JP2011029218A - 窒化物半導体発光素子構造とその形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高電流密度駆動でも高い発光効率を生じ得る窒化物半導体発光素子を提供する。
【解決手段】窒化物半導体発光素子構造は、1以上のn型層(12)と1以上のp型層(14、15)との間に発光層(13)を含み、この発光層は1以上の量子井戸層を含み、少なくとも1の井戸層は、相対的に小さなバンドギャップを有する第1種サブ井戸層(13a1、13a2)の2以上と、これら第1種サブ井戸層に挟まれかつ相対的に大きなバンドギャップを有する第2種サブ井戸層(13a2)の1以上とを含み、各第2種サブ井戸層は4nm以下の厚さを有していて結晶性回復層として機能し、第1種サブ井戸層の合計厚さは4nmよりも大きい。
【選択図】図2

Description

本発明は窒化物半導体発光素子に関し、特に、電流密度の大きい領域で高い発光効率を有する窒化物半導体発光素子構造とその形成方法に関する。
窒化物半導体発光素子の課題の一つとして、電流密度を上げたときの発光効率の低下がある。例えば、窒化物半導体発光素子について一般照明などの用途を考えるとき、発光素子のチップの単価を下げるために、より小さな素子チップで必要光量を得ることが望まれる。この場合に。発光素子が高い電流密度で駆動され得ることが要求され、この要求を満たすことが窒化物半導体発光素子の普及のたに不可避な課題である。
窒化物半導体発光素子の電流密度を上げたときの発光効率低下の要因として、発光層中のキャリア密度の上昇によるオージェ非発光再結合確率の増加、電子と正孔の有効質量の差による電子のp型層領域へのリークなどが挙げられている。先行技術文献(特許文献1〜3参照)によれば、発光層の厚さを大きくすることによって、実効的に発光層中のキャリア密度を下げることができて、発光効率低下の課題が解決できるとされている。
特開2005−311375号公報 特開2006−229242号公報 特開2007−067418号公報
発光層の厚さを増大させた場合に生じる課題として、発光層の結晶性の悪化がある。窒化物半導体発光素子の場合、一般にGaN層またはAlGaN層に接して発光層が形成されるので、(通常ではInを添加して)発光層のバンドギャップを小さくするほどその臨界膜厚が小さくなり、より小さな膜厚においても格子緩和のために格子欠陥(界面転位:ミスフィット転位)が発生する。
また、一般に商品化されている青色LED、緑色LEDなどでは一般にInGaNが発光層に利用されており、このInGaN層は臨界膜厚以下であってもInNの格子定数はGaNのそれに比べて大きいため、圧縮歪を内包しているので、層厚ゆらぎやIn偏析が生じやすく、結果として結晶性の悪化を招きやすい。また、InGaN発光層からは、p型層領域への電子リークが生じやすい。
上述のような先行技術における課題に鑑み、本発明の目的は、高電流密度駆動においても高い発光効率を生じ得る窒化物半導体発光素子を提供することである。
本発明による窒化物半導体発光素子構造は、発光層を含み、この発光層は1以上の量子井戸層を含み、少なくとも1の井戸層は、相対的に小さなバンドギャップを有する第1種サブ井戸層の2以上と、これら第1種サブ井戸層に挟まれかつ相対的に大きなバンドギャップを有する第2種サブ井戸層の1以上とを含み、各第2種サブ井戸層は4nm以下の厚さを有していて結晶性回復層として機能し、第1種サブ井戸層の合計厚さは4nmよりも大きいことを特徴としている。
本発明によれば、窒化物半導体発光素子中の発光層の厚さを大きくしてもその高い結晶品質を実現することができ、また発光層からp型層への電子リークを小さくすることができ、その結果として高い電流密度駆動に適した窒化物半導体発光素子を提供することができる。
本発明の一実施形態による窒化物半導体発光素子における窒化物半導体積層を示す模式的断面図である。 本発明の他の実施形態による窒化物半導体発光素子を示す模式的断面図である。 窒化物半導体井戸層が均一層で形成されている場合のキャリア分布を示す模式的なエネルギバンド図である。 窒化物半導体井戸層が異なるバンドギャップを有する複数のサブ井戸層を含む場合のキャリア分布を示す模式的なエネルギバンド図である。
図1に示されているように、本発明による窒化物半導体発光素子の作製においては、基板1上に少なくともn型窒化物半導体層2、窒化物半導体発光層3、およびp型窒化物半導体層4を結晶成長させる。基板1の材料としては、サファイア、SiC、GaNなどから選択することができる。n型窒化物半導体層2はAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1)で形成され、低温バッファ層やアンドープ層を含んで形成されてもよく、そのドーパントはSi、Geなどから選択され得る。発光層3は発光を生じる1以上の量子井戸層を含んでいる。少なくとも1の井戸層は、第1種サブ井戸層の2以上と、これら第1種サブ層に挟まれた第2種サブ井戸層の1以上とを含んでいる。この第2種サブ井戸層は、結晶性回復層として機能する。井戸層の組成に関しては、発光波長に応じてIn組成比などが設計されるが、井戸層の材料としてInGaNが好ましく用いられ得る。
結晶性回復層として機能する第2種サブ井戸層は、高い平坦性と小さな結晶欠陥密度を有することが望ましく、この観点からは第1種サブ井戸層に比べて大きなバンドギャップを有することが好ましい。具体的には、第2種サブ井戸層は、第1種サブ井戸層に比べて小さなIn組成比のInGaNであることが望ましい。そして、第2種サブ井戸層としては、III族元素中のIn組成が5原子%以下であることが好ましく、In組成が0原子%のGaNが用いられてもよい。第2種サブ井戸層として最も好ましいのは、ドーピングレベルでInを含むGaN(InドープGaN)である。このドーピングレベルとは、1原子%オーダー以下の濃度を意味している。また、このドーピングレベルの下限は、1×1018/cm3以上であることが好ましい。このようなドーピングレベル範囲の濃度のInは、GaNに対してサーファクタントとして働き、結晶性回復層として機能する第2種サブ井戸層の表面平坦性の向上に寄与する。
結晶性回復層として機能する第2種サブ井戸層の厚さは、4nm以下であることが望まれる。第2種サブ井戸層の厚さが4nm以下の場合、この層を挟んで互いに隔てられた2つの第1種サブ井戸層同士の量子準位がカップリングし、あたかも一つの第1種サブ井戸層であるかのように振舞うことができる。すなわち、第2種サブ井戸層によって高い結晶性を保ちつつ、より大きな厚さの井戸層を実現することができるため、結晶性回復層を含まない一層の井戸層を厚く形成するよりも高い結晶性を実現することができる。第2種サブ井戸層は、その平坦性が高くかつ結晶欠陥が少ない場合ほど薄くすることができ、2nm以下または1nm以下の厚さであっても結晶性回復層として機能し得る。第2種サブ井戸層のIn組成比を小さくしてその厚さを小さくすることによって、In組成比の大きな第1種サブ井戸層から長波長の発光を得ることができる。第2種サブ井戸層で互いに隔てられた第1種サブ井戸層の各々の厚さは5nm以下であることが好ましく、このことは結晶欠陥が少なくかつ平坦性の高い井戸層を得て高い発光効率を実現することに寄与し得る。
井戸層内において、結晶性回復層として含まれる第2種サブ井戸層は、1層でもよいし2層以上であってもよい。井戸層の直下の層および直上の層は、InドープGaN層であることが好ましい。このことは、井戸層において高い平坦性と界面急峻性を得ることに寄与し、より高い結晶性の井戸層が得やすくなる。
また、発光層は、複数の井戸層を含むこともできる。この場合、井戸層間には障壁層が形成され、障壁層の厚さを4nm以上にすることによって、高い発光効率を得ることができる。井戸層と障壁層が交互に積層された多重量子井戸(MQW)構造が形成される場合、正孔は電子よりも重い有効質量を持つので拡散長が短く、p型層側に電子キャリアが偏る傾向にある。したがって、各井戸層が第1種サブ井戸層と第2種サブ井戸層を含むこともできるが、1つの井戸層のみが第1種サブ井戸層と第2種サブ井戸層を含む場合には、その1つの井戸層はp型層側に最も近く形成されることが好ましい。
前述のInドープGaN層は、有機金属気相成長法において、トリメチルインジウムまたはトリエチルインジウムをその層の成長前、成長中、または成長後に微量供給することによって実現され得る。
有機金属気相成長法において、第1種サブ井戸層に関しては、その成長前、成長後、または第2種サブ井戸層との間にトリメチルインジウムまたはトリエチルインジウムを微量供給することでよって、高い平坦性を実現することができる。また、第1種サブ井戸層の成長後または第2種サブ井戸層の成長との間に水素を添加することによって、内部エネルギが高い格子欠陥を多く含む部分をエッチングして、良好な結晶性を有する第1種サブ井戸層を得ることができる。
第2種サブ井戸層としてInドープGaNを採用する場合には、有機金属気相成長法では、トリメチルインジウムまたはトリエチルインジウムをその層の成長前、成長中、または成長後に微量供給することによって実現することができる。また、水素含有キャリアガスを使用することによって、結晶欠陥を多く含む部分をエッチングしながら第2種サブ井戸層を結晶成長させることができ、高い結晶性を有する第2種サブ井戸層を得ることができる。比較的高い基板温度で第2種サブ井戸層を成長させることも、その結晶性を改善する観点から好ましい。
p型窒化物半導体層4はAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1)で形成され、そのドーパントはMg、Znなどから選択され得る。特に、p型窒化物半導体層4中において発光層3に近接してAlGaN層を形成することにより、これがキャリアブロック層として機能して電子キャリアのリークを防ぎ、より大きな厚さの井戸層との組み合わせにおいて相対的なバリア高さを増大させることができる。また、このAlGaN層をキャリアブロック層として働かせるためには、p型ドーパント濃度を1×1019/cm3以上に高めることによって、フェルミエネルギを価電子帯に近づけて伝導帯ポテンシャルを真空準位方向に上げてやることが効果的である。p型ドーパントとしては、活性化エネルギの観点からMgが適している。
井戸層の結晶品質を第2種サブ井戸層で高めてやることによって、井戸層内へキャリアを2次元的に均一に注入することが可能になって、井戸層内の実効的なキャリア密度を下げてオージェ非発光再結合確率を小さくすることとができ、またAlGaNキャリアブロック層によってp型層内への電子キャリアのリークを小さくすることができ、その結果として高い電流密度において発光効率の低下の少ない発光素子を実現することができる。
なお、基板1としては、c面の主面を有するサファイヤ基板が安価であって、高い結晶品質の窒化物半導体層を成長させ得る点で好ましい。サファイアのような絶縁基板を用いる場合における正負の電極形成に関しては、例えばp型窒化物半導体4上に電流拡散層を介して正電極を形成し、p型窒化物半導体層4側からエッチングしてn型窒化物半導体層2を部分的に露出させ、その露出領域上に負電極を形成することができる。他方、n型GaNやn型SiCのような導電性基板の場合は、p型窒化物半導体4上に電流拡散層を介して正電極を形成し、基板1の裏面上に負電極を形成することができる。
(実施例1)
本発明の実施例1においては、図2に示す窒化物半導体発光ダイオード素子が作製される。まず、サファイア基板11が有機金属気相成長(MOCVD)装置の反応炉内にセットされる。そして、その反応炉内に水素を流しながら基板11の温度を1050℃まで上昇させて、基板11の主面(c面)のクリーニングを行なう。
その後、基板11の温度を510℃まで低下させ、キャリアガスとしての水素、および原料ガスとしてのアンモニアとTMG(トリメチルガリウム)を反応炉内に流して、基板11の主面上に約20nm厚さのGaNバッファ層を堆積させる。
次いで、基板11の温度を1050℃まで上昇させて、キャリアガスとしての水素、原料ガスとしてのアンモニアとTMG、および不純物ガスとしてのシランを反応炉内に流して、Siがドーピングされた厚さ6μmのn型GaN下地層(キャリア濃度:1×1018/cm3)をバッファ層上に積層する。
続いて、キャリア濃度が5×1018/cm3となるようにSiをドーピングしたこと以外はn型GaN下地層の場合と同様にして、厚さ0.5μmのn型GaNコンタクト層をn型GaN下地層上に積層する。
以上のようにして、GaNバッファ層、n型GaN下地層、およびn型GaNコンタクト層を含むn型窒化物半導体層12が形成される。
その後、基板11の温度を700℃に設定し、キャリアガスとしての窒素と、原料ガスとしてのアンモニア、TMGおよびTMI(トリメチルインジウム)とを反応炉内に流して、厚さ4nmのIn0.20Ga0.80N層(第1種サブ井戸層)13a1、所定の厚さとIn組成を有するInGaN層(第2種サブ井戸層:結晶性回復層)13a2、および厚さ4nmのIn0.20Ga0.80N層(第1種サブ井戸層)13a3を順次成長させることによって発光層13を形成する。
続いて、基板11の温度を700℃に維持したままで、キャリアガスとしての窒素、および原料ガスとしてのアンモニアとTMGを反応炉内に流して、発光層13上に、蒸発防止層14として厚さ15nmのGaN層を形成する。
その後、基板11の温度を950℃に上昇させ、キャリアガスとしての水素、原料ガスとしてのアンモニア、TMGおよびTMA(トリメチルアルミニウム)、さらに不純物ガスとしてのCP2Mgを反応炉内に流して、1×1020/cm3の濃度でMgドーピングされた約20nm厚さのp型Al0.20Ga0.80Nキャリアブロック層を蒸発防止層14上に積層する。
続いて、基板11の温度を950℃に保持し、キャリアガスとしての水素、原料ガスとしてのアンモニアとTMG、および不純物ガスとしてのCP2Mgを反応炉内に流して、1×1020/cm3の濃度でMgドーピングされた厚さ80nmのp型GaNコンタクト層をp型Al0.20Ga0.80Nキャリアブロック層上に積層する。
こうして、p型Al0.20Ga0.80Nキャリアブロック層とp型GaNコンタクト層を含むp型窒化物半導体層15が形成される。
その後、基板1の温度を700℃に低下させ、上述のように積層された複数の窒化物半導体層を含むウエハが、反応炉内に窒素を流しながらアニーリングされる。
このアニーリングの後にウエハが反応炉から取り出され、p型窒化物半導体層15に含まれるp型GaNコンタクト層上に、ITO(インジュウム錫酸化物)からなる厚さ100nmの透光性電極16がEB(電子ビーム)蒸着によって形成される。ITO電極16上には所定のパターンのマスクが形成され、RIE(反応性イオンエッチング)によってn型GaNコンタクト層が部分的に露出される。そして、透光性電極16上の所定位置とn型GaNコンタクト層の露出領域上の所定位置とにおいて、TiとAlを含むパット電極17、18がそれぞれ形成される。こうして、図2に示されているようなLED(発光ダイオード)素子が得られる。
本実施例1のLED素子においては、結晶性回復層としての第2種サブ井戸層13a2の厚さを4nm以下にすることによって、この第2種サブ井戸層を挟んで隔てられかつ各々が4nmの厚さを有する2つの第1種サブ井戸層(In0.20Ga0.80N層)13a1、13a3の量子準位がカップリングして1つの第1種サブ井戸層のごとく振舞うことができ、その結果として高い電流密度において発光効率低下の少ない発光素子を実現することができる。
ここで、図3の模式的なエネルギバンド図は井戸層13が均一層で形成されている場合のキャリア分布を示しており、図4の模式的なエネルギバンド図は井戸層13が異なるバンドギャップを有する複数のサブ井戸層13a1、13a2、13a3を含む場合のキャリア分布を示している。これらの図において、符合EvとEcはそれぞれ価電子帯の上限レベルと伝導帯の下限レベルを表しており、eとhはそれぞれ電子とホールの濃度分布曲線を表している。ただし、電子の分布曲線eではそのピーク部において電子濃度が高く、ホールの分布曲線hではその谷部において濃度が高いことを表している。
一般に、異なる組成の窒化物半導体層がc面に垂直な方向に積層されている場合、それらの層間の歪みに起因してピエゾ電界が発生し得る。そして、発光層内においてそのようなピエゾ電界が生じている場合には、その発光層内で電子とホールが空間的に分離されることがある。例えば、図3に示されているように発光層13内でピエゾ電界による電界傾斜が生じている場合、電子がp型層側に偏在しかつホールがn型層側に偏在しやすくなる。この場合、電子とホールが発光再結合する確率が低下して発光効率が低下する。
しかし、本発明におけるように発光層13が第2種サブ井戸層13a2で分離された第1種サブ井戸層13a1、13a2を含んでいる場合、これらの第1種サブ井戸層内における電子とホールとの空間分離の距離が小さくなり、電子とホールが発光再結合する確率が高まって発光効率が向上し得る。
なお、結晶性回復層である第2種サブ井戸層13a2におけるIII族元素中のIn組成は5原子%以下であることが好ましく、0原子%のGaNであってもよく、Inを1原子%以下で含むGaNであることが最も好ましく(このときInはGaNに対してサーファクタントとして働く)、これによって高い発光効率を実現することができる。例えばInを1原子%以下で含むGaN層のように平坦性が高い場合には、第2種サブ井戸層13a2の厚さを4nmよりも薄く設計することができ、2nm以下または1nm以下にすることも可能になる。結晶性回復層としての第2種サブ井戸層の厚さを薄くすることによって、より小さなIn組成比を有する第1種サブ井戸層でより長い波長の発光が可能となり、より高い発光効率を実現することができる。さらに、前述のp型Al0.20Ga0.80Nキャリアブロック層をp型窒化物半導体層15内に形成することにより、発光層13からの電子キャリアのリークを防ぎ、高い電流密度において発光効率の低下の少ない発光素子を実現することができる。
(実施例2)
本発明の実施例2は、実施例1に比べて、結晶性回復層としての第2種サブ井戸層13a2の成長条件が変更されたことのみにおいて異なっている。具体的には、本実施例2における第2種サブ井戸層をMOCVDで形成する場合には、キャリアガスとして水素と窒素の混合ガスを用い、TMG、微量のTMI、およびアンモニアが供給される。こうして、2nmの厚さと0.5原子%のIn組成を有するGaNの第2種サブ井戸層が形成される。
本実施例2のLED素子においては、結晶性回復層としての第2種サブ井戸層13a2の結晶欠陥を低減できかつ平坦性を高めることができ、このことによって、より高い発光効率を実現することができる。
(実施例3)
本発明の実施例3は、実施例2に比べて、結晶性回復層としての第2種サブ井戸層13a2の形成条件が変更されたことのみにおいて異なっている。具体的には、実施例2の場合と同様に2nmの厚さと0.5原子%のIn組成を有するGaNの第2種サブ井戸層を成長させた後に、さらにその成長直後にTMIとアンモニアのみが供給される。ただし、このときのTMIとアンモニアの供給量は、InNが生成しない範囲内に制限される。
本実施例3においは、第2種サブ井戸層の成長直後に供給されるTMIからのInはサーファクタントとして働き、結晶欠陥が少なくかつ平坦性の高い結晶性回復層としての第2種サブ井戸層を形成することができ、より高い発光効率を実現することができる。
(実施例4)
本発明の実施例4は、実施例3に比べて、井戸層13の形成条件が変更されたことのみにおいて異なっている。具体的には、本実施例4においては、まずIn0.20Ga0.80Nの第1種サブ井戸層13a1の成長直後に、InNが成長しない供給量範囲内でTMIとアンモニアのみが供給される。続いて、実施例3の場合と同様に、本実施例4においても第2種サブ井戸層13a2の成長直後にInNが成長しない供給量範囲内でTMIとアンモニアのみが供給される。しかし、本実施例4においては、さらに続いてIn0.20Ga0.80Nの第1種サブ井戸層13a3を成長させた直後にInNが成長しない供給量範囲内でTMIとアンモニアのみが供給される。
こうして形成される本実施例4のLED素子においては、実施例3に比べても、さらにIn0.20Ga0.80Nの第1種サブ井戸層においてInがサーファクタントとして働き、結晶欠陥が少なくて平坦性の高い膜を形成することができ、より高い発光効率を実現することができる。
(実施例5)
本発明の実施例5は、実施例3に比べて、第1種サブ井戸層13a1、13a2の形成条件が変更されたことのみにおいて異なっている。具体的には、本実施例5においては、まずIn1.20Ga0.80Nの第1種サブ井戸層13a1を成長させた直後に微量の水素とアンモニアのみを供給する。続いて、実施例3の場合と同様に、本実施例5においても第2種サブ井戸層13a2を成長させた直後にInNが生じない供給量範囲内でTMIとアンモニアのみが供給される。しかし、本実施例5では、さらに続いてIn0.20Ga0.80Nの第1種サブ井戸層13a3を成長させた直後に微量の水素とアンモニアのみが供給される。
本実施例5のLED素子では、In0.20Ga0.80Nの第1種サブ井戸層において結晶欠陥の多い内部エネルギの高い部分を水素でエッチングして高品質な膜質を得ることができ、実施例3に比べても高い発光効率を実現することができる。
(実施例6)
本発明の実施例6は、実施例1〜5に比べて、MQW発光層が設けられることのみにおいて異なっている。具体的には、基板温度700℃において、キャリアガスの窒素に加えて、TMG、TMI、およびアンモニアを供給して厚さ4nmのIn0.20Ga0.80N井戸層を形成し、TMIの供給を止めて厚さ6nmのGaN障壁層を形成し、これらの井戸層と障壁層を交互に5周期だけ積層した後に、実施例1から5のいずれかと同様に井戸層13が形成される。
すなわち、本実施例6のLED素子においては、p型層15に最も近い側に第1種サブ井戸層と第2種サブ井戸層を含む井戸層13が形成される。この場合、正孔の有効質量が電子に比べて大きくて発光層内での拡散長が短く、また第1種サブ井戸層が主に発光に寄与するので、全井戸層内に第2種サブ井戸層を含める場合と比べて、p型層に最も近い井戸層のみに第2種サブ井戸層を設けることによって高い発光効率を実現することができる。
(実施例7)
本発明の実施例7も、実施例1〜5に比べて、MQW発光層が設けられることのみにおいて異なっている。具体的には、基板の温度を700℃に維持したままで、キャリアガスとしての窒素に加えて、原料ガスとしてのアンモニア、TMGおよびTMIを反応炉内に流して、厚さ3nmのIn0.20Ga0.80N層(第1種サブ井戸層)、厚さ2nmのGaN結晶性回復層(第2種サブ井戸層)、および厚さ3nmのIn0.20Ga0.80N層(第1種サブ井戸層)が積層された井戸層を形成し、続いて厚さ6nmのGaN障壁層を形成し、これらの井戸層と障壁層を3周期積層することによって発光層を形成する。
本実施例7のLED素子においても、各井戸層内でIn0.20Ga0.80N層(第1種サブ井戸層)同士の量子準位がカップリングし、実施例1〜5と同様に高い電流密度においても高い発光効率を実現することができる。
以上のように、本発明によれば、高密度の電流を注入したときの発光効率が改善された窒化物半導体発光素子を提供することができる。
1 基板、2 n型窒化物半導体層、3 窒化物半導体発光層、4 p型窒化物半導体層、11 基板、12 n型窒化物半導体層、13 窒化物半導体発光層、13a1、13a3 第1種サブ井戸層、13a2 第2種サブ井戸層、14 蒸発防止層、15 p型窒化物半導体層、16 透光性電極、17、18 パット電極。

Claims (20)

  1. 窒化物半導体発光素子構造であって、
    1以上のn型層と1以上のp型層との間に発光層を含み、
    前記発光層は1以上の量子井戸層を含み、
    少なくとも1の前記量子井戸層は、相対的に小さなバンドギャップを有する第1種サブ井戸層の2以上と、前記第1種サブ井戸層に挟まれかつ相対的に大きなバンドギャップを有する第2種サブ井戸層の1以上とを含み、
    各前記第2種サブ井戸層は4nm以下の厚さを有していて結晶性回復層として機能し、
    前記第1種サブ井戸層の合計厚は4nmよりも大きいことを特徴とする窒化物半導体発光素子構造。
  2. 前記発光層は前記井戸層に加えて1以上の障壁層をも含み、各前記障壁層は4nmより大きい厚さを有していることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子構造。
  3. 各前記第2種サブ井戸層の厚さは2nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子構造。
  4. 各前記第2種サブ井戸層の厚さは1nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の窒化物半導体発光素子構造。
  5. 前記第2種サブ井戸層はInGaN、GaN、およびInドープGaNのいずれかからなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子構造。
  6. 各前記第1種サブ井戸層の厚さが5nm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の窒化物半導体発光素子構造。
  7. 少なくともp型層に最も近い前記井戸層は前記第2種サブ井戸層を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか記載の窒化物半導体発光素子構造。
  8. 前記第1種サブ井戸層および第2種サブ井戸層を含む井戸層に対してn型層に接している層はInドープGaNであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子構造。
  9. 前記第1種サブ井戸層および第2種サブ井戸層を含む井戸層に対してp型層に接している層はInドープGaNであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子構造。
  10. 前記1以上のp型層は前記発光層側に最も近いAlGaN層を含んでいることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子構造。
  11. 前記発光層の一方側に接してGaNまたはAlGaNからなる蒸発防止層が形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子構造。
  12. 前記AlGaNの層は1×1019/cm3以上のp型ドーパント濃度を有していることを特徴とする請求項10または11に記載の窒化物半導体発光素子構造。
  13. 前記p型ドーパントはMgであることを特徴とする請求項12に記載の窒化物半導体発光素子構造。
  14. 前記窒化物半導体発光素子構造はc面の主面を有するサファイヤ基板上に形成されていることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子構造。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子構造の形成方法であって、
    前記第2種サブ井戸層は水素を含むキャリアガスを利用した有機金属気相成長法によって結晶成長されられることを特徴とする形成方法。
  16. 前記第2種サブ井戸層の結晶成長中にトリメチルインジウムまたはトリエチルインジウムが供給されることを特徴とする請求項15に記載の形成方法。
  17. 前記第2種サブ井戸層の結晶長後にトリメチルインジウムまたはトリエチルインジウムが供給されることを特徴とする請求項16に記載の形成方法。
  18. 前記第1種サブ井戸層も有機金属気相成長法によって結晶成長させられ、前記第2種サブ井戸層は前記第1種サブ井戸層に比べて高い基板温度のもとで結晶成長させられることを特徴とする請求項15から17のいずれかに記載の形成方法。
  19. 前記第1種サブ井戸層井戸層の成長前、前記第1種サブ井戸層の成長と前記第2種サブ井戸層の成長との間、または前記第2種サブ井戸層の成長後においてトリメチルインジウムまたはトリエチルインジウムが供給されることを特徴とする請求項18に記載の形成方法。
  20. 前記第1種サブ井戸層の成長と前記第2種サブ井戸層の成長との間、または前記第2種サブ井戸層の成長後において水素が供給されることを特徴とする請求項18または19に記載の形成方法。
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