JP2011032109A - 炭化珪素単結晶製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空排気容器の内壁に炭化珪素原料の昇華ガスが付着して堆積する堆積物の除去作業が簡単にでき、炭化珪素単結晶の製造効率に優れる炭化珪素単結晶製造装置を提供する。
【解決手段】真空排気容器12の中に配置した坩堝3内に炭化珪素原料2を収容し、炭化珪素原料2を昇華させて、昇華ガスを坩堝3内に取り付けた種結晶1上に供給して炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶製造装置であって、真空排気容器12の内壁が剥離可能な粘着シート13を貼り付けて覆われている。
【選択図】図3

Description

本発明は、炭化珪素原料を昇華させ、種結晶上に炭化珪素結晶を成長させる炭化珪素単結晶製造装置に関する。
炭化珪素(SiC)は、耐熱性及び機械的強度も優れ、放射線に強い等の物理的、化学的性質から、耐環境性半導体材料として注目されている。SiCは、化学組成が同じでも、多数の異なった結晶構造を取る結晶多形(ポリタイプ)構造を持つ代表的物質である。ポリタイプとは、結晶構造においてSiとCの結合した分子を一単位として考えた場合、この単位構造分子が結晶のc軸方向([0001]方向)に積層する際の周期構造が異なることにより生じる。代表的なポリタイプとしては、6H、4H、15R又は3Cがある。ここで、最初の数字は積層の繰り返し周期を示し、アルファベットは結晶系(Hは六方晶系、Rは菱面体晶系、Cは立方晶系)を表す。各ポリタイプは、それぞれ物理的、電気的特性が異なり、その違いを利用して各種用途への応用が考えられている。例えば、6Hは、近年、青色から紫外にかけての短波長光デバイス用基板として用いられ、4Hは、高周波高耐圧電子デバイス等の基板ウェハとしての応用が考えられている。
実験室程度の規模では、例えば、昇華再結晶法(レーリー法)でSiC単結晶を成長させ、半導体素子の作製が可能なサイズのSiC単結晶を得ていた。しかしながら、この方法では、得られた単結晶の面積が小さく、その寸法及び形状を高精度に制御することは困難である。また、SiCが有する結晶多形及び不純物キャリア濃度の制御も容易ではない。また、化学気相成長法(CVD法)を用いて、珪素(Si)等の異種基板上にヘテロエピタキシャル成長させることにより、立方晶のSiC単結晶を成長させることも行われている。この方法では、大面積の単結晶は得られるが、基板との格子不整合が約20%もあること等により、多くの欠陥(〜107cm-2)を含むSiC単結晶しか成長させることができず、高品質のSiC単結晶を得ることは容易でない。
これらの問題点を解決するために、SiC単結晶{0001}面基板を種結晶として用いて昇華再結晶を行う、改良型のレーリー法が提案されている(非特許文献1)。この方法では、種結晶を用いているため結晶の核形成過程が制御でき、また、不活性ガスにより雰囲気圧力を100Pa〜15kPa程度に制御することにより、結晶の成長速度等を再現性良くコントロールできる。図1を用いて、改良レーリー法の原理を説明する。種結晶となるSiC単結晶と原料となるSiC粉末は、坩堝(通常黒鉛)の中に収納され、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中(133〜13.3kPa)、2000〜2400℃に加熱される。この際、原料粉末に比べ種結晶がやや低温になるように、温度勾配が設定される。ここで、前記坩堝は、図2のように、真空排気容器内に設置されて、前記ガス雰囲気、圧力制御、及び温度制御される。SiC原料粉末は、昇華後、濃度勾配(温度勾配により形成される)により、種結晶方向へ拡散、輸送される。単結晶成長は、種結晶に到着した原料ガスが種結晶上で再結晶化することにより実現される。この際、結晶の体積抵抗率は、不活性ガスからなる雰囲気中に不純物ガスを添加する、あるいは、SiC原料粉末中に不純物元素あるいはその化合物を混合することにより、SiC単結晶構造中のシリコン又は炭素原子の位置を不純物元素にて置換させて(ドーピング)制御できる。SiC単結晶中の置換型不純物として代表的なものに、窒素(n型)、ホウ素、アルミニウム(p型)がある。これらの不純物によりキャリア型及び濃度を制御しながら、SiC単結晶を成長させることができる。現在、上記の改良レーリー法で作製したSiC単結晶から口径2インチ(50.8mm)から3インチ(76.2mm)のSiC単結晶基板が切り出され、エピタキシャル薄膜成長、デバイス作製に供されている。
特開2008−74653号公報
Yu. M. Tairov and V.F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, vol. 52 (1981) pp.146-150.
上記したように、SiC単結晶は、坩堝内にて高温下で昇華した原料が温度勾配により形成される濃度勾配によって拡散、輸送されて種結晶上へ到達し、そこで再結晶することで成長する。このため、実際の成長では原料からの昇華ガスが坩堝の外部に漏れてさらに拡散し、結果として真空排気容器内の内壁に付着して膜として堆積する。
このように付着した堆積物は、次回の成長時にさらに厚く積み重なり、やがて剥離して真空排気容器内にフレーク状の小片として飛散するため、次の成長の準備をする作業の際に、種々の問題が生じる。例えば、真空シールのためのゴム製Oリング上に前記フレーク上の小片が飛散した場合、真空に引けなくなる等の問題を引き起こす原因となる。また、前記問題を防止するには、真空排気容器の内壁に付着した堆積物を丁寧に剥ぎ取る作業を行えばよいが、通常の汚れ掃除等とは異なり、前記除去作業に大変手間がかかり、製造の効率を低下させる原因の一つとなっている。
上記と類似した問題が、特許文献1でも提起されている。即ち、気化したSiC原料の一部が反応容器内(坩堝内)から漏れ、外側容器(真空排気容器)の内側上部で、特に低温部となる排気管付近で原料ガスが析出して堆積物として付着するので、その除去(掃除)に手間がかったり、単結晶成長中に外側容器の内側上部の堆積物が剥がれて反応容器に落下するおそれがあったりするという問題である。そこで、特許文献1に記載の発明では、外側容器の中の上部(排気管の手前に)に、反応容器から漏れた原料ガスを固化して捕集するための部材を設けることが開示されている。しかしながら、前記捕集部材では、排気管の詰まりや反応容器への堆積物の落下を防止できるのみである。実際には、堆積物は、真空排気容器の上部だけでなく、側壁等を含む内壁全面に堆積するので、特許文献1のような方法では、問題を解決できない。
そこで、本発明では、上記の問題を解決し、前記堆積物を効果的に除去でき(除去残しを少なくし)、清掃作業時間を著しく短縮できて、製造効率に優れた炭化珪素単結晶製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、
(1)真空排気容器の中に配置した坩堝内に炭化珪素原料を収容し、前記炭化珪素原料を昇華させて、該昇華ガスを坩堝内に取り付けた種結晶上に供給して炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶製造装置であって、前記真空排気容器の内壁が剥離可能な粘着シートを貼り付けて覆われていることを特徴とする炭化珪素単結晶製造装置、
(2)前記剥離可能な粘着シートが、シート基材と、シート基材に塗布された粘着剤からなる粘着層とを備え、粘着剤は、繰り返し接着できる粘着剤であることを特徴とする、上記(1)に記載の炭化珪素単結晶製造装置、
(3)前記粘着シートが、真空排気容器の内壁に複数層重ねて貼り付けられていることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶製造装置、
である。
本発明によれば、SiC原料を昇華させ、種結晶上にSiC結晶を成長させて製造するSiC単結晶製造装置であって、結晶成長時に真空排気容器の内壁に形成される堆積物を容易に効果的に除去できるので、清掃作業を極めて短時間で実施できて、製造効率に優れたSiC単結晶製造装置を提供することができる。また、堆積物の除去残しを低減できるので、真空漏れ等SiC製造トラブルの発生頻度を少なくできる。
改良レーリー法の説明図 従来の炭化珪素単結晶製造装置の説明図 本発明の炭化珪素単結晶製造装置の例 本発明の炭化珪素単結晶製造装置の他の一つの例
本発明は、結晶成長時にSiC原料からの昇華ガスが真空排気容器の内壁に直接付着することが無いように、あらかじめ真空排気容器の内壁に再剥離(剥離可能な)粘着シートを貼ることで、成長終了後に真空排気容器の内壁に付着した堆積物を除去する作業を容易にして極めて短時間にて完了できるようにした。その結果、SiC単結晶製造の製造効率を向上させることができる。
実施形態を以下に説明する。
初めに、昇華再結晶法について説明する。昇華再結晶法は、2000℃を超える高温においてSiC粉末を昇華させ、その昇華ガスを低温部に再結晶化させることにより、SiC結晶を製造する方法である。この方法で、SiC単結晶からなる種結晶を用いて、SiC単結晶を製造する方法は、特に改良レーリー法と呼ばれ、バルク状のSiC単結晶の製造に利用されている。改良レーリー法では、種結晶を用いているため結晶の核形成過程が制御でき、また、不活性ガスにより雰囲気圧力を100Pa〜15kPa程度に制御することにより、結晶の成長速度等を再現性良くコントロールできる。
本発明のSiC単結晶製造装置を用いたSiC単結晶の製造方法は、昇華再結晶法の範疇であり、具体的には前述した改良レーリー法である。通常、{0001}面を結晶成長面とするSiC種結晶と原料となるSiC結晶粉末(通常、アチソン(Acheson)法で作製された研磨材を洗浄・前処理したものが使用される)は、坩堝(通常、坩堝は、黒鉛製であるが、高融点材料、黒鉛コート高融点材料、高融点材料コート黒鉛等の黒鉛以外の材料を部分的に使用される場合もある)の中に収納され、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中(133Pa〜13.3kPa)、2000〜2400℃に加熱される。この際、原料粉末に比べ種結晶がやや低温になるように(例えば、100〜200℃低くなるように)、温度勾配が設定される。原料は、昇華後、濃度勾配(温度勾配により形成される)により、種結晶方向へ拡散、輸送される。単結晶成長は、種結晶に到着した原料ガスが種結晶上で再結晶化することにより実現される。
ここで、坩堝の形状としては、種結晶を保持でき、尚且つ、原料粉末を収容できれば、円柱、円錐、多角柱、多角錐等のどのような形状でも良い。中でも、坩堝から外部への放熱に関して、周方向における放熱量の均一性に優れている円柱形がより好適である。
前記坩堝は、図2のように、真空排気容器内に設置されて、上記ガス雰囲気、圧力制御、及び温度制御される。前記真空排気容器は、通常、少なくとも、側壁となる二重石英管4、及び前記石英管の両端部(上下部)を閉じる蓋7で構成されている。
実際に上記改良レーリー法において結晶成長を行った場合、坩堝内部にセットしたSiC原料から発生した昇華ガスが坩堝の接合部を通過して坩堝の外に漏れ出し、さらに拡散して最終的には真空排気容器の内壁、例えば、二重石英管の内壁に付着して堆積する。前記堆積物は、前記内壁に膜状に形成される。この膜状の堆積物は、一回の成長のみでも相当な量が堆積するため、成長終了後に拭き取って除去しなければならない。特に、成長結晶の口径を大きくするほど、仕込むSiC原料の量も増加するため、一回の成長における前記堆積量も増加する。さらに、成長結晶の口径を大きくすると坩堝口径も大きくなるため、その結果として真空排気容器全体が大きくなり、特に、側壁を構成する二重石英管の内径がより大きくなって、成長後の内壁清掃作業の負担(作業時間等)はさらに増大する。
そこで、本発明者らは、上記のようなSiC単結晶製造装置を発明し、真空排気容器の内壁(特に、二重石英管の内壁)に付着した堆積物の除去、清掃を効率良く迅速に行えるようにした。以下に、本発明のSiC単結晶製造装置の詳細を説明する。
本発明のSiC単結晶製造装置では、図3に示したように、真空排気容器12を形成する二重石英管4の内壁(内側)、及びこの二重石英管4の両端開口部分を塞ぐ2つの蓋7の内壁(内側)に剥離可能な粘着シート13を貼り付けている。剥離可能な粘着シート13を真空排気容器12の内壁に貼り付けることにより、坩堝3から漏れた昇華ガスが前記シート13の表面に付着して堆積し、真空排気容器12の内壁に直接付着するのを防止できる。成長終了後に、前記シート13を剥がすことにより、真空排気容器12内の堆積物を前記シート13とともに容易に除去できる。
上記剥離可能な粘着シートは、真空排気容器の内壁に貼り付けてSiC単結晶を製造した後に、上述のように、剥がせるものである。人力で簡単に剥がせる程度の粘着力を有する粘着シートがより好ましく、シート基材に後述するような粘着剤からなる粘着層を備えたものが好適である。前記剥離可能な粘着シートにおけるシート基材の材質は、高周波をさえぎることのない電気絶縁性材料が好ましく(金属等の導電性材料では、高周波を遮断するので、坩堝の加熱を効率よく行えない)、かつ少なくとも200℃の耐熱性を有するのが好ましい。SiC単結晶成長中は、石英二重管の内部を冷却目的の水が循環しているため、石英二重管に貼られているシートの温度が200℃を越えることは無いため、シート基材の耐熱性は少なくとも200℃であればよい。前記耐熱性が、少なくとも250℃であると、剥離可能な粘着シートを繰り返し使用できる等でより好ましい。シート基材の具体的な材質としては、例えば、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等の耐熱樹脂を好適な例として挙げることができる。これらの耐熱樹脂には、粘土等の無機充填剤(無機粉末)や無機質繊維が混合されていてもよい。一方、粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を使用できるが、耐熱性を有するものがより好ましく、例えば、シリコーン系粘着剤が好適に使用できる。
また、坩堝や坩堝を取り巻く断熱材の状態を常に目視観察できることが安全上も望ましいので、特に、真空排気容器を形成する二重石英管に貼る粘着シートは、石英管を通じてその内部や外部の観察ができる程度の透明性を有することがより望ましい。
前記再剥離粘着シートは、SiC単結晶成長が終了すると剥離されるものであるが、剥離したシートから堆積物を除去した後に再度真空排気容器の内壁に貼り付けて使用してもよい。その際に、粘着シートの粘着剤が、再接着できる粘着剤であることがより好ましい。再接着できる粘着剤の例としては、シリコーン系粘着剤が挙げられる。再接着できる粘着剤を有する粘着シートであれば、粘着剤を再度塗布することなく、複数回繰り返して使用できるので、SiC単結晶の製造コスト低減になるという有用な作用効果を奏する。
また、本発明のSiC単結晶製造装置では、図4に示すように、真空排気容器の二重石英管にのみ粘着シートを貼り付けていても十分高い製造効率が得られる。真空排気容器の内壁のうち、二重石英管の占める面積が大きいこと(堆積物の除去作業の大半が二重石英管の除去となる)、また、真空排気容器内外の視認性を確保する必要があることから、真空排気容器の内壁に剥離可能な粘着シートを貼るのみであっても、十分上記効果が得られるものである。
本発明では、真空排気容器の内壁に剥離可能な粘着シートを2層以上の複数層にして重ねて貼り付けるようにしてもよい。複数層(複数枚)重ねて貼り付けられていると、SiC単結晶成長が終了して、貼り付けられた前記シートの上層一枚を剥がすと下層の新しい粘着シートが現れるので、次のSiC単結晶成長を行うに当たり、粘着シートを貼り付ける作業を省略できる。すなわち、製造効率がより高くなる。重ねて貼り付ける層の数の上限は、特に限定するものではないが、20層を超えると、貼り付けた総厚さが大きくなり過ぎて好ましくない場合が出てくる。
以下に、本発明の実施例について述べる。
(実施例1)
図3に示すSiC単結晶成長装置を用いて、SiC単結晶を製造する例について説明する。SiC結晶成長は、SiC粉末2を昇華させ、種結晶として用いたSiC単結晶1上で再結晶化させることにより行われる。種結晶のSiC単結晶1は、黒鉛製坩堝3の内部の上面(蓋体内側)に取り付けられる。原料のSiC粉末2は、黒鉛製坩堝3の内部の下方に充填されている。このような黒鉛製坩堝3は、真空排気容器12の内部に、黒鉛の支持棒5により設置される。黒鉛製坩堝の周囲には、熱シールドのための黒鉛製断熱材6が設置されている。真空排気容器12は、真空排気装置11により高真空排気(10-3Pa以下)することができ、かつ、内部雰囲気を、ガス配管9及びガス流量調節計10を通って導入されるArガスにより圧力制御することができる。各種ド−ピングガス(窒素、トリメチルアルミニウム、トリメチルボロン)も、ガス流量調節計10を通して導入することができる。また、真空排気容器12の側壁を構成する二重石英管4の外周には、ワークコイル8が設置されており、高周波電流を流すことにより黒鉛製坩堝を加熱し、原料及び種結晶を加熱することができる。坩堝温度の計測は、坩堝下部を覆う断熱材の中央部に直径2〜4mmの光路を設け坩堝上部及び下部からの光を取り出し、二色温度計を用いて行う。
以下、本発明のSiC単結晶成長装置を用いた具体的な結晶成長の例を説明する。
先ず、種結晶1として、口径50mmの(0001)面を有した4HポリタイプのSiC単結晶ウェハを用意した。次に、種結晶1を黒鉛製坩堝3の内部、上面に取り付けた。黒鉛製坩堝3の内部には、アチソン法により作製したSiC結晶原料粉末2を充填した。次いで、黒鉛製坩堝容器3を黒鉛製フェルト6で被覆した後、黒鉛製支持棒5の上に載せ、真空排気容器12の内部に設置した。その後、図3に示すように、真空排気容器12の二重石英管4の内面(内壁)全体を被覆するように、剥離可能な粘着シート13(ウノン技研製K-1000A、耐熱温度:260℃、シート基材:ポリイミド樹脂、粘着剤:耐熱アクリル粘着剤、厚さ:100μm)を貼り付けた。なお、真空排気容器12を構成する二重石英管4のサイズは、30cm径×1m長さである。
そして、真空排気容器12の内部を真空排気装置11で真空排気した後、ワークコイルに電流を流し、原料温度を2000℃まで上げた。その後、雰囲気ガスとして高純度Arガス(純度99.9995%)を流入させ、真空排気容器12内の圧力は成長全体を通じて1.3kPaに保った。この圧力下において、原料温度を2000℃から目標温度である2400℃まで上昇させ、その後、同温度を保って45時間成長を続けた。この成長時間中、窒素流量を0.5×10-6m3/sec(同流量にて、成長結晶中の窒素濃度が1×1019cm-3となる)とし、成長終了時まで保った。
成長後、真空排気容器12内を大気開放して坩堝3を取り出した後、二重石英管4の内面の粘着シート13を観察したところ、昇華ガスの坩堝からのリークにより、坩堝上面に近い位置に貼られた粘着シート13の表面を最大規模として、広い面積に渡って堆積物が膜状に付着していた。ここで、粘着シート13を剥がして全面取り外すことで、堆積物が付着したシート13を回収した。二重石英管4の内側には、シート13を剥がす際に若干の堆積物が落ちたが、吸引等で容易に除去できるものであった。
次のSiC成長準備には、新たに剥離可能な粘着シート13を再び二重石英管4内面全体を被覆するように、貼り付けた。この一連の作業は、5分間という短時間で全て完了でき、非常に効率の良い作業で次回成長を開始できた。
(実施例2)
実施例1と同様の手順で、SiC単結晶を成長させた。但し、図3に示したように、真空排気容器12の内壁(二重石英管7の内壁、及びその上下蓋7の内面)に剥離可能な粘着シート13(日東電工製TRM3650S、耐熱温度:260℃、シート基材:ポリイミド樹脂、粘着剤:シリコーン粘着剤、厚さ:31μm)を貼り付けた。
実施例1と同様に成長を行い、成長終了後、真空排気容器12内を大気開放して坩堝3を取り出した後、真空排気容器12の内壁の粘着シート13を観察したところ、昇華ガスの坩堝からのリークにより、坩堝上面に近い位置に貼られた粘着シート13の表面を最大規模として、広い面積に渡って堆積物が膜状に付着していた。ここで、粘着シート13を剥がして全面取り外すことで、堆積物が付着したシートを回収した。真空排気容器12の内部には、シート13を剥がす際に若干の堆積物が落ちたが、吸引等で容易に除去できるものであった。本実施例では、真空排気容器12の上下蓋7の内壁へ付着した堆積物も容易に除去できるものであった。
次のSiC成長準備には、新たに剥離可能な粘着シート13を再び真空排気容器12の内壁に、図3のように貼り付けた。この一連の作業は、8分間という短時間で全て完了でき、非常に効率の良い作業で次回成長を開始できた。
(実施例3)
実施例1と同様の手順で、SiC単結晶を成長させた。但し、二重石英管4の内壁に貼り付けた剥離可能な粘着シート13(TACONIC社製特殊高耐熱性シリコーン粘着テープTacsil F20、耐熱温度:260℃、シート基材:フッ素樹脂+ガラスクロス、ポリイミドフィルム 粘着剤:シリコーン粘着剤、厚さ:200μm)は、再接着できる粘着剤を使用したものである。
成長後、真空排気容器12内を大気開放して坩堝を取り出した後、二重石英管4の内面の粘着シート7を観察したところ、昇華ガスの坩堝からのリークにより、坩堝上面に近い位置に貼られた粘着シート13の表面を最大規模として、広い面積に渡って堆積物が膜状に付着していた。ここで、粘着シート13を剥がして全面取り外すことで、堆積物が付着したシートを回収した。二重石英管4の内側には、前記シート13を剥がす際に若干の堆積物が落ちたが、吸引等で容易に除去できるものであった。また、堆積物が付着したシート13の堆積物を除去した後、次のSiC成長の際に、同シートを貼り付けて使用した。
次のSiC成長準備には、一度使用した後の粘着シート13を再び二重石英管4内面全体を被覆するように、貼り付けた。成長後の状況は、前記と同じであり、二重石英管4の清掃は容易にできた。
(実施例4)
実施例1と同様の手順で、SiC単結晶を成長させた。但し、二重石英管4の内壁に貼り付けた剥離可能な粘着シート13(TACONIC社製特殊高耐熱性シリコーン粘着テープTacsil F20、耐熱温度:260℃、シート基材:フッ素樹脂+ガラスクロス、ポリイミドフィルム 粘着剤:シリコーン粘着剤、厚さ:200μm)は、5層に重ねて貼り付けた。
成長後、真空排気容器12内を大気開放して坩堝を取り出した後、二重石英管4の内面の粘着シート13を観察したところ、昇華ガスの坩堝からのリークにより、坩堝上面に近い位置に貼られた粘着シート13の表面を最大規模として、広い面積に渡って堆積物が膜状に付着していた。ここで、粘着シート13を剥がして全面取り外すことで、堆積物が付着したシートを回収した。二重石英管4の内側には、シート13を剥がす際に若干の堆積物が落ちたが、吸引等で容易に除去できるものであった。
次のSiC成長準備には、堆積物が付着した粘着シートを剥がしても下層の粘着シート13が現れるので、粘着シートを貼り付ける作業を省略でき、そのまま次のSiC成長を開始できた。
(比較例1)
真空排気容器12の内壁に剥離可能な粘着シート13を貼り付けることを実施しなかった以外は全て実施例1と同様にして結晶成長を行った。
成長後、真空排気容器12内を大気開放して坩堝を取り出した後、真空排気容器の内壁、特に二重石英管内面を観察したところ、昇華ガスの坩堝からのリークにより、内面の坩堝上面に近い位置を最大規模として、広い面積に渡って堆積物が膜状に付着していた。ここで前記堆積物を取り除くために、二重石英管4内面に付着していた堆積物を手作業で拭き取った。この作業には1時間以上の時間を要し、さらに堆積物が剥がれ落ちて生ずる粉体も大量に発生し、吸引掃除機で完全に吸い取るのにも20分程度の時間を要した。その結果として、作業全体で1時間20分以上の時間を要し、次のSiC成長準備は、上記実施例に比べて長時間を要するもので極めて製造効率の悪いものであった。前記手順で、SiC単結晶の製造を繰り返し行うと、完全に除去されていない堆積物が隅部等に蓄積し、真空排気容器の寿命が、前記実施例に比べて半減するものであった。
また、前記堆積物を除去しないで、次のSiC単結晶の製造を行うと、Oリング等に付着した堆積物によって真空漏れが生じて結晶成長を中止しなければならなくなった。
1 種結晶(SiC単結晶)
2 SiC結晶粉末原料
3 坩堝容器(黒鉛あるいはタンタル等の高融点金属)
4 二重石英管
5 支持棒
6 黒鉛製フェルト(断熱材)
7 二重石英管の蓋
8 ワークコイル
9 ガス配管
10 ガス用マスフローコントローラ
11 真空排気装置
12 真空排気容器
13 剥離可能な粘着シート

Claims (3)

  1. 真空排気容器の中に配置した坩堝内に炭化珪素原料を収容し、前記炭化珪素原料を昇華させて、該昇華ガスを坩堝内に取り付けた種結晶上に供給して炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶製造装置であって、前記真空排気容器の内壁が剥離可能な粘着シートを貼り付けて覆われていることを特徴とする炭化珪素単結晶製造装置。
  2. 前記剥離可能な粘着シートが、シート基材と、シート基材に塗布された粘着剤からなる粘着層とを備え、粘着剤は、繰り返し接着できる粘着剤であることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶製造装置。
  3. 前記粘着シートが、真空排気容器の内壁に複数層重ねて貼り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶製造装置。
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