JP2004075612A - 免疫機能増強剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】甘蔗由来のエキスを有効成分とする、免疫抑制状態における生体の免疫機能増強剤。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、免疫抑制状態における生体の免疫機能増強剤、免疫機能増強剤を含む食品及び飼料、免疫機能増強剤を用いる生体の免疫機能増強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒトやその他動物に生じたガンの治療のため、種々の抗ガン剤が使用されている。代表的な抗ガン剤としては、代謝拮抗剤、アルキル化剤、抗腫瘍性抗生物質、植物由来の抗ガン剤等が挙げられ、これらは以下の作用機序によりガン細胞に作用すると考えられている。すなわち、代謝拮抗剤は核酸代謝を阻害し、主に増殖細胞の細胞周期の特定時期に作用する。一方、アルキル化剤は、細胞周期特異性はないものの遺伝子損傷を生じ、主に増殖期にある細胞に作用する。そして、抗腫瘍性抗生物質は、主にDNAあるいはRNAの合成を阻害する。
【0003】
上記のような抗ガン剤は、ガン細胞のみならず増殖が活発な正常細胞にも作用するため、骨髄、消化管粘膜、毛嚢、性細胞などに障害を与える。したがって、貧血、血小板減少症、白血球減少症、およびリンパ球減少症等の免疫系の異常が、副作用として現れてしまう。
【0004】
また、抗ガン剤は免疫系に影響を与えることから、免疫抑制剤としても用いられる。造血肝細胞移植療法の前治療として大量のサイクロフォスファミドやブスルファンなどのアルキル化剤である抗ガン剤が用いられる。その他にも、全身性エリテマトーデス、微小変化群ネフローゼ、および慢性糸球体腎炎のような腎臓病、およびリウマチにおいても、その治療薬としてアルキル化剤をはじめとする抗ガン剤が使用される。また、この場合アルキル化剤以外にも、シクロスポリン、ミゾリピン等の免疫抑制剤も同様に用いられる。腎臓病およびリウマチのような特定の器官または組織における免疫抑制を目的として、免疫抑制剤を用いる場合、副作用である免疫機能低下による感染症を招き、免疫機能の増強が必要となる。
【0005】
そこで、免疫機能増強作用を有する薬剤が必要とされるが、かかる薬剤としては、イミダゾ(2,1−b)ベンゾチアゾール誘導体(特開昭56−138196号公報)、1,2−ジチオール−3−チオン化合物(特開平1−319478号公報)、L−カルノシン又はその塩(特開昭61−186322号公報)、医薬的ペンタペプチド組成物(特表平7−506564号公報)、L(+)−乳酸を窒素ガス雰囲気中で段階的減圧および昇温によって脱水縮合した低分子のオリゴマー物質(特開2000−72680号公報)等が知られている。
【0006】
また、天然由来の免疫機能増強剤として、エンテロコッカス属に属する微生物の菌体又はその処理物を含有する好中球機能改善剤が知られており(特開平7−238024号公報)、卵白がマクロファージおよび好中球を活性化させることも報告されている(特開平3−251537号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記免疫機能増強剤は、それ自体を単独で使用することを基本としており、抗ガン剤と併用することにより抗ガン剤による副作用である免疫異常の改善効果を発揮させることができる薬剤、あるいは、免疫抑制剤と併用することにより免疫抑制剤による副作用である白血球減少症等の症状を改善できる薬剤は知られていなかった。すなわち、抗ガン剤や免疫抑制剤等により誘導された強制的な免疫抑制状態での免疫機能の増強効果に関しては、これまでに報告がなかった。
【0008】
また、従来報告されている免疫機能増強剤は、合成化合物が大半で、いくつか存在する天然由来のものは、効果の発現が充分でなかったり、安定性に欠ける等の問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、抗ガン剤や免疫抑制剤等の薬剤と併用して生体に投与して、上記薬剤の投与により生体に生じている免疫機能低下を改善することが可能な免疫機能増強剤を提供することにある。
【0010】
なお、本発明において「併用して投与する」とは、例えば「免疫機能低下物質の投与と併用して、免疫機能増強剤を投与する」の場合、免疫機能低下物質を投与し、この免疫機能低下物質の効果が発現する時間内に免疫機能増強剤の効果を発現させるように投与することを意味する。すなわち、免疫機能低下物質と免疫機能増強剤を両者の効果の発現が重なるように投与することを意味する。具体的には、免疫機能低下物質と免疫機能増強剤を同時に、もしくは免疫機能低下物質の投与前または後に免疫機能増強剤を投与することを意味する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、甘蔗由来のエキスを有効成分とする、免疫抑制状態における生体の免疫機能増強剤を提供する。かかる免疫機能増強剤は甘蔗由来のエキスを有効成分として含有するために、抗ガン剤や免疫抑制剤等の薬剤と併用して生体に投与して、上記薬剤の投与により生体に生じている免疫機能低下を改善することが可能となる。また、天然物由来であることから、生体への安全性にも優れる。
【0012】
上記免疫抑制状態は、(1)抗ガン剤投与、(2)免疫抑制剤投与、(3)アルキル化剤投与、又は(4)サイクロフォスファミド、イフォスファミド、チオテパ、ブスルファン若しくはアザチオプリンの投与、に基づく免疫抑制状態であることが好ましい。
【0013】
そして、上記甘蔗由来のエキスは、甘蔗汁、甘蔗溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からからなる群より選ばれる原料を液体クロマトグラフで分離することにより得られるエキスであることが好ましく、甘蔗由来のエキスは以下の(a)〜(c)のいずれかであることが特に好ましい。
(a)多孔質吸着剤を充填したカラムを備える液体クロマトグラフの当該カラムに、甘蔗汁、甘蔗溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料を通液することにより、該多孔質吸着剤に吸着した吸着成分を、水、メタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1つの溶媒で溶出させて得られるエキス(以下「エキスa」という。)。
(b)イオン交換樹脂を充填したカラムを備える液体クロマトグラフ(好ましくは、擬似移動床方式クロマトグラフ)の当該カラムに、甘蔗汁、甘蔗溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料を通液して、前記イオン交換樹脂に対する親和力の差に基づき前記原料を分離した画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分(以下「エキスb」という。)。
(c)バガスを、水及び親水性溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出溶媒で抽出して得られるエキス(以下「エキスc」という。)。
【0014】
上記(a)〜(c)は、甘蔗由来のエキスとして、抗ガン剤や免疫抑制剤等の薬剤と併用して生体に投与することができ、上記薬剤の投与により生体に生じている免疫機能低下を特に良好に改善することが可能になる。
【0015】
本発明は、また、上記免疫機能増強剤を含む食品又は飼料を提供する。かかる食品又は飼料は、免疫機能低下物質(抗ガン剤や免疫抑制剤等)の投与と併用して、生体に与える(摂取させる)ことが可能であり、これにより免疫機能増強方法が実施可能となる。
【0016】
本発明は、更に、上記免疫機能増強剤と免疫機能低下物質とを、同時に、又は、併用効果が発現する時間内で別々に生体に投与する、免疫抑制状態における生体の免疫機能増強方法を提供する。これにより、生体に生じている免疫機能低下を改善することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(免疫機能増強剤)
本発明において、「免疫抑制状態」とは、生体における、白血球が減少した状態、リンパ球が減少した状態、免疫反応の抑制状態、又は免疫系器官・組織が退縮した状態をいう。かかる状態は上記(1)〜(4)に基づく免疫抑制状態であることが好ましい。
【0018】
本発明において、「生体」とは、ヒト又はヒト以外の動物の生体を意味する。ここで、「動物」とはヒト以外の脊椎動物を意味し、ほ乳類、鳥類および魚類を含み、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ等の家畜、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ダチョウ等の家禽、ブリ、ハマチ、タイ、ヒラメ、フグ、カンパチ、ヒラマサ、アユ、ウナギ、マス、コイ等の魚類、イヌ、ネコ等のコンパニオン・アニマルが挙げられる。
【0019】
本発明において、「免疫機能増強」とは、免疫抑制状態において減少する白血球若しくはリンパ球の数を正常状態に保とうとすること、免疫抑制状態において退縮した免疫系器官・組織を正常状態に保とう(若しくは修復しよう)とすること、又は、免疫抑制状態において抑制された免疫応答を正常状態に保とうとすることをいう。そして、「免疫機能増強剤」とは免疫系に負荷がかかることによる免疫抑制状態において、上記免疫機能増強の効果を奏す剤を意味する。
【0020】
本発明において、「甘蔗由来のエキス」とは、甘蔗を原料として得られるエキスをいい、かかるエキスは、甘蔗汁、甘蔗溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からなる群より選ばれる原料を液体クロマトグラフで分離することにより得られるエキスであることが好ましく、上記エキスa〜cのいずれかが特に好ましい。
【0021】
ここで、「甘蔗汁」とは、甘蔗(さとうきび)を圧搾して得られる圧搾汁、甘蔗を水で浸出して得られる浸出汁、又は原糖製造工場における石灰処理した清浄汁若しくは濃縮汁をいう。
【0022】
「甘蔗の溶媒抽出液」とは、甘蔗を汎用の有機溶媒で抽出した抽出液を濃縮、乾固後、水に再溶解した抽出液等を意味する。直上の有機溶媒としては、例えばメタノールやエタノールなどのアルコール類が挙げられ、これらを単独又は組み合わせて使用する。なお、これらの溶媒と水を組み合わせて使用することもできる。
【0023】
「甘蔗由来の糖蜜」とは、結晶化工程で得られた砂糖結晶と母液の混合物を遠心分離にかけ、砂糖結晶と分離して得られる振蜜を意味し、例えば、原糖製造工場における1番蜜、2番蜜、製糖廃蜜、又は、精製糖製造工程における洗糖蜜、1〜7番蜜、精糖廃蜜等が挙げられる。そして、これらの糖蜜を原料としてアルコール発酵を行った分離液のように、糖蜜を脱糖処理したものも甘蔗由来の糖蜜に含まれる。
【0024】
エキスcにおいてはバガスを原料とするが、「バガス」とは、典型的には原糖製造工程における製糖過程で排出されるバガスをいう。なお原糖工場における製糖過程で排出されるバガスには、最終圧搾機を出た最終バガスだけではなく、第1圧搾機を含む以降の圧搾機に食い込まれた細裂甘蔗をも含むものとする。好適なバガスは、原糖工場において圧搾工程により糖汁を圧搾した後に排出されるバガスである。当該バガスは、甘蔗の種類、収穫時期等により、その含まれる水分、糖分およびそれらの組成比が異なるが、本発明においては、これらのバガスを任意に用い得る。また、原糖工場と同様に、例えば黒糖製造工場において排出される甘蔗圧搾後に残るバガスや、実験室レベルの小規模な実施により甘蔗から糖液を圧搾した後のバガスも本発明におけるバガスとして用いることができる。
【0025】
以下、エキスa〜cのそれぞれについて詳述する。
エキスaは、上述のとおり、多孔質吸着剤を充填したカラムを備える液体クロマトグラフの当該カラムに、甘蔗汁、甘蔗溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からからなる群より選ばれる原料を通液することにより、該多孔質吸着剤に吸着した吸着成分を、水、メタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1つの溶媒で溶出させて得られるエキスである。
【0026】
上記原料は、そのまま又は水で任意の濃度に調整して、多孔質吸着剤を充填したカラムに通液することができる。なお異物除去のために、カラムで処理する前に、上記原料をろ過することが望ましい。ろ過の手法は特に限定されず、食品工業で広く使用されているスクリーンろ過、ケイソウ土ろ過、精密ろ過、限外ろ過等の手段を好ましく使用できる。
【0027】
多孔質吸着剤としては、合成多孔質吸着剤が好ましい。好適な合成多孔質吸着剤は、有機系樹脂からなるものである。有機系樹脂としては、例えば、芳香族系樹脂、アクリル酸メタクリル樹脂、アクリロニトリル脂肪族系樹脂等が使用できる。有機系樹脂のなかでは、芳香族系樹脂が好ましい。
【0028】
芳香族系樹脂の多孔質吸着剤として、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン系樹脂からなる多孔質吸着剤が挙げられる。また、芳香族系樹脂としては、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、無置換基型の芳香族系樹脂、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂等の多孔性樹脂が挙げられるが、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂が好ましい。
【0029】
多孔質吸着剤で市販のものとしては、ダイヤイオン(商標)HP−10、HP−20、HP−21、HP−30、HP−40、HP−50(以上、無置換基型の芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);SP−825、SP−800、SP−850、SP−875、SP−70、SP−700(以上、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社);SP−900(芳香族系樹脂、商品名、三菱化学株式会社製);アンバーライト(商標)XAD−2、XAD−4、XAD−16、XAD−2000(以上、芳香族系樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);ダイヤイオン(商標)SP−205、SP−206、SP−207(以上、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);HP−2MG、EX−0021(以上、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);アンバーライト(商標)XAD−7、XAD−8(以上、アクリル酸エステル樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);ダイヤイオン(商標)HP1MG、HP2MG(以上、アクリル酸メタクリル樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);セファデックス(商標)LH20、LH60(以上、架橋デキストランの誘導体、いずれも商品名、ファルマシア バイオテク株式会社製)等が挙げられる。これらの中では、SP−850(スチレンジビニルベンゼン共重合体からなる多孔質吸着剤)が特に好ましい。
【0030】
カラムに充填する多孔質吸着剤の量は、カラムの大きさ、溶媒の種類、多孔質担体の種類などによって適宜決定できるが、上記原料の固形分に対して、0.01〜5倍湿潤体積量が好ましい。
【0031】
上記原料をカラムに通すことにより、原料中の本発明の効果を有する成分は多孔質吸着剤に吸着され、スクロース、グルコース、フラクトースおよび無機塩類の大部分がそのまま流出する。
【0032】
多孔質吸着剤に吸着された成分は、溶媒(溶出溶媒)により溶出することができる。エキスaを効率よく溶出するには、その前に残留するスクロース、グルコース、フラクトース及び無機塩類を水洗により充分に洗い流すことが好ましい。これにより多孔質吸着剤に吸着した吸着成分をより効率よく回収することができる。
【0033】
溶出溶媒は、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる。溶出溶媒は、水とアルコールの混合溶媒、特にエタノール−水混合溶媒が好ましく、室温において効率よく目的の効果を有する成分を溶出できることから、50/50〜60/40(体積/体積)エタノール−水混合溶媒が好ましい。そして、カラム温度を上げることにより、エタノール−水混合溶媒のエタノール混合比を減らすことができ、エキスaを効率的に溶出することができる。この場合、カラム内は常圧にすることも加圧状態にすることもできる。
【0034】
溶出速度は、カラムの大きさ、溶媒の種類、多孔質吸着剤の種類等によって適宜変更が可能であるが、SV=0.1〜10h−1が好ましい。なお、SV(Space Velocity、空間速度)は、1時間当たり樹脂容量の何倍量の液体を通液するかという単位である。
【0035】
エキスbは、上述のとおり、イオン交換樹脂を充填したカラムを備える液体クロマトグラフの当該カラムに、甘蔗汁、甘蔗溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からからなる群より選ばれる原料を通液して、前記イオン交換樹脂に対する親和力の差に基づき前記原料を分離した画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分である。
【0036】
イオン交換樹脂は、イオン交換のタイプに基づいて、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とに分類されるが、本発明では陽イオン交換樹脂を用いることが好ましく、強酸性陽イオン交換樹脂を用いることがより好ましい。特に好ましいのは、強酸性型のナトリウムイオン型、カリウムイオン型又はカルシウムイオン型の陽イオン交換樹脂であり、かかる陽イオン交換樹脂としては、スルホン化ポリスチレン樹脂のナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩が好ましい。
【0037】
イオン交換樹脂は、樹脂の形態に基づいて、ゲル型樹脂と、ポーラス型、マイクロポーラス型又はハイポーラス型等の多孔性樹脂とに分類されるが、本発明ではゲル型のイオン交換樹脂を用いることが好ましい。更には、強酸性型のナトリウムイオン型、カリウムイオン型又はカルシウムイオン型であるゲル型の陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。
【0038】
かかるイオン交換樹脂で市販のものとしては、ダイヤイオン(商標)SK1B、SK104、SK110、SK112、SK116(以上、三菱化学株式会社製)、UBK530、UBK550(以上、三菱化学株式会社製)、アンバーライト(商標)アンバーライトIR120BN、IR124、XT1006、IR118アンバーリスト31、クロマトグラフ用アンバーライトCG120、CG6000(以上、オルガノ株式会社製)、ダウエックス(商標)HCR−S、HCR−W2、HGR−W2、モノスフィアー650C、マラソンC600、50W×2、50W×4、50W×8(以上、ダウ・ケミカル日本株式会社製)、ムロマック50WX(室町化学工業株式会社製)、ピュロライト(商標)C−100E、C−100、C−100×10、C−120E、PCR433、PCR563K、PCR822、PCR833、PCR866、PCR883、PCR892、PCR945(以上、エイエムビー・アイオネクス株式会社製)等が挙げられる。中でもUBK530やUBK550等のUBKシリーズが特に好ましい。
【0039】
イオン交換樹脂の量は、カラムの大きさ、固定担体の種類などによって適宜決定できるが、原料の固形分に対して2〜10,000倍湿潤体積量が好ましく、5〜500倍湿潤体積量がより好ましい。
【0040】
エキスbを得る場合においては、原料を上記カラムに通し、次に水を溶離液として用いてカラムクロマトグラフィー処理をすることが好ましい。得られた多数の画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分を分取することにより、エキスbを得ることができる。なお、以下この方法を「イオンクロマト分離」ということがある。
【0041】
通液条件は、原料の組成及びイオン交換樹脂の種類等によって適宜決定する。用いる液体クロマトグラフが単塔式回分分離法に基づくものである場合は、溶離液として脱気処理した水を用い、流速はSV=0.3〜1.0h−1、サンプルの供給量は液量として樹脂の1〜20%、温度は40〜70℃が好ましい。
【0042】
この分離法により得た画分のそれぞれについて、波長420nmでの吸収を測定すると共に、電気伝導度(塩分量の尺度)や、スクロース、グルコース及びフラクトースの濃度を分析することが好ましい。各画分における前記分析値を時系列的にグラフに表すと、通常、波長420nmでの吸光度のピーク、電気伝導度のピーク、スクロース及び還元糖のピークがこの順に現れる。
【0043】
以下に述べる製造例2の条件でエキスbを得る場合は、波長420nmでの吸光度のピーク、電気伝導度のピーク、スクロース及び還元糖のピークが図1に示すように現れるから、図1における画分3〜14に相当する画分を、波長420nmの光を吸収する画分として分取することが好ましく、画分3〜8に相当する画分を分取することがより好ましい。また、スクロースが溶出し終わった後の画分18〜30に相当する画分については、該画分をそのまま用いて測定した波長420nmでの吸光度は低いものの、これらを合わせて濃縮したサンプルについては、製造例2のサンプル8と同様に、その吸光度が高い。つまり、画分18〜30に相当する画分は濃度が低くても、固形分当たりの有効成分の純度が比較的高い。したがって、非スクロース画分全体(画分1〜9と画分18〜30とを合わせたものに相当する)は、画分3〜8に相当する画分のみより有効成分の濃度は低いが、本発明でいう甘蔗由来のエキスとして使用することができる。なお、波長420nmの光を吸収する画分は、更に膜処理等に付して、無機塩を除去(完全に除去する必要はなく無機塩が低減できればよい。)することが好ましい。
【0044】
エキスbを得るときに用いる液体クロマトグラフは、擬似移動床式連続分離法に基づく、擬似移動床方式クロマトグラフであることが好ましい。かかる場合において、原料供給量、溶離液通液量、各画分抜き出し流量は、原料の組成、固定担体の種類、樹脂量に合わせて適宜設定する。
【0045】
原糖工場において2番蜜を原料として擬似移動床式連続分離法により得られるエキスbは、原料の種類及びイオン交換樹脂の分離能により変化するが、一般には、固形分当たりのスクロースが10%以下、非糖分が90%以上、見掛純糖率が10%以下である。なお、見掛純糖率は、ブリックス(Bx.)度(ブリックス度計で測定した固形百分率)に対する糖度(糖度計で測定した純スクロース規定量に対する直接旋光度)の百分率である。
【0046】
一方、単塔式回分分離法により得られるエキスbは、2番蜜を原料として得られた画分の場合、一般に、固形分(凍結乾燥固形分)当たりのポリフェノール量は約5%(カテキン換算)、電気伝導度灰分(塩分)は約44.7%、糖度は約5%である。
【0047】
エキスcは、上述のとおり、バガスを、水及び親水性溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出溶媒で抽出して得られるエキスである。
【0048】
親水性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等の低級アルコール類、アセトン等のケトン類等が挙げられ、エタノールが特に好ましい。抽出溶媒は、エタノールを60体積%以下含むエタノール−水混合溶媒、すなわち、エタノール/水が体積比で60/40以下のエタノール−水混合溶媒を用いることが好ましい。抽出溶媒は、より好ましくはエタノール/水が体積比で50/50以下のエタノール−水混合溶媒である。
【0049】
抽出温度は、効率よく抽出を行うために、50〜100℃が好ましい。また、抽出時間は、バガスの原料、種類、状態等に依存するが、通常1〜3時間である。抽出方法としては、例えば、バガスと抽出溶媒をともに容器に入れて抽出する方法、抽出溶媒を循環させて抽出する方法、連続式に抽出する方法、例えば、デスメット式抽出機、ルルギ式抽出機によるもの等が挙げられる。
【0050】
バガスの抽出液は糖含量が多いので、バガスの抽出液を上記と同様のカラムクロマトグラフィー処理に更に付すことにより糖を除去してもよい。このカラムクロマトグラフィー処理により得られた画分、またはバガスの抽出液を集め、慣用の手段(減圧下での溶媒除去、凍結乾燥など)により濃縮し、甘蔗由来のエキスを得ることができる。
【0051】
上述のエキスa〜cに代表される甘蔗由来のエキスは、天然物由来であるため、原料となる甘蔗、甘蔗の産地、気候など及びエキスの製造方法によりその成分が若干異なる。例えば、後述する製造例1の方法で得られる甘蔗由来のエキスの分析値の一例は、以下の通りである。
【0052】
すなわち、固形分は37.4重量%、ブリックス(Bx.)は40.6、糖含量は固形分当たり9.8%(内訳;スクロース6.8%、グルコース1.4%、フラクトース1.6%)、ポリフェノール含量は固形分当たり5.0%である。ここで、固形分は常圧加熱乾燥法により、ブリックスはブリックス計によって測定されるものである、糖含量(スクロース、グルコース及びフラクトース含量)は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により求めたものを、それぞれ各サンプルの固形分重量に対する比(%)として示したものである。そして、ポリフェノール含量は、カテキン水溶液を標準溶液として検量線を作成し、フェノール試薬で反応させて波長765nmの吸光度を測定するフォリン−チオカルト法により測定し、カテキン換算の値として示したものである。
【0053】
甘蔗由来のエキスは、液状でも粉末状でもよい。液状の甘蔗由来のエキスとしては、後述する製造例1の甘蔗由来のエキスを挙げることができる。一方、粉末状の甘蔗由来のエキスは、上記液状物を用いて、スプレードライ法、凍結乾燥法、流動層造粒法、または賦形剤を用いた粉末化法等により製造することができる。なお、甘蔗由来のエキスは固形分20%以上に濃縮することが、腐敗防止の観点から好ましく、液状の場合は特に冷蔵保存することが好ましい。
【0054】
本発明の免疫機能増強剤は、上述した甘蔗由来のエキスを有効成分として含むものであるが、免疫機能増強剤の全重量を基準とした甘蔗由来のエキスの重量の比率は0.5〜100重量%であることが好ましく、10〜100重量%であることがより好ましい。
【0055】
すなわち、本発明の免疫機能増強剤は、甘蔗由来のエキス以外の成分を含んでいてもよく、かかる成分としては、動物用の場合、コーンスターチ及び小麦デンプン等の各種デンプン、デキストリン、各種グルテン、小麦粉、ふすま、各種米糠、大豆かす及びきなこ等の大豆類、ブドウ糖や乳糖等の糖類、植物・動物油等の油脂類、魚粉類、酵母類、ケイ素化合物類、各種リン酸塩、ケイソウ土やベントナイト等の鉱物類であり、飼料及び飼料添加物の製剤を製造する上で使用できる賦形物質が挙げられる。また、ヒト用の場合、乳糖、デンプン及びマルトース等の糖類、その他ヒト用の製剤を製造する上で使用できる賦形剤が挙げられる。これらのうち、コーンスターチ、デキストリン及び脱脂米糠は、製造用担体として用いることができ、これらと甘蔗由来のエキスを混合することで、免疫機能増強剤を、例えば、粉末状、顆粒状、錠剤状の固形製剤とすることができる。
【0056】
(免疫機能増強剤を含む食品及び飼料)
本発明は、上述した免疫機能増強剤を含む食品又は飼料を提供する。食品又は飼料の形状は、固形及び液体のいずれであってもよく、食品としては、菓子類、清涼飲料、機能性調味料、健康食品等が挙げられ、飼料としては、ドッグフード、キャットフード等のコンパニオン・アニマル用飼料、家畜用飼料、養殖魚介類用飼料等が挙げられる。食品又は飼料に含まれる免疫機能増強剤の重量は、その種類に依存するが、免疫機能増強効果を有効に発揮させる観点からは、食品又は飼料の全重量を基準として甘蔗由来のエキスが0.001重量%以上となるような量であることが好ましい。または、食品又は飼料の1日摂取量に1〜1000mg/kg(体重)含まれることが好ましい。
【0057】
ここで「飼料」には、動物が栄養目的で経口的に摂取するもの全てが含まれる。具体的には、養分含量の面から分類すると、粗飼料、濃厚飼料、無機物飼料、特殊飼料の全てを包含し、また規格の面から分類すると、配合飼料、混合飼料、単体飼料の全てを包含する。また、給餌方法の面から分類すると、直接給餌する飼料、他の飼料と混合して給餌する飼料、または飲料水に添加し栄養分を補給するための飼料の全てを包含する。
【0058】
(免疫機能増強剤の機能及び免疫機能増強方法)
本発明の免疫機能増強剤は、ヒトまたは動物に投与(例えば、経口投与)することにより、免疫機能増強効果を発揮し、免疫抑制状態を改善することが可能になる。また、抗ガン剤や免疫抑制剤等の免疫機能低下物質と併用することにより、これらの物質の副作用である免疫抑制状態、例えば白血球減少状態、リンパ球減少状態、免疫系器官または組織の退縮、免疫反応の抑制状態を改善することができる。そして、抗ガン剤や免疫抑制剤等の本来の作用(例えば、抗ガン剤においてはガン細胞の攻撃)を特に有効に発揮させることが可能になる。
【0059】
したがって、免疫機能増強剤と免疫機能低下物質とを、同時に、又は、併用効果が発現する時間内で別々に生体に投与する、免疫抑制状態における生体の免疫機能増強方法を提供することが可能になる。
【0060】
免疫機能増強剤の投与量は、甘蔗由来のエキスの精製度、形態、対象とする動物の種類、健康状態、成長の度合い等により適宜決定する。例えば、甘蔗由来のエキスを含む免疫機能増強剤として、後述の製造例1に記載の甘蔗由来のエキスを用いる場合、単糖類および少糖類を除く固形分として体重1kg当たり1日に1〜1,000mgを投与することが好ましい。
【0061】
上記免疫機能低下物質としては、抗ガン剤、免疫抑制剤又はアルキル化剤が挙げられ、投与の方法としては、経口投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与、直腸内投与、舌下投与又は経皮投与が可能である。
【0062】
本発明による免疫機能増強剤は、古来よりヒトが食してきた甘蔗や含蜜糖に含まれる成分を含み、食経験があるため安全であり、さらにスクロースの製造工程における副産物を利用するため低コストである。また、甘蔗由来のエキスは植物由来であるため、生体への安全性も高い。
【0063】
ところで、サイクロフォスファミド(Cyclophosphamide、別名:EndoxanまたはCytoxan)(以下「CPA」ともいう)、イフォスファミド(Ifosfamide、別名:Ifomide)、チオテパ(Thiotepa、別名:Tespamin)、及びブスルファン(Busulufan)は、DNAをアルキル化することにより殺細胞効果を有する抗ガン剤(アルキル化剤)である。
【0064】
これらはDNA合成の旺盛なリンパ球、特にB細胞前駆細胞に対して細胞障害作用を有することから、抗体が介在する免疫反応や炎症反応の抑制を目的に、糸球体腎炎などの治療に用いられている。この効果を利用して、CPAは腎臓病やリウマチの治療において、アザチオプリン(別名:イムラン)またはミゾリピン(別名:プレデニン)、シクロスポリン等の他の免疫抑制剤と同様にステロイド剤の効果の増強と副作用の軽減を目的に、特定部位への効果を目的として併用されている。
【0065】
なお、アザチオプリンはプリン誘導体である免疫抑制剤であり、プリンヌクレオチドの生合成を阻害し、T細胞に感受性が高いことから移植片の拒否反応を抑制するためにも使用されている。しかし、アザチオプリンは抗ガン剤と同様に造血障害の副作用があり、白血球および血小板等の減少症、およびこれに伴う免疫抑制状態が現れる場合がある。
【0066】
本発明の免疫機能増強剤は、このような免疫抑制状態における免疫機能の改善に特に有効に機能する。
【0067】
ヒトの糸球体腎炎等へのCPAの投与量は、通常、1〜2.5mg/kg/日、8〜12週間を1クールとしている。腎移植における拒否反応の抑制には、アザチオプリンでは初期に2〜3mg/kg/日、維持量0.5〜1mg/kg/日である。後述のニワトリによる実施例において免疫抑制の誘発に用いたCPAは12〜20mg/羽であり、この用量はヒトの治療の用量と比較すると約30倍高い。本発明の免疫機能増強剤に対する感受性は動物種によっても異なると考えられるが、このように高用量のCPAで誘発した免疫抑制の病態が甘蔗由来のエキスを含む免疫機能増強剤の経口投与により軽減した成績は、外科手術後の術後管理、ガンの化学および放射線療法、移植療法などに随伴する免疫抑制などの副作用の軽減療法を開発する上で重要な知見を提供するものと考えられる。
【0068】
また、CPA(12〜20mg/羽)処置ニワトリでは、ファブリシウス嚢の退行性変化に起因するファブリシウス嚢依存液性免疫、すなわち抗体産生の抑制が誘発されたことから、B細胞依存性免疫系を組織学的にも機能的にも抑制することが可能である。このCPA誘発免疫抑制ニワトリモデルを陽性対照として、甘蔗由来のエキスをそ嚢内投与したことによる免疫抑制の病態の軽減回復効果を、免疫学的および組織学的側面から評価したところ、甘蔗由来のエキスを含む免疫機能増強剤をCPA処理より先に投与した群、CPA処理後に免疫機能増強剤を投与した群、およびCPA接種と免疫機能増強剤投与を同時に行った群のいずれの群においても抗体応答能の回復や、液性免疫系の中枢器官であるファブリシウス嚢のリンパ濾胞の再構築像が認められた。このことより、甘蔗由来のエキスには免疫増強作用やCPAで誘発されるファブリシウス嚢の組織学的退行性変化を軽減、再修復、および再構築する作用を有することが明らかになった。
【0069】
甘蔗由来のエキスの免疫抑制軽減作用の発現機序は不明であるが、CPAで誘発されるファブリシウス嚢の組織学的退行性病変の軽減、再修復、又は再構築のいずれかと関連していると考えられる。実施例において、甘蔗由来のエキスの効果はCPA接種前に甘蔗由来のエキスを経口投与した場合に最も高かったため、甘蔗由来のエキスがCPAの薬理作用を直接的または間接的に軽減している可能性がある。
【0070】
CPAは、ニワトリのT細胞系の機能には大きな影響を与えることなく、B細胞依存免疫系を不可逆的および選択的に抑制することから、抗体産性抑制の病態モデルを提供することが知られている(Toivanen, P., Toivanen, A., and Good, R. A. Ontogeny of bursal function in chicken. I. Embryonic stem cell for humoral immunity. J. Immunol., 109: 1058−1070, 1972. Hirota, Y., Suzuki, T., Chazono, Y., and Bito, Y. The role of the thymus for maturation of transferred bursa cells into immunocompetent B cells in chickens treated with cyclophosphamide. Immunology, 35: 889−899, 1978)。例えば、初週齢のニワトリヒナに4mg/羽で3日間連続投与(12mg/羽)することにより、ファブリシウス嚢は回復不能になる。
【0071】
同様のCPA接種を、免疫系が成熟した3週齢程度のニワトリに行うことにより、甘蔗由来のエキスの免疫機能への効果を確認することができ、またCPAをさらに高用量で接種することにより、重度の免疫抑制に対する甘蔗由来のエキスの効果を確認することができると推測し、この薬物誘発免疫抑制の病態解析モデルの作出を以下の実施例でニワトリを用いて試みている。
【0072】
具体的には、CPA(4〜5mg/羽/日)をニワトリに3日又は4日間連日接種することにより、ファブリシウス嚢依存性免疫系の抑制を誘発するモデル系(以下「CPA群」ともいう)を作出し、さらにこのCPA接種の前、後または同時に甘蔗由来のエキスをそ嚢内に3日間連日接種した群(以下それぞれ、「エキス+CPA群」、「CPA+エキス群」、および「CPA=エキス群」ともいう)を設けて、各群の体重の推移、免疫応答やリンパ系組織の組織構築の推移を比較検討することにより、甘蔗由来のエキスの免疫抑制の予防および病態軽減効果を評価した。その結果、甘蔗由来のエキスは、サイクロフォスファミド接種によって誘発される免疫抑制を軽減および改善する機能を有することが明らかになった。
【0073】
以上のように、本発明の免疫機能増強剤は、優れた免疫機能増強作用を発揮することから、これを含有する食品又は飼料を、抗ガン剤、免疫抑制剤又はアルキル化剤等の免疫機能低下物質の投与と同時に、又は、併用効果が発現する時間内で別々に、生体に与えることにより、免疫機能の増強が可能となる。
【0074】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0075】
(製造例1)
原糖工場において、陽イオン交換樹脂を充填した分離塔を用いた擬似移動床式連続分離法を使用し、甘蔗由来のエキスを得た。原料として、結晶缶にて2回スクロース結晶を回収し、遠心分離により結晶を除いた振蜜である2番蜜(ブリックス(Bx.)は約85である)を使用した。
【0076】
すなわち、2番蜜をブリックス約50になるよう希釈し、希釈した2番蜜に、消石灰および炭酸ソーダを添加して不純物を凝集させ、引き続きケイソウ土ろ過を行った。得られたろ液の分析値は、ブリックス47.3、糖度(Pol.)23.6、純糖率(Purity)49.9、還元糖分2.5%であった。このろ液を原料として使用し、擬似移動床式連続分離法によるイオン交換クロマトグラフィーを行った。なお、原料の調製からイオンクロマト分離までの工程は連続的に行った。また、各工程の液の固形分濃度や組成は時間とともに若干変動するため、濃度や組成は定常運転における測定値を示す。
【0077】
擬似移動床式連続分離法において使用した陽イオン交換樹脂は、UBK530(三菱化学株式会社)であり、該樹脂を充填した分離塔は8分割されており、1塔当たりの樹脂量は6.5m3であった。原料液と溶離液(水)の供給、およびスクロース画分と非スクロース画分の抜き出し位置を一定時間毎に切り替えることにより、連続的に供給、抜き出しを行った。定常時の規定値は、供給流量3m3/h、溶離水流量13.5m3/h、非スクロース画分抜き出し流量12.13m3/h、スクロース画分抜き出し流量4.37m3/h、切り替え時間267秒であった。このクロマトグラフィー処理により、スクロース画分と非スクロース画分が分離された。これらはそれぞれ、後述する図1の画分10〜17、および画分1〜9と画分18〜30とを合わせたものに相当する。
【0078】
スクロース画分は、スクロースが固形分当たり約87%(HPLC分析による)であり、またブリックスは約35であった。この画分は清浄汁に混合して製糖本工程に戻され、再びスクロースが回収された。
【0079】
また、得られた非スクロース画分は、スクロースが固形分当たり約1.4%(HPLC分析による)であり、またブリックスは約8であった。該非スクロース画分を濃縮缶により濃縮し、ブリックス40.0、糖度(Pol.)2.3、純糖率(Purity)5.8、還元糖分5.4%とした。この非スクロース画分を、後の試験に用いるため、1晩凍結乾燥処理に付した(以下、場合により「製造例1の甘蔗由来のエキス」という。)。
【0080】
得られた凍結乾燥粉末0.25gを0.5mMリン酸バッファ(pH7.5)を用い100mLになるように希釈し、吸光度を測定したところ、波長420nmでの吸光度は1.11であった。
【0081】
(製造例2)
原糖工場で得られた2番蜜処理液を原料として、単塔式回分分離法により甘蔗由来のエキスを得た。原料として2番蜜処理液を使用した。この2番蜜処理液は、2番蜜を希釈後、引き続き炭酸ソーダによる清浄処理、ケイソウ土ろ過を行ったものである。この原料の分析値は、ブリックス47.4、糖度(Pol.)23.2、純糖率(Purity)48.9、還元糖分3.2%であった。
【0082】
単塔式回分分離法においては、FPLCシステム(ファルマシア株式会社製)を用い、分画分離を行った。また、ゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂UKB530、ナトリウムイオン型(商標、三菱化学株式会社)500mLをカラムに充填して用いた。カラムは内径26mm、高さ1,000mmで、フローアダプター付きであった。通液は、溶離液として脱気した蒸留水を用い、流速SV=0.5h−1(4.17mL/分)、温度60℃で行った。
【0083】
約25mLの原料をカラムに供与し、原料供与30分後から溶出液の回収を開始し、試験管1本当たり3.6分間(約15mL/本)回収し、全部で30本回収する分画条件とした。
【0084】
得られた30画分についての波長420nmの吸光度、電気伝導度、および糖濃度を測定し、これを図1に示した。ここで、吸光度測定のためには、0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)2mLに各画分0.1mLを加えて試料とした。電気伝導度測定のためには、各画分を蒸留水で0.5%に希釈して試料とし、糖濃度はHPLCにより測定された。
【0085】
各ピークの分析を行うため、波長420nmの吸光ピーク部分を4つに、またスクロースのピーク部分を3つに、スクロースのピーク以降を1つにまとめた。すなわち、画分3および4を合わせてサンプル1に、画分5および6を合わせてサンプル2に、画分7および8を合わせてサンプル3に、画分9および10を合わせてサンプル4に、画分11および12を合わせてサンプル5に、画分13および14を合わせてサンプル6に、画分15および16を合わせてサンプル7に、画分17〜30を合わせてサンプル8とした。画分1および2は溶出される成分が殆どないため、廃棄した。そして、各サンプルを1晩凍結乾燥して、粉末とした。
【0086】
吸光度は、得られた凍結乾燥粉末0.25gを0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)に溶解して100mLとし、波長420nmで測定した。また、凍結乾燥固形分の分配率、電気伝導度灰分(塩分)、スクロース(Suc)、グルコース(Glu)およびフラクトース(Fru)含量、ポリフェノール量を測定した。
【0087】
なお、伝導度灰分は、電気伝導度と既知の硫酸灰分との関係の検量線から、係数を求め算出した。また、スクロース、グルコースおよびフラクトース含量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により求めたものを、それぞれ各サンプルの固形分重量に対する比(%)として示した。ポリフェノール含量は、カテキン水溶液を標準溶液として検量線を引き、フェノール試薬で反応させて波長765nmの吸光度を測定するフォリン−チオカルト法により測定し、カテキン換算の値として示した。凍結乾燥固形分の分配比率は、全サンプルの固形分重量の合計に対する各サンプルの固形分重量の比(%)である。
【0088】
分析結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0089】
サンプル8の吸光度は0.86と比較的高かった。その理由として他のサンプルは2分画ずつを一緒にしたものであるのに対し、サンプル8は14画分を合わせたものであることが挙げられる。すなわち、サンプル8はテーリングした成分を集めて濃縮したものである。したがって、420nmの吸光度は高いが、この画分だけを本発明の効果を有する画分として回収することは効率が悪いと考えられる。また、糖分含量から、サンプル1〜3及び8が非スクロース分画分に相当し、サンプル4〜7がスクロース分画分に相当することがわかる。
【0090】
(実施例1)甘蔗由来のエキスのニワトリそ嚢内投与がCPA(低用量;4mg/羽/日、3日間)誘発免疫抑制の病態、体重及び免疫応答の推移に及ぼす影響
3週齢の近交系ニワトリ(遺伝子型、H.B15)の筋肉内にCPA(4mg/羽/日)を3日間連日(21〜23日齢時)接種することによりファブリシウス嚢依存性免疫系の免疫抑制誘発モデル系(CPA群)を作出した。また、製造例1のエキスを500mg/kg/日(約50mg/羽/日)の投与量で3日間(21〜23日齢時)連日そ嚢内に投与した後、CPAを3日間(23〜25日齢時)連日接種した群(エキス+CPA群)を設定した。そして、CPA接種と同日の3日間(21〜23日齢時)連日製造例1のエキスを投与した群(CPA=エキス群)、及びCPAを3日間(21〜23日齢時)接種した後製造例1のエキスを3日間(23〜25日齢時)連日投与した群(CPA+エキス群)を設定した。また、CPA接種を行わず、生理食塩水を筋肉内にCPAと同容量3日間(21〜23日齢時)接種した群(対照群)および製造例1のエキスのみを3日間(21〜23日齢)連日投与した群(エキス群)を比較のため設定した。ここで、全ての群において実験の開始日が21日齢であり、CPA及び甘蔗由来のエキスの1日当たりの投与量は統一されている。
【0091】
免疫応答能の測定は、以下のように行った。すなわち、各群のニワトリの4および5週齢時にヒツジ赤血球(以下、SRBCという)(5×108細胞数)とブルセラ アボルタス加熱不活化菌体(Brucella abortus)(以下「BA」という。)(1×109菌体数)の混合抗原(0.1mL)を静脈内に接種し、各免疫後7日目に採取した血清中の両抗原に対する凝集力価(抗体価)を常法にて測定した。そして、4週齢時の免疫に対する応答を1次免疫応答、5週齢時の免疫に対する応答を2次免疫応答とした。抗体価は、0.2Mの2−メルカプトエタノール(2−ME)で処理後または未処理の血清を2倍段階希釈し、完全凝集を示す最終希釈の逆数のLog2を算出し、それぞれ2−ME抵抗性抗体価および総抗体価として表示した。
【0092】
3週齢時に体重を、また6週齢に体重とリンパ器官(ファブリシウス嚢と脾臓)の重量を測定し、ファブリシウス嚢は常法に準じてホルマリン固定ヘマトキシリン−エオジン染色標本を作製し、組織学的検索を行った。なお、ファブリシウス嚢と脾臓の重量は体重100g当たりの相対重量として表示した。体重増は、6週齢時の測定値を表示した。
【0093】
結果を以下の表2及び表3に示す。
【表2】
【表3】
【0094】
表2は、甘蔗由来のエキスが体重、1日当たりの体重増およびリンパ器官の相対重量に及ぼす影響を示している。CPA群の6週齢時の体重、1日当たりの体重増、ファブリシウス嚢および脾臓の相対重量に関してはいずれの値も、対照群と比較して明らかに低かった。同じく対照群と比較した場合、エキス群のこれらの値は明らかに高かった。エキス+CPA群、CPA+エキス群、およびCPA=エキス群のいずれの群の体重、1日当たりの体重増、ファブリシウス嚢および脾臓の相対重量の値も、一部対照群より低かったが、CPA群と比較して明らかに高かった。
【0095】
一方、表3は、甘蔗由来のエキスが抗体産生応答の推移に及ぼす影響を示している。CPA群のSRBCおよびBAに対する抗体価は、対照群と比べて明らかに低く、BAに対する応答は特に1次免疫応答においてのみ完全に抑制された。エキス投与群では両抗原に対する免疫応答は対照群と比べて明らかに高かった。従って、CPA群よりも明らかに高い値であった。
【0096】
図2〜7は、供試したニワトリの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造を示している。図3に認められるように、CPA群のファブリシウス嚢は組織学的にリンパ球減少、リンパ濾胞の最小化等を伴う退行性変化が観察された。エキス群におけるリンパ濾胞(図4)のサイズは対照群(図2)よりもむしろ大きくなっていた。エキス+CPA群、CPA+エキス群およびCPA=エキス群のいずれの群(それぞれ図5、6及び7)でもリンパ濾胞のサイズは対照群とほぼ同等か若干小さく、わずかに退行性の変化が認められたが、これらの群のファブリシウス嚢のいずれにもリンパ濾胞の組織学的再構築像が観察された。従って、CPA群の観察結果より、明らかに改善された様子が観察された。
【0097】
以上の結果から、ニワトリに低用量のCPAを投与して誘導した免疫抑制状態に対して、甘蔗由来のエキスは免疫機能増強効果を示すことが示された。
【0098】
(実施例2)甘蔗由来のエキスのニワトリそ嚢内投与がCPA(高用量;5mg/羽/日、4日間)誘発免疫抑制の病態、体重及び免疫応答の推移に及ぼす影響
実施例1と比べて重度の免疫抑制を誘発するため、3週齢の近交系ニワトリ(遺伝子型、H.B15)の筋肉内にCPA(5mg/羽/日)を4日間連日(21〜24日齢時)接種することによりファブリシウス嚢依存性免疫系の免疫抑制誘発モデル系(CPA群)を作出した。また製造例1のエキスを500mg/kg/日(約50mg/羽/日)の投与量で3日間(21〜23日齢時)連日そ嚢内に投与した後、そして、CPAを4日間(23〜26日齢時)連日接種した群(エキス+CPA群)を設定した。CPA接種を4日間(21〜24日齢)連日接種し、同日の3日間(21〜23日齢時)連日製造例1のエキスを投与した群(CPA=エキス群)、及びCPAを4日間(21〜24日齢時)接種した後製造例1のエキスを3日間(24〜26日齢時)連日投与した群(CPA+エキス群)を設定した。また、CPA接種を行わず、生理食塩水を筋肉内にCPAと同容量4日間(21〜24日齢時)接種した群(対照群)および製造例1のエキスのみを3日間(21〜23日齢)連日投与した群(エキス群)を比較のため設定した。ここで、全ての群において実験の開始日が21日齢であり、CPA及び甘蔗由来のエキスの1日当たりの投与量は統一されている。
【0099】
免疫応答能の測定試験、および体重及びリンパ器官の重量の測定方法は、実施例1と同様に行った。結果を表4及び表5に示す。
【表4】
【表5】
【0100】
表4は、甘蔗由来のエキスが体重、1日当たりの体重増およびリンパ器官の相対重量に及ぼす影響を示している。CPA群の6週齢時の体重、1日当たりの体重増及びファブリシウス嚢および脾臓の相対重量に関してはいずれの値も、対照群と比較して明らかに低かった。この低下は実施例1の場合よりも顕著であった。これらの値は、同じく対照群と比較した場合、エキス群では明らかに増加した。エキス+CPA群、CPA+エキス群、およびCPA=エキス群のいずれの群の体重、1日当たりの体重増、脾臓の相対重量の値は、実施例1において見られたのと同様に対照群の値に近く、CPA群と比べて明らかに高かった。
【0101】
一方、表5は、甘蔗由来のエキスが抗体産生応答の推移に及ぼす影響を示している。CPA群のSRBCおよびBAに対する抗体価は、実施例1と同様に対照群と比べて明らかに低かった。エキス投与群における両抗原に対する免疫応答は、対照群と比べて明らかに高かった。エキス+CPA群、CPA+エキス群およびCPA=エキス群のいずれの群の免疫応答は対照群とほぼ同等であり、CPA群と比べて明らかに高かった。これらの成績から、甘蔗由来のエキスを経口投与することにより、CPAにより誘発される免疫抑制を軽減できることが明らかになった。
【0102】
図8〜13は、供試したニワトリの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造を示している。CPA群のファブリシウス嚢の組織学的検索ではリンパ球減少、リンパ濾胞の縮小化等を伴う顕著な退行性変化が観察された(図9)。エキス群のリンパ濾胞(図10)のサイズは対照群(図8)よりもむしろ大きくなっていた。エキス+CPA群、CPA+エキス群、およびCPA=エキス群(それぞれ、図3D、E、およびF)のいずれの群でもリンパ濾胞のサイズは対照群より小さく、退行性の変化が認められたが、これらの群のファブリシウス嚢のいずれにもリンパ濾胞の組織学的再構築像が観察された。従って、CPA群の組織構造と比較し、明らかに改善されていた。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、抗ガン剤や免疫抑制剤等の薬剤と共に生体に投与して、上記薬剤の投与により生体に生じている免疫機能低下を改善する(免疫機能を増強し、免疫抑制状態を低減させ、正常状態に復帰させる)ことが可能な免疫機能増強剤を提供することが可能になる。
本発明の免疫機能増強剤は、天然物であるにもかかわらず、免疫増強効果が高く、しかも少量で効果を発揮するため、産業上非常に有用である。しかも、本発明による免疫機能増強剤は植物由来であり、古来よりヒトが甘蔗若しくは含蜜糖として食してきた天然物であるため、ヒトやヒトが食用とする家畜若しくは家禽等の産業動物、又はコンパニオン・アニマルの健康を害することもない。このように、本発明による免疫機能増強剤は、安全性が高く低コストである。
【図面の簡単な説明】
【図1】イオン交換樹脂による2番蜜分画サンプルの分析値を示す図である。
【図2】サイクロフォスファミド(投与量12mg/羽)誘発免疫抑制ニワトリモデルの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造における、甘蔗由来のエキス投与の影響を示す顕微鏡写真であり、CPAもエキスも投与しない群を示す。
【図3】サイクロフォスファミド(投与量12mg/羽)誘発免疫抑制ニワトリモデルの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造における、甘蔗由来のエキス投与の影響を示す顕微鏡写真であり、CPAのみ接種した群を示す。
【図4】サイクロフォスファミド(投与量12mg/羽)誘発免疫抑制ニワトリモデルの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造における、甘蔗由来のエキス投与の影響を示す顕微鏡写真であり、エキスのみ投与した群を示す。
【図5】サイクロフォスファミド(投与量12mg/羽)誘発免疫抑制ニワトリモデルの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造における、甘蔗由来のエキス投与の影響を示す顕微鏡写真であり、エキス投与後CPAを接種した群を示す。
【図6】サイクロフォスファミド(投与量12mg/羽)誘発免疫抑制ニワトリモデルの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造における、甘蔗由来のエキス投与の影響を示す顕微鏡写真であり、CPA接種後エキスを投与した群を示す。
【図7】サイクロフォスファミド(投与量12mg/羽)誘発免疫抑制ニワトリモデルの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造における、甘蔗由来のエキス投与の影響を示す顕微鏡写真であり、CPA接種とエキス投与を同時に行った群を示す。
【図8】サイクロフォスファミド(投与量20mg/羽)誘発免疫抑制ニワトリモデルの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造における、甘蔗由来のエキスの影響を示す顕微鏡写真であり、CPAもエキスも投与しない群を示す。
【図9】サイクロフォスファミド(投与量20mg/羽)誘発免疫抑制ニワトリモデルの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造における、甘蔗由来のエキスの影響を示す顕微鏡写真であり、CPAのみ接種した群を示す。
【図10】サイクロフォスファミド(投与量20mg/羽)誘発免疫抑制ニワトリモデルの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造における、甘蔗由来のエキスの影響を示す顕微鏡写真であり、エキスのみ投与した群を示す。
【図11】サイクロフォスファミド(投与量20mg/羽)誘発免疫抑制ニワトリモデルの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造における、甘蔗由来のエキスの影響を示す顕微鏡写真であり、エキス投与後CPAを接種した群を示す。
【図12】サイクロフォスファミド(投与量20mg/羽)誘発免疫抑制ニワトリモデルの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造における、甘蔗由来のエキスの影響を示す顕微鏡写真であり、CPA接種後エキスを投与した群を示す。
【図13】サイクロフォスファミド(投与量20mg/羽)誘発免疫抑制ニワトリモデルの6週齢時のファブリシウス嚢の組織構造における、甘蔗由来のエキスの影響を示す顕微鏡写真であり、CPA接種とエキス投与を同時に行った群を示す。
Claims (25)
- 甘蔗由来のエキスを有効成分とする、免疫抑制状態における生体の免疫機能増強剤。
- 前記免疫抑制状態は、抗ガン剤投与に基づく免疫抑制状態である、請求項1記載の免疫機能増強剤。
- 前記免疫抑制状態は、免疫抑制剤投与に基づく免疫抑制状態である、請求項1記載の免疫機能増強剤。
- 前記免疫抑制状態は、アルキル化剤投与に基づく免疫抑制状態である、請求項1記載の免疫機能増強剤。
- 前記免疫抑制状態は、サイクロフォスファミド、イフォスファミド、チオテパ、ブスルファン又はアザチオプリンの投与に基づく免疫抑制状態である、請求項1記載の免疫機能増強剤。
- 前記甘蔗由来のエキスは、甘蔗汁、甘蔗溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からからなる群より選ばれる原料を液体クロマトグラフで分離することにより得られるエキスである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫機能増強剤。
- 前記甘蔗由来のエキスは、多孔質吸着剤を充填したカラムを備える液体クロマトグラフの当該カラムに、甘蔗汁、甘蔗溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からからなる群より選ばれる原料を通液することにより、該多孔質吸着剤に吸着した吸着成分を、水、メタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1つの溶媒で溶出させて得られるエキスである、請求項6記載の免疫機能増強剤。
- 前記多孔質吸着剤は、スチレンジビニルベンゼン共重合体からなる多孔質吸着剤である、請求項7記載の免疫機能増強剤。
- 前記甘蔗由来のエキスは、イオン交換樹脂を充填したカラムを備える液体クロマトグラフの当該カラムに、甘蔗汁、甘蔗溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜からからなる群より選ばれる原料を通液して、前記イオン交換樹脂に対する親和力の差に基づき前記原料を分離した画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の免疫機能増強剤。
- 前記イオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂である請求項9記載の免疫機能増強剤。
- 前記陽イオン交換樹脂は、強酸性陽イオン交換樹脂である請求項10記載の免疫機能増強剤。
- 前記強酸性陽イオン交換樹脂は、スルホン化ポリスチレン樹脂のナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩である、請求項11記載の免疫機能増強剤。
- 前記イオン交換樹脂は、ゲル型のイオン交換樹脂である、請求項9〜12のいずれか一項に記載の免疫機能増強剤。
- 前記液体クロマトグラフは、擬似移動床方式クロマトグラフである請求項9〜13のいずれか一項に記載の免疫機能増強剤。
- 請求項9〜14のいずれか一項に記載の免疫機能増強剤から無機塩を除去させた、免疫抑制状態における生体の免疫機能増強剤。
- 前記甘蔗由来のエキスは、バガスを、水及び親水性溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出溶媒で抽出して得られるエキスである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫機能増強剤。
- 前記抽出溶媒は、エタノールを60体積%以下含むエタノール−水混合溶媒である、請求項16記載の免疫機能増強剤。
- 請求項1〜17のいずれか一項に記載の免疫機能増強剤を含む食品。
- 請求項1〜17のいずれか一項に記載の免疫機能増強剤を含む飼料。
- 請求項1〜17のいずれか一項に記載の免疫機能増強剤と免疫機能低下物質とを、同時に、又は、併用効果が発現する時間内で別々に生体に投与する、免疫抑制状態における生体の免疫機能増強方法。
- 前記投与は、経口投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与、直腸内投与、舌下投与又は経皮投与である、請求項20記載の免疫機能増強方法。
- 前記免疫機能低下物質は、抗ガン剤、免疫抑制剤又はアルキル化剤である、請求項20又は21記載の免疫機能増強方法。
- 免疫機能低下物質の投与と同時に、又は、併用効果が発現する時間内で別々に、請求項18記載の食品を生体に与える、免疫機能増強方法。
- 免疫機能低下物質の投与と同時に、又は、併用効果が発現する時間内で別々に、請求項19記載の飼料を生体に与える、免疫機能増強方法。
- 前記免疫機能低下物質は、抗ガン剤、免疫抑制剤又はアルキル化剤である、請求項23又は24記載の免疫機能増強方法。
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