JP4921387B2 - タービン動翼 - Google Patents

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本発明は蒸気タービンやガスタービンに用いられるタービン動翼に係り、特に、翼部の外周に環状のカバープレートを備えたタービン動翼に関する。
翼部の外周に環状のカバープレートを備えたタービン動翼は、例えば特許文献1に開示された蒸気タービン動翼のように、既に提案されている。
この蒸気タービン動翼は、タービンロータのディスクの外周部に支持された複数の翼部と、これら翼部の外径側に夫々設けられたシュラウドと、これら各シュラウドに外径側に突出して形成された複数の突起部と、これら複数の突起部を貫通させて固定することで前記翼部の外径側端部を連結する環状のカバープレートとを備え、カバープレートの外周をその外周側に設置するケーシングの内周面側に隙間を介して接近させた構成をしている。
特開2005−195021号公報
上記特許文献1に記載の蒸気タービン動翼は、連結作業によっては翼部外径端の突起部とカバープレートの連結部がカバープレート表面に突出することも予想されるので、カバープレートとケーシング間の隙間は、連結部の突出部分を考慮して設定していた。
そのため、翼部外径端の突起部とカバープレートの連結部を考慮して設定した隙間から、作動流体である蒸気の漏洩量が多くなり、タービンの効率を低下させることになる。
本発明の目的は、カバープレートとケーシングとの間の作動流体の漏洩を抑制してタービン効率の低下を防止できるタービン動翼を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、タービンロータのディスクの外周部に支持された複数の翼部と、これら翼部との連結部を外周面側に設けた環状のカバープレートとを備え、カバープレートの外周をその外周側に設置するケーシングの内周面側に隙間を介して接近させたタービン動翼において、前記カバープレートに、前記隙間をタービンロータの長手方向に貫流する漏洩作動流体に対して抵抗となる抵抗体を設けたのである。
このように構成することで、抵抗体によって隙間を貫流する漏洩作動流体の流量を制限することができ、その結果、タービン効率の低下を防止できるタービン動翼を得ることができる。
以下本発明によるタービン動翼の第1の実施の形態を、図1〜図3に示す蒸気タービンの動翼に基づいて説明する。
蒸気タービンのタービン動翼1は、回転軸(図示せず)に一体に形成されたディスク2と、このディスク2の外周に支持された複数の翼部3と、これら複数の翼部3をその外周で連結する環状のカバープレート4とで構成されている。
さらに詳細に説明すると、ディスク2の外周部には、軸方向に長いダブテール溝2Gが周方向に所定間隔で複数設けられており、このダブテール溝2Gに軸方向から挿入して係合するダブテール5Tを有する複数のプラットフォーム5と、このプラットフォーム5に一体化された翼部3と、この翼部3の外径側に一体に形成されたシュラウド6と、このシュラウド6の外表面から外径方向に複数突出させた突起部7と、この突起部7に連結されるカバープレート4とを有している。そして、前記カバープレート4には、突起部7を貫通させる貫通孔4Hと、この貫通孔4Hの外周面側に形成した加締め用段部4Sとが形成されており、図2に示すように、突起部7を貫通孔4Hに貫通させた後、図3に示すように、突起部7を潰して加締め作業を行なって加締め部7Kを前記加締め用段部4Sに埋め込み、カバープレート4を翼部3に連結している。
そして、上記構成のタービン動翼1の外周部には、隙間Gを介してケーシング8が位置している。
上記タービン動翼1の近傍の構成は、周知であるが、本実施の形態においては、さらに、前記隙間G内に、この隙間Gをタービンロータの長手方向に貫流する漏洩作動流体に対する抵抗体であり、また隙間Gを小さく(狭く)する閉塞手段であり、さらに漏洩作動流体の流量制限手段でもある周方向に長いシールフィンを設けたのである。
このシールフィンは、カバープレート4の外周面の幅方向端部に設けられ、前記隙間Gを狭める方向に突出し、全周に亘って設けられた断面三角形状の環状フィンシール9と、前記突起部7と突起部7との間、云い代えれば、周方向に隣接する突起部7間に設けた断面三角形状の断続フィンシール10とがある。
前記環状フィンシール9は、本発明による環状抵抗体に該当するものであり、カバープレート4の幅方向の両端部に夫々設けられた第1環状フィンシール9Aと第2環状フィンシール9Bとからなる。また、前記断続フィンシール10は、本発明による断続抵抗体に該当するものであり、隣接する突起部7の加締め作業に邪魔にならない範囲で周方向に沿って長く形成されている。
このように、本実施の形態によれば、環状フィンシール9と断続フィンシール10とで、ケーシング8とカバープレート4の隙間Gを塞いで狭めているので、この隙間Gを貫流しようとする漏洩作動流体はその流量が制限される。その分、プラットフォーム5とシュラウド6との間の翼部3を通過する作動流体の流量は増加し、蒸気タービンの効率を向上させることができる。
また、環状フィンシール9と断続フィンシール10は断面が三角形状をなしているので、高速回転時に、遠心力によって三角形状の底辺側から頂部側に向う遠心力流体が発生する。その結果、この遠心力流体によって隙間Gを貫流しようとする漏洩作動流体を妨害することができるので、これによっても漏洩作動流体の貫流量を少なくすることができる。したがって、これら環状フィンシール9と断続フィンシール10は、本発明によるカバープレートの外周面に外径側に遠心力流体を発生させる流体発生手段でもあり得る。
ところで、本実施の形態においては、環状フィンシール9の第1環状フィンシール9Aと第2環状フィンシール9B及び複数の断続フィンシール10をカバープレート4の外周面に設けたものであるが、蒸気タービンの機種や容量によっては、断続フィンシール10を設けずに環状フィンシール9のみを設けてもよく、逆に、環状フィンシール9を設けずに断続フィンシール10のみを設けてもよい。さらに、環状フィンシール9のみを設ける場合、第1環状フィンシール9Aと第2環状フィンシール9Bのいずれか一方のみを設けてもよい。
いずれにしても、環状フィンシール9と断続フィンシール10の高さ寸法は、少なくとも加締め部7Kの高さと同じ寸法又はそれ以上になるように設定することで、漏洩作動流体の隙間Gからの貫流を効率よく制限することができる。
次に、本発明によるタービン動翼の第2の実施の形態を図4〜図6に示す蒸気タービン動翼1について説明する。尚、図4〜図6において図1〜図3と統一符号は同一構成部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
本実施の形態において、第1の実施の形態と異なる構成は、環状フィンシール9と断続フィンシール10以外に、突起部7の加締め部7Kを除いた部分に、突起部フィンシール11を設けた点である。
即ち、図5に示すように、カバープレート4の貫通孔4Hを貫通させた突起部7の貫通端部の周縁部7Sのみを潰して加締めることでカバープレート4と翼部3の連結が十分に行なえるのであれば、周縁部7Sを除く突起部7の頂部に、断面三角形状をなし周方向に長い突起部フィンシール11を設けることができる。そして、この突起部フィンシール11は、隣接する突起部7間に位置する断続フィンシール10と共に環状のカバープレート4のほぼ全周に亘るフィンシールを形成できるので、漏洩作動流体の隙間Gからの貫流量をさらに低減することができるのである。
このように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様な効果を奏することができると共に、第1の実施の形態と同様に各フィンシールを選択的に設けてもよい。
ところで、上記各実施の形態において、突起部7の頂部が加締め後にカバープレート4の表面から大きく突出する場合には、カバープレート4の周方向に隣接する突起部7間の位置にのみ断続フィンシール10を設け、大きく突出した突起部7の頂部は貫流する漏洩作動流体を制限する抵抗体,閉塞手段,流量制限手段として作用するので、漏洩作動流体の隙間Gからの貫流量を低減することができる。一方、突起部7の頂部が加締め後にカバープレート4の表面から僅かに突出あるいは突出しない場合には、突起部7の頂部に突起部フィンシール11を設けて隣接する断続フィンシール10間に生じる空間を塞ぐことで、漏洩作動流体の隙間Gからの貫流量を低減することができる。
図7は、本発明によるタービン動翼の第3の実施の形態を示すものである。
第1及び第2の形態においては、カバープレート4の厚さ寸法よりも大きな突起寸法の突起部7をカバープレート4に貫通させ、その貫通端を潰して加締めることで、翼部3とカバープレート4との連結を行っている。しかし、図7に示す第3の実施の形態のように、カバープレート4の厚さ寸法と同じ寸法の突起部7をシュラウド6から突出させた場合、潰しによる加締めを行うことができない。そこで、カバープレート4の厚さ寸法と同じ寸法の突起部7をカバープレート4の貫通孔4Hに挿入する場合には、その挿入先端の周縁をカバープレート4と溶接12することで、最終的にカバープレート4と翼部3を連結するようにしてもよい。
勿論、突起部7がカバープレート4の外周面と同じ高さとなっているので、カバープレート4の外周面とケーシング8との隙間Gと同じ隙間Gが突起部7の頂部とケーシング8との間に存在し、突起部7の頂部の上の隙間Gから漏洩作動流体が貫流する。そのために、第2の実施の形態と同じように、突起部7の頂部に突起部フィンシール11を設けることで、漏洩作動流体の貫流量を制限することができる。
尚、図7中で、図6と同符号は同一構成部品を示す。
このように、翼部3とカバープレート4との連結が異なる本実施の形態においても、前記実施の形態と同じ効果を奏することができる。
ところで、以上の各実施の形態においては蒸気タービンのタービン動翼1について説明したが、ガスタービンのタービン動翼も蒸気タービンのタービン動翼1と同様な構成で同様な課題が存在する場合には、ガスタービンのタービン動翼に対しても本発明を適用できるのは云うまでもない。
また、以上説明の各実施の形態において、環状フィンシール9をカバープレート4の外周面の幅方向両側からケーシング8に接近するように突出させたものであるが、カバープレート4の幅方向両側面に溶接やねじ止め等の周知の固定手段で別構成の環状フィンシールを取り付けるようにしてもよい。
本発明によるタービン動翼の第1の実施の形態を示す要部斜視図。 図1に示す翼部外周部近傍の加締め前の縦断正面図。 図1に示す翼部外周部近傍の加締め後の縦断正面図。 本発明によるタービン動翼の第2の実施の形態を示す図1相当図。 図4に示す翼部外周部近傍の加締め前の縦断正面図。 図4に示す翼部外周部近傍の加締め後の縦断正面図。 本発明によるタービン動翼の第3の実施の形態を示す図6相当図。
符号の説明
1…タービン動翼、2…ディスク、2G…ダブテール溝、3…翼部、4…カバープレート、4H…貫通孔、4S…加締め用段部、5…プラットフォーム、5T…ダブテール、6…シュラウド、7…突起部、7K…加締め部、7S…周縁部、8…ケーシング、9…環状フィンシール、9A…第1環状フィンシール、9B…第2環状フィンシール、10…断続フィンシール、11…突起部フィンシール、12…溶接。

Claims (3)

  1. タービンロータのディスクの外周部に支持された複数の翼部と、これら翼部との連結部を外周面側に設けた環状のカバープレートとを備え、カバープレートの外周をその外周側に設置するケーシングの内周面側に隙間を介して接近させたタービン動翼において、前記隙間をタービンロータの長手方向に貫流する漏洩作動流体に対して抵抗となる環状フィンシールを、前記カバープレートの外周面上に設けると共に、周方向に断続的に断続フィンシールを前記カバープレートの外周面上に設けたことを特徴とするタービン動翼。
  2. 前記断続フィンシールは、前記カバープレートの外周面上に突出し周方向に隣接する複数の突起部間に設けられていると共に、前記カバープレートの外周面上に突出し周方向に隣接する複数の突起部に、前記隙間をタービンロータの長手方向に貫流する漏洩作動流体に対して抵抗となる突起部フィンシールが設けられていることを特徴とする請求項1記載のタービン動翼。
  3. 前記突起部は、前記カバープレートに対して加締め又は溶接により連結されていることを特徴とする請求項2記載のタービン動翼。
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