JP2010090031A - 二環性プロリン化合物の製造方法 - Google Patents

二環性プロリン化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光学活性二環性プロリン化合物の製造方法の提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物を、塩基存在下、シクロペンテン−1−カルボアルデヒドと反応させ、二環性プロリン化合物を誘導する。

【選択図】なし

Description

本発明は、医薬品の重要中間体として有用な、二環性プロリン化合物の製造方法に関する。
光学活性3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸に代表される二環性プロリン化合物は抗HCV薬等の医薬化合物の合成中間体として有用な化合物であることが知られている(非特許文献1)。光学活性3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸の合成法としては、下記スキームに示すように、[3+2]分子内アジリジン−アリルシラン環化付加反応にて合成する方法が知られている(非特許文献2)。
この方法においては、ジヒドリドフランを出発物質とし、グリニャール試薬と反応させ、得られた化合物のヒドロキシ基を、トシル化を経てヨウ素化し、t-ブチルリチウム/ヨウ化銅/トリn−ブチルホスフィン存在下、キラルアジリジントシレートと反応させてアジリジン-アリルシランを調製する。これをフッ化ホウ素触媒下分子内環化し、二環性骨格を構築する。続いてシリル基を水酸基に変換し、酸化してカルボン酸へ誘導し、トシル基を脱離させて目的の光学活性3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸を合成している。
上記方法では、キラルアジリジントシレートが高価であること、危険性が高いt−ブチルリチウムや有機水銀などを使用しているため、工業的製造に適していないという問題がある。
また、別の方法として、(1SR,2SR,5SR)−N−ベンジルオキシカルボニル−3−アザ−6−オキソビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸エチルをキラルカラムで分取し、合成する方法が知られている(非特許文献3、非特許文献4)。非特許文献3には、下記スキームに示すように、4−メチル−5−チアゾールエタノールを出発物質とし、シクロペンタノンとタンデム環化付加反応を経て、(1SR,2SR,5SR)−N−ベンジルオキシカルボニル−3−アザ−6−オキソビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸エチルシクロペンテン−1−アルデヒドを合成する方法が開示されている。非特許文献4では、(1SR,2SR,5RS)−N−ベンジルオキシカルボニル−3−アザ−6−オキソビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸エチルシクロペンテン−1−アルデヒドをキラルカラムにより光学活性体である(1S,2S,5R)−N−ベンジルオキシカルボニル−3−アザ−6−オキソビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸エチルシクロペンテン−1−アルデヒドを分取し、水素化、ラジカル還元を経て目的の(1S,2S,5R)−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸エチルを合成する方法が開示されている。
上記方法は、分取カラムにより分割する方法であるため、大量生産に適していないという問題がある。
バイオオーガニック・メディシナル・ケミストリー・レター、2004年、14巻、5007−5011頁(Bioorg. Med. Chem. Lett. 2004, 14, 5007-5011) テトラへドロン、1999年、55巻、8025−8038頁(Tetrahedron, 1999, 55, 8025-8038) ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、1994年、59巻、2773−2778頁(J. Org. Chem. 1994, 59, 2773-2778) バイオオーガニック・メディシナル・ケミストリー・レター、2003年、13巻、3531−3536頁(Bioorg. Med. Chem. Lett. 2003, 13, 3531-3536)
本発明の目的は、工業的製造に適した、光学活性(1S,2S,5R)又は(1R,2R,5S)3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸に代表される二環性プロリン化合物の製造方法を提供することである。
ところで、光学活性な3−置換プロリンあるいは4−置換プロリンの合成法として光学活性な2−[(N−ベンジルプロリル)アミノ]ベンゾフェノン化合物(以下、BPBともいう。)とニッケルとの錯体をキラル補助剤として使用する方法が知られている(J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1.1988、2075-2083)。これはグリシンと光学活性なBPBから得られるシッフ塩基のNi(II)錯体(以下、Ni−BPR−Glyともいう。)を、α、β-不飽和アルデヒドと不斉マイケル付加反応を行った後、加水分解し、還元反応により置換プロリンを得る方法である。立体配置がS配置のNi−BPB−Glyを用いた場合、3−置換プロリンの場合の選択性は、trans−(2S,3S)−3−メチルプロリン:trans−(2R,3R)−3−メチルプロリン=91.3:4.6となっているが、4-置換プロリンの場合、trans−(2S,4R)−4−メチルプロリン:cis−(2S,4S)−4−メチルプロリン:(2S,4RS)−4−メチルプロリン=29:61:8と低い選択性しか得られていない。また2位、3位及び4位に同時に不斉点を導入する例はこれまでに知られていない。
本発明者らは、上記二環性プロリン化合物の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、光学活性なNi−BPR−Glyをシクロペンテン−1−カルボアルデヒドと不斉マイケル付加反応させることにより、一度に2点の不斉炭素が選択的に構築され、得られた化合物を酸で加水分解および閉環させた後、還元反応を行うことで、不斉炭素を3点有する光学活性二環性プロリン化合物が容易に得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の内容を含むものである。
[1] 式(1)
[式中、*1は不斉炭素原子であることを示し、不斉炭素原子の立体配置はS又はRである。]で表される化合物を、塩基存在下、式(2)
で表されるシクロペンテン−1−カルボアルデヒドと反応させることを特徴とする、式(3)
[式中、Xは上記と同義を示し、*1、*2及び*3は不斉炭素原子であることを示し、*1、*2及び*3の不斉炭素原子の立体配置は(S,S,S)又は(R,R,R)である。]
で表される化合物の製造方法。
[2] 上記[1]に記載の方法に従って、式(3)で表される化合物を得た後、さらに該化合物を酸で処理する工程を含む、式(4)
[式中、*2、*3及び*4は不斉炭素原子であることを示し、*2、*3及び*4の不斉炭素原子の立体配置は(S,S,R)又は(R,R,S)であり、Rは水素原子又はカルボキシル基の保護基を示す。]
で表される化合物の製造方法。
[3] 上記[2]に記載の方法に従って、式(4)で表される化合物を得た後、さらに
(i)還元反応を行う工程、及び
(ii)アミノ基を保護するか又は保護しない工程
を含むことを特徴とする、式(5)
[式中、*は上記[2]と同義を示し、Pは水素原子又はアミノ基の保護基を示し、Rは水素原子又はカルボキシル基の保護基を示す。]
で表される二環性プロリン化合物の製造方法。
[4] 酸処理が炭素数1〜4のアルコール中で行われ、Rが炭素数1〜4のアルキル基を示す、上記[2]又は[3]に記載の方法。
[5] 式(4)
[式中、*2、*3及び*4は不斉炭素原子であることを示し、*2、*3及び*4の不斉炭素原子の立体配置は(S,S,R)又は(R,R,S)であり、Rは水素原子又はカルボキシル基の保護基を示す。]
で表される化合物。
本発明によれば、光学活性な二環性プロリン化合物を、工業的に適した方法で、効率的に製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、本明細書において使用する各式中の記号の定義を説明する。
及びRで示されるカルボキシル基の保護基としては特に限定されず、例えば炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜11のアラルキル基等を挙げることができる。具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ベンジル基等を挙げることができる。本発明における好ましいカルボキシル基の保護基としては、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。またこれらのカルボキシル基の保護基は、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基)、炭素数1〜6のハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基)、炭素数1〜6のハロアルコキシ基(例えば、トリフルオロメトキシ基)等で1又はそれ以上置換されていてもよい。
Pで示されるアミノ基の保護基としては、Protecting Groups in Organic Chemistry 2nd edition (John Wiley & Sons, Inc. 1991)に記載の基が挙げられる。具体的には、アシル基、アルキル基、アラルキル基、シリル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、ベンジルオキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、メトキシカルボニル基(Moc基)、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)、tert−ブトキシカルボニル基(Boc基)等が挙げられる。アシル基としては、例えば、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル基)、C6−8アリール−カルボニル基、C7−11アラルキル−カルボニル基(例えば、フェニルアセチル基)等が挙げられる。アルキル基、アリール基、アラルキル基としては、例えば、R及びRにおけるのと同様のものが挙げられる。
また、これらのアミノ基の保護基は、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基)、炭素数1〜6のハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基)、炭素数1〜6のハロアルコキシ基(例えば、トリフルオロメトキシ基)等で1又はそれ以上置換されていてもよい。
本発明の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、下記スキームによって表される。
上記スキームにおいて、各記号は上記定義の通りである。
工程(a)
工程(a)は、式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)という。)を、式(2)で表されるシクロペンテン−1−カルボアルデヒド(以下、化合物(2)ともいう。)と、塩基の存在下で反応させて、式(3)で表される化合物(以下、化合物(3)という。)を得る工程である。
本工程においては、式(1)において不斉炭素原子の立体配置がSである化合物を使用することにより、式(3)において*1、*2及び*3の不斉炭素原子の立体配置が(S,S,S)である化合物が立体選択的に得られる。同様に、式(1)において不斉炭素原子の立体配置がRである化合物を使用することにより、式(3)において*1、*2及び*3の不斉炭素原子の立体配置が(R,R,R)である化合物が立体選択的に得られる。
塩基としては、有機アミンが挙げられる。トリエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1−メチルピペラジン、4−メチルモルホリン、ピリジン、2−メチルピリジン、2,6−ジメトリピリジン、DMAP(ジメチルアミノピリジン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]アンデク−7−エン)、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]アンデク−7−エン)、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.0]オクタン)等の3級アミンが好ましく、特にDBUが好ましい。
塩基の使用量は、化合物(1)1モルに対して、通常0.05〜2モル、好ましくは0.10〜0.2モルである。
本工程の反応は、反応を阻害しない溶媒中で行うことが好ましい。かかる溶媒としては、アミド溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等)、スルホキシド溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド等)、ニトリル溶媒(例えば、アセトニトリル等)、エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン)等、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等)等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を適当な割合で混合して使用してもよい。
溶媒の使用量は、化合物の種類に応じて適宜選択することができるが、化合物(1)1kgに対して通常1〜10L、好ましくは2〜5Lである。
反応温度は特に限定されないが、通常−20〜50℃、好ましくは−10〜5℃である。反応時間は特に限定されないが、通常0.5〜24時間、好ましくは4〜16時間である。
反応の後処理は、当業者に公知の通常の方法で行うことができ、単離精製は、必要に応じて、結晶化、再結晶化、蒸留、分液、シリカゲルクロマトグラフィー、分取HPLC等の慣用の方法を適宜選択し、また組み合わせて行うことができる。
例えば、反応終了後、反応混合物に水を加え、酸(例えば、クエン酸水溶液、
酢酸等)を加えて中性(通常pH6〜8、好ましくはpH6.5〜7.5)にし、析出した固体を濾取することにより、化合物(3)を得ることができる。あるいは反応終了後、非プロトン性有機溶媒と水を添加し、有機溶媒に抽出することも可能である。この場合、抽出した有機溶液に酸を加えて次工程(b)を行うことができる。なお、反応終了後、単離精製等の後処理を行うことなく、反応混合物を次の加水分解工程(b)に用いることもできる。
工程(b)
工程(b)は、化合物(3)を酸で処理することにより、式(4)で表される化合物(以下、化合物(4)という。)を得る工程である。
本工程においては、式(3)において*1、*2及び*3の不斉炭素原子の立体配置が(S,S,S)である化合物を使用することにより、式(4)において*2、*3及び*4の不斉炭素原子の立体配置が(S,S,S)である化合物が得られる。同様に、式(3)において*1、*2及び*3の不斉炭素原子の立体配置が(R,R,R)である化合物を使用することにより、式(4)において*2、*3及び*4の不斉炭素原子の立体配置が(R,R,R)である化合物が得られる。
酸としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等)およびその水溶液、有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩化アセチル、塩化チオニル、塩化オキサリル等)が挙げられる。好ましくは塩酸あるいは硫酸である。酸の使用量は、化合物(3)1当量に対して、通常1〜20当量、好ましくは3〜10当量である。
本工程の反応は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、水、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン等)、アミド溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等)、ケトン溶媒(アセトン、MIBK)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン)等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を適当な割合で混合して使用してもよい。
アルコール以外の溶媒を使用した場合、酸による加水分解反応により、通常、得られる化合物(4)のR1は水素原子となる。一方、アルコールを溶媒として使用した場合、得られる化合物(4)のR1はアルコールから誘導される基(ヒドロキシル基を除く残基)となる。例えば、メタノールを使用した場合、R1はメチル基、エタノールを使用した場合はエチル基、t−ブタノールを使用した場合はt−ブチル基となる。精製が容易となる点で、Rは炭素数1〜4のアルキル基であるのが好ましい。従って、溶媒として好ましいのは炭素数1〜4のアルコールであり、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノールが挙げられ、特に好ましいのはメタノールである。
溶媒の使用量は、化合物の種類に応じて適宜選択することができるが、化合物(3)1kgに対して通常3〜20L、好ましくは5〜10Lである。
反応温度は特に限定されないが、通常25〜100℃、好ましくは40〜70℃である。反応時間は特に限定されないが、通常10分〜10時間、好ましくは30分〜2時間である。
反応の後処理は、当業者に公知の通常の方法で行うことができ、単離精製は、必要に応じて、結晶化、再結晶化、蒸留、分液、シリカゲルクロマトグラフィー、分取HPLC等の慣用の方法を適宜選択し、また組み合わせて行うことができる。
本工程で得られる化合物(4)のRが水素原子である場合、カルボキシル基を保護基で保護してもよい。
本工程で回収される後掲の式(i)で表される化合物又はその塩は、塩基(例えば、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)の存在下、グリシン及びNi2+を含む塩(例えば、Ni(NO)2又はその水和物等)と反応させてNi(II)錯体を形成させることにより、化合物(1)として再利用することができる。
工程(c)
工程(c)は、化合物(4)を、(i)還元反応を行う工程、及び(ii)アミノ基を保護するか又は保護しない工程を経て、式(5)で表される光学活性な二環性プロリン化合物(以下、化合物(5)という。)に誘導する工程である。化合物(4)から化合物(5)に誘導される工程において、(i)及び(ii)以外の他の工程を含んでいてもよい。
化合物(4)において*2、*3及び*4の不斉炭素原子の立体配置が(S,S,R)である化合物を使用することにより、化合物(5)において*2、*3及び*4の不斉炭素原子の立体配置が(S,S,R)である化合物が得られる。同様に、化合物(4)において*2、*3及び*4の不斉炭素原子の立体配置が(R,R,S)である化合物を使用することにより、化合物(5)において*2、*3及び*4の不斉炭素原子の立体配置が(R,R,S)である化合物が得られる。
化合物(5)においてPがアミノ基の保護基を示す場合、還元反応を行う工程後にアミノ基を保護する工程が必要となる。Rが水素原子の場合は、還元反応の前に、カルボキシル基を保護基で保護しておくのが好ましい。
化合物(4)を化合物(5)に誘導する工程において、還元反応を行う工程の前、又は還元反応を行う工程の後であってアミノ基を保護する工程の後で、カルボキシル基の保護基を他の保護基で置換してもよい。
還元法としては、化学的還元および接触還元が挙げられる。還元反応は接触還元によるのが好ましく、特にパラジウム−炭素等のパラジウム触媒による接触還元が好ましい。
化学的還元で使用する還元剤としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム等の水素化物;またはスズ、亜鉛、鉄等の金属とギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等の酸との組み合わせが挙げられる。
接触還元で使用する触媒としては、白金黒、酸化白金等の白金触媒;パラジウム黒、酸化パラジウム、パラジウム−炭素等のパラジウム触媒;還元ニッケル、ラネーニッケル等のニッケル触媒;還元鉄、ラネー鉄等の鉄触媒等が挙げられる。
還元反応は一般に溶媒中で行われる。反応溶媒としては、本反応を阻害しない溶媒であればいずれでもよく、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、トルエン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
接触還元は、溶媒中、パラジウム炭素、ロジウム炭素、ルテニウム炭素等の触媒存在下、水素ガスを0.1〜10気圧(10〜1000キロパスカル)、反応温度を0〜80℃で、0.1〜24時間反応させて行うことができる。得られた反応溶液から触媒を濾別し、溶媒留去、晶析、クロマトグラフィー等の当業者に公知方法により目的物を得ることができる。
還元反応後は、化合物(5)においてPが水素原子である化合物が得られる。還元反応の後、アミノ基の保護を行う場合、目的物を単離することなく、反応溶液中に保護化試薬を加えて反応させるなどして行うことができる。また、還元反応中にアミノ基の保護化試薬を共存させ、還元反応と同時にアミノ基の保護を行うこともできる。
アミノ基及びカルボキシル基の保護基による保護及び脱保護は当業者に公知の方法、例えば、Protecting Groups in Organic Chemistry 2nd edition (John Wiley&Sons, Inc. 1991)に記載の方法により容易に行うことができる。
化合物(5)は、常法に従って、塩の形態として得ることもできる。塩としては酸付加塩が挙げられ、無機酸付加塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩等);有機酸付加塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩等);酸性アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等)との塩等の酸付加塩が挙げられる。
原料である化合物(1)は、公知の方法(例えば、J. Org. Chem., Vol. 68, No. 18, pp. 7104-7107, 2003に記載の方法)に準じて製造することができる。
化合物(1)においてXが塩素原子である化合物は、好ましくは以下の方法によって製造することができる。
[*1は不斉炭素原子であることを示し、式(6)の立体配置が(S)のとき、式(7)、(8)及び(9)の立体配置は(S)であり、式(6)の立体配置が(R)のとき、式(7)、(8)及び(9)の立体配置は(R)である。]
工程(d)
工程(d)は、式(6)で表される光学活性N−ベンジルプロリン(以下、化合物(6)という。)を、アセトニトリル中、アミド化合物及び塩化チオニルの存在下で、式(7)で表される2−アミノベンゾフェノン化合物(以下、化合物(7)という。)と反応させることにより、式(8)で表される光学活性2−[(N−ベンジルプロリル)アミノ]ベンゾフェノン化合物(以下、BPC・HCl又は化合物(8)という。)又はその塩を得る工程である。
アセトニトリルの使用量は、化合物(6)1kgに対して、通常3〜20kg、好ましくは5〜10kgである。必要によりアセトニトリルに他の溶媒を混合して用いてもよい。
アミド化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド等のN,N−ジアルキルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のN,N−ジアルキルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のN−アルキル−2−ピロリドンなどが挙げられる。これらのアミド化合物は2種以上を適当な割合で混合して使用してもよい。アミド化合物としては、収率の観点から、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましく、特にN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
アミド化合物の使用量は、化合物(6)1モルに対して、通常0.5〜2モル、好ましくは1.0〜1.2モルである。
塩化チオニルの使用量は、化合物(6)1モルに対して、通常1〜4モル、好ましくは1.1〜1.5モルである。
化合物(7)の使用量は、化合物(6)1モルに対して、通常0.5〜2モル、好ましくは0.9〜1.0モルである。
反応においては、化合物(6)とアミド化合物が存在するアセトニトリル溶液中に、塩化チオニルを添加後、化合物(7)を添加して反応させるのが好ましい。
塩化チオニルの添加する際の温度は特に限定されないが、通常−78〜20℃、好ましくは−20〜10℃である。添加は攪拌しながらゆっくり行うのが好ましく、添加後もしばらく攪拌するのが好ましい。添加後の攪拌時間は特に限定されないが、通常0.1〜3時間、好ましくは0.5〜2時間である。
化合物(7)との反応温度は特に限定されないが、通常−78〜20℃、好ましくは−10〜25℃である。反応時間は特に限定されないが、通常1〜24時間、好ましくは4〜20時間である。
なお反応系中で発生するHClと化合物(8)が塩酸塩を形成して、結晶として析出するため、反応終了後、反応懸濁液をろ過することにより化合物(8)の塩酸塩を簡単に単離することができる。
化合物(8)の塩酸塩は、常法に従って塩基で処理することにより、遊離の化合物(8)に変換することができる。更に、得られた遊離の化合物(8)は、常法に従って、他の酸付加塩に変換することもできる。
工程(e)
工程(e)は、化合物(8)又はその塩を、塩基の存在下、グリシン、及びNi2+を含む塩と反応させて、式(9)で表される化合物(以下、化合物(9)という。)を得る工程である。
グリシンの使用量は、化合物(8)又はその塩1モルに対して、通常1〜5モル、好ましくは1.2〜2.0モルである。
Ni2+を含む塩としては、硝酸塩(Ni(NO)、ハロゲン化物(例えば、NiCl,NiBr等)、酢酸塩(Ni(OAc))、硫酸塩(NiSO)等が挙げられる。これらの塩は水和物であってもよい。好ましくは、Ni(NO又はその水和物である。
Ni2+を含む塩の使用量は、化合物(8)又はその塩1モルに対して、通常1〜5モル、好ましくは1.2〜2.0モルである。
塩基としては、アルカリ金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属C−Cアルコキシド)、水酸化アルカリ金属(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)等が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(iii)又はその塩1モルに対して、通常2〜20モル、好ましくは5〜10モルである。
本工程の反応は、反応を阻害しない溶媒中で行うことが好ましい。かかる溶媒としては、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
溶媒の使用量は、化合物の種類に応じて適宜選択することができるが、化合物(8)1kgに対して通常2〜20、好ましくは4〜10である。
反応温度は特に限定されないが、通常25〜100℃、好ましくは40〜70℃である。反応時間は特に限定されないが、通常10分〜5時間、好ましくは30分〜2時間である。
反応の後処理は、当業者に公知の通常の方法で行うことができ、単離精製は、必要に応じて、結晶化、再結晶化、蒸留、分液、シリカゲルクロマトグラフィー、分取HPLC等の慣用の方法を適宜選択し、また組み合わせて行うことができる。
式(6)において不斉炭素原子の立体配置がSである化合物を使用することにより、式(8)及び式(9)において不斉炭素原子の立体配置がSである化合物が得られる。同様に、式(6)において不斉炭素原子の立体配置がRである化合物を使用することにより、式(8)及び式(9)において不斉炭素原子の立体配置がRである化合物が得られる。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例において、化合物(3)のジアステレオマー過剰率(de)は次の条件で測定した。
<HPLC条件>
カラム: Inertsil ODS-3 (4.6 x 250 mm)
溶離液: A:B=100:0 to 0:100 (0 to 20 min)
A:B= 0:100 (20 to 30 min)
A:B= 0:100 (30 to 40 min)
A=0.03M KH2PO4 aq:MeCN=90:10
B=0.03M KH2PO4 aq:MeCN=25:75
流速: 1.0 mL/ min
温度: 室温
検出波長: 210 nm
保持時間 : Ni-(S)-BPC-(1S,2S)-CPA 24 min
Ni-(S)-BPC-(1R,2R)-CPA 25 min
Ni-(S)-BPC-(1R,2S)-CPA 32 min
Ni-(S)-BPC-(1S,2R)-CPA 33 min
参考例1において(S)-2-[(N-ベンジルプロリル)アミノ]-5-クロロベンゾフェノン塩酸塩の純度及びエナンチオマー過剰率(ee)は以下の条件で測定した。
<HPLC条件−純度>
カラム: Inertsil ODS-3 (4.6 x 250 mm)
溶離液: A:B=100:0 to 0:100 (0 to 20 min)
A:B= 0:100 (20 to 30 min)
A=0.03M KH2PO4 aq:MeCN=90:10
A=0.03M KH2PO4 aq:MeCN=25:75
流速: 1.0 mL/ min
温度: 室温
検出波長: 210 nm
<HPLC条件−ee>
Column: CHIRALPAK AD (4.6 x250 mm)
溶離液: Hexane:IPA=1:1
流速: 1.0 mL/ min
温度: 室温
検出波長: 220 nm
保持時間: (R)-BPC・HCl 5.4 min
(S)-BPC・HCl 6.3 min
参考例1
N−ベンジル−L−プロリン(2.05 g, 10 mmol)のアセトニトリル溶液(20 mL)にN,N−ジメチルホルムアミド(775 μL, 10 mmol)を添加して、−10℃に冷却し、塩化チオニル(0.875 μL, 12 mmol)をゆっくり滴下し、1時間撹拌した。その後、2−アミノ−5−クロロベンゾフェノン(2.09 g, 9 mmol)を添加し、25℃に昇温し、16時間撹拌した。反応終了後、反応懸濁液をろ過し、ろ取した結晶をアセトン(3 mL)で洗浄し、真空乾燥して(S)−2−[(N−ベンジルプロリル)アミノ]−5−クロロベンゾフェノン塩酸塩を白色結晶(3.15 g, 収率76%)として得た(純度99%以上、エナンチオマー過剰率99%ee以上)。
参考例2
硝酸ニッケル6水和物(6.96 g, 23.9 mmol)のメタノール溶液に(S)−2−[(N−ベンジルプロリル)アミノ]−5−クロロベンゾフェノン塩酸塩(9.10 g, 20.0 mmol)とグリシン(2.25 g, 30.0 mmol)を添加して、50℃に加熱し、28% ナトリウムメトキシド/メタノール溶液(22mL)を加えた後、60℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応液を水に加え、反応懸濁液とし、ろ過した。ろ取した固体を真空乾燥してニッケル−(S)−2−[(N−ベンジルプロリル)アミノ]−5−クロロベンゾフェノン−グリシン錯体を褐色結晶(9.76 g, 収率92%)として得た。
Ni−(S)−2−[(N−ベンジルプロリル)アミノ]−5−クロロベンゾフェノン−(2-ホルミルシクロペンタニル)グリシン錯体(Ni-(S)-BPC-CPA)の製造
Ni−(S)−2−[(N−ベンジルプロリル)アミノ]−5−クロロベンゾフェノン−グリシン錯体(Ni-(S)-BPC-Gly)(4.26 g, 8.0 mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(15 mL)を−5℃で冷却し、シクロペンテンアルデヒド(927 μL, 9.6 mmol)とDBU (180 μL, 1.2 mmol)を滴下し、−5℃で16時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を水でクエンチし、クエン酸水溶液でpHを7.0に調整し、懸濁液をろ過した。ろ取した固体を水で洗浄し、真空乾燥してNi-(S)-BPC-CPAを赤色結晶(5.02 g, 収率99.8%)として得た。Ni-(S)-BPC-CPAのジアステレオマー比は(A):(B):(C):(D)=86.1:1.5:0.4:9.4であった。
融点 138℃
Ni−(S)−2−[(N−ベンジルプロリル)アミノ]−5−クロロベンゾフェノン−グリシン錯体(Ni-(S)-BPC-Gly)(2.13 g, 4.00 mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(5.0 mL)を−10℃で冷却し、シクロペンテン−1−カルボアルデヒド(0.438 g, 4.56 mmol)とDBU (90 μL, 0.60 mmol)を滴下し、−10℃で6時間撹拌した後、25℃に昇温し、6時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を水でクエンチし、クエン酸水溶液でpHを7.0に調整し、懸濁液をろ過した。ろ取した固体を水で洗浄し、真空乾燥してNi-(S)-BPC-CPAを赤色結晶(2.30 g, 収率91.2%)として得た。Ni-(S)-BPC-CPAのジアステレオマー比は(A):(B):(C):(D)=93.1:2.4:0.2:4.2であった。ESI-MS; 629(M+H).
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒の代わりにアセトニトリル溶媒を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行った。Ni-(S)-BPC-CPAのジアステレオマー比は(A):(B):(C):(D)=97.3:1.4:0.1:1.2であった。
DMF溶媒の代わりにTHF溶媒を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行った。Ni-(S)-BPC-CPAのジアステレオマー比は(A):(B):(D)=96.7:2.7:0.5であった。
DMF溶媒の代わりにメタノール溶媒を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行った。Ni-(S)-BPC-CPAのジアステレオマー比は(A):(B):(D)=94.9:5.0:0.1であった。
DMF溶媒の代わりにエタノール溶媒を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行った。Ni-(S)-BPC-CPAのジアステレオマー比は(A):(B):(D)=78.0:5.0:17.0であった。
(1S,2S,5R)−3−アザビシクロ[3.3.0]オクト−3−エン−2−カルボン酸メチルの製造
実施例1で得られたNi-(S)-BPC-CPA(1 g, 1.6 mmol)のメタノール溶液(7mL)に98%硫酸(340μL, 6.4 mmol)と水(144 μL, 8.0 mmol)を加え、60℃で1時間撹拌し、室温に冷却し、塩化チオニル (573 μL, 8.0 mmol)を加え、さらに60℃で20時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチル(30 mL)を加えトリエチルアミンでpH=7に調整し、ろ過したろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=50:50)に付し、目的の化合物を白色結晶(160 mg,60%)として得た。
融点70℃
1H NMR(400MHz, CDCl3-d1);1.27-1.29(m, 1H), 1.62-1.77(m, 5H), 2.82-2.89(m, 1H), 3.42-3.46(m, 1H), 3.70(s, 3H), 4.40-4.42(m, 1H), 7.50(d, J=1.96, 1H)
13C NMR(400MHz, CDCl3-d1);173.0, 172.8, 82.8, 55.6, 52.2, 43.6, 34.0, 28.7, 24.7
ESI-MS; 168(M+H).
(1S,2S,5R)−3−アザビシクロ[3.3.0]オクト−3−エン−2−カルボン酸エチルの製造
実施例1で得られたNi-(S)-BPC-CPA(628 mg, 1.0 mmol)のエタノール溶液(1.9 mL)に水(81 μL, 4.5 mmol)と塩化チオニル(218μL, 2.5 mmol)を加え、60℃で16時間撹拌した。反応終了後、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)(1.2 mL)を加えろ過し、ろ液をHPLCにて分析したところ、目的物への変換率は55%であった。
1H NMR(400MHz, CDCl3-d1);1.24-1.34(m, 1H), 1.30(t, J=7.16, 3H), 1.57-1.81(m, 5H), 2.82-2.88(m, 1H), 3.42-3.46(m, 1H), 4.21(q, J=7.16, 2H), 4.38-4.40(m, 1H), 7.51(br, 1H)
13C NMR(400MHz, CDCl3-d1);172.7, 172.6, 82.9, 61.1, 55.6, 43.6, 34.0, 28.7, 24.7, 14.2
ESI-MS; 182(M+H).
(1S,2S,5R)−3−アザビシクロ[3.3.0]オクト−3−エン−2−カルボン酸イソプロピルの製造
実施例1で得られたNi-(S)-BPC-CPA(628 mg, 1.0 mmol)のイソプロパノール溶液(1.9 mL)に水(81 μL, 4.5 mmol)と塩化チオニル(218μL, 2.5 mmol)を加え、60℃で16時間撹拌した。反応終了後、MTBE(1.2 mL)を加えろ過し、ろ液をHPLCにて分析したところ、目的物への変換率は64%であった。
1H NMR(400MHz, CDCl3-d1);1.22-1.31(m, 1H), 1.27(d, J=6.28, 6H), 1.56-1.80(m, 5H), 2.78-2.84(m, 1H), 3.41-3.45(m, 1H), 4.34-4.36(m, 1H), 5.01-5.10(m, 1H),7.50(br, 1H)
13C NMR(400MHz, CDCl3-d1);173.0, 172.5, 83.4, 68.7, 56.1, 43.9, 34.4, 29.0, 25.1, 22.1
ESI-MS; 196(M+H).
(1S,2S,5R)−3−アザビシクロ[3.3.0]オクト−3−エン−2−カルボン酸t−ブチルの製造
実施例1で得られたNi-(S)-BPC-CPA(628 mg, 1.0 mmol)のt-ブタノール溶液(1.9 mL)に水(81 μL, 4.5 mmol)と塩化チオニル(218μL, 2.5 mmol)を加え、60℃で16時間撹拌した。反応終了後HPLCにて分析したところ、目的物への変換率は7%であった。
1H NMR(400MHz, CDCl3-d1);1.23-1.33(m, 1H), 1.48(s, 9H), 1.56-1.81(m, 5H), 2.76-2.81(m, 1H), 3.40-3.44(m, 1H), 4.28-4.30(m, 1H),
7.48(d, J=1.72, 1H)
13C NMR(400MHz, CDCl3-d1);172.4, 171.9, 83.7, 81.1, 55.5, 43.7, 34.0, 28.8, 28.0, 24.7
ESI-MS; 210(M+H).
(1S,2S,5R)−3−アザビシクロ[3.3.0]オクト−3−エン−2−カルボン酸n−ブタンの製造
実施例1で得られたNi-(S)-BPC-CPA(628 mg, 1.0 mmol)のn-ブタノール溶液(1.9 mL)に水(81 μL, 4.5 mmol)と塩化チオニル(218 μL, 2.5 mmol)を加え、60℃で16時間撹拌した。反応終了後HPLCにて分析したところ、目的物への変換率は60%であった。
1H NMR(400MHz, CDCl3-d1);0.91-0.95(t, 3H), 1.23-1.80(m, 11H), 2.83-2.86(m, 1H), 3.41-3.44(m, 1H), 4.13-4.16(m, 2H), 4.38-4.30(m, 1H),
7.48(d, J=1.72, 1H)
13C NMR(400MHz, CDCl3-d1);173.1, 173.0, 83.2, 65.3, 56.0, 44.0, 34.4, 31.0, 29.1, 25.1, 19.4, 14.1
ESI-MS; 196(M+H).
(1S,2S,5R)−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸メチルの製造
(1S,2S,5R)−3−アザビシクロ[3.3.0]オクト−3−エン−2−カルボン酸メチル(48 mg, 0.29 mmol)のメタノール溶液(2.0 mL)に5%パラジウム炭素(35 mg, 0.008 mmol)を加え、1気圧の水素雰囲気下として室温で16時間撹拌した。反応終了後、ろ過したろ液を濃縮し、目的の化合物を粘性液体(41 mg,84%)として得た。
ESI-MS; 170(M+H).
3−t−ブトキシカルボニル−(1S,2S,5R)−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸メチルの製造
(1S,2S,5R)−3−アザビシクロ[3.3.0]オクト−3−エン−2−カルボン酸メチル(114 mg, 0.68 mmol)の酢酸エチル溶液(4 mL)にジ−t−ブチルジカルボネート(DiBoc)(170μL, 0.74 mmol)と5%パラジウム炭素(59.4 mg, 0.014 mmol)を加え、1気圧の水素雰囲気下として室温で16時間撹拌した。反応終了後、ろ過したろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=10:90)に付し、目的の化合物を粘性液体(125 mg,68%)として得た。
ESI-MS; 270(M+H).
3−t−ブトキシカルボニル−(1S,2S,5R)−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸の製造
3−t−ブトキシカルボニル−(1S,2S,5R)−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸メチルのエタノール溶液(1.0 mL)に4M水酸化ナトリウム水溶液(115μL, 0.46 mmol)を加え、35℃で4時間撹拌した。反応終了後、塩酸で中和して、ろ過したろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール:ジクロロメタン=5:95)に付し、目的の化合物を粘性液体(75 mg,77%)として得た。
ESI-MS; 256(M+H).
医薬品の合成中間体として有用な光学活性(1S,2S,5R)又は(1R,2R,5S)3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸に代表される二環性プロリン化合物を、工業的製造に適した方法で製造することができる。

Claims (5)

  1. 式(1)
    [式中、Xは水素原子又は塩素原子を示し、*1は不斉炭素原子であることを示し、不斉炭素原子の立体配置はS又はRである。]で表される化合物を、塩基存在下、式(2)
    で表されるシクロペンテン−1−カルボアルデヒドと反応させることを特徴とする、式(3)
    [式中、Xは上記と同義を示し、*1、*2及び*3は不斉炭素原子であることを示し、*1、*2及び*3の不斉炭素原子の立体配置は(S,S,S)又は(R,R,R)である。]
    で表される化合物の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法に従って、式(3)で表される化合物を得た後、さらに該化合物を酸で処理する工程を含むことを特徴とする、式(4)
    [式中、*2、*3及び*4は不斉炭素原子であることを示し、*2、*3及び*4の不斉炭素原子の立体配置は(S,S,R)又は(R,R,S)であり、Rは水素原子又はカルボキシル基の保護基を示す。]
    で表される化合物の製造方法。
  3. 請求項2に記載の方法に従って、式(4)で表される化合物を得た後、さらに
    (i)還元反応を行う工程、及び
    (ii)アミノ基を保護基で保護するか又は保護しない工程
    を含むことを特徴とする、式(5)
    [式中、*は請求項2と同義を示し、Pは水素原子又はアミノ基の保護基を示し、Rは水素原子又はカルボキシル基の保護基を示す。]
    で表される二環性プロリン化合物又はその塩の製造方法。
  4. 酸処理が炭素数1〜4のアルコール中で行われ、Rが炭素数1〜4のアルキル基を示す、請求項2又は請求項3に記載の方法。
  5. 式(4)
    [式中、*2、*3及び*4は不斉炭素原子であることを示し、*2、*3及び*4の不斉炭素原子の立体配置は(S,S,R)又は(R,R,S)であり、Rは水素原子又はカルボキシル基の保護基を示す。]
    で表される化合物。
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