JP2011029349A - プリント配線板の接続構造およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 一方のプリント配線板のフライングリードと他方のプリント配線板の導体配線(基板パッド)とを電気的に接続しながら十分高い接続強度を簡単に得ることができる、プリント配線板の接続構造およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】導体15を有する第1のプリント配線板10と、第1のプリント配線板の上に位置し、フライングリード25を有する第2のプリント配線板20と、導体15と、フライングリード25とを接続する異方導電性接着剤33とを備え、導体およびフライングリードは幅が相違して、幅狭のほうの側面と幅広のほうの対向面とで角部Kを生じており、異方導電性接着剤33は、角部Kを埋めていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プリント配線板の接続構造およびその製造方法に関し、より具体的には、電子機器等において配線板どうしを接続するとき一方がフライングリードである場合に好適な、プリント配線板の接続構造およびその製造方法、に関する。
電子機器においては、2つのプリント配線板上の導体配線を電気的に接続する構造が多用される。ある種の電子機器では、フレキシブルプリント配線板を電子機器内の機械部品の表面、側面および裏面に沿わせる場合があり、このとき、沿わせられる途中で当該フレキシブルプリント配線板は折り返され、両端でしばしば表裏面が逆転する。このため、製造における部品の融通性を高めるため、上記のように両端で表裏面が逆転する使い方をされる用途分野では、フレキシブルプリント配線板の接続部の導体配線は、絶縁基材が除かれて、フライングリードと呼ばれる裸の導体配線にされる。フライングリードは、表面側でも裏面側でも、相手の導体配線に面して接続されるので、折り返し回数、折り返し形態ごとにフレキシブルプリント配線板を準備する必要がなくなる。このような、フライングリードと相手プリント配線板の導体との接続は、とくに超音波接合によって行われる(特許文献1)。これによって、大きな接合強度を有する接続構造を簡単に得ることができる。
上述のプリント配線板の使用のされ方をしない場合でも、一方のプリント配線板がフライングリードを持ち、他のプリント配線板の導体と導電接続をする場合が多くある。
特開2007−173362号公報
しかしながら、電子機器で処理する情報量が急激に増えて、プリント配線板の導体のファインピッチ化が進行すると、超音波接合では短絡のおそれを除くことができず、ファインピッチ化に対応した接続方法の開発が進められている。このため、異方導電性フィルム(ACF:Anisotropy Conductive Film)を用いることで、上記のフライングリードをプリント配線板の基板パッドに接続して簡単に電気的接続をとる方法が検討されている。このACFを用いてフライングリードの電気的接続をはかる方法は、導体のファインピッチ化に簡単に対応できるが、接続強度が十分に強くないという欠点を有する。
本発明は、一方のプリント配線板のフライングリードと他方のプリント配線板の導体配線(基板パッド)とを電気的に接続しながら十分高い接続強度を簡単に得ることができる、プリント配線板の接続構造およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のプリント配線板の接続構造は、基材上に導体を有する第1のプリント配線板と、第1のプリント配線板の上に位置し、フライングリードを有する第2のプリント配線板と、第1のプリント配線板の導体と、第2のプリント配線板のフライングリードとを接続する異方導電性接着剤とを備える。そして、導体およびフライングリードは幅が相違して、幅狭のほうの側面と幅広のほうの対向面とで角部を生じており、異方導電性接着剤は、導体とフライングリードとを導電接続する部分から連続して角部を埋めていることを特徴とする。
上記の導体とフライングリードとは、熱圧着によって異方導電性接着剤(以下、ACFと記す)で導電接続される。熱圧着のとき、熱圧着ツールの押し具は離型フィルムを介在させて第2のプリント配線板のフライングリードに圧力をかける。離型フィルムは、(1)熱圧着ツールへのACFの付着の防止、(2)被圧着体(導体/ACF/フライングリード)における厚み等の寸法ばらつき、装置における設定ズレ等を吸収して、これらズレなどを拡大しないようにしながら適正に加圧するためである。しかし、熱圧着のとき温度上昇により離型フィルムに通常用いられる離型性が高いPTFE(Polytetrafluoroethylene)やシリコンゴムシートは軟化が大きくなり、押し具による押圧によりフライングリードの間からACFに押し当たって、溶融または半溶融状態のACFを、第1のプリント配線板の導体間から外部に流出させることが多い。(導体/フライングリード)の接続強度を高めるには、ACFは、外部に流出せずに、(導体/フライングリード)間のスペースに多量に溜まり、同スペースの両側の(導体/フライングリード)の側面上部に達して、その側面を分厚く被覆する必要がある。しかし、通常はACFが多量に導体間から外部に流出することが多く、安定して高い接着強度を得ることができない。
上記の構成によれば、導体とフライングリードとは、その幅を広狭異にする。このため、導体等の横断面において、角部を生じる。
(C1)フライングリードが幅広の場合は、離型フィルムがフライングリード間に押し込まれにくくなり、また、フライングリードの下の角部に対して傘または庇の役割を果たし、離型フィルムが導体間のスペースに入り込むのを阻止する。この結果、ACFはフライングリードの傘のもとに、十分な量、角部および基材上に溜められる。
(C2)フライングリードが狭幅の場合は、角部は上向きにフライングリードの側面に位置し、基材/導体/フライングリード、にステップ(段差)構造を形成する。このステップ構造の突部(空間側の角)は、押し込まれる離型フィルムに対して障害となり、凹部(角部)および平坦部(対向面および基材上)におけるACFが押されるのを防ぐ。この結果、ACFは、凹部(角部)および平坦部(対向面および基材上)に、十分な量、溜められる。
上記の(C1)および(C2)によって、ACFは、熱圧着工程を経て、十分な量、角部に溜まり、(導体/フライングリード)の導電接続部に連続してその導電接続部を分厚く補強することができる。この結果、上記の接続強度を向上させることができる。なお、(導体/フライングリード)の導電接続部に連続する溜まったACFは、導電性を発現しないことは言うまでもない。
複数の導体および複数のフライングリードが、個別に一対一に接続され、異方導電性接着剤は、接続された(導体/フライングリード)間の基材上に溜まって、その表面が一のフライングリードの側面から隣のフライングリードの側面へと連なるように位置している構成をとることができる。これによって、個々の導体/フライングリードごとに、導電接続部を分厚く補強することができる。
導体およびフライングリードのうちの幅広のほうの一つが、幅狭のほうの複数の他方に導電接続されており、角部は、幅狭のほうの側面と、幅広のほうの一つの対向面とで、複数の幅狭のほうごとに形成され、異方導電性接着剤は、幅狭のほうごとに導電接続する部分から連続して角部を埋める構成をとることができる。これによって、一方がベタ電極で、他方が複数の電極パッドの場合であっても、十分に高い接続強度を得ることができる。
導体およびフライングリードのうち、幅広のほうの幅は、幅狭のほうの幅よりも、狭幅のほうの厚み分以上広くすることができる。これによって、角部の平坦部(対向面で形成される部分)のサイズを、厚みと同等またはそれより大きくできる。上記の(C1)の場合は、フライングリードの傘を十分大きくでき、また(C2)の場合は、角部の平坦部(対向面で形成される部分)を大きくして、ACFを、十分な量、溜まりやすくすることができる。
本発明のプリント配線板の接続構造の製造方法は、導体が基材上に位置する、第1のプリント配線板を準備する工程と、第1のプリント配線板上にACFフィルムを配置する工程と、ACFフィルム上に、フライングリードを有する第2のプリント配線板を、導体上にフライングリードを合わせて配置する工程と、第2のプリント配線板の上から、離型フィルムを介在させて熱圧着ツールで圧力をかけて熱圧着する工程とを備える。そして、第1のプリント配線板の導体の幅と、第2のプリント配線板のフライングリードの幅とを、相違させることを特徴とする。
上記の方法によれば、導体の幅とフライングリードの幅とを広狭異なるようにして角部を形成することで、導体とフライングリードとを導電接続させながら、角部にACFを、十分な量、溜めることができる。この結果、接続強度の補強をする確実に得ることができる。
本発明のプリント配線板、配線板の接続構造等によれば、一方のプリント配線板のフライングリードと、他方のプリント配線板の導体配線(基板パッド)とを、電気的に接続しながら十分高い接続強度を簡単に得ることができる。
本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の接続構造を示し、(a)は平面図、(b)はIB−IB線に沿う断面図である。 図1において、フライングリードと導体の幅の差と、導体厚みとの関係を説明する図である。 図1のプリント配線板の接続構造の製造において、第1のプリント配線板の導体に、第2のプリント配線板のフライングリードを合わせた状態を示す図である。 図1のプリント配線板の接続構造の製造において、熱圧着する工程を示す図である。 図1のプリント配線板の接続構造の製造の手順を示し、(a)は第1のプリント配線板上にACFを配置した状態、(b)はACF上に第2のプリント配線板を配置した状態、(c)は第2のプリント配線板上に離型フィルムを配置した状態、(d)は押し具により熱圧着する状態、を示す断面図である。 本発明の実施の形態2におけるプリント配線板の接続構造を示す断面図である。 図6において、フライングリードと導体の幅の差と、導体厚みとの関係を説明する図である。 本発明の実施の形態3におけるプリント配線板の接続構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態4におけるプリント配線板の接続構造を示す断面図である。 比較例のプリント配線板の接続構造を示す図である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の接続構造50の一例を示し、(a)は平面図、(b)はIB−IB線に沿う断面図である。このプリント配線板の接続構造50は、大略、(基材11上に導体配線15を有する第1のプリント配線板10/異方導電性接着剤(ACF)33/フライングリード25を有する第2のプリント配線板20)の積層体である。本実施の形態における特徴は、フライングリード25の幅Wが導体15の幅Wより大きく、フライングリード25の対向面と導体15の側面とで、角部Kが形成されており、この角部KをACF33が充填している点にある。
第1のプリント配線板10では、絶縁性の基材11の上に、たとえば銅箔が貼着されてエッチングによりパターニングされた導体配線(以下、導体と記す)15が所定の間隔をあけて並行している。プリント配線板10において絶縁性の基材11上に配置されている露出した導体15は、接続のための部分であり、基板パッドと呼ばれる場合もある。
ACF33は、導電粒子33pを含む熱硬化性または熱可塑性樹脂等による接着剤であり、導体15とフライングリード25とは、ACF33により導電接続されており、他の部分では、導電性が発現されていない。導体15とフライングリード25との導電接続は、両者の間隔を短くして、熱硬化性または熱可塑性の接着樹脂中の導電粒子33pのサイズと同程度にすることで、発現する。導電接続される導体15とフライングリード25との間隔は、たとえば1μmであり、これより大きくても小さくてもよく、0.1μm〜5μmの範囲にあればよい。図1(b)では、導体15とフライングリード25とは、直接、接触しているように表示しているが、ACF33が間に介在しており、とくに導電粒子33pが導電接続をしている。導電粒子33pは、ニッケル、銀、などどのような金属でもよいし、樹脂粒に金めっき、銀めっき、ニッケルめっきしたものでもよい。形状も球状、粒状、針状などどのような形態であってもよい。
図2は、フライングリード25と導体15の幅W,Wの差がどの程度あればよいか、示すための図である。図2によれば、両側端に同じように角部Kができるように、フライングリード25と導体15とは位置しており、一方の端における幅の差(W−W)/2が、幅が狭いほうの導体15の厚みtの半分(t/2)以上大きいようにする。すなわち、フライングリード25は傘または庇のように導体15の側部上方に突き出ており、その庇の長さが、導体15の厚みtの半分以上あるのがよい。その作用効果については、製造方法の説明のあとで説明する。
図3、図4、および図5(a)〜(d)は、第1のプリント配線板10の導体15と、第2のプリント配線板20のフライングリード25とを接続する接続構造の製造方法を説明するための図である。図3に示すように、第1のプリント配線板10と、第2のプリント配線板20とを準備して、導体15とフライングリード25とを一対一で個別に導電接続する。フライングリード25間にはスペースDがあり、また導体15間にはスペースDがある。第1のプリント配線板10の導体15間のスペースDは、上方だけでなく側方にも開口している。
第2のプリント配線板20において、導体配線であるフライングリード25は、一方の端を絶縁性基材21から延在させて、他方の端を絶縁性基材21に進入させている。一方の端と他方の端の間では裸の状態である。フライングリード25は、図3に示すように、両端側において絶縁性基材21に進入して配線を形成する場合でも、他端側は裸の状態のまま終端する形態であってもよい。フライングリードの領域が複数箇所に分かれていて、その領域が、並置されていても、千鳥状(3つ以上の領域の場合)に配列していてもよい。
第1のプリント配線板10と第2のプリント配線板20との接続構造を製造するに際し、まず、図5(a)に示すように、導体15を有する第1のプリント配線板10上にACF33を配置する。次いで、ACF33の上にフライングリード25または第2のプリント配線板20を配置する。導体15の幅Wとフライングリード25の幅Wは、相違しており、W<Wである。次いで、図5(c)に示すように、第2のプリント配線板20を配置し、その上から熱圧着ツール41によって加熱・加圧する(図5(d))。
図4および図5(d)に示すように、導体15とフライングリード25との間に、並行するすべての導体15にわたって交差するように、ACF33を配置する。したがって、ACF33は、圧力をかけられるフライングリード25と導体15との間でのみ導電性を発揮して、(導体15/フライングリード25)の間に位置するACFでは導電性は発現しない。熱圧着条件は、温度100℃〜300℃−保持時間5秒〜45秒−圧力1MPa〜9MPaの範囲、たとえば温度200℃−保持時間15秒−圧力3MPaとするのがよい。この温度はACF33の温度である。このため、上記の熱圧着条件における温度200℃は、ACF33の温度が200℃になるように、ヒータを内蔵した熱圧着ツールまたは押し具41の温度をより高い温度に設定することになる。保持時間は、上記の押し具41により上記の圧力で押す時間である。
ACF33は、上述のように、導電粒子33pに加えて、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を主成分に含む。熱硬化性樹脂の場合、硬化温度にいたる過渡温度域において溶融または半溶融状態を経過する。また熱可塑性樹脂の場合は高温で溶融または半溶融状態になる。この溶融または半溶融状態に圧力を付加して、導体15/フライングリード25の部分を薄くして、導電粒子がACF33内部で導通するようにする。また、圧力を加えられないその他の部分では、導電性が発現しない。
圧力の負荷には、フライングリード25が露出している長さの範囲に収まる幅寸法の押し具(熱圧着ツール)41を用いるのがよい、押し具41とフライングツール25との間には、通常PTFEフィルムからなる離型フィルム35を介在させる。離型フィルム35は、ACFが押し具41に粘着するのを防止するために配置する。
離型フィルムには、粘着しにくい樹脂フィルムという理由から離型性に優れたPTFEフィルムやシリコンゴムシートを用いる。熱圧着のとき、図4に示す熱圧着装置の押し具41、第1および第2のプリント配線板10,20等は、大気雰囲気中に配置されている。ACF33は、押し具41からの熱伝導によって軟化され、離型フィルムとされたPTFEフィルムの押し込みに起因する圧力により、流動して失われていた。
ここで問題になるのは、離型フィルムのPTFEは、温度上昇して軟化するため、押し具41に押されて、フライングリード25間のスペースDに、さらには導体15間のスペースDにまで入り込む場合が多いことである。図4において、点線は、押し具41の熱圧着の圧力印加の位置を示している。フライングリード25間に押し込まれたPTFEフィルムは、直下に位置するACF33に圧力をかける。
図10は、フライングリード125の幅Wと、基材111上の導体115の幅Wとが同じ場合の接続構造を示す。図10に示すように、導電粒子133pを含むACF133は、フライングリード125と導体115の幅W,Wが同じ場合、圧力を受けて流動して、その多くが導体115間の側方開口から外に流出していた。
しかし、本発明の実施の形態では、フライングリード25の幅Wが導体15の幅Wより大きい。その幅の広狭差の程度は、図2に示す程度である。このためフライングリード25は、幅広の分だけ、スペースDを狭め、軟化した離型フィルム35の押し込みに対する抵抗となる。さらに、ACF33は、フライングリード25の庇または傘のもと、溶融または半溶融状態で、角部Kに充満する。軟化した離型フィルム35がフライングリード25間から少しは押し込まれることがあるかもしれないが、上記の庇または傘の下のACF33はそれほど影響を受けず、角部Kを埋める状態を維持することができる。そしてACF33は、角部Kに連続する(導体15/フライングリード25)間のスペースにも、当然、溜まる。さらに導体15/フライングリード25の側面の上部にまで充満して、接続強度向上に寄与することができる。ACF33は、溶融または半溶融状態で、フライングリード25の側面に粘着するので、図1(b)に示すように、(導体15/フライングリード25)間のスペースDにおいてフラットな表面を呈さず、側面から中間部へと垂れ下がる、粘性流体特有の表面形状を呈する。図1(b)に示すようにACF33の溜まり量が多いと、この垂れ下がりが急峻ではなくなる。垂れ下がりが急峻であると、図10に示すように(導体15/フライングリード25)の側面の被覆厚みが薄くなり、接続強度は低くなる。垂れ下がりが急峻な場合は、ACF133は側面に到達する高さも低くなる。
図1に戻って、フライングリード25の幅Wを導体15の幅Wよりも、その厚みt分以上大きくすることで、ACF33は、角部Kを埋め、(導体15/フライングリード25)間のスペースD(=D+D)において、所定レベルまで充満することができる。すなわち上記の垂れ下がりが急峻でなくなり、スペースDの両側の側面における高さも高くなり、上記側面の被覆厚みを厚くすることができる。この結果、ACF33は、第1のプリント配線板10と、第2のプリント配線板20との間に位置して、導体15とフライングリード25とを導電接続し、かつ、第1のプリント配線板10と第2のプリント配線板20との接続強度を十分高いものにする。
ACF33は、角部Kを超えて、導電接続した(導体15/フライングリード25)の側面の上部に達して、側面間(スペースD)では流動体特有の、上記側面を伝って(垂れ下がって)溜まる表面形状を呈する。残存するACFが多いほど、導体15とフライングリード25との接続は強固なものとなる。
第1および第2のプリント配線板10,20は、ともにフレキシブルプリント配線板(FPC)とするのがよいが、他の種類のプリント配線板であってもよい。フレキシブルプリント配線板の場合、絶縁性基材11,21には、例えば、ポリイミド、ポリエステル等の、プリント配線板用として汎用性のある樹脂を使用することができる。また、特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有していることが好ましく、このような樹脂としては、例えば、ポリアミド系の樹脂や、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド系の樹脂が好適に使用される。第1のプリント配線板10は補強をしなくてもよいが、補強をする場合は裏面から補強するのがよい。裏面から補強するとき、適度な厚みを持つ、ガラスエポキシ板、ポリイミド板、ポリエチレンテレフタート(PET)板、ステンレス板、等を貼り合わせるのがよい。
また、導体15またはフライングリード25は、例えば銅箔等の金属箔を、常法によりエッチングして加工することにより形成することができる。また、セミアディティブ法によりめっきにて導体15を形成することもできる。導体15の厚みは、10μm〜30μmの範囲、たとえば18μmとするのがよい。また、フライングリード25の厚みは、10μm〜25μmの範囲、たとえば20μmとするのがよい。
ACF33は、導電性粒子33pを含有した異方導電性を有する異方導電性接着剤であって、熱硬化性接着樹脂を用いる場合は、エポキシ樹脂、高分子量エポキシ樹脂であるフェノキシ樹脂、硬化剤、及び導電性粒子を必須成分とする熱硬化性の接着剤である。ACF33としては、例えば、絶縁性の熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂およびフェノキシ樹脂を主成分とし、ニッケル、銅、銀、金等の導電性粒子が分散されたものが使用できる。エポキシ樹脂を使用することにより、ACF33のフィルム形成性、耐熱性、および接着力を向上させることが可能となる。ACF33の厚みは、30μm〜45μmの範囲、たとえば35μmとするのがよい。
ACF33に含有されるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、F型、S型、AD型、またはビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合型のエポキシ樹脂や、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を使用することができる。また、ACF33は、上述のエポキシ樹脂のうち、少なくとも1種を含有していればよい。
また、エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の分子量は、ACF33に要求される性能を考慮して、適宜選択することができる。例えば、高分子量のエポキシ樹脂を使用すると、フィルム形成性が高く、また、接続温度における樹脂の溶融粘度を高くでき、後述の導電性粒子の配向を乱すことなく接続できる効果がある。一方、低分子量のエポキシ樹脂を使用すると、架橋密度が高まって耐熱性が向上するという効果が得られる。また、加熱時に、上述の硬化剤と速やかに反応し、接着性能を高めるという効果が得られる。従って、分子量が15000以上の高分子量エポキシ樹脂と分子量が2000以下の低分子量エポキシ樹脂とを組み合わせて使用することにより、性能のバランスが取れるため、好ましい。なお、高分子量エポキシ樹脂と低分子量エポキシ樹脂の配合量は、適宜、選択することができる。また、ここでいう「平均分子量」とは、THF展開のゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)から求められたポリスチレン換算の重量分子量のことをいう。
また、ACF33は、硬化剤として潜在性硬化剤を含有しており、エポキシ樹脂の硬化を促進させるための硬化剤を含有することにより、高い接着力を得ることができる。潜在性硬化剤は、低温での貯蔵安定性に優れ、室温では殆ど硬化反応を起こさないが、熱や光等により、速やかに硬化反応を行う硬化剤である。このような潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、アミンイミド、ポリアミン系、第3級アミン、アルキル尿素系等のアミン系、ジシアンジアミド系、酸無水物系、フェノール系、および、これらの変性物が例示され、これらは単独または2種以上の混合物として使用できる。
また、これらの潜在性硬化剤中でも、低温での貯蔵安定性、および速効果性に優れているとの観点から、イミダゾール系潜在性硬化剤が好ましく使用される。イミダゾール系潜在性硬化剤としては、公知のイミダゾール系潜在性硬化剤を使用することができる。より具体的には、イミダゾール化合物のエポキシ樹脂との付加物が例示される。イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−フィニルイミダゾール、2−フィニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾールが挙げられる。
また、特に、これらの潜在性硬化剤を、ポリウレタン系、ポリエステル系等の高分子物質や、ニッケル、銅等の金属薄膜およびケイ酸カルシウム等の無機物で被覆してマイクロカプセル化したものは、長期保存性と速硬化性という矛盾した特性の両立を図ることができるため、好ましい。従って、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤が、特に好ましい。
ACF33には導電性粒子が分散されており、導電性粒子は、微細な金属粒子(例えば、球状の金属微粒子や金属でメッキされた球状の樹脂粒子からなる金属微粒子)が多数、直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する、所謂アスペクト比が大きい形状を有する金属粉末により形成されている。また、本実施の形態においては、ACF33に占める導電性粒子の割合は、0.0001体積%以上0.2体積%以下とするのがよい。
上記は、ACF33に熱硬化性接着剤を用いた場合について詳しく説明したが、熱可塑性樹脂を用いてもよいことは、上記のとおりである。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2におけるプリント配線板の接続構造50を示す断面図である。本実施の形態では、フライングリード25の幅Wよりも導体15の幅Wが大きい点が特徴である。その幅の差(W−W)は、図7に示すように、幅が狭いほうのフライングリード25の厚みt以上大きくするのがよい。すなわち、一方の端において角部Kを構成する導体15の対向面の部分(W−W)/2は、フライングリード25の厚みの半分(t/2)以上とする。
上記の構成によれば、図6から分かるように、フライングリード25の突部25kおよび導体15の突部15kは、軟化して押し込まれる離型フィルム35に対して阻止作用を有する。このため、導体15の対向面とフライングリード25の側面とで形成される角部Kに溜まったACF33は押し出されることなく、(導体15/フライングリード25)間にとどまる。また、上記の突部25k,15kの離型フィルム35の押し込み阻止によって、ACF33は、導体15間のスペースDに、さらに(導体15/フライングリード25)間のスペースDにも十分な量、溜まりやすくなる。この結果、両プリント配線板10,20の接続強度を十分高くすることができる。
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3におけるプリント配線板の接続構造50を示す図である。本実施の形態では、フライングリード25がベタ電極である点に特徴を有する。このとき、幅の差(W−W)が、狭い方の導体15の厚みt以上となることは明白である。本実施の形態のプリント配線板の接続構造50は、実施の形態1の極端な場合である。フライングリード25の庇または傘の作用は、非常に大きくなり、大きな傘の下に、ACF33を十分な量、確実に残留させることができる。
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4におけるプリント配線板の接続構造50を示す図である。本実施の形態では、導体15がベタ電極である点に特徴を有する。このとき、幅の差(W−W)が、狭い方のフライングリード25の厚みt以上となることは明白である。本実施の形態のプリント配線板の接続構造50は、実施の形態2の極端な場合である。フライングリード25の突部25kの離型フィルム阻止作用は得ることができる。また、導体15はベタ電極であり突部はなくなっているが、そのベタ電極15が、離型フィルムを阻止することは明白である。このため、離型フィルム35が押し込まれた場合、非常に潤沢な量のACF33が残存することはないかもしれないが、上向きの角部Kを埋めて、なお上向きの角部Kから連続してフライングリード25間のスペースDに残るACF33を見込むことはできる。この上向きの角部KからスペースDへと連続するACF33は、導電接続部の界面を側方から分厚く覆う配置となる。この結果、両プリント配線板10,20の接続強度を十分高くすることができる。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明のプリント配線板の接続構造等によれば、一方のプリント配線板のフライングリードと、他方のプリント配線板の導体配線(基板パッド)とを電気的に接続しながら、十分高い接続強度を簡単に得ることができ、しかも基板パッドの高密度化に対応することができる。
10 (第1の)プリント配線板、11 基材、15 導体(配線)、15k 導体突部、20 (第2の)プリント配線板、21 基材、25 フライングリード、25k フライングリード突部、33 ACF、33p 導電粒子、35 離型フィルム、41 押し具、50 配線板の接続構造、D (導体/フライングリード)間のスペース、D 導体間のスペース、D フライングリード間のスペース、K 角部、P 押し具の幅、t 導体の厚み、t フライングリードの厚み、W 導体の幅、W フライングリードの幅。

Claims (5)

  1. 基材上に導体を有する第1のプリント配線板と、
    前記第1のプリント配線板の上に位置し、フライングリードを有する第2のプリント配線板と、
    前記第1のプリント配線板の導体と前記第2のプリント配線板のフライングリードとを接続する異方導電性接着剤とを備え、
    前記導体および前記フライングリードは幅が相違して、幅狭のほうの側面と幅広のほうの対向面とで角部を生じており、前記異方導電性接着剤は、前記導体とフライングリードとを導電接続する部分から連続して前記角部を埋めていることを特徴とする、プリント配線板の接続構造。
  2. 複数の前記導体および複数の前記フライングリードが、個別に一対一に接続され、前記異方導電性接着剤は、前記接続された(導体/フライングリード)間の前記基材上に溜まって、その表面が一のフライングリードの側面から隣のフライングリードの側面へと連なるように位置していることを特徴とする、請求項1に記載のプリント配線板の接続構造。
  3. 前記導体および前記フライングリードのうちの幅広のほうの一つが、幅狭のほうの複数の他方に導電接続されており、前記角部は、前記幅狭のほうの側面と、幅広の一つの対向面とで、前記複数の幅狭のほうごとに形成され、前記異方導電性接着剤は、前記幅狭のほうごとに前記導電接続する部分から連続して前記角部を埋めていることを特徴とする、請求項1に記載のプリント配線板の接続構造。
  4. 前記導体およびフライングリードのうち、幅広のほうの幅は、幅狭のほうの幅よりも、狭幅のほうの厚み分以上広いことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリント配線板の接続構造。
  5. 導体が基材上に位置する、第1のプリント配線板を準備する工程と、
    前記第1のプリント配線板上に異方導電性接着剤フィルムを配置する工程と、
    前記異方導電性接着剤フィルム上に、フライングリードを有する第2のプリント配線板を、前記導体上に前記フライングリードを合わせて配置する工程と、
    前記第2のプリント配線板の上から、離型フィルムを介在させて熱圧着ツールで圧力をかけて熱圧着する工程とを備え、
    前記第1のプリント配線板の導体の幅と、前記第2のプリント配線板のフライングリードの幅とを、相違させることを特徴とする、プリント配線板の接続構造の製造方法。

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