JP2011027150A - 流体軸受装置 - Google Patents

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Kazunori Harada
和慶 原田
Tetsuya Kurimura
栗村  哲弥
Isao Komori
功 古森
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Abstract

【課題】所期のシール性能を確保しつつ、軸受部材に対するシール部材の固定を簡便化する。
【解決手段】シール部材9が軸受部材としての軸受スリーブ8に固定される流体軸受装置1である。シール部材9を構成する円筒状の第2シール部9bの内周面9b2には凹部12aが設けられる一方、軸受スリーブ8の外周面8dには凸部12bが設けられる。そして、シール部材9は、これに設けた凹部12aを軸受スリーブ8に設けた凸部12bに嵌合させるようにして、軸受スリーブ8の外周に嵌合固定される。これにより、シール部材9と軸受スリーブ8の間には、両者を軸方向で嵌合する凹凸嵌合部12が形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、流体軸受装置に関するものである。
流体軸受装置は、軸受隙間に形成される油膜で回転側の部材を静止側の部材に対して回転自在に支持するものである。この流体軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を有するものであり、近年ではその特徴を活かして、情報機器をはじめ種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として、より具体的には、HDD等の磁気ディスク装置やCD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、PC等のファンモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用されている。
上記モータのうち、ディスク装置用のスピンドルモータに組み込んで使用される流体軸受装置として、軸部材と、軸部材の外周に配置され、軸部材との間にラジアル軸受隙間を形成する軸受部材と、軸受部材の一端に配置され、軸部材との間にシール空間を形成するシール部材とを備えるものが公知である(例えば、特許文献1)。この流体軸受装置は、軸部材が回転側を構成し、軸受部材およびシール部材が静止側を構成するものである。
ところで、流体軸受装置として、例えば特開2007−255593号公報(特許文献2)に記載のようにシール部材を軸受部材に固定したものが公知であるが、この種の流体軸受装置をはじめとして、流体軸受装置の構成部材同士の固定は、部材間に高い固定強度を比較的容易に確保することができる接着によって行われる場合が多い。
特開2003−336636号公報 特開2007−255593号公報
しかしながら、接着では、接着剤が固化する際に二部材間の相対位置が変化し、所期の機能が得られなくなるおそれがある。これを回避するには、二部材の固定に際して格別の配慮を払う必要があり、製造工程が煩雑となる。また、上記特許文献2に記載の流体軸受装置のようにシール部材を軸受部材に固定したタイプの流体軸受装置においては、シール部材はシール空間を形成するためだけに機能する部材であることに加え、シール部材を軸受部材から分離させるような外力が作用することもない。そのため、シール部材は、自然に分離しない程度の固定力でもって軸受部材に固定されていればその機能を満足することができる。それにも関わらず、軸受部材に対するシール部材の固定手段として接着を採用したのでは、いたずらに製造コストの増大を招くだけである。
本発明の課題は、安定したシール性能を確保しつつ、軸受部材に対するシール部材の固定を簡便化した流体軸受装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明では、軸部材と、軸部材の外周に配置され、軸部材との間にラジアル軸受隙間を形成する軸受部材と、ラジアル軸受隙間に形成される油膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、軸受部材に固定され、シール空間を形成するシール部材とを備える流体軸受装置において、軸受部材とシール部材の間に、軸方向で嵌合する凹凸嵌合部を設けたことを特徴とする流体軸受装置を提供する。なお、詳細は後述するが、図2に示す流体軸受装置のように、軸部材の外周に配置した軸受スリーブを内周に固定するハウジングを具備するものにおいては、軸受スリーブがここで言う「軸受部材」に相当する。
上記のように、本発明に係る流体軸受装置では、軸受部材とシール部材の間に、軸方向で嵌合する凹凸嵌合部が設けられる。かかる構成によれば、シール部材を軸受部材に嵌合するだけで両者を固定することができる。しかも両者の固定後には、凹凸嵌合部によってシール部材と軸受部材の軸方向の相対移動を規制することができるので、軸受部材からシール部材が分離(抜脱)等することはなく、所期のシール性能を安定的に確保することができる。
上記本発明に係る構成の具体的な一例として、シール部材を軸受部材の外周面に固定し、シール部材の内周面と軸受部材の外周面との間に凹凸嵌合部を設けたものを挙げることができる。かかる構成をさらに具体的に述べると、シール部材は、軸受部材の一端に配置された円環状の第1シール部と、軸受部材の外周面との間に凹凸嵌合部を形成する円筒状の第2シール部とを有するものとすることができ、この場合、第1シール部の内周面で第1のシール空間を形成すると共に、第2シール部の外周面で第2のシール空間を形成することができる。
また、上記本発明に係る構成の具体的な他例として、シール部材を軸受部材の内周面に固定し、シール部材の外周面と軸受部材の内周面との間に凹凸嵌合部を設けたものを挙げることができる。かかる構成をさらに具体的に述べると、シール部材は、軸受部材の内周面との間に凹凸嵌合部を形成する円筒状の第1シール部と、軸受部材の外周に配置された円筒状の第2シール部とを有するものとすることができ、この場合、第1シール部の内周面で第1のシール空間を形成すると共に、第2シール部の外周面で第2のシール空間を形成することができる。
上記何れの構成においても、凹凸嵌合部は、全周に亘って(周方向で連続的に)設けても良いし、周方向で断続的に設けても良いが、周方向で断続的に設けるようにすれば、抜け止めとしての機能に加えて回り止めとしての機能も得られるので、所期のシール性能を一層安定的に確保することができる。
また、この種の流体軸受装置では、軸受運転中に、内部空間を満たす潤滑油の圧力バランスに狂いが生じる場合があり、かかる事態は、局部的な負圧の発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因する潤滑油漏れや振動の発生等の問題を招く。このような問題は、例えば、軸受部材の両端面に開口した軸方向に延びる流体通路を設けると共に、この流体通路を含む一連の循環経路を軸受内部に形成し、軸受内部で潤滑油を流動循環させる構成を採用することによって解消することができる。このような構成を採用する場合に、凹凸嵌合部を全周に亘って形成したのでは、潤滑油を円滑に流動循環させることが難しくなるおそれがある。従い、凹凸嵌合部を周方向で断続的に設け、周方向で隣り合う凹凸嵌合部間に、軸受部材の両端面に開口した流体通路を設けるのが望ましい。
以上に示す本発明の構成において、軸受部材とシール部材を互いに異なる材料、より厳密には互いに線膨張係数の異なる材料で形成すれば、軸受運転時の温度上昇に伴い、相対的に線膨張係数の大きな材料で形成した一方が熱膨張するので、凹凸嵌合部における両者の嵌合強度を高めることができる。逆を言えば、このような構成とすることにより、軸受部材に対するシール部材の組み付け段階では、両者の嵌合状態はある程度ルーズなものとすることができる。従って、軸受部材に対するシール部材の嵌合を一層簡便化しつつ、両者の固定強度(嵌合強度)を高めることができる。
上述のとおり、本発明に係る流体軸受装置の構成上、シール部材自体に特段の強度は必要とされないが、シール部材の形状は複雑化する。そのため、シール部材は、樹脂の射出成形品とするのが望ましい。これにより、シール部材の形状が複雑化する本発明に構成においても、シール部材の製造コスト増を効果的に抑制することができる。
以上より、本発明によれば、安定したシール性能を確保しつつ、軸受部材に対するシール部材の固定を簡便化し得る流体軸受装置を提供することができる。
ディスク装置用のスピンドルモータを概念的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置を示す断面図である。 (a)図は軸受スリーブの断面図、(b)図は軸受スリーブを下方から見た平面図である。 シール部材の射出成形工程を概念的に示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る流体軸受装置を示す断面図である。 図5に示す流体軸受装置の要部拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に支持する流体軸受装置1と、軸部材2に固定されたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、モータブラケット6とを備えている。ステータコイル4はモータブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3の内周に取付けられる。流体軸受装置1のハウジング7は、モータブラケット6の内周に装着される。ディスクハブ3には磁気ディスク等のディスクDが一又は複数枚(図示例は3枚)保持される。以上の構成においてステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の電磁力でロータマグネット5が回転し、これに伴い、ディスクハブ3およびこれに保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置1を示すものである。この流体軸受装置1は、軸部材2と、軸部材2の外周に配置された軸受部材としての軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8を内周に固定した一端が開口したハウジング7と、ハウジング7の一端開口部に配置されたシール部材9とを構成部材として備える。なお、以下では、便宜上、シール部材9を設けた側を上側、その軸方向反対側を下側として説明を進める。
軸部材2は、軸部2aと、軸部2aの下端に一体又は別体に設けられたフランジ部2bとを備える。軸部材2は、その全体をステンレス鋼等の金属材料で形成する他、例えばフランジ部2bの全体あるいはその一部(例えば両端面)を樹脂で形成した金属と樹脂のハイブリッド構造とすることもできる。
ハウジング7は、円筒状の筒部と、該筒部の下端開口を閉塞する円盤状の底部7cとを一体に有し、上端が開口した有底筒状(コップ状)を呈する。筒部は、小径部7aと、小径部7aの上側に配置された大径部7bとで構成され、小径部7aの内周面は大径部7bの内周面7b1よりも小径で、また小径部7aの外周面は大径部7bの外周面よりも小径とされる。小径部7aの内周面は、軸線と直交する方向に延びる段差面7eを介して大径部7bの内周面7b1に繋がっている。このハウジング7は樹脂の射出成形品とされ、成形収縮時の収縮量の差による変形を防止すべく各部7a〜7cは略均一厚に形成される。ハウジング7の成形に用いる樹脂材料は熱可塑性樹脂をベース樹脂とし、これに必要に応じて強化材や導電化材等の各種充填材が適量配合したものとされる。
ハウジング7の内底面7c1(底部7cの上側端面)には、第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受面となる環状領域が設けられ、該領域には、詳細な図示は省略するが、例えば複数の動圧溝をスパイラル形状に配列してなるスラスト動圧発生部が形成される。このスラスト動圧発生部は、ハウジング7を射出成形するのと同時に型成形される。なお、スラスト動圧発生部は、複数の動圧溝をスパイラル形状等に配列したものであっても良い。
軸受スリーブ8は、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング7の小径部7aの内周に固定される。軸受スリーブ8は、焼結金属以外のその他の多孔質体(多孔質樹脂やセラミック)で形成することもできるし、多孔質体ではないその他の材料、例えば黄銅等の軟質金属や樹脂材料で形成することもできる。
軸受スリーブ8の内周面8aには、第1および第2ラジアル軸受部R1,R2のラジアル軸受面となる円筒状領域が軸方向の二箇所に離隔して設けられ、該二つの領域には、それぞれ、図3(a)に示すように複数の動圧溝Aa1,Aa2をヘリングボーン形状に配列してなるラジアル動圧発生部A1,A2が形成されている。上側の動圧溝Aa1は、軸方向中心m(上下の傾斜溝間領域の軸方向中央)に対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心mより上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。一方、下側の動圧溝Aa2は軸方向対称に形成され、その上下領域の軸方向寸法は上記軸方向寸法X1よりも小さくなっている。なお、ラジアル動圧発生部A1,A2は、複数の動圧溝をスパイラル形状等に配列したものであっても良い。
軸受スリーブ8の下側端面8bには、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受面となる環状領域が設けられ、該環状領域には、図3(b)に示すように、複数の動圧溝Baをスパイラル形状に配列してなるスラスト動圧発生部Bが形成されている。スラスト動圧発生部Bは、複数の動圧溝をヘリングボーン形状等に配列したものであっても良い。
軸受スリーブ8の外周面8dには、両端面8b,8cに開口した1又は複数本の軸方向溝8d1が形成され、本実施形態では、図3(b)に示すように、周方向に等間隔で3本の軸方向溝8d1が形成されている。この軸方向溝8d1は、ハウジング7の内周面7a1およびシール部材9の第2シール部9bの内周面9b2との間に、軸方向に延びる流体通路11を形成する。また、軸受スリーブ8の上側端面8cには、放射状に延びる1又は複数本の径方向溝8c1が形成される。この径方向溝8c1は、シール部材9の第1シール部9aの下側端面9a1との間に、径方向に延びる流体通路を形成する。
詳細な図示は省略するが、本実施形態では軸受スリーブ8に設けられるラジアル動圧発生部A1,A2、スラスト動圧発生部B、軸方向溝8d1、および径方向溝8c1の一部又は全部を、対向する各面に形成することもできる。
シール部材9は、ここでは樹脂の射出成形品であり、軸受スリーブ8の外周面に固定される。詳細に述べると、シール部材9は、軸受スリーブ8の上側に配置された円環状の第1シール部9aと、第1シール部9aの外径端から下方に延び、軸受スリーブ8の外周面8dに固定された円筒状の第2シール部9bとを一体に有する断面逆L字形状を呈する。図示する完成品の状態で、第2シール部9bの下端面9b3は、軸方向隙間10を介してハウジング7の段差面7eと対向する。
第1シール部9aの内周面9a2は、軸部2aの外周面2a1との間に第1のシール空間S1を形成し、また、第2シール部9bの外周面9b1は、ハウジング7の大径部7bの内周面7b1との間に第2のシール空間S2を形成する。第1シール部9aの内周面9a2は下方に向かって内径寸法を漸次縮小させたテーパ面状に形成される一方、軸部2aの外周面2a1は径一定の円筒面状に形成される。また、ハウジング7の大径部7bの内周面7b1は下方に向かって内径寸法を漸次縮小させたテーパ面状に形成される一方、第2シール部9bの外周面9b1は径一定の円筒面状に形成される。かかる構成から、両シール空間S1,S2は下方に向かって漸次縮径したテーパ形状を呈する。
図2の拡大断面図に示すように、シール部材9の第2シール部9bと軸受スリーブ8との間に凹凸嵌合部12が形成され、この凹凸嵌合構造により軸受スリーブ8の外周面8dに固定したシール部材9の軸方向移動が規制される。本実施形態では、図3(b)に示すように、軸受スリーブ8の外周面8dの周方向に離隔した3箇所、より厳密には、周方向で隣り合う軸方向溝8d1間に凸部12bを設けると共に、第2シール部9bの内周面9b2の周方向に離隔した3箇所に各凸部12bと嵌合可能な凹部12aを設け、これら各凸部12bと凹部12aとを互いに嵌合することにより凹凸嵌合部12が形成される。このような構成から、軸受スリーブ8に設けた軸方向溝8d1で形成される軸方向の流体通路11を介しての潤滑油の円滑な流動循環が阻害されることなく、軸受スリーブ8に対するシール部材9の抜け止めおよび回り止めが図られる。
なお、本実施形態において、第2シール部9bに設けた凹部12aは、後述するように、シール部材9を射出成形するのと同時に型成形することができる。一方、軸受スリーブ8に設けた凸部12bは、例えば、軸受スリーブ8の外周面8dに機械加工を施すことにより、あるいは、凸部12bを別部材とし、これを軸受スリーブ8に固定することにより得られる。凸部12bを別部材とする場合、凸部12bの軸受スリーブ8に対する固定手段は任意であり、接着、溶着、嵌合、ねじ止め等、採り得る手段の中から適宜選択される。凸部12bの突出量が比較的小さい場合には、凸部12bを、軸受スリーブ8を成形するのと同時に型成形することも可能である。
また、図示例では、第1シール部9aの下側端面9a1と軸受スリーブ8の上側端面8cとが当接しているが、凹凸嵌合部12の形成位置によっては両者が非接触となる場合もある。この場合、軸受スリーブ8の上側端面8cに径方向溝8c1を形成せずとも、軸受スリーブ8の上側端面8cとシール部材9の第1シール部9aの下側端面9c1との間に径方向に延びる流体通路を形成することができる。
図2の拡大断面図にも示すように、本実施形態では、第2シール部9bの内周面9b2に設けた凹部12aのうち、軸方向下側の所定領域は、下方に向かって漸次縮径したテーパ面状に形成される。
図4は、シール部材9の射出成形工程の一例を概念的に示すものである。同図に示すように、シール部材9は、型締めした上型21および下型22のうち、上型21に設けたゲート24から溶融樹脂Pをキャビティ23内に射出・充填することにより成形される。下型22には、上記形態の第2シール部9bの凹部12aを成形するための凸型部22aが設けられている。ゲート24の形状は任意であるが、全体として環状形態をなすシール部材9を精度良く成形する観点から、複数の点状ゲートや環状のディスクゲートが好適である。ゲート24の形成位置も任意であるが、図示例では、キャビティ23の上端外周縁部(シール部材9の上端外周縁部に対応する位置)にゲート24を配置している。一般に、ゲート24との離間距離が大きな部分ほど成形精度が高まる傾向にあるためである。すなわち、このようなゲート24の配置態様を採用することで、第1シール空間S1を形成する一方の面となる第1シール部9aの内周面9a2、および第2シール空間S2を形成する一方の面となる第2シール部9bの外周面9b1を高精度な成形面とすることができる。
キャビティ23内に充填された溶融樹脂Pの固化後に型開きすると、成形品は下型22に被着した状態となる。その後、下型22に設けた突き出し機構、例えば突き出しピン25で成形品の一端面(シール部材9の第2シール部9bの下側端面9b3)を押圧することにより、シール部材9が下型22から分離されると共に型外に排出される。このとき、上述のとおり、凹部12aのうち、軸方向下側の領域が下方に向かって漸次縮径したテーパ面状を呈することから、突き出しピン25の前進動作によって行われる成形品の排出時に、凸型部22aと成形品(の凹部)とが軸方向に係合することによって成形品の排出がスムーズに行われなくなるような事態、ひいては成形品の一部(第2シール部9bの一部)が破損等するような事態が可及的に防止される。
以上の構成部材からなる流体軸受装置1は、例えば以下のようにして組み立てられる。まず、ハウジング7の内周に軸部材2を配置した状態で、軸受スリーブ8をハウジング7(小径部7a)の内周に固定する。ハウジング7に対する軸受スリーブ8の固定は、ここでは、両者の対向面間に接着剤を介在させる接着により行われる。両者の接着固定は、例えば下端外周に適量の接着剤を塗布した軸受スリーブ8をハウジング7内周に挿入し、両者の相対的な軸方向の位置決めを行った後、接着剤を固化させることにより行われる。そしてその後、軸受スリーブ8に設けた凸部12bとシール部材9の第2シール部9bに設けた凹部12aを嵌合させるようにして、軸受スリーブ8の外周にシール部材9を嵌合する。これにより、シール部材9の内周面9b2と軸受スリーブ8の外周面8dとの間に凹凸嵌合部12(凹凸嵌合構造)が形成される。以上のようにして各部材を組み付けた後、ハウジング7の内部空間に、軸受スリーブ8の内部気孔も含めて潤滑油を充満させることにより、図2に示す流体軸受装置1が完成する。
以上の構成からなる流体軸受装置1において、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面となる上下2箇所の領域は、それぞれ、軸部2aの外周面2a1とラジアル軸受隙間を介して対向する。そして軸部材2の回転に伴い、両ラジアル軸受隙間に形成される油膜は、動圧溝Aa1,Aa2の動圧作用によってその油膜剛性を高められ、この圧力によって軸部材2がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部R1,R2が軸方向の二箇所に離隔形成される。
また、これと同時に、軸受スリーブ8の下側端面8bのスラスト軸受面となる環状領域とフランジ部2bの上側端面2b1との間、およびハウジング7の内底面7c1のスラスト軸受面となる環状領域とフランジ部2bの下側端面2b2との間に、それぞれ第1および第2スラスト軸受隙間が形成される。そして、軸部材2の回転に伴い、両スラスト軸受隙間に形成される油膜は、動圧溝の動圧作用によってその油膜剛性を高められ、この圧力によって軸部材2がスラスト両方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
また、上述したように、上側の動圧溝Aa1は、軸方向中心mより上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっているため、軸部材2の回転時、動圧溝Aa1による潤滑油の引き込み力は上側領域が下側領域に比べて相対的に大きくなる。このような引き込み力の差圧により、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部2aの外周面2a1との間の隙間に充満された潤滑油は下方に流動し、第1スラスト軸受部T1の第1スラスト軸受隙間→軸受スリーブ8の軸方向溝8d1で形成される軸方向の流体通路11→軸受スリーブ8の上端外周チャンファで形成される環状空間→軸受スリーブ8の径方向溝8c1で形成される流体通路という経路を循環して、第1ラジアル軸受部R1のラジアル軸受隙間に再び引き込まれる。
このような構成とすることで、潤滑油の圧力バランスが保たれると同時に、局部的な負圧の発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因する潤滑油の漏れや振動の発生等の問題を解消することができる。上記の循環経路には、第1シール空間S1が連通し、さらに軸方向隙間10を介して第2シール空間S2が連通しているので、何らかの理由で潤滑油中に気泡が混入した場合でも、気泡が潤滑油に伴って循環する際にシール空間S1、S2内の潤滑油の油面(気液界面)から外気に排出される。従って、気泡による悪影響は一層効果的に防止される。
また、上述のように、第1および第2のシール空間S1、S2が、ハウジング7の内部側に向かって漸次縮小したテーパ形状を呈しているため、両シール空間S1、S2内の潤滑油は毛細管力による引き込み作用によって隙間幅が狭くなる方向、すなわちハウジング7の内部側に向けて引き込まれる。また、シール空間S1、S2は、ハウジング7の内部空間に充填された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有し、想定される温度変化の範囲内で潤滑油の油面は常にシール空間S1、S2内に保持される。以上の構成から、軸受外部への潤滑油漏れが効果的に防止される。
以上に示すように、本実施形態に係る流体軸受装置1の構成上、シール部材9は、軸部2aの外周面2a1との間に第1シール空間S1を、またハウジング7の大径部7bの内周面7b1との間に第2シール空間S2をそれぞれ形成するためだけに機能する。また、実使用上、このシール部材9を軸受スリーブ8から分離させる方向の外力が作用することも皆無に等しい。そのため、軸受スリーブ8とシール部材9の間に高い固定強度は不要であり、シール部材9は、自然に軸受スリーブ8から分離(抜脱)しない程度の固定力でもって軸受スリーブ8に固定されていれば足りる。これにも関わらず両者を接着等の手段で固定したのでは、いたずらに製造コストの増大を招く。
この点、本発明では、上記のように、軸受スリーブ8に凸部12bを設ける一方、シール部材9の第2シール部9bに凹部12aを設け、シール部材9と軸受スリーブ8の間に、軸方向で嵌合する凹凸嵌合部12を形成した。このようにすれば、軸受スリーブ8の外周面8dにシール部材9を固定するだけで、シール部材9と軸受スリーブ8の軸方向の相対移動を規制することができる。そのため、シール部材9が軸受スリーブ8から分離するような事態は効果的に防止される。特に、本実施形態では凹凸嵌合部12を周方向で断続的に設けたことから、シール部材9の回り止めも達成される。従って、所期のシール機能を安定的に確保することができる。
図5は、本発明の第2実施形態に係る流体軸受装置1を示すものである。同図に示す流体軸受装置1は、主に、シール部材9を軸受部材としての軸受スリーブ8の内周面に固定し、シール部材9の外周面と軸受スリーブ8の内周面との間に凹凸嵌合部12を設けた点において図2に示す第1実施形態と構成を異にしている。以下、この流体軸受装置1についての説明を詳細に行うが、第1実施形態に準ずる構成や部位には共通の参照番号を付し、重複説明を省略する。
当該第2実施形態に係るシール部材9は、軸受スリーブ8の上端内周面に固定された円筒状の第1シール部9aと、軸受スリーブ8の外周に配置された円筒状の第2シール部9bと、両シール部9a,9bを接続する円環状の接続部9cとを一体に有する樹脂の射出成形品とされる。そして、第1シール部9aの内周面9a2と軸部2aの外周面2a1との間に第1のシール空間S1が形成され、第2シール部9bの外周面9b1とハウジング7(大径部7b)の内周面7b1との間に第2のシール空間S2が形成される。
凹凸嵌合部12は、図6に拡大して示すように、軸受スリーブ8に大径内周面8eを設けると共に、この大径内周面8eに凸部12bを設ける一方、第1シール部9aの外周面9a3に凹部12aを設け、両部12a,12bを嵌合させることによって形成される。本実施形態においても、シール部材9の回り止めを図るべく、凹凸嵌合部12は周方向で断続的に設けられる。
また、本実施形態では、接続部9cの下側端面9c1と軸受スリーブ8の上側端面8c、および第1シール部9aの端面9a4と軸受スリーブ8の段差面8fは、それぞれ微小な軸方向隙間を介して対向し、第1シール部9aの外周面9a3と軸受スリーブ8の大径内周面8eとは微小な径方向隙間を介して対向している。そして、これら各軸方向隙間および径方向隙間を介して、軸受スリーブ8の外周面8dに設けた軸方向溝8d1で形成される軸方向の流体通路11と、ラジアル軸受部R1のラジアル軸受隙間の上端部とが連通している。かかる構成は、シール部材9および軸受スリーブ8の各部の寸法を適切に設定した上で、凹凸嵌合部12の軸方向の形成位置を調整することにより得られる。
本実施形態では、焼結金属製の軸受スリーブ8の内径側に、樹脂製のシール部材9(第1シール部9a)を配置したことから、軸受運転時の温度上昇に伴ってシール部材9が熱膨張すると、シール部材9と軸受スリーブ8の嵌合強度が高まる。そのため、シール部材9が軸受スリーブ8から分離するような事態は一層効果的に防止される。さらに言えば、凸部12bに対する凹部12aの嵌合状態(軸受スリーブ8に対するシール部材9の嵌合状態)をある程度ルーズなものとしておいても、軸受運転時には両者間に十分な嵌合強度を確保することができる。従って、軸受スリーブ8に対するシール部材9の固定を簡便に行いつつ、シール性能のより一層の安定化を図ることができる。
なお、この第2実施形態において、凹凸嵌合部12は、第1シール部9aと軸受スリーブ8の間ではなく、図2に示す第1実施形態と同様に、第2シール部9bと軸受スリーブ8の間に設けることもできる。また、凹凸嵌合部12は、第1シール部9aと軸受スリーブ8の間、および第2シール部9bと軸受スリーブ8の間の双方に設けることもできる。
以上では、シール部材9に凹部12aを設ける一方、軸受スリーブ8に凹部12aと嵌合可能な凸部12bを設けることにより、シール部材9と軸受スリーブ8の間に凹凸嵌合部12を形成する場合について説明を行ったが、これとは逆に、軸受スリーブ8に凹部12aを設ける一方、シール部材9に凹部12aと嵌合可能な凸部12bを設けることでシール部材9と軸受スリーブ8の間に凹凸嵌合部12を形成することもできる。また、シール部材9に凹部12aおよび凸部12bを設ける一方、軸受スリーブ8にこれらと嵌合可能な凸部12bおよび凹部12aを設けることで凹凸嵌合部12を形成することもできる。
また、以上で説明した本発明に係る流体軸受装置1は、軸受部材としての軸受スリーブ8をハウジング7の内周に固定したものであるが、両者を一体的に形成した軸受部材を用いた流体軸受装置に本発明を適用することも可能である。但し、かかる構成を採用した場合、軸部材2がフランジ部2bを有する構成上、軸受部材は両端が開口した略円筒形態とし、この軸受部材の下端開口を別体の蓋部材で閉塞する必要がある。
また、以上では、ラジアル軸受部R1,R2として、ヘリングボーン形状等に配列された動圧溝によりラジアル軸受隙間内を充満する潤滑油に動圧を発生させる構成を例示しているが、ラジアル軸受部R1、R2として、いわゆるステップ軸受、多円弧軸受、あるいは非真円軸受を採用しても良い。また、ラジアル軸受部は、上記のように軸方向に離隔した二箇所に設ける他、軸方向の一箇所あるいは三箇所以上に形成することもできる。さらに、ラジアル軸受部として、動圧発生部を有しない真円軸受を採用することもできる。
また、スラスト軸受部T1、T2として、スパイラル形状等に配列された動圧溝によりスラスト軸受隙間内を充満する潤滑油に動圧を発生させる構成を例示しているが、スラスト軸受部T1、T2の何れか一方又は双方を、いわゆるステップ軸受や波型軸受で構成することもできる。また、スラスト軸受部は、上記のような動圧軸受ではなく、軸部材2の一端を接触支持するいわゆるピボット軸受で構成することもできる。
1 流体軸受装置
2 軸部材
7 ハウジング
8 軸受スリーブ(軸受部材)
9 シール部材
9a 第1シール部
9b 第2シール部
11 流体通路
12 凹凸嵌合部
12a 凹部
12b 凸部
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S1 第1のシール空間
S2 第2のシール空間

Claims (9)

  1. 軸部材と、軸部材の外周に配置され、軸部材との間にラジアル軸受隙間を形成する軸受部材と、ラジアル軸受隙間に形成される油膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、軸受部材に固定され、シール空間を形成するシール部材とを備える流体軸受装置において、
    軸受部材とシール部材の間に、軸方向で嵌合する凹凸嵌合部を設けたことを特徴とする流体軸受装置。
  2. シール部材を軸受部材の外周面に固定し、シール部材の内周面と軸受部材の外周面との間に凹凸嵌合部を設けた請求項1記載の流体軸受装置。
  3. シール部材が、軸受部材の一端に配置された円環状の第1シール部と、軸受部材の外周面との間に凹凸嵌合部を形成する円筒状の第2シール部とを有し、第1シール部の内周面で第1のシール空間を形成すると共に、第2シール部の外周面で第2のシール空間を形成した請求項2記載の流体軸受装置。
  4. シール部材を軸受部材の内周面に固定し、シール部材の外周面と軸受部材の内周面との間に凹凸嵌合部を設けた請求項1記載の流体軸受装置。
  5. シール部材が、軸受部材の内周面との間に凹凸嵌合部を形成する円筒状の第1シール部と、軸受部材の外周に配置された円筒状の第2シール部とを有し、第1シール部の内周面で第1のシール空間を形成すると共に、第2シール部の外周面で第2のシール空間を形成した請求項4記載の流体軸受装置。
  6. 凹凸嵌合部を周方向で断続的に設けた請求項1記載の流体軸受装置。
  7. 隣り合う凹凸嵌合部間に、軸受部材の両端面に開口した流体通路を設けた請求項6記載の流体軸受装置。
  8. 互いに線膨張係数の異なる材料で、軸受部材とシール部材を形成した請求項1記載の流体軸受装置。
  9. シール部材が、樹脂の射出成形品である請求項1記載の流体軸受装置。
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