JP2011027152A - 制水体設置装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】継手リングの移動を円滑に行い設置作業を容易にするとともに、継手リングと既設流体管との間を確実に止水することができる制水体設置装置を提供すること。
【解決手段】既設流体管Pに外嵌され管軸方向に移動する移動割継輪Rにより、制水弁42と既設流体管Pとの間を水密に接続する制水体設置装置は、移動割継輪Rと既設流体管Pとの間に介在するように、既設流体管Pの外周面に密封状に固着される筒状体10を備え、筒状体10の外周面は、移動割継輪Rの内周面に対応した周面形状に管軸方向に沿って形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、水密に密封した筐体内において、既設流体管の所定箇所を管切除手段により不断水状態で切除し、既設流体管の切断面側に配置される制水体を所定箇所に設置するとともに、既設流体管に外嵌され管軸方向に移動する継手リングにより、制水体と既設流体管との間を水密に接続する制水体設置装置に関する。
従来の制水体設置装置では、管切除手段により既設流体管の所定箇所を切除するとともに、切除により分断された切断片を回収し、この分断箇所に制水体を設置して、この制水体により流体の流れが制御される。
この種の制水体設置装置において、制水体の設置後に移動手段により継手リングを管軸方向に移動させ、制水体に接続させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−46680号公報(第8頁、第6図)
特許文献1に記載の制水体設置装置にあっては、例えば既設流体管の外周面が偏平した形状の場合、若しくは既設流体管の外周面が腐食等により凹凸形状の場合に、このような既設流体管に継手リングが取付けられると、継手リングの内周面が既設流体管の外周面と周方向に亘って一様に当接せず、移動手段により継手リングを管軸方向に移動させる際に、継手リングと既設流体管とが偏った箇所で摺接してしまい、継手リングを移動させ難い虞があった。また、継手リングの内周面が既設流体管の外周面と周方向に亘って一様に当接しないため、継手リングと既設流体管との間の止水性を十分に確保できない虞があった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、継手リングの移動を円滑に行い設置作業を容易にするとともに、継手リングと既設流体管との間を確実に止水することができる制水体設置装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の制水体設置装置は、
水密に密封した筐体内において、既設流体管の所定箇所を管切除手段により不断水状態で切除し、前記既設流体管の切断面側に配置される制水体を前記所定箇所に設置するとともに、前記既設流体管に外嵌され管軸方向に移動する継手リングにより、前記制水体と前記既設流体管との間を水密に接続する制水体設置装置であって、
前記継手リングと前記既設流体管との間に介在するように、該既設流体管の外周面に密封状に固着される筒状体を備え、
前記筒状体の外周面は、前記継手リングの内周面に対応した周面形状に管軸方向に沿って形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、筒状体の外周面が継手リングの内周面に対応した周面形状に管軸方向に沿って形成されていることで、継手リングが、既設流体管の外周面の形状や状態に関わらず、筒状体に対して移動させ易く、継手リングの設置作業を容易にすることができる。また、筒状体の外周面が継手リングの内周面に対応しているため、継手リングと既設流体管との間を確実に止水することができる。
本発明の制水体設置装置は、
前記筒状体の内周面には、前記既設流体管の外周面に当接する当接部が、前記筒状体の周方向に沿って設けられ、該当接部は、該既設流体管の外周面の形状を考慮して、径方向の厚みが周方向に異なって形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、当接部の径方向の厚みが、既設流体管の外周面の形状を考慮して周方向に異なることで、筒状体の外周面を継手リングの内周面に対応した周面形状に安定的に維持することができる。
本発明の制水体設置装置は、
前記筒状体の内周面には、前記既設流体管の外周面に当接するリブが前記筒状体の軸方向に亘って設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、筒状体の内周面に、既設流体管の外周面に当接するリブが筒状体の軸方向に亘って設けられることで、筒状体の外周面を軸方向に亘って一様の周面形状にすることができ、継手リングを筒状体における所定位置に軸方向に移動させ易い。
本発明の制水体設置装置は、
前記リブには、周方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、リブに周方向に貫通する貫通孔が形成されていることで、既設流体管の外周面と筒状体の内周面との間を周方向に亘って一様の流体圧にすることができる。
既設流体管が固定部材にて補強及び固定された状態を示す正面図である。 筒状体が既設流体管に取付けられている状態を示す正面図である。 筒状体を示す断面図である。 図3のA−A断面図である。 筒状体の水圧テストを行っている状態を示す正面図である。 移動割継輪の水圧テストを行っている状態を示す正面図である。 移動部材が取付座に取付けられた状態を示す一部断面図である。 上部ケースが既設流体管を囲繞して取付けられている状態を示す正面図である。 制水弁が切除部に配置された状態を示す一部断面図である。 収縮状態のベローズが軸方向に伸長した状態を示す断面図である。
本発明に係る制水体設置装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
実施例に係る制水体設置装置につき、図1から図10を参照して説明する。以下、図2の紙面手前側を筒状体の正面側(前方側)として説明する。
一般に、地中に埋設され内部を上水が流れる既設流体管において、水の流れを制御するために既設流体管の所定箇所を切除して該所定箇所に緊急用の制水体が不断水状態で配置される。このような制水体は、例えば地震等の緊急時に、自動で制水体の遮断状態に制御される。本実施例は、このような制水体を所定箇所に設置する工程と、その工程を行う制水体設置装置について設置する。
図1の符号Pは、土壌に埋設され内部を流れる流体が上水である金属製の既設流体管であって、重力等により上下方向がわずかに短径の偏平形状になっている。先ず、既設流体管Pの清掃後、既設流体管Pは、H鋼及びコンクリート等による固定部材101,101にて補強及び固定される。次いで、既設流体管Pにおける後述の筒状体を取付ける箇所に罫書き手段(図示略)にて罫書く。
そして、図2に示されるように、既設流体管Pの切除する所定箇所の切除部Kの上流側及び下流側における既設流体管Pの外周面に、筒状体10,10を周方向に沿って夫々固着する筒状体固着工程を行う。
ここで、筒状体10の構造について説明すると、筒状体10は、後述の移動割継輪R(図6参照)と既設流体管Pとの間に介在して配置される。図2〜図4に示されるように、この筒状体10は、主に、各々が既設流体管Pの上部及び下部に取付けられる2分割構造の分割体11,11’と、既設流体管Pの外周面に当接するリブ14,14’及び当接部15,15’と、から成っている。
分割体11,11’の外周面には、分割体11,11’同士を連結するためのフランジ部12,12’が夫々軸方向に沿って複数取付けられており、このフランジ部12,12’には、挿通孔12a,12a’が形成されている。更に、分割体11,11’の外周面には、内部と連通する連通部13、13,13’が夫々形成されている。
図3に示されるように、分割体11の上部及び分割体11’の下部の内周面には、前述のリブ14,14’が軸方向に亘って夫々形成されており、このリブ14,14’の中央箇所には、周方向に貫通する貫通孔14a,14a’が形成されている。
更に、分割体11,11’の両端面には、前述の当接部15,15’が、分割体11,11’の周方向に亘って固着されている。図3及び図4に示されるように、この当接部15,15’は、その外周面が分割体11,11’の外周面に略面一であり、その内周面が分割体11,11’の内周面よりも内径方向に膨出するように形成されている。より具体的には、当接部15の内周面は、既設流体管Pの外周面の上端部に当接する中央部15aから両端部15b、15bに向かって、径方向の厚みが漸次小さくなるように形成されている。同様に、当接部15’の内周面は、既設流体管Pの外周面の下端部に当接する中央部15a’から両端部15b’、15b’に向かって、径方向の厚みが漸次小さくなるように形成されている。すなわち、当接部15,15は、既設流体管Pの偏平形状に周方向に亘って当接するように形成されている。
筒状体10が既設流体管Pの偏平形状の外周面に周方向に固着されることで、筒状体10の外周面が、前述の分割体11,11’に設けられたリブ14,14’及び当接部15,15’により、後述の移動割継輪R,R(図6参照)の内周面に対応した真円形状に管軸方向に沿って形成されるようになっている。
次に、筒状体固着工程について説明すると、図2に示されるように、分割体11,11’を既設流体管Pの外周に取付け、フランジ部12,12’の挿通孔12a,12a’(図3参照)にボルト・ナット18を取付け、分割体11,11’同士の仮固定を行う。
次いで、分割体11,11’に架けてそれら外周面に、補強板17を筒状体10の軸方向に沿って複数溶接する。そして、筒状体10の外周面が、後述の移動割継輪R(図6参照)の内周面に対応した周面形状、すなわち真円形状になるように、筒状体10の芯出しを行う。尚、本実施例では、補強板17を筒状体10の軸方向に沿って複数溶接した後に、筒状体10の芯出しを行っているが、これに限らず、補強板17を特段に用いずに、フランジ部12,12’にボルト・ナット18を取付けるのみにより、筒状体10の芯出しを行ってもよい。
そして、分割体11,11’の端部同士を溶接するとともに、筒状体10の軸方向の両端部を構成する当接部15,15’を既設流体管Pに溶接することで、筒状体10が既設流体管Pの外周面に密封状に固着される。この溶接の後、補強板17及びフランジ部12,12’を溶断した後に、溶断箇所をグラインダ(図示略)により仕上げに削り取る。
前述のように、既設流体管Pが重力により偏平した形状になっているが、当接部15,15’は、その中央部15a,15a’から端部15b、15b,15b’、15b’に向かって、径方向の厚みが周方向に漸次小さくなるように形成されている。すなわち、当接部15,15’の径方向の厚みが、既設流体管Pの外周面の形状を考慮して周方向に異なることで、筒状体10の外周面を真円形状に安定的に維持することができる。
そして、筒状体10,10を既設流体管Pの外周面に夫々固着した後、図5に示されるように、筒状体10,10の水圧テストを行う。水圧テストは、分割体11の一方の連通部13及び分割体11’の連通部13’に沈みプラグ(図示略)を取付けるとともに、分割体11の他方の連通部13に水圧計9を取付け、筒状体10,10に所定の水圧をかけ、漏水の有無を確認する。
前述のように、分割体11の上部及び分割体11の下部の内周面には、既設流体管Pの外周面に当接するリブ14,14’が軸方向に亘って夫々形成されているが、このリブ14,14’の中央箇所には、周方向に貫通する貫通孔14a,14a’が形成されているため、既設流体管Pの外周面と筒状体の内周面との間を周方向に亘って一様の流体圧にすることができる。よって、水圧テストにおいて、既設流体管Pの外周面と筒状体の内周面との間を周方向に亘って一様の水圧をかけることができる。
この水圧テストで水圧計9が所定の圧力値を示すことを確認し、すなわち、筒状体10,10からの漏水が無いことを確認した後、水圧計9を取外すとともに、分割体11の一方の連通部13及び分割体11’の連通部13’から前記沈みプラグを夫々取外し、排水する。尚、排水した後に、連通部13’に前記沈みプラグを取付けて、一方の連通部13から防錆用の充填剤を注入し、既設流体管Pの外周面と筒状体10の内周面との間を防錆してもよい。前述のように、リブ14,14’の中央箇所に貫通孔14a,14a’が形成されているため、既設流体管Pの外周面と筒状体10の内周面との間を全領域に亘って充填剤を充填することができる。
そして、分割体11の一方の連通部13及び水圧計9を取外した他方の連通部13に前記沈みプラグを夫々取付けた後に、図6に示されるように、筒状体10,10の外周面に、継手リングとしての2つ割リング構造の移動割継輪R,Rを周方向に沿って夫々取付ける。
この移動割継輪R,Rには、内周面にパッキンRe(図10参照)が配設されており、移動割継輪Rは、後述のように制水体としての制水弁42が切除部Kに設置された後、制水弁42と既設流体管Pとに水密に架設されるようになっている。尚、後述する油圧移動手段にて移動割継輪R,Rを筒状体10,10の管軸方向に潤滑に移動させるために、パッキンRe及び筒状体10,10の外周面に予め滑剤を塗布しておく(図9参照)。
そして、移動割継輪R,Rを筒状体10,10の外面に周方向に沿って夫々取付けた後、移動割継輪R,Rの水圧テストを行う。水圧テストは、移動割継輪R,Rの間に、水圧テスト用の二分割構造の夫々の押輪S,Sを、図示しないパッキンを介して移動割継輪R,Rに取付けて移動割継輪R,Rの内部を密封状態にするとともに、移動割継輪R,Rに水圧計9を取付け、移動割継輪R,Rに所定の水圧をかけ、漏水の有無を確認する。
この水圧テストで漏水の無いことを確認した後、水圧計9を取外し、水圧計9を取外した位置に沈みプラグ(図示略)を取付けた後に、図7に示されるように、移動割継輪R,Rの一端部に形成されたフランジRb,Rbに前記油圧移動手段を構成する後述の移動部材64を取付けるための取付座Rcをボルト等にて取付ける。
次いで、筐体2を用いて既設流体管Pを水密に囲繞する筐体囲繞工程を行う。ここで、筐体2の構造について説明すると、図9に示されるように、筐体2は、分割構造であって既設流体管Pを水密に囲繞する。この筐体2は、主に、2分割構造の上部ケース2d及び下部ケース2eと、上部ケース2dに取付けられる図示しない開閉弁と、から構成されている。
図9に示されるように、上部ケース2dは、下部ケース2eとにより既設流体管Pをその外周面に沿って囲繞するものであり、図7に示されるように、下部ケース2eは、ジャッキ75により支持されるようになっている。
また、図9に示されるように、上部ケース2d及び下部ケース2eの側方開口部には、夫々既設流体管Pの外面付近の片側で4箇所(両側で8箇所)において、油圧移動手段を構成する延長ロッド66の外径と略同径の内径を有するロッドガイドLが、筐体2の内方に向かって管軸方向に延設されている。
次に、筐体囲繞工程について説明すると、図7に示されるように、先ず、筐体2の下部ケース2eの内周面が、後述の管切除装置1を構成する上ガイド4a(図8参照)が組み付けられる図示しない下ガイドを支持した状態で、図示しない懸吊手段にて下部ケース2e及び前記下ガイドを既設流体管Pの図示下側における外周面を囲繞するように配置し、複数のジャッキ75で下部ケース2eを支持する。
これら下部ケース2e及び前記下ガイドが配置された後に、筒状体10の外部に漏水を防止するパッキン69,69と、パッキン69,69の水密性を維持する押輪Q,Qと、ゴム輪68,68と、を筒状体10,10の外周面に夫々配置する。
次いで、前述した油圧移動手段を構成する移動部材64を図示下側の移動割継輪Rにおける取付座Rcに取付ける。具体的には、移動部材64は、主に延長ロッド66と油圧ジャッキ65から成り、延長ロッド66を前述した下部ケース2eのロッドガイドL内を嵌挿させて取付座Rcに取付けるとともに、ロッドガイドLの端面に固定的に油圧ジャッキ65のシリンダ65bを取付ける。
ここで、シリンダ65b内にはロッド65aが収容されており、このロッド65aが延長ロッド66の先端に接続され、シリンダ65b内に作動油が供給されることにより、ロッド65aが切除部Kに向かって移動するとともに、該ロッド65aに接続された延長ロッド66がロッド65aに追随して移動し、延長ロッド66に取付けられた取付座Rcに接続された移動割継輪Rが切除部K側に向かって移動可能になっている。尚、油圧移動手段は、移動部材64の他、後述の油圧ホースHと、作動油を供給する油圧ユニット63と、から構成されている(図9参照)。
移動割継輪Rの図示下側における取付座Rcに延長ロッド66及び油圧ジャッキ65を接続した後に、管切除装置1(図8参照)を配置し、管切除工程を行う。
ここで、管切除装置1について説明すると、図8に示されるように、管切除装置1は、主に、駆動軸7を有する上ガイド4aと、前記下ガイドと、既設流体管Pを切除する切削バイト19を有し上ガイド4a及び前記下ガイドに対して回転可能に取付けられる切除ユニット3と、から構成されている。
駆動軸7は、図示しない駆動モータの駆動により回転するようになっている。駆動軸7が回転することで、切除ユニット3が既設流体管Pの外周を回転し、切削バイト19が既設流体管Pを切削しながら既設流体管Pの内径方向に移動し、既設流体管Pが切断されるようになっている。
次に、管切除装置1の配置について説明すると、先ず、管切除装置1の上ガイド4aを前記下ガイドに取付けるとともに、管切除装置1を既設流体管Pに固定する。次いで、懸吊手段102にて既設流体管Pの図示上側を囲繞するように筐体2の上部ケース2dを下部ケース2eの上部に取付け、両ケース2d,2eを既設流体管Pに固定する。
そして、前述したパッキン69,69と、押輪Q,Qと、ゴム輪68,68を上部ケース2d及び下部ケース2eの側方開口部に夫々取付け、側方開口部を密封する。次いで、前述と同様に、図示上側の移動割継輪Rの取付座Rcに移動部材64を取付ける(図9参照)。
次いで、前記開閉弁を上部ケース2dの上部に取付ける。そして、管切除装置1の駆動軸7に図示しない駆動長軸を、その上端側が筐体2の外方に延びて露出し、かつ筐体2の内部が密封状態になるように筐体2に貫通して、この貫通した駆動長軸の上端に図示しない駆動モータを取付ける。
管切除工程について説明すると、前記駆動モータを作動させて前記駆動長軸を介し駆動トルクを駆動軸7に伝達することで、切除ユニット3に設けられた切削バイト19が既設流体管Pの外周面を切削しながら回転することになる。切除部Kにおいて、2箇所の切断面で既設流体管Pが切断され、すなわち切断面間の図示しない管片が既設流体管Pから分断されることになる。
既設流体管Pの切断が終了した後に、前記駆動長軸に連結された駆動モータを外した後に、管切除装置1と下部ケース2eとの固定を解除し、管切除装置1を前記管片とともに引上げ、前記開閉弁を閉状態にする。そして、管切除装置1を更に引上げることで管切除装置1とともに前記管片を外方に取出す。
尚、管切除装置1とともに前記管片を外方に取出した後に、前記開閉弁の上部に図示しない吸引手段を設け、前記開閉弁を開状態とし、切除部Kの切除面付近に既設流体管Pの切除の際に発生した切粉を吸引手段により吸引して外部に排出する。切粉の排出後、前記開閉弁を閉状態として前記吸引手段を前記開閉弁から取外す。
次いで、制水弁42を切除部Kに配置する制水体設置工程を行う。ここで、制水弁42の構造について説明すると、図9に示されるように、制水弁42は、内部に弁体(図示略)を備えた弁筐体42a、及び該弁体に接続され弁筐体42aの外方に突出した弁軸部(図示略)を有している。また、この制水弁42の両端部には、防錆リング41,41が取付けられている。
また、図10に示されるように、制水弁42の両端部は、既設流体管Pの切断面Z,Z側に配置されるフランジF,Fが形成されており、このフランジFには、軸方向に貫通する挿通孔Faが周方向に沿って所定間隔おきに複数形成されている。
防錆リング41は、主に、金属製であって蛇腹筒状に形成され、弾性変形可能なベローズ50と、ベローズ50の一端部に形成された、制水弁42のフランジFと接続するためのフランジ51と、ベローズ50の他端部に形成されたフランジ52と、を備えている。
フランジ52には、フランジRbの挿通孔Rfと同軸の挿通孔52aと、軸方向に貫通する挿通孔52cと、が周方向に沿って所定間隔に形成されている。また、フランジ52の移動割継輪Rと対向する端面52dには、既設流体管Pの切断面Zを防錆する防錆部47が固着されているとともに、フランジ52及び移動割継輪RにおけるフランジRbの間の水密性を維持するパッキン45が取付けられている。
フランジ51は、フランジFの挿通孔Faと同軸であって周方向に沿って所定間隔おきに形成された複数の挿通孔51a,51bを有している。挿通孔51bに対応する箇所には、挿通孔51bと略同軸に形成された挿通孔48aと、挿通孔52cと略同軸に形成された複数の挿通孔48bと、を有する取付部材48が複数取付けられる。
挿通孔51a及びフランジFの挿通孔Faにボルト49を挿通してこのボルト49をナット44で締結するとともに、取付部材48の挿通孔48a、挿通孔51b、及びフランジFの挿通孔Faにボルト59を挿通してこのボルト59をナット58で締結することで、防錆リング41と制水弁42とが接続されている。また、フランジ51における制水弁42のフランジFと対向する端面には、両フランジ51、F間の水密性を維持するパッキン46が取付けられている。
また、取付部材48の挿通孔48b及びフランジ52の挿通孔52cには、雄ネジ部材53が挿通されている。この雄ネジ部材53には、取付部材48及びフランジ52を挟むように、ナット54(フランジ52側のナットは図示されない)が夫々螺合されているとともに、雄ネジ部材53における取付部材48及びフランジ52の間には、ナット55,55’が螺合されている。
また、制水弁42を切除部Kに配置する前には、取付部材48側のナット54と前記フランジ52側のナットは、取付部材48及びフランジ52を挟持して雄ネジ部材53に締結されることで、ベローズ50は軸方向に収縮した収縮状態になっている。
つまり、ナット54及び前記フランジ側のナットと、雄ネジ部材53との締結により、ベローズ50の収縮状態が保持されるようになっているとともに、前記フランジ側のナットを緩めることで、収縮状態が解除されてベローズ50が軸方向に伸長するようになっている。
次に、制水体設置工程について説明すると、先ず、防錆リング41,41が接続されている制水弁42を、図示しない懸吊手段にて懸吊した状態で、図9に示されるように、制水弁42の管路の軸が既設流体管Pの管軸と略同軸になるように、制水弁42を下降して配置する。上記のように、ベローズ50は軸方向に収縮した収縮状態になっているため、制水弁42の配置の際には、防錆リング41のフランジ52(図10参照)が既設流体管Pの切断面Zに当接することはなく若干離間している。
制水弁42を下降した後に、防錆リング41,41及び既設流体管Pの切断面Z,Zに移動割継輪R,Rを架設する継輪架設工程を行う。前述の油圧ユニット63と油圧ジャッキ65のシリンダ65b間に油圧ホースHを連結し、油圧ユニット63を操作して、作動油をシリンダ65b内に供給することで、移動割継輪Rを、移動割継輪RのフランジRbが防錆リング41のフランジ52の端面52dと当接するまで切除部Kに向かって筒状体10に対してを軸方向に沿って移動させる。
このとき、前述のように、筒状体10の内周面に、既設流体管Pの外周面に当接するリブ14,14’が筒状体10の軸方向に亘って設けられることで、筒状体10の外周面を軸方向に亘って一様の真円形状にすることができ、既設流体管Pの外周面が偏平していても、これに関わらず、移動割継輪Rを筒状体10における所定位置に軸方向に移動させ易い。尚、既設流体管Pの外周面が腐食等により凹凸形状であっても、上記と同様の効果が得られる。
また、移動割継輪RのフランジRbが防錆リング41のフランジ52の端面52dに当接したとき、移動割継輪Rが防錆リング41を更に収縮させる方向に押圧するが、雄ネジ部材53における取付部材48及びフランジ52の間に螺合されたナット55,55’により、防錆リング41の更なる収縮が規制される。また、フランジRbがフランジ52の端面52dに形成されたパッキン45と当接することで、既設流体管P内の水密性が維持される。
そして、筐体2内、すなわち上部ケース2d、下部ケース2e、及び前記開閉弁内の水を排水し、前記開閉弁を取外す。次いで、ボルト57を移動割継輪Rの挿通孔Rf及び防錆リング41,41の挿通孔52aに挿通してこのボルト57にナット56を締結することで、上部ケース2d、上部ケース2d側に設けられた取付座Rc、上部ケース2dに設けられた油圧移動手段を構成する部材等の各種部材を取外す。
次いで、図10に示されるように、前記フランジ側のナットを雄ネジ部材53から取外すことで、ベローズ50の収縮状態が解除され、ベローズ50が弾性復元力により軸方向に伸長する。このベローズ50の伸長に伴って、移動割継輪Rが軸方向(図示白抜矢印参照)に筒状体10に対して移動し、防錆部47が切断面Zに当接することで、切断面Zを周方向に亘って防錆できる。
次いで、ナット55’がフランジ52に押圧するように、ナット55’を操作することで、防錆部47が切断面Zに押圧され、防錆部47を切断面Zに確実に当接させる。
次いで、下部ケース2e及びジャッキ75を取外し、移動割継輪R,RのフランジRd,Rdと、図示しない押輪のフランジを結合する。制水弁42に、緊急時に前記弁体を回転させて管路を遮断状態に制御する図示しない遮断装置を取付ける。
本実施例では、制水弁42の配置の際には、前述のように、弁軸部が上下方向に向いた状態で制水弁42を筐体2の上側から下降して配置するようになっているが、制水弁42の配置後に、水平方向を向いた状態の弁軸部に回動力を伝達する遮断装置を取付けるために、制水弁42を回動させる制水弁回動工程が行われる。
より詳しくは、制水弁回動工程は、図示しない制水弁回動手段により、移動割継輪R,Rとともに制水弁42を既設流体管Pに対して周方向に略90°回動させる。前述のように、筒状体10の外周面が真円形状に管軸方向に沿って形成されていることで、移動割継輪R,Rが既設流体管Pに対して回動し易く、結果的に制水弁回動工程をスムーズに行うことができる。
そして、制水弁回動工程を終了した後に、制水弁42の弁軸部に前記遮断装置を取付け、制水体設置工程が終了する。
以上に説明したように、実施例の制水体設置装置において、筒状体10の外周面が移動割継輪Rの内周面に対応した周面形状、すなわち真円形状に管軸方向に沿って形成されていることで、移動割継輪Rが、既設流体管Pの外周面の形状や状態に関わらず、筒状体10に対して移動させ易く、移動割継輪Rの設置作業を容易にすることができる。また、筒状体10の外周面が移動割継輪Rの内周面に対応しているため、移動割継輪Rと既設流体管Pとの間を確実に止水することができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、既設流体管Pの内部を流れる流体が上水であるが、流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水であってもよいし、また気体や気液混合状態の流体が流れる流体管にも適用可能である。
また、前記実施例では、制水弁42を、弁体の回転で管路を開閉する回転弁として説明しているが、制水弁の用途や構成についてはこれに限らず、例えば、弁体の上下動で管路を開閉する仕切弁や、分岐弁等の制水弁であってもよいし、あるいは流量計や発電機等の設置体であってもよい。
また、前記実施例では、既設流体管Pの外周面に当接する当接部15,15’が、筒状体10の周方向に亘って設けられているが、これに限らず、例えば、当接部が、筒状体の周方向に沿って点在して設けられてもよい。
また、前記実施例では、分割体11,11’の両端部には、当接部15,15’が夫々固着されているが、これに限らず、例えば、分割体の内周面に、1つ以上の当接部が設けられてもよい。
また、前記実施例では、分割体11の上部及び分割体11’の下部の内周面に、リブ14,14’が軸方向に亘って夫々形成され、かつ分割体11,11’の両端面に、当接部15,15’が分割体11,11’の周方向に亘って夫々固着されている筒状体10であるが、これに限らず、例えば、分割体の上部及び下部の内周面に、リブのみが軸方向に亘って夫々形成されている筒状体であってもよいし、分割体の両端面に、当接部のみが分割体の周方向に亘って夫々固着されている筒状体であってもよい。
1 管切除装置(管切除手段)
2 筐体
10 筒状体
14,14’ リブ
14a,14a’ 貫通孔
15,15’ 当接部
42 制水弁(制水体)
K 切除部(所定箇所)
P 既設流体管
R 移動割継輪(継手リング)

Claims (4)

  1. 水密に密封した筐体内において、既設流体管の所定箇所を管切除手段により不断水状態で切除し、前記既設流体管の切断面側に配置される制水体を前記所定箇所に設置するとともに、前記既設流体管に外嵌され管軸方向に移動する継手リングにより、前記制水体と前記既設流体管との間を水密に接続する制水体設置装置であって、
    前記継手リングと前記既設流体管との間に介在するように、該既設流体管の外周面に密封状に固着される筒状体を備え、
    前記筒状体の外周面は、前記継手リングの内周面に対応した周面形状に管軸方向に沿って形成されていることを特徴とする制水体設置装置。
  2. 前記筒状体の内周面には、前記既設流体管の外周面に当接する当接部が、前記筒状体の周方向に沿って設けられ、該当接部は、該既設流体管の外周面の形状を考慮して、径方向の厚みが周方向に異なって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の制水体設置装置。
  3. 前記筒状体の内周面には、前記既設流体管の外周面に当接するリブが前記筒状体の軸方向に亘って設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の制水体設置装置。
  4. 前記リブには、周方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の制水体設置装置。
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