JP2011031503A - 成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物とその製造方法。 - Google Patents
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Abstract
【目的】
複雑な形状を持った成形品であっても、生産性に優れると共に、めっき析出性および成形品とめっき膜との密着性に優れたものを提供することを目的とする。
【構成】
本発明は、成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物であって、該成形品は、導電性高分子微粒子をカーボンナノチューブに担持させた担持物と、樹脂とからなることを特徴とするめっき物である。また、成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物の製造方法であって、1)還元性高分子微粒子を、カーボンナノチューブの表面に担持させた担持物を作製する工程と、2)該担持物を、成形前の樹脂に混合させて混合物を作製する工程と、3)該混合物を、成形して成形品を作製する工程と、4)該成形品に、無電解めっき法によるめっき膜を設けてめっき物を作製する工程とからなることを特徴とするめっき物の製造方法である。
【選択図】 なし
複雑な形状を持った成形品であっても、生産性に優れると共に、めっき析出性および成形品とめっき膜との密着性に優れたものを提供することを目的とする。
【構成】
本発明は、成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物であって、該成形品は、導電性高分子微粒子をカーボンナノチューブに担持させた担持物と、樹脂とからなることを特徴とするめっき物である。また、成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物の製造方法であって、1)還元性高分子微粒子を、カーボンナノチューブの表面に担持させた担持物を作製する工程と、2)該担持物を、成形前の樹脂に混合させて混合物を作製する工程と、3)該混合物を、成形して成形品を作製する工程と、4)該成形品に、無電解めっき法によるめっき膜を設けてめっき物を作製する工程とからなることを特徴とするめっき物の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物とその製造方法に関する。
従来、プラスチック成形品へめっき膜を設ける方法として、エッチング処理してから無電解めっき法を採用する方法が広く知られている。エッチング処理とは、プラスチック成形品の表面に微細な凹凸を設ける処理であり、この処理をすることにより、めっき膜(金属皮膜の一部)がこの部分にくい込むので、密着強度が向上し、実用的なめっき物を得ることができるものである。そして、この処理を行なわないと、めっき物は得られるものの、粘着テープ等で簡単にめっき膜が剥がれてしまう問題がある。従って、プラスチック成形品へ無電解めっき法によりめっき膜を設けるためには、このエッチング処理は必要不可欠なものであった。
ところが、エッチング処理できる樹脂は、ABS樹脂、またはこれをベースとした複合樹脂に限られていた。理由として、濃硫酸やクロム酸等の強酸を用いてエッチング処理するため、例えばポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、更にはエンジニアプラスチック樹脂(エンプラ樹脂)からなる成形品では、そのエッチング処理が極めて困難であるため、所望のめっき物を得ることが困難であった。
一方、これらエッチング処理を経ずに無電解めっきを行い、実用上問題のない密着強度を得る新しいめっき物が、特許文献1に開示されている。これは、基材の表面上に導電性高分子とバインダーを含む塗膜層が形成され、該塗膜層上に金属めっき膜が無電解めっき法により形成されためっき物である。この方法を採用すれば、エッチング処理が不要であり、その上いかなる基材樹脂であっても基材に密着するバインダーを選定すれば、基材とめっき膜との密着性に優れたものを得ることが出来る。
また、この方法は、基材に導電性高分子とバインダーが混合された塗料を所定厚みに塗工するという工程が新たに加わる。この塗工工程は、フィルム、シート状のロール原反であれば、既存のコーターを使用する事で容易にかつ高速で塗工する事が可能であるため、生産性に優れるものであった。
特開2008−190026号公報
ところが、複雑な形状を持った成形品では、所定厚みにするために一つ一つ丁寧に塗工する必要があるので、生産性に劣るものであった。
そこで、本発明は複雑な形状を持った成形品であっても、生産性に優れると共に、めっき析出性および成形品とめっき膜との密着性に優れたものを提供することを目的とする。
本発明の請求項1記載のめっき物は、成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物であって、該成形品は、導電性高分子微粒子をカーボンナノチューブに担持させた担持物と、樹脂とからなることを特徴とする。また、請求項2記載のめっき物の製造方法は、成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物の製造方法であって、1)還元性高分子微粒子を、カーボンナノチューブの表面に担持させた担持物を作製する工程と、2)該担持物を、成形前の樹脂に混合させて混合物を作製する工程と、3)該混合物を、成形して成形品を作製する工程と、4)該成形品に、無電解めっき法によるめっき膜を設けてめっき物を作製する工程とからなることを特徴とする。また、請求項3記載のめっき物の製造方法は、前記還元性高分子微粒子として、導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした微粒子を用いることを特徴とする。
複雑な形状を持った成形品であっても、生産性に優れると共に、めっき析出性および成形品とめっき膜との密着性に優れたものを得ることが出来た。
本発明のめっき物は、成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物であって、該成形品は、導電性高分子微粒子をカーボンナノチューブに担持させた担持物と、樹脂とからなることを特徴とする。
ここで、本発明の成形品に無電解めっき法によるめっき膜が析出する理由について説明する。還元性高分子微粒子をカーボンナノチューブに担持させた担持物を成形前の樹脂に添加させ、所望の形状へ成形する。そうすると、担持物が成形品の表面に露出すると考えられる。すなわち、還元性高分子微粒子を担持させたカーボンナノチューブが成形品の表面に露出する状態になることで、無電解めっき法に使用される触媒金属が還元性高分子微粒子の部分に吸着され、無電解めっき液中でめっきが析出するものと推量される。尚、特開2008−190026号公報にも記載されているように、還元性高分子微粒子上に触媒金属が吸着されることにより還元性の高分子微粒子がドーピングされ、結果として、導電性高分子微粒子となる。
また、還元性高分子微粒子を担持させるものとして、一般的にプラスチック成形品の強度を上げる為に用いられるガラス繊維等についても検討を試みたが、これらに用いられるガラス繊維の繊維径は数十μmと比較的太いものであったため、成形品の表面に露出しないことからめっきの析出は得られなかった。したがって、導電性高分子微粒子を担持させるものとして、繊維径が細く、アスペクト比の高いカーボンナノチューブを使うことが必須である。
本発明で用いられるカーボンナノチューブは、繊維径として特に制限はないが、導電性高分子微粒子が担持し易い10〜300nmの繊維径のものがよく、50〜100nmのものが好ましい。また、アスペクト比は、10以上のものであれば、成形品の表面に露出し、無電解めっき法に使用される触媒金属が導電性高分子微粒子の部分に吸着され易くなるのでよい。また、カーボンナノチューブは、SWCNT(single wall carbon nano tube)、MWCNT(multi wall carbon nano tube)のいずれであっても良い。
本発明の還元性高分子微粒子は、特開2008−190026号公報に記載されているものを採用することができる。また、同公報にも記載されているように金属触媒を付着させるために、導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性微粒子にしてもよく、また、同公報に記載されている還元性高分子微粒子をカーボンナノチューブに担持させ、その担持物を成形前の樹脂に混合し、その樹脂混合物を成形し、その成形品に対して無電解めっき法によるめっき膜を設けてもよい。
本発明のめっき物の製造方法は、成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物の製造方法であって、
1)還元性高分子微粒子を、カーボンナノチューブの表面に担持させた担持物を作製する工程と、
2)該担持物を、成形前の樹脂に混合させて混合物を作製する工程と
3)該混合物を、成形して成形品を作製する工程と、
4)該成形品に、無電解めっき法によるめっき膜を設けてめっき物を作製する工程とからなることを特徴とする。また、前記還元性高分子微粒子として、導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした微粒子を用いてもよい。
1)還元性高分子微粒子を、カーボンナノチューブの表面に担持させた担持物を作製する工程と、
2)該担持物を、成形前の樹脂に混合させて混合物を作製する工程と
3)該混合物を、成形して成形品を作製する工程と、
4)該成形品に、無電解めっき法によるめっき膜を設けてめっき物を作製する工程とからなることを特徴とする。また、前記還元性高分子微粒子として、導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした微粒子を用いてもよい。
先ず、本発明の還元性高分子微粒子をカーボンナノチューブの表面に担持させた担持物を作製する工程について説明する。還元性高分子微粒子が分散した有機溶媒中に、所定量のカーボンナノチューブを添加し、ホモミキサー、ビーズミル、超音波分散機等を用いて、機械的な分散を行なう。その結果、カーボンナノチューブに還元性高分子微粒子が担持した分散液が得られる。その後、この分散液を乾燥することによって有機溶媒を除いた担持物を得る。
続いて、該担持物を、成形前の樹脂に混合させて混合物を作製する工程について説明する。得られた担持物を成形前の樹脂へ添加し、混合させて混合物を得る。なお、この混合物をマスターバッチとし、次工程の成形前や成型時において更に樹脂を添加しながら濃度を希薄してもよい。
続いて、該混合物を成形して成形品を作製する工程について説明する。得られた混合物を射出成形等で所望形状に成形して成形品を得る。
続いて、該成形品を無電解めっき法によるめっき膜を設けてめっき物を作製する工程について説明する。得られた成形品を無電解めっき法によりめっき膜を設けてめっき物とするが、該無電解めっき法は、通常知られた方法に従って行うことができる。即ち、前記成形品を塩化パラジウム等の触媒金属を付着させるための触媒液に該成形品を浸漬した後、水洗等を行い、無電解めっき浴に浸漬することによりめっき物を得ることができる。
上記触媒液は、無電解めっきに対する触媒活性を有する貴金属(触媒金属)を含む溶液であり、触媒金属としては、パラジウム、金、白金、ロジウム等が挙げられ、これら金属は単体でも化合物でもよく、触媒金属を含む安定性の点からパラジウム化合物が好ましく、その中でも塩化パラジウムが特に好ましい。好ましい、具体的な触媒液としては、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。
上記触媒液で処理された成形品は、金属を析出させるためのめっき液に浸され、これにより無電解めっき膜が形成される。めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル、クロム等、全て適用することができるが、銅が好ましい。無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)等が挙げられる。処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし30分、好ましくは、5ないし15分である。
また、無電解めっき法における金属触媒は、還元性高分子微粒子に吸着されるものであるが、導電性高分子微粒子を担持させたカーボンナノチューブを樹脂中に添加し、その樹脂混合物を成形したものについては、特開2008−190026号公報に記載されているような脱ドープ処理を行うことにより、導電性の高分子微粒子から還元性の高分子微粒子としてから無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物を得るようにしてもよい。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるもの
ではない。
ではない。
製造例1:導電性ポリピロール微粒子(分散液)の調製
スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム1.5mmolをイオン交換水10
0mLに溶解し、次いでピロールモノマー21.2mmolを加え、30分攪拌した後、
0.2M過硫酸アンモニウム水溶液50mL(6mmol相当)を加え、20分間反応を
行った。次いでトルエン25mLを添加し、4時間撹拌した。反応終了後、有機層を回収
し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエン中に分散した導電性微粒子分散液を得て、ト
ルエンにて導電性微粒子の固形分濃度0.6%に調整した。なお、導電性微粒子分散液中
の導電性微粒子の粒子径は、平均20nmであった。
スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム1.5mmolをイオン交換水10
0mLに溶解し、次いでピロールモノマー21.2mmolを加え、30分攪拌した後、
0.2M過硫酸アンモニウム水溶液50mL(6mmol相当)を加え、20分間反応を
行った。次いでトルエン25mLを添加し、4時間撹拌した。反応終了後、有機層を回収
し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエン中に分散した導電性微粒子分散液を得て、ト
ルエンにて導電性微粒子の固形分濃度0.6%に調整した。なお、導電性微粒子分散液中
の導電性微粒子の粒子径は、平均20nmであった。
製造例2:導電性高分子微粒子をカーボンナノチューブの表面に担持させた担持物を作製する工程
得られた導電性微粒子分散液にカーボンナノチューブを添加し、ホモミキサーで分散させた。その後、エバポレーターで有機溶媒を分離した後、室温にて風乾し、カーボンナノチューブに導電性微粒子を担持させた粉末状の担持物を得た。
得られた導電性微粒子分散液にカーボンナノチューブを添加し、ホモミキサーで分散させた。その後、エバポレーターで有機溶媒を分離した後、室温にて風乾し、カーボンナノチューブに導電性微粒子を担持させた粉末状の担持物を得た。
製造例3:該担持物を、成形前の樹脂に混合させて混合物を作製する工程
得られた粉末状の担持物を、ポリプロピレン樹脂に対して50wt%となるように添加し、混合させて混合物を得た。
得られた粉末状の担持物を、ポリプロピレン樹脂に対して50wt%となるように添加し、混合させて混合物を得た。
製造例4:該混合物を、成形して成形品を作製する工程
得られた混合物に対して、更にポリプロピレン樹脂を添加し希薄させた混合物を射出成形し、成形品を得た。
得られた混合物に対して、更にポリプロピレン樹脂を添加し希薄させた混合物を射出成形し、成形品を得た。
製造例5:導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性高分子微粒子とする工程
得られた成形品を、1M水酸化ナトリウム水溶液中に、35℃で5分間浸漬後、洗浄水で洗浄することにより、導電性の高分子微粒子を還元性の高分子微粒子とした。すなわち、成形品の表面に露出したカーボンナノチューブに担持している高分子微粒子は、還元性の高分子微粒子である。
得られた成形品を、1M水酸化ナトリウム水溶液中に、35℃で5分間浸漬後、洗浄水で洗浄することにより、導電性の高分子微粒子を還元性の高分子微粒子とした。すなわち、成形品の表面に露出したカーボンナノチューブに担持している高分子微粒子は、還元性の高分子微粒子である。
製造例6:該成形品を、無電解めっき法によりめっき膜を設けてめっき物を作製する工程
上記脱ドープ処理された成形品を、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液中に35℃で5分間浸漬後、洗浄水で水洗した。続いて、該成形品を無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し銅めっきを施し、洗浄水で水洗した後、水分を乾燥させて、めっき物を製造した。
上記脱ドープ処理された成形品を、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液中に35℃で5分間浸漬後、洗浄水で水洗した。続いて、該成形品を無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し銅めっきを施し、洗浄水で水洗した後、水分を乾燥させて、めっき物を製造した。
得られためっき物において、JIS H 8504テープ試験方法に準じて、カッターで2mm角の条こんを100個した後にテープによる引き剥がし試験を実施した。その結果、めっき膜の剥離がなく良好なものであった。
Claims (3)
- 成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物であって、
該成形品は、導電性高分子微粒子をカーボンナノチューブに担持させた担持物と、樹脂とからなることを特徴とするめっき物。 - 成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物の製造方法であって、
1)還元性高分子微粒子を、カーボンナノチューブの表面に担持させた担持物を作製する工程と、
2)該担持物を、成形前の樹脂に混合させて混合物を作製する工程と、
3)該混合物を、成形して成形品を作製する工程と、
4)該成形品に、無電解めっき法によるめっき膜を設けてめっき物を作製する工程とからなることを特徴とするめっき物の製造方法。 - 前記還元性高分子微粒子として、導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした微粒子を用いることを特徴とする請求項2記載のめっき物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009180248A JP2011031503A (ja) | 2009-08-03 | 2009-08-03 | 成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物とその製造方法。 |
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JP2009180248A JP2011031503A (ja) | 2009-08-03 | 2009-08-03 | 成形品に無電解めっき法によるめっき膜を設けためっき物とその製造方法。 |
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