実施の形態1.
図1乃至図24は実施の形態1を示す図で、図1は電動機の固定子100を逆曲げして巻線した状態を示す斜視図、図2は固定子鉄心1(帯状)の斜視図、図3は電動機の固定子100を用いる12スロット/8極の同期電動機の断面図、図4は電動機の固定子100の固定子巻線の結線図、図5は電動機の固定子100の固定子巻線の結線方法を示す展開図、図6は電源端子4の斜視図、図7は中性点端子5の斜視図、図8は変形例の中性点端子5の斜視図、図9は帯状の固定子鉄心1に絶縁部3を施した状態を示す正面図(但し、反結線側は省略している)、図10は図9の#1〜#4ティース1a付近の拡大図、図11は図9の#5〜#8ティース1a付近の拡大図、図12は図9の#9〜#12ティース1a付近の拡大図、図13は電動機の固定子100の巻線手順を示す図((a)は一相目(U相)の巻線手順、(b)は二相目(V相)の巻線手順、(c)は三相目(W相)の巻線手順)、図14は図13(a)の一相目(U相)のコイルU1を示す拡大図、図15は図13(a)の一相目(U相)のコイルU2を示す拡大図、図16は図13(a)の一相目(U相)のコイルU3、コイルU4を示す拡大図、図17は図13(b)の二相目(V相)のコイルV4を示す拡大図、図18は図13(b)の二相目(V相)のコイルV2、コイルV3を示す拡大図、図19は図13(b)の二相目(V相)のコイルV1を示す拡大図、図20は図13(c)の三相目(W相)のコイルW1、コイルW2を示す拡大図、図21は図13(c)の三相目(W相)のコイルW3を示す拡大図、図22は図13(c)の三相目(W相)のコイルW4を示す拡大図、図23は電動機の固定子100の斜視図、図24は中性点端子5付近の部分拡大図である。
本実施の形態1の電動機の固定子100は、例えば、永久磁石を用いる回転子と組み合わされてブラシレスDCモータ(同期電動機)を構成する。
実施の形態1では、12スロット/8極の電動機の固定子100について説明する。この電動機の固定子100は、以下に示す点に特徴がある。尚、各符号については、後述する。
(1)固定子鉄心1のスロット数が12(固定子鉄心1は、12個のティース1aを有する):
(2)コイル2は、三相のシングルY結線で、極数は8極である。コイル2は、12個のティース1aの夫々に巻回される集中巻方式である;
(3)固定子鉄心1は、厚さが0.1〜0.7mm程度の電磁鋼板を帯状に打ち抜き、これらをかしめ、溶接、接着等で積層して形成される。帯状の固定子鉄心1は、12個のティース1aを有する;
(4)帯状の固定子鉄心1に、コイル2と固定子鉄心1との間の絶縁となる絶縁部3が施される。絶縁部3は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を用いて、固定子鉄心1と一体に成形される。但し、絶縁部3を成形後、ティース1aに組付けてもよい。その場合は、絶縁部3は結線側と反結線側とに分割され、それぞれをティース1aの軸方向両端部から挿入して絶縁部3を構成する。絶縁部3は、ティース1a毎に設けられる。従って、ここでは、12個の絶縁部3を備えることになる;
(5)帯状の固定子鉄心1に絶縁部3を施したら、次に絶縁部3の一方の軸方向端部(結線側)の所定の箇所に、三個の電源端子4と、一個の中性点端子5を挿入する;
(6)本実施の形態は、電源端子4と中性点端子5に、平角線を用いることを特徴とする。平角線の詳細は後述する;
(7)帯状の固定子鉄心1を完成後の電動機の固定子100と逆方向に曲げて、ティース1a同士の間の開口部が広くなるようにする。それにより、ティース1aにコイル2を巻回しやすくなる;
(8)一相目と二相目を連続して巻線する(渡り線を切断しない)。本実施の形態は、この点にも特徴がある;
(9)三相目を巻線する。三相目は、一相目と二相目とは異なる別のマグネットワイヤーによりコイルが形成される;
(10)巻線後の固定子鉄心1をティース1aが内側になるように正曲げする(所定の方向に曲げられて略ドーナツ状となる);
(11)固定子鉄心1の固定子鉄心突合せ部63を溶接して、溶接部64で固定する;
(12)電源端子4、中性点端子5のヒュージング;
(13)さらに電動機の固定子100に外部と接続される結線部品41を組付け、機械的に、且つ電気的に接合する。
図1に示す電動機の固定子100は、固定子鉄心1を逆曲げして巻線を完了した状態を示している。そして、電動機の固定子100を結線側の斜め上方から見ている図である。但し、コイル2の巻き始め端末、巻き終わり端末、渡り線等は、図示していない。
固定子鉄心1を逆曲げしているので、ティース1aが外側を向いている。また、隣接するティース1aの間には広い空間があり、ティース1aにマグネットワイヤーを容易に巻くことができる。
固定子鉄心1に一体成形された絶縁部3の外壁の結線側(図1の軸方向上側)の所定の箇所に、三個の電源端子4が挿入されている。
また、固定子鉄心1に一体成形された絶縁部3の外壁の結線側(図1の軸方向上側)の所定の箇所に、一個の中性点端子5が挿入されている。
中性点端子5が組付けられる絶縁部3の外壁の結線側に、中性点端子5の引き回し用突起7が設けられる。引き回し用突起7については、後述する。
さらに、絶縁部3の外壁の結線側に、各相の渡り線を、固定子鉄心1の軸方向端面からの高さを所定の位置に保持する突起8を備える。この点についても、詳細は後述する。
図2を参照しながら帯状の固定子鉄心1の構成を説明する。本実施の形態における電動機の固定子100は、12スロットであるから、ティース1aも12個である。
帯状の固定子鉄心1は、厚さが0.1〜0.7mm程度の電磁鋼板が帯状に打ち抜かれ、かしめ、溶接、接着等で積層される。
各ティース1aの形状は、平面視で略T字である。ティース1aは、コアバック1bから略垂直に延びている。
ティース1aの先端部1a−1(コアバック1bの反対側)は、正面視で略四角形である。ティース1aの先端部1a−1は、固定子鉄心1に絶縁部3を一体成形した後も露出している。図示しない回転子と電動機の固定子100との間は、径方向の寸法が1mm以下の空隙とする必要がある。そのため、ティース1aの先端部1a−1には絶縁部3を設けない。
隣接するティース1aは、コアバック1bが薄肉連結部1cで連結されている。そのため、帯状の固定子鉄心1は、逆曲げや正曲げを自在に行うことができる。
帯状の固定子鉄心1における両端のティース1aのコアバック1bの外側の端面であるコア端面1dは、巻線後の固定子鉄心1をティース1aが内側になるように正曲げし、固定子鉄心突合せ部63を溶接して溶接部64で固定する際に互いに当接する。固定子鉄心突合せ部63、溶接部64は、図23参照。
図3に示すように、12スロット/8極の同期電動機は、ティース1aの数と回転子の磁極の数の比が3:2となる同期電動機である。
この固定子のコイルの配置は、各相の巻線をU、V、Wの順番に並べて配置し、それぞれに120°位相のずれた交流の電流を流すことにより、同期電動機を駆動する。
各ティース1aに巻かれるコイル2の巻き方向は、全て同じ方向である。
U相のコイルは、コイルU1、コイルU2、コイルU3、コイルU4で構成される。コイルU1の巻き始めは、電源端子4の一つであるU端子に接続される。コイルU4の巻き終わりは、中性点端子5(中性点)に接続される。
V相のコイルは、コイルV1、コイルV2、コイルV3、コイルV4で構成される。コイルV1の巻き始めは、電源端子4の一つであるV端子に接続される。コイルV4の巻き終わりは、中性点端子5(中性点)に接続される。V端子は、U端子が設けられるティース1aの隣のティース1a(図3の例では、U端子が設けられるティース1aの反時計方向の隣のティース1a)の絶縁部3に設けられる。
W相のコイルは、コイルW1、コイルW2、コイルW3、コイルW4で構成される。コイルW1の巻き始めは、電源端子4の一つであるW端子に接続される。コイルW4の巻き終わりは、中性点端子5(中性点)に接続される。W端子は、V端子が設けられるティース1aの隣のティース1a(図3の例では、V端子が設けられるティース1aの反時計方向の隣のティース1a)の絶縁部3に設けられる。
図4の電動機の固定子100の固定子巻線の結線図に示すように、電動機の固定子100の固定子巻線は、シングルYに結線される。即ち、U相のコイルU1、コイルU2、コイルU3、コイルU4が直列に接続される。また、V相のコイルV1、コイルV2、コイルV3、コイルV4が直列に接続される。さらに、W相のコイルW1、コイルW2、コイルW3、コイルW4が直列に接続される。そして、コイルU4、コイルV4、コイルW4の巻き終わりが中性点Nに接続される。
図5の電動機の固定子100の固定子巻線の結線方法を示す展開図により、さらに固定子巻線の結線方法を説明する。
ここでは、一相目をU相、二相目をV相、三相目をW相と呼ぶことにする。一相目のU相は、左から3番目のティース1aに最初のコイルU1が形成される。コイルU2は、左から6番目のティース1aに形成される。コイルU3は、左から9番目のティース1aに形成される。コイルU4は、左から12番目のティース1a(右側から1番目のティース1a)に形成される。コイルU1、コイルU2、コイルU3、コイルU4の巻き方向は全て同じである。
二相目のV相は、左から2番目のティース1aに最初のコイルV1が形成される。コイルV2は、左から5番目のティース1aに形成される。コイルV3は、左から8番目のティース1aに形成される。コイルV4は、左から11番目のティース1a(右側から2番目のティース1a)に形成される。コイルV1、コイルV2、コイルV3、コイルV4の巻き方向は全て同じである。
三相目のW相は、左から1番目のティース1aに最初のコイルW1が形成される。コイルW2は、左から4番目のティース1aに形成される。コイルW3は、左から7番目のティース1aに形成される。コイルW4は、左から11番目のティース1a(右側から3番目のティース1a)に形成される。コイルW1、コイルW2、コイルW3、コイルW4の巻き方向は全て同じである。
既に述べたように、コイルU1、コイルV1、コイルW1の巻き始めは、夫々電源端子4に接続される。また、コイルU4、コイルV4、コイルW4の巻き終わりは、夫々中性点端子5に接続される。
本実施の形態は、電源端子4及び中性点端子5に平角線を用いる点に特徴がある。
図6に示す電源端子4は平角線を折り曲げて形成される。平角線は、材質は銅であり、例えば錫銅合金の溶融めっきが施される。平角線は、一例では、厚さが0.5mm、幅が1.0mmである。
電源端子4は、平角線を絶縁部3に備える角穴(図示せず)に電源端子4を挿入する挿入部4bに対し略90°曲げる。所定の位置で略180°曲げて折り返し部4aを形成し、さらに、絶縁部3に挿入される挿入部4bに対してほぼ逆に伸びるように略90°曲げることにより形成される。
図7に示す中性点端子5も電源端子4と同じ平角線を使用する。平角線を絶縁部3に備える角穴(図示せず)に中性点端子5を挿入する挿入部5dに対し略90°曲げる。所定の位置で略180°曲げて第一の折り返し部5aを形成する。さらに、絶縁部3への挿入部5dに対し略対称となる位置で、挿入部5d側に略180°曲げて第二の折り返し部5bを形成する。第二の折り返し部5bの先端部5b−1と絶縁部3への挿入部5dとの間に開口部5cを備える。
尚、電源端子と中性点端子は、例えばプレス打ち抜きによる端子製造に対して、材料のロスが無いことからコスト低減が図れる。また、電源端子4、中性点端子5に平角線を用いる例を説明したが、平角線でなくてもよく角線であればよい。
また、中性点端子5は、幅Wの制約がない場合は、図8に示すように、第一の折り返し部5aと、第二の折り返し部5bとを逆方向に曲げてもよい。
図9〜図12により絶縁部3が施された帯状の固定子鉄心1の構成を説明する。図9は絶縁部3が施された帯状の固定子鉄心1を水平にしてティース1a側から結線側を見ている。ティース1aは12個あるが、夫々に番号を付ける。左側から順に、#1、#2、・・・#12とする。
但し、図9は#1〜#12のティース1aの結線側全体を見ているので細かくて解りにくいので、これらを三つに分けて#1〜#4のティース1aを図10、#5〜#8のティース1aを図11、#9〜#12のティース1aを図12に拡大して示す。
絶縁部3が施された#1のティース1aには、三相目(W相)のコイルW1が形成される。図9、図10に示すように、この絶縁部3の外壁に備える角穴に、軸方向端面の略中央部に電源端子4が挿入されている。後述するが、電源端子4には、三相目(W相)のコイルW1の巻始めとなるマグネットワイヤーが引掛けられる。
また、#1のティース1aの絶縁部3の外壁には、一番左側に三相目巻始めからげピン60が形成されている。後述するが、三相目巻始めからげピン60に、三相目(W相)のマグネットワイヤーの端末がからげられる。
三相目(W相)の巻線は、コイルW1、コイルW2、コイルW3、コイルW4で構成されるが、これらは一本の連続したマグネットワイヤーで形成される。コイルW1→コイルW2、コイルW2→コイルW3、コイルW3→コイルW4、コイルW4→中性点端子5に渡るマグネットワイヤーを渡り線と呼ぶ。この明細書では、三相目(W相)の渡り線を、渡り線2cとする。同様に、一相目(U相)の渡り線を渡り線2a、二相目(V相)の渡り線を渡り線2bとする(図13参照)。
また、#1のティース1aの絶縁部3の外壁には、右端に三相目渡り線引出し部26が形成されている。#1のティース1aの絶縁部3の三相目渡り線引出し部26から、コイルW1→コイルW2の渡り線2cが固定子鉄心1の外周側に引出される。
絶縁部3が施された#2のティース1aには、二相目(V相)のV1コイルが形成される。この絶縁部3の外壁に備える角穴に、軸方向端面の略中央部に電源端子4が挿入されている。電源端子4には、二相目(V相)のV1コイルの巻終りとなるマグネットワイヤーが引掛けられる。
後述するが、本実施の形態では、一相目(U相)と二相目(V相)の巻線は、マグネットワイヤーを切断することなく連続している。一相目(U相)のコイルは、図9の左から右に順に形成される。また、二相目(V相)のコイルは、中性点からスタートして図9の右から左に順に形成される。従って、絶縁部3が施された#2のティース1aに形成される二相目(V相)のV1コイルは、二相目(V相)の最後に形成されるコイルとなる。そのため、#2のティース1aの絶縁部3の外壁の角穴に挿入される電源端子4に、二相目(V相)のV1コイルの巻終りとなるマグネットワイヤーが引掛けられるのである。
また、#2のティース1aの絶縁部3の外壁には、一番左側に二相目巻終りからげピン24が形成されている。後述するが、二相目巻終りからげピン24に、二相目(V相)のマグネットワイヤーの端末(巻終り)がからげられる。
また、#2のティース1aの絶縁部3の外壁には、一番右側に三相目渡りからげピン27が形成されている。後述するが、三相目渡りからげピン27には、三相目(W相)の渡り線2c(コイルW1→コイルW2)がからげられる。
三相目渡りからげピン27の左側が二相目渡り線入口21になっている。二相目渡り線入口21から、二相目(V相)の渡り線2b(V2→V1)が、ティース1aに引き回される。
絶縁部3が施された#3のティース1aには、一相目(U相)のU1コイルが形成される。この絶縁部3の外壁に備える角穴に、軸方向端面の略中央部に電源端子4が挿入されている。電源端子4には、一相目(U相)のU1コイルの巻始めとなるマグネットワイヤーが引掛けられる。
また、#3のティース1aの絶縁部3の外壁には、一番左側に一相目巻始めからげピン10が形成されている。後述するが、一相目巻始めからげピン10に、一相目(U相)のマグネットワイヤーの端末がからげられる。
また、#3のティース1aの絶縁部3の外壁には、右端に一相目渡り線引出し部11が形成されている。#3のティース1aの絶縁部3の一相目渡り線引出し部11から、コイルU1→コイルU2の渡り線2aが固定子鉄心1の外周側に引出される。
絶縁部3が施された#4のティース1aには、三相目(W相)のW2コイルが形成される。
#4のティース1aの絶縁部3の外壁には、中央に基板(図示せず)を組付けるピン70を備える。また、ピン70の左側に三相目渡り線入口28が形成されている。また、ピン70の右側に三相目渡り線引出し部26が形成されている。
また、#4のティース1aの絶縁部3の外壁には、右端に一相目渡りからげピン12を備える。後述するが、この一相目渡りからげピン12には、コイルU1→コイルU2の渡り線2aがからげられる。
さらに、#4のティース1aの絶縁部3の外壁には、一相目渡りからげピン12の左側に切り欠き50を備える。一相目渡り線引出し部11(#3のティース1a)と、一相目渡り線入口14(後述する、例えば、#6のティース1a)と、切り欠き50は、固定子鉄心1の軸方向端面からの高さがほぼ同じとなっている。
絶縁部3が施された#5のティース1aには、二相目(V相)のV2コイルが形成される。
図11に示すように、#5のティース1aの絶縁部3の外壁には、その右端に二相目渡り線入口21を備える。また、#5のティース1aの絶縁部3の外壁には、その左端に二相目渡り線引出し部19を備える。
絶縁部3が施された#6のティース1aには、一相目(U相)のU2コイルが形成される。
#6のティース1aの絶縁部3の外壁には、中央に基板(図示せず)を組付けるピン70を備える。ピン70の左側に、一相目(U相)の渡り線2aが入る一相目渡り線入口14を備える。
また、ピン70の右側に、一相目(U相)の渡り線2aが引出される一相目渡り線引出し部11が形成されている。#6のティース1aの絶縁部3の一相目渡り線引出し部11から、コイルU2→コイルU3の渡り線2aが固定子鉄心1の外周側に引出される。
絶縁部3が施された#7のティース1aには、三相目(W相)のW3コイルが形成される。
#7のティース1aの絶縁部3の外壁には、中央付近の左側に三相目渡り線入口28が形成されている。また、中央付近の右側に三相目渡り線引出し部26が形成されている。
また、#7のティース1aの絶縁部3の外壁には、右端に一相目渡りからげピン12を備える。後述するが、この一相目渡りからげピン12には、コイルU2→コイルU3の渡り線2aがからげられる。
絶縁部3が施された#8のティース1aには、二相目(V相)のV3コイルが形成される。
#8のティース1aの絶縁部3の外壁には、その右端に二相目渡り線入口21を備える。また、#8のティース1aの絶縁部3の外壁には、その左端に二相目渡り線引出し部19を備える。
絶縁部3が施された#9のティース1aには、一相目(U相)のU3コイルが形成される。
図12に示すように、#9のティース1aの絶縁部3の外壁には、中央に基板(図示せず)を組付けるピン70を備える。ピン70の左側に、一相目(U相)の渡り線2aが入る一相目渡り線入口14を備える。
また、ピン70の右側に、一相目(U相)の渡り線2aが引出される一相目渡り線引出し部11が形成されている。#9のティース1aの絶縁部3の一相目渡り線引出し部11から、コイルU3→コイルU4の渡り線2aが固定子鉄心1の外周側に引出される。
絶縁部3が施された#10のティース1aには、三相目(W相)のW4コイルが形成される。
#10のティース1aの絶縁部3の外壁には、中央付近の左側に三相目渡り線入口28が形成されている。また、中央付近の右側に三相目渡り線引出し部26が形成されている。
また、#10のティース1aの絶縁部3の外壁には、右端に一相目渡りからげピン12を備える。後述するが、この一相目渡りからげピン12には、コイルU3→コイルU4の渡り線2aがからげられる。
また、#10のティース1aの絶縁部3の外壁には、左端に二相目渡りからげピン20を備える。後述するが、この二相目渡りからげピン20には、コイルV4→コイルV3の渡り線2bがからげられる。
絶縁部3が施された#11のティース1aには、二相目(V相)のV4コイルが形成される。
#11のティース1aの絶縁部3の外壁の略中央部に備える角穴に、中性点端子5が挿入されている。
#11のティース1aの絶縁部3の外壁の略中央部に、中性点端子5の引き回し用突起7が形成されている。
また、#11のティース1aの絶縁部3の外壁には、その右端に一相目巻終りからげピン16を備える。後述するが、一相目(U相)の巻終りが一相目巻終りからげピン16にからげられる。
また、#11のティース1aの絶縁部3の外壁には、その左端に三相目巻終りからげピン29を備える。後述するが、三相目(W相)の巻終りが三相目巻終りからげピン29に1回以上からげられた後に、中性点端子5の第二の折り返し部5bに掛けられて、さらにもう一度三相目巻終りからげピン29まで引戻し、かつ、三相目巻終りからげピン29の上部に1回以上巻付けて三相目の巻終りとなる。
絶縁部3が施された#12のティース1aには、一相目(U相)のU4コイルが形成される。
#12のティース1aの絶縁部3の外壁には、その右端に一相目巻終り引出し部15を備える。後述するが、一相目の最後となるコイルU4が形成された後のマグネットワイヤーは、一相目巻終り引出し部15より固定子鉄心1の外周側に引出される。
#12のティース1aの絶縁部3の外壁には、外壁絶縁部の右端に基板(図示せず)を組付けるピン70を備える。
図13〜図22により、12スロット/8極の三相巻線のシングルY結線を施す手順を説明する。コイル2は、完成後の電動機の固定子100と逆方向に曲げられた状態で施されるが、ここでは、帯状の展開図で説明する。
図13は細かくて見にくいため、図13(a)、図13(b)、図13(c)をそれぞれ三つに分けて図14〜図22に示す。
先ず、一相目、二相目、三相目を次のように定義する。一相目は固定子鉄心1の端面に最も近い高さの位置を渡り線が引回されて接続されるU相のコイルを指す。
二相目は一相目の渡り線が引回される固定子鉄心1の端面に最も近い高さの位置の外側の、次の2段目を渡り線が引回されて接続されるV相のコイルを指す。
三相目は二相目の2段目の、次の3段目を渡り線が引回されて接続されるW相のコイルを指す。
図13(a)、図14〜図16を用いて、一相目のU相の巻線手順について説明する。一相目の最初に形成されるコイルは、図13(a)で示す通り、固定子鉄心1の一方の端部(図13(a)では左端)から3番目の#3のティース1aの絶縁部3に、マグネットワイヤーが巻付けられて形成される。
図14に示すように、先ず、#3のティース1aの絶縁部3の外周側に備える一相目巻始めからげピン10にマグネットワイヤーの端末がからげられる。その後、絶縁部3の外壁に備える角穴に挿入された電源端子4の折り返し部4aに一相目の巻始めとなるマグネットワイヤーが引掛けられる。そして、ティース1aに形成された絶縁部3に左巻き(反時計方向)に所定の回数巻付けられて、一相目のコイルU1が形成される。
「絶縁部3の外周側」という表現は、完成後の電動機の固定子100における外周側のことである。
コイルU1が形成された後に、渡り線2aが絶縁部3の外壁の一相目渡り線引出し部11より固定子鉄心1の外周側に引出される。
一相目の最初のコイルU1が形成された#3のティース1aの隣の#4のティース1a(図14では、右隣)の絶縁部3の、渡り線2aが渡ってきた側の反対側に設けられる一相目渡りからげピン12に、1回以上渡り線2aがからげられ、からげ部13を形成する。からげ部13から、渡り線2aは再び固定子鉄心1の外周側に引出される。
図15に示すように、渡り線2aは#5のティース1aの絶縁部3の外周側を渡り、#6のティース1aの絶縁部3の外壁に設けられた一相目渡り線入口14よりティース1a(図13(a)では、左側から6番目のティース1a)まで引回され、最初のコイルU1と同様にティース1aに所定の回数左巻き(反時計方向)に巻付けられて一相目のコイルU2が形成される。
一相目のコイルU2が形成された#6のティース1aの隣の#7のティース1a(図15では、右隣)の絶縁部3の外壁の、渡り線2aが渡ってきた側の反対側に設けられる一相目渡りからげピン12に、1回以上渡り線2aがからげられ、からげ部13を形成する。からげ部13から、渡り線2aは再び固定子鉄心1の外周側に引出される。
固定子鉄心1の外周側に引出された渡り線2aは、#8のティース1aの絶縁部3の外壁の外周側を渡る。
このとき渡り線2aは、絶縁部3の外壁の外側に設けられる突起8(例えば、図1)により相毎に固定子鉄心1の軸方向端面からの高さを所定の位置に保持されるが、一相目の渡り線2aは最も固定子鉄心1に近い1段目を引回される。
また、一相目渡り線入口14と、一相目渡り線引出し部11と、一相目渡りからげピン12横(図13(a)では左横)の絶縁部3の切り欠き50は、固定子鉄心1の軸方向端面からの高さがほぼ同じとなっている。
図16に示すように、#8のティース1aの絶縁部3の外周側を渡ってきた渡り線2aは、#9のティース1aの絶縁部3に設けられた一相目渡り線入口14よりティース1aまで引回され、コイルU2と同様にティース1aに所定の回数左巻き(反時計方向)に巻付けられて一相目のコイルU3が形成される。
一相目のコイルU3が形成された#9のティース1aの隣の#10のティース1a(図16では、右隣)の絶縁部3の外壁の、渡り線2aが渡ってきた側の反対側に設けられる一相目渡りからげピン12に、1回以上渡り線2aがからげられ、からげ部13を形成する。からげ部13から、渡り線2aは再び固定子鉄心1の外周側に引出される。
固定子鉄心1の外周側に引出された渡り線2aは、#11のティース1aの絶縁部3(中性点端子5を備える)の外壁の外周側を渡る。
#11のティース1aの絶縁部3の外壁の外周側を渡ってきた渡り線2aは、#12のティース1aの絶縁部3の外壁に設けられた一相目渡り線入口14よりティース1aまで引回され、コイルU3と同様にティース1aに所定の回数左巻き(反時計方向)に巻付けられて一相目のコイルU4が形成される。
一相目の最後となるコイルU4が形成された後のマグネットワイヤーは、コイルU4が形成されるティース1aの絶縁部3の外壁に設けられた一相目巻終り引出し部15(基板(図示せず)を組付けるピン70の左横)より外周側に引出される。一相目の渡り線2aが引回された方向とは逆方向(図16では左方向)に引回され、隣の#11のティース1aに設けられた絶縁部3の外壁まで引回されて一相目巻終りとなる。
このとき、一相目巻終り引出し部15の高さを中性点端子5の第一の折り返し部5a、及び第二の折り返し部5bの高さより高い位置とすることで、中性点端子5へのマグネットワイヤーの引き回しが容易となり、生産性の向上、かつ製造上の品質向上が図れる。
以下、二相目(V相)の巻線手順について図13(b)、図17〜図19により説明する。一相目巻終りは、隣の二相目の最初のコイルV4が形成される#11のティース1aの絶縁部3の外壁の右端に設けられた一相目巻終りからげピン16に1回以上からげられる。
コイルV4が形成される#11のティース1aの絶縁部3の外壁に設けられた中性点端子5の引き回し用突起7を利用して、絶縁部3に組付けられた略T字状の中性点端子5の第一の折り返し部5aに掛けられた後、ティース1aまで引回されて、二相目巻始め18となる。
中性点端子5の引き回し用突起7にマグネットワイヤーを引掛けることで、中性点端子5の第一の折り返し部5aにマグネットワイヤーを確実に収めることが可能なため、製造上の品質向上が図れる。
ここで、中性点端子5の引き回し用突起7にマグネットワイヤーを引掛けるということは、以下のような意味合いである。図24を参照しながら説明する。
即ち、一相目巻終りを一相目巻終りからげピン16にからげ、ここを支点にしてノズルで二相目巻始め18のマグネットワイヤーを先ずマグネットワイヤーが引き回し用突起7のティース側を、かつ、絶縁部3の外壁左端に備える三相目巻終りからげピン29側に引っ張る。ノズルが引き回し用突起7をすぎたら、次いで、反ティース1a側(電動機の固定子100の外周側)に移動する。引き回し用突起7は、中性点端子5より軸方向の外側に突出しているので、この状態で、マグネットワイヤーを引き回し用突起7に当てることができる。次に、マグネットワイヤーを引き回し用突起7に当てた状態を維持しながらノズルを第二の折り返し部5bより下げつつ、第二の折り返し部5bの左横を通り(マグネットワイヤーは右横)、絶縁部3の外壁の内周側(図24では下方)に移動する。すると、マグネットワイヤーは、中性点端子5の開口部5cから中性点端子5の中に入る。そして、ノズルを第一の折り返し部5a側に移動すれば、マグネットワイヤーは中性点端子5の第一の折り返し部5aに掛けられる。
二相目の最初のコイルV4は、中性点端子5の第一の折り返し部5aに引掛けられ、マグネットワイヤーを切断することなく連続して#11のティース1aに、一相目のコイルとは逆の方向(右巻き(時計方向))に所定の回数巻付け形成される。
二相目の最初のコイルV4が形成された後に、二相目の渡り線2bが二相目渡り線引出し部19より固定子鉄心1の外周側に引出される。
一相目の渡り線2aが引回される方向とは逆の方向(図17では左方向)に渡り、隣の#10のティース1aの絶縁部3の外壁の渡り線2bが渡ってきた側の反対側に備える二相目渡りからげピン20に1回以上からげられて、からげ部51を形成する。
固定子鉄心1の外周側に引出された渡り線2bは、#9のティース1aの絶縁部3の外壁の外周側を渡る。
図18に示すように、#8のティース1a(図13(b)の右から5番目)の絶縁部3の外壁に備える二相目渡り線入口21よりティース1aまで引回される。最初のコイルV4と同様に、ティース1aに所定の回数右巻き(時計方向)に巻付けられて二相目のコイルV3が形成される。
このとき二相目の渡り線2bは、固定子鉄心1の端面から2段目の高さ位置を引回される(突起8(図1)により、分けられる)。また、一相目と同様に、二相目渡り線入口21と、二相目渡り線引出し部19と、二相目渡りからげピン20横(図13(b)では右横)の絶縁部3の切り欠き52は、固定子鉄心1の軸方向端面からの高さがほぼ同じとなっている。
二相目のコイルV3が形成された#8のティース1aの左隣の#7のティース1aの絶縁部3の外壁の、渡り線2bが渡ってきた側の反対側に設けられる二相目渡りからげピン20に、1回以上渡り線2bがからげられ、からげ部51を形成する。からげ部51から、渡り線2bは再び固定子鉄心1の外周側に引出される。
固定子鉄心1の外周側に引出された渡り線2bは、#6のティース1aの絶縁部3の外壁の外周側を渡る。
#5のティース1aの絶縁部3の外壁に備える二相目渡り線入口21よりティース1aまで引回される。コイルV3と同様に、ティース1aに所定の回数右巻き(時計方向)に巻付けられて二相目のコイルV2が形成される。
図19に示すように、二相目のコイルV2が形成された#5のティース1aの左隣の#4のティース1aの絶縁部3の外壁の、渡り線2bが渡ってきた側の反対側に設けられる二相目渡りからげピン20に、1回以上渡り線2bがからげられ、からげ部51を形成する。からげ部51から、渡り線2bは再び固定子鉄心1の外周側に引出される。
固定子鉄心1の外周側に引出された渡り線2bは、#3のティース1aの絶縁部3の外周側を渡る。
#2のティース1aの絶縁部3に備える二相目渡り線入口21よりティース1aまで引回される。コイルV2と同様に、ティース1aに所定の回数右巻き(時計方向)に巻付けられて二相目のコイルV1が形成される。
二相目の最後となるコイルV1が形成された後のマグネットワイヤーは、コイルV1が巻かれる絶縁部3の外壁に組付けられた電源端子4の折り返し部4aに収められる。
二相目巻終り23が二相目巻終りからげピン24に巻付けられて、二相目巻終り23が形成され切断される。
このように二相目の最初に形成されるコイルV4は一相目の最後に形成されるコイルU4の隣となることから(図17参照)、巻線設備が所定の位置までの移動距離が最小となることで、加工時間の縮小が可能となり、加工コストの低減が図れる。
さらに、一相目(U相)と二相目(V相)とを切断することなく連続して引回すことが可能なことから、マグネットワイヤーを切断する工程が不要となり、さらに加工時間の縮小が可能で、加工コストの低減が図れる。
以下、三相目(W相)の巻線手順について図13(c)、図20〜図22により説明する。三相目の最初に形成されるコイルW1は、二相目の最後となるコイルV1が形成される#2のティース1a(左から2番目)の左隣の#1のティース1aに形成される。
三相目の最初に形成されるコイルW1は、一相目と同様に三相目巻始めからげピン60にマグネットワイヤーの端末が引き回された後、三相目巻始め25が電源端子4の折り返し部4aを介して#1のティース1aに施された絶縁部3へ引回され、左巻き(反時計方向)にティース1aに所定の回数巻付けられて、コイルW1が形成される。
渡り線2cに関しては、三相目渡り線引出し部26より固定子鉄心1の外周側に引出される。そして、右隣の#2のティース1aの絶縁部3の外壁に備える二相目渡り線入口21の横に備える三相目渡りからげピン27まで引回される。三相目渡りからげピン27に1回以上からげられて、からげ部53を形成する。
固定子鉄心1の外周側に引出された渡り線2cは、#3のティース1aの絶縁部3の外壁の外周側を渡る。
#4のティース1a(左から4番目)の絶縁部3の外壁に備える三相目渡り線入口28よりティース1aまで引回される。そして、最初のコイルW1と同様に#4のティース1aに所定の回数左巻き(反時計方向)に巻付けられて三相目のコイルW2が形成される。
このとき、渡り線2cは、固定子鉄心1の端面より最も離れた高さ位置を渡る。三相目渡り線入口28と、三相目渡り線引出し部26とは、固定子鉄心1の端面からの高さがほぼ同じとなっている。
図21に示すように、三相目のコイルW2が形成された#4のティース1aの隣の#5のティース1aの絶縁部3の外壁の、渡り線2cが渡ってきた側の反対側に設けられる三相目渡りからげピン27に、1回以上渡り線2cがからげられ、からげ部53を形成する。からげ部53から、渡り線2cは再び固定子鉄心1の外周側に引出される。
固定子鉄心1の外周側に引出された渡り線2cは、#6のティース1aの絶縁部3の外壁の外周側を渡る。
#7のティース1aの絶縁部3の外壁に備える三相目渡り線入口28よりティース1aまで引回される。そして、コイルW2と同様に#7のティース1aに所定の回数左巻き(反時計方向)に巻付けられて三相目のコイルW3が形成される。
三相目のコイルW3が形成された#7のティース1aの隣の#8のティース1aの絶縁部3の外壁の、渡り線2cが渡ってきた側の反対側に設けられる三相目渡りからげピン27に、1回以上渡り線2cがからげられ、からげ部53を形成する。からげ部53から、渡り線2cは再び固定子鉄心1の外周側に引出される。
図22に示すように、固定子鉄心1の外周側に引出された渡り線2cは、#9のティース1aの絶縁部3の外壁の外周側を渡る。
#10のティース1aの絶縁部3の外壁に備える三相目渡り線入口28よりティース1aまで引回される。そして、コイルW3と同様に#10のティース1aに所定の回数左巻き(反時計方向)に巻付けられて三相目のコイルW4が形成される。
三相目のコイルW2、コイルW3、コイルW4が形成される絶縁部3の外壁に備える三相目渡り線引出し部26と、三相目渡り線入口28とを、一相目渡りからげピン12横に備える切り欠き50及び二相目渡りからげピン20横に備える切り欠き52とは別に設けることにより、別相の渡り線同士が接触することを回避している。
三相目の最後となるコイルW4が形成された後に、マグネットワイヤーは三相目渡り線引出し部26(図22の#10のティース1aに形成される)より引出される。
さらに、中性点端子5を備える絶縁部3の外壁の三相目巻終りからげピン29まで引回される。三相目巻終りからげピン29に1回以上からげられた後に、中性点端子5の第二の折り返し部5bに掛けられて、さらにもう一度三相目巻終りからげピン29まで引戻し、かつ、三相目巻終りからげピン29の上部に1回以上巻付けて三相目の巻終りとなり、マグネットワイヤーを切断して巻線工程を終了する。
このように三相目の最初に形成されるコイルW1は、二相目の最後に形成されるコイルV1の右隣となる。従って、巻線設備が所定の位置までの移動距離が最小となる。そのため、加工時間の縮小が可能となり、加工コストの低減が図れる。
巻線工程が終了後に、固定子鉄心1は所定の方向に曲げられて略ドーナツ状となり、固定子鉄心1の固定子鉄心突合せ部63を溶接して、溶接部64で固定する(図23参照)。
このとき、各相の渡り線2a,2b,2cは、絶縁部3の外周側に備える突起8(図1)により所定の位置に保持され、各相の渡り線2a,2b,2c同士が接触することがなくなるので、品質の向上が図れる。但し、図23では、渡り線2a,2b,2cは図示していない。
さらに電源端子4、中性点端子5をヒュージングすることで、マグネットワイヤーと電源端子4及び中性点端子5とを電気的に、かつ、機械的に接合することで電動機の固定子100となる。
一般的には、中性点端子5を相毎にそれぞれ持つ。これに対し、本実施の形態では、中性点端子5を1つで賄うことで、部品点数を削減でき、コストの低減が図れる。
ここで、中性点をつくる中性点端子5を電源を供給する電源端子4と同じ材料(平角線)とすることで、コスト低減が可能となる。
実施の形態2.
実施の形態2では、12スロット/10極の電動機の固定子200について説明する。この電動機の固定子200は、以下に示す点に特徴がある。
(1)固定子鉄心1のスロット数が12(固定子鉄心1は、12個のティース1aを有する);
(2)コイル2は、三相のシングルY結線で、極数は10極である。コイル2は、12個のティース1aの夫々に巻回される集中巻方式である;
(3)固定子鉄心1は、厚さが0.1〜0.7mm程度の電磁鋼板を帯状に打ち抜き、これらをかしめ、溶接、接着等で積層して形成される。帯状の固定子鉄心1は、12個のティース1aを有する;
(4)帯状の固定子鉄心1に、コイル2と固定子鉄心1との間の絶縁となる絶縁部3が施される。絶縁部3は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を用いて、固定子鉄心1と一体に成形される。但し、絶縁部3を成形後、ティース1aに組付けてもよい。その場合は、絶縁部3は結線側と反結線側とに分割され、それぞれをティース1aの軸方向両端部から挿入して絶縁部3を構成する。絶縁部3は、ティース1a毎に設けられる。従って、ここでは、12個の絶縁部3を備えることになる;
(5)帯状の固定子鉄心1に絶縁部3を施したら、次に絶縁部3の外壁の一方の軸方向端部(結線側)の所定の箇所に、三個の電源端子4と、一個の中性点端子5を挿入する;
(6)本実施の形態は、電源端子4と中性点端子5に、平角線を用いることを特徴とする;
(7)帯状の固定子鉄心1を完成後の電動機の固定子100と逆方向に曲げて、ティース1a同士の間の開口部が広くなるようにする。それにより、ティース1aにマグネットワイヤーを巻回しやすくなる;
(8)一相目と二相目を連続して巻線する(渡り線を切断しない)。本実施の形態は、この点にも特徴がある;
(9)三相目を巻線する。三相目は、一相目と二相目とは異なる別のマグネットワイヤーにより巻線が施される;
(10)巻線後の固定子鉄心1をティース1aが内側になるように正曲げする(所定の方向に曲げられて略ドーナツ状となる);
(11)固定子鉄心1の固定子鉄心突合せ部63を溶接して、溶接部64で固定する;
(12)電源端子4、中性点端子5のヒュージング;
(13)さらに電動機の固定子100に外部と接続される結線部品41を組付け、機械的に、且つ電気的に接合する。
図25乃至図43は実施の形態2を示す図で、図25は電動機の固定子200を逆曲げして巻線した状態を示す斜視図、図26は固定子鉄心1(帯状)に絶縁部3を施し端子を取り付けた状態を示す斜視図、図27は電動機の固定子200を用いる12スロット/10極の同期電動機の断面図、図28は電動機の固定子200の固定子巻線の結線図、図29は電動機の固定子200の固定子巻線の結線方法を示す展開図、図30は帯状の固定子鉄心1に絶縁部3を施した状態を示す正面図(但し、反結線側は省略している)、図31は図30の#1〜#4ティース1a付近の拡大図、図32は図30の#5〜#8ティース1a付近の拡大図、図33は図30の#9〜#12ティース1a付近の拡大図、図34は電動機の固定子200の巻線手順を示す図((a)は一相目(U相)の巻線手順、(b)は二相目(V相)の巻線手順、(c)は三相目(W相)の巻線手順)、図35は図34(a)の一相目(U相)のコイルU1、U2を示す拡大図、図36は図34(a)の一相目(U相)のコイルU3、コイルU4を示す拡大図、図37は図34(b)の二相目(V相)のコイルV3、コイルV4を示す拡大図、図38は図34(b)の二相目(V相)の渡り線2bを示す拡大図、図39は図34(b)の二相目(V相)のコイルV1、コイルV2を示す拡大図、図40は図34(c)の三相目(W相)のコイルW1、コイルW2を示す拡大図、図41は図34(c)の三相目(W相)のコイルW3、コイルW4を示す拡大図、図42は図34(c)の三相目(W相)の中性点端子5への接続を示す拡大図、図43は電動機の固定子200の斜視図である。
図25に示す電動機の固定子200は、固定子鉄心1を逆曲げして巻線を完了した状態を示している。そして、電動機の固定子200を結線側の斜め上方から見ている図である。但し、コイル2の巻き始め端末、巻き終わり端末、渡り線等は、図示していない。
固定子鉄心1を逆曲げしているので、ティース1aが外側を向いている。また、隣接するティース1aの間には広い空間があり、ティース1aにマグネットワイヤーを容易に巻くことができる。
固定子鉄心1に一体成形された絶縁部3の結線側(図25の軸方向上側)の所定の箇所に、三個の電源端子4が挿入されている。図1の12スロット/8極の電動機の固定子100と比較すると三個の電源端子4の配置が異なる。詳細は後述する。
また、固定子鉄心1に一体成形された絶縁部3の結線側(図25の軸方向上側)の所定の箇所に、一個の中性点端子5が挿入されている。
実施の形態1では、中性点端子5が組付けられる絶縁部3の結線側に中性点端子5の引き回し用突起7を設けたが、実施の形態2では、省いている。中性点端子5の引き回し用突起7はなくてもよい。
さらに、絶縁部3は結線側に、各相の渡り線を、固定子鉄心1の軸方向端面からの高さを所定の位置に保持する突起8を備える。
帯状の固定子鉄心1の構成は、実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。
図26に示すように、帯状の固定子鉄心1に一体成形により絶縁部3を形成する。但し、一体成形でなくてもよい。別部品の絶縁部3を各ティース1aに軸方向の両側から挿入する形態も可能である。
絶縁部3が一体成形により形成された帯状の固定子鉄心1に、三個の電源端子4と、一個の中性点端子5とを絶縁部3の結線側(図26では上側)に取り付ける。三個の電源端子4と一個の中性点端子5の位置は、実施の形態1と異なる。極数が異なるからである。
図27に示すように、12スロット/10極の同期電動機は、ティース1aの数と回転子の磁極の数の比が6:5となる同期電動機である。
U相は、コイルU1+、コイルU2−、コイルU3−、コイルU4+で構成される。コイルU1+の巻き始めは、電源端子4の一つであるU端子に接続される。コイルU4+の巻き終わりは、中性点端子5(中性点)に接続される。
コイルU2−、コイルU3−は、コイルU1+、コイルU4+とティース1aへの巻線方向が異なることを示す。詳細は後述する。以下、V相、W相についても同様である。
V相は、コイルV1−、コイルV2+、コイルV3+、コイルV4−で構成される。コイルV1−の巻き始めは、電源端子4の一つであるV端子に接続される。コイルV4−の巻き終わりは、中性点端子5(中性点)に接続される。V端子は、U端子が設けられるティース1aから反時計方向にティース1aを一つ飛ばしたティース1aの絶縁部3の外壁に設けられる。
W相は、コイルW1+、コイルW2−、コイルW3−、コイルW4+で構成される。コイルW1+の巻き始めは、電源端子4の一つであるW端子に接続される。コイルW4+の巻き終わりは、中性点端子5(中性点)に接続される。W端子は、V端子が設けられるティース1aから反時計方向にティース1aを一つ飛ばしたティース1aの絶縁部3の外壁に設けられる。
図28の電動機の固定子200の固定子巻線の結線図に示すように、電動機の固定子200の固定子巻線は、シングルYに結線される。即ち、U相のコイルU1+、コイルU2−、コイルU3−、コイルU4+が直列に接続される。また、V相のコイルV1−、コイルV2+、コイルV3+、コイルV4−が直列に接続される。さらに、W相のコイルW1+、コイルW2−、コイルW3−、コイルW4+が直列に接続される。そして、コイルU4+、コイルV4−、コイルW4+の巻き終わりが中性点Nに接続される。
図29の電動機の固定子200の固定子巻線の結線方法を示す展開図により、さらに固定子巻線の結線方法を説明する。
実施の形態1と同様に、ここでは、一相目をU相、二相目をV相、三相目をW相と呼ぶことにする。一相目のU相は、左から5番目のティース1aに最初のコイルU1+が形成される。コイルU2−は、隣の左から6番目のティース1aに形成される。コイルU3−は、左から11番目のティース1aに形成される。コイルU4+は、左から12番目のティース1a(右側から1番目のティース1a)に形成される。コイルU1+、コイルU4+はともにティース1aに時計方向に巻かれる。コイルU2−、コイルU3−はともにティース1aに反時計方向に巻かれる。
二相目のV相は、左から3番目のティース1aに最初のコイルV1−が形成される。コイルV2+は、隣の左から4番目のティース1aに形成される。コイルV3+は、左から9番目のティース1aに形成される。コイルV4−は、隣の左から10番目のティース1a(右側から2番目のティース1a)に形成される。コイルV1−、コイルV4−はともにティース1aに反時計方向に巻かれる。コイルV2+、コイルV3+はともにティース1aに時計方向に巻かれる。
三相目のW相は、左から1番目のティース1aに最初のコイルW1+が形成される。コイルW2−は、隣の左から2番目のティース1aに形成される。コイルW3−は、左から7番目のティース1aに形成される。コイルW4+は、隣の左から8番目のティース1aに形成される。コイルW1+、コイルW4+はともにティース1aに時計方向に巻かれる。コイルW2−、コイルW3−はともにティース1aに反時計方向に巻かれる。
既に述べたように、コイルU1+、コイルV1−、コイルW1+の巻き始めは、夫々電源端子4に接続される。また、コイルU4+、コイルV4−、コイルW4+の巻き終わりは、夫々中性点端子5に接続される。
本実施の形態は、電源端子4及び中性点端子5に平角線を用いる点に特徴がある。電源端子4及び中性点端子5については、実施の形態1と同様であるので、説明は省く。
図30〜図33により絶縁部3が施された帯状の固定子鉄心1の構成を説明する。図30は絶縁部3が施された帯状の固定子鉄心1を水平にしてティース1a側から見ている。ティース1aは12個あるが、夫々に番号を付ける。左側から順に、#1、#2、・・・#12とする。
但し、図30は#1〜#12のティース1aの全体を見ているので細かくて解りにくいので、これらを三つに分けて#1〜#4のティース1aを図31、#5〜#8のティース1aを図32、#9〜#12のティース1aを図33に拡大して示す。
絶縁部3が施された#1のティース1aには、三相目(W相)のコイルW1+が形成される。図30、図31に示すように、この絶縁部3の外壁に備える角穴に、軸方向端面の略中央部に電源端子4が挿入されている。電源端子4は、折り返し部4aが右側になるように絶縁部3の外壁の角穴に挿入される。後述するが、電源端子4には、三相目(W相)のコイルW1+の巻始めとなるマグネットワイヤーが引掛けられる。
また、#1のティース1aの絶縁部3の外壁には、一番右側に三相目巻始めからげピン60が形成されている。後述するが、三相目巻始めからげピン60に、三相目(W相)のマグネットワイヤーの端末がからげられる。
三相目(W相)は、コイルW1+、コイルW2−、コイルW3−、コイルW4+で構成されるが、これらは一本の連続したマグネットワイヤーで巻かれる。コイルW1+→コイルW2−、コイルW2−→コイルW3−、コイルW3−→コイルW4+、コイルW4+→中性点端子5に渡るマグネットワイヤーを渡り線と呼ぶ。この明細書では、三相目(W相)の渡り線を、渡り線2cとする。同様に、一相目(U相)の渡り線を渡り線2a、二相目(V相)の渡り線を渡り線2bとする(図34参照)。
また、#1のティース1aの絶縁部3の外壁には、左端に三相目渡り線引出し部26が形成されている。#1のティース1aの絶縁部3の三相目渡り線引出し部26から、コイルW1+→コイルW2−の渡り線2cが固定子鉄心1の外周側に引出される。
絶縁部3が施された#2のティース1aには、三相目(W相)のW2−コイルが形成される。#2のティース1aの絶縁部3の外壁の中央に基板(図示せず)を組付けるピン70を備える。また、ピン70の左側に三相目渡り線入口28が形成されている。また、ピン70の右側に三相目渡り線引出し部26が形成されている。
絶縁部3が施された#3のティース1aには、二相目(V相)のV1−コイルが形成される。この絶縁部3の外壁に備える角穴に、軸方向端面の略中央部に電源端子4が挿入されている。電源端子4は、折り返し部4aが左側になるように絶縁部3の外壁の角穴に挿入される。電源端子4には、二相目(V相)のコイルV1−の巻終りとなるマグネットワイヤーが引掛けられる。
実施の形態1と同様に、一相目(U相)と二相目(V相)の巻線は、マグネットワイヤーを切断することなく連続している。一相目(U相)のコイルは、図30の左から右に順に形成される。また、二相目(V相)のコイルは、中性点からスタートして図30の右から左に順に形成される。従って、絶縁部3が施された#3のティース1aに形成される二相目(V相)のコイルV1−は、二相目(V相)の巻線としては最後に形成されるコイルとなる。そのため、#3のティース1aの絶縁部3の外壁の角穴に挿入される電源端子4に、二相目(V相)のコイルV1−の巻終りとなるマグネットワイヤーが引掛けられるのである。
また、#3のティース1aの絶縁部3の外壁には、一番左側に二相目巻終りからげピン24が形成されている。後述するが、二相目巻終りからげピン24に、二相目(V相)のマグネットワイヤーの端末(巻終り)がからげられる。
また、#3のティース1aの絶縁部3の外壁には、一番右側に三相目渡りからげピン27が形成されている。後述するが、三相目渡りからげピン27には、三相目(W相)の渡り線2c(コイルW2−→コイルW3−)がからげられる。
三相目渡りからげピン27の左側が二相目渡り線入口21になっている。二相目渡り線入口21から、二相目(V相)の渡り線2b(V2+→V1−)が、コイルV1−に引き込まれる。
絶縁部3が施された#4のティース1aには、二相目(V相)のV2+コイルが形成される。
#4のティース1aの絶縁部3の外壁は、その右端に二相目渡り線引出し部19を備える。また、二相目渡り線引出し部19の左に中仕切りピン80を備える。中仕切りピン80の左に二相目渡り線入口21を備える。
二相目渡り線入口21は、二相目渡り線引出し部19よりも略マグネットワイヤーの線径程度高さを低くすることで、二相目渡り線入口21より入るマグネットワイヤーと、二相目渡り線引出し部19より出るマグネットワイヤーとの接触を緩和する構成としている。
絶縁部3が施された#5のティース1aには、一相目(U相)のU1+コイルが形成される。
#5のティース1aの絶縁部3の外壁に備える角穴に、軸方向端面の略中央部に電源端子4が挿入されている。電源端子4は、折り返し部4aが右側になるように絶縁部3の角穴に挿入される。
電源端子4には、一相目(U相)のコイルU1の巻始めとなるマグネットワイヤーが引掛けられる。
また、#5のティース1aの絶縁部3の外壁には、一番右側に一相目巻始めからげピン10が形成されている。後述するが、一相目巻始めからげピン10に、一相目(U相)のマグネットワイヤーの端末がからげられる。
また、#5のティース1aの絶縁部3の外壁には、左端に一相目渡り線引出し部11が形成されている。#5のティース1aの絶縁部3の外壁の一相目渡り線引出し部11から、コイルU1+→コイルU2−の渡り線2aが固定子鉄心1の外周側に引出される。
絶縁部3が施された#6のティース1aには、一相目(U相)のコイルU2−が形成される。
#6のティース1aの絶縁部3の外壁には、左端に一相目(U相)の渡り線2aが入る一相目渡り線入口14を備える。また、#6のティース1aの絶縁部3の外壁には、一相目(U相)の渡り線2aが引出される一相目渡り線引出し部11が形成されている。
絶縁部3が施された#7のティース1aには、三相目(W相)のコイルW3−が形成される。
#7のティース1aの絶縁部3の外壁の中央に基板(図示せず)を組付けるピン70を備える。また、ピン70の左側に三相目渡り線入口28が形成されている。また、ピン70の右側に三相目渡り線引出し部26が形成されている。
また、#7のティース1aの絶縁部3の外壁には、右端に一相目渡りからげピン12を備える。後述するが、この一相目渡りからげピン12には、コイルU2−→コイルU3−の渡り線2aがからげられる。
さらに、#7のティース1aの絶縁部3の外壁には、一相目渡りからげピン12の左側に切り欠き50を備える。一相目渡り線引出し部11(#5のティース1a絶縁部3の外壁)と、一相目渡り線入口14(例えば、#6のティース1a絶縁部3の外壁)と、切り欠き50は、固定子鉄心1の軸方向端面からの高さがほぼ同じとなっている。
絶縁部3が施された#8のティース1aには、三相目(W相)のコイルW4+が形成される。
#8のティース1aの絶縁部3の外壁には、中央付近に中仕切りピン80を備える。中仕切りピン80の右側に三相目渡り線入口28が形成されている。また、中仕切りピン80の左側に三相目渡り線引出し部26が形成されている。
三相目渡り線入口28は、三相目渡り線引出し部26よりも略マグネットワイヤーの線径程度高さを低くすることで、三相目渡り線入口28より入るマグネットワイヤーと、三相目渡り線引出し部26より出るマグネットワイヤーとの接触を緩和する構成としている。
また、#8のティース1aの絶縁部3の外壁には、右端に一相目渡りからげピン12を備える。後述するが、この一相目渡りからげピン12には、コイルU2−→コイルU3−の渡り線2aがからげられる。
絶縁部3が施された#9のティース1aには、二相目(V相)のコイルV3+が形成される。
#9のティース1aの絶縁部3の外壁には、中央付近に中仕切りピン80を備える。中仕切りピン80の右側に二相目渡り線引出し部19が形成されている。また、中仕切りピン80の左側に二相目渡り線入口21が形成されている。
二相目渡り線入口21は、二相目渡り線引出し部19よりも略マグネットワイヤーの線径程度高さを低くすることで、二相目渡り線入口21より入るマグネットワイヤーと、二相目渡り線引出し部19より出るマグネットワイヤーとの接触を緩和する構成としている。
また、#9のティース1aの絶縁部3の外壁には、右端に一相目渡りからげピン12を備える。この一相目渡りからげピン12には、コイルU2−→コイルU3−の渡り線2aがからげられる。
絶縁部3が施された#10のティース1aには、二相目(V相)のコイルV4−が形成される。
#10のティース1aの絶縁部3の外壁における軸方向端面の略中央部に備える角穴に、中性点端子5が挿入されている。
また、#10のティース1aの絶縁部3の外壁には、その右端に一相目巻終りからげピン16を備える。後述するが、一相目(U相)の巻終りが一相目巻終りからげピン16にからげられる。
また、#10のティース1aの絶縁部3の外壁には、その左端に三相目巻終りからげピン29を備える。後述するが、三相目(W相)の巻終りが三相目巻終りからげピン29に1回以上からげられた後に、中性点端子5の第二の折り返し部5bに掛けられて、さらにもう一度三相目巻終りからげピン29まで引戻し、かつ、三相目巻終りからげピン29の上部に1回以上巻付けて三相目の巻終りとなる。
絶縁部3が施された#11のティース1aには、一相目(U相)のコイルU3−が形成される。
#11のティース1aの絶縁部3の外壁の中央に基板(図示せず)を組付けるピン70を備える。ピン70の左側に、一相目(U相)の渡り線2aが入る一相目渡り線入口14を備える。
また、ピン70の右側に、一相目(U相)の渡り線2aが引出される一相目渡り線引出し部11が形成されている。#11のティース1aの絶縁部3の一相目渡り線引出し部11から、コイルU3−→コイルU4+の渡り線2aが固定子鉄心1の外周側に引出される。
絶縁部3が施された#12のティース1aには、一相目(U相)のコイルU4+が形成される。
#12のティース1aの絶縁部3の外壁には、右端に一相目(U相)の渡り線2aが入る一相目渡り線入口14を備える。
#12のティース1aの絶縁部3の外壁には、その左端に一相目巻終り引出し部15を備える。後述するが、一相目の最後となるコイルU4が形成された後のマグネットワイヤーは、一相目巻終り引出し部15より固定子鉄心1の外周側に引出される。
図34(a)、図35、図36を用いて、一相目のU相の巻線手順について説明する。一相目の最初に形成されるコイルU1+は、図34(a)で示す通り、固定子鉄心1の一方の端部(図34(a)では左端)から5番目の#5のティース1aの絶縁部3に、マグネットワイヤーが巻付けられて形成される。
図35に示すように、先ず、#5のティース1aの絶縁部3の外周側に備える一相目巻始めからげピン10にマグネットワイヤーの端末がからげられる。その後、絶縁部3に備える角穴に挿入された電源端子4の折り返し部4aに一相目の巻始めとなるマグネットワイヤーが引掛けられる。そして、ティース1aに形成された絶縁部3に右巻き(時計方向)に所定の回数巻付けられて、一相目のコイルU1+が形成される。
実施の形態1と同様、「絶縁部3の外周側」という表現は、完成後の電動機の固定子200における外周側のことである。
コイルU1+が形成された後に、渡り線2aが絶縁部3の一相目渡り線引出し部11より固定子鉄心1の外周側に引出される。
渡り線2aは#5のティース1aの絶縁部3の外壁の外周側を渡り、#6のティース1aの絶縁部3の外壁に設けられた一相目渡り線入口14よりティース1aまで引回され、#6のティース1aに所定の回数左巻き(反時計方向)に巻付けられて一相目のコイルU2−が形成される
コイルU2−が形成された後に、渡り線2aが絶縁部3の外壁の一相目渡り線引出し部11より固定子鉄心1の外周側に引出される。
一相目のコイルU2−が形成された#6のティース1aの隣の#7のティース1aの絶縁部3の外壁の、渡り線2aが渡ってきた側の反対側に設けられる一相目渡りからげピン12に、1回以上渡り線2aがからげられ、からげ部13を形成する。からげ部13から、渡り線2aは再び固定子鉄心1の外周側に引出される。
#7のティース1aの隣の#8のティース1aの絶縁部3の外壁の、渡り線2aが渡ってきた側の反対側に設けられる一相目渡りからげピン12に、1回以上渡り線2aがからげられ、からげ部13を形成する。からげ部13から、渡り線2aは再び固定子鉄心1の外周側に引出される。
#8のティース1aの隣の#9のティース1aの絶縁部3の外壁の、渡り線2aが渡ってきた側の反対側に設けられる一相目渡りからげピン12に、1回以上渡り線2aがからげられ、からげ部13を形成する。からげ部13から、渡り線2aは再び固定子鉄心1の外周側に引出される。
固定子鉄心1の外周側に引出された渡り線2aは、#10のティース1aの絶縁部3の外壁の外周側を渡る。
#10のティース1aの絶縁部3の外周側を渡ってきた渡り線2aは、#11のティース1aの絶縁部3の外壁に設けられた一相目渡り線入口14よりティース1aまで引回され、#11のティース1aに所定の回数左巻き(反時計方向)に巻付けられて一相目のコイルU3−が形成される。
一相目渡り線入口14と、一相目渡り線引出し部11と、一相目渡りからげピン12左横の絶縁部3の切り欠き50は、固定子鉄心1の軸方向端面からの高さがほぼ同じとなっている。
#11のティース1aの絶縁部3の外壁の一相目渡り線引出し部11から外周側へ引き出された渡り線2aは、#12のティース1aの絶縁部3の外壁に設けられた一相目渡り線入口14よりティース1aまで引回され、#12のティース1aに所定の回数右巻き(時計方向)に巻付けられて一相目のコイルU4+が形成される。
一相目の最後となるコイルU4+が形成された後のマグネットワイヤーは、コイルU4+が形成されるティース1aの絶縁部3の外壁に設けられた一相目巻終り引出し部15より引出される。一相目の渡り線2aが引回された方向とは逆方向(図36では左方向)に引出され、#10のティース1aに設けられた絶縁部3の外壁まで引回されて一相目巻終りとなる。
このとき、一相目巻終り引出し部15の高さを中性点端子5の第一の折り返し部5a、及び第二の折り返し部5bの高さより高い位置とすることで、中性点端子5へのマグネットワイヤーの引き回しが容易となり、生産性の向上、かつ製造上の品質向上が図れる。
以下、二相目(V相)の巻線手順について図34(b)、図37〜図39により説明する。一相目巻終りは、二相目の最初のコイルV4−が形成される#10のティース1aの絶縁部3の外壁の右端に設けられた一相目巻終りからげピン16に1回以上からげられる。
コイルV4−が形成される#10のティース1aの絶縁部3の外壁に組付けられた中性点端子5の第一の折り返し部5aに掛けられた後、#10のティース1aまで引回されて、二相目巻始め18となる。
二相目の最初のコイルV4−は、中性点端子5の第一の折り返し部5aに引掛けられ、マグネットワイヤーを切断することなく連続して#10のティース1aに、右巻き(時計方向)に所定の回数巻付け形成される。
二相目の最初のコイルV4−が形成された後に、二相目の渡り線2bが二相目渡り線引出し部19より固定子鉄心1の外周側に引出される。
二相目の渡り線2bは#9のティース1aの絶縁部3の外壁に備える二相目渡り線入口21より、#9のティース1aまで引回される。#9のティース1aに所定の回数左巻き(反時計方向)に巻付けられて二相目のコイルV3+が形成される。
二相目の最初のコイルV3+が形成された後に、二相目の渡り線2bが二相目渡り線引出し部19より固定子鉄心1の外周側に引出される。
このとき、二相目渡り線入口21に入る二相目の渡り線2bと、二相目渡り線引出し部19より出る二相目の渡り線2bとは交差する。
二相目渡り線入口21は、中仕切りピン80が存在することと、二相目渡り線引出し部19よりも略マグネットワイヤーの線径程度高さを低くすることで、二相目渡り線入口21より入るマグネットワイヤーと、二相目渡り線引出し部19より出るマグネットワイヤーとの接触を緩和する構成としている。
二相目の渡り線2bは、一相目の渡り線2aが引回される方向とは逆の方向(図38では左方向)に渡り、#8のティース1aの絶縁部3の二相目の渡り線2bが渡ってきた側の反対側に備える二相目渡りからげピン20に1回以上からげられて、からげ部51を形成する。
#8のティース1aの絶縁部3の外壁の二相目渡りからげピン20にからげられた二相目の渡り線2bは、#7のティース1aの絶縁部3の外壁の二相目の渡り線2bが渡ってきた側の反対側に備える二相目渡りからげピン20に1回以上からげられて、からげ部51を形成する。
#7のティース1aの絶縁部3の外壁の二相目渡りからげピン20にからげられた二相目の渡り線2bは、#6のティース1aの絶縁部3の外壁の二相目の渡り線2bが渡ってきた側の反対側に備える二相目渡りからげピン20に1回以上からげられて、からげ部51を形成する。
固定子鉄心1の外周側に引出された二相目の渡り線2bは、#5のティース1aの絶縁部3の外壁の外周側を左方向に渡る。
図39に示すように、二相目の渡り線2bは、#4のティース1aの絶縁部3の外壁に備える二相目渡り線入口21より#4のティース1aまで引回される。#4のティース1aに所定の回数左巻き(反時計方向)に巻付けられて二相目のコイルV2+が形成される。
二相目のコイルV2+が形成された後に、二相目の渡り線2bが二相目渡り線引出し部19より固定子鉄心1の外周側に引出される。
このとき、二相目渡り線入口21に入る二相目の渡り線2bと、二相目渡り線引出し部19より出る二相目の渡り線2bとは交差する。
二相目渡り線入口21と二相目渡り線引出し部19との間に中仕切りピン80を備えることと、二相目渡り線入口21が二相目渡り線引出し部19よりも、略マグネットワイヤーの線径程度高さを低くすることで、二相目渡り線入口21より入るマグネットワイヤーと、二相目渡り線引出し部19より出るマグネットワイヤーとの接触を緩和することが可能となり、品質の向上が図れる。
二相目のコイルV2+が形成された後に、二相目の渡り線2bが二相目渡り線引出し部19より固定子鉄心1の外周側に引出される。
このとき二相目の渡り線2bは、固定子鉄心1の端面から2段目の高さ位置を引回される(突起8(図25)により、分けられる)。また、一相目と同様に、二相目渡り線入口21と、二相目渡り線引出し部19と、二相目渡りからげピン20横の絶縁部3の外壁の切り欠き52は、#6ティース1aの絶縁部の外壁に備える二相目渡りからげピン20横の切欠きは一相目渡り線入口14となるため、#6ティース1aの絶縁部の外壁に備える二相目渡りからげピン20横の切欠きを除き、固定子鉄心1の軸方向端面からの高さがほぼ同じとなっている。
二相目の渡り線2bは、#3のティース1aの絶縁部3の外壁に備える二相目渡り線入口21よりティース1aまで引回される。#3のティース1aに所定の回数右巻き(時計方向)に巻付けられて二相目のコイルV1−が形成される。
二相目の最後となるコイルV1−が形成された後のマグネットワイヤーは、コイルV1−が巻かれる絶縁部3に組付けられた電源端子4の折り返し部4aに収められる。
二相目巻終り23が二相目巻終りからげピン24に巻付けられて、二相目巻終り23が形成され切断される。
このように、一相目(U相)と二相目(V相)とを切断することなく連続して引回すことが可能なことから、マグネットワイヤーを切断する工程が不要となり、さらに加工時間の縮小が可能で、加工コストの低減が図れる。
以下、三相目(W相)の巻線手順について図34(c)、図40〜図42により説明する。三相目の最初に形成されるコイルW1+は、左端の#1のティース1aに形成される。
三相目の最初に形成されるコイルW1+は、一相目(U相)と同様に三相目巻始めからげピン60にマグネットワイヤーの端末が引き回された後、三相目巻始め25が電源端子4の折り返し部4aを介して#1のティース1aに施された絶縁部3へ引回され、右巻き(時計方向)にティース1aに所定の回数巻付けられて、コイルW1+が形成される。
三相目のコイルW1+が形成された後に、三相目の渡り線2cが三相目渡り線引出し部26より固定子鉄心1の外周側に引出される。
#2のティース1aの絶縁部3の外壁に備える三相目渡り線入口28より#2のティース1aまで引回される。そして、#2のティース1aに所定の回数左巻き(反時計方向)に巻付けられて三相目のコイルW2−が形成される。
三相目のコイルW2−が形成された後に、三相目の渡り線2cが三相目渡り線引出し部26より固定子鉄心1の外周側に引出される。
そして、右隣の#3のティース1aの絶縁部3に備える三相目渡りからげピン27まで引回される。三相目渡りからげピン27に1回以上からげられて、からげ部53を形成する。
#3のティース1aの絶縁部3の外壁のからげ部53から三相目の渡り線2cは、#4のティース1aの絶縁部3の外壁の外周側を渡る。
図41に示すように、#5のティース1aの絶縁部3の外壁の、渡り線2cが渡ってきた側に設けられる三相目渡りからげピン27に、1回以上渡り線2cがからげられ、からげ部53を形成する。からげ部53から、渡り線2cは再び固定子鉄心1の外周側に引出される。
さらに、#6のティース1aの絶縁部3の外壁の、渡り線2cが渡ってきた側に設けられる三相目渡りからげピン27に、1回以上渡り線2cがからげられ、からげ部53を形成する。からげ部53から、渡り線2cは再び固定子鉄心1の外周側に引出される。
#7のティース1aの絶縁部3の外壁に備える三相目渡り線入口28よりティース1aまで引回される。そして、#7のティース1aに所定の回数左巻き(反時計方向)に巻付けられて三相目のコイルW3−が形成される。
三相目のコイルW3−が形成された後に、三相目の渡り線2cが三相目渡り線引出し部26より固定子鉄心1の外周側に引出される。
三相目の渡り線2cは、#8のティース1aの絶縁部3の外壁に備える三相目渡り線入口28よりティース1aまで引回される。そして、#8のティース1aに所定の回数右巻き(時計方向)に巻付けられて三相目のコイルW4+が形成される。
三相目のコイルW4+が形成された後に、三相目の渡り線2cが三相目渡り線引出し部26より固定子鉄心1の外周側に引出される。
このとき、三相目渡り線入口28に入る三相目の渡り線2cと、三相目渡り線引出し部26より出る三相目の渡り線2cとは交差する。
三相目渡り線入口28と三相目渡り線引出し部26との間に中仕切りピン80を備えることと、三相目渡り線入口28が三相目渡り線引出し部26よりも、略マグネットワイヤーの線径程度高さを低くすることで、三相目渡り線入口28より入るマグネットワイヤーと、三相目渡り線引出し部26より出るマグネットワイヤーとの接触を緩和することが可能となり、品質の向上が図れる。
#8のティース1aの絶縁部3の三相目渡り線引出し部26より固定子鉄心1の外周側に引出された三相目の渡り線2cは、#9のティース1aの絶縁部3の外壁の外周側を渡る。
さらに、中性点端子5を備える#10のティース1aの絶縁部3の外壁の三相目巻終りからげピン29まで引回される。三相目巻終りからげピン29に1回以上からげられた後に、中性点端子5の第二の折り返し部5bに掛けられて、さらにもう一度三相目巻終りからげピン29まで引戻し、かつ、三相目巻終りからげピン29の上部に1回以上巻付けて三相目の巻終りとなり、マグネットワイヤーを切断して巻線工程を終了する。
巻線工程が終了後に、固定子鉄心1は所定の方向に曲げられて略ドーナツ状となり、固定子鉄心1の固定子鉄心突合せ部63を溶接して、溶接部64で固定する(図43参照)。
このとき、各相の渡り線2a,2b,2cは、絶縁部3の外壁の外周側に備える突起8(図25)により所定の位置に保持され、各相の渡り線2a,2b,2c同士が接触することがなくなるので、品質の向上が図れる。但し、図43では、渡り線2a,2b,2cは図示していない。
さらに電源端子4、中性点端子5をヒュージングすることで、マグネットワイヤーと電源端子4及び中性点端子5とを電気的に、かつ、機械的に接合することで電動機の固定子200となる。
一般的には、中性点端子5を相毎にそれぞれ持つ。これに対し、本実施の形態では、中性点端子5を1つで賄うことで、部品点数を削減でき、コストの低減が図れる。
ここで、電源端子4と中性点端子5は、例えばプレス打ち抜きによる端子製造に対して、材料のロスが無いことからコスト低減が図れる。また、中性点をつくる中性点端子5を電源を供給する電源端子4と同じ材料(平角線)とすることで、コスト低減が可能となる。
本実施の形態2では、例えば、図34に示すように、一相目(U相)の巻線を左から右にコイルU1+、コイルU2−、コイルU3−、コイルU4+の順に巻き、切断することなく中性点で折り返して、二相目(V相)の巻線を右から左にコイルV4−、コイルV3+、コイルV2+、コイルV1−の順に巻いてマグネットワイヤーを切断する。これとは独立して三相目(W相)の巻線を左から右にコイルW1+、コイルW2−、コイルW3−、コイルW4+の順に巻き中性点に接続するようにした。
上記とは逆方向(鏡面対称)に、各相の巻線を行うことも可能である。その場合は、図示はしないが、一相目(U相)の巻線を右から左にコイルU1+、コイルU2−、コイルU3−、コイルU4+の順に巻き、切断することなく中性点で折り返して、二相目(V相)の巻線を左から右にコイルV4−、コイルV3+、コイルV2+、コイルV1−の順に巻いてマグネットワイヤーを切断する。これとは独立して三相目(W相)の巻線を右から左にコイルW1+、コイルW2−、コイルW3−、コイルW4+の順に巻き中性点に接続することになる。
実施の形態3.
図44、図45は実施の形態3を示す図で、図44は電動機300を示す図、図45は電動機300の製造工程を示す図である。
図44に示すように、電動機300は、回転子38、ブラケット39、電動機の固定子100,200をモールド成形したモールド固定子40、結線部品41(基板)等を備える。
図44に示すように、本実施の形態の電動機の固定子100,200に外部と接続される結線部品41を組付け、機械的に、かつ、電気的にも接合した後にモールドを施す。その後、回転子38、ブラケット39等の部品を組付けて電動機300となる。
前述の品質の良い、かつ、コスト低減された電動機の固定子100,200を使用することで、品質の良い、低コストの電動機300を得ることができる。
図45は電動機300の製造工程を示す。
(1)ステップ1:電磁鋼板を打ち抜き、積層して帯状の固定子鉄心1を製作する。
(2)ステップ2:絶縁部3を、熱可塑性樹脂を用いて、固定子鉄心1と一体に成形する。但し、絶縁部3を成形後、ティース1aに組付けてもよい。並行して、平角線を折り曲げて電源端子4、中性点端子5を製作する。
(3)ステップ3:電源端子4(3本)、中性点端子5(1本)を絶縁部3の外壁の結線側に挿入する。
(4)ステップ4:帯状の固定子鉄心1を所定と反対側(ティース1a間の開口部が広がる方向)に逆曲げする。
(5)ステップ5:三相のシングルY結線の中の、一相目(U相)と二相目(V相)とをマグネットワイヤーを切らずに連続して巻線する。
(6)ステップ6:三相目(W相)を、一相目と同様の方法で巻線する。
(7)ステップ7:逆曲げした固定子鉄心1を正曲げして、所定の正曲げに戻す。
(8)ステップ8:固定子鉄心1の固定子鉄心突合せ部63を溶接する。
(9)ステップ9:電源端子4、中性点端子5のヒュージングを行う。並行して、結線部品41を製作する。
(10)ステップ10:電動機の固定子100,200に結線部品41を組付け、接合する。
(11)ステップ11:電動機の固定子100,200をモールド成形する。並行して、回転子38、ブラケット39等の他の部品を製作する。
(12)ステップ12:電動機300を組立てる。
以上の図45に示す製造工程で、電動機300を製造することにより、生産性に優れ、効率よく電動機300を製作することができる。
以上のように、この実施の形態によれば、電動機の固定子100を使用する場合は、中性点端子5の引き回し用突起7にマグネットワイヤーを引掛けることで、中性点端子5の第一の折り返し部5aにマグネットワイヤーを確実に収めることが可能なため、製造上の品質向上が図れる。
また、電動機の固定子100を使用する場合は、二相目の最初に形成されるコイルV4は一相目の最後に形成されるコイルコイルU4の隣となることから、巻線設備が所定の位置までの移動距離が最小となることで、加工時間の縮小が可能となり、加工コストの低減が図れる。
また、一相目と二相目とを切断することなく連続して引回すことが可能なことから、マグネットワイヤーを切断する工程が不要となり、さらに加工時間の縮小が可能で、加工コストの低減が図れる。
また、電動機の固定子100を使用する場合は、三相目の最初に形成されるコイルW1は、二相目の最後に形成されるコイルV1の隣(右隣)となる。従って、巻線設備が所定の位置までの移動距離が最小となる。そのため、加工時間の縮小が可能となり、加工コストの低減が図れる。
また、一般的には、中性点端子5を相毎にそれぞれ持つが、本実施の形態では、中性点端子5を1つで賄うことで、部品点数を削減でき、コストの低減が図れる。
また、電源端子4と中性点端子5は、例えばプレス打ち抜きによる端子製造に対して、材料のロスが無いことからコスト低減が図れる。さらに、中性点をつくる中性点端子5を電源を供給する電源端子4と同じ材料(平角線)とすることで、コスト低減が可能となる。
また、品質の良い、かつ、コスト低減された電動機の固定子100を使用することで、品質の良い、低コストの電動機300を得ることができる。
また、図45に示す製造工程で電動機300を製造することにより、生産性に優れ、効率よく電動機300を製作することができる。
実施の形態4.
図46は実施の形態4を示す図で、空気調和機400の構成を示す図である。図46に示すように、空気調和機400は、室内機42と、室内機42に接続される室外機43とを備える。室外機43は送風機44を備える。室内機42も送風機(図示せず)を備える。
室内機42及び室外機43に、実施の形態3の品質のよい電動機300を、空気調和機400の主要部品である送風機用電動機として用いることで、空気調和機400の品質の向上が図れる。
実施の形態5.
図47は実施の形態5を示す図で、ポンプ500の断面図である。
図47に示すポンプ500は、以下に示す構成である。即ち、ポンプ500は、
(a)電動機の固定子100,200に結線部品41(基板)が組み付けられ、さらにポンプ500内の水と固定子とを仕切る樹脂成形品の椀状隔壁140とをモールド一体成形して製作されるポンプ用電動機の固定子160と、
(b)SUSやセラミックなどを材料として製作され、椀状隔壁140に設けられる軸支持部に一端が挿入され、他端が樹脂成形品のケーシング90の軸支持部にて支持されるシャフト96と、
(c)リング状の耐熱水性樹脂製のマグネット150aと、マグネット150aの内側に配設される円筒形のスリーブ150bとがPPE(ポリフェニレンエーテル)等の熱可塑性樹脂で一体に成形される回転子150と、
(d)回転子150に超音波溶着などにより接合され、シャフト96を中心に回転自在に設置される樹脂成形品の羽根車161と、
(e)スリーブ150bの両端面に、所定の隙間をもって設置されるSUSやセラミックなどを材料として製作されるスラストベアリング95と、
を備え、椀状隔壁140にOリング97を設置した後、ケーシング90と、ポンプ用電動機の固定子160と、足板93とをタッピングネジ91等により共締めして組み立てられる。
以上のように、電動機の固定子100,200をポンプ500に使用することで、ポンプ500の低価格化及び品質の向上が図れる。