JP2011022599A - 演奏情報再生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動演奏ピアノの再生制御において、軌道再現の忠実性と再生動作の安定性の何れの性能も適切に発揮することができるようにする。
【解決手段】自動演奏ピアノは、鍵1と鍵1に連動するアクション機構2とアクション機構2に連動して弦4を打弦するハンマ3からなる機械的な発音機構と、再生すべき演奏情報に基づき駆動されるソレノイド6を有し、該ソレノイド6の駆動は再現すべき鍵の軌道データとフィードバック信号(キーセンサの出力)に基づきサーボ制御される。演奏情報に基づき弱打打鍵及び連打打鍵の少なくともいずれか一方を検出し、弱打のベロシティ値の底上げ、又はゲインを小さくするよう修正を行い、また、連打の離鍵タイミング、離鍵速度、押鍵速度の少なくともいずれか1つを修正する。
【選択図】図1

Description

この発明は、演奏情報に基づき駆動される機械的な発音機構を有する演奏情報再生装置に関する。
周知の通り、自動演奏ピアノは、自動演奏機能(ピアノ演奏を記録する録音機能/演奏情報に基づく演奏の再生機能)を備えたアコースティックピアノである。前記録音機能によって記録される演奏情報は、当該ピアノにおいて行われた演奏操作(鍵やペダルの動き)を記録したものである。演奏情報の再生は、該演奏情報に基づき鍵やペダルを機械的に動かすことで、演奏操作を再現し、アコースティクなピアノ演奏音を奏でる。前記ピアノ演奏音の発音動作(打弦動作)の手順は次の通りである:駆動すべき鍵に対応して設けられたソレノイドの励磁により当該鍵が打鍵駆動され、該鍵の打鍵駆動に応じて対応するアクション機構が作動し、該アクション機構の作動に応じてハンマが対応する弦を打弦する。ハンマによる打弦の強弱は、鍵の打鍵速度に対応しており、該鍵の打鍵速度はソレノイドへの供給電流に対応している。従って、ソレノイドへの給電量の制御により、打弦動作の強弱、すなわち、発音される楽音の強弱が制御される。
上記の自動演奏機能に関する処理は、DSPを含んで構成されるコントロールユニットが担う。コントロールユニットは、上述の録音機能、再生機能のほかにも、再生時の音量変更や、テンポ変更、移調の調節、メトロノームなど各種機能を備えており、ユーザは該各種機能を該コントロールユニットから操作できる。
この種の自動演奏ピアノとして、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。前記特許文献1に記載の自動演奏ピアノにおける演奏情報の再生制御では、再生すべき演奏情報に基づき、鍵の打鍵動作(この明細書において、打鍵動作は押鍵動作と離鍵動作とからなる動作である)を再現するための軌道データを生成すると共に、ソレノイドのプランジャの速度を検出するプランジャセンサの出力信号をフィードバック信号として取得し、該軌道データと該フィードバック信号に基づきソレノイドの駆動をサーボ制御することで、演奏情報が表す打鍵軌道を、演奏の微妙なニュアンスなどを含めて忠実に再現するようにしている。
ところで、従来の自動演奏ピアノでは、再生機能に関して、演奏の再現精度(忠実性)を高めると、再生制御の難しい再生動作が不安定になることがあった。例えば、極めて弱い力のでの打鍵(弱打打鍵)を、その軌道に忠実に再現しようとすると、ハンマが打弦できなかったり、打弦速度が微弱すぎて音が聞こえない場合があるなどの不具合があった。また、比較的押鍵駆動の周期が短く、ストローク幅が浅い連打打鍵を、その軌道に忠実に再現しようとすると、鍵の戻り(戻しストロークの幅)が不十分でジャックが戻らないうちに後続の打鍵(押鍵)が開始されてしまいその後の打弦動作が行えなくなったり、或いは、鍵の押し込み量(押しストローク幅)が不十分なためにハンマに適切な速度を与えることができずに弱い打弦となったり、打弦タイミングが遅れたりするなどの不具合が生じる恐れがあった。
上記のような再生制御の難しい軌道の再生について、その再生動作を安定せしめるべく、以下のような付加的制御を行うことが考案されていた。すなわち、所定の強さ以下の弱打打鍵の再生については、或る下限値まで打鍵の強さの底上げを行う。また、連打打鍵については、離鍵動作と後続する押鍵動作の間の時間を十分に確保すべく対処する:例えば、(1)離鍵タイミングを早める(2)離鍵速度を速くする(3)押鍵速度を速くする、などである。しかし、これらの再生動作を安定させるための付加的制御を行うと、軌道再現の忠実性が損なわれてしまい、ピアノ演奏や音色が不自然になったり、演奏の抑揚が平板になったりするのどの不都合があった。
すなわち、従来の自動演奏ピアノの再生制御では、演奏の再現精度(忠実性)を高めた場合に生じる不都合と、再生動作の安定性を高めた場合に生じる不都合と、双方の兼ね合いを図りつつ、忠実性と安定性の何れかの性能を妥協しなければならなかった。
特開平7−175471号公報
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、再生制御における軌道再現の忠実性と再生動作の安定性の何れの性能も適切に発揮することができる演奏情報再生装置を提供することを目的とする。
この発明は、機械的な発音動作に基づき楽音を発音する発音機構と、再生すべき楽音に対応する打鍵演奏を表す演奏情報であって、ベロシティ値を少なくとも含む演奏情報を供給する供給手段と、前記演奏情報に基づき前記発音機構を駆動する駆動手段と、前記演奏情報に基づき、前記発音機構の発音動作のうち弱打動作に対応する演奏情報及び前記発音機構の発音動作のうち連打動作に対応する演奏情報の少なくともいずれか一方を検出する動作検出手段と、前記動作検出手段により検出された弱打動作に対応する演奏情報のベロシティ値について、少なくとも下限値を底上げすることでその上限値と下限値の幅が狭くなるよう当該演奏情報を修正して、修正後の演奏情報に基づいて前記駆動手段に発音機構を駆動させる制御、及び、前記駆動手段により発音機構を駆動するときに当該演奏情報に対する発音機構の発音動作のゲインを小さくするよう修正することで、修正後のゲインを用いて前記駆動手段に発音機構を駆動させる制御の少なくともいずれか一方の制御を行い、また、前記動作検出手段により検出された連打動作に対応する演奏情報について、当該演奏情報に基づく離鍵タイミングを遅らせる修正、当該演奏情報に基づく離鍵速度を速くする修正、及び、当該演奏情報に基づく押鍵速度を速くする修正の少なくともいずれか1つの修正して、修正後の演奏情報に基づいて前記駆動手段に発音機構を駆動させる制御を行う制御手段を備えることを特徴とする演奏情報再生装置である。
また、この発明に係る前記演奏情報再生装置は、前記演奏情報に基づいて前記楽音を前記発音機構の発音動作により再現するための再生動作データを生成する手段を更に備え、前記制御手段が、前記演奏情報の修正に代えて、前記再生動作データの修正を行うことを特徴とする。
また、この発明に係る前記演奏情報再生装置において、前記動作検出手段が、前記発音機構の発音動作として再生困難な特定の動作に対応する演奏情報又は再生動作データを検出するものあり、前記制御手段が、前記動作検出手段により検出された再生困難な特定の動作に対応する演奏情報又は再生動作データについて前記修正を行い、他方、前記再生困難な特定の動作に対応する演奏情報又は再生動作データが検出されない場合には、前記修正を行わないことを特徴とする。
また、この発明は、上記に記載の演奏情報再生装置と、鍵盤とを備え、該鍵盤の操作に応じて、前記発音機構を発音動作させるようにした鍵盤楽器として構成及び実施することができる。
また、この発明は、上記に記載の演奏情報再生装置と、鍵盤とを備え、前記駆動手段により該鍵盤を打鍵演奏し、該鍵盤の打鍵演奏に応じて前記発音機構を発音動作させるようにした自動演奏ピアノとして構成及び実施することができる。
この発明によれば、演奏情報に基づき、発音機構の発音動作のうち弱打動作に対応する演奏情報及び発音機構の発音動作のうち連打動作に対応する演奏情報の少なくともいずれか一方を検出し、弱打動作に対応する演奏情報のベロシティ値について、少なくとも下限値を底上げすることでその上限値と下限値の幅が狭くなるよう当該演奏情報を修正して、修正後の演奏情報に基づいて駆動手段に発音機構を駆動させる制御、及び、駆動手段により発音機構を駆動するときに当該演奏情報に対する発音機構の発音動作のゲインを小さくするよう修正することで、修正後のゲインを用いて前記駆動手段に発音機構を駆動させる制御の少なくともいずれか一方の制御を行うことで、弱打動作を安定させることができる。また、連打動作に対応する演奏情報について、当該演奏情報に基づく離鍵タイミングを遅らせる修正、当該演奏情報に基づく離鍵速度を速くする修正、及び、当該演奏情報に基づく押鍵速度を速くする修正の少なくともいずれか1つの修正して、修正後の演奏情報に基づいて前記駆動手段に発音機構を駆動させる制御を行うことで、連打動作を安定させることができる。弱打動作および連打動作のいずれにも該当しない演奏情報については、制御手段の修正を行わずに再生する。従って、演奏情報を再現の忠実性と再生動作の安定性の何れの再生性能も適切に発揮できるという優れた効果を奏する。
この発明の一実施例に係る自動演奏ピアノの全体構成を示す図。 同実施例に係る自動演奏ピアノにおける電気的ハードウェア構成を示すブロック図。 (a)は同実施例に係る操作パネルの構成例、(b)は同実施例に係る生成モードの一覧表、(c)は同実施例に係る再生モード規定変数のメモリ構成。 (a)は同実施例に係る自動演奏ピアノ電源投入時の処理手順の一例を示すフローチャート、(b)は同処理において起動する「モード受け入れタスク」の手順の一例を示すフローチャート。 (a)は同実施例に係る自動演奏ピアノにおける再生処理の概略手順を示すフローチャート、(b)は同再生処理においてに生成される再生動作データのフォーマットの一例を示す図。 同実施例に係る曲再生時のmode設定と付加処理の手順の一例を示すフローチャート。 自動演奏ピアノにおけるサーボ制御の制御構成を示すブロック図。
以下、添付図面を参照してこの発明の一実施例について説明する。一例として、この発明に係る演奏情報再生装置を自動演奏ピアノに適用した例を示す。
図1は、この実施例に係る自動演奏ピアノの概要構成図であり、機械的な発音機構の要部と共に、電気的制御系に関る機能ブロックの要部を抽出して示している。図1に示すように、自動演奏ピアノは、機械的な発音機構として、鍵1と、該鍵1の運動をハンマに伝達するためのアクション機構2と、対応する鍵1の運動に連動して打弦動作するハンマ3と、該ハンマ2によって打撃される弦4と、弦4の振動を止めるためのダンパ5とを含む。鍵1は、バランスピンPに貫通された位置を凡その支点として、上下揺動可能に支持されており、非押鍵時(外力を加えない状態)では図1において実線で示すレスト位置(ストローク量0mmの位置)にあり、打鍵操作(押鍵及び離鍵)に応じて、前記レスト位置からエンド位置(図において2点鎖線で示す位置:この実施例では前記レスト位置から10mm押し込んだ位置)の間で上下にストロークする。鍵1の後端下面側には、該鍵1を自動的に打鍵するための駆動手段(アクチュエータ)として、電磁ソレノイド6が具備されている。これらの構成は、一般的な自動演奏ピアノと概ね同様である。ピアノには、複数の鍵1(典型的には88鍵)が具わっており、上記各構成要素は88鍵の各々に対応して設けられている。
電磁ソレノイド6は、周知の通り、ヨーク内に配置されたコイルと、該コイル軸心内において双方向的に直線移動可能に挿入された棒状のプランジャを有し、該記プランジャの先端部が対応する鍵1の後端下面部に当接されるよう配置される。ソレノイド6が制御系から与えられた励磁電流に基づき駆動されると、該ソレノイド6の駆動に応じてプランジャが上方に変位して、対応する鍵1の後端を打撃する。このプランジャによる鍵1の突き上げ動作に応じて、該駆動されたソレノイド6に対応する鍵1が打鍵動作する。これにより、当該ピアノの機械的な発音機構が作動する。
また、自動演奏ピアノの各鍵1の下面側には、当該鍵1の動きを検出するためのキーセンサ7が配設される。キーセンサ7は、例えば、鍵1の動作ストロークの全工程について連続的な位置情報(アナログ信号)を出力可能な位置センサによって構成してよい。キーセンサ7の出力は、後述する記録制御部13並びにサーボ制御部12の双方に供給されており、演奏録音時の演奏情報の生成・記録処理と、演奏情報再生時のサーボ制御とに利用される。なお、キーセンサ7として適用可能な光学式位置センサの具体的な構成例については、例えば上記特許文献1に記載の構成等、従来から知られる適宜のセンサ構成を採用してよい。なお、キーセンサ7は、光学式の位置センサに限らず、その他適宜の形式のセンサによって構成されても差し支えない。また、キーセンサ7の検出する物理量は、位置に限らず、速度や加速度などその他の物理量であってもよい。
ハンマ3には、該ハンマ3による打弦速度及び打弦タイミングを検出するためのハンマセンサ8が設けられている。各ハンマセンサ8は、例えばハンマ3の運動に関する物理量(位置、速度或いは加速度等)の情報を出力可能な適宜のセンサ(例えば光学式センサなど)によって構成されてよい。この例では、ハンマセンサ8の出力は、後述する記録制御部13に供給され、演奏録音時の演奏情報の生成処理に際して利用される。なお、自動演奏ピアノのハンマセンサとして適用可能な各種センサの具体的な構成例については、例えば、特開2001−175262号公報等に記載されている。
また、図1において、再生前処理部10、モーション制御部11及びサーボ制御部12は演奏情報の再生処理に関るモジュールに相当し、また、演奏記録部13及び記録後処理部14は演奏録音処理に関るモジュールに相当する。演奏記録部13では、ハンマセンサ8やキーセンサ7から出力された検出信号に基づき演奏情報の生成・記録処理を行う。すなわち、キーセンサ7やハンマセンサ8の検出信号に基づき、ピアノ演奏者が行った演奏操作(打弦動作や打鍵動作など)に関する種々の情報を取得し、それに基づき前記演奏操作を表す演奏情報(例えば、MIDI形式のデータ)を生成する。生成された演奏情報は、記録後処理部14において適宜正規化処理された後に、例えば、適宜の記憶装置24(図2参照)に記録されうる。ここで前記正規化処理とは、ピアノの個体差を吸収するための処理であり、該種々の物理情報は、各ピアノにおけるセンサの位置や、構造上の違い、あるいは、機械的誤差によって固有の傾向を持つので、標準となるピアノを想定して、そのピアノにおける打弦時刻・打弦速度等に変換するの処理である。なお、再生処理の動作の説明は後述する。これら各モジュールが担う演算処理等の各種動作は、当該自動演奏ピアノにおける信号処理を担うコントロールユニットにおいてCPU20(後述図2参照)が実行するソフトウェアプログラムによって制御される。
再生前処理部10は、再生すべき楽音の演奏情報(例えばMIDIデータ)に対して適宜の正規化や単位合わせ等を行い、当該楽音を再生するための鍵1の打鍵軌道を生成する条件となるデータ(これを「再生動作データ」と呼ぶ)を生成する。また、モーション制御部は、前記生成した再生動作データに基づき、再現すべき打鍵軌道を指示するための軌道リファランスref(軌道目標値)を生成する。サーボ制御部12は前記軌道リファランスrefとキーセンサ7の出力信号に基づくフィードバック信号とを用いて、ソレノイド6をサーボ駆動するための制御信号uを生成し、該ソレノイド6の駆動をサーボ制御するモジュールである。なお、上記演奏情報に基づく軌道リファランス生成のアルゴリズムの詳細については、例えば上記特許文献1等の記載に詳しい。再生前処理部10、モーション制御部11及びサーボ制御部12による演奏情報の再生処理の動作の詳細については後述する。
図2は、図1に示す自動演奏ピアノの電気的なハードウェア構成の概略を示すブロック図である。図2に示すように、自動演奏ピアノは、CPU20、ROM21、フラッシュメモリ22、RAM23、記憶装置24、スイッチ操作検出回路25、PWM発生器26及びセンサ出力を取り込むインターフェース(I/O)27を含み、各装置間がデータ及びアドレスバス20Bを介して接続される。CPU20は、自動演奏ピアノの全体的な動作を制御するとともに、演奏情報の再生処理や打鍵操作に応じた演奏情報の記録(演奏録音)処理等の各種信号処理を実行する。CPU20が実行する各種処理の制御プログラムは、適宜のメモリ(ROM21、フラッシュメモリ22、RAM23など)内に記憶されていてよい。この実施例において、ROM21、フラッシュメモリ22、RAM23の各メモリには、後述する再生モード規定変数の値が格納され、該再生モード規定変数として格納された値に基づきピアノ演奏の再生モードが設定されるようになっている。
また、記憶装置24は、後述の演奏録音処理によって生成された演奏情報を書き込むことや、演奏情報再生時に使用する演奏情報の記憶しておくこと等に利用されるものであり、ハードディスク、フレキシブルディスク又はフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD‐ROM、CD‐RAM)、光磁気ディスク(MO)、ZIPディスク、DVD(Digital Versatile Disk)、半導体メモリ等、適宜の記憶媒体で構成してよい。
インターフェース(I/O)27はAD変換器を含み、キーセンサ7及びハンマセンサ8から出力される検出信号(アナログ信号)は、当該I/O27を介してディジタル信号に変換されてCPU20に取り込まれる。CPU20では所定のクロックタイミング毎に各センサの出力を取り込み、該取り込んだセンサ出力に基づき鍵1の打鍵操作に関する情報やハンマ3の打弦動作に関する情報を取得する処理を行っている。PWM発生器26は、後述する演奏情報再生処理時に生成される制御信号(ソレノイド駆動信号)を、PWM形式の電流値(以下PWM信号と略称)に変換し、ソレノイド6に励磁電流を供給する。なお、当該自動演奏ピアノには、この他にも、適宜の外部機器やインターネット等の通信ネットワークに接続するためめの通信インターフェース等が具備されてよい。
スイッチ操作検出回路25を介してスイッチ群を備える操作パネル28が接続されている。操作パネル28は、この実施例に係るピアノ演奏の再生モードを選択するためのスイッチ群を含む。図3(a)は、操作パネル28におけるピアノ演奏の再生モードを選択するためのスイッチ群の構成例を示す図である。操作パネル28は、例えばコントロールユニット本体の前面等、ユーザ操作に都合の良い場所に配置されてよい。同図(a)において、操作パネル28には、複数(図において18個)の押しボタン式スイッチ29が設けられている。図3(b)は、この実施例に係るピアノ演奏の再生モードの一覧表であり、演奏再生性能の異なる5つの再生モードが示されている。図3(b)の表には、各再生モードに夫々対応する固有の数値(モード値)1〜5と、各モードのモード名、及び、各モードにおける再生時の付加処理の内容とが示されている。
図3(b)において、最上段の再生モード(モード名「鋭敏」)が最も軌道再現性(忠実性)の高い再生モードであり下段に向かって、モード名「ナチュラル」、モード名「堅実」、モード名「無難」、モード名「安全」の順に、順次、再生動作の安定性の高い再生モードが示されており、モード名「鋭敏」にはモード値「1」、モード名「ナチュラル」にはモード値「2」、モード名「堅実」にはモード値「3」、モード名「無難」にはモード値「4」及びモード名「安全」にはモード値「5」が夫々割り当てられている。忠実性の高いモードでピアノ演奏の再生を行えば、演奏情報が表す打鍵動作をより正確に再現でき(反面、再生制御の難しい動作は不安定になる恐れがある)、安定性の高いモードでピアノ演奏の再生を行えば、再生制御の難しい動作であっても打弦ミス等を回避して、安定した再生動作が行える(反面、忠実性は相対的に損なわれる)。ユーザは、図3(a)に示す操作パネル28において上記5つの再生モードの中から任意のモードを選択でき、ピアノ自動演奏の用途、TPO、嗜好等に応じて最適なピアノ演奏を当該自動演奏ピアノに行わせることができる。
付加処理の内容について、図3(b)を参照して説明する。同図において、「弱打底上げ処理」、「連打対応処理」及び「音量調整処理」は、選択された再生モードに応じて、前記再生動作データを修正する付加処理である。
「弱打底上げ処理」は、再生動作データの速度情報(ベロシティ値)が所定の下限値未満の場合に、該速度情報を該所定の下限値に変更することで打鍵の強さの底上げを行い、再生制御の難しい弱打打鍵を修正する。すなわち、制御系は、演奏情報又は再生動作データに基づき、前記所定の下限値を閾値として、付加処理の対象となるべき弱打打鍵動作を検出し、該弱打打鍵として検出された弱打打鍵動作について上記の修正を行う。
「連打対応処理」では、離鍵タイミングや押鍵速度や離鍵速度の補正や、打鍵軌道のストローク幅(振幅)の拡大により、連打打鍵の再生難易度を軽減する。これら連打打鍵対応処理は、連打の離鍵‐押鍵動作間の時間を確保するための処理である。すなわち、制御系は、演奏情報又は再生動作データに基づき、例えば離鍵‐押鍵動作間の時間が所定時間に満たない連打打鍵動作や、比較的押鍵動作の周期が短く且つストローク幅が浅い連打打鍵動作等を、付加処理すべき連打打鍵として検出し、該検出された連打打鍵動作について上記の修正を行う。
また、「音量調整処理」では音量(ベロシティ値)を全体的に一律で引き下げる。この処理は無難モードと安全モードにのみ働く。
また、同図(b)において、「サーボゲインの補正」は、選択された再生モードに応じてサーボ制御のパラメータを補正することで、サーボ制御による発音動作の特性を修正する付加処理である。この実施例では、サーボゲイン値の補正の一例として、速度ゲイン値(後述図7を参照)を補正する例を示している。
各再生モードにおける付加処理の内容は図3(b)に示す通りである。すなわち、「鋭敏」モードでは何れの付加処理も行わずに、与えられた再生動作データをそのまま再生することになる。「ナチュラル」モードでは、「弱打底上げ処理」として、ベロシティ値(Velo)の下限値をVelo=16とし、また、「連打対応処理」として離鍵タイミングを早める。「堅実」モードでは、「弱打底上げ処理」として、ベロシティ値の下限値をVelo=20とし、また、「連打対応処理」として離鍵タイミングを早めることに加えて、離鍵速度を所定量速くする。また、「サーボゲインの補正」として、基本となる所定のゲイン値に補正値=0.8を乗算し、該乗算の結果の値(基本値*0.8)を速度ゲイン値とする。「無難」モードでは、「弱打底上げ処理」として、ベロシティ値の下限値をVelo=24とし、また、「連打対応処理」として、上記堅実モードでの処理に加えて押鍵速度も所定量速くすると共に、音量(ベロシティ値)を一律で−10下げる。また、「サーボゲインの補正」として、上記と同様に「基本値*0.8」を速度ゲイン値とする。「安全」モードでは、「弱打底上げ処理」として、ベロシティ値の下限値をVelo=32とし、また、「連打対応処理」として、上記無難モードでの処理に加えて連打ストロークの振幅をも所定量拡大すると共に、音量(ベロシティ値)を一律で−20下げる。また、基本となる所定のゲイン値に補正値=0.5を乗算し、該乗算の結果の値(基本値*0.5)を速度ゲイン値としている。
図3(a)の操作パネル28において、パネル上部に横並びに示された数字「0」〜「5」は前記モード値に対応しており、モード値「0」はモード選択無しに相当する。また、パネル左端の縦の並びには、再生制御に適用するモード値を規定する「再生モード規定変数B、C及びD」が示されている。再生モード規定変数は、再生モードの使用機会のパターンをユーザが選択するためのパラメータである。なお、後述する通り、再生モード規定変数「A」には、所定のモード値が予め格納されており、これをユーザが変更することはできない。このため、当該操作パネル28上には該変数「A」が表れていない。ユーザは、パネル28上において、各再生モード規定変数「B」、「C」及び「D」毎に、任意のモード値「0」〜「5」に対応するボタン29をオン操作する(押す)ことで、該操作したボタン29に対応するモード値「0」乃至「5」の何れかを各変数B〜Cに対して割り当てることができる。なお、操作パネル28は、各変数につきモード値「0」〜「5」の何れか1つのみが割り当てられるようになっている。図3(a)においては、各変数において割り当てられたモード値に対応するボタンが黒色で示されている。すなわち、同図においては、変数Bに対してモード値「0」、変数Cに対してモード値「3」、変数Bに対してモード値「4」が割り当てられている。
図3(c)は、再生モード規定変数のメモリ構成を説明するための図である。再生モード規定変数Aには、工場出荷時に割り当てられたモード値が格納されている。このモード値は常に「1」であり、ユーザはこれを変更できない。この変数Aのモード値はROM21(図2参照)に記憶されている。再生モード規定変数Bには、当該装置起動中に再生制御の基本設定となる再生モードのモード値が格納されている。この変数Bのモード値はフラッシュメモリ22(図2参照)に記憶され、装置の電源を切っても設定が保存される。なお、変数Bの初期値はモード値「0」である。再生モード規定変数Cには、或る1つの曲再生制御に限って適用される再生モードとなるモード値が格納される。この変数Cのモード値はRAM23(図2参照)に記憶される。なお、変数Cの初期値もモード値「0」である。再生モード規定変数Dには、或る1つの打鍵動作の再生中に限って適用される再生モードとなるモード値が格納される。この変数Dのモード値はRAM23(図2参照)に記憶される。なお、変数Dの初期値もモード値「0」である。なお、上記各変数B、C及びDに格納されるモード値は図3(a)の操作パネル28におけるユーザ設定に基づく値である。
演奏情報の再生制御の際には、再生に使用するモード値がRAM23内のレジスタ「mode」にセットされる。前記再生モード規定変数は、変数Aを最上位としてB、C、Dの順に序列が付いており、或る変数のモード値が「0」の場合は、上位の変数のモード値を使用するものとする。すなわち、制御系は、演奏情報の再生制御の際には、下位の変数Dから順次モード値を調べて、より下位の変数として格納されている有効なモード値(1乃至5)が優先的に前記レジスタ「mode」に格納され、使用するモード値として参照される。言い換えれば、モード値「0」は当該変数によるモード設定を無効にする値である。
操作パネル28の設定に基づき前記レジスタmodeにモード値をセットする際の処理手順の一例について、図4(a),(b)のフローチャートを参照して説明する。同図(a)のフローチャートは、当該自動演奏ピアノの立ち上げ時に起動する処理である。ステップS1において当該自動演奏ピアノの電源が投入されると、ステップS2ではフラッシュメモリ22(図2参照)に記憶されている再生モード規定変数Bのモード値を調べる。変数Bのモード値が0であれば(ステップS2のNO)、ステップS3において、上位の変数Aのモード値「1」をレジスタmodeにセットする。一方、変数Bのモード値が0以外であれば(ステップS2のYES)、変数Bに割り当てられているモード値1乃至5をレジスタmodeにセットする。そして、ステップS5において、次に述べるモード受け入れタスクを起動して、また、その他の処理を実行する(ステップS6)。図4(b)は前記ステップS5において起動するモード受け入れタスクの手順の一例を示すフローチャートである。このモード受け入れタスクは、操作パネル28におけるユーザの操作をレジスタmodeの設定に反映させる処理であって、当該装置で実行される他のタスクと並行して常時動作する処理である。ステップS7において、操作パネル28のボタン29の操作有無をスキャンして、ユーザ操作の受信を待つ。上述の通り、ユーザは操作パネル28でのボタン29の操作により、再生モード規定変数B〜Cに対してモード値0〜5の何れかを入力できる。ユーザによるボタン29の操作を受け付けると(ステップS7のYES)、ステップS8において、該操作されたボタンに対応する変数とモード値を認識し、ステップS9において、前記認識した再生モード規定変数に該認識したモード値を格納する。これにより、ユーザは、再生モード規定変数B〜Cに対して任意のモード値0〜5を割り当てることができる。
次に当該自動演奏ピアノにおける再生制御について説明する。
図5(a)は演奏情報の再生処理の手順の概略を示すフローチャートである。同図(a)のフローチャートに示す再生処理は、図1における再生前処理部10、モーションコントローラ11及びサーボコントローラ12における処理に相当する。この再生処理は、例えばコントロールユニットに具わる再生指示スイッチの操作に応じて開始する。ステップS10において、記憶装置24や、図示しないリアルタイム通信装置等から、再生すべき楽音の演奏情報(例えばMIDIデータ)を取得し、ステップS11において再生前処理(図1の再生前処理部10における処理)を行う。すなわち、取得した演奏情報(例えばMIDIデータ)に対して適宜の正規化や単位合わせ等を行い、鍵1の打鍵軌道を生成する条件となるデータ(再生動作データ)を生成する。前記単位合わせは、MIDI形式で与えられたデータを、例えばミリメートル単位やミリメートル毎秒単位等の記述単位に変換する処理である。前記再生動作データのデータフォーマットの一例を図5(b)に示す。再生動作データは、例えば時刻情報tと、位置情報x、速度情報(べロシティ値)v及びキーナンバKnから成る。
ステップS12において、前記生成した再生動作データに基づき、再現すべき打鍵軌道を指示するための軌道リファランスref(軌道目標値)を生成する。この処理は図1のモーション制御部11における処理に相当する。1つの軌道リファランスrefが示す1つの打鍵軌道は、1つの楽音の発生に対応する。ステップS13では、前記軌道リファランスrefとキーセンサ7の出力信号に基づくフィードバック信号とを用いて、ソレノイド6を駆動するための制御信号uを生成し、該制御信号uに基づく励磁電流(PWM信号)をソレノイド6に与えて、該ソレノイド6の駆動をサーボ制御する。次に述べるとおり、前記ステップS12のモーション制御及び前記ステップS13のサーボ制御の際に、再生時に適用されるモード(レジスタmode内の値)に応じた付加処理(図3(b)参照)が行われることになる。
図6は、上記図5(a)に示す再生処理時におけるレジスタmodeの設定及び該レジスタの設定値に基づく付加処理の手順の一例を示すフローチャートである。当該フローは、1つの楽音の再生(1つの打鍵動作)についての流れの手順を示している。
前記再生指示スイッチの操作等に応じて或る曲の再生が開始されると(ステップS20)、ステップS21において再生モード規定変数Dのモード値を調べて、該変数Dにモード値1〜5の何れかが入っていれば(変数D≠0)、ステップS22においてレジスタmodeに該変数Dに割り当てられたモード値をセットする。一方、変数D=0であれば(ステップS21のYES)、ステップS23において変数Cのモード値を調べる。該変数C≠0であれば、ステップS24においてレジスタmodeに該変数Cに割り当てられたモード値(1乃至5の何れか)をセットする。一方、変数C=0であれば(ステップS23のYES)、ステップS25において変数Bのモード値を調べる。該変数B≠0であれば、ステップS26においてレジスタmodeに該変数Bに割り当てられたモード値(1乃至5の何れか)をセットする。一方、変数B=0であれば(ステップS25のYES)、ステップS27において、変数Aのモード値をレジスタmodeにセットする。
ステップS28において、前記図5(a)のステップS11で生成された再生動作データを取得し、ステップS29において、前記再生動作データに対して現在レジスタmodeに設定されているモード(モード1乃至5の何れか)に応じた付加処理(図3(b)参照)を行い、ステップS30では、該付加処理を反映した軌道リファランスrefを生成する。これらステップS28〜S30の処理は、前記図5(a)のステップS12の処理(図1のモーション制御部11)に含まれる。
前記ステップS29において実行する付加処理は、再生動作データを修正する処理、すなわち「弱打底上げ処理」「連打対応処理」及び「音量調整処理」である。これら付加処理は、機械的な発音機構(図1参照)が再生困難な特定の打鍵動作(この例では、弱打打鍵と連打打鍵)の動作を安定させることを目的としている。制御系は、演奏情報又は再生動作データに基づき、機械的な発音機構が再生困難な特定の打鍵動作(弱打又は連打)を検出し、該検出された打鍵動作の再生において、当該付加処理を実施する。付加処理の内容は、図3(b)を参照して先述した通りである。
図6のステップS28〜S30においては、再生動作データに対して上記何れかの付加処理を施し後に、軌道リファランスrefを生成するので、該生成される軌道リファランスrefは、各再生モードが特徴とする演奏再生性能に応じて適宜修正されたデータ又は修正されないそのままのデータとなる。
そして、ステップS31では上記の付加処理により修正された軌道リファランスrefに基づき、ソレノイドの駆動のサーボ制御(図1のサーボ制御部12の処理)を行う。この実施例では、当該サーボ制御処理において、付加処理の1つであるサーボゲインの補正(図3(b)参照)を更に行う。サーボ制御の動作の詳細は後述図7は参照して説明する。当該打鍵動作が終了すると、ステップS32において再生モード規定変数Dのモード値を0(初期値)にリセットする。変数Dは前述の通り1打鍵動作の再生制御に限っての再生モードを規定する変数であるから、打鍵動作終了後にディフォルト値「0」に戻し、変数Dによるモード設定を無効にしておく。上記ステップS21〜S32までの処理を、1曲の再生が終了するまで繰り返す(ステップS33のNO)。1曲の再生が終了したら(ステップS33のYES)、ステップS34において再生モード規定変数Cのモード値を0(初期値)にリセットする。変数Cは前述の通り1曲の再生制御に限っての再生モードを規定する変数であるから、曲再生終了後にディフォルト値「0」に戻し、変数Cによるモード設定を無効にしておく。
図7を参照して、この実施例に係るサーボ制御の動作について説明する。
図7は、当該自動演奏ピアノにおけるサーボ制御の制御構成を機能的に示すブロック図である。図5において、フィードバックループにおける各種演算処理(図1のサーボコントローラ12における処理)は、CPU20が実行するソフトウェアプログラムによって実施される。また、図5において、既述の要素については、同一の符号を付与して適宜説明を省略する。なお、同図においてAD変換部27は図2におけるインターフェース(I/O)に相当する。
目標値生成部30は、前記モーション制御部11で生成した軌道リファランスrefに基づき、或る時刻tにおける位置目標値rx及び速度目標値rvを生成している。該生成された目標値(rv及びrx)は、所定のサンプル時間(例えば1ms毎)に従って後段に並行に送出される。速度目標値rvは、或る時刻における打鍵速度を例えばミリメートル毎秒単位で記述したデータであり、位置目標値rxは該或る時刻における鍵の位置を表すデータである。
また、キーセンサ7の出力ykはAD変換器27を介してディジタル変換されたのち、正規化部31にて適宜の正規化処理(キーセンサ毎の個体差の補正など)が施され、該正規化後の信号は位置成分のフィードバック信号yxとして比較部32に負帰還入力される。また、速度生成部33は、前記正規化後の信号を適宜微分演算(例えば多項式適合等)することにより、鍵1の速度情報を算出する。算出方法の具体的一例として、ある任意のサンプリング時点について前後7点での位置情報(キーセンサ出力)を使用した2次曲線適合によって鍵1の速度情報を算出しうる。速度生成部33の出力は、速度成分のフィードバック信号yvとして速度比較部34へ負帰還入力される。
位置比較部32において、位置目標値rxと位置成分のフィードバック信号yxの偏差exが出力され、該偏差exは位置増幅部35において所定の位置ゲイン値kxによって増幅され、その結果が位置制御信号uxとして出力される。前記位置ゲイン値kxは実験等によって求めた所定の固定値である。位置成分増幅部35から出力される位置制御信号uxは、ソレノイド6に供給する励磁電流における位置成分の使用比率(パーセンテージ)に換算せられた値をとる。すなわち、位置成分増幅部35では、位置偏差exが表す位置成分の制御量を、ミリメートル単位による表現から、後段のPWM発生器におけるデューティ比の増減値)に対応する値に単位変換している。
速度比較部34において、速度目標値rvと速度成分のフィードバック信号yvの偏差evが出力され、該偏差evは速度増幅部36において所定の速度ゲイン値kvによって増幅され、その結果が速度制御信号uvとして出力される。なお、速度制御信号uvは、ソレノイド6に供給する励磁電流における速度成分の使用比率に換算せられた値をとる。すなわち、速度成分増幅部36においても、位置成分増幅部35と同種の単位変換が為される。そして、加算器38において位置制御信号uxと速度制御信号uvが一本化して、制御信号uを生成し、PWM発生器26において該制御信号uに基づくPWM信号ui(励磁電流)を発生し、該PWM信号uiに従ってソレノイド6が駆動されることで、再生すべき楽音の演奏情報に基づく打鍵動作が行われる。
図7において、ゲイン補正指示部37は、再生モードに応じて、速度ゲイン値の補正値Ckvを出力するモジュールである。ゲイン補正指示部37には、レジスタmodeの設定値(モード値1乃至5)が供給されており、該供給されたモード値に応じたゲイン値Kvの補正値Ckvが例えばテーブル参照、或いは、適宜の演算等によって出力される。該補正値Ckvにより速度増幅部36の速度ゲイン値kvを補正することで、サーボ制御による発音動作の特性を修正している。各再生モードに応じた速度ゲイン値の補正の内容の一例は図3(b)を参照して先述した通りである。速度増幅部36では、再生モードに応じて適宜補正された速度ゲイン値kvで偏差evを増幅するので、各再生モードの特長が速度サーボの制御信号に反映される。
以上説明した通り、この発明に係る実施例によれば、自動演奏ピアノにおける演奏情報の再生制御において、演奏再生性能の異なる複数の再生モード(上記実施例では、「鋭敏」、「ナチュラル」、「堅実」、「無難」及び「安全」)から、ユーザが任意に再生モードを選択することができる。これにより、ユーザの嗜好や、自動演奏ピアノの用途、TPO等に応じて、打鍵軌道の再現の忠実性に重点を置くのか、それとも発音動作の安定性を重視するのかという観点から、最も適切な再生制御を自動演奏ピアノに行わせることができるようになり、再生制御における軌道再現の忠実性と再生動作の安定性の何れの性能も十全に発揮することができるようになるという優れた効果を奏する。忠実性の高い再生モードによる自動演奏は、例えば、ピアノの教習など鍵の正確な動作を再現したいときなどに好適であり、安定性の高い再生モードは、ピアノ演奏をBGM的に流す場合などに適している。
なお、上記実施例において、モード値1〜5の各再生モードや再生モード規定変数A〜Dの各パラメータは、必ずしも全て必要ではなく、適宜選択したものだけを使用するようにしてもよい。また、上記の例では再生モード規定変数A〜Dにより、再生モードの使用機会のパターン(曲毎や打鍵毎など)をユーザが選択できるものとしたが、このパラメータを用いずに、単に再生モードのみを選択する構成であってもよい。また、各再生モードにおける付加処理について、全ての処理内容が一律に必要なわけではなく各再生モード毎に適宜処理内容を選択したり、組み合わせてもよい。また、各処理内容の制御内容や、閾値設定等については、上述したものは一例であって、これに限定されるものではない。また、付加処理の対象となるべき弱打打鍵や連打打鍵として検出されない通常の打鍵動作については、いずれの付加処理がなされないよう構成してもよい。
なお、上述の実施例では、5種類の再生モードを示したが、これに限らず、少なくとも2段階以上の再生モードが選択できる構成であればよい。また、上記実施例では、忠実性と安定性の観点から再生モードの分類を行ったが、再生モードの分類の観点も、上記に限定されない。また、モード設定の方法も上述の実施例に限定されない。また、上記実施例では、モード設定を図3(a)のような専用の物理的操作パネルから行う例を示した。モード設定用の操作パネルの構成やデザインは図示の例に限定されるものではない。また、物理的操作パネルに限らずLCD等のディスプレイ上の表示画面からこれを行えるように構成しても良い。
また、上記実施例において、図6のステップS29の付加処理は、モーション制御部において、軌道データの元となる再生動作データに対して行われるものとしたが、これに限らず、例えば再生前処理の段階で、演奏情報に付加処理を加える構成であってもよい。
また、上記実施例では、演奏の再生制御は、MIDI形式の演奏情報に基づき再生動作データを作成し、該作成した再生動作データに基づき軌道リファランスを生成し、該生成した軌道リファランスを用いてソレノイドの駆動を行う例を示したが、再生制御に用いるデータは、MIDIデータであってもよい。この場合、付加処理における弱打打鍵対応処理や連打打鍵対応処理、音量調整処理などは、MIDIデータに対して行われてよい。
また、上記図7の例では、付加処理としてのサーボゲイン補正の対象を速度ゲイン値kvとしたが、これに限らず、位置ゲイン値kxを補正するように構成してもよいし、また、双方のゲイン値を補正してもよい。また、該図7のサーボ制御構成では、位置成分のフィードバックループと速度成分のフィードバックループとから成るサーボ制御の構成について述べたが、更に、加速度成分のフィードバックループを加えてもよいし、また、位置、速度及び加速度の各成分のフィードバックループを適宜の組み合わせたサーボ構成であってもよい。また、速度成分のフィードバックループのみのサーボ構成であってもよいし、位置成分のフィードバックループのみのサーボ構成であってもよい。何れの場合においても、ゲイン値の補正は何れの事象を対象としてもよい。また、ソレノイド6のプランジャに該プランジャの動きを検出するプランジャセンサを設け、該プランジャセンサの出力をフィードバック信号として利用する構成であってもよいし、キーセンサ7とプランジャセンサの出力を組み合わせた構成であってもよい。また、サーボ制御部における前記付加処理としては、サーボゲイン値の補正処理に限らない。例えば、制御信号uに対するバイアス電流として各再生モードに応じた値を与える形態など、その他の付加処理の形態も可能である。
また、この発明に係る自動演奏ピアノの形態は、グランドピアノ、アップライトピアノいずれであってもよいし、自動演奏ピアノに限らず消音ピアノや消音自動ピアノなどであってもよい。また、ピアノ類に限らず、機械的な発音機構と演奏情報に基づき該発音機構を電気的に駆動する機構とを有する楽器においては、この発明に係る再生駆動装置を適用しうる。例えば、鍵とアクション機構とハンマからなる発音機構を有し、該発音機構の動作に基づき電子音源による発音を制御する電子型ピアノ等においても、この発明を適用しうる。
1 鍵、2 アクション機構、3 ハンマ、4 弦、5 ダンパ、6 ソレノイド、7 キーセンサ、8 ハンマセンサ、10 再生前処理部、11 モーション制御部、12 サーボ制御部、28 操作パネル、29 ボタン、37 ゲイン補正指示部

Claims (5)

  1. 機械的な発音動作に基づき楽音を発音する発音機構と、
    再生すべき楽音に対応する打鍵演奏を表す演奏情報であって、ベロシティ値を少なくとも含む演奏情報を供給する供給手段と、
    前記演奏情報に基づき前記発音機構を駆動する駆動手段と、
    前記演奏情報に基づき、前記発音機構の発音動作のうち弱打動作に対応する演奏情報及び前記発音機構の発音動作のうち連打動作に対応する演奏情報の少なくともいずれか一方を検出する動作検出手段と、
    前記動作検出手段により検出された弱打動作に対応する演奏情報のベロシティ値について、少なくとも下限値を底上げすることでその上限値と下限値の幅が狭くなるよう当該演奏情報を修正して、修正後の演奏情報に基づいて前記駆動手段に発音機構を駆動させる制御、及び、前記駆動手段により発音機構を駆動するときに当該演奏情報に対する発音機構の発音動作のゲインを小さくするよう修正することで、修正後のゲインを用いて前記駆動手段に発音機構を駆動させる制御の少なくともいずれか一方の制御を行い、また、前記動作検出手段により検出された連打動作に対応する演奏情報について、当該演奏情報に基づく離鍵タイミングを遅らせる修正、当該演奏情報に基づく離鍵速度を速くする修正、及び、当該演奏情報に基づく押鍵速度を速くする修正の少なくともいずれか1つの修正して、修正後の演奏情報に基づいて前記駆動手段に発音機構を駆動させる制御を行う制御手段
    を備えることを特徴とする演奏情報再生装置。
  2. 前記演奏情報に基づいて前記楽音を前記発音機構の発音動作により再現するための再生動作データを生成する手段を更に備え、
    前記制御手段が、前記演奏情報の修正に代えて、前記再生動作データの修正を行うことを特徴とする請求項1に記載の演奏情報再生装置。
  3. 前記動作検出手段が、前記発音機構の発音動作として再生困難な特定の動作に対応する演奏情報又は再生動作データを検出するものあり、
    前記制御手段が、前記動作検出手段により検出された再生困難な特定の動作に対応する演奏情報又は再生動作データについて前記修正を行い、他方、前記再生困難な特定の動作に対応する演奏情報又は再生動作データが検出されない場合には、前記修正を行わないことを特徴とする請求項1又は2に記載の演奏情報再生装置。
  4. 前記請求項1乃至3の何れかに記載の演奏情報再生装置と、鍵盤とを備え、該鍵盤の操作に応じて、前記発音機構を発音動作させるようにした鍵盤楽器。
  5. 前記請求項1乃至3の何れかに記載の演奏情報再生装置と、鍵盤とを備え、前記駆動手段により該鍵盤を打鍵演奏し、該鍵盤の打鍵演奏に応じて前記発音機構を発音動作させるようにした自動演奏ピアノ。
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