JP2007278325A - 流体軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた軸受剛性を有する動圧軸受装置を提供する
【解決手段】ハウジング7を、軸受スリーブ8をインサート部材とした樹脂の型成形で形成した。これにより、ハウジング7と軸受スリーブ8との固定を簡易かつ精度良く行うことができる。また、ハウジング7を両端開口させたことにより、軸受スリーブ8を金型内で位置決めする際、金型により軸方向両側から挾持することができるため、確実な位置決めが可能となる。
【選択図】図6
【解決手段】ハウジング7を、軸受スリーブ8をインサート部材とした樹脂の型成形で形成した。これにより、ハウジング7と軸受スリーブ8との固定を簡易かつ精度良く行うことができる。また、ハウジング7を両端開口させたことにより、軸受スリーブ8を金型内で位置決めする際、金型により軸方向両側から挾持することができるため、確実な位置決めが可能となる。
【選択図】図6
Description
本発明は、流体軸受装置に関するものである。
流体軸受装置は、軸受隙間に生じる潤滑流体の流体膜により、軸部材を支持する軸受装置である。この流体軸受装置は、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク駆動装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク駆動装置、MD、MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ用、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイール、あるいは電気機器の冷却ファンに用いられるファンモータなどの小型モータ用として好適に使用可能である。
例えば、特許文献1の流体軸受装置は、ハウジングと、ハウジングの内周に固定された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材とを有し、軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間にラジアル軸受隙間が形成される。
このような流体軸受装置において、ハウジングに対する軸受スリーブの固定精度が悪いと、軸受隙間の隙間幅の精度が低下し、軸受剛性が低下する恐れがある。このため、ハウジングと軸受スリーブとの固定は高精度に行う必要があるが、このような高精度の組立は生産効率を低下させ、コスト高を招く。
本発明の課題は、軸受スリーブがハウジングに精度良く固定されることにより、優れた軸受剛性を有する流体軸受装置を低コストに提供することである。
前記課題を解決するため、本発明は、両端を開口したハウジングと、ハウジングの内周に固定された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、軸部材に設けられたフランジ部と、軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間に形成されたラジアル軸受隙間とを備え、フランジ部の外周面とハウジングの内周面との間にシール空間を形成した流体軸受装置において、軸受スリーブをインサート部品として、ハウジングを樹脂で射出成形した。
このように、本発明の流体軸受装置は、軸受スリーブをインサート部品とした樹脂の射出成形でハウジングを形成する。よって、軸受スリーブを成形金型内に正確に位置決めすれば、両部材を精度良く固定することができ、軸受隙間の精度向上、ひいては軸受剛性の向上を図ることができる。特に本発明では、ハウジングが両端に開口しているため、成形金型内における位置決めを軸方向両端側から行うことができるため、より正確かつ確実な位置決めが可能となる。また、従来必要であったハウジングと軸受スリーブとを固定する工程を省略できるため、生産効率の向上が図られる。
ところで、軸受スリーブの端面がスラスト軸受隙間に臨む場合、その面(以下、スラスト軸受面と称す)の面精度が悪いと、スラスト軸受隙間の隙間幅の精度が低下し、スラスト方向の軸受剛性が低下する恐れがある。よって、スラスト軸受面は高精度に仕上げる必要があるが、例えば軸受スリーブを焼結金属で形成する場合、面精度の向上には限界がある上、かかる高精度の加工は生産効率の低下やコスト高を招く。
そこで、本発明は、軸受スリーブの少なくとも一方の端面を樹脂で被覆し、この被覆部と、これに対向するフランジ部の端面との間にスラスト軸受隙間を形成した。このように、スラスト軸受面を樹脂で形成することにより、高精度なスラスト軸受面が低コストに得られる。また、加工誤差等により軸受スリーブの軸方向寸法に製品ごとのばらつきが生じても、そのばらつきを被覆部で吸収することができるため、軸受スリーブに要求される加工精度を緩和することができ、さらなる低コスト化が図られる。また、被覆部が軸受スリーブの軸方向の移動を制御する役割を果たすため、衝撃荷重等が加わることにより軸受スリーブがハウジングに対してずれることを防止できる。さらに、スラスト軸受面が樹脂で形成されることにより、焼結金属等と比べ優れた耐摩耗性が得られるため、軸受装置の起動、停止時等の低速回転時において、スラスト軸受隙間を介して対向するフランジ部の端面との接触摺動による摩耗を抑えることができる。
この被覆部を成形する際、金型のうち被覆部のスラスト軸受面に対応する箇所に動圧発生部形状の成形部を設けておけば、この成形部を被覆部に転写することにより、動圧発生部を容易に設けることができる。
また、このような流体軸受装置では、軸受装置内部の潤滑油に局所的な負圧が発生することにより気泡が生成することがある。この気泡の生成により、軸受剛性の低下や、潤滑油の外部への漏れ出しを招く恐れがある。この点に鑑み、例えば軸受スリーブの外周に軸方向の溝を形成し、軸受スリーブの両端面間を連通する連通孔を設けることがある(例えば、特許文献2を参照)。この連通孔を介して軸受内部の潤滑油を循環させることにより、局所的な負圧の発生に伴う不具合を回避することができる。
しかし、外周面に軸方向溝を設けた軸受スリーブをインサートして樹脂で射出成形すると、溝が樹脂で埋まってしまう。そこで本発明では、軸受スリーブの外周面に中間スリーブを配し、この中間スリーブで軸受スリーブの両端面間を連通する連通孔を形成した。この軸受スリーブおよび中間スリーブをインサート部品として射出成形すると、連通孔の両端開口部は金型で封口されるため、連通孔が樹脂で埋まることがない。
以上のように、本発明によれば、軸受スリーブがハウジングに精度良く固定され、優れた軸受剛性を有する流体軸受装置を低コストに得られる。
以下、本発明の第一の実施形態を図1〜6に基づいて説明する。
図1は、本実施形態にかかる流体軸受装置(動圧軸受装置)1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。この情報機器用スピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、流体軸受装置1と、流体軸受装置1の軸部材2に取り付けられたロータ(ディスクハブ)3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4aおよびロータマグネット4bと、ブラケット5とを備えている。ステータコイル4aはブラケット5の外周に取り付けられ、ロータマグネット4bは、ディスクハブ3の内周に取り付けられている。ディスクハブ3は、その外周に磁気ディスク等のディスクDを一枚または複数枚保持する。ステータコイル4aに通電すると、ステータコイル4aとロータマグネット4bとの間に発生する電磁力でロータマグネット4bが回転し、それに伴ってディスクハブ3、および軸部材2が一体となって回転する。
図2は、上記スピンドルモータで使用される流体軸受装置1を示すものである。この流体軸受装置1は、軸部材2と、軸部材2に設けられたフランジ部と、内周に軸部材2が挿入された軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8が内周に固定されたハウジング7とを主要構成部品として構成される。図2に示す実施形態では、フランジ部として、第一フランジ部9および第二フランジ部10が軸受スリーブ8の両端開口部に配される。なお、以下では、説明の便宜上、ハウジング7の開口部から軸部材2の端部が突出している側を上側、その軸方向反対側を下側として説明を進める。
軸受スリーブ8の内周面8aと軸部材2の外周面2aとの間に第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが軸方向に離隔して設けられる。また、軸受スリーブ8の上側端面8bと第1フランジ部9の下側端面9bとの間に第1スラスト軸受部T1が設けられ、軸受スリーブ8の下側端面8cと第2フランジ部10の上側端面10bとの間に第2スラスト軸受部T2が設けられる。
軸部材2は、ステンレス鋼等の金属材料で形成され、あるいは、金属と樹脂のハイブリッド構造とされる。軸部材2は全体として概ね同径の軸状をなし、その中間部分には、他所よりも僅かに小径に形成した逃げ部2bが形成されている。軸部材2の外周面2aのうち、第1および第2フランジ部9、10の固定位置には、凹部、例えば円周溝2cが形成されている。
軸受スリーブ8は、例えば、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。なお、軸受スリーブ8は、焼結金属以外にも銅合金等のメタル材料で形成することもできる。
軸受スリーブ8の内周面8aには、第1ラジアル軸受部R1のラジアル軸受面A1および第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面A2となる上下2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、該2つの領域には、例えば図3に示すようなヘリングボーン形状の動圧溝8a1、8a2がそれぞれ形成される。
軸受スリーブ8の上側端面8bには、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受面B1となる領域が設けられ、該領域には、例えば図4に示すようなスパイラル形状の動圧溝8b1が形成される。また、軸受スリーブ8の下側端面8cには、第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受面B2となる領域が設けられ、該領域には、例えば図5に示すようなスパイラル形状の動圧溝8c1が形成される。
ハウジング7は、軸方向両端に開口した略円筒状に形成され、その内周面7aは、同径でストレートな円筒面となっている。図1に示すブラケット5の内周面に、ハウジング7の外周面が圧入、接着、あるいは圧入接着等の手段で固定される。
ハウジング7は、軸受スリーブ8をインサート部品とした樹脂の射出成形により形成される。図6にハウジング7の成形工程を示す。ここで使用される金型は、略円筒状のシャフト部21を有する可動型20と、ゲート41を有する固定型30とで構成される。型締め時、すなわち可動型20の端面25と固定型30の端面35とが当接した状態で、可動型20と固定型30とでキャビティ40が形成される。この型締め時において、軸受スリーブ8は、その内周面8aがシャフト部21と嵌合するとともに、その両端面8b、8cが、可動型20および固定型30で挾持されることにより位置決めされる。この状態で、ゲート41からキャビティ40内に樹脂材料が射出され、ハウジング7が軸受スリーブ8と一体に成形される。
このように、ハウジング7が軸受スリーブ8をインサート部品として射出成形されることにより、従来行われていたハウジング7と軸受スリーブ8との固定工程を省略することができるため、製造が簡易化される。
また、ハウジング7が軸方向両端に開口しているため、ハウジング7の射出成形時に、インサート部品となる軸受スリーブ8を金型20、30によって軸方向両側から挾持することができるため、キャビティ40内において軸受スリーブ8を軸方向に確実に位置決めすることができる。これにより、金型20、30を精度良く加工しておけば、ハウジング7と軸受スリーブ8とが精度良く固定される。
上記の型締め時において、軸受スリーブ8の両端面8b、8c間の軸方向寸法と、両端面8b、8cと当接する金型の当接面22、32間の軸方向寸法が一致しない場合、以下のような不具合を生じる。例えば、前者が後者より小さい場合、軸受スリーブ8と金型との間に軸方向の隙間が生じ、軸受スリーブ8の位置決めが不完全となる。また、前者が後者より大きい場合、型締め時において軸受スリーブ8に大きな軸方向の圧力が加わり、軸受スリーブ8が変形する恐れがある。このような不具合を回避するためには、金型および軸受スリーブ8を精度良く加工すればよいが、上記のような軸方向寸法を完全に一致させることは、現実的に不可能である。
この点に鑑み、本実施形態では、図6に示すように、可動型20の当接面22と軸受スリーブ8の上側端面8bとを当接させることで軸受スリーブ8を軸方向で位置決めするとともに、固定型30のうち、軸受スリーブ8の下側端面8cと当接する面32を弾性部材34で形成する。これにより、金型20、30と軸受スリーブ8との軸方向寸法の誤差を弾性部材34で吸収することができる。すなわち、金型の当接面22、32間の軸方向寸法を軸受スリーブ8の両端面8b、8c間の軸方向寸法よりも僅かに小さく設定することで、弾性部材34によりその寸法誤差を弾性的に吸収し、上記のような不具合を回避することができる。
また、一般に、樹脂製の部材と金属製の部材とを接着等で固定すると、例えば金属製の部材同士を接着固定する場合と比べ、部材間の固定力が弱い。本発明では、上記のように、金属製の軸受スリーブ8と樹脂製のハウジング7とを一体成形することにより、両部材間の固定力を高めることができる。さらに、本実施形態のように軸受スリーブ8を焼結金属等の多孔質体で形成すると、軸受スリーブ8の表面空孔部に樹脂材料が入り込むことでアンカー効果を発揮し、両部材間の固定力をより一層高めることができる。
こうして形成された軸受スリーブ8およびハウジング7の一体成形品の内周に、軸部材2が挿入された後、第1フランジ部9および第2フランジ部10が軸部材2の外周面に固定される。第1フランジ部9および第2フランジ部10は、何れも真ちゅう(黄銅)等の軟質金属材料やその他の金属材料、あるいは、樹脂材料でリング状に形成され、軸部材2の外周面2aの所定位置に、例えば接着剤で固定される。接着剤としては、熱硬化性接着剤を使用することができ、この場合、軸部材2に対するフランジ部9、10の位置決めを行った後、軸部材2を加熱処理(ベーキング)することで、フランジ部9、10を確実に軸部材2に固定することができる。このとき、軸部材2に塗布した接着剤が、接着剤溜まりとしての円周溝2cに充填されて固化することにより、フランジ部9、10の軸部材2に対する接着強度が向上する。
第1フランジ部9の外周面9aは、ハウジング7の上端開口部の内周面7aとの間に所定の容積をもった第1シール空間S1を形成し、第2フランジ部10の外周面10aは、ハウジング7の下端開口部の内周面7aとの間に所定の容積をもった第2シール空間S2を形成する。この実施形態において、第1フランジ部9の外周面9aおよび第2フランジ部10の外周面10aは、それぞれ軸受装置の外部側に向かって漸次拡径したテーパ面状に形成される。そのため、両シール空間S1、S2は、互いに接近する方向に漸次縮小したテーパ形状を呈する。軸部材2の回転時、両シール空間S1、S2内の潤滑油は毛細管力による引き込み作用と、回転時の遠心力による引き込み作用とにより、シール空間が狭くなる方向に向けて引き込まれる。これにより、ハウジング7の内部からの潤滑油の漏れ出しが効果的に防止される。油漏れをより確実に防止するため、ハウジング7の上側端面7bと下側端面7c、第1フランジ部9の上側端面9c、および第2フランジ部10の下側端面10cにそれぞれ撥油剤の被膜を形成することもできる。
第1および第2シール空間S1、S2は、ハウジング7の内部空間に充満された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有する。想定される温度変化の範囲内では、油面は常時両シール空間S1、S2内にある。これを実現するために、両シール空間S1、S2の容積の総和は、少なくとも内部空間に充満された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量よりも大きく設定される。
本発明では、シール空間S1、S2が、フランジ部9、10の外径側に形成されるため、例えば軸部材2の外周面2aに面して形成される場合と比べ、シール空間S1、S2の容積を拡大することができる。すなわち、同じ空間容積を維持したまま、シール空間S1、S2の軸方向寸法を抑えることができるため、軸受装置1の軸方向寸法を縮小することができる。さらに、本発明では、シール空間S1、S2を形成するハウジング7が樹脂で形成されるため、例えば金属製のハウジングと比べ、高温時における内周面7aの拡径量が大きくなり、シール空間Sの容積が拡大する。よって、この拡大したシール空間で、潤滑油の熱膨張による体積変化を吸収することができるため、シール空間S1、S2の容積を縮小でき、軸受装置1の軸方向寸法をさらに縮小することができる。
このようにして組立が完了すると、フランジ部9、10で密閉されたハウジング7の内部空間に、軸受スリーブ8の内部気孔も含め、潤滑流体として例えば潤滑油を充満させる。
軸部材2の回転時には、軸受スリーブ8の内周面8aに形成されたラジアル軸受面A1、A2は、それぞれ軸部材2の外周面2aとラジアル軸受隙間を介して対向する。また、軸受スリーブ8の上側端面8bに形成されたスラスト軸受面B1が第1フランジ部9の下側端面9bと所定のスラスト軸受隙間を介して対向し、軸受スリーブ8の下側端面8cに形成されたスラスト軸受面B2は、第2フランジ部10の上側端面10bと所定のスラスト軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間に潤滑油の動圧が発生し、軸部材2がラジアル軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によってラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが構成される。同時に、上記スラスト軸受隙間に潤滑油の動圧が発生し、軸部材2およびフランジ部9、10が上記スラスト軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によってスラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが構成される。
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は、この実施形態に限定されることなく、他の構成に係る流体軸受装置に適用することもできる。なお、以下の説明において、第一実施形態と構成・作用を同一にする部位および部材については、同一の参照番号を付し、重複説明を省略する。
図7に、本発明の第二実施形態にかかる流体軸受装置101を示す。この流体軸受装置101では、軸受スリーブ8の上側端面8bおよび下側端面8cを被覆する被覆部81および82が設けられる。この被覆部81および82は、射出成形によりハウジング7と一体に設けられる。被覆部81の上側端面81aと第1フランジ部9の下側端面9bとの間には、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間が形成され、被覆部82の下側端面82aと第2フランジ部10の上側端面10bとの間には、第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間が形成される。被覆部81の上側端面81aには、図4で示すものと同様の動圧溝が形成され、該動圧溝形成領域がスラスト軸受面B1となる。また、被覆部82の下側端面82aには、図5で示すものと同様の動圧溝が形成され、該動圧溝形成領域がスラスト軸受面B2となる。
ハウジング7および被覆部81、82は、軸受スリーブ8をインサート部品とした樹脂の射出成形により形成される。金型内において、軸受スリーブ8は、内周の両端部に設けられたチャンファ部8d1、8d2を金型で軸方向両側から挾持されることにより位置決めされる(図示省略)。
このように、スラスト軸受面B1およびB2を樹脂で形成するため、スラスト軸受面B1およびB2を、簡易かつ低コストに高精度化することができる。また、製造誤差等により、軸受スリーブ8の軸方向寸法に製品ごとのばらつきが生じた場合も、被覆部81および82でそのばらつきを吸収することができる。よって、高精度なスラスト軸受隙間が確保できる上、軸受スリーブ8の加工精度を緩和することができ、低コスト化が図られる。
また、被覆部81および82は、軸受スリーブ8の軸方向の移動を制御するため、流体軸受装置101に衝撃荷重等が加わった際、軸受スリーブ8がハウジング7に対して軸方向にずれることを防ぐことができる。本実施形態では、軸受スリーブ8をインサート部品とした射出成形により、被覆部81および82がハウジング7と一体に形成されるため、上記のような、被覆部81および82による軸受スリーブ8の軸方向の固定は、より一層確実に行われる。
さらに、被覆部81および82のスラスト軸受面B1およびB2に形成される動圧溝は、ハウジング7および被覆部81、82の射出成形と同時に形成することができる。具体的には、成形金型のうち、被覆部81の上側端面81aおよび被覆部82の下側端面82aの動圧溝形成予定領域に対応する箇所に、動圧溝形状に対応したの成形部を形成し、その成形部の形状を被覆部81および82に転写することで形成することができる。これにより、金属材料に機械加工等で動圧溝を形成する場合と比べ、容易に、且つ精度良く動圧溝を形成することができる。
さらに、スラスト軸受面B1およびB2が樹脂で形成されることにより、焼結金属等と比べ、優れた耐摩耗性が得られる。これにより、流体軸受装置101の起動、停止時等の低速回転時において、スラスト軸受隙間を介して対向するフランジ部9、10の端面との接触摺動による摩耗を抑えることができる。
また、軸受スリーブ8および被覆部81、82が、焼結金属と樹脂との複合構造となっているため、例えばこれらが全て樹脂で形成される場合と比べ、軸部材2との線膨張係数の差を抑えることができる。よって、温度の変化に伴う熱膨張あるいは熱収縮による各軸受隙間の隙間幅の変動を抑えることができる。これにより、軸受装置の使用環境温度が変化しても、優れた軸受性能を維持することができる。
上記のような流体軸受装置において、軸受内部の潤滑油に局部的な負圧が発生すると、気泡が生成し、軸受剛性の低下や潤滑油の漏れ出しを招くおそれがある。このような不具合は、軸受スリーブ8の両端面間を連通する連通孔を設け、軸受内部の潤滑油を循環させることにより回避することができる。
この連通孔は、例えば軸受スリーブ8の外周面に、両端面8bおよび8cに開口した軸方向溝11を、1又は複数本設けることにより形成されることがある。しかし、軸方向溝11を有する軸受スリーブ8をインサートして樹脂で射出成形すると、軸方向溝11に樹脂が入り込み、連通孔が樹脂で埋められてしまう。
このような不具合は、連通孔を軸受スリーブ8の外周面に露出させなければ回避することができる。例えば、図8に示す本発明の第三実施形態にかかる流体軸受装置201は、外周面に軸方向溝11を有する軸受スリーブ8の外周に中間スリーブ12を外挿し、この中間スリーブ12と軸方向溝11とで連通孔13を形成する。この軸受スリーブ8および中間スリーブ12をインサート部品として射出成形すると、連通孔13の両端開口部は金型で封口されるため、連通孔13が樹脂で埋まることはない。なお、軸受スリーブ8の外周面を円筒面とし、中間スリーブ12の内周面に軸方向溝11を設けてもよい。
あるいは、連通孔13を軸受スリーブ8の内部に設けることで、連通孔13が樹脂で埋まることを防ぐことができる。
あるいは、上記のような不具合を回避するために、軸受スリーブ8の外周面に軸方向溝11を設け、その軸方向溝11の形状に対応する形状を有する成形ピンを軸方向溝11にはめ込み、その状態で射出成形することで樹脂の入り込みを防ぐことができる。このような成形ピンは、ハウジング7の成形金型と一体に設けても良いし、別体に設けても良い。
なお、上記のように連通孔13を設ける場合、例えば、ラジアル軸受面A1の動圧溝8a1を軸方向で非対称形状とすることで、軸受内部に充満された潤滑油を強制的に循環させることもできる(図示省略)。
以上で示した実施形態では、軸部材2にフランジ部を2箇所に設けた場合を示しているが、1箇所のみに設けても良い。
また、以上に示した実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2やスラスト軸受部T1、T2の動圧発生部として、ヘリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝が示されているが、動圧発生部の形状はこれに限らない。例えば、ラジアル軸受部の一方又は双方を、いわゆる多円弧軸受や、ステップ軸受、あるいはテーパ軸受で構成することもできる。また、スラスト軸受部の一方又は双方を、いわゆるステップ軸受や、波型軸受で構成することもできる。
また、以上では、ラジアル軸受部R1、R2の動圧発生部が軸受スリーブ8の内周面8aに、スラスト軸受部T1、T2の動圧発生部が軸受スリーブ8の上側端面8bおよび下側端面8c、あるいは被覆部81の上側端面81aおよび被覆部82の下側端面82aに形成される場合を示しているが、それぞれの面と対向する面に形成することもできる。
あるいは、ラジアル軸受部として、軸受スリーブ8の内周面8aを、動圧発生部としての動圧溝や円弧面等を設けない真円内周面とし、この内周面8aと対向する軸部材2の真円状外周面2aとで、いわゆる真円軸受を構成することができる。
また、スラスト軸受部として、軸部材2の下端に球面状凸部を設け、この凸部と底部材の上端面とでいわゆるピボット軸受を構成することができる。
また、以上の説明では、流体軸受装置1、101、201の内部に充満し、ラジアル軸受隙間や、スラスト軸受隙間に動圧作用を生じる流体として、潤滑油を例示したが、それ以外にも各軸受隙間に動圧作用を発生可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
また、本発明は、上記のようなHDD等のディスク駆動装置に限らず、例えば光ディスクの光磁気ディスク駆動用のスピンドルモータの小型モータや、レーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ等における回転軸支持用、あるいは、冷却ファンに用いられる小型モータとしても好適に使用することができる。
1 動圧軸受装置
2 軸部材
7 ハウジング
8 軸受スリーブ
8d1、8d2 チャンファ部
9、10 フランジ部
20 可動型
21 シャフト部
23 テーパ面
30 固定型
34 弾性部材
41 ゲート
81、82 被覆部
13 連通孔
D ディスク
A1、A2 ラジアル軸受面
B1、B2 スラスト軸受面
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S1、S2 シール空間
2 軸部材
7 ハウジング
8 軸受スリーブ
8d1、8d2 チャンファ部
9、10 フランジ部
20 可動型
21 シャフト部
23 テーパ面
30 固定型
34 弾性部材
41 ゲート
81、82 被覆部
13 連通孔
D ディスク
A1、A2 ラジアル軸受面
B1、B2 スラスト軸受面
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S1、S2 シール空間
Claims (4)
- 両端を開口したハウジングと、ハウジングの内周に固定された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、軸部材に設けられたフランジ部と、軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間に形成されたラジアル軸受隙間とを備え、フランジ部の外周面とハウジングの内周面との間にシール空間を形成した流体軸受装置において、
軸受スリーブをインサート部品として、ハウジングを樹脂で射出成形したことを特徴とする流体軸受装置。 - 軸受スリーブの少なくとも一方の端面を樹脂で被覆し、この被覆部と、これに対向するフランジ部の端面との間にスラスト軸受隙間を形成した請求項1記載の流体軸受装置。
- 前記被覆部に動圧発生部を形成した請求項2記載の流体軸受装置。
- 軸受スリーブの外周面に配した中間スリーブで軸受スリーブの両端面間を連通する連通孔を形成した請求項1記載の流体軸受装置。
Priority Applications (5)
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-
2006
- 2006-04-03 JP JP2006102259A patent/JP2007278325A/ja not_active Withdrawn
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