JP2008115178A - ジフェニルアラニン−Ni(II)錯体の製造方法 - Google Patents

ジフェニルアラニン−Ni(II)錯体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学活性ジフェニルアラニン化合物の合成中間体として有用な、ジフェニルアラニン-Ni(II)錯体(3)を高純度、高収率で製造する方法の提供。
【解決手段】式(2)で表される化合物を、式(1)で表されるジフェニルメチルハライド化合物と、アルカリ金属アルコキシドの存在下で反応させることを特徴とする、式(3)で表される化合物の製造方法。
Figure 2008115178

[式中、各記号は明細書中の定義と同義であり、*1及び*2は不斉炭素原子であることを示し、*1及び*2の不斉炭素原子の立体配置は(S,S)又は(R,R)である。]
【選択図】なし

Description

本発明は、光学活性ジフェニルアラニン化合物の合成中間体として有用な、ジフェニルアラニン-Ni(II)錯体の製造方法、及び光学活性ジフェニルアラニン化合物の製造方法に関する。
ジフェニルアラニン化合物、特に光学活性ジフェニルアラニン化合物は医薬化合物の合成中間体として有用な化合物であり、例えば、抗HIV薬(WO04/056764、米国特許第6,632,816号、米国特許出願公開第2006/0025592号)、トロンビン阻害剤(WO00/39124、米国特許第6,492,402号)、ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤(WO03/002531、米国特許出願公開第2004/0167341号、同第2004/0171848号、同第2004/0242636号)の合成中間体として用いられている。
光学活性ジフェニルアラニンの製造方法として、(S)−又は(R)−2−[(N−ベンジルプロリル)アミノ]ベンゾフェノン(以下、BPBともいう。)を使用する方法が知られている(Tetrahedron: Asymmetry, Vol. 8, No. 1, pp. 79-83, 1997)。この方法によれば、下記スキームに示すように、グリシンと(S)−BPBから得られるシッフ塩基のNi(II)錯体(以下、Ni-(S)-BPB-Glyともいう。)を、アセトニトリル中、水素化ナトリウムの存在下でジフェニルメチルクロリドと反応させ、得られたジフェニルアラニン-Ni(II)錯体(以下、Ni-BPB-DIPともいう。)を酸で処理することにより、(S)−ジフェニルアラニンを立体選択的に製造することができる。(R)−BPBを使用して同様の反応を行うことにより、(R)−ジフェニルアラニンを立体選択的に製造することができる。
Figure 2008115178
上記方法では、Ni-(S)-BPB-Glyから得られたNi-BPB-DIPのジアステレオマー過剰率は90%d.e.であり、立体選択性の点で充分ではない。また、ジフェニルメチルクロリドを基質として用いる場合、塩基として使用する水素化ナトリウムが発火性で取り扱いが難しく、-78℃の低温反応槽を使用するため、工業的製造に適していないという問題がある。
WO04/056764 米国特許第6,632,816号 米国特許出願公開第2006/0025592号 WO00/39124 米国特許第6,492,402号 WO03/002531 米国特許出願公開第2004/0167341号 米国特許出願公開第2004/0171848号 米国特許出願公開第2004/0242636号 Tetrahedron: Asymmetry, Vol. 8, No. 1, pp. 79-83, 1997
本発明の目的は、ジフェニルアラニン-Ni(II)錯体を高純度、高収率で製造することができ、かつ工業的製造にも適した方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、配位子を光学活性BPBから光学活性2−[(N−ベンジルプロリル)アミノ]−5−クロロベンゾフェノン(BPC)に変更し、塩基としてアルカリ金属アルコキシドを使用することにより、光学活性ジフェニルアラニン化合物製造における不斉アルキル化反応のジアステレオ選択性を90%d.e.から96%d.e.に向上でき、かつ工業的製造にも適した方法が提供されることを見出し、本発明を完成するに至った。ジアステレオ選択性96%d.e.の異性体含有率は2%であり、異性体を5%含有する90%d.e.の化合物に比べ、精製が容易であり、収率良く高純度の目的物を得ることができる。
即ち、本発明は以下の内容を含むものである。
[1] 式(1)
Figure 2008115178
[式中、*1は不斉炭素原子であることを示し、不斉炭素原子の立体配置はS又はRである。]で表される化合物を、式(2)
Figure 2008115178
[式中、R及びRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基を示し、n1及びn2はそれぞれ独立して0〜5の整数を示し、Xはハロゲン原子を示す。]で表されるジフェニルメチルハライド化合物と、アルカリ金属アルコキシドの存在下で反応させることを特徴とする、式(3)
Figure 2008115178
[式中、R、R、n1及びn2は前記と同義を示し、*1及び*2は不斉炭素原子であることを示し、*1及び*2の不斉炭素原子の立体配置は(S,S)又は(R,R)である。]で表される化合物の製造方法。
[2] アルカリ金属アルコキシドがナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert−ブトキシド及びカリウムtert−ブトキシドからなる群より選択される上記[1]記載の方法。
[3] アルカリ金属アルコキシドがナトリウムメトキシドである上記[1]記載の方法。
[4] Xが塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] Xが塩素原子である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[6] n1及びn2がそれぞれ0又は1である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7] *1の不斉炭素原子の立体配置がSであり、*2の不斉炭素原子の立体配置がSである上記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8] *1の不斉炭素原子の立体配置がRであり、*2の不斉炭素原子の立体配置がRである上記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[9] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法に従って、式(3)で表される化合物を得て、式(3)の化合物を酸で処理することを特徴とする、式(4)
Figure 2008115178
[式中、R、R、n1及びn2は上記[1]と同義を示し、*2は不斉炭素原子であることを示し、不斉炭素原子の立体配置はS又はRである。]で表される光学活性ジフェニルアラニン化合物又はその塩の製造方法。
[10] 酸が塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、酢酸及びトリフルオロ酢酸からなる群より選択される上記[9]記載の方法。
[11] n1及びn2がそれぞれ0又は1である上記[9]又は[10]記載の方法。
[12] *1の不斉炭素原子の立体配置がSであり、*2の不斉炭素原子の立体配置がSである上記[9]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[13] *1の不斉炭素原子の立体配置がRであり、*2の不斉炭素原子の立体配置がRである上記[9]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[14] 式(3)
Figure 2008115178
[式中、R及びRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基を示し、n1及びn2はそれぞれ独立して0〜5の整数を示し、*1及び*2は不斉炭素原子であることを示し、*1及び*2の不斉炭素原子の立体配置は(S,S)又は(R,R)である。]で表される化合物。
[15] 式(II)
Figure 2008115178
で表される化合物又はその塩を、式(I)
Figure 2008115178
で表される化合物又はその塩に変換することを含む、式(I)で表される化合物又はその塩の製造方法において、式(II)で表される化合物又はその塩を上記[9]に記載の方法に従って製造することを特徴とする方法。
[16] 式(IV)
Figure 2008115178
で表される化合物又はその塩を、式(III)
Figure 2008115178
で表される化合物又はその塩に変換することを含む、式(III)で表される化合物又はその塩の製造方法において、式(IV)で表される化合物又はその塩を上記[9]に記載の方法に従って製造することを特徴とする方法。
[17] 式(VI)
Figure 2008115178
で表される化合物又はその塩を、式(V)
Figure 2008115178
で表される化合物又はその塩に変換することを含む、式(V)で表される化合物又はその塩の製造方法において、式(VI)で表される化合物又はその塩を上記[9]に記載の方法に従って製造することを特徴とする方法。
本発明の方法は、次の点で有利な製造方法である。
本発明の方法によれば、式(3)の化合物の製造において、ジアステレオマー選択性が向上し、該化合物を高純度、高収率で製造することができる。さらに塩基として、危険性の高い水素化ナトリウムではなくアルカリ金属アルコキシドを使用し、また常温で反応を行うことができるため、工業的製造に適している。
発明の詳細な説明
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、本明細書において使用する各式中の記号の定義を説明する。
Xにおけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましく、塩素原子が最も好ましい。
及びRにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
及びRにおけるアルキル基としては、炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜7、更に好ましくは1〜4である、直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられ、中でもメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好ましい。また、該アルキル基は、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基)等で1又はそれ以上置換されていてもよい。
及びRにおけるアルコキシ基としては、炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜7、更に好ましくは1〜4である、直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が好ましい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられ、中でもメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が好ましい。また、該アルコキシ基は、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基)等で1又はそれ以上置換されていてもよい。
及びRにおけるアミノ基は、前述のアルキル基、アリール基又はアラルキル基でモノ又はジ置換されていてもよく、また、後述のアミノ基の保護基として挙げられる基で置換されていてもよい。アリール基としては、フェニル基、トリル基等の炭素数6〜14(好ましくは6〜8)のアリール基が挙げられる。アラルキル基は、アリール基で置換されたアルキル基をいう。該アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6、より好ましく1〜3であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。該アリール基としては、炭素数6〜14(好ましくは6〜8)が好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。該アラルキル基の合計炭素数は、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜11である。具体的には、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基等が挙げられ、中でもベンジル基が好ましい。
及びRにおけるヒドロキシル基は保護されていてもよく、その保護基としては、従来から公知のものが挙げられ、具体的には、ベンジル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
又はnが2〜5の整数の場合、n個のRは、同一でも異なっていてもよく、n個のRも、同一でも異なっていてもよい。
アミノ基の保護基としては、Protecting Groups in Organic Chemistry 2nd edition (John Wiley & Sons, Inc. 1991)に記載の基が挙げられる。具体的には、アシル基、アルキル基、アラルキル基、シリル基等が挙げられる。アシル基としては、例えば、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル基)、C6−8アリール−カルボニル基、C7−11アラルキル−カルボニル基(例えば、フェニルアセチル基)等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、R及びRにおけるアルキル基と同様のものが挙げられる。アラルキル基とは、アリール基で置換されたアルキル基をいう。該アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6、より好ましく1〜3であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。該アリール基としては、炭素数6〜14(好ましくは6〜8)が好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。該アラルキル基の合計炭素数は、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜11である。具体的には、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基等が挙げられ、中でもベンジル基が好ましい。また、該アラルキル基は、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基)、炭素数1〜6のハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基)、炭素数1〜6のハロアルコキシ基(例えば、トリフルオロメトキシ基)等で1又はそれ以上置換されていてもよい。シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等のトリアルキル置換シリル基が挙げられ、該アルキル基としては、炭素数1〜4が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。その他、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、ベンジルオキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、メトキシカルボニル基(Moc基)、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)、tert−ブトキシカルボニル基(Boc基)等も挙げられる。
及びRとしては、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アミノ基、ニトロ基又はヒドロキシル基が好ましい。R及びRは同一でも異なっていてもよい。
及びnとしては、それぞれ独立して、0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましい。
本発明の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、下記スキームによって表される。
Figure 2008115178
上記スキームにおいて、各記号は上記定義の通りである。
工程(a)
工程(a)は、式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)という。)を、式(2)で表されるジフェニルメチルハライド化合物(以下、化合物(2)という。)と、アルカリ金属アルコキシドの存在下で反応させて、式(3)で表される化合物(以下、化合物(3)という。)を得る工程である。
本工程においては、式(1)において不斉炭素原子の立体配置がSである化合物を使用することにより、式(3)において*1及び*2の不斉炭素原子の立体配置が(S,S)である化合物が立体選択的に得られる。同様に、式(1)において不斉炭素原子の立体配置がRである化合物を使用することにより、式(3)において*1及び*2の不斉炭素原子の立体配置が(R,R)である化合物が立体選択的に得られる。
化合物(2)の使用量は、化合物(1)1モルに対して、通常0.8〜2.0モル、好ましくは0.9〜1.2モルである。
アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属C−Cアルコキシドが好ましく、ナトリウムメトキシドがより好ましい。
アルカリ金属アルコキシドの使用量は、化合物(1)1モルに対して、通常1〜2モル、好ましくは1.1〜1.3モルである。
アルカリ金属アルコキシドは、当該アルコキシドのアルコール部分と同一のアルコール溶液として使用することが好ましい。例えば、ナトリウムメトキシドを使用する場合は、メタノール溶液として、ナトリウムエトキシドを使用する場合は、エタノール溶液として使用することが好ましい。
本工程の反応は、反応を阻害しない溶媒中で行うことが好ましい。かかる溶媒としては、アミド溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等)、スルホキシド溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド等)、ニトリル溶媒(例えば、アセトニトリル等)、エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を適当な割合で混合して使用してもよい。
溶媒の使用量は、化合物の種類に応じて適宜選択することができるが、化合物(1)1kgに対して通常1〜10L、好ましくは2〜5Lである。
反応温度は特に限定されないが、通常−20〜50℃、好ましくは0〜30℃である。反応時間は特に限定されないが、通常0.5〜24時間、好ましくは1〜8時間である。
反応の後処理は、当業者に公知の通常の方法で行うことができ、単離精製は、必要に応じて、結晶化、再結晶化、蒸留、分液、シリカゲルクロマトグラフィー、分取HPLC等の慣用の方法を適宜選択し、また組み合わせて行うことができる。
例えば、反応終了後、反応混合物に水を加え、酸(例えば、クエン酸水溶液、酢酸等)を加えて中性(通常pH6〜8、好ましくはpH6.5〜7.5)にし、析出した固体をろ取することにより、化合物(3)を得ることができる。
工程(b)
工程(b)は、化合物(3)を酸で処理することにより、式(4)で表される光学活性ジフェニルアラニン化合物(以下、化合物(4)という。)又はその塩を得る工程である。
本工程においては、式(3)において*1及び*2の不斉炭素原子の立体配置が(S,S)である化合物を使用することにより、式(4)において不斉炭素原子の立体配置がSである化合物が得られる。同様に、式(3)において*1及び*2の不斉炭素原子の立体配置が(R,R)である化合物を使用することにより、式(4)において不斉炭素原子の立体配置がRである化合物が得られる。
酸としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等)およびその水溶液、有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩化アセチル、塩化チオニル、塩化オキサリル等)が挙げられる。好ましくは塩酸あるいは硫酸である。酸の使用量は、化合物(3)1当量に対して、通常1〜20当量、好ましくは3〜10当量である。
本工程の反応は、反応を阻害しない溶媒中で行うこともできる。かかる溶媒としては、水、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アミド溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等)、ケトン溶媒(例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン等)、芳香族炭化水素溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等)等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を適当な割合で混合して使用してもよい。好ましくはメタノールである。溶媒の使用量は、化合物の種類に応じて適宜選択することができるが、化合物(3)1kgに対して通常3〜20L、好ましくは5〜10Lである。
反応温度は特に限定されないが、通常25〜100℃、好ましくは40〜70℃である。反応時間は特に限定されないが、通常10分〜10時間、好ましくは30分〜2時間である。
反応の後処理は、当業者に公知の通常の方法で行うことができ、単離精製は、必要に応じて、結晶化、再結晶化、蒸留、分液、シリカゲルクロマトグラフィー、分取HPLC等の慣用の方法を適宜選択し、また組み合わせて行うことができる。
本工程で回収される式(5)で表される化合物又はその塩は、塩基(例えば、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)の存在下、グリシン及びNi2+を含む塩(例えば、Ni(NO3)2又はその水和物等)と反応させてNi(II)錯体を形成させることにより、化合物(1)として再利用することができる。
原料である化合物(1)は、公知の方法(例えば、J. Org. Chem., Vol. 68, No. 18, pp. 7104-7107, 2003に記載の方法)に準じて製造することができる。
好ましくは以下の方法によって製造することができる。
Figure 2008115178
工程(c)
工程(c)は、式(i)で表される光学活性N−ベンジルプロリン(以下、化合物(i)という。)を、アセトニトリル中、アミド化合物及び塩化チオニルの存在下で、式(ii)で表される2−アミノ−5−クロロベンゾフェノン(以下、化合物(ii)という。)と反応させることにより、式(iii)で表される光学活性2−[(N−ベンジルプロリル)アミノ]−5−クロロベンゾフェノン(以下、化合物(iii)という。)又はその塩を得る工程である。
溶媒の使用量は、化合物(i)1kgに対して、通常3〜20L、好ましくは5〜10Lである。必要によりアセトニトリルに他の溶媒を混合して用いてもよい。
アミド化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド等のN,N−ジアルキルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド等のN,N−ジアルキルアセトアミド;N−メチル−2−ピロリドン等のN−アルキル−2−ピロリドンなどが挙げられる。これらのアミド化合物は2種以上を適当な割合で混合して使用してもよい。アミド化合物としては、収率の観点から、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましく、特にN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
アミド化合物の使用量は、化合物(i)1モルに対して、通常0.5〜2モル、好ましくは1.0〜1.2モルである。
塩化チオニルの使用量は、化合物(i)1モルに対して、通常1〜4モル、好ましくは1.1〜1.5モルである。
化合物(ii)の使用量は、化合物(i)1モルに対して、通常0.5〜2モル、好ましくは0.9〜1.0モルである。
反応においては、化合物(i)とアミド化合物が存在するアセトニトリル溶液中に、塩化チオニルを添加後、化合物(ii)を添加して反応させるのが好ましい。
塩化チオニルの添加する際の温度は特に限定されないが、通常−78〜20℃、好ましくは−20〜10℃である。塩化チオニルの添加はアセトニトリル溶液を攪拌しながら行うのが好ましく、塩化チオニルの添加後も反応混合物の攪拌を続けることが好ましい。塩化チオニルの添加後の攪拌時間は特に限定されないが、通常0.1〜3時間、好ましくは0.5〜2時間である。
化合物(ii)との反応の反応温度は特に限定されないが、通常−78〜25℃、好ましくは−10〜25℃である。反応時間は特に限定されないが、通常1〜24時間、好ましくは4〜20時間である。
なお反応系中で発生するHClと化合物(iii)が塩酸塩を形成して、結晶として析出するため、反応終了後、反応懸濁液をろ過することにより化合物(iii)の塩酸塩を簡単に単離することができる。
化合物(iii)の塩酸塩は、常法に従って塩基で処理することにより、遊離の化合物(iii)に変換することができる。更に、得られた遊離の化合物(iii)は、常法に従って、他の酸付加塩に変換することもできる。
工程(d)
工程(d)は、化合物(iii)又はその塩を、塩基の存在下、グリシン、及びNi2+を含む塩と反応させて、式(iv)で表される化合物(以下、化合物(iv)という。)を得る工程である。
グリシンの使用量は、化合物(iii)又はその塩1モルに対して、通常1〜5モル、好ましくは1.2〜2.0モルである。
Ni2+を含む塩としては、硝酸塩(Ni(NO)、ハロゲン化物(例えば、NiCl,NiBr等)、酢酸塩(Ni(OAc))、硫酸塩(NiSO)等が挙げられる。これらの塩は水和物であってもよい。好ましくは、Ni(NO又はその水和物である。
Ni2+を含む塩の使用量は、化合物(iii)又はその塩1モルに対して、通常1〜5モル、好ましくは1.2〜2.0モルである。
塩基としては、アルカリ金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属C−Cアルコキシド)、水酸化アルカリ金属(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)等が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(iii)又はその塩1モルに対して、通常2〜20モル、好ましくは5〜10モルである。
本工程の反応は、反応を阻害しない溶媒中で行うことが好ましい。かかる溶媒としては、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
溶媒の使用量は、化合物の種類に応じて適宜選択することができるが、化合物(iii)1kgに対して通常2〜20L、好ましくは4〜10Lである。
反応温度は特に限定されないが、通常25〜100℃、好ましくは40〜70℃である。反応時間は特に限定されないが、通常10分〜5時間、好ましくは30分〜2時間である。
反応の後処理は、当業者に公知の通常の方法で行うことができ、単離精製は、必要に応じて、結晶化、再結晶化、蒸留、分液、シリカゲルクロマトグラフィー、分取HPLC等の慣用の方法を適宜選択し、また組み合わせて行うことができる。
本発明の方法によれば、式(i)において不斉炭素原子の立体配置がSである化合物を使用することにより、式(iii)及び式(iv)において不斉炭素原子の立体配置がSである化合物が得られる。同様に、式(i)において不斉炭素原子の立体配置がRである化合物を使用することにより、式(iii)及び式(iv)において不斉炭素原子の立体配置がRである化合物が得られる。
前記のように、本発明の方法により製造される式(4)の光学活性化合物は、抗HIV薬、トロンビン阻害剤及びジペプチジルペプチダーゼ阻害剤を製造するために有用である。抗HIV薬、トロンビン阻害剤及びジペプチジルペプチダーゼ阻害剤を製造するためのこのような方法は、例えば、WO04/056764、米国特許第6,632,816号、米国特許出願公開第2006/0025592号、WO00/39124、米国特許第6,492,402号、WO03/002531、米国特許出願公開第2004/0167341号、同第2004/0171848号及び同第2004/0242636号に開示されている。
従って、本発明はまた、式(II)
Figure 2008115178
で表される化合物又はその塩を、式(I)
Figure 2008115178
で表される化合物又はその塩に変換することを含む、式(I)で表される化合物又はその塩の製造方法において、式(II)で表される化合物又はその塩を、本発明の方法(n1及びn2がそれぞれ0であり、*1の不斉炭素原子の立体配置がRであり、*2の不斉炭素原子の立体配置がRである)に従って製造することを特徴とする方法を提供する。
式(I)で表される化合物又はその塩は、WO00/39124又は米国特許第6,492,402号に記載の方法に従って、本発明の方法で製造される式(II)で表されるジフェニルアラニン化合物又はその塩より製造することができる。
本発明は、さらに、式(IV)
Figure 2008115178
で表される化合物又はその塩を、式(III)
Figure 2008115178

で表される化合物又はその塩に変換することを含む、式(III)で表される化合物又はその塩の製造方法において、式(IV)で表される化合物又はその塩を、本発明の方法(n1及びn2がそれぞれ0であり、*1の不斉炭素原子の立体配置がSであり、*2の不斉炭素原子の立体配置がSである)に従って製造することを特徴とする方法を提供する。
式(III)で表される化合物又はその塩は、米国特許出願公開第2006/0025592号に記載の方法に従って、本発明の方法で製造される式(IV)で表されるジフェニルアラニン化合物又はその塩より製造することができる。
本発明は、さらに、式(VI)
Figure 2008115178

で表される化合物又はその塩を、式(V)
Figure 2008115178
で表される化合物又はその塩に変換すること含む、式(V)で表される化合物又はその塩の製造方法において、式(VI)で表される化合物又はその塩を、本発明の方法(n1及びn2がそれぞれ1であり、R及びRがそれぞれ4−フルオロであり、*1の不斉炭素原子の立体配置がSであり、*2の不斉炭素原子の立体配置がSである)に従って製造することを特徴する方法を提供する。
式(V)で表される化合物又はその塩は、WO03/002531又は米国特許出願公開第2004/0171848号に記載の方法に従って、本発明の方法で製造される式(VI)で表されるジフェニルアラニン化合物又はその塩より製造することができる。
以下に本発明の実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例において、化合物(3)のジアステレオマー過剰率(d.e.)は次の条件で測定した。
<HPLC条件>
カラム: Inertsil ODS-3 (4.6 x 250 mm)
溶離液: A:B=100:0 〜 0:100 (0 〜 20 min)
A:B= 0:100 (20 〜 30 min)
A:B= 0:100 (30 〜 40 min)
A=0.03M KH2PO4 aq:CH3CN=90:10
B=0.03M KH2PO4 aq:CH3CN=25:75
流速: 1.0 mL/ min
温度: 室温
検出器: 210 nm
保持時間: Ni-(S)-BPC-(S)-DIP 28 min
Ni-(S)-BPC-(R)-DIP 33 min
参考例1において(S)-2-[(N-ベンジルプロリル)アミノ]-5-クロロベンゾフェノン塩酸塩の純度及びエナンチオマー過剰率(e.e.)は以下の条件で測定した。
<HPLC条件−純度>
カラム: Inertsil ODS-3 (4.6 x 250 mm)
溶離液: A:B=100:0 〜 0:100 (0 〜 20 min)
A:B= 0:100 (20 〜 30 min)
A:B= 0:100 (30 〜 40 min)
A=0.03M KH2PO4 aq:CH3CN=90:10
B=0.03M KH2PO4 aq:CH3CN=25:75
流速: 1.0 mL/min
温度: 室温
検出器: 210 nm
<HPLC条件−キラル>
カラム: CHIRALPAK AD (4.6 x 250 mm)
溶離液: ヘキサン:イソプロパノール=1:1
流速: 1.0 mL/min
温度: 室温
検出器: 220 nm
保持時間: (R)-BPC-HCl 5.4 min
(S)-BPC-HCl 6.3 min
参考例1
N-ベンジル-L-プロリン(2.05 g, 10 mmol)のアセトニトリル溶液(20 mL)にN,N-ジメチルホルムアミド(775 mL, 10 mmol)を添加して、-10℃に冷却し、塩化チオニル(0.875 mL, 12 mmol)をゆっくり滴下し、1時間攪拌した。その後、2-アミノ-5-クロロベンゾフェノン(2.09 g, 9 mmol)を添加し、25℃に昇温し、16時間攪拌した。反応終了後、反応懸濁液をろ過し、ろ取した結晶をアセトン(3 mL)で洗浄し、真空乾燥して(S)-2-[(N-ベンジルプロリル)アミノ]-5-クロロベンゾフェノン塩酸塩を白色結晶(3.15 g, 収率76%, 純度99%以上, エナンチオマー過剰率99%e.e.以上)として得た。
参考例2
硝酸ニッケル6水和物(6.96 g, 23.9 mmol)のメタノール溶液(20 mL)に(S)-2-[(N-ベンジルプロリル)アミノ]-5-クロロベンゾフェノン塩酸塩(9.10 g, 20.0 mmol)とグリシン(2.25 g, 30.0 mmol)を添加して、50℃に加熱し、28% ナトリウムメトキシド/メタノール溶液(22 mL)を加えた後、60℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を水に加え、反応懸濁液とし、ろ過した。ろ取した固体を真空乾燥してニッケル-(S)-2-[(N-ベンジルプロリル)アミノ]-5-クロロベンゾフェノン-グリシン錯体を褐色結晶(9.76 g, 収率92%)として得た。
実施例1
Ni-(S)-2-[(N-ベンジルプロリル)アミノ]-5-クロロベンゾフェノン-(S)-ジフェニルアラニン錯体(Ni-(S)-BPC-(S)-DIP)の製造
Figure 2008115178
Ni-(S)-2-[(N-ベンジルプロリル)アミノ]-5-クロロベンゾフェノン-グリシン錯体(Ni-(S)-BPC-Gly)(532 mg, 1.0 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(1.25 mL)にジフェニルメチルクロリド(117 μL, 1.0 mmol)を添加して、25℃で攪拌し、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(245 μL, 1.2 mmol)を滴下し、6時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を水でクエンチし、クエン酸水溶液でpHを7.0に調整し、懸濁液をろ過した。ろ取した固体を水で洗浄し、真空乾燥してNi-BPC-DIPを赤色結晶(642 mg, 収率92%)として得た。Ni-(S)-BPC-(S)-DIPのジアステレオマー過剰率は96%d.e.であった。
参考例3
Ni-(S)-BPC-Glyの代わりにNi-(S)-2-[(N−ベンジルプロリル)アミノ]ベンゾフェノン-グリシン錯体(Ni-(S)-BPB-Gly)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、Ni-(S)-2-[(N-ベンジルプロリル)アミノ]ベンゾフェノン-(S)-ジフェニルアラニン錯体(Ni-(S)-BPB-(S)-DIP)を製造した。Ni-(S)-BPB-(S)-DIPのジアステレオマー過剰率は90%d.e.であった。
本発明によれば、化合物(3)を高純度、高収率で製造することができ、かつ工業的製造に適した方法が提供される。化合物(3)を酸で処理することにより、医薬品の合成中間体として有用な光学活性ジフェニルアラニン化合物を立体選択的に製造することができる。

Claims (17)

  1. 式(1)
    Figure 2008115178

    [式中、*1は不斉炭素原子であることを示し、不斉炭素原子の立体配置はS又はRである。]で表される化合物を、式(2)
    Figure 2008115178

    [式中、R及びRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基を示し、n1及びn2はそれぞれ独立して0〜5の整数を示し、Xはハロゲン原子を示す。]で表されるジフェニルメチルハライド化合物と、アルカリ金属アルコキシドの存在下で反応させることを特徴とする、式(3)
    Figure 2008115178

    [式中、R、R、n1及びn2は前記と同義を示し、*1及び*2は不斉炭素原子であることを示し、*1及び*2の不斉炭素原子の立体配置は(S,S)又は(R,R)である。]で表される化合物の製造方法。
  2. アルカリ金属アルコキシドがナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert−ブトキシド及びカリウムtert−ブトキシドからなる群より選択される請求項1記載の方法。
  3. アルカリ金属アルコキシドがナトリウムメトキシドである請求項1記載の方法。
  4. Xが塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. Xが塩素原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. n1及びn2がそれぞれ0又は1である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. *1の不斉炭素原子の立体配置がSであり、*2の不斉炭素原子の立体配置がSである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. *1の不斉炭素原子の立体配置がRであり、*2の不斉炭素原子の立体配置がRである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法に従って、式(3)で表される化合物を得て、式(3)の化合物を酸で処理することを特徴とする、式(4)
    Figure 2008115178

    [式中、R、R、n1及びn2は請求項1と同義を示し、*2は不斉炭素原子であることを示し、不斉炭素原子の立体配置はS又はRである。]で表される光学活性ジフェニルアラニン化合物又はその塩の製造方法。
  10. 酸が塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、酢酸及びトリフルオロ酢酸からなる群より選択される請求項9記載の方法。
  11. n1及びn2がそれぞれ0又は1である請求項9又は10記載の方法。
  12. *1の不斉炭素原子の立体配置がSであり、*2の不斉炭素原子の立体配置がSである請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. *1の不斉炭素原子の立体配置がRであり、*2の不斉炭素原子の立体配置がRである請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
  14. 式(3)
    Figure 2008115178

    [式中、R及びRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基を示し、n1及びn2はそれぞれ独立して0〜5の整数を示し、*1及び*2は不斉炭素原子であることを示し、*1及び*2の不斉炭素原子の立体配置は(S,S)又は(R,R)である。]で表される化合物。
  15. 式(II)
    Figure 2008115178

    で表される化合物又はその塩を、式(I)
    Figure 2008115178

    で表される化合物又はその塩に変換することを含む、式(I)で表される化合物又はその塩の製造方法において、式(II)で表される化合物又はその塩を請求項9に記載の方法に従って製造することを特徴とする方法。
  16. 式(IV)
    Figure 2008115178

    で表される化合物又はその塩を、式(III)
    Figure 2008115178

    で表される化合物又はその塩に変換することを含む、式(III)で表される化合物又はその塩の製造方法において、式(IV)で表される化合物又はその塩を請求項9に記載の方法に従って製造することを特徴とする方法。
  17. 式(VI)
    Figure 2008115178

    で表される化合物又はその塩を、式(V)
    Figure 2008115178

    で表される化合物又はその塩に変換することを含む、式(V)で表される化合物又はその塩の製造方法において、式(VI)で表される化合物又はその塩を請求項9に記載の方法に従って製造することを特徴とする方法。
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