JP2011021490A - 回転体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外周に沿って環状に設けられた動翼嵌合溝11と外周に設けられて動翼嵌合溝11に連通する動翼導入孔12とを有するローターディスク10と、前記外周に連続的に複数設けられ、動翼嵌合溝11に嵌合した翼根21とローターディスク10の外方側に突出した羽根本体23とを有する動翼20と、動翼嵌合溝11に一部が嵌合する翼根21とローターディスク10の外方側に突出した羽根本体23とをそれぞれ有し、互いに隣接して動翼導入孔12を閉塞する二つの特殊動翼20A,20Bと、動翼20間に挿入された張りキー30とを備える回転体1であって、張りキー30は、周方向の厚さ寸法が径方向内方側の一端から径方向外方側の他端に向かって漸次大きくなる挿入部を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
このような構造であれば、特殊動翼の翼根の一部が動翼嵌合溝と嵌合するために、動翼及び特殊動翼を強固に定着させることができる。
しかしながら、上記構造においては、高速回転によって張りキーが離脱しないように、張りキーの定着性を向上させなければならないという問題がある。
すなわち、本発明に係る回転体は、外周に沿って環状に設けられた動翼嵌合溝と外周に設けられて該動翼嵌合溝に連通する動翼導入孔とを有するローターディスクと、前記外周に連続的に複数設けられ、前記動翼嵌合溝に嵌合した翼根と前記ローターディスクの外方側に突出した羽根本体とを有する動翼と、前記動翼嵌合溝に一部が嵌合する翼根と前記ローターディスクの外方側に突出した羽根本体とをそれぞれ有し、互いに隣接して前記動翼導入孔を閉塞する二つの特殊動翼と、前記動翼間に挿入された張りキーとを備える回転体であって、前記張りキーは、前記周方向の厚さ寸法が径方向内方側の一端から径方向外方側の他端に向かって漸次大きくなる挿入部を備えることを特徴とする。
この構成によれば、挿入部が翼根の端面と全面で接触する接触面を有するので、張りキーと動翼との間に生じる摩擦力をより大きくすることができる。
R>Nb×tb
R<Nb×tb+Nk×tk
この構成によれば、組み立てた後の回転体において、張りキーと動翼と特殊動翼とがそれぞれ押圧されることとなり、この押圧力によって張りキーと動翼と特殊動翼との間に生じる摩擦力をさらに大きくすることができる。
また、動翼及び特殊動翼の加工公差を大きく許容することができる。
この構成によれば、止めピンの端部が潰されて固定されているので、止めピンが容易に脱落することがない。これにより、止めピンが脱落して動翼と張りキーと特殊動翼とが周方向に位置ずれしたり、径方向に離脱したりするのが防止され、張りキーの定着性を向上させることができる。
この構成によれば、動翼と特殊動翼と張りキーとが、線膨張係数が同じ材料で形成されているので、動翼と特殊動翼と張りキーの定着性をさらに向上することが可能である。換言すれば、回転体を比較的に高温下で使用する場合において、熱伸び量の差によって生じ得る動翼と張りキーとの弛みや熱応力による破損を抑止して張りキーと動翼と特殊動翼の定着性を向上させることができる。
この構成によれば、張りキーが嵌入したガイド溝が形成されているので、回転体の組立の際に、張りキーを挿し入れる位置を容易に判別することができる。
この構成によれば、ベースプレートが張りキーの延出部の一部を覆う圧潰部を有するので、この圧潰部が張りキーの径方向への離脱を抑止する。すなわち、圧潰部への許容せん断荷重の分だけ張りキーに生じる遠心力を大きくすることができる。これにより、張りキーの定着性を大きく向上させることができる。
この構成によれば、延出部に面取り部を有すると共に、圧潰部が面取り部を埋めているので、せん断面積を大きく確保することができ、圧潰部の許容せん断荷重を大きくすることができる。
図1は、本発明の実施に係る蒸気タービンのローターRを示す模式図であり、図2は、図1における要部Iの軸方向の直交断面図である。
図1に示すように、このローターRは、ローターシャフトSの外周に回転体1が複数設けられる構成とされており、これら回転体1と共にローターシャフトSが回転するようになっている。
図2に示すように、回転体1は、ローターディスク10と、複数の動翼20と、二つの特殊動翼20A,20Bと、複数の張りキー30と、止めピン40とを備えている。
図3に示すように、ローターディスク10は、ローターシャフトSとは別体に形成された円盤部材であり、ローターRに焼き嵌めされている。
このローターディスク10は、動翼嵌合溝11と動翼導入孔12と挿通孔13とを有している。
この動翼導入孔12は、動翼20の翼根(後述する)を一つのみ導入可能とされており、開口から溝底に向かって溝幅寸法が略一定に形成されている。また、溝底が動翼嵌合溝11の溝底と連続しており、溝深さ寸法(径方向寸法)が動翼嵌合溝11と同大に形成されている。
図5,図6に示すように、動翼20及び特殊動翼20A,20Bは、それぞれ翼根21と、ベースプレート22と、羽根本体23とを有している。
この翼根21は、奥行き寸法(ローターディスク10の周方向の寸法)が動翼導入孔12の周方向の寸法よりも僅かに小さくされている。
このベースプレート22は、軸方向に広がってローターディスク10の外周の大部分を覆っている。また、張りキー30と隣接する動翼20のベースプレート22は、張りキー30の一部を覆う圧潰部22aを有している(図8参照)。なお、この圧潰部22aは、ベースプレート22の一部がカシメられて形成されたものである。
なお、羽根本体23の上端面には、シュウラド50(図2参照)が固定されるテノン24が形成されている。
このような特殊動翼20A,20Bの翼根21は、図2及び図5に示すように、互いに隣接する逆T字状の端面25a,25bに幅方向(ローターディスク10の軸方向)に延在する半円溝21d,21eを有している。そして、上記逆T字状の隣接面が密着することにより半円溝21d,21eが合わさって、ローターディスク10の挿通孔13(13a,13b)に連通する貫通孔21cを構成している。
図7に示すように、張りキー30(30A〜30E)は、挿入部31と、延出部32とを有している。
また、この挿入部31は、ローターディスク10の周方向の厚さ寸法が、一端31aから他端31bに向かって漸次大きくなるテーパ状とされており、一端31a側から動翼20間に挿入されている。
このような挿入部31は、ローターディスク10の軸方向の幅寸法が、動翼嵌合溝11の溝幅寸法と略同大に形成されている。
このような構成により、挿入部31の周方向の接触面31c,31dは、隣接する動翼20の翼根21の端面25b,25aと全面で接触している。
延出部32は、図7に示すように、挿入部31の他端31bから軸方向の両側に延出してなっている。この延出部32は、挿入部31と同様に周方向に湾曲しており、周方向の一方の端面32dが凹状に湾曲して動翼20の端面25a(ベースプレート22部分)に密着しており、他方の端面32cが凸状に湾曲して動翼20の端面25b(ベースプレート22部分)に対して密着している。
この面取り部32aは、隣接する動翼20のベースプレート22の圧潰部22aによって埋められている。
このような面取り部32aの面取り角度αは、50〜70°とするのが望ましい。面取角度αを50°以上とするのは、50°未満の場合には、せん断面積22bが小さくなり過ぎて高速回転時の遠心力に耐えられず、破断する恐れがあるからである。また、面取角度αを70°以下とするのは、70°より大きくすると張りキー30に生じる遠心力が圧潰部22aに十分に伝達されないためである。
このような張りキー30は、動翼20と同材質で形成されており、線膨張係数が同一となっている。本実施形態では、耐熱鋼を用いているが、他の材質(例えば、ステンレス鋼等)を用いることもできる。
R>Nb×tb・・・・・・・・・式(1)
R<Nb×tb+Nk×tk・・・式(2)
なお、本実施形態では、tk=tb/6とされている。
次に、動翼導入孔12に導入した動翼20を周方向にスライドさせて翼根21を動翼嵌合溝11に嵌合させ、図2に示すように、この動翼20をさらに周方向にスライドさせる。この作業を繰り返して、動翼嵌合溝11の周方向のスペースを動翼20の翼根21で埋めて複数の動翼20を充填する。
次に、動翼導入孔12に特殊動翼20Aを導入する。
次に、これら二つの張りキー30A,30Bに隣接する各動翼20のベースプレート22をカシメて、張りキー30A,30Bの面取り部32aを圧潰部22aで埋めることにより、張りキー30A,30Bをそれぞれ固定する。この際、優弧AL間に属する所定数の動翼20は張りキー30A,30Bに押圧されることにより、それぞれ隣接する動翼20と密着する。一方、劣弧AS間に属する動翼20及び特殊動翼20A,20Bの間には、三つの張りキー30C〜30Eよりも僅かに小さいスペースが形成される。
最後に、図2に示すように、テノン24をシュウラド50に貫通させて、このテノン24をカシメることにより、動翼20を数組に分けて綴り、回転体1の組立を終了する。
まず、複数の羽根本体23の間を高圧蒸気が通過することにより、回転体1に回転力が与えられる。この回転力により、張りキー30に遠心力が生じる。この遠心力は、張りキー30と隣接する二つの動翼20との摩擦力、及び、四つの圧潰部22aとに生じるせん断荷重とで釣り合う。
また、四つの圧潰部22aは、面取り部32aを埋めることで、せん断面積22bを大きく確保しており、許容せん断荷重が大きくなっている。
すなわち、回転体1が高速回転することにより、張りキー30に比較的大きな遠心力が作用したとしても、上記大きくされた摩擦力と許容せん断荷重とを超えることない。すなわち、圧潰部22aが破断することなく、張りキー30が離脱しない。
一方、止めピン40は、両端が潰されており容易に脱落することなく、動翼20及び特殊動翼20A,20Bを周方向に拘束し続ける。
このようにして、回転体1及びローターRの高速回転が継続して行われる。
また、動翼20及び特殊動翼20A,20Bの加工公差を大きく許容することが可能となる。
換言すれば、張りキー30と動翼20と特殊動翼20A,20Bとが、線膨張係数が同じ材料でされているので、ローターディスク1が高温となった場合において、熱伸び量の差によって生じ得る動翼20と張りキー30との弛みや熱応力による破損を抑止して動翼20と張りキー30と特殊動翼20A,20Bの定着性を向上させることができる。
また、延出部32に面取り部32aを有すると共に、圧潰部22aが面取り部32aを埋めているので、せん断面積22bを大きく確保することができ、圧潰部22aの許容せん断荷重を大きくすることができる。
例えば、図9に示すように、予め張りキー30を挿入する位置における動翼嵌合溝11の狭幅部11aの側壁に、張りキー30を嵌入可能なガイド溝14(14A〜14E)を形成してもよい。例えば、所定位置XA,XBにガイド溝14A,14Bを形成し、張りキー30の軸方向寸法(幅寸法)を、動翼嵌合溝11の溝幅寸法よりも僅かに大きくしてもよい。
この構成によれば、回転体1の組立の際に、張りキー30を挿入する位置を容易に判別することができ、さらに、動翼20の位置調整を行う範囲を規定することで、所定位置XA,XBの間(図2における劣弧AS間)における動翼20の位置調整を容易に行うことが可能となる。
また、上述した実施形態では、止めピン40を用いたが、必ずしも用いる必要はなく、例えば、特殊動翼20Aとこれに隣接する動翼20とのうち、一方に周方向にへこむ窪み部を、他方に周方向に突出する突出部を設けて、これらを係合させて特殊動翼20A及び動翼20の離脱を防止する構成としてもよい。
10…ローターディスク
10a…最外周端面
11…動翼嵌合溝
12…動翼導入孔
13(13a,13b)…挿通孔
14(14A〜14E)…ガイド溝
20…動翼
20A,20B…特殊動翼
21…翼根
21c…貫通孔
21d,21e…半円溝
22…ベースプレート
22a…圧潰部
23…羽根本体
30(30A〜30E)…張りキー
31…挿入部
31a…一端
31b…他端
31c,31d…接触面
32…延出部
32a…面取り部
40…止めピン
Claims (8)
- 外周に沿って環状に設けられた動翼嵌合溝と外周に設けられて該動翼嵌合溝に連通する動翼導入孔とを有するローターディスクと、
前記外周に連続的に複数設けられ、前記動翼嵌合溝に嵌合した翼根と前記ローターディスクの外方側に突出した羽根本体とを有する動翼と、
前記動翼嵌合溝に一部が嵌合する翼根と前記ローターディスクの外方側に突出した羽根本体とをそれぞれ有し、互いに隣接して前記動翼導入孔を閉塞する二つの特殊動翼と、
前記動翼間に挿入された張りキーとを備える回転体であって、
前記張りキーは、前記周方向の厚さ寸法が径方向内方側の一端から径方向外方側の他端に向かって漸次大きくなる挿入部を備えることを特徴とする回転体。 - 前記挿入部は、前記翼根の周方向における端面と全面で接触する接触面を有することを特徴とする請求項1に記載の回転体。
- 前記ローターディスクの外周長をR、前記動翼及び前記特殊動翼の総数をNb、前記動翼及び前記特殊動翼における前記翼根の最外方部における周方向の厚さ寸法をtb、前記張りキーの数をNk、前記張りキーの前記挿入部における他端の周方向の厚さ寸法をtkとした場合に、前記ローターディスクと前記動翼と前記特殊動翼と前記張りキーとを組み立てる前に、以下の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転体。
R>Nb×tb
R<Nb×tb+Nk×tk - 前記二つの特殊動翼の翼根は、それぞれの隣接面に前記軸方向に延在する半割り溝を有し、これら二つの半割り溝によって前記軸方向に延在する貫通孔が構成され、
前記ローターディスクは、前記ローターディスクを軸方向に貫通して前記貫通孔に軸方向において重なった挿通孔を有する一方、
前記貫通孔と前記挿通孔を挿通して前記複数の動翼を周方向に拘束する止めピンを備え、
前記止めピンは、少なくとも一方の端部が潰されて固定されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の回転体。 - 前記動翼と特殊動翼と前記張りキーとは、線膨張係数が同じ材料で形成されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の回転体。
- 前記動翼嵌合溝の側壁には、前記張りキーが嵌入したガイド溝が形成されていることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の回転体。
- 前記動翼及び前記特殊動翼は、前記羽根本体と前記翼根との間に設けられたベースプレートを備える一方、
前記張りキーは、前記挿入部の他端に設けられ前記ローターディスクの軸方向に延出した延出部を備え、
前記ベースプレートは、隣接する前記張りキーの前記延出部の一部を覆う圧潰部を有することを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の回転体。 - 前記延出部は、前記外方側の角部に面取り部を有し、この面取り部が前記圧潰部に埋められていることを特徴とする請求項7に記載の回転体。
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