JP2011026651A - 浸炭方法および浸炭装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークの周辺に浸炭ガスを保持することなくワークに浸炭処理を行うことができる浸炭方法を提供する。
【解決手段】ワークWを加熱する加熱コイル10と、浸炭ガス30を噴射するガス噴射口21が形成されるガスノズル20とを具備する構成により、ワークWに浸炭処理を行う浸炭方法であって、加熱コイル10によって加熱されるワークWに、爆発限界未満の濃度の浸炭ガス30を、ガス噴射口21より直接吹き付ける浸炭工程を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、ワークに浸炭処理を行う技術に関する。
従来から、鋼材にて構成されるワークの表面に炭素を浸透拡散させて、ワークの表面層の炭素量を増加させる浸炭処理が行われている。
このような浸炭処理を行うために、例えば、図11に示すような浸炭装置100が用いられる。浸炭装置100は、図11に示すように、熱処理炉150を具備する。熱処理炉150には、加熱コイル110が収容される。ワークWは、加熱コイル110の内側に配置される。熱処理炉150には、熱処理炉150内に浸炭ガス130を供給するガス供給管151および熱処理炉150内から浸炭ガス130を排出するガス排出管152が連結される。浸炭ガス130としては、例えば、プロパンが用いられる。
このような熱処理炉150は、ワークWに浸炭処理を行うに際して、所定の混合ガス雰囲気、あるいは真空雰囲気に調整される。
このように構成される浸炭装置100は、ワークWを加熱コイル110によって加熱するとともに、ガス供給管151より熱処理炉150内に浸炭ガス130を供給する(図11に示す矢印G1参照)。これにより、熱処理炉150内は、浸炭ガス雰囲気となる。
浸炭装置100は、熱処理炉150内に所定の間浸炭ガス130を保持した後で、ガス排出管152を通じて浸炭ガス130を外部へ排出する(図11に示す矢印G2参照)。
そして、浸炭装置100は、ワークWを窒素ガス等で冷却する。
これにより、ワークWの表面には炭素が浸透拡散される。しかし、浸炭装置100では、浸炭ガス雰囲気下でワークWに浸炭処理を行うため、浸炭ガス130を保持する熱処理炉150が必要となる。
ここで、熱処理炉150は高価な設備である。従って、浸炭装置100が高価な設備となり、ひいてはワークWに浸炭処理を行うために要するコストが上昇してしまう。
また、ワークWは、熱処理炉150に収容する必要がある。
このため、ワークWは、熱処理炉150に収容可能な形状である必要があった。従って、比較的大きな形状を有するワークWに浸炭処理を行う場合には、ワークWの形状に制約を受ける、あるいはかかるワークWを収容可能な大きな熱処理炉150を用いる必要があった。このため、熱処理炉150を用いることなく浸炭処理を行う技術が求められている。
特許文献1に開示された浸炭方法は、大気雰囲気下でワークに浸炭処理を行う技術である。
特許文献1に開示された浸炭方法では、ワーク(鋼板)の片面に塗布型浸炭組成物を塗布した後で浸炭処理を行う。塗布型浸炭組成物としては、オレフィン系重合体(例えばポリエチレンおよびポリプロピレン等)と浸炭剤(例えば木炭粉等)とを配合したもの等が用いられる。
ワークは、塗布型浸炭組成物を塗布した後で焼き付けられる。これにより、ワークの表面に塗布型浸炭組成物が皮膜化する。かかるワークは、複数枚積層された状態で、カバー用鋼板がさらに積層される。そして、積層されるワークおよびカバー用鋼板は、大気雰囲気下でマッフル炉等の所定の加熱機構によって加熱される。
これによれば、積層されるワークは、それぞれワークおよびカバー用鋼板のいずれかに挟まれた状態で加熱される。従って、塗布型浸炭組成物より発生する浸炭ガスは、鋼板の表面上で発生する。かかる浸炭ガスは、ワークより放散することを抑制できる、換言すれば、ワークの周辺に浸炭ガスを保持できるため、十分にワークの表面に浸炭ガスを接触できる。これにより、熱処理炉を用いることなく浸炭処理を行うことが可能となる。
しかし、特許文献1に開示された浸炭方法では、塗布型浸炭組成物を塗布する工程および複数のワークを積層させる工程等、ワークの周辺に浸炭ガスを保持するための工程を別途行う必要があった。
特開2001−107217号公報
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、ワークの周辺に浸炭ガスを保持することなくワークに浸炭処理を行うことが可能な浸炭方法および浸炭装置を提供するものである。
請求項1においては、
ワークを加熱する加熱機構と、浸炭ガスを噴射するガス噴射口が形成されるガス供給機構とを具備する構成により、ワークに浸炭処理を行う浸炭方法であって、
前記加熱機構によって加熱される前記ワークに、爆発限界未満の濃度の浸炭ガスを、前記ガス噴射口より直接吹き付ける浸炭工程を行うものである。
請求項2においては、
前記ガス噴射口と前記ワークとの距離をL(mm)とし、
前記ワークに直接吹き付けられる前記浸炭ガスの流量(L/min)と前記ガス噴射口の断面積(mm)との商をVとしたとき、
前記浸炭工程は、次式を満たす条件にて行われるものである。
L<V×3.44+1.63
請求項3においては、
前記浸炭工程では、
前記浸炭ガスを予熱した後で、前記ガス噴射口より前記ワークに前記浸炭ガスを直接吹き付けるものである。
請求項4においては、
前記浸炭工程では、
前記ガス供給機構により供給される前記浸炭ガスを、前記加熱機構を通過させた後で、前記ガス噴射口より前記ワークに直接吹き付けるものである。
請求項5においては、
ワークを加熱する加熱手段と、浸炭ガスを噴射するガス噴射口が形成されるガス供給手段とを具備する構成により、ワークに浸炭処理を行う浸炭装置であって、
前記ガス供給手段は、
前記加熱手段によって加熱される前記ワークに、爆発限界未満の濃度の浸炭ガスを、前記ガス噴射口より直接吹き付けるものである。
請求項6においては、
前記ガス噴射口と前記ワークとの距離をL(mm)とし、
前記ワークに直接吹き付けられる前記浸炭ガスの流量(L/min)と前記ガス噴射口の断面積(mm)との商をVとしたとき、
前記ガス供給手段は、次式を満たす条件にて、前記ガス噴射口より前記ワークに前記浸炭ガスを直接吹き付けるものである。
L<V×3.44+1.63
請求項7においては、
前記ガス噴射口より前記ワークに前記浸炭ガスを直接吹き付ける前に、前記浸炭ガスを予熱するガス予熱手段を具備するものである。
請求項8においては、
前記ガス予熱手段は、
前記加熱手段に前記ガス供給手段と連通する内部通路を形成し、
前記加熱手段に前記内部通路と連通するとともに前記ガス噴射口に対応する連通孔を形成することにより構成されるものである。
本発明は、ワークの周辺に浸炭ガスを保持することなくワークに浸炭処理を行うことができる、という効果を奏する。
浸炭装置の構成を示す端面図。 浸炭装置によって浸炭工程が行われている状態を示す端面図。 浸炭方法の処理サイクルおよびワークの温度の相関を示す図。 浸炭装置によって板状のワークに浸炭工程が行われている状態を示す図。 浸炭方法の実験のために用いた浸炭装置の構成を示す図。(a)浸炭装置の全体的な構成を示す説明図。(b)ガスノズルの形状を示す断面図。 流量を所定の値に設定した場合におけるガス噴射口とワークとの距離およびワークの表硬の相関を示す図。(a)流量が0.17L/minである場合の図。(b)流量が2.00L/minである場合の図。 流量とガス噴射口の断面積との商およびガス噴射口とワークとの距離の相関を示す図。 ガス予熱機構を具備する浸炭装置によって浸炭工程が行われている状態を示す端面図。 加熱コイルにガスノズルを連結した浸炭装置を示す斜視図。 加熱コイルにガスノズルを連結した浸炭装置によって浸炭工程が行われている状態を示す端面図。 従来の浸炭装置の構成を示す端面図。
以下に、本発明に係る浸炭装置の実施の一形態である浸炭装置1について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、浸炭装置1は、ワークWに浸炭処理を行うものである。具体的には、浸炭装置1は、ワークWの表面に炭素を浸透拡散させて、ワークWの表面層の炭素量を増加させるものである。
ワークWは、鋼材等によって構成され、略円柱形状(棒形状)に形成される。
このようなワークWは、所定の支持装置等によって支持される。このとき、ワークWは、その軸心を中心として回転可能に支持される。また、ワークWは、大気雰囲気下に配置される。
浸炭装置1は、加熱コイル10およびガスノズル20を具備する。
加熱コイル10は、ワークWを加熱するものであり、略円環状に形成される。加熱コイル10の軸心に沿う方向の断面形状は、略四角状に形成される。また、加熱コイル10には、内部通路11が形成される。内部通路11は、加熱コイル10の形状に沿って連続して形成される。加熱コイル10の内径は、ワークWの外径よりやや大きい。このような加熱コイル10は、電流が流れやすい導体(金属材料)によって構成される。本実施形態の加熱コイル10は、銅材によって構成される。
加熱コイル10は、ケーブル等を介して所定の電源に接続される。加熱コイル10には、かかる電源より交流電流が流される。
また、加熱コイル10は、配管等を介して冷却水を貯溜するタンクに連結される。加熱コイル10の内部通路11には、前記タンクから冷却水が供給可能に構成される。
加熱コイル10は、ワークWの外側に配置される。より詳細には、加熱コイル10は、その軸心位置とワークWの軸心位置とが重なるように配置される。従って、加熱コイル10は、ワークWの径方向外側の延長線上に配置される。つまり、加熱コイル10の径方向外側より見た場合、加熱コイル10は、ワークWの一部と重なった状態となる。
ガスノズル20は、ワークWに浸炭ガス30を直接吹き付けるものである(図2参照)。ガスノズル20は、チューブ状部材の軸心位置より軸心方向に沿って浸炭ガス30の流通経路が貫通して構成されている。ガスノズル20は、ワークWとの間に所定の間隔を空けた状態、かつ加熱コイル10に接触しないように加熱コイル10の径方向に対して所定の角度傾斜した姿勢で配置されている。
このとき、ガスノズル20の一端部、すなわち本実施形態では右端部が、加熱コイル10の内側に配置される。このようなガスノズル20は、その軸心方向がワークWの軸心方向と交差するように配置される。言い換えれば、ガスノズル20は、その一端部がワークWに向けられた状態で配置される。
ガスノズル20のワークWに接近する側の端部(本実施形態における右端部)には、浸炭ガス30を噴射するガス噴射口21が形成される。
従って、ガスノズル20は、ガス噴射口21がワークWに向けられた状態で配置される。
また、ガスノズル20は、その他端部、すなわち本実施形態では左端部が配管等を介して所定のガス供給源に連結される。図2に示すように、ガス供給源からの浸炭ガス30は、配管等を介してガスノズル20の他端部に供給される(図2に示す矢印G参照)。かかる浸炭ガス30は、ガス噴射口21より噴射される。このとき、ガス噴射口21は、ワークWの軸心方向における略中心に向けられている。つまり、ガス噴射口21より噴射される浸炭ガス30は、ワークWに直接吹き付けられることとなる。言い換えれば、ガスノズル20は、ガス噴射口21よりワークWに浸炭ガス30を直接吹き付ける。
浸炭ガス30は、炭化水素ガス等の炭素を含有する所定のガスが用いられる。浸炭ガス30は、ワークWへ吹き付けられる際には希釈ガスによって爆発限界未満の濃度まで希釈される。つまり、ワークWには爆発限界未満の濃度の浸炭ガス30が吹き付けられる。
本実施形態の浸炭ガス30には、イソブタン(C10)が用いられる。また、本実施形態の希釈ガスには、窒素ガス(N)が用いられる。従って、本実施形態の浸炭ガス30は、窒素ガスによって爆発限界未満の濃度、すなわち、イソブタンの爆発限界の濃度である1.8%未満となるように希釈される。
このような浸炭装置1は、モータ等の所定の駆動源によってワークWの軸心方向に沿って往復移動可能に構成される。
以上のように構成される浸炭装置1を用いて行われる浸炭方法について説明する。図3に示すように、本浸炭方法により行われる浸炭処理は、昇温工程、浸炭工程、冷却工程を順に実施することにより行われる。
図2および図3に示すように、昇温工程では、加熱コイル10に交流電流が流される。これにより、ワークW、より詳細には、加熱コイル10の径方向内側にあるワークWの一部が誘導加熱される(図2に示す符号W1参照)。
また、昇温工程の間、加熱コイル10およびガスノズル20は、ワークWの軸心方向に沿って所定の範囲内(例えばワークWの軸心方向における長さの範囲内)で往復移動する。これにより、ワークWの温度はta℃まで上昇する。このような昇温工程は、時間t1の間行われる。
なお、以下では、ワークWの加熱コイル10によって加熱される部位を「浸炭必要部位W1」と称する。
昇温工程が行われた後で、浸炭工程が行われる。浸炭工程では、ガス供給源よりガスノズル20に浸炭ガス30が供給される(図2に示す矢印G参照)。かかる浸炭ガス30は、ガス噴射口21より浸炭必要部位W1に向けて直接吹き付けられる。つまり、浸炭ガス30は、大気雰囲気中にて吹き付けられることとなる。
また、浸炭工程の間、加熱コイル10およびガスノズル20は、ワークWの軸心方向に沿って所定の範囲内(例えばワークWの軸心方向における長さの範囲内)で往復移動する。これにともなって、浸炭必要部位W1もワークWの軸心方向に沿って往復移動することとなる。また、ワークWは、その軸心を中心に回転する。これにより、ワークWは、その温度がta℃で維持されるとともに、ワークW全体に浸炭ガス30が直接吹き付けられることとなる。
このように、加熱コイル10は、ワークWを加熱する加熱機構(加熱手段)として機能する。また、ガスノズル20は、加熱コイル10によって加熱されるワークWに浸炭ガス30をガス噴射口21より直接吹き付けるガス供給機構(ガス供給手段)として機能する。
これによれば、浸炭ガス30は、ガス噴射口21からワークWの表面まで移動する間、加熱された状態のワークWより放射熱(輻射熱)を受ける。また、浸炭ガス30は、ワークWの表面まで移動したとき、加熱された状態のワークWの表面と接触する。これにより、ワークWに直接吹き付けられる浸炭ガス30の温度は上昇する。
そして、浸炭ガス30、すなわち本実施形態ではイソブタンが熱分解する。従って、浸炭ガス30は、炭素(カーボン)と水素とに分解される。かかる炭素がワークW、より詳細には浸炭必要部位W1の表面に接触することによって、ワークWには、炭素が固溶される。
また、浸炭工程では、加熱コイル10の内部通路11に冷却水が供給される。これにより、加熱コイル10は、交流電流が流されることによる自己発熱およびワークWの放射熱を受けることによる温度の上昇を低減できる。つまり、加熱コイル10を冷却できる。このような浸炭工程は、時間t2の間行われる。
浸炭工程が行われた後で、冷却工程が行われる。冷却工程では、加熱された状態のワークWを窒素ガスによって冷却する。
これによれば、ワークWの表面に炭素が浸透拡散されて、ワークWの表面層の炭素量を増加させることが可能となる。つまり、大気雰囲気下で、換言すれば、開かれた空間でワークWに浸炭処理を行うことができる。従って、浸炭ガス30を保持する熱処理炉(図11参照)を用いることなく、ワークWに浸炭処理を行うことができる。また、浸炭ガス30を保持するための工程等を別途行うことなくワークWに浸炭処理を行うことができる。つまり、ワークWの周辺に浸炭ガス30を保持することなくワークWに浸炭処理を行うことができる。
これによれば、ワークWに浸炭処理を行うために要するコストを低減できる。
次に、浸炭ガス30としてアセチレン(C)を用いて浸炭工程を行った場合の浸炭装置1の動作について説明する。
図2に示すように、ガスノズル20より吹き付けられる浸炭ガス30は、ワークWの表面に接触した後で、加熱コイル10に接触する。このとき、浸炭ガス30の一部が炭素と水素とに熱分解されていない場合、加熱コイル10は、浸炭ガス30、すなわちアセチレンと接触する。
このとき、浸炭ガス30、すなわちアセチレンは、加熱コイル10を構成する銅と反応して、金属アセチリド(銅アセチリド)を生成する。金属アセチリドは、衝撃を受けることによって爆発する可能性がある。言い換えれば、金属アセチリドが生成された場合、浸炭工程において浸炭装置1が爆発する可能性がある。
また、浸炭ガス30、すなわちアセチレンは、大気(空気)と混合して爆発性ガスを生成する。従って、浸炭工程において浸炭装置1が爆発する可能性がある。
つまり、浸炭ガス30としてアセチレンを用いた場合、浸炭工程で浸炭装置1が爆発する可能性がある。このため、浸炭ガス30として、アセチレンを用いることは好ましくない。
以上のように、本実施形態の浸炭ガス30としては、ワークWに浸炭処理を行うことが可能なガス、換言すれば、炭素を含有するガスであるとともに、大気と混合することおよび加熱コイル10等と接触すること等によって爆発しないガスであることが好ましい。このようなガスとしては、例えば、イソブタンおよびプロパン等がある。
次に、板状のワークWに浸炭処理を行う場合の浸炭装置1の構成および浸炭装置1の動作について説明する。
ガスノズル20は、図4に示すように、ワークWの板面に沿って配置される。また、加熱コイル10は、ワークWより所定の間隔を空けた状態で配置される。浸炭装置1は、ワークWの板面に沿って往復移動可能に構成される。
このように構成される浸炭装置1を用いて板状のワークWに対する浸炭処理が行われる。従って、浸炭装置1は、前述したような、昇温工程、浸炭工程、および冷却工程を行う。
これにより、浸炭工程において浸炭ガス30が熱分解されて、かかる浸炭ガス30に含有される炭素がワークWの表面に固溶される。
従って、従来技術にあるような熱処理炉を用いることなく板状のワークWに浸炭処理を行うことができる(図11参照)。
ここで、板状のワークWは、比較的大きな形状を有する場合がある。つまり、浸炭装置1は、熱処理炉に収容できないような大きさのワークWに浸炭処理を行うことができる。
次に、ワークWの一部だけを浸炭させる場合の浸炭装置1の動作について説明する。
浸炭装置1は、浸炭工程において、往復移動しない、あるいはワークWの一部の範囲内だけを往復移動する。これにより、浸炭ガス30は、ワークWにおける、ガス噴射口21がワークWに向けられている部分だけ、あるいは浸炭装置1が往復移動した範囲の部分だけに直接吹き付けられる。
これにより、浸炭装置1は、ワークWに浸炭ガス30が直接吹き付けられた部分だけに浸炭処理を行うことができる。言い換えれば、ワークWの一部だけに浸炭処理を行うことができる。例えば、図2に示す浸炭装置1が浸炭工程において、往復移動しない場合には、浸炭ガス30が直接吹き付けられるワークWの一部、すなわち浸炭必要部位W1だけを浸炭できる。
ここで、従来技術にあるような熱処理炉を具備する浸炭装置を用いてワークの一部だけを浸炭させる場合には、例えば、ワークの一部だけを加熱した状態で熱処理炉内に浸炭ガスを保持することとなる(図11参照)。この場合、熱処理炉内、換言すれば閉じられた空間のワークおよび加熱コイルの位置を調整することとなる。
一方、本実施形態の浸炭装置1では、大気雰囲気下で浸炭処理を行うことができる。このため、ワークWの一部だけに浸炭処理を行う場合には、開かれた空間でワークW、および浸炭装置1の位置を調整できる。
このため、本実施形態の浸炭装置1は、従来技術にあるような熱処理炉を具備する浸炭装置を用いた場合と比較して、簡単にワークWの一部だけを浸炭できる。
また、熱処理炉内に浸炭ガス30を保持した場合、ワークW全体に浸炭ガス30に含有される炭素が接触する。一方、ワークWに浸炭ガス30を直接吹き付ける場合、ワークWの一部だけに浸炭ガス30が吹き付けられる。つまり、本実施形態の浸炭装置1では、ワークWのうち浸炭させない部分に浸炭ガス30に含有される炭素が接触しにくくなる。つまり、従来技術にあるような熱処理炉を具備する浸炭装置を用いた場合と比較して、より確実にワークWの一部だけを浸炭できる。
なお、昇温工程、浸炭工程、および冷却工程に要する時間は、ワークWに求められる浸炭深さ(硬化深さ)およびワークWの形状等に応じて適宜設定される。
従って、ワークWに求められる浸炭深さが深いときおよびワークWの形状が大きいとき等には、昇温工程、浸炭工程、および冷却工程に要する時間を長く設定すればよい。一方、ワークWに求められる浸炭深さが浅いときおよびワークWの形状が小さいとき等には、昇温工程、浸炭工程、および冷却工程に要する時間を短く設定すればよい。
また、本実施形態の浸炭方法では、ワークWに求められる浸炭深さ等に応じて拡散工程を行っても構わない。
拡散工程は、昇温工程の後で行われる。拡散工程では、ワークWの温度が加熱コイル10によって加熱された状態で保持される。一方、浸炭ガス30の吹付は行われない。これによれば、ワークWの表面に固溶された炭素をワークWの内部に拡散させることができる。
また、本実施形態では、ワークWを加熱する手段として加熱コイル10を用いたが、これに限定されるものでない。すなわち、加熱手段は、ワークWを浸炭させるために必要な温度をta℃まで加熱できればよく、例えば、ヒーターおよび赤外線ランプ等であっても構わない。
また、本実施形態の浸炭装置1は、ガスノズル20を複数具備する構成であっても、一つ具備する構成であっても構わない。ガスノズル20を複数具備する構成の場合、ガスノズル20は、加熱コイル10の外周面における周方向に等間隔に配置される。また、ガスノズル20は、それぞれワークWに向けられる。
次に、本実施形態の浸炭装置1および浸炭方法を用いた浸炭処理の実験結果について説明する。
まず、実験の条件について説明する。
図5(a)に示すように、実験に用いたワーク(試料)Wとしては、Φ18×40の形状に形成されたクロム鋼(SCR420)を用いた。
また、浸炭装置1は、加熱コイル10、およびガスノズル20に加えて、ワークWの温度を測定するための放射温度計50を具備した。
図5(b)に示すように、ガスノズル20は、チューブ状部材の軸心位置を中心に等間隔を空けて軸心方向に沿って貫通する二箇所の流通経路を有している。また、貫通した流通経路は、それぞれΦ1の形状に形成した。ガス噴射口21は、かかる貫通した二箇所の流通経路がチューブ状部材の外部に開口した部分であり、浸炭ガス30を噴射するための開口部である。
実験に用いた浸炭ガス30としてはイソブタンを用いた。また、希釈ガスとしては、窒素ガスを用いた。浸炭ガス30は、窒素ガスによってその濃度を1.7%まで希釈した。
図3に示す浸炭方法における昇温工程の時間t1は7秒に設定した。また、図3に示す昇温工程で加熱されるワークWの温度taは1100℃に設定した。
そして、図3に示す浸炭方法における浸炭工程の時間t2は5秒に設定した。
また、実験は大気雰囲気下で行った。
なお、以下において、図5(a)に示すように、ガス噴射口21とワークWとの距離、より詳細にはガス噴射口21とワークWの表面との距離を「距離L(mm)」とする(図5(a)に示す矢印L参照)。
また、ワークWに直接吹き付けられる浸炭ガス30の流量を「流量Q(L/min)」とする。
そして、ガス噴射口21の断面積を「断面積A(mm)」とする。
以上のような条件で浸炭処理の実験を行った結果、図6に示すような結果が得られた。ここで、図6に示すガス噴射口21とワークWとの距離Lを示す符号a1からa5までの大きさの関係は、a1<a2<a3<a4<a5となる。また、a1からa5までは、それぞれ等間隔である。
図6(a)に示すように、浸炭ガス30の流量Qを0.17L/minに設定して実験を行った結果、以下のことがわかった。
ガス噴射口21とワークWとの距離Lが0からa1までの間である場合、より詳細には、0とa1との中間地点より0に近い距離である場合、浸炭処理後のワークWの表面硬度(図6(a)では「表硬」と記載している)は高かった。従って、ガス噴射口21とワークWとの距離Lが0とa1との中間地点より0に近い距離で行った実験結果である点P1および点P2では、ワークWは浸炭したことがわかる。
一方、ガス噴射口21とワークWとの距離Lがa1まで離れるにつれてワークWの表面硬度が低くなっていった。ガス噴射口21とワークWとの距離Lをa1まで離して行った実験結果である点P3では浸炭処理後のワークWの表面硬度が低く、ワークWは浸炭しなかったことがわかる。これは、熱分解された浸炭ガス30に大気が混ざることにより、ワークWに炭素が固溶しなかったことに起因する。
このように、ワークWに浸炭ガス30を直接吹き付けて浸炭させる場合には、ガス噴射口21とワークWとの距離Lに相関性があることがわかった。
また、図6(b)に示すように、浸炭ガス30の流量Qを2.00L/minに設定して実験を行った結果、以下のことがわかった。
ガス噴射口21とワークWとの距離Lがa1からa2までの間である場合、ワークWの表面硬度(図6(b)では「表硬」と記載している)は高かった。従って、ガス噴射口21とワークWとの距離Lがa1である点P4およびガス噴射口21とワークWとの距離Lがa2である点P5では、ワークWは浸炭したことがわかる。
一方、ガス噴射口21とワークWとの距離Lがa2からa3まで離れるにつれてワークWの表面硬度が低くなっていった。ガス噴射口21とワークWとの距離Lをa3まで離して行った実験結果である点P6では浸炭処理後のワークWの表面硬度が低く、ワークWは浸炭しなかったことがわかる。これは、熱分解された浸炭ガス30に大気が混ざることにより、ワークWに炭素が固溶しなかったことに起因する。
ここで、図6に示すように、ガス噴射口21とワークWとの距離Lがa1である場合において、浸炭ガス30の流量Qを0.17L/minに設定したとき、ワークWは浸炭しなかった(図6(a)に示す点P3参照)。一方、浸炭ガス30の流量Qを2.00L/minに設定したとき、ワークWは浸炭した(図6(b)に示す点P4参照)。
従って、ワークWに浸炭ガス30を直接吹き付けて浸炭させる場合には、ガス噴射口21とワークWとの距離Lおよび浸炭ガス30の流量Qに相関性があることがわかった。
ここで、浸炭ガス30の流量Qを一定の値に設定したとき、浸炭ガス30の勢いは、ガス噴射口21の断面積Aによって変動する。
例えば、ガス噴射口21の断面積Aを狭くして浸炭ガス30を噴射した場合、ガス噴射口21から噴射される浸炭ガス30の勢いは増加する。具体的には、ガス噴射口21の断面積Aを半分にすると、浸炭ガス30の勢いは二倍となる。
また、ガス噴射口21の断面積Aを広くして浸炭ガス30を噴射した場合、ガス噴射口21から噴射される浸炭ガス30の勢いは減少する。具体的には、ガス噴射口21の断面積Aを二倍にすると、浸炭ガス30の勢いは半分となる。
このように、浸炭ガス30の流量Qは、ガス噴射口21の断面積Aと相関性がある。このため、ワークWに浸炭ガス30を吹き付けて浸炭させる場合には、ワークWに対する浸炭の有無は、ガス噴射口21とワークWとの距離Lおよび浸炭ガス30の流量Qをガス噴射口21の断面積Aにて除して得られた商(勢い)との間に相関性があることとなる。
なお、以下において、浸炭ガス30の流量Qをガス噴射口21の断面積Aにて除して得られた商を「商V」と称する。
以上のような実験結果に基づいて、ワークWに浸炭ガス30を直接吹き付けて浸炭処理を行う場合における、ワークWに対する浸炭の有無と、ガス噴射口21とワークWとの距離Lおよび浸炭ガス30の流量Qをガス噴射口21の断面積Aにて除して得られた商Vとの相関性を示す式として、ワークWへの浸炭が可能な条件として次式が導かれた(図7参照)。
L<V×3.44+1.63・・・(1)
このように、浸炭処理は、上記式(1)を満たす条件にて行われる。
また、ガスノズル20は、上記式(1)を満たす条件の範囲内で、ガス噴射口21よりワークWに浸炭ガス30を直接吹き付ける。
これによれば、ワークWの周辺に浸炭ガス30を保持することなくワークWに浸炭処理を行うことができる。
次に、図8に示すように、ヒーター40を具備した場合の浸炭装置1について説明する。
ヒーター40は、ガスノズル20のガス噴射口21が形成される側の端部に取り付けられる。
このように構成されるヒーター40は、浸炭工程において、ガス噴射口21よりワークWに浸炭ガス30を直接吹き付ける前に、浸炭ガス30を予熱する。
これにより、浸炭ガス30の温度は上昇する。従って、浸炭ガス30は、ある程度温度が上昇した状態で、ワークWに直接吹き付けられる。そして、浸炭ガス30は、ガス噴射口21からワークWの表面まで移動する間、ワークWの放射熱を受ける。また、浸炭ガス30は、ワークWの表面まで移動したとき、ワークWの表面に接触する。これにより浸炭ガス30の温度は、さらに上昇して炭素と水素とに熱分解される。
つまり、浸炭ガス30は、ヒーター40によって熱分解され易い状態でワークWに直接吹き付けられる。言い換えれば、ワークWの表面により多くの炭素を接触できる。このため、ヒーター40を具備する浸炭装置1は、ワークWに常温の浸炭ガス30を直接吹き付ける場合と比較して、浸炭ばらつき(浸炭ムラ)を抑制できる。
このように、ヒーター40は、ガス噴射口21よりワークWに直接吹き付けられる前に浸炭ガス30を予熱するガス予熱手段として機能する。
また、浸炭工程では、ヒーター40によって浸炭ガス30を予熱した後で、ガス噴射口21よりワークWに浸炭ガス30を直接吹き付ける。
なお、ヒーター40によって浸炭ガス30を予熱する温度は特に限定されるものでない。すなわち、ヒーター40は、浸炭ガス30がワークWに直接吹き付けられる前に少し(例えば1℃)でも予熱することができれば、常温の浸炭ガス30をワークWに直接吹き付けた場合と比較して、浸炭ばらつきを抑制できる。
ヒーター40は、浸炭ガス30が熱分解し易くなるという観点より、浸炭ガス30をより高い温度、例えば、ワークWの温度に近い温度まで予熱することが好ましい。
なお、ガス予熱手段は、ヒーター40に限定されるものでない。すなわち、ガス予熱手段は、ワークWに直接吹き付けられる前に浸炭ガス30を予熱することができればよく、例えば、熱交換器等であっても構わない。
次に、図9に示すように、加熱コイル10にガスノズル20を連結した場合の浸炭装置1について説明する。
具体的には、本例における浸炭装置1は、図9および図10に示すように、ガスノズル20・20・・・を加熱コイル10の外周面に連結する。ガスノズル20・20・・・は、内部通路11と連通される。
また、加熱コイル10の内周面には、複数の連通孔12・12・・・が形成される。複数の連通孔12・12・・・は、それぞれ加熱コイル10の内周面における周方向に等間隔に配置される。複数の連通孔12・12・・・は、内部通路11と連通するとともに外部に開口する。また、複数の連通孔12・12・・・は、ワークWに向けられた状態で形成される。
加熱コイル10は、所定の電源に接続される接続部13・13を有する。接続部13・13の間には、所定の間隔が空けられる。
加熱コイル10には、接続部13・13の間および加熱コイル10の円環状に形成される部分の一部に形成される絶縁部14を有する。絶縁部14は、電流が流れない(遮断する)所定の絶縁体によって構成される。
これにより接続部13・13のいずれか一方より交流電流が流されたとき、かかる交流電流は、加熱コイルの円環状に形成された部分に流された後で、接続部13・13のいずれか他方に流される。
このように構成される浸炭装置1でワークWに浸炭処理を行う場合の動作態様について説明する。
昇温工程では、前述のように加熱コイル10によってワークWが加熱される。
昇温工程の後で、浸炭工程が行われる。浸炭工程では、ガスノズル20・20・・・に連結されるガス供給源より浸炭ガス30が供給される(図9に示す矢印G参照)。かかる浸炭ガス30は、ガスノズル20・20・・・を通じて加熱コイル10の内部通路11に供給される。そして、浸炭ガス30は、内部通路11を通過した後で、複数の連通孔12・12・・・より内部通路11の外部へ噴射される。つまり、複数の連通孔12・12・・・よりワークWに、より詳細には浸炭必要部位W1に直接吹き付けられる。
このように、複数の連通孔12・12・・・は、図1、図2等に示した浸炭装置1におけるガス噴射口21に対応する。また、浸炭工程では、浸炭ガス30をガスノズル20・20・・・、加熱コイル10の順に通過させた後で、ワークWにガス噴射口21に対応する複数の連通孔12・12・・・より直接吹き付ける。
浸炭工程において、加熱コイル10は、ワークWの放射熱を受けて加熱される。また、加熱コイル10に交流電流が流されることによって、加熱コイル10が自己発熱する。従って、加熱コイル10の温度が上昇した状態となる。
つまり、浸炭工程では、加熱コイル10の温度の上昇によって、加熱コイル10に、より詳細には、加熱コイル10の接合部位(例えば加熱コイル10と接続部13・13との連結部分等)に負荷がかかる。
浸炭工程において、浸炭ガス30は、加熱コイル10の内部通路11を通過した後で、複数の連通孔12・12・・・よりワークWに直接吹き付けられる。従って、浸炭ガス30には、加熱コイル10の熱が伝導される。つまり、浸炭ガス30の温度は上昇する、換言すれば、浸炭ガス30は、加熱コイル10によって予熱される。
一方、加熱コイル10は、その熱が浸炭ガス30に伝導される。従って、加熱コイル10の温度は低下する、換言すれば、加熱コイル10は、浸炭ガス30によって冷却される。
このように浸炭装置1は、浸炭ガス30を予熱するための予熱手段として、加熱コイル10を用いることとなる。また、浸炭装置1は、加熱コイル10を冷却するための冷媒として浸炭ガス30を用いることとなる。
つまり、浸炭装置1は、図8に示すようなヒーター40等を具備することなく浸炭ガス30を予熱できる。また、浸炭装置1は、前述したような冷却水を貯溜するタンクを具備することなく加熱コイル10を冷却できる。
このように、ガス予熱手段は、加熱コイル10にガスノズル20・20・・・と連通する内部通路11を形成し、加熱コイル10に内部通路11と連通するとともに外部に開口する複数の連通孔12・12・・・を形成することにより構成される。
浸炭工程の後で、冷却工程が行われる。冷却工程では、前述したように、加熱された状態のワークWを窒素ガスによって冷却する。
これにより浸炭装置1は、ワークWの表面に炭素を浸透拡散させて、ワークWの表面層の炭素量を増加できる。つまり、ワークWに浸炭処理を行うことができる。
このため、浸炭装置1は、別途浸炭ガス30を予熱するための機構を具備することなく浸炭ガス30を予熱できる。つまり、ワークWに浸炭処理を行うために要するコストを低減できる。
また、浸炭装置1は、浸炭ばらつきを抑制できるとともに温度の上昇によって受ける加熱コイル10の負荷を低減できる。
なお、浸炭装置1は、連通孔12を加熱コイル10に一つ形成する構成であっても、複数形成する構成であっても構わない。また、浸炭装置1は、ガスノズル20を加熱コイル10に一つ連結する構成であっても、複数連結する構成であっても構わない。
なお、浸炭装置1は、ワークWの周囲を覆う囲いを具備する構成であっても構わない。前記囲いには、孔部が形成される。前記孔部には、ガスノズル20が連結される。
このように構成される浸炭装置1でワークWに浸炭処理を行うとき、ワークWに直接吹き付けられる浸炭ガス30は、ワークWおよび前記囲いの間に挟まれる範囲に存在する。従って、浸炭ガス30は、ワークWより離れにくくなる。つまり、ワークWの放射熱を受けやすくなる。このため、浸炭ガス30の温度が安定する。
これによれば、浸炭ガス30は、熱分解しやすくなる。このため、浸炭装置1は、ワークWの表面により多くの炭素を接触させることができる。つまり、浸炭ばらつきを抑制できる。
また、前記囲いに複数の孔部を形成して、かかる孔部にそれぞれガスノズル20を連結する構成であっても構わない。
なお、本実施形態の浸炭装置1は、ワークWの軸心方向に沿って往復移動可能な構成としたが、これに限定されるものでない。すなわち、ワークWの一部だけを浸炭させる場合、および移動することなくワークW全体を加熱するとともに浸炭ガス30を直接吹き付けることができる場合等においては、浸炭装置1は移動不能な構成であっても構わない。また、ワークWをその軸心方向に沿って往復移動可能な構成とした場合、浸炭装置1は移動不能な構成であっても構わない。
また、ワークWは、所定の支持装置によって回転可能となる構成としたが、これに限定されるものでない。すなわち、ワークWの一部だけを浸炭させる場合、およびガスノズル20がワークWの周方向に沿って回転可能な構成とした場合等においては、ワークWは回転不能であっても構わない。
1 浸炭装置
10 加熱コイル(加熱機構、加熱手段)
11 内部通路
20 ガスノズル(ガス供給機構、ガス供給手段)
21 ガス噴射口
30 浸炭ガス
L ガス噴射口とワークとの距離
W ワーク

Claims (8)

  1. ワークを加熱する加熱機構と、浸炭ガスを噴射するガス噴射口が形成されるガス供給機構とを具備する構成により、ワークに浸炭処理を行う浸炭方法であって、
    前記加熱機構によって加熱される前記ワークに、爆発限界未満の濃度の浸炭ガスを、前記ガス噴射口より直接吹き付ける浸炭工程を行う浸炭方法。
  2. 前記ガス噴射口と前記ワークとの距離をL(mm)とし、
    前記ワークに直接吹き付けられる前記浸炭ガスの流量(L/min)と前記ガス噴射口の断面積(mm)との商をVとしたとき、
    前記浸炭工程は、次式を満たす条件にて行われる請求項1に記載の浸炭方法。
    L<V×3.44+1.63
  3. 前記浸炭工程では、
    前記浸炭ガスを予熱した後で、前記ガス噴射口より前記ワークに前記浸炭ガスを直接吹き付ける請求項1または請求項2に記載の浸炭方法。
  4. 前記浸炭工程では、
    前記ガス供給機構により供給される前記浸炭ガスを、前記加熱機構を通過させた後で、前記ガス噴射口より前記ワークに直接吹き付ける請求項3に記載の浸炭方法。
  5. ワークを加熱する加熱手段と、浸炭ガスを噴射するガス噴射口が形成されるガス供給手段とを具備する構成により、ワークに浸炭処理を行う浸炭装置であって、
    前記ガス供給手段は、
    前記加熱手段によって加熱される前記ワークに、爆発限界未満の濃度の浸炭ガスを、前記ガス噴射口より直接吹き付ける浸炭装置。
  6. 前記ガス噴射口と前記ワークとの距離をL(mm)とし、
    前記ワークに直接吹き付けられる前記浸炭ガスの流量(L/min)と前記ガス噴射口の断面積(mm)との商をVとしたとき、
    前記ガス供給手段は、次式を満たす条件にて、前記ガス噴射口より前記ワークに前記浸炭ガスを直接吹き付ける請求項5に記載の浸炭装置。
    L<V×3.44+1.63
  7. 前記ガス噴射口より前記ワークに前記浸炭ガスを直接吹き付ける前に、前記浸炭ガスを予熱するガス予熱手段を具備する請求項5または請求項6に記載の浸炭装置。
  8. 前記ガス予熱手段は、
    前記加熱手段に前記ガス供給手段と連通する内部通路を形成し、
    前記加熱手段に前記内部通路と連通するとともに前記ガス噴射口に対応する連通孔を形成することにより構成される請求項7に記載の浸炭装置。
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