学活性体をカルニチンアミドのラセミ体に任意の量を混ぜることで、任意の光学純度を持った光学活性カルニチンアミドを得ることもできる。
(2−2)溶媒
本発明において、カルニチンアミドを加水分解に供する際にカルニチンアミドを溶解する溶媒は、カルニチンアミドが十分に溶解し、且つ、加水分解によりカルニチンが得ることができれば、限定されない。
本発明ででは水性溶媒を用いることが好ましい。本明細書において水性溶媒とは、水又は水と有機溶剤との混合物のことである。水と有機溶剤は二相系でもよい。
使用される有機溶剤は特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、プロピオン酸エチル、メタクリル酸メチルなどのエステル系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどの塩素系溶媒;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
これらの有機溶剤の中でも、水への溶解度が高い溶剤を使用することが好ましい。例えば、アルコール系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドを使用することが好ましい。
また、水に溶解する範囲で有機溶剤を使用することがより好ましい。カルニチンアミドを溶解させる溶媒として、水単独を使用する場合には、カルニチン生成反応速度が速くなること、及び副生成物の生成が抑制される。したがって、水単独を溶媒として使用することが特に好ましい。
(3)カルニチンアミドの加水分解(カルニチンの製造)
加水分解に使用されるカルニチンアミドの反応液中における濃度は特に限定されないが、1〜50質量%程度、好ましくは5〜30質量%程度である。
使用される有機溶剤は特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、プロピオン酸エチル、メタクリル酸メチルなどのエステル系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどの塩素系溶媒;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
これらの有機溶剤の中でも、水への溶解度が高い溶剤を使用することが好ましい。例えば、アルコール系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドを使用することが好ましい。
また、水に溶解する範囲で有機溶剤を使用することがより好ましい。カルニチンアミドを溶解させる溶媒として、水単独を使用する場合には、カルニチン生成反応速度が速くなること、及び副生成物の生成が抑制される。したがって、水単独を溶媒として使用することが特に好ましい。
(3)カルニチンアミドの加水分解(カルニチンの製造)
加水分解に使用されるカルニチンアミドの反応液中における濃度は特に限定されないが、1〜50質量%程度、好ましくは5〜30質量%程度である。
本発明においては、カルニチンアミドの加水分解には塩基性触媒を使用する。当該塩基性触媒の種類は限定されない。例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩、第3級アミン、第4級アンモニウムヒドロキシド、塩基性陰イオン交換樹脂などが挙げられる。
より詳細には、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Na2CO3、K2CO3、トリエチルアミン、NH4OH、陰イオン交換樹脂IRA−400などがより好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、反応を円滑に進行させることができるので、特にNaOH、KOHが好ましい。
本発明において、加水分解反応に使用する塩基触媒の量は、カルニチンアミドと一般式(I)で示される化合物との合計量に対して等モル以上になるように加えればよい。好ましくは1.1〜5.0当量程度であり、より好ましくは1.2〜3.0当量である。反応温度は特に限定されない。通常は5〜100℃で反応を行うが、10〜80℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。
加水分解反応は常圧下で行っても良いし、減圧下で行ってもよい。例えば、減圧下に加水分解を行うことにより、塩基性触媒を用いたカルニチンアミドの加水分解により副生するアンモニアを気化除去でき、中和工程でのアンモニウム塩生成を回避することができるため、好ましい。減圧下で加水分解反応を行う場合の圧力は、20Torr以上760Torr未満とすることが好ましく、30Torr以上760Torr未満とすることがより好ましい。
(4)カルニチンの精製
以上のようにして合成したカルニチンは、抽出、カラム分離、再結晶、電気透析、イオン交換法等の定法に従い、単離精製することができる。加水分解反応又は加水分解反応終了後の中和によって反応溶液が着色することがある。この脱色のため、活性炭などによる脱色操作を行ってもよい。
(4)カルニチンの精製
以上のようにして合成したカルニチンは、抽出、カラム分離、再結晶、電気透析、イオン交換法等の定法に従い、単離精製することができる。加水分解反応又は加水分解反応終了後の中和によって反応溶液が着色することがある。この脱色のため、活性炭などによる脱色操作を行ってもよい。
カルニチンアミドの加水分解反応において、上記一般式(I)で表される化合物の量が反応溶液全体に対して1質量%以下である場合、上記一般式(I)で表される化合物から導かれる生成物(不純物)は、再結晶や電気透析によってカルニチンを精製する場合に、容易に除去することができる。
本発明において使用した各種定量分析方法について、分析方法の詳細を以下に示す。
分析方法(1)
分析対象化合物
カルニチンアミド(以下、「Car−アミド」と略すことがある)
カルニチン(以下「Car」と略すことがある)
試料調製方法 :反応液を移動相に溶解
カラム :Shodex IC YK−421,
4.6mm I.D.×125mm(GLサイエンス製)
カラムオーブン温度:40℃
移動相 :3mM HNO3aq/ATN=4/6、1mL/min
検出器 :電気伝導度検出器(CD−5) Shodex製
注入量 :20μl
保持時間 :Car−アミド 10.2min
:Car 7.9min
分析方法(2)
分析対象化合物
4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド(以下、「HCAm」と略すことがある)
4−ヒドロキシブタ−2−エン酸(以下、「HCA」と略すことがある)
生成物(イ):4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド加水分解生成物
生成物(ロ):4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド加水分解生成物で、後の精製工程で
除去困難な化合物
試料調製方法 :反応液を移動相に溶解
カラム :Inertsil ODS-3V,
4.6mm I.D.×250mm、粒径5μm
(GLサイエンス製)
カラムオーブン温度:40℃
移動相 : 0.05質量% トリフルオロ酢酸水溶液、1mL/min
検出器 : 示差屈折計(日本分光製RI-2031)、UV(205、254nm)
保持時間 :HCAm 4.4min
:HCA 6.5min
:生成物(イ) 4.1min
:生成物(ロ) 5.3min
:生成物(ハ) 7.2min(精製工程で除去困難な生成物)
(生成物(イ)、(ロ)、(ハ)は特定困難な不純物(化合
物)のため、RI検出器におけるHCAに対するAREA% で生成量比較を行った。)
:カルニチンアミド、カルニチンは保持時間が短く
(約3min)かつ定量性なし。
実施例1
8Lセパラブルフラスコに、0.208質量%の4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドが含まれているカルニチンアミド塩化物11.75%水溶液を4096g(カルニチンアミド塩化物として481g、2448mmol)投入した。この水溶液中の4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドの対カルニチンアミド濃度は1.45質量%(対カルニチンアミド塩化物濃度1.769%)であり、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドとして8.52g(84.3mmol)を含む。
ジャケット温度を30℃に設定し、内温とジャケット温度が一定するまで1時間放置した。内温が一定になったのを確認後、48%NaOH水溶液612.8g(7353mmol)を加えて反応を開始した。ジャケット温度30℃のまま、10時間後にはカルニチンアミド塩化物の転化率は97.2%に達した。
その後も反応を続け、24時間後カルニチンアミド塩化物の転化率は100%、カルニチンの収率は99.0%、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドの転化率は93.4%、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸の収率は62.3%、生成物(イ)のHCAに対するAREA比18.3%、生成物(ロ)のHCAに対するAREA比15.2%、生成物(ハ)のHCAに対するAREA比0%であった。
実施例2
2L四ッ口フラスコに、0.0172質量%の4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドが含まれているカルニチンアミド塩化物7.51%水溶液を1119g(カルニチンアミド塩化物として84.0g、427mmol)投入した。この水溶液中の4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドの対カルニチンアミド濃度は0.279質量%(対カルニチンアミド塩化物濃度0.229質量%)であり、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドとして0.192g(1.90mmol)を含む。
ジャケット温度を30℃に設定し、内温とジャケット温度が一定するまで1時間放置した。内温が一定になったのを確認後、48%NaOH水溶液71.2g(854mmol)を加えて反応を開始した。ジャケット温度30℃のまま、6時間後にはカルニチンアミド塩化物の転化率は74.8%に達した。
その後も反応を続け、8時間後から系内を減圧して55Torr程度に調節して内温を40℃付近に保ち、ジャケット温度を60℃に設定して凡そ10時間反応を行い、アンモニアを含んだ水を約360mL留出させた。この時カルニチンアミド塩化物の転化率は100%、カルニチンの収率は99.0%、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドの転化率は75.3%、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸の収率は51.2%、生成物(イ)のHCAに対するAREA比8.4%、生成物(ロ)のHCAに対するAREA比14.1%、生成物(ハ)のHCAに対するAREA比0%であった。
実施例3
100L容GL(グラスライニング)反応槽に、カルニチンアミド塩化物3.87kg(19.65mol)、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド0.023kg(0.23mol)を投入し、これに純水を入れて全体重量を51kgとした。この時4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド濃度は0.045質量%、対カルニチンアミド濃度0.486質量%(対カルニチンアミド塩化物濃度は0.593質量%)であった。ジャケット温度を32℃に設定し、内温が30℃に到達するまで約3時間放置した。内温30℃到達後は30℃を維持するようにジャケット温度を調節した。内温30℃を確認後、48%NaOH水溶液3.28kg(39.4mol)を加えて反応を開始した。
内温が30℃を保つようにジャケット温度を微調整し、9.5時間後から系内を減圧して60Torr下におき、ジャケット温度を62℃に上げて反応を継続した。減圧下で反応を行っている間は内温は42.5℃でほぼ一定であった。凡そ5時間そのまま減圧下の状態を保ち、アンモニアを含んだ水を約10L留出させた。減圧を解除したのち、カルニチンアミド塩化物の転化率は99.0%、この時のカルニチンの収率は98.5%であることがわかった。
分析方法(1)
分析対象化合物
カルニチンアミド(以下、「Car−アミド」と略すことがある)
カルニチン(以下「Car」と略すことがある)
試料調製方法 :反応液を移動相に溶解
カラム :Shodex IC YK−421,
4.6mm I.D.×125mm(GLサイエンス製)
カラムオーブン温度:40℃
移動相 :3mM HNO3aq/ATN=4/6、1mL/min
検出器 :電気伝導度検出器(CD−5) Shodex製
注入量 :20μl
保持時間 :Car−アミド 10.2min
:Car 7.9min
分析方法(2)
分析対象化合物
4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド(以下、「HCAm」と略すことがある)
4−ヒドロキシブタ−2−エン酸(以下、「HCA」と略すことがある)
生成物(イ):4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド加水分解生成物
生成物(ロ):4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド加水分解生成物で、後の精製工程で
除去困難な化合物
試料調製方法 :反応液を移動相に溶解
カラム :Inertsil ODS-3V,
4.6mm I.D.×250mm、粒径5μm
(GLサイエンス製)
カラムオーブン温度:40℃
移動相 : 0.05質量% トリフルオロ酢酸水溶液、1mL/min
検出器 : 示差屈折計(日本分光製RI-2031)、UV(205、254nm)
保持時間 :HCAm 4.4min
:HCA 6.5min
:生成物(イ) 4.1min
:生成物(ロ) 5.3min
:生成物(ハ) 7.2min(精製工程で除去困難な生成物)
(生成物(イ)、(ロ)、(ハ)は特定困難な不純物(化合
物)のため、RI検出器におけるHCAに対するAREA% で生成量比較を行った。)
:カルニチンアミド、カルニチンは保持時間が短く
(約3min)かつ定量性なし。
実施例1
8Lセパラブルフラスコに、0.208質量%の4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドが含まれているカルニチンアミド塩化物11.75%水溶液を4096g(カルニチンアミド塩化物として481g、2448mmol)投入した。この水溶液中の4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドの対カルニチンアミド濃度は1.45質量%(対カルニチンアミド塩化物濃度1.769%)であり、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドとして8.52g(84.3mmol)を含む。
ジャケット温度を30℃に設定し、内温とジャケット温度が一定するまで1時間放置した。内温が一定になったのを確認後、48%NaOH水溶液612.8g(7353mmol)を加えて反応を開始した。ジャケット温度30℃のまま、10時間後にはカルニチンアミド塩化物の転化率は97.2%に達した。
その後も反応を続け、24時間後カルニチンアミド塩化物の転化率は100%、カルニチンの収率は99.0%、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドの転化率は93.4%、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸の収率は62.3%、生成物(イ)のHCAに対するAREA比18.3%、生成物(ロ)のHCAに対するAREA比15.2%、生成物(ハ)のHCAに対するAREA比0%であった。
実施例2
2L四ッ口フラスコに、0.0172質量%の4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドが含まれているカルニチンアミド塩化物7.51%水溶液を1119g(カルニチンアミド塩化物として84.0g、427mmol)投入した。この水溶液中の4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドの対カルニチンアミド濃度は0.279質量%(対カルニチンアミド塩化物濃度0.229質量%)であり、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドとして0.192g(1.90mmol)を含む。
ジャケット温度を30℃に設定し、内温とジャケット温度が一定するまで1時間放置した。内温が一定になったのを確認後、48%NaOH水溶液71.2g(854mmol)を加えて反応を開始した。ジャケット温度30℃のまま、6時間後にはカルニチンアミド塩化物の転化率は74.8%に達した。
その後も反応を続け、8時間後から系内を減圧して55Torr程度に調節して内温を40℃付近に保ち、ジャケット温度を60℃に設定して凡そ10時間反応を行い、アンモニアを含んだ水を約360mL留出させた。この時カルニチンアミド塩化物の転化率は100%、カルニチンの収率は99.0%、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドの転化率は75.3%、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸の収率は51.2%、生成物(イ)のHCAに対するAREA比8.4%、生成物(ロ)のHCAに対するAREA比14.1%、生成物(ハ)のHCAに対するAREA比0%であった。
実施例3
100L容GL(グラスライニング)反応槽に、カルニチンアミド塩化物3.87kg(19.65mol)、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド0.023kg(0.23mol)を投入し、これに純水を入れて全体重量を51kgとした。この時4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド濃度は0.045質量%、対カルニチンアミド濃度0.486質量%(対カルニチンアミド塩化物濃度は0.593質量%)であった。ジャケット温度を32℃に設定し、内温が30℃に到達するまで約3時間放置した。内温30℃到達後は30℃を維持するようにジャケット温度を調節した。内温30℃を確認後、48%NaOH水溶液3.28kg(39.4mol)を加えて反応を開始した。
内温が30℃を保つようにジャケット温度を微調整し、9.5時間後から系内を減圧して60Torr下におき、ジャケット温度を62℃に上げて反応を継続した。減圧下で反応を行っている間は内温は42.5℃でほぼ一定であった。凡そ5時間そのまま減圧下の状態を保ち、アンモニアを含んだ水を約10L留出させた。減圧を解除したのち、カルニチンアミド塩化物の転化率は99.0%、この時のカルニチンの収率は98.5%であることがわかった。
続いてジャケット温度は62℃に保ったまま常圧で撹拌を続けると、約1.5時間後には内温が57℃まで上昇した。この時カルニチンアミド塩化物の転化率は100%、この時のカルニチンの収率は98.9%、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドの転化率は93.7%、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸の収率は73.4%、生成物(イ)のHCAに対するAREA比10.2%、生成物(ロ)のHCAに対するAREA比12.8%、生成物(ハ)のHCAに対するAREA比0%であった。
比較例1
100mlナスフラスコに、カルニチンアミド塩化物4.0g(20.3mmol)、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド2.0g(19.8mol)を投入し、これに純水を入れて全体重量を14.0gとした。この時4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド濃度は14.3質量%、対カルニチンアミド濃度41.0質量%(対カルニチンアミド塩化物濃度は50.0質量%)であった。オイルバスを30℃に設定し、内温とジャケット温度が一定するまで1時間放置した。
内温が一定になったのを確認後、48%NaOH水溶液6.7g(80.4mmol)を加えて反応を開始した。ジャケット温度30℃のまま、8時間後にはカルニチンアミド塩化物の転化率は77.2%に達した。
その後も反応を続け、24時間後にはカルニチンアミド塩化物の転化率は100%、カルニチンの収率は98.7%、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドの転化率は92.3%、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸の収率は53.3%、生成物(イ)のHCAに対するAREA比66.1%、生成物(ロ)のHCAに対するAREA比25.9%、生成物(ハ)のHCAに対するAREA比168%であった。
比較例、実施例をまとめると、下記表1のようになる。生成物(イ)〜(ハ)の生成割合とは、HPLCによる分析方法(2)でのRI検出器における対HCAのAREA比(%)である。
比較例1
100mlナスフラスコに、カルニチンアミド塩化物4.0g(20.3mmol)、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド2.0g(19.8mol)を投入し、これに純水を入れて全体重量を14.0gとした。この時4−ヒドロキシブタ−2−エンアミド濃度は14.3質量%、対カルニチンアミド濃度41.0質量%(対カルニチンアミド塩化物濃度は50.0質量%)であった。オイルバスを30℃に設定し、内温とジャケット温度が一定するまで1時間放置した。
内温が一定になったのを確認後、48%NaOH水溶液6.7g(80.4mmol)を加えて反応を開始した。ジャケット温度30℃のまま、8時間後にはカルニチンアミド塩化物の転化率は77.2%に達した。
その後も反応を続け、24時間後にはカルニチンアミド塩化物の転化率は100%、カルニチンの収率は98.7%、4−ヒドロキシブタ−2−エンアミドの転化率は92.3%、4−ヒドロキシブタ−2−エン酸の収率は53.3%、生成物(イ)のHCAに対するAREA比66.1%、生成物(ロ)のHCAに対するAREA比25.9%、生成物(ハ)のHCAに対するAREA比168%であった。
比較例、実施例をまとめると、下記表1のようになる。生成物(イ)〜(ハ)の生成割合とは、HPLCによる分析方法(2)でのRI検出器における対HCAのAREA比(%)である。
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JP2009182058A JP2011032243A (ja) | 2009-08-05 | 2009-08-05 | カルニチンの製造方法 |
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Country | Link |
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-
2009
- 2009-08-05 JP JP2009182058A patent/JP2011032243A/ja active Pending
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