JP2011032240A - 抗疲労剤 - Google Patents

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寿典 中島
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Abstract

【課題】天然由来で安全な抗疲労効果を有する抗疲労剤の提供。
【解決手段】甘蔗由来の抽出物を有効成分とする抗疲労剤。ここで、「甘蔗由来の抽出物」とは、甘蔗(さとうきび)を原料として得られる抽出物をいう。甘蔗由来の抽出物は、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料をカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分、或いはバガスを、水及び親水性溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出溶媒で抽出して得られる抽出物であることが好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は抗疲労剤に関し、より特には甘蔗由来の抽出物を有効成分とする抗疲労剤に関する。
疲労は、現代社会に生きる多数の人が日常向き合っている現象である。特に近年、ストレス又は運動不足、栄養バランスの偏り等から、疲労感を感じ易く、また休息後も疲労感がなかなか抜けないと訴える人が多い。
また、家畜及び愛玩動物等のヒト以外の動物についても、ケージ内での飼育に伴う疲労等の故に、抗疲労効果を有する食品素材の適用が強く望まれている。
これまで抗疲労剤の有効成分として、ワサビ抽出物(特許文献1)、トウガラシ発酵処理物(特許文献2)、及びアスパラガスから得られる組成物(特許文献3)が挙げられている。しかし、いずれも食品素材そのものとして利用価値があるものから有効成分を取り出しており、コスト面での問題及び食品素材の廃棄の問題がある。
甘蔗汁、甘蔗由来の溶媒抽出液又は甘蔗由来の糖蜜をカラムクロマトグラフィーで処理する方法(特許文献4及び5)又はバガスから抽出溶媒により抽出する方法(特許文献6)により甘蔗由来の抽出物が得られることが知られている。
特開2009−155333号公報 特開2005−161号公報 特開2007−45750号公報 特開平10−151182号公報 特開2003−063975号公報 特開2000−217540号公報
本発明の目的は、天然由来で安全な抗疲労効果を有する抗疲労剤を提供することである。
本発明者らは鋭意検討の結果、甘蔗由来の抽出物が抗疲労効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
甘蔗由来の抽出物は、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料を、カラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分、或いはバガスを、水及び親水性溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出溶媒で抽出して得られる抽出物であることが好ましい。特に、甘蔗由来の抽出物は、以下の(a)〜(c)のいずれかであることが好ましい。
(a)甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料を、固定担体としての合成吸着剤を充填したカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの溶媒で溶出することにより得られる画分(以下「抽出物a」という)。
(b)イオン交換樹脂を充填したカラムを備える液体クロマトグラフ(好ましくは、擬似移動床方式クロマトグラフ)の当該カラムに、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料を通液して、前記イオン交換樹脂に対する親和力の差に基づき前記原料を分離した画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分(以下「抽出物b」という)。
(c)バガスを、水及び親水性溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出溶媒で抽出して選ばれる抽出物(以下「抽出物c」という)。
抽出物a〜cは甘蔗由来の抽出物として、疲労の蓄積に先立ち、疲労の蓄積過程において又は疲労の蓄積前後に投与し、それによって抗疲労効果を奏することが可能である。
本発明によれば、ヒトまたは動物への疲労の蓄積過程において又は疲労蓄積の前後に甘蔗由来の抽出物を投与することにより、抗疲労効果を奏する抗疲労剤を提供することが可能になる。
本発明の抗疲労剤は植物由来であり、古来よりヒトが食してきた甘蔗または含蜜糖に含まれる成分を含み、食経験があるため安全である。従って、ヒト、ヒトが食用とする家畜もしくは家禽などの産業動物、コンパニオン・アニマル、または希少動物の健康を害することもなく、生体への安全性も高い。このように、本発明の抗疲労剤は、安全性が高い。さらに、砂糖(スクロース)の製造工程における副産物を利用するため低コストである。
本発明の抗疲労剤は、原糖製造工場および精製糖製造工場における、通常の原糖製造ラインおよび精製糖製造ラインにおいて、簡単な装置にて容易に得ることができるので、安価に製造できる。したがって、従来のような天然物から抗疲労剤成分を抽出する場合に要した繁雑な原料の収集、抽出操作、および抽出後の廃液処理にかかる設備が不要であり、設備投資が非常に少なくてすむ。また、糖蜜中の不純物を除くということは、製糖上、砂糖の回収量が上がり、産業上有用である。さらには、甘蔗汁から砂糖の製造の際に出る廃棄物(廃蜜)を減らし、しかも廃棄物を再利用するという観点からも、有用である。
本発明の抗疲労剤は、甘蔗由来の物質であるので、食用に適し、安全性が高い。また、加工特性、物性が良好であり、取扱いが容易である。さらに、保存性も良好である。
製造例1における吸着クロマトグラフィーの溶出パターンである。 製造例4におけるイオン交換樹脂を充填したカラムを用いた単塔式回分分離法による2番蜜分画サンプルの分析値を示す図である。 ラットの遊泳時間に対する甘蔗由来の抽出物の効果を示す図である。
(抗疲労剤)
本発明において「抗疲労」とは、疲労の蓄積を低減若しくは抑制すること及び/又は疲労の回復を促進することをいう。本発明において「抗疲労剤」とは、上記抗疲労効果を奏する剤をいう。
本発明において「甘蔗由来の抽出物」とは、甘蔗(さとうきび)を原料として得られる抽出物をいう。甘蔗由来の抽出物は、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料をカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分、或いはバガスを、水及び親水性溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出溶媒で抽出して得られる抽出物であることが好ましく、上記抽出物a〜cのいずれかが特に好ましい。
「甘蔗汁」とは、甘蔗を圧搾して得られる圧搾汁、甘蔗を水で浸出して得られる浸出汁、又は原糖製造工場における石灰処理した清浄汁もしくは濃縮汁をいう。
「甘蔗の溶媒抽出液」とは、甘蔗を汎用の有機溶媒で抽出した抽出液を濃縮、乾固後、水に再溶解した抽出液を意味する。直上の有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類が挙げられ、これらを単独又は組み合わせて使用する。さらに、これらの溶媒と水を組み合わせて使用することもできる。
「甘蔗由来の糖蜜」とは、結晶化工程で得られた砂糖結晶と母液の混合物を遠心分離にかけ、砂糖結晶と分離して得られる振蜜を意味する。例えば、原料製造工場における1番蜜、2番蜜、若しくは製糖廃蜜、又は、精製糖製造工程における洗糖蜜、1〜7番蜜、若しくは精糖廃蜜等が挙げられる。さらに、これらの糖蜜を原料としてアルコール発酵を行った分離液のように、糖蜜を脱糖処理したものも甘蔗由来の糖蜜に含まれる。
「バガス」とは、典型的には原糖製造工程における製糖過程で排出されるバガスをいう。原糖工場における製糖過程で排出されるバガスには、最終圧搾機を出た最終バガスだけではなく、第1圧搾機を含む以降の圧搾機に食い込まれた細裂甘蔗をも含む。好適なバガスは、原糖工場において圧搾工程により糖汁を圧搾した後に排出されるバガスである。当該バガスは、甘蔗の種類、収穫時期等により、その含まれる水分、糖分及びそれらの組成比が異なるが、本発明においては、これらのバガスを任意に用い得る。さらに、本発明では、原料のバガスとして、原糖工場と同様に、例えば黒糖製造工場において排出される甘蔗圧搾後に残るバガス、又は実験室レベルの小規模な実施により甘蔗から糖液を圧搾した後のバガスも用い得る。
以下、抽出物a〜cについてそれぞれ詳述する。
抽出物aは、上述の通り、合成吸着剤を充填したカラムを備える液体クロマトグラフの当該カラムに、甘蔗汁、甘蔗溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料を通液し、該合成吸着剤に吸着した吸着成分を水、メタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1つの溶媒で抽出させて得られる画分である。
上記原料は、そのまま又は水で任意の濃度に調整して、合成吸着剤を充填したカラムに通液することができる。なお異物除去のために、カラムで処理する前に、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液または甘蔗由来の糖蜜をろ過することが望ましい。ろ過の手法は特に限定されず、食品工業で広く使用されているスクリーンろ過、ケイソウ土ろ過、精密ろ過、限外ろ過等の手段を好ましく使用できる。
合成吸着剤としては、合成多孔質吸着剤が好ましい。好適な合成多孔質吸着剤は、有機系樹脂からなるものである。有機系樹脂としては、例えば、芳香族系樹脂、アクリル酸メタクリル樹脂、アクリロニトリル脂肪族系樹脂等が使用できる。有機系樹脂の中では、芳香族系樹脂が好ましい。
芳香族系樹脂の合成多孔質吸着剤として、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン系樹脂からなる合成多孔質吸着剤が挙げられる。また、芳香族系樹脂としては、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、無置換基型の芳香族系樹脂、無置換基型に特殊処理をした芳香族系樹脂等の多孔質性樹脂が挙げられるが、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂が好ましい。
合成多孔質吸着剤で市販のものとしては、ダイヤイオン(商標)HP−10、HP−20、HP−21、HP−30、HP−40、HP−50(以上、無置換基型の芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);SP−825、SP−800、SP−850、SP−875、SP−70、SP−700(以上、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社);SP−900(芳香族系樹脂、商品名、三菱化学株式会社製);アンバーライト(商標)XAD−2、XAD−4、XAD−16、XAD−2000(以上、芳香族系樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);ダイヤイオン(商標)SP−205、SP−206、SP−207(以上、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);HP−2MG、EX−0021(以上、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);アンバーライト(商標)XAD−7、XAD−8(以上、アクリル酸エステル樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);ダイヤイオン(商標)HP1MG、HP2MG(以上、アクリル酸メタクリル樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);セファデックス(商標)LH20、LH60(以上、架橋デキストランの誘導体、いずれも商品名、ファルマシア バイオテク株式会社製)等が挙げられる。中でも、SP−207が特に好ましい。
カラムに充填する合成多孔質吸着剤の量は、カラムの大きさ、溶媒の種類、固定担体の種類などによって適宜決定できるが、上記原料の固形分に対して、0.01〜5倍湿潤体積量が好ましい。
上記原料をカラムに通すことにより、原料中の本発明の効果を有する成分は固定担体に吸着され、スクロース、グルコース、フラクトースおよび無機塩類の大部分がそのまま流出する。
合成多孔質吸着剤に吸着された成分は、溶媒(溶出溶媒)により溶出させることができる。抽出物aを効率よく溶出するには、その前に残留するスクロース、グルコース、フラクトース及び無機塩類を水洗により充分に洗い流すことが好ましい。これにより吸着した吸着成分(すなわち本願発明の有効成分)をより効率よく回収することができる。
溶出溶媒は、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる。溶出溶媒は、水とアルコールの混合溶媒、特にエタノール−水混合溶媒が好ましく、さらに室温において効率よく目的の効果を有する成分を溶出できるため、50/50〜60/40(体積/体積)エタノール−水混合溶媒が好ましい。そして、カラム温度を上げることにより、エタノール−水混合溶媒のエタノール混合比を減らすことができ、抽出物aを効率的に溶出することができる。この場合、カラム内は常圧にすることも加圧にすることもできる。
溶出速度は、カラムの大きさ、溶媒の種類、合成多孔質吸着剤の種類等によって適宜変更が可能であるが、SV=0.1〜10時間-1が好ましい。なお、SV(Space Velocity、空間速度)は、1時間当たり樹脂容量の何倍量の液体を通液するかという単位である。
本発明の甘蔗由来の抽出物は特に、次のようにして得ることができる。すなわち、原料の固形分に対して0.01〜5倍湿潤体積量の疎水性置換基を有する芳香族系樹脂を充填したカラムに、カラム温度60〜97℃にて原料を通液した後、カラムに吸着された成分を、カラム温度20〜60℃にて50/50 〜 60/40(体積/体積)エタノール‐水混合溶媒で溶出させ、エタノール‐水混合溶媒での溶出開始時点から集めた溶出液の量が前記樹脂の4倍湿潤体積量以内に溶出する画分を回収する。
かくして回収された画分(抗疲労効果を奏する)を集め、慣用の手段(減圧下での溶媒留去、凍結乾燥など)により濃縮して、本発明の甘蔗由来の抽出物を得ることができる。このようにして得られた甘蔗由来の抽出物は、固形分60%以上に濃縮した液状または粉末状で保存することができる。保存は、特に液状の場合、冷蔵が好ましい。
本発明の甘蔗由来の抽出物においては、糖類の含有量は、固形分量に対して好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。ここで、糖類とは、スクロース、グルコースおよびフルクトースをいい、糖類の含有量とは、これらの合計の含有量を意味する。糖類の含有量が多すぎると、糖類に起因する甘味により用途が限定されてしまう。シュガーフリーの機能性食品に応用する場合には、糖含量の点からも問題になる。さらに、甘蔗由来の抽出物中の抗疲労効果を奏する有効成分の割合が少なくなるために固形分量に対する抗疲労効果が低下してしまう。糖類は通常0.1 重量%以上含まれる。合成吸着剤で処理した甘蔗由来の抽出物における糖類の含有量は、高速液体クロマトグラフィーで検出することができるが、薄層クロマトグラフィーでは、その糖類の濃度によっては、検出できない場合がある。
吸着型のクロマトグラフィーにおいては、例えば上記した合成吸着剤およびその溶出溶媒、またはイオン交換樹脂を使用できる。イオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂がいずれも使用できる。市販されているそのようなイオン交換樹脂としては、例えばアンバーライト(商標)系陽イオン交換樹脂として、CG−4000、CG−5000、CG−6000、CG−8000(以上、官能基としてスルホン酸塩基を有する樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);IR−116、IR−118、IR−120B、IR−122、IR−124(以上、官能基としてスルホン酸塩基を有する樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);XT−1007、XT−1009、XT−1002(以上、官能基としてスルホン酸塩基を有する樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);弱塩基性陰イオン交換樹脂として、OPTIPORE−XUS40285.00、OPTIPORE−XUS 40390.00(以上、官能基として4級アミンを有する樹脂、いずれも商品名、ダウケミカル株式会社製)が挙げられる。イオン交換樹脂を用いる際の溶出溶媒は、水が好ましく、カラム温度は50〜120℃、カラム内は常圧または加圧された状態であるのが好ましい。また合成吸着剤、イオン交換樹脂の他に、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭、活性白土、逆相シリカゲル等の吸着剤を固体担体として使用できる。
抽出物bは、上述の通り、イオン交換樹脂を充填したカラムを備える液体クロマトグラフの当該カラムに、甘蔗汁、甘蔗溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料を通液して、前記イオン交換樹脂に対する親和力の差に基づき前記材料を分離した画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分である。
イオン交換樹脂は、イオン交換のタイプに基づいて、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とに分類される。本発明では、陽イオン交換樹脂を用いることが好ましく、強酸性陽イオン交換樹脂を用いることがより好ましい。特に好ましいのは、ナトリウムイオン型、カリウムイオン型またはカルシウムイオン型の強酸性陽イオン交換樹脂である。強酸性陽イオン交換樹脂としては、スルホン化ポリスチレン樹脂のナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩が好ましい。
イオン交換樹脂は、樹脂の形態に基づいて、ゲル型樹脂と、ポーラス型、マイクロポーラス型またはハイポーラス型等の多孔性樹脂とに分類される。本発明では、ゲル型のイオン交換樹脂を用いることが好ましい。強酸性型のナトリウムイオン型、カリウムイオン型またはカルシウムイオン型であるゲル型の陽イオン交換樹脂を用いることがより好ましい。
市販のイオン交換樹脂としては、ダイヤイオン(商標)SK1B、SK104、SK110、SK112、SK116(以上、三菱化学株式会社製)、UBK530、UBK550(以上、三菱化学株式会社製)、アンバーライト(商標)アンバーライトIR120BN、IR124、XT1006、IR118アンバーリスト31、クロマトグラフ用アンバーライトCG120、CG6000(以上、オルガノ株式会社製)、ダウエックス(商標)HCR−S、HCR−W2、HGR−W2、モノスフィアー650C、マラソンC600、50W×2、50W×4、50W×8(以上、ダウケミカル日本株式会社製)、ムロマック50WX(室町化学工業株式会社製)、ピュロライト(商標)C−100E、C−100、C−100×10、C−120E、PCR433、PCR563K、PCR822、PCR833、PCR866、PCR883、PCR892、PCR945(以上、エイエムビー・アイオネクス株式会社製)等が挙げられる。中でもUBK530、UBK550等のUBKシリーズが特に好ましい。
イオン交換樹脂の量は、カラムの大きさ、固定担体の種類などによって適宜決定できるが、原料の固形分に対して2〜10,000倍湿潤体積量が好ましく、5〜500倍湿潤体積量がより好ましい。
抽出物bを得る場合においては、原料を上記カラムに通し、次に水を溶離液として用いてカラムクロマトグラフィー処理をすることが好ましい。得られた多数の画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分を分取することにより、抽出物bを得ることができる。なお、以下この方法をイオンクロマト分離ということがある。
通液条件は、原料の組成及び固定担体の種類等によって適宜決定する。用いる液体クロマトグラフが単塔式回分分離法に基づくものである場合は、溶離液として脱気処理した水を用い、流速はSV=0.3〜1.0時間-1、サンプルの供給量は液量として樹脂の1〜20%、温度は40〜90℃が好ましい。
この分離法により得た画分のそれぞれについて、波長420nmでの吸収を測定すると共に、電気伝導度(塩分量の尺度)、又はスクロース、グルコース及びフラクトースの濃度を分析することが好ましい。各画分の前記値を時系列的にグラフに表すと、通常、波長420nmでの吸光度のピーク、電気伝導度のピーク、スクロース及び還元糖のピークがこの順に現れる。
下記に述べる製造例3の条件で抽出物bを得る場合、波長420nmでの吸光度のピーク、電気伝導度のピーク、スクロース及び還元糖のピークが、図2に示すように現れる。従って、図2の画分3〜14に相当する画分を、波長420nmの光を吸収する画分として分取することが好ましく、画分3〜8に相当する画分を分取することが有効成分濃度を高める上でさらに好ましい。また、スクロースが溶出しきった後の画分18〜30に相当する画分は、該画分をそのまま用いて測定した波長420nmでの吸光度は低いものの、これらを合わせて濃縮したサンプルは、後述する製造例4のサンプル8と同様に、その吸光度が高い。つまり、画分18〜30に相当する画分は濃度が低くても、固形分当たりの有効成分の純度が比較的高い。従って非スクロース画分全体(画分1〜9と画分18〜30とを合わせたものに相当する)は、画分3〜8に相当する画分のみより有効成分の濃度は低いが、同様に本発明でいう甘蔗由来の抽出物として使用することができる。なお、420nmの光は、スクロース、グルコース及びフルクトースなどの糖類に吸収されない。従って、これらの糖類は、本発明の抗疲労効果を奏する物質ではない。また、波長420nmの光を吸収する画分の塩分(すなわち無機塩)を、抗疲労効果を奏する物質を濃縮するために更に膜処理等に付して低減または除去してもよい。この場合、該画分の塩分は、固形分当たり33%以下になるように低減することが好ましく、更に好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下になるように低減する。なお、膜処理による場合、技術的な観点から塩分を1%未満にすることは困難であるが、ゲルろ過クロマトグラフによる場合、塩分を0.01%にまでもしくはそれ以下に低減することが可能である。
抽出物bを得るときに用いる液体クロマトグラフは、擬似移動床式連続分離法に基づく擬似移動床方式クロマトグラフであることが好ましい。擬似移動床方式クロマトグラフでは、原料供給量、溶離液通液量、各画分抜き出し流量は、原料の組成、固定担体の種類、樹脂量に合わせて適宜設定することができる。
原糖工場において2番蜜を原料として擬似移動床式連続分離法により得られる抽出物bの組成は、原料の種類及びイオン交換樹脂の分離能により変化する。しかし、その組成は、一般には、固形分当たりのスクロースが10%以下、非糖分が90%以上、見掛純糖率が10%以下である。ここで、見掛純糖率は、ブリックス(Bx.)度(ブリックス度計で測定した固形百分率)に対する糖度(糖度計で測定した純スクロース規定量に対する直接旋光度)の百分率である。
一方、単塔式回分分離法により得られる抽出物bは、2番蜜を原料として得られた画分の場合、一般に、固形分(凍結乾燥固形分)当たりのポリフェノール量が約5%(カテキン換算)、電気伝導度灰分(すなわち塩分)は約44.7%、糖度は約5%である。
抽出物cは、上述の通りバガスを水及び親水性溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出溶媒で抽出して得られる抽出物である。
抽出物cを得るために、バガスを水単独を使用して抽出してもよいが、水と親水性溶媒とを組み合わせて使用する場合、親水性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等の低級アルコール類、アセトン等のケトン類等が挙げられる。好ましくは、エタノールが使用される。水と親水性溶媒とを組み合わせて使用する場合、エタノールを60体積%以下、0.1%以上含むエタノール−水混合溶媒、すなわちエタノール/水が体積比で60/40以下、0.1/99.9以上のエタノール−水混合溶媒を用いることが好ましい。抽出溶媒は、より好ましくはエタノールを50体積%以下、1体積%以上含むエタノール−水混合溶媒である。
抽出温度は、目的とする成分を効率よく抽出するために、50〜100℃であることが好ましい。抽出時間は、バガスの原料、種類、状態等に依存するが、通常1〜3時間である。抽出方法としては、例えばバガスと抽出溶媒をともに容器に入れて抽出する方法、抽出溶媒を循環させて抽出する方法、連続式に抽出する方法、例えば、デスメット式抽出機、ルルギ式抽出機によるもの等が挙げられる。
バガスの抽出液は、一般的に糖含量が多い(10〜80%)。従って、バガスの抽出液を上記と同様のカラムクロマトグラフィー処理に更に付すこと、又はバガスの抽出液を酵母で発酵させることにより糖を部分的に又は完全に除去してもよい。このカラムクロマトグラフィー処理または酵母の発酵により得られた画分、若しくはバガスの抽出液を集め、慣用の手段(減圧下での溶媒除去、凍結乾燥など)により濃縮することによって、甘蔗由来の抽出物を得ることができる。
上述の抽出物a〜cに代表される甘蔗由来の抽出物は、天然物由来である。それ故に、甘蔗由来の抽出物の成分又は組成は、原料となる甘蔗、甘蔗の産地、気温又は抽出物の製造方法などにより若干異なる。例えば、下記の製造例3で得られる甘蔗由来の抽出物の分析値の一例は、以下の通りである。
すなわち、固形分は37.4重量%、ブリックス(Bx.)は40.6、糖含量は固形分当たり9.8%(内訳;スクロース6.8%、グルコース1.4%、フラクトース1.6%)、ポリフェノール含量は固形分当たり5.0%である。ここで、固形分は常圧加熱乾燥法により、ブリックスはブリックス計によって測定されるものである。糖含量(スクロース、グルコース及びフラクトース含量)は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により求めたものを、それぞれ各サンプルの固形分重量に対する比(%)として示した。そして、ポリフェノール含量は、カテキン水溶液を標準溶液として検量線を作成し、フェノール試薬で反応させて波長765nmの吸光度を測定するフォリン−チオカルト法により測定し、カテキン換算の値として示したものである。
甘蔗由来の抽出物は、液状でも粉末状でもよい。粉末状の甘蔗由来の抽出物としては、後述する製造例1の甘蔗由来の抽出物を挙げることができる。液状の甘蔗由来の抽出物としては、後述する製造例3の甘蔗由来の抽出物を挙げることができる。一方、粉末状の甘蔗由来の抽出物は、上記液状物を用いて、スプレードライ法、凍結乾燥法、流動層造粒法、または賦形剤を用いた粉末化法等により製造することができる。なお、甘蔗由来の抽出物は固形分20%以上に濃縮することが、腐敗防止の観点から好ましく、液状の場合は特に冷蔵保存することが好ましい。
(甘蔗由来の抽出物の抗疲労効果)
食品素材等の抗疲労効果を判定する試験として、肉体疲労に関する錘負荷試験、精神疲労に関する試験、血液サンプルについてDNAマイクロアレイ等により遺伝子の発現状況を検証する試験等が挙げられる。
下記に示す実施例では、甘蔗由来の抽出物の抗疲労剤としての有用性を明らかにするために、ラットの錘負荷試験を行った。ラットの錘負荷試験は、食品素材等を摂取することによって抗疲労効果が得られるかどうかを評価する為に一般的に用いられている試験である(「過労死と疲労」、医学のあゆみ、第204巻(第5号)、第362−364頁、2003年、を参照)。当該試験において、水泳耐久時間を指標として上記有用性を検討した。その結果、甘蔗由来の抽出物は、抗疲労効果を奏した。日常の食生活に常用される天然素材の甘蔗由来の抽出物の経口投与により抗疲労効果を奏するとの知見は安全性の高い畜産物の生産及び公衆衛生の向上に寄与する。さらには、甘蔗由来の抽出物は、通常の体力維持、疲労回復、滋養強壮、虚弱体質などに広く適用される。
甘蔗由来の抽出物の抗疲労効果は、後述の実施例に示すように、具体的には以下の実験系で評価された。
9週齢の雄性SD系ラットを水温23±1℃の1.5cm水深ケージにて5日間飼育した。この環境下では水を忌避するラットにとって十分な睡眠や休息姿勢をとることが不可能であり、精神的にも肉体的にも常に休息出来ない状態となる。疲労度を評価するために体重の7%の錘を負荷させた状態で遊泳させ、10秒以上鼻が水没するまでの時間を測定した。
その結果、通常の床敷で飼育した正常対照群の平均遊泳時間は157秒であった。一方、5日間水浸飼育した水浸対照群の平均遊泳時間は52秒を示し、正常対照群と比較して有意な遊泳時間の短縮が認められ、水浸負荷によりラットが疲労することが確認された(p<0.01)。甘蔗由来の抽出物の投与により、平均遊泳時間は87秒となり、これは水浸対照群の1.7倍であり、有意に延長された(p<0.05)。
従って、甘蔗由来の抽出物は抗疲労効果を有する。
(抗疲労剤の形態)
本発明の抗疲労剤は、上述した甘蔗由来の抽出物を有効成分として含む。本発明の抗疲労剤はまた、例えば食品素材、飼料添加物素材として提供されうる。抗疲労剤の全重量を基準とした甘蔗由来の抽出物の重量の比率は、0.5〜100重量%であることが好ましく、10〜100重量%であることがより好ましい。
本発明の抗疲労剤は、甘蔗由来の抽出物以外に賦形剤などを含んでもよい。賦形剤として、動物用の場合、コーンスターチ、及び小麦デンプン等の各種デンプン、デキストリン、各種グルテン、小麦粉、ふすま、各種米糠、大豆かす、及び黄粉などの大豆類、グルコース又は乳糖などの糖類、植物・動物油等の油脂類、魚粉類、酵母類、ケイ素化合物類、各種リン酸塩、ケイソウ土又はベントナイトなどの鉱物類、飼料及び飼料添加物の製剤を製造する上で使用できる賦形剤が挙げられる。また、ヒト用の場合、乳糖、デンプン及びマルトース等の糖類、その他ヒト用の製剤を製造する上で使用できる賦形剤が挙げられる。これらのうち、コーンスターチ、デキストリン及び脱脂米糠は、製剤用担体として用いることができ、これらと甘蔗由来の抽出物を混合することで、抗疲労剤を、例えば、粉末状、顆粒状、または錠剤状の固形製剤とすることができる。
(抗疲労剤の機能及び抗疲労効果を奏する方法)
本発明の抗疲労剤は、ヒトまたは動物に投与(例えば、経口投与)することにより、抗疲労効果を奏する。また、疲労蓄積の前、疲労蓄積の過程において、あるいは疲労蓄積の後に本発明の抗疲労剤を投与することにより、抗疲労効果を奏することができる。
抗疲労剤の投与量は、甘蔗由来の抽出物の精製度、形態、対象とする動物の種類、健康状態、成長の度合い等により適宜決定し得る。特に投与の形態、例えば集中投与又は長期投与のいずれかであるかは、投与量を決定する上で重要な要因である。例えば、抗疲労剤として、集中投与では、下記の製造例1に記載の甘蔗由来の抽出物を、単糖類および少糖類を除く固形分として体重1kg当たり1日に50〜3,000mg摂取させることが好ましく、特に好ましくは、100〜2,000mgを1〜20日間摂取させる。また、同製造例1に記載の甘蔗由来の抽出物を日常的に長期投与する場合、単糖類および少糖類を除く固形分として体重1kg当たり1日に1〜100mg摂取させることが好ましく、特に好ましくは、1〜50mgを数週間から数ヶ月間摂取させる。
(抗疲労剤を含む食品及び飼料)
本発明は、上述した抗疲労剤を含む食品ならびに飼料をまた提供する。食品または飼料の形状は、固形または液体のいずれであってもよい。
「食品」としては、菓子類、清涼飲料、機能性調味料、健康食品等が挙げられる。
「飼料」としては、ドッグフード、キャットフード等のコンパニオン・アニマル用飼料、家畜用飼料、養殖魚介類用飼料等が挙げられる。「飼料」には、動物が栄養目的で経口的に摂取するもの全てが含まれる。具体的には、養分含量の面から分類すると、粗飼料、濃厚飼料、無機物飼料、特殊飼料の全てを包含し、また公的規格の面から分類すると、配合飼料、混合飼料、単体飼料の全てを包含する。また、給餌方法の面から分類すると、直接給餌する飼料、他の飼料と混合して給餌する飼料、または飲料水に添加し栄養分を補給するための飼料の全てを包含する。
食品または飼料に含まれる抗疲労剤の重量は、食品又は飼料の種類及び摂取方法に依存する。しかし、抗疲労効果を有効に発揮させる観点から、本発明の食品又は飼料は、単糖類および少糖類を除く固形分として0.001重量%以上となるような量の甘蔗由来の抽出物を含むことが好ましい。または、集中的に摂取する場合、本発明の食品又は飼料は、単糖類および少糖類を除く固形分として食品又は飼料の1日摂取量にして好ましくは50〜3,000mg/kg(体重)、より好ましくは100〜2,000mg/kg(体重)の甘蔗由来の抽出物を含む。日常的に長期摂取する場合、本発明の食品又は飼料は、単糖類および少糖類を除く固形分として食品又は飼料の1日摂取量にして好ましくは1〜50mg/kg(体重)の甘蔗由来の抽出物を含む。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に解説する。
[実施例]
以下の実施例で使用する甘蔗由来の抽出物は、特に記載がない場合、下記の製造例1により調製された抽出物である。また、甘蔗由来の抽出物は、図または表中において、SCE(Sugar Cane Extractの略)と表現することがある。甘蔗由来の抽出物の投与量に関する記載、例えば「500 mg/kg/日」または「500 mg/kg体重/日」は、1日に体重1 kg当り500mgを投与したことを意味する。
下記において、糖類とは、スクロース、グルコースおよびフルクトースを指し、これらの検出は、薄層クロマトグラフィーにより標準物質(スクロース、グルコースおよびフルクトース)と比較することによって行った。なお、薄層クロマトグラフィーの条件は、プレートTLC plates silica gel 60 F254 precoated (MERCK 製)、層開溶媒 クロロホルム:メタノール:水=65:37:9(体積比)、発色剤 1%バニリン・50%硫酸水溶液であった。
糖類の定量は、高速液体クロマトグラフィーによる内部標準法により標準物質(スクロース、グルコースおよびフルクトース)と比較することによって行い、スクロース、グルコースおよびフルクトースの合計を定量した。なお、高速液体クロマトグラフィーの条件は、カラムERC−NH−1171(エルマ(株)製)、流速1.0 ml/分、温度20℃、溶媒アセトニトリル:水=80:20(体積比)、検出器RI−8010(東ソー(株)製)、内部標準物質グリセリン(和光純薬(株))、クロマトレコーダー SC−8020(東ソー(株))であった。
色価の測定方法は、次のようにして行った。測定すべき試料粉末0.1gを、約90mlの蒸留水に溶解し、水酸化ナトリウム又は塩酸を用いてpH7.0に調製後、100mlにメスアップした。次に、この溶液を、Dismic-25CSO45AN cellulose acetate 0.45μm(アドバンテック東洋(株)製)を用いて濾過後、分光光度計UV―160(島津製作所(株))で560nmにおける吸光度を測定した。
なお、色価は、次の式によって求めた。
[数1]
色価=(1000×(−ABS560))/(b×c)
ここで、
b:セルの長さ(cm)
c:サンプル1ml当たりの固形物量(g)
ABS560:560nmにて測定した吸光度のlog値
である。
[製造例1]
原糖製造工場の製糖工程にて得られた石灰清浄後の清浄汁(沖縄産、固形分14%)7,500リットルを、カートリッジフィルター(アドバンテック株式会社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−10−CSD型)で濾過処理した。合成吸着剤(三菱化学株式会社製、SP−207)500リットルを樹脂塔(内径800mm、高さ2,000mm)に充填し、これに前記の清浄汁濾過処理物を、流速2,500リットル/時間(SV=5.0(時間−1))速度で通液した。溶出パターンを図1に示す。図1の(ア)が通液開始点である。なお、清浄汁通過中は、ウォータージャケットには、80℃の水を常に循環させた。
次に、1,200リットルの水道水を、流速2,500リットル/時間(SV=5.0(時間−1))で樹脂塔に通液して洗浄した。図1の(イ)が通液開始点である。水道水で洗浄後、樹脂塔から溶出した画分について塔の検出を行ったところ、ハンドレフブリックス(Bx)計(株式会社アタゴ製、PAL−J型)において、Bxが約0になっているのを確認した。その後、1,500リットルの水道水を、流速4,500リットル/時間(SV=9.0(時間−1))で樹脂塔の下から通液し、逆洗を行った。
次に、溶出溶媒として55%エタノール水溶液(エタノール/水=55/45(体積/体積))1,000リットルを、流速1,000リットル/時間(SV=2.0(時間−1))で樹脂塔に通液した。図1の(ウ)が通液開始点である。続けて、760リットルの水道水を流速1,000リットル/時間(SV=2.0(時間−1))で樹脂塔に通液し、合成吸着剤に吸着した成分を溶出された。なお、55%エタノール水溶液及び水道水は、プレート式熱交換器(株式会社日立製作所、RX−025A−KNHJR−36型)にて50℃に加温して、樹脂塔に通液した。
樹脂塔から溶出した画分のうち後半の1,460リットル(図1においてaの部分)を、遠心式薄膜真空蒸発装置(株式会社大川原製作所、エバポールCEP−5S)にて約50倍の濃度に減圧濃縮したのち、1晩凍結乾燥して、茶褐色の粉末(I)8.4kgを得た。粉末(I)の糖類を定量したところ、5.0%であった。
[製造例2]
(1)甘蔗由来抽出物の分離
原糖製造工場の製糖工程にて得られた甘蔗汁(タイ国産、固形分18.8%)600 リットルを、ジュースヒーターで80℃に加温し、管型限外濾過(ダイセル化学工業(株)製、MH−25型、有効膜面積2m2 ×3本、分画分子量10万)で濾過処理した。合成吸着剤(SP−850;商品名、三菱化学(株)製)15リットルを、ウォータージャケット付きのカラム(カラムサイズ:内径17.0cm、高さ100 cm)に充填し、これに前記の甘蔗汁濾過処理物を、流速30リットル/時間(SV=2(時間-1))の速度で通液した。なお甘蔗汁通過中は、ウォータージャケットには、80℃の水を常に循環させた。次に、45リットルの蒸留水を、流速30リットル/時間でカラムに通液して洗浄した。次いで、55%エタノール水溶液(エタノール/水=55/45 (体積/体積))45リットルを、流速30リットル/時間(SV=2(時間-1))にてカラムに通液して、合成吸着剤に吸着した成分を溶出させた。なお溶出溶媒通過中は、ウォータージャケットには、25℃の水を常に循環させた。カラムから溶出した画分を、濃縮機にて約20倍濃度に減圧濃縮した後、1晩凍結乾燥して、茶褐色の粉末(II) 655 gを得た。粉末(II) の糖類を定量したところ、3.7 %であった。
[製造例3]
原糖工場において、陽イオン交換樹脂を充填した分離塔を用いた擬似移動床式連続分離法を使用し、イオン交換カラムクロマト分離を行った。原料として、結晶缶にて2回スクロース結晶を回収し、遠心分離により結晶を除いた振蜜である2番蜜(ブリックス(Bx.)は約85である)を使用した。
2番蜜をブリックス約50に希釈した。この希釈した2番蜜に、消石灰および炭酸ソーダを添加して不純物を凝集させ、引き続きケイソウ土ろ過を行った。得られたろ液の分析値は、ブリックス47.3、糖度(Pol.)23.6、純糖率(Purity)49.9、還元糖分2.5%であった。このろ液を原料として使用し、擬似移動床式連続分離法によるイオン交換クロマトグラフィーを行った。
なお、原料の調製からイオン交換カラムクロマト分離までの工程は連続的に行われるため、各工程の液の固形分濃度及び組成は時間とともに若干変動する。従って、以下の濃度及び組成は定常運転における測定値を示した。
陽イオン交換樹脂としてUBK530(三菱化学株式会社)を用いた。該樹脂を充填した分離塔は8分割されており、1塔当たりの樹脂量は6.5m3である。原料液と溶離液(水)の供給、およびスクロース画分と非スクロース画分の抜き出し位置を一定時間毎に切り替えることにより、連続的に供給、抜き出しを行った。定常時の規定値は、供給流量3m3/時間、溶離水流量13.5m3/時間、非スクロース画分抜き出し流量12.13m3/時間、スクロース画分抜き出し流量4.37m3/時間、切り替え時間267秒であった。このクロマトグラフィー処理により、スクロース画分と非スクロース画分が分離された。これらはそれぞれ、後述する単塔式回分分離法(製造例4)における図2の画分10〜17、および画分1〜9と画分18〜30とを合わせたものに相当する。
スクロース画分は、スクロースが固形分当たり約87%(HPLC分析による)であり、またブリックスは約35である。この画分は清浄汁に混合して製糖本工程に戻され、再びスクロースが回収される。
得られた非スクロース画分の分析値は、スクロースが固形分当たり約0.3%(HPLC分析による)、ブリックスは約8であった。該非スクロース画分を濃縮缶により濃縮し、ブリックス40.0、糖度(Pol.)2.3、純糖率(Purity)5.8、還元糖分5.4%とした。この非スクロース画分を、後の試験に用いるため、1晩凍結乾燥処理に付した(以下、「製造例3の甘蔗由来の抽出物」という場合がある)。
得られた凍結乾燥粉末0.25gは、0.5mMリン酸バッファ(pH7.5)を用いて100mlになるように希釈し、波長420nmでの吸光度を測定した。その吸光度は、1.11であった。
[製造例4]
原糖工場で得られた2番蜜処理液を原料として、単塔式回分分離法によるイオン交換カラムクロマトグラフィー処理を行った。原料は、2番蜜処理液を使用した。
当該2番蜜処理液は、2番蜜を希釈後、引き続き炭酸ソーダによる清浄処理、ケイソウ土ろ過を行ったものである。この原料の分析値は、ブリックス47.4、糖度(Pol.)23.2、純糖率(Purity)48.9、還元糖分3.2%であった。
単塔式回分分離法として、FPLCシステム(ファルマシア株式会社製)を用い、分画分離を行った。
ゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂UKB530、ナトリウムイオン型(商標、三菱化学株式会社)500mlをカラムに充填した。カラムは内径26mm、高さ1,000mmで、フローアダプター付きである。通液は、溶離液として脱気した蒸留水を用い、流速SV=0.5時間-1(4.17ml/分)、温度60℃で行った。
約25mlの原料をカラムに供与した。分画条件は、原料供与30分後から溶出液の回収を開始し、試験管1本当たり3.6分間(約15ml/本)回収し、全部で30本回収した。
得られた30画分についての波長420nmの吸光度、電気伝導度、および糖濃度を測定した。その結果を図2に示す。吸光度測定のために、0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)2mlに各画分0.1mlを加えて試料とした。電気伝導度測定のために、各画分を蒸留水で0.5%に希釈して試料とした。糖濃度は、HPLCにより測定された。
各ピークの分析を行うため、波長420nmの吸光ピーク部分を4つに、またスクロースのピーク部分を3つに、スクロースのピーク以降を1つにまとめた。すなわち、画分3および4を合わせてサンプル1に、画分5および6を合わせてサンプル2に、画分7および8を合わせてサンプル3に、画分9および10を合わせてサンプル4に、画分11および12を合わせてサンプル5に、画分13および14を合わせてサンプル6に、画分15および16を合わせてサンプル7に、画分17〜30を合わせてサンプル8とした(図2参照)。画分1および2では溶出される成分が殆どないため、廃棄した。サンプル1〜8を1晩凍結乾燥して、粉末とした。
吸光度は、得られた凍結乾燥粉末0.25gを0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)に溶解して100mlとし、波長420nmで測定した。また、凍結乾燥固形分の分配率、電気伝導度灰分(塩分)、スクロース(Suc)、グルコース(Glu)およびフラクトース(Fru)含量、ポリフェノール量を測定した。
伝導度灰分は、電気伝導度と既知の硫酸灰分との関係の検量線から、係数を求め算出した。また、スクロース、グルコースおよびフラクトース含量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により求めたものを、それぞれ各サンプルの固形分重量に対する比(%)として示した。ポリフェノール含量は、カテキン水溶液を標準溶液として検量線を引き、フェノール試薬で反応させて波長765nmの吸光度を測定するフォリン−チオカルト法により測定し、カテキン換算の値として示した。凍結乾燥固形分の分配比率は、全サンプルの固形分重量の合計に対する各サンプルの固形分重量の比(%)である。
各サンプルの分析結果を表1に示す。
Figure 2011032240
サンプル8の吸光度は0.86であり、比較的高い値を示した。しかし、サンプル8は固形分の回収率が低いため、この画分だけを本発明の効果を有する画分として回収することは効率が悪い。
糖分含量から、サンプル1〜3および8が非スクロース分画分に相当し、サンプル4〜7がスクロース分画分に相当することがわかる。
[製造例5]
タイ原糖工場より排出された生バガス(生バガスとは、最終圧搾機を出たバガスをいう)42kg(水分量52%)を、サランネットに入れ、600リットルの温水(80℃)で、1時間撹拌しながらバッチ抽出した。得られた抽出液570リットルを、カートリッジフィルター(アドバンテック東洋(株)製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−100−CSD型)で濾過処理後、濃縮機にて固形分濃度約10%まで減圧濃縮し、一晩凍結乾燥をして、生バガス由来の黄茶色の粉末抽出物(I)1.18kgを得た。生バガスに対する粉末抽出物の回収率は、2.80%であった。
また、色価を求めると、39,120であった。
[製造例6]
タイ原糖工場より排出された生バガスを天日干ししたものを、目開き5mmの篩にかけ、篩下を得た。この得られた乾燥バガス20kg(水分量8%)を、200リットルのカラムにつめ、600リットルの温水(80℃)をポンプでカラムに1時間循環させた。得られた抽出液545リットルを、カートリッジフィルター(アドバンテック東洋(株)製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−100−CSD型)で濾過処理後、濃縮機にて固形分濃度約10%まで減圧濃縮し、一晩凍結乾燥をして、乾燥バガス由来の黄茶色の粉末抽出物(II)0.537kgを得た。乾燥バガスに対する粉末抽出物の回収率は、2.69%であった。
また、色価を求めると、45,180であった。
[製造例7]
沖縄原糖工場より排出された生バガス45kg(水分量49%)を、サランネットに入れ、800リットルの温水(80℃)で、1時間撹拌しながらバッチ抽出した。得られた抽出液720リットルを、カートリッジフィルター(アドバンテック東洋(株)製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−100−CSD型)で濾過処理し、濃縮機にて固形分濃度約10%まで減圧濃縮した後、一晩凍結乾燥をして、生バガス由来の黄茶色の粉末抽出物(III)1.22kgを得た。生バガスに対する粉末抽出物の固形分回収率は、2.72%であった。
また、色価を求めると、44,380であった。
甘蔗由来の抽出物の経口投与が錘負荷試験における水泳耐久時間に及ぼす影響
1.試験材料
甘蔗由来の抽出物として、上記製造例1の粉末(I)(三井製糖株式会社製造(ロット番号:SCE1−07MCJ Lot9−1(070227))を使用した。当該甘蔗由来の抽出物は、上記試験に供するまで、冷凍条件下(設定温度−25℃(許容範囲:−30〜−20℃))で粉末の状態で保管された。当該甘蔗由来の抽出物を溶解する媒体として注射用水(ロット番号:7K89N、株式会社大塚製薬工場)を用意した。当該注射用水は、室温条件下(設定温度23℃(許容範囲18〜28℃))で保管された。試験にあたって、甘蔗由来の抽出物の必要量を秤量し、注射用水で溶解した後、所定濃度となるように希釈した(以下、被験試料)。
2.試験動物
試験動物として、雄性Slc:SDラット(SPF、日本エスエルシー株式会社)を使用した。当該ラットとして、7週齢のものを69匹入手した。当該ラットは、抗疲労試験に用いられている動物種であり、その系統維持が明らかなものである。入手後1日のラットの体重範囲は202〜239gであった。入手したラットについて11日の予備飼育期間を設けた。当該期間中に、体重測定を3回行い、そして一般状態観察を毎日行った。当該測定及び観察の結果、異常の見られなかったラットを試験に用いた。検体(被験試料又は媒体をいう)投与開始時の体重範囲は274〜306gであった。
3.飼育条件
ラットは、設定温度23℃(実測値:21〜25℃)、設定湿度55%(実測値:39〜53%)、明暗各12時間(照明:午前7時〜午後7時)、換気回数12回/時(フィルターを通した新鮮空気)に維持された動物飼育室で飼育された。
予備飼育期間中から群分け日までは、オートクレーブ処理した床敷を入れたプラスチック製ケージ(W:445×D:276×H:204mm)を用いて個別飼育した。群分け後は、後述のごとく、上記と同様のプラスチック製ケージの底から1.5cmの高さまで水道水を入れて個別飼育した。ケージ(給餌器)、給水瓶および受け皿の交換は1週間に2回以上行った。動物飼育室の清掃及び消毒は毎日行った。
飼料は、製造後5ヶ月以内の固型飼料(CRF−1、ロット番号:080805、オリエンタル酵母工業株式会社)を、飲料水は、水道水をそれぞれ自由に摂取させた。
4.群分け方法及び固体識別方法
群分けは、コンピューターを用いて無作為抽出法により各群の平均体重がほぼ均一になるように検体投与開始日に行った。ラットは、入手日に油性インクペンによる記入法ならびに色素塗布法を用いて識別した。群分け後も同様に油性インクペンによる尾への動物番号の記入により識別した。予備飼育期間中の各ケージには、試験番号、入手年月日および予備飼育動物番号を記入したラベルを取り付けた。群分け後の各ケージには、試験番号、検体名、投与量および動物番号を記入し、群毎に色分けしたラベルを取り付けた。
5.投与経路及び投与方法
投与経路は、被験物質の経口投与による有効性を確認するために、経口投与とした。投与方法は、試験施設で通常用いられている方法に従って、ディスポーザブルラット用経口ゾンデ(有限会社フチガミ器械)を取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒(テルモ株式会社)を用いて経口投与した。投与液量は、毎日午前9時から11時の間に測定した体重を基準とし、5mL/kgで算出した。投与検体は毎日午前9時39分から10時32分の間に1日1回、5日間、反復して各ラットに経口投与された。
6.群構成および製造例1の甘蔗由来抽出物の投与量
群構成は下記に示す3群とした。ラット数は、1群当たり18匹とした。
Figure 2011032240
被験試料中の甘蔗由来抽出物の投与量は、有効性が期待される投与量として、ラット1個体あたり500mg/kg体重と設定した。当該設定された量の甘蔗由来抽出物を、投与液量がラット1個体当たり5mL/kg体重となるように、注射用水に溶解した。当該溶解物を被験試料として用いた。さらに対照として正常対照群および水浸対照群を設け、同群にはラット1個体当たり5mL/kg体重となるように、注射用水を投与した。
7.疲労ラットの作製
疲労ラットは田中らの方法(「過労死と疲労」、医学のあゆみ、第204巻(第5号)、第362−364頁、2003年)に従って作成した。
プラスチック製ケージの底から1.5cmの高さまで水道水(水温:23±1℃)を入れた(以下、水浸用ケージという)。各群への第1回の検体投与を行った後、すみやかに水浸用ケージにラットを移した。このケージで、下記表3に示すようにラットを5日間飼育することにより疲労ラットを作製した。すなわち、検体の投与は、1日1回行われ、5日間の飼育期間で合計で5回行われた。なお、ケージ内の水の交換は毎日午前9時から11時までの間に行った。動物への苦痛軽減対策として、毎日体重を測定し、体重が水浸負荷前の値より20%減少した場合は、その動物は試験系から除外し、直ちに安楽死させることになっていた。しかしながら、本試験では該当する動物はなかった。正常対照群ラットは、通常の飼育ケージで飼育した。
Figure 2011032240
8.強制水泳試験
強制水泳試験は、通常飼育および水浸飼育したラットについて第1回投与開始後6日目に実施した。ラットの体重を測定し、体重の7%の錘を尾根部にガムテープで取り付けた後、水道水の入った円形の水槽(直径:18cm、高さ70cm、水深40cm、水温23±1℃)の中に入れ、遊泳開始からラットの鼻部が水面から10秒間沈むまでの時間(水泳耐久時間)を計測した。強制水泳試験終了後、ラットを休息させ、再び水浸用ケージに戻した。なお、休息時間を別途記録した。
9.統計学的方法
得られたデータは各群内で平均値±標準誤差を算出した。
有意差検定は、正常対照群と水浸対照群、及び水浸対照群と被験試料投与群との間で行った。統計手法は、2群間の場合は、分散比のF検定後、等分散の場合はStudentのt検定、不等分散の場合はAspin−Welch検定を用いた。なお、有意差検定は市販の統計プログラムSAS SYSTEM(SAS Software Rel.8.2 TSO20.SAS 前臨床パッケージVersion5.0;SAS Institute Inc., SAS統計処理システム:株式会社住商情報システム)を使用し、危険率5%未満を有意とし、5%未満(p<0.05)および1%未満(p<0.01)に分けて表示した。
10.結果
各群の強制水泳試験の結果を図3よび表4に示す。
正常対照群の平均遊泳時間は157秒であった。一方、水浸対照群の平均遊泳時間は52秒を示した。水浸対照群は、正常対照群と比較して有意な遊泳時間の短縮が認められた(p<0.01)。被験試料投与群は、水浸対照群と比較して、水浸対照群の1.7倍に平均遊泳時間は有意に延長した(p<0.05)。従って、甘蔗由来の抽出物により抗疲労効果を奏することが認められた。
Figure 2011032240

Claims (17)

  1. 甘蔗由来の抽出物を有効成分とする抗疲労剤。
  2. 前記甘蔗由来の抽出物が、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料を、カラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分である、請求項1に記載の抗疲労剤。
  3. 前記甘蔗由来の抽出物が、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料を、固定担体としての合成吸着剤を充填したカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの溶媒で溶出することにより得られる画分である、請求項1又は2に記載の抗疲労剤。
  4. 前記合成吸着剤が、芳香族系樹脂、アクリル酸系メタクリル樹脂、又はアクリロニトリル脂肪族系樹脂である、請求項3に記載の抗疲労剤。
  5. 前記甘蔗汁が、甘蔗を圧搾して得られる圧搾汁、甘蔗を浸出して得られる浸出汁、原糖製造工場における石灰処理した清浄汁及び濃縮汁からなる群より選ばれるものである、請求項2〜4のいずれか1項に記載の抗疲労剤。
  6. 前記甘蔗由来の糖蜜が、原料製造工場における1番蜜、2番蜜及び製糖廃蜜、並びに、精製糖製造工場における洗糖蜜、1〜7番蜜及び精糖廃蜜からなる群より選ばれるものである、請求項2〜4のいずれか1項に記載の抗疲労剤。
  7. 前記甘蔗由来の抽出物が、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料をカラムクロマトグラフィーで処理して得られる抽出物であって、前記原料を、固定担体として合成吸着剤である疎水性置換基を有する芳香族系樹脂を充填されたカラムに通液し、前記芳香族系樹脂に吸着された成分を、カラム温度20〜60℃にて50/50 〜 60/40(体積/体積)エタノール‐水混合溶媒で溶出することによって得られる画分である、請求項1に記載の抗疲労剤。
  8. 前記カラムクロマトグラフィーでの処理において、
    前記通液について、原料の固形分に対して0.01〜5倍湿潤体積量の前記芳香族系樹脂を充填したカラムに、カラム温度60〜97℃にて原料を通液し、
    前記溶出について、該エタノール‐水混合溶媒での溶出開始時点から集めた溶出液の量が前記樹脂の4倍湿潤体積量以内に溶出する画分である、請求項7に記載の抗疲労剤。
  9. 前記甘蔗由来の抽出物が、イオン交換樹脂を充填したカラムを備える液体クロマトグラフの当該カラムに、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料を通液して、前記イオン交換樹脂に対する親和力の差に基づき前記原料を分離した画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分である、請求項1又は2に記載の抗疲労剤。
  10. 前記イオン交換樹脂が、陽イオン交換樹脂である、請求項9記載の抗疲労剤。
  11. 前記陽イオン交換樹脂が、強酸性陽イオン交換樹脂である、請求項10記載の抗疲労剤。
  12. 前記強酸性陽イオン交換樹脂が、スルホン化ポリスチレン樹脂のナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩である、請求項11記載の抗疲労剤。
  13. 前記イオン交換樹脂が、ゲル型のイオン交換樹脂である、請求項9記載の抗疲労剤。
  14. 前記液体クロマトグラフが、擬似移動床方式クロマトグラフである、請求項9〜13のいずれか一項に記載の抗疲労剤。
  15. 波長420nmの光を吸収する前記画分中の無機塩が、固形分当たり33%以下である、請求項9〜14のいずれか一項に記載の抗疲労剤。
  16. 前記甘蔗由来の抽出物が、バガスを、水及び親水性溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出溶媒で抽出して得られる抽出物である、請求項1に記載の抗疲労剤。
  17. 前記抽出溶媒が、エタノールを60体積%以下、0.1体積%以上含むエタノール−水混合溶媒である、請求項16に記載の抗疲労剤。
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