JP4942844B2 - ロータにおける動翼の軸方向固定構造とその軸方向固定構造を備えたガスタービン - Google Patents

ロータにおける動翼の軸方向固定構造とその軸方向固定構造を備えたガスタービン Download PDF

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Description

本発明は、ロータの軸方向に延びる動翼取付け溝が外周部位に設けられ該各動翼取付け溝にそれに対応した動翼の翼脚がそれぞれ挿入配置される軸カラーと、該軸カラーの端面側側面における動翼取付け溝の範囲に配置され半径方向外側に向いて開いた周溝を備えた突出部と、各動翼にそれぞれ形成され前記周溝に半径方向に対向して位置する半径方向内側に向いて開いた保持溝とを備え、動翼を軸方向に固定するために周溝と保持溝とにそれぞれ係合し円周方向に延びる端面側環状密閉板を形成する複数の板状密閉要素が設けられ、これらの密閉要素を円周方向における変位に対して固定するためにこれらの密閉要素の少なくとも1つが1つの手段を有している、ロータにおける動翼の軸方向固定構造に関する。また本発明はかかる軸方向固定構造を備えたガスタービンに関する。
ロータ外周部位における動翼取付け溝にそれぞれ挿入配置されたタービン動翼が密閉板によって軸方向変位に対して固定されているガスタービンのロータは既に知られている。その密閉板を例えばリベットによりロータに固定することが特許文献1で知られている。
また図1における動翼の軸方向固定構造が知られている。図1はその軸方向固定構造を正面図で示し、図2は図1におけるII−II線に沿った断面を示している。各動翼取付け溝12の内部における軸方向変位に対して固定すべき各動翼14ごとに、密閉要素として互いに幾分重なり合う2枚の密閉板16が設けられている。その両密閉板16は動翼取付け溝12の端面側開口を半分ずつ覆っている。各密閉板16はその半径方向内側端18がタービン円板19の端面側突出部に設けられた周溝20にはめ込まれ、半径方向外側端22が動翼14の翼台座28の下側面26に設けられた保持溝24にはめ込まれている。各密閉板16を円周方向Uにおける変位に対して固定するために、各密閉板16にロータ23のほぼ半径方向に延びる直線的な短冊状止め板30がそれぞれ取り付けられている。その各短冊状止め板30はその半径方向外側端32が二等辺矢状の尖端34で終端している。動翼14の翼台座28の円周方向両端に傾斜縁36が存在し、隣り合うタービン動翼14の向かい合う傾斜縁36は鋭角に窪んだ空所38を形成し、密閉板16を円周方向Uにおける変位に対して固定するために、短冊状止め板30の尖端34がその空所38の中に突出し、翼台座28の傾斜縁36に接している。
また密閉板16は、冷却空気が流入する領域37と場合により燃焼ガスの一部が流入する領域39を互いに分離する働きをする。
短冊状止め板30を密閉板16に取り付けるために、各密閉板16に互いに平行に延びる2つのスロット40がそれぞれ設けられ、予め断面U形に曲げられた短冊状止め板30がそれらのスロット40を通される。短冊状止め板30の尖端34とは反対の側に位置する端部41は、短冊状止め板30を密閉板16に係留するために密閉板16をタービン円板19に組み立てる前に図2に示された位置に曲げられる。
タービン円板19への動翼14の組立後、短冊状止め板30が予め取り付けられた密閉板16が、タービン円板19に形成された無端周溝20と翼台座28の下側面26に形成された保持溝24に順々にはめ込まれる。各密閉板16は、各短冊状止め板30が空所38に対向して位置するように、周溝20の円周に沿って位置付けられる。続いて、密閉板16の円周方向Uにおける変位を防止するために、短冊状止め板30の尖端34が空所38の中に曲げ込まれる。
この短冊状止め板は極端に厳しい機械的要件のために一回しか曲げ加工できないので、保守点検時に動翼を交換する際、使用済み短冊状止め板は新しい短冊状止め板と取り換えねばならない。また、短冊状止め板を密閉板に係留するために利用されるスロットは密閉板の強度を弱める。
米国特許第3957393号明細書
本発明の課題は、密閉要素を円周方向における変位に対して固定するための、組立・分解時間が改善された固定構造を提供することにある。また本発明の課題はかかる固定構造を備えたガスタービンを提供することにある。
ロータにおける動翼の軸方向固定構造に向けられた課題は請求項1に記載の特徴によって解決される。
本発明は、密閉要素を円周方向における変位に対して固定するための手段が、密閉要素に設けられた開口と、軸カラーの側面に設けられ前記開口とほぼ一列に並ぶ切欠きと、この切欠き内と前記開口内に置かれる位置が固定された止め要素とを有していることを提案する。本発明は密閉要素に係留された短冊状止め板が空所にかみ合い結合する従来の形態とは異なっている。いまや短冊状止め板の代わりに、軸カラーの端面に設けられた切欠きにはめ込まれる止め要素が利用されている。この止め要素が密閉要素の範囲に配置され、密閉要素が置かれる周溝に対して直角に延び、密閉要素に設けられた開口に係合するので、その止め要素は密閉要素の円周方向における変位を阻止する。周溝に沿った密閉要素の許容可能な僅かな遊びは、開口の円周方向幅が止め要素の円周方向幅よりも大きい場合にのみ生じる。
それ自体の塑性変形かしめによって軸カラーの端面側に固定され密閉要素の開口に係合する止め要素の利用によって、密閉要素の円周方向における変位に対する特に確実で簡単な軸方向固定が達成される。さらに組立が迅速且つ簡単に実行できる。そのためにこの止め要素は適当なかしめ工具例えばハンマとたがねの形態の工具によって、止め要素が切欠き内に応力をもって接するように塑性変形される。これによって、切欠きの側壁と止め要素との間の非常に確実な摩擦結合が引き起こされ、この摩擦結合はガスタービンの運転中における止め要素の意図しない緩みを確実に防止する。この止め要素を取り外すためには、止め要素の変形加工済み部位を研削除去すればよく、そのようにして、摩擦結合がその取外しのために緩められる。
また、本発明に基づく実施態様によれば、従来において止め板を密閉要素に取り付けるために利用されていた密閉要素の強度を弱めるスロットが不要となる。その結果、密閉要素の剛性が一層高められ、またその密閉作用も向上される。
本発明の有利な実施態様は従属請求項に記載されている。
本発明の有利な実施態様において、止め要素は(その組込み位置に関して)切欠きの範囲で断面がくさび状に形成され、また密閉要素の開口にはめ込まれる端面側突出ピンを有している。止め要素のくさび形状およびこのくさび形状に合わされた切欠きによって、ロータにおける止め要素の特定の位置が設定される。また切欠きのくさび形状の方向づけは、切欠きの両側側壁が、それに対応した止め要素の側面と同様に、互いに半径方向外側に徐々に狭まるように傾斜して延びるように選定されている。これによって、くさび状止め要素は遠心力の作用下において外向きに押され、切欠き内において一層きつく締付けないし固着され、これは、止め要素の側面と側壁との間の摩擦結合を一層強め、止め要素の不都合な緩みを一層難しくする。その結果、特に確実な固定構造が得られる。
本発明の他の実施態様において、止め要素を収容する切欠きは半径方向外側に向いて開いている。この場合、切欠き内にはめ込まれた止め要素は、(ロータに関して)端面側の塑性変形かしめの代わりに、外周面側において塑性変形される。切欠きの側壁にも補助的に外周面側にポケットが設けられ、このポケットの中に止め要素の材料の変形部分が入り込む場合に、止め要素のかしめのほかに、追加的に止め要素の位置固定のためのかみ合い結合が形成される。これによって、止め要素は特に確実に脱落防止される。
本発明の他の有利な実施態様において、ロータの軸方向に延びる切欠きは軸カラー(軸輪)の側面に、その切欠きが周溝まで延びるように配置されている。その場合、軸カラーあるいは特にこの軸カラーを形成するタービン円板の強度低下が防止される。それに応じて、密閉要素に設けられる開口は密閉要素の半径方向内側端に設けられている。密閉要素のその部位は運転中に僅かしか加熱されず、これにより、密閉要素の剛性および耐熱性がこの開口によって害されない。
密閉要素を変位に対して固定するための手段を一つ置きの密閉要素あるいは各密閉要素が有していることが特に有利である。本発明の固定構造は、目的に適って、定置形軸流ガスタービンのロータに利用される。
以下図に示した複数の実施例を参照して本発明を詳細に説明する。この説明から本発明の他の特徴および利点が理解できる。
従来技術のロータにおける動翼の軸方向固定構造の部分正面図。 図1におけるII−II線に沿った断面図。 密閉要素による動翼の軸方向固定構造が採用された複数の動翼を備えたタービン円板の部分正面図。 本発明に基づく止め要素の斜視図。 ロータの切欠きにはめ込まれた止め要素の第2実施例の斜視図。
図3は、ガスタービンのロータ23におけるタービン円板19で形成された軸カラー21を部分正面図で示している。回転軸線50を中心に回転可能なロータ23はその外周部位52に円周方向Uに沿って分布された軸方向に延びる複数の動翼取付け溝12を有している。この各動翼取付け溝12にそれらに対応して形成された動翼14の翼脚54がそれぞれ挿入される。図3の中央に示された動翼取付け溝12には既に動翼14の翼脚54が挿入されている。図1と図2に示された従来技術と同様に、タービン円板19の端面側ないし軸カラー21の端面側側面56に、軸方向に突出した突出部58あるいは張出部が設けられ、そこに半径方向外側に向いて開いた周溝20が形成されている。この周溝20は例えば動翼取付け溝12よりも半径方向内側に配置されている。動翼14は翼脚54と翼形部(羽根部)との間に配置された翼台座28を有し、この翼台座28の下側面に周溝20に向けて開いた保持溝24が設けられ、この保持溝24は周溝20に対向して位置している。従来技術と同じように、密閉要素42は無端周溝20と保持溝24とにはめ込まれ、この密閉要素42は動翼14を動翼取付け溝に沿った変位に対して固定している。
最近の従来技術と異なって、各密閉要素42が各動翼取付け溝12の端面側開口をそれぞれ完全に覆っている。即ち、それぞれ1個の動翼14が1個の密閉要素42だけで動翼取付け溝12に沿った変位に対して固定されている。
しかし密閉要素42は、従来技術と同じように、隣り合う2個の密閉要素が動翼14の保持溝24にそれぞれ半分ずつはまり込むように円周上に分布することもできる。その場合、隣り合う2個の密閉要素が1個の動翼14を軸方向変位に対して固定する。
従来技術に類似して、完全に組み立てられ互いに幾分重なり合う複数の密閉要素42から成る密閉要素輪は、冷却材で貫流される領域37を燃焼ガスが場合により流入する他の領域39から分離する環状密閉板を形成している(図2参照)。
密閉要素42自体を円周方向における変位に対して固定するために、密閉要素42の半径方向内側端61に開口63が設けられ、この開口63は切込み開口でも孔でもよい。
また、軸カラー21の側面56において突出部58の範囲に、ほぼロータ23の軸方向に、即ちその回転軸線50に対して平行に延びる切欠き65が設けられている。各切欠き65は互いに向き合う両側側面66を有し、この両側側面66は互いに半径方向外側に徐々に狭まるように傾斜してくさび状に延びているが、互いに接触せずに空隙を形成している。
外側に向いて開いた切欠き65の代わりに、外側が閉じられた凹所を存在させることもできる。この場合、互いに半径方向外側に徐々に狭まるように傾斜して延びる両側側壁66は丸みのある先端で接触している。
図4に斜視図で示された止め要素67が切欠き65にはめ込まれる。その止め要素67は、切欠き65に対応して両側フランク70が互いに半径方向外側に徐々に狭まるように傾斜して延びたくさび形状部位と、このくさび形状部位の端面に配置された1つのピン69を有している。止め要素67が切欠き65にはめ込まれた場合、ピン69が密閉要素42の開口63にはまり込む。
全体として、密閉要素42を円周方向Uにおける変位に対して固定するための手段は、密閉要素42の開口63、タービン円板19の端面に設けられた切欠き65並びにこの切欠き65にはめ込まれる止め要素67を有している。
周溝20に沿った密閉要素42の許容可能な僅かな遊びは、開口63の円周方向幅が止め要素の円周方向幅すなわちピン直径より大きい場合にのみ生じる。冷却材領域37の燃焼ガス領域39からの特別な気密分離を達成するために、殊に開口63の幅はほぼピン69の直径に相当している。
止め要素67の切欠き65へのはめ込み後、止め要素67がかしめ工程によって僅かに塑性変形される。その場合、止め要素67は部位71が塑性変形される。これによって、止め要素67をはめ込むためになお存在していた僅かな遊隙が除去され、これによって、止め要素67の確実な固定が生ずる。その遊隙の除去によって止め要素67の両フランク70が切欠き65の両側壁66に押し合わされる。これによって、切欠き65の側壁66と止め要素67のフランク70との間に、止め要素67の不都合な緩みを確実に防止する確実な摩擦結合が生ずる。
かしめ工程は先端が僅かに丸められた適切なたがねによって行われる。そのたがねは止め要素67の部位71に当てられ、打ち付け衝撃が加えられる。たがねを制御して位置付けするために、止め要素は端面に窪み71が予め加工されており、この窪みにたがねを当てる。
図5に本発明の異なった実施例が斜視図で示されている。その場合、図4とは幾分変更された止め要素67が切欠き65にはめ込まれている。図5で利用される止め要素67は、端面側の窪み71の代わりに、(ロータに関して)2つの外被側(外周側)窪み71がかしめ工程の補助具として有している。これらの窪み71は、止め要素67が図5における切欠き65で採用される場合には、側壁66の外周側に設けられたポケット72に対向して位置している。上述した様式に応じたかしめ工程によって、止め要素の窪み71に隣接する材料がポケット72の中に押し入れられ、これによって、止め要素67を切欠き65の中に確実に位置づけるためにかみ合い結合が生ずる。
全体として本発明によれば、軸カラーの端面から切欠きの中にはめ込まれた止め要素が密閉要素の変位を阻止することによって、従来技術で公知の欠点が解消された密閉要素の固定構造が得られる。止め要素自体が不都合な緩みに対して固定されるようにするために、止め要素は塑性変形かしめによってタービン円板に固定される。
10 動翼の軸方向固定構造
12 動翼取付け溝
14 動翼
19 タービン円板
20 周溝
21 軸カラー
23 ロータ
24 保持溝
42 密閉要素
56 軸カラー側面
63 開口
65 切欠き
67 止め要素
69 ピン

Claims (5)

  1. ロータ(23)の軸方向に延びる動翼取付け溝(12)が外周部位(52)に設けられ該各動翼取付け溝(12)にそれに対応した動翼(14)の翼脚(54)がそれぞれ挿入配置される軸カラー(21)と、該軸カラー(21)の端面側側面(56)における動翼取付け溝(12)の範囲に配置され半径方向外側に向いて開いた周溝(20)を備えた突出部(58)と、各動翼(14)にそれぞれ形成され前記周溝(20)に半径方向に対向して位置する半径方向内側に向いて開いた保持溝(24)とを備え、動翼(14)を軸方向に固定するためにそれぞれ周溝(20)と保持溝(24)とに係合し円周方向(U)に延びる端面側の環状密閉板を形成する複数の板状密閉要素(42)が設けられている、ロータ(23)における動翼(14)の軸方向固定構造(10)であって、
    密閉要素(42)を円周方向(U)における変位に対して固定するために少なくとも1個の密閉要素(42)が開口(63)を有し、軸カラー(21)の側面(56)に前記開口(63)とほぼ一列に並ぶ切欠き(65)並びに該切欠き(65)内に置かれる止め要素(67)が設けられ、該止め要素(67)が端面側に前記開口(63)にはまり込む突出ピン(69)を備え、止め要素(67)がその塑性変形かしめによって脱落に対して固定されており、前記止め要素(67)が、その組込み位置に関して、切欠き(65)の範囲において断面くさび状に形成され、前記切欠き(65)が止め要素(67)のくさび形状に合わせて形成され、切欠き(65)の両側側壁(66)が互いに半径方向外側に徐々に狭まるように傾斜されており、さらに、前記切欠き(65)が半径方向外側に向いて開いていることを特徴とするロータ(23)における動翼の軸方向固定構造。
  2. 切欠き(65)の側壁(66)に、止め要素(67)の材料が塑性変形によって少なくとも部分的に押し入れられる、ロータに関して外周面側ポケットが設けられていることを特徴とする請求項に記載の軸方向固定構造。
  3. 軸カラー(21)がタービン円板(19)によって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の軸方向固定構造。
  4. 少なくとも一つ置きの密閉要素(42)が該密閉要素(42)を変位に対して固定するための手段を有していることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の軸方向固定構造。
  5. 請求項1ないしのいずれか1つに記載の動翼の軸方向位置固定構造を備えていることを特徴とするガスタービン。
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