JP2004108290A - タービン動翼 - Google Patents
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- F01D5/3046—Fixing blades to rotors; Blade roots ; Blade spacers of radial insertion type, e.g. in individual recesses the rotor having ribs around the circumference
Abstract
【課題】止め翼とその隣接動翼の間に挿入固定する止めキーの抜け出し損傷を防止し、蒸気タービンを安全に運転できるようにしたタービン動翼を提供することである。
【解決手段】群翼構造を形成する止め翼15およびその両隣接動翼20、21における翼間の境界部に挿入配置される止めキー16〜19の直径の太さを、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成する。これにより、止めキー16が第1段動翼の上流側へ抜け出すことを防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】群翼構造を形成する止め翼15およびその両隣接動翼20、21における翼間の境界部に挿入配置される止めキー16〜19の直径の太さを、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成する。これにより、止めキー16が第1段動翼の上流側へ抜け出すことを防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気タービンの高圧初段落におけるタービン動翼に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、蒸気タービンの高圧初段落(第1段落)は、蒸気の圧力温度が他の段落よりも高く、負荷変化率に伴う圧力差の変化も大きいので、苛酷な運転条件に耐え得るノズルボックスとアウトサイド植込部形動翼とを組合わせた構造が採用されている。このノズルボックスとアウトサイド植込部形動翼とを組合わせた構造による蒸気タービンは、図4に示すように構成されている。
【0003】
図4は、ノズルボックスとアウトサイド植込部形動翼とを組合わせた蒸気タービンの高圧初段落(第1段)廻りの縦断面図である。図示省略のボイラで発生した高温高圧蒸気は、入口管1を経て、入口と出口以外は密閉された容器状のノズルボックス2内の蒸気室3に流入する。そして、ノズルボックス2の出口であるノズル口4の第1段ノズル5で加速されて第1段動翼6に流出され、第1段動翼6が蒸気の速度エネルギーを有効に吸収してロータ7を駆動する。
【0004】
図5は、ノズルボックス2の蒸気室を示す横断面概略図である。図5に示すように、ノズルボックス2は、4つの蒸気室3a〜3dを備え、蒸気は、まず第1蒸気室3aに流入し、第1段ノズル5で加速されて第1段動翼6に流出される。タービン負荷が大きくなると蒸気は、第2蒸気室3b、第3蒸気室3c、第4蒸気室3dに順次流入し、各々の蒸気室から同様に第1段ノズル5を経て第1段動翼6に流出されるようになっている。
【0005】
この場合、第1段動翼6には遠心力が作用するので、ロータ7に第1段動翼6を固定保持するためにアウトサイド型植込部8を有する構造となっており、また、第1段動翼6には第1段ノズル5を流出した高温高圧の蒸気が作用するので、通常、翼間ピッチを保持するために翼先端にシュラウドが取り付けられた、いわゆる群翼構造になっている。
【0006】
図6は第1段動翼6にアウトサイド型植込部8を用いた動翼構造の断面図である。アウトサイド型植込部8の外方の羽根有効部9の先端にインテグラルカバー10を翼と一体的に削り出し、このインテグラルカバー10の外表面にテノン11を突設し、このテノン11に薄板状のシュラウド12を装着してテノン11をかしめることによりインテグラルカバー10とシュラウド12とが接合した群翼構造13が得られる。
【0007】
図7は、第1段動翼6とシュラウド12の組立て状態の鳥瞰図であり、図8は第1段動翼6のロータ7への組み込みと止めキー16、17、18、19の固定方法を説明する鳥瞰図である。図8では、第1段動翼6や止め翼15を4本の止めキー16、17、18、19で固定しコーキング26するまでの状態を鳥瞰図で示したものである。
【0008】
ロータ7にはアウトサイド型植込部8を有する第1段動翼6が組み込めるように切り欠き溝14があり、この切り欠き溝14より、第1段動翼6は一つ一つ周方向にスライドさせ、アウトサイド型植込部8に係合させて組み込められるようになっている。順次、組み込まれて行く第1段動翼6の最後は、ロータ7の切り欠き溝14に嵌合する形状した止め翼15が組み込まれる。そして、4本の止めキー16、17、18、19が止め翼15の両隣接動翼20、21との境界部22、23、24、25に軸方向に挿入固定されることによって、止め翼15に作用する遠心力に対して、ロータ7からの固定保持がなされるようになっている。止めキー16、17、18、19は、動翼の入口側と出口側を2箇所ずつコーキング26して、抜け出し防止を計っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年のタービンの大容量化によって、第1段動翼6には止め翼15の固定保持のために重要な働きをする止めキー16、17、18、19が抜け出し損傷するという現象が生じることが明らかになってきた。以下、この抜け出し損傷原因について説明する。
【0010】
図9は負荷と第1段動翼に作用する蒸気力との関係を示す特性図である。第1段動翼6に作用する蒸気力を負荷毎に示したもので、ノズルボックス2の第1蒸気室3aに蒸気を流入させる蒸気加減弁(図示せず)の第1弁開時27の蒸気力が最も大きくなり、第2蒸気室3bに蒸気を流入させる第2弁開時28、上記第3蒸気室3cに蒸気を流入させる第3弁開時29、第4蒸気室3dに蒸気を流入させる第4弁開時30と順次負荷が増加するにつれて動翼に作用する蒸気力が小さくなる。この蒸気力PU(kg)は、下記の(1)式で示される。
【0011】
PU=K・(KW/D・n・θ・N) …(1)
ここで、Kは出力換算係数、KWは段落出力、Dは動翼のピッチ径、nは動翼枚数、θはノズル開度角、Nはロータ回転数である。出力換算係数K、動翼のピッチ径D、動翼枚数n、ロータ回転数Nは負荷にかかわらず一定となるものである。従って、(1)式より蒸気力PUは段落出力KWとノズル開度角θの影響を受けることがわかり、また段落出力KWはそれほど変化しないことがわかっているので、ノズル開度角θが90°と一番小さい第1弁開時27の蒸気力が最大となる。この状態で長時間タービンの運転を行なうと強度的には厳しい条件となる。
【0012】
また、図10は部分負荷時、例えば第1弁開時27における第1段ノズル5と第1段動翼6内の蒸気流れを示したものである。第1段動翼6には、第1段ノズル5の蒸気流路を通過した蒸気の蒸気力PUが動翼の回転により間欠的に作用するので、その結果、第1段動翼6は振動を発生し、その振幅の大きさは図示のように蒸気力PUによる曲げ力のQ=YDY/YST倍にも達する。
【0013】
また、タービンの段落の蒸気状態を示す設計パラメータに反動度があるが、第1段落の反動度は、図11に示すように、負荷によって変化し、第4弁開時30における反動度は正となっているが、順次各弁を閉じるにしたがって反動度は負方向に変化していく。すなわち、第1弁開時27においては、反動度は負となっている。
【0014】
このように、蒸気力PUが厳しい条件下でタービンの運転を行うと、第1段動翼6には蒸気力PUによる曲げ力が間欠的にかつ変動して作用する。
【0015】
図12は動翼に作用する蒸気力による曲げ力の分布状態を示す特性図であり、図12の矢印で示すように、各々の動翼には曲げ力が発生するので、止め翼15やその両隣接動翼20、21の境界部22、23、24、25に挿入固定されている止めキー16、17、18、19は、その固定が緩みがちになる。特に、止め翼15を含む第1段動翼6を群翼を構成するシュラウド12の切れ目となる境界部22を挟む動翼20は蒸気力PUの間欠的でかつ変動する作用力によって、相互の曲げによる動きが隣接と同一でなくなるので、止めキー16は固定が緩む傾向が大きくなる。
【0016】
さらに、第1弁開時27における第1段落の反動度は負となり、第1段動翼6を通過する蒸気流れは整流されたものでなくなり、第1段動翼6の入口圧力と出口圧力は前後圧力差が逆転した圧力場となる。この圧力差も作用して、前述の固定が緩み傾向となった止めキー16は、第1段動翼6の上流側へ抜け出そうとする。
【0017】
そして、さらに蒸気タービンの総運転時間が長くなると、第1段ノズル5の出口端が侵食等を受けて蒸気通路面積が設計値から変化し、第1段落の蒸気力PUが増大して上記曲げ応力が大きくなる傾向があり、また第1段ノズル5の出口端の侵食は必ずしもノズル口全周均等に生じるわけではないので、図12に示す曲げ力は、第1段ノズル5の出口端が侵食等を受けていない状態よりもさらに、間欠的に変動して作用する。従って、止め翼15とその両隣接動翼20、21の境界部22、23、24、25に挿入固定されている止めキー16、17、18、19は、なお一層、緩みがちになる。
【0018】
以上のような状況で作用力が重畳すると、群翼を構成するシュラウド12の切れ目となる境界部22を挟む動翼20によって固定されていた止めキー16は、緩みが増大し、結局、第1段動翼6の上流側へ抜け出し損傷を発生するという問題が生じる。
【0019】
そこで、本発明は、上述の従来技術が有する課題を解消し、止め翼とその隣接動翼の間に挿入固定する止めキーの抜け出し損傷を防止し、蒸気タービンを安全に運転できるようにしたタービン動翼を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るタービン動翼は、蒸気タービンの高圧初段落に設けられ、ロータの周方向に翼列をなすように配置された動翼の頂部をシュラウドにて綴り群翼構造を形成したタービン動翼において、前記群翼構造を形成する止め翼およびその両隣接動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さを、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成したことを特徴とする。
【0021】
請求項1の発明に係るタービン動翼においては、群翼構造を形成する止め翼15およびその両隣接動翼20、21における翼間の境界部に挿入配置される止めキー16〜19の直径の太さを、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成する。これにより、止めキー16が第1段動翼の上流側へ抜け出すことを防止する。
【0022】
請求項2の発明に係るタービン動翼は、蒸気タービンの高圧初段落に設けられ、ロータの周方向に翼列をなすように配置された動翼の頂部をシュラウドにて綴り群翼構造を形成したタービン動翼において、前記シュラウドの切れ目に位置する動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さは、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成し、それ以外の動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さは、蒸気の入口側および出口側共に同一太さで形成したことを特徴とする。
【0023】
請求項2の発明に係るタービン動翼においては、シュラウドの切れ目に位置する動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さは、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成し、それ以外の動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さは、蒸気の入口側および出口側共に同一太さで形成する。これにより、固定が緩む傾向が大きいシュラウドの切れ目となる境界部の止めキーの第1段動翼の上流側へ抜け出すことを防止する。
【0024】
請求項3の発明に係るタービン動翼は、請求項1または請求項2の発明において、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成した止めキーは、径の途中に段差を有することを特徴とする。
【0025】
請求項3の発明に係るタービン動翼においては、請求項1または請求項2の発明の作用に加え、径の途中に設けた段差により、第1段動翼の上流側へ抜け出すことを防止する。
【0026】
請求項4の発明に係るタービン動翼は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項の発明において、前記動翼における翼間の境界部に挿入配置された止めキーの周囲に、複数箇所のコーキングを施したことを特徴とする。
【0027】
請求項4の発明に係るタービン動翼においては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項の発明の作用に加え、複数箇所のコーキングにより、止めキーの固定をより確実なものとする。
【0028】
請求項5の発明に係るタービン動翼は、請求項4の発明において、前記シュラウドの切れ目に位置する動翼における翼間の境界部に挿入配置された止めキーのコーキング数は、それ以外の止めキーのコーキング数より多くしたことを特徴とする。
【0029】
請求項5の発明に係るタービン動翼においては、請求項4の発明の作用に加え、シュラウドの切れ目に位置する動翼における翼間の境界部に挿入配置された止めキーの固定をより確実なものとする。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るタービン動翼の正面図であり、図2は図1のA−A線での断面図および止めキー16の斜視図である。図4乃至図12に示した従来例と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0031】
図1に示すように、第1段動翼6はロータ7の円周方向に複数枚配設されている。また、第1段動翼6を形成する各々の動翼は、蒸気タービンの第1段落の第1段ノズルと軸方向に所定間隔離れて設けられる。そして、各々の動翼の羽根有効部9の先端には、インテグラルカバー10が一体的に削り出され、このインテグラルカバー10の外表面にはテノン11が突設されている。このテノン11には動翼を数枚を一組として連結する薄板状のシュラウド12が装着される。そして、テノン11をかしめることによってシュラウド12がインテグラルカバー10の外周端部に固定され、第1段動翼6の群翼構造13が形成される。
【0032】
また、第1段動翼6には、ロータ7への組み立てのために1個の止め翼15が含まれる。この止め翼15に作用する遠心力に対して、止め翼15を固定保持するために、止め翼15およびその両隣接動翼20、21における動翼の翼間に、それぞれ止めキー16、17、18、19が挿入配置される。
【0033】
止めキー17、18、19の周囲には、4箇所ずつのコーキング31がなされている。また、シュラウド12の切れ目の動翼の境界部22を挟む動翼20との間に挿入される止めキー16は、特に抜け出しが発生し易い傾向があるので、止めキー16の周囲には、8箇所ずつのコーキング32がなされている。これにより、シュラウド12の切れ目の動翼の境界部22を挟む動翼20に挿入される止めキー16の抜け出しをより確実に防止している。なお、コーキング数は4個または8個に限ることなく複数箇所であればよい。また、シュラウド12の切れ目の動翼に挿入される止めキー16と同じコーキング数であっても良い。
【0034】
図2(a)は、図1におけるA−A線での断面図であり、図2(b)は止めキー16の斜視図である。図2(b)に示すように、止めキー16は、その直径の太さが蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成されている。すなわち、蒸気の入口側と蒸気の出口側とで径が異なり、太径部16aと細径部16bとから構成され、止めキー16の径の途中に段差33が形成されている。この段差33により、止めキー16が第1段動翼6の上流側へ抜け出さないようになっている。
【0035】
前述したように、第1弁開時27においては蒸気力PUが最大となり、第1段動翼6へ作用する曲げ力は最大になるとともに変動力も最大となるが、このとき、第1弁開時27においては負反動度となることから、第1段動翼6の入口圧力と出口圧力とは前後圧力差が逆転する。従って、止めキー16には第1段動翼6の上流側に圧力差が作用することになるので、止めキー16は蒸気の入口側よりも蒸気の出口側の径を太く形成している。これにより、止めキー16が第1段動翼6の上流側へ抜け出す現象を防止できる。
【0036】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るタービン動翼の断面図および止めキー16の斜視図である。この第2の実施の形態は、図2に示した第1の実施の形態に対し、止めキー16の太径部16aの長さを長くしたものである。図3(b)に示すように、止めキー16の径は、蒸気の入口側よりも蒸気の出口側の径が太く形成され、出口側の太径部16aが入口側の細径部16bの部分よりも長く形成されている。このようにしても第1の実施の形態と同様な作用効果が得られる。この第2の実施の形態の場合には、図3(a)に示す第1段動翼6における止めキー16の上部スペース34の強度レベルがそれ程厳しくない動翼に用いるのが好ましい。
【0037】
以上の説明では、止めキー16の径に段差を設けるようにしたが、止めキー16を円錐状に形成し、一方端から他方端に徐々に細くするように形成しても良い。この場合、他方端を尖らせる必要はない。また、シュラウド12の切れ目に位置する動翼20における翼間の境界部22に挿入配置される止めキー16について、その直径の太さを蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成する場合について説明したが、それ以外の動翼における翼間の境界部23、24、25に挿入配置される止めキー16の直径の太さについても同様に、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成するようにしてもよいし、それ以外の動翼における翼間の境界部23、24、25に挿入配置される止めキー16の直径の太さは、蒸気の入口側および出口側共に同一太さで形成するようにしても良い。
【0038】
また、以上の説明では大容量タービンについて説明したが、大容量タービンだけでなく中小容量タービンの第1段動翼にも適用可能である。図示は省略するが、中小容量タービンの第1段動翼には、インテグラルカバー10が設けられない場合がある点で相違するが、その他は図1に示す構成と同一であり、止めキー16、17、18、19の構成も同一であるので、中小容量タービンにも適用可能である。さらに、タービン動翼が高圧第1段落のような部分噴射にてタービン出力調整する調速段落に適用する場合について説明したが、それ以外の部分で適用することも可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、動翼に使用される止めキーを蒸気の入口側よりも蒸気の出口側の径が太くなるように形成したので、止めキーの抜け出しが防止できる。また、かつ止めキーの周囲に複数のコーキングを施したので、止めキーの緩みが抑制されより確実に固定できる。従って、動翼の止めキーの抜け出し損傷が防止でき、タービンを安全に運転することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係るタービン動翼の正面図。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態における止めキー部分の説明図であり、図2(a)は図1のA−A線での断面図、図2(b)は止めキーの斜視図。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態における止めキー部分の説明図であり、図3(a)は断面図、図2(b)は止めキーの斜視図。
【図4】図4は、ノズルボックス構造とアウトサイド植込部形動翼を組合わせた蒸気タービンの高圧初段落(第1段)廻りの縦断面図。
【図5】図5は、ノズルボックスの蒸気室を示す横断面概略図。
【図6】図6は、従来例の第1段動翼の縦断面図。
【図7】図7は、第1段動翼の組み込み状態を示す鳥瞰図。
【図8】図8は、第1段動翼のロータへの組み込みと止めキーの固定方法を示す鳥瞰図。
【図9】図9は、負荷と第1段動翼に作用する蒸気力との関係を示す特性図。
【図10】図10は、蒸気力による第1段動翼の振動状態を示す説明図。
【図11】図11は、負荷と第1段落の反動度の関係を示す特性図。
【図12】図12は、動翼に作用する蒸気力による曲げ力の分布状態を示す説明図。
【符号の説明】
1…入口管、2…ノズルボックス、3…蒸気室、4…ノズル口、5…第1段ノズル、6…第1段動翼、7…ロータ、8…アウトサイド型植込部、9…羽根有効部、10…インテグラルカバー、11…テノン、12…シュラウド、13…群翼構造、14…切り欠き溝、15…止め翼、16、17、18、19…止めキー、20、21…隣接動翼、22、23、24、25…境界部、33…段差、34…上部スペース
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気タービンの高圧初段落におけるタービン動翼に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、蒸気タービンの高圧初段落(第1段落)は、蒸気の圧力温度が他の段落よりも高く、負荷変化率に伴う圧力差の変化も大きいので、苛酷な運転条件に耐え得るノズルボックスとアウトサイド植込部形動翼とを組合わせた構造が採用されている。このノズルボックスとアウトサイド植込部形動翼とを組合わせた構造による蒸気タービンは、図4に示すように構成されている。
【0003】
図4は、ノズルボックスとアウトサイド植込部形動翼とを組合わせた蒸気タービンの高圧初段落(第1段)廻りの縦断面図である。図示省略のボイラで発生した高温高圧蒸気は、入口管1を経て、入口と出口以外は密閉された容器状のノズルボックス2内の蒸気室3に流入する。そして、ノズルボックス2の出口であるノズル口4の第1段ノズル5で加速されて第1段動翼6に流出され、第1段動翼6が蒸気の速度エネルギーを有効に吸収してロータ7を駆動する。
【0004】
図5は、ノズルボックス2の蒸気室を示す横断面概略図である。図5に示すように、ノズルボックス2は、4つの蒸気室3a〜3dを備え、蒸気は、まず第1蒸気室3aに流入し、第1段ノズル5で加速されて第1段動翼6に流出される。タービン負荷が大きくなると蒸気は、第2蒸気室3b、第3蒸気室3c、第4蒸気室3dに順次流入し、各々の蒸気室から同様に第1段ノズル5を経て第1段動翼6に流出されるようになっている。
【0005】
この場合、第1段動翼6には遠心力が作用するので、ロータ7に第1段動翼6を固定保持するためにアウトサイド型植込部8を有する構造となっており、また、第1段動翼6には第1段ノズル5を流出した高温高圧の蒸気が作用するので、通常、翼間ピッチを保持するために翼先端にシュラウドが取り付けられた、いわゆる群翼構造になっている。
【0006】
図6は第1段動翼6にアウトサイド型植込部8を用いた動翼構造の断面図である。アウトサイド型植込部8の外方の羽根有効部9の先端にインテグラルカバー10を翼と一体的に削り出し、このインテグラルカバー10の外表面にテノン11を突設し、このテノン11に薄板状のシュラウド12を装着してテノン11をかしめることによりインテグラルカバー10とシュラウド12とが接合した群翼構造13が得られる。
【0007】
図7は、第1段動翼6とシュラウド12の組立て状態の鳥瞰図であり、図8は第1段動翼6のロータ7への組み込みと止めキー16、17、18、19の固定方法を説明する鳥瞰図である。図8では、第1段動翼6や止め翼15を4本の止めキー16、17、18、19で固定しコーキング26するまでの状態を鳥瞰図で示したものである。
【0008】
ロータ7にはアウトサイド型植込部8を有する第1段動翼6が組み込めるように切り欠き溝14があり、この切り欠き溝14より、第1段動翼6は一つ一つ周方向にスライドさせ、アウトサイド型植込部8に係合させて組み込められるようになっている。順次、組み込まれて行く第1段動翼6の最後は、ロータ7の切り欠き溝14に嵌合する形状した止め翼15が組み込まれる。そして、4本の止めキー16、17、18、19が止め翼15の両隣接動翼20、21との境界部22、23、24、25に軸方向に挿入固定されることによって、止め翼15に作用する遠心力に対して、ロータ7からの固定保持がなされるようになっている。止めキー16、17、18、19は、動翼の入口側と出口側を2箇所ずつコーキング26して、抜け出し防止を計っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年のタービンの大容量化によって、第1段動翼6には止め翼15の固定保持のために重要な働きをする止めキー16、17、18、19が抜け出し損傷するという現象が生じることが明らかになってきた。以下、この抜け出し損傷原因について説明する。
【0010】
図9は負荷と第1段動翼に作用する蒸気力との関係を示す特性図である。第1段動翼6に作用する蒸気力を負荷毎に示したもので、ノズルボックス2の第1蒸気室3aに蒸気を流入させる蒸気加減弁(図示せず)の第1弁開時27の蒸気力が最も大きくなり、第2蒸気室3bに蒸気を流入させる第2弁開時28、上記第3蒸気室3cに蒸気を流入させる第3弁開時29、第4蒸気室3dに蒸気を流入させる第4弁開時30と順次負荷が増加するにつれて動翼に作用する蒸気力が小さくなる。この蒸気力PU(kg)は、下記の(1)式で示される。
【0011】
PU=K・(KW/D・n・θ・N) …(1)
ここで、Kは出力換算係数、KWは段落出力、Dは動翼のピッチ径、nは動翼枚数、θはノズル開度角、Nはロータ回転数である。出力換算係数K、動翼のピッチ径D、動翼枚数n、ロータ回転数Nは負荷にかかわらず一定となるものである。従って、(1)式より蒸気力PUは段落出力KWとノズル開度角θの影響を受けることがわかり、また段落出力KWはそれほど変化しないことがわかっているので、ノズル開度角θが90°と一番小さい第1弁開時27の蒸気力が最大となる。この状態で長時間タービンの運転を行なうと強度的には厳しい条件となる。
【0012】
また、図10は部分負荷時、例えば第1弁開時27における第1段ノズル5と第1段動翼6内の蒸気流れを示したものである。第1段動翼6には、第1段ノズル5の蒸気流路を通過した蒸気の蒸気力PUが動翼の回転により間欠的に作用するので、その結果、第1段動翼6は振動を発生し、その振幅の大きさは図示のように蒸気力PUによる曲げ力のQ=YDY/YST倍にも達する。
【0013】
また、タービンの段落の蒸気状態を示す設計パラメータに反動度があるが、第1段落の反動度は、図11に示すように、負荷によって変化し、第4弁開時30における反動度は正となっているが、順次各弁を閉じるにしたがって反動度は負方向に変化していく。すなわち、第1弁開時27においては、反動度は負となっている。
【0014】
このように、蒸気力PUが厳しい条件下でタービンの運転を行うと、第1段動翼6には蒸気力PUによる曲げ力が間欠的にかつ変動して作用する。
【0015】
図12は動翼に作用する蒸気力による曲げ力の分布状態を示す特性図であり、図12の矢印で示すように、各々の動翼には曲げ力が発生するので、止め翼15やその両隣接動翼20、21の境界部22、23、24、25に挿入固定されている止めキー16、17、18、19は、その固定が緩みがちになる。特に、止め翼15を含む第1段動翼6を群翼を構成するシュラウド12の切れ目となる境界部22を挟む動翼20は蒸気力PUの間欠的でかつ変動する作用力によって、相互の曲げによる動きが隣接と同一でなくなるので、止めキー16は固定が緩む傾向が大きくなる。
【0016】
さらに、第1弁開時27における第1段落の反動度は負となり、第1段動翼6を通過する蒸気流れは整流されたものでなくなり、第1段動翼6の入口圧力と出口圧力は前後圧力差が逆転した圧力場となる。この圧力差も作用して、前述の固定が緩み傾向となった止めキー16は、第1段動翼6の上流側へ抜け出そうとする。
【0017】
そして、さらに蒸気タービンの総運転時間が長くなると、第1段ノズル5の出口端が侵食等を受けて蒸気通路面積が設計値から変化し、第1段落の蒸気力PUが増大して上記曲げ応力が大きくなる傾向があり、また第1段ノズル5の出口端の侵食は必ずしもノズル口全周均等に生じるわけではないので、図12に示す曲げ力は、第1段ノズル5の出口端が侵食等を受けていない状態よりもさらに、間欠的に変動して作用する。従って、止め翼15とその両隣接動翼20、21の境界部22、23、24、25に挿入固定されている止めキー16、17、18、19は、なお一層、緩みがちになる。
【0018】
以上のような状況で作用力が重畳すると、群翼を構成するシュラウド12の切れ目となる境界部22を挟む動翼20によって固定されていた止めキー16は、緩みが増大し、結局、第1段動翼6の上流側へ抜け出し損傷を発生するという問題が生じる。
【0019】
そこで、本発明は、上述の従来技術が有する課題を解消し、止め翼とその隣接動翼の間に挿入固定する止めキーの抜け出し損傷を防止し、蒸気タービンを安全に運転できるようにしたタービン動翼を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るタービン動翼は、蒸気タービンの高圧初段落に設けられ、ロータの周方向に翼列をなすように配置された動翼の頂部をシュラウドにて綴り群翼構造を形成したタービン動翼において、前記群翼構造を形成する止め翼およびその両隣接動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さを、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成したことを特徴とする。
【0021】
請求項1の発明に係るタービン動翼においては、群翼構造を形成する止め翼15およびその両隣接動翼20、21における翼間の境界部に挿入配置される止めキー16〜19の直径の太さを、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成する。これにより、止めキー16が第1段動翼の上流側へ抜け出すことを防止する。
【0022】
請求項2の発明に係るタービン動翼は、蒸気タービンの高圧初段落に設けられ、ロータの周方向に翼列をなすように配置された動翼の頂部をシュラウドにて綴り群翼構造を形成したタービン動翼において、前記シュラウドの切れ目に位置する動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さは、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成し、それ以外の動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さは、蒸気の入口側および出口側共に同一太さで形成したことを特徴とする。
【0023】
請求項2の発明に係るタービン動翼においては、シュラウドの切れ目に位置する動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さは、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成し、それ以外の動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さは、蒸気の入口側および出口側共に同一太さで形成する。これにより、固定が緩む傾向が大きいシュラウドの切れ目となる境界部の止めキーの第1段動翼の上流側へ抜け出すことを防止する。
【0024】
請求項3の発明に係るタービン動翼は、請求項1または請求項2の発明において、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成した止めキーは、径の途中に段差を有することを特徴とする。
【0025】
請求項3の発明に係るタービン動翼においては、請求項1または請求項2の発明の作用に加え、径の途中に設けた段差により、第1段動翼の上流側へ抜け出すことを防止する。
【0026】
請求項4の発明に係るタービン動翼は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項の発明において、前記動翼における翼間の境界部に挿入配置された止めキーの周囲に、複数箇所のコーキングを施したことを特徴とする。
【0027】
請求項4の発明に係るタービン動翼においては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項の発明の作用に加え、複数箇所のコーキングにより、止めキーの固定をより確実なものとする。
【0028】
請求項5の発明に係るタービン動翼は、請求項4の発明において、前記シュラウドの切れ目に位置する動翼における翼間の境界部に挿入配置された止めキーのコーキング数は、それ以外の止めキーのコーキング数より多くしたことを特徴とする。
【0029】
請求項5の発明に係るタービン動翼においては、請求項4の発明の作用に加え、シュラウドの切れ目に位置する動翼における翼間の境界部に挿入配置された止めキーの固定をより確実なものとする。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るタービン動翼の正面図であり、図2は図1のA−A線での断面図および止めキー16の斜視図である。図4乃至図12に示した従来例と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0031】
図1に示すように、第1段動翼6はロータ7の円周方向に複数枚配設されている。また、第1段動翼6を形成する各々の動翼は、蒸気タービンの第1段落の第1段ノズルと軸方向に所定間隔離れて設けられる。そして、各々の動翼の羽根有効部9の先端には、インテグラルカバー10が一体的に削り出され、このインテグラルカバー10の外表面にはテノン11が突設されている。このテノン11には動翼を数枚を一組として連結する薄板状のシュラウド12が装着される。そして、テノン11をかしめることによってシュラウド12がインテグラルカバー10の外周端部に固定され、第1段動翼6の群翼構造13が形成される。
【0032】
また、第1段動翼6には、ロータ7への組み立てのために1個の止め翼15が含まれる。この止め翼15に作用する遠心力に対して、止め翼15を固定保持するために、止め翼15およびその両隣接動翼20、21における動翼の翼間に、それぞれ止めキー16、17、18、19が挿入配置される。
【0033】
止めキー17、18、19の周囲には、4箇所ずつのコーキング31がなされている。また、シュラウド12の切れ目の動翼の境界部22を挟む動翼20との間に挿入される止めキー16は、特に抜け出しが発生し易い傾向があるので、止めキー16の周囲には、8箇所ずつのコーキング32がなされている。これにより、シュラウド12の切れ目の動翼の境界部22を挟む動翼20に挿入される止めキー16の抜け出しをより確実に防止している。なお、コーキング数は4個または8個に限ることなく複数箇所であればよい。また、シュラウド12の切れ目の動翼に挿入される止めキー16と同じコーキング数であっても良い。
【0034】
図2(a)は、図1におけるA−A線での断面図であり、図2(b)は止めキー16の斜視図である。図2(b)に示すように、止めキー16は、その直径の太さが蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成されている。すなわち、蒸気の入口側と蒸気の出口側とで径が異なり、太径部16aと細径部16bとから構成され、止めキー16の径の途中に段差33が形成されている。この段差33により、止めキー16が第1段動翼6の上流側へ抜け出さないようになっている。
【0035】
前述したように、第1弁開時27においては蒸気力PUが最大となり、第1段動翼6へ作用する曲げ力は最大になるとともに変動力も最大となるが、このとき、第1弁開時27においては負反動度となることから、第1段動翼6の入口圧力と出口圧力とは前後圧力差が逆転する。従って、止めキー16には第1段動翼6の上流側に圧力差が作用することになるので、止めキー16は蒸気の入口側よりも蒸気の出口側の径を太く形成している。これにより、止めキー16が第1段動翼6の上流側へ抜け出す現象を防止できる。
【0036】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るタービン動翼の断面図および止めキー16の斜視図である。この第2の実施の形態は、図2に示した第1の実施の形態に対し、止めキー16の太径部16aの長さを長くしたものである。図3(b)に示すように、止めキー16の径は、蒸気の入口側よりも蒸気の出口側の径が太く形成され、出口側の太径部16aが入口側の細径部16bの部分よりも長く形成されている。このようにしても第1の実施の形態と同様な作用効果が得られる。この第2の実施の形態の場合には、図3(a)に示す第1段動翼6における止めキー16の上部スペース34の強度レベルがそれ程厳しくない動翼に用いるのが好ましい。
【0037】
以上の説明では、止めキー16の径に段差を設けるようにしたが、止めキー16を円錐状に形成し、一方端から他方端に徐々に細くするように形成しても良い。この場合、他方端を尖らせる必要はない。また、シュラウド12の切れ目に位置する動翼20における翼間の境界部22に挿入配置される止めキー16について、その直径の太さを蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成する場合について説明したが、それ以外の動翼における翼間の境界部23、24、25に挿入配置される止めキー16の直径の太さについても同様に、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成するようにしてもよいし、それ以外の動翼における翼間の境界部23、24、25に挿入配置される止めキー16の直径の太さは、蒸気の入口側および出口側共に同一太さで形成するようにしても良い。
【0038】
また、以上の説明では大容量タービンについて説明したが、大容量タービンだけでなく中小容量タービンの第1段動翼にも適用可能である。図示は省略するが、中小容量タービンの第1段動翼には、インテグラルカバー10が設けられない場合がある点で相違するが、その他は図1に示す構成と同一であり、止めキー16、17、18、19の構成も同一であるので、中小容量タービンにも適用可能である。さらに、タービン動翼が高圧第1段落のような部分噴射にてタービン出力調整する調速段落に適用する場合について説明したが、それ以外の部分で適用することも可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、動翼に使用される止めキーを蒸気の入口側よりも蒸気の出口側の径が太くなるように形成したので、止めキーの抜け出しが防止できる。また、かつ止めキーの周囲に複数のコーキングを施したので、止めキーの緩みが抑制されより確実に固定できる。従って、動翼の止めキーの抜け出し損傷が防止でき、タービンを安全に運転することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係るタービン動翼の正面図。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態における止めキー部分の説明図であり、図2(a)は図1のA−A線での断面図、図2(b)は止めキーの斜視図。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態における止めキー部分の説明図であり、図3(a)は断面図、図2(b)は止めキーの斜視図。
【図4】図4は、ノズルボックス構造とアウトサイド植込部形動翼を組合わせた蒸気タービンの高圧初段落(第1段)廻りの縦断面図。
【図5】図5は、ノズルボックスの蒸気室を示す横断面概略図。
【図6】図6は、従来例の第1段動翼の縦断面図。
【図7】図7は、第1段動翼の組み込み状態を示す鳥瞰図。
【図8】図8は、第1段動翼のロータへの組み込みと止めキーの固定方法を示す鳥瞰図。
【図9】図9は、負荷と第1段動翼に作用する蒸気力との関係を示す特性図。
【図10】図10は、蒸気力による第1段動翼の振動状態を示す説明図。
【図11】図11は、負荷と第1段落の反動度の関係を示す特性図。
【図12】図12は、動翼に作用する蒸気力による曲げ力の分布状態を示す説明図。
【符号の説明】
1…入口管、2…ノズルボックス、3…蒸気室、4…ノズル口、5…第1段ノズル、6…第1段動翼、7…ロータ、8…アウトサイド型植込部、9…羽根有効部、10…インテグラルカバー、11…テノン、12…シュラウド、13…群翼構造、14…切り欠き溝、15…止め翼、16、17、18、19…止めキー、20、21…隣接動翼、22、23、24、25…境界部、33…段差、34…上部スペース
Claims (5)
- 蒸気タービンの高圧初段落に設けられ、ロータの周方向に翼列をなすように配置された動翼の頂部をシュラウドにて綴り群翼構造を形成したタービン動翼において、前記群翼構造を形成する止め翼およびその両隣接動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さを、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成したことを特徴とするタービン動翼。
- 蒸気タービンの高圧初段落に設けられ、ロータの周方向に翼列をなすように配置された動翼の頂部をシュラウドにて綴り群翼構造を形成したタービン動翼において、前記シュラウドの切れ目に位置する動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さは、蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成し、それ以外の動翼における翼間の境界部に挿入配置される止めキーの直径の太さは、蒸気の入口側および出口側共に同一太さで形成したことを特徴とするタービン動翼。
- 蒸気の入口側に位置する径より出口側に位置する径の方が太くなるように形成した止めキーは、径の途中に段差を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のタービン動翼。
- 前記動翼における翼間の境界部に挿入配置された止めキーの周囲に、複数箇所のコーキングを施したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のタービン動翼。
- 前記シュラウドの切れ目に位置する動翼における翼間の境界部に挿入配置された止めキーのコーキング数は、それ以外の止めキーのコーキング数より多くしたことを特徴とする請求項4記載のタービン動翼。
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- 2002-09-19 JP JP2002273323A patent/JP2004108290A/ja active Pending
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