以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、鉄骨ユニット工法により構築された2階建てユニット式建物に本発明を具体化している。図8はユニット式建物10の概要を示す斜視図、図9は浴室用の建物ユニット20aにおける骨格の構成を示す図である。
図8に示すように、住宅等のユニット式建物10は、建物本体11と、建物本体11の上方に配設された屋根12とを含んで構成されている。建物本体11は、複数の建物ユニット20が上下2層に連結されることで形成されており、これら建物ユニット20の1階部分には、浴室15及び脱衣室16を構成する浴室用の建物ユニット20aが含まれている。
図9(a)に示すように、建物ユニット20aにおいては、その四隅に柱21が配され、各柱21の上端部及び下端部がそれぞれ4本の天井大梁22、床大梁23により連結されている。それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されており、柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。建物ユニット20aにおいて長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁24が架け渡されている。
図9(b)に示すように、建物ユニット20aにおいては、浴室15が形成される浴室スペースS1と、脱衣室16が形成される脱衣室16とが隣接して設けられている。建物ユニット20aにおいて長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁25及び複数の受小梁27が架け渡されており、各床小梁25は脱衣室スペースS2側に配置されている。床小梁25は、四角筒状の角形鋼よりなる支持部材であり、その長手方向両端部が床大梁23の上部に連結されている。一方、各受小梁27は浴室スペースS1側に配置されている。詳細には、各受小梁27のうち、床小梁25と隣り合って配置されている受小梁27のみ脱衣室スペースS2に設けられている。受小梁27は四角筒状の角形鋼よりなる支持部材であり、その長手方向両端部が床大梁23の下部に連結されている。上記構成によれば、受小梁27の上面の高さ位置が床小梁25の上面よりも下方に設定されている。
ここで、浴室用の建物ユニット20aの構成について、図1〜図3を参照しつつ説明する。図1は浴室15周辺の構成を示す平面図、図2は浴室15周辺の構成を示す断面図、図3は支持フレーム49の構成を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、建物ユニット20aには、浴室15を形成する浴室ユニット31が設置されている。浴室15の隣には隣接室内空間としての脱衣室16が配置されており、脱衣室16には洗濯機32が設置されている。浴室15と脱衣室16との間には、仕切壁33が設けられており、仕切壁33には洗濯機32への給水を行う洗濯機用水栓34が設けられている。洗濯機用水栓34は連結ホースにより洗濯機32の給水装置に対して連結されている。
浴室ユニット31は、浴室15において壁面を形成する壁パネル35と、天井面を形成する天井パネル36と、床面を形成する浴室床パン37と、浴槽38とを有しており、それら壁パネル35、天井パネル36、浴室床パン37及び浴槽38は一体的に形成されている。浴室床パン37と浴槽38とは横並びで設けられており、浴槽38は浴室床パン37を挟んで脱衣室16とは反対側に配置されている。浴槽38の底部には浴槽排水口41が形成されており、浴槽排水口41から止水栓が抜かれることにより浴槽38内の残り湯等が浴槽排水として排出される。
浴室床パン37の上方空間は洗い場スペースとして使用され、浴室床パン37は洗い場床パネルに相当する。浴室床パン37は、浴槽38の底部より上方に配置されており、浴槽38の底面より高い位置にて床面を形成している。この場合、浴室床パン37の上面から浴槽38の上端までの高さ寸法は、浴槽38の深さ寸法より小さくなっている。つまり、浴槽38の側部をまたぐために必要なまたぎ高さが浴槽38の側部より低くなっている。したがって、入浴者は浴槽38内と洗い場スペースとを容易に行き来することができる。
浴室床パン37の浴槽38側の端部には床パン排水口45が形成されており、床パン排水口45は、浴室蛇口46やシャワーヘッド47から放出された湯を洗い場排水として排出する。なお、浴室床パン37の上面は床パン排水口45の部分が最も低くなるように全体的に傾斜している。
浴室ユニット31の下方には、建物ユニット20a内でその浴室ユニット31を支持するための支持フレーム49が設けられている。図3に示すように、支持フレーム49は、受小梁27上に載置されるベース部49aと、ベース部49aから上方に起立して設けられ、上端部で浴室床パン37を支持する床パネル支持部49bとを有している。ベース部49a及び床パネル支持部49bは、棒状のフレーム材によりそれぞれ形成されている。また、ベース部49a及び床パネル支持部49bは、それぞれ平面視で略四角形状に形成されているが、その外周部の一部が取り除かれた構成となっている。図2に示すように、支持フレーム49は、建物ユニット20aの受小梁27上に載置され、その支持フレーム49に支持された状態で浴室ユニット31が設置されている。また、浴室ユニット31の浴室床パン37が床パネル支持部49bにより支持されている。
浴室床パン37の下方には、排水ユニット50が設けられている。ここで、排水ユニット50の構成について図4に基づいて説明する。なお、図4は、排水ユニット50を示す斜視図である。
排水ユニット50は、浴槽38から排出された浴槽排水を貯留するための貯留タンク51と、この貯留タンク51に接続された複数の接続パイプ61〜63と、これら貯留タンク51及び接続パイプ61〜63を一体的に支持する支持パネル52とを備えている。ここで、貯留タンク51及び接続パイプ61〜63が排水通路部材に相当し、支持パネル52が支持部材に相当する。また、貯留タンク51及び接続パイプ61〜63はそれぞれ固定部材56により支持パネル52上に固定されている。本実施形態では、貯留タンク51に貯留された浴槽排水を洗濯機32に供給して再利用する構成となっている。
貯留タンク51は、扁平形状でかつ略直方体形状をなして形成されており、そのタンク容量が浴槽38の容量(例えば200〜300リットル)より小さく且つ洗濯機32の容量(例えば30〜60リットル)より大きい容量(例えば80リットル)に設定されている。貯留タンク51は、例えば断熱性に優れた樹脂材料よりなり、貯留している浴槽排水を保温する機能を有している。また、貯留タンク51には、その上面部に開口部53が形成されるとともに、その開口部53を開閉可能とする蓋部55が設けられ、この蓋部55を開くことにより貯留タンク51内のメンテナンスを行うことが可能となっている。
貯留タンク51における対向する側面にはそれぞれ、流入側パイプ61と流出側パイプ62とが接続されている。流入側パイプ61には、浴槽排水口41に接続された浴槽側配管71の下流側端部が接続されており、流出側パイプ62には洗濯機用水栓34に接続された給水配管77の上流側端部が接続されている。貯留タンク51には流入側パイプ61を通じて浴槽38から浴槽排水が流れ込み、流出側パイプ62を通じて貯留タンク51内の浴槽排水が洗濯機用水栓34に流れ出すようになっている。また、貯留タンク51において流出側パイプ62が設けられている側面には、さらに排水パイプ63が接続されている。排水パイプ63には、貯留タンク51内の貯留水を洗濯機用水栓34に供給することなく外部に排出する排水配管81の上流側端部が接続されている。なお、これら各接続パイプ61〜63は、例えばストレートに形成された樹脂製パイプ等からなり、その先端部が貯留タンク51の側面にてそれぞれ対応する部位に形成された孔部(図示略)に挿入され接着等により固定されている。
貯留タンク51の内部には、電動式の給水用ポンプ64が設けられている。給水用ポンプ64は、その吐出側が流出側パイプ62と接続されており、給水用ポンプ64を駆動させると、貯留タンク51内の水が流出側パイプ62を通じて貯留タンク51の外に流れ出すようになっている。
支持パネル52は、例えば矩形平板状に形成された合板よりなる。なお、支持パネル52の外周部に沿って、スチール等の高剛性金属よるなる枠フレームが設けられていてもよい。
図2の説明に戻り、上記のように構成された排水ユニット50は、浴室床パン37の下方において、受小梁27上に載置された状態で、支持フレーム49の床パネル支持部49bにより形成される空間部(図3のSA)に設置されている。かかる場合、排水ユニット50は、受小梁27上に載置された状態で、図の右方向に移動可能になっている。このとき、上述したとおり支持フレーム49ではベース部49a及び床パネル支持部49bの一部(平面視とした場合の外周部の一部)が取り除かれた構成となっており、排水ユニット50は、支持フレーム49が支障となることなく図の左右方向に移動可能となっている。なお、排水ユニット50が移動可能となる構成の詳細については後述する。
排水ユニット50の流入側パイプ61には、上述したように浴槽側配管71の一端部が接続されている。ここで、流入側パイプ61と浴槽側配管71との接続部には、それら両者を接続及び接続解除のいずれかの状態とする継手機構が設けられており、その継手機構の構成について図5を参照しつつ説明する。
流入側パイプ61における浴槽側配管71との接続側端部には、その外周面に周方向に沿って溝部61aが形成されている。この溝部61aには、シール部材としてのOリング73が配設されている。また、流入側パイプ61の外周面には、上記溝部61aよりも貯留タンク51側の部位に同外周面から突出する突出部61bが設けられている。この突出部61bは、流入側パイプ61の外周に沿って設けられている。
一方、浴槽側配管71は、例えば硬質塩化ビニル管等からなり、その内径が流入側パイプ61の外径とほぼ同じ寸法で形成されている。浴槽側配管71の内部には、流入側パイプ61の先端部が挿入されている。具体的には、流入側パイプ61は、突出部61bが浴槽側配管71の先端部に当接されており、そのため突出部61bよりも先端側の部分が浴槽側配管71に挿入されている。この挿入状態において、流入側パイプ61に設けられたOリング73は浴槽側配管71の内周面により圧縮されており、かかる圧縮状態で接続部からの水漏れを防止する機能を果たしている。
浴槽側配管71の外周面には、流入側パイプ61の突出部61bに係合可能な係合部75が設けられている。係合部75は、浴槽側配管71の先端部において回動可能に設けられており、回動されることにより流入側パイプ61の突出部61bに係合したりその係合を解除したりすることが可能となっている。浴槽側配管71には、係合部75を回動駆動させるための駆動装置76が設けられている。駆動装置76は、例えば周知の電動式モータ等からなる。ここで、駆動装置76が電動アクチュエータに相当する。本実施形態では、この駆動装置76により係合部75を回動駆動させることで、係合部75による突出部61bへの係合及びその解除が行われるようになっており、ひいては流入側パイプ61と浴槽側配管71との接続及び接続解除の切替が行われるようになっている。なお、係合部75(及び駆動装置76)は、浴槽側配管71の外周面に沿って複数設けられているのが望ましい。
図2の説明に戻り、排水ユニット50の流出側パイプ62と洗濯機用水栓34を接続する給水配管77は、二つの配管78,79が接続されることにより構成されている。このうち流出側パイプ62に接続されるタンク側配管78は蛇腹状に形成されたホースよりなり、伸縮可能に構成されている。ここで、タンク側配管78がフレキシブル配管に相当する。一方、洗濯機用水栓34に接続される洗濯機側配管79は金属製のパイプよりなり、浴室ユニット31の壁パネル35と仕切壁33との間を同仕切壁33に沿うように上下に延びている。なお、流出側パイプ62とタンク側配管78とは図示しない固定バンドにより固定されている。
また、排水ユニット50の排水パイプ63に接続された排水配管81は蛇腹状に形成されたホースよりなり、伸縮可能に構成されている。排水配管81と排水パイプ63とは図示しない固定バンドにより固定されている。
上記配管構成において、給水用ポンプ64が駆動されると、貯留タンク51内の浴槽排水が給水配管77を通じて洗濯機用水栓34へ供給される。一方、浴槽排水口41から止水栓が抜かれると、浴槽38内の浴槽排水が浴槽側配管71を通じて貯留タンク51に流れ込む。
ところで、本実施形態では、脱衣室16の床部にメンテナンス窓部が設けられ、そのメンテナンス窓部の下方まで排水ユニット50を移動させることが可能となっている。そのため、このメンテナンス窓部を通じて貯留タンク51の洗浄等のメンテナンスができるようになっている。以下、その詳細について図1及び図2に加え図6を参照しつつ説明する。なお、図6は、床下空間における排水ユニット50のスライド移動を示し、(a)が排水ユニット50が浴室床パン37の下方位置に設置された状態を示す平面図であり、(b)が排水ユニット50がメンテナンス窓部の下方位置に設置された状態を示す平面図である。
図2に示すように、建物ユニット20aの天井小梁24上には、脱衣室16の床面を形成する床材84が設けられている。床材84には、脱衣室16と床下空間とを連通する開口部としてのメンテナンス窓部83が設けられている。メンテナンス窓部83は、建物ユニット20aの長手方向(床小梁25や受小梁27の長手方向と直交する方向)に沿って排水ユニット50と横並びになる位置に設けられている。メンテナンス窓部83には、当該メンテナンス窓部83を開閉するメンテナンス扉85が設けられている。メンテナンス扉85は、脱衣室16側に開放可能とされている。
図6に示すように、受小梁27上には、当該受小梁27と直交する向きで一対のレール部材86が設けられている。各レール部材86は、排水ユニット50の支持パネル52の両端部に設けられており、メンテナンス窓部83の下方位置まで延びている。本実施形態では、係合部75による流入側パイプ61(突出部61b)に対する係合を解除することで、つまりは流入側パイプ61と浴槽側配管71との接続を解除することで排水ユニット50をレール部材86に沿ってスライド移動させることが可能となっている。具体的には、排水ユニット50は、浴室床パン37の下方位置(図6(a)参照)とメンテナンス窓部83の下方位置(図6(b)参照)との間で移動可能とされている。
なお、レール部材86に沿って排水ユニット50を移動させるための駆動装置(例えば、モータ等)をさらに設けてもよい。この場合、排水ユニット50をスライド移動させるに際して、利便性を高めることができる。
次に、浴槽排水が流れる経路について図7を参照しつつ説明する。図7は、浴室15周辺の水の流れ及び電気的な構成を示すブロック図である。
図7に示すように、浴槽38の浴槽排水口41は、浴槽側配管71よりなる浴槽側経路91を介して排水ユニット50の流入側パイプ61と接続されており、排水ユニット50の流出側パイプ62は、給水配管77よりなる洗濯機側経路92を介して洗濯機用水栓34と接続されている。したがって、浴槽排水は浴槽38から洗濯機用水栓34に供給される場合に浴槽側経路91、流入側パイプ61、貯留タンク51、流出側パイプ62及び洗濯機側経路92を流れることになる。
浴槽側経路91には、電気式の配管開閉装置としての浴槽側バルブ93が設けられている。浴槽側バルブ93が開閉されることにより浴槽側経路91における水の流通が許可又は遮断される。また、洗濯機側経路92においては、給水用ポンプ64が駆動されることにより貯留タンク51内の水が強制的に洗濯機用水栓34に供給される。
浴槽側経路91は、浴槽排水口41と浴槽側バルブ93との間において、下水設備94に通じる浴槽排水経路95に分岐している。したがって、浴槽排水は浴槽38から下水設備94に排出される場合に浴槽側経路91から浴槽排水経路95に流れ込むことになる。また、浴槽排水経路95には電気式の配管開閉装置としての浴槽排水バルブ96が設けられている。この浴槽排水バルブ96が開閉されることにより浴槽排水経路95における水の流通が許可又は遮断される。なお、下水設備94は、流れ込んだ水を下水として扱う設備であり、例えば下水道や浄化槽などを含んで構成されている。
浴槽排水経路95において浴槽排水バルブ96と下水設備94との間には、浴室床パン37の床パン排水口45に通じる床パン排水経路97が接続されている。したがって、洗い場排水は、床パン排水経路97及び浴槽排水経路95を通じて下水設備94に排出される。
浴槽排水経路95において浴槽排水バルブ96と下水設備94との間には、さらに、排水ユニット50の排水パイプ63に通じるタンク排水経路98が接続されている。したがって、貯留タンク51内の浴槽排水は、タンク排水経路98及び浴槽排水経路95を通じて下水設備94に排出される。なお、タンク排水経路98は、排水配管81を含んで構成されている。
また、タンク排水経路98には電気式の配管開閉装置としてのタンク排水バルブ99が設けられている。このタンク排水バルブ99が開閉されることによりタンク排水経路98における水の流通が許可又は遮断される。
続いて、浴槽排水を再利用するために各種制御を行う再利用システムの電気的構成について説明する。
建物10には、制御手段としてのコントローラ100が設けられている。コントローラ100は、CPUや各種メモリからなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、例えば脱衣室16の壁面に設置されている。コントローラ100は、手動操作が可能な操作部102を備えている。操作部102には、各種操作ボタンが設けられ、例えば浴槽38内の浴槽排水を貯留タンク51へ供給するための貯留ボタン、貯留タンク51内の浴槽排水を洗濯機32へ供給するための給水ボタン、貯留タンク51のメンテナンス開始時に操作されるメンテナンス開始ボタン、同メンテナンス終了時に操作されるメンテナンス終了ボタン等が設けられている。
コントローラ100の入力側には、貯留タンク51の貯留量を検出する貯留量センサ101が接続されている。貯留量センサ101は貯留タンク51に設けられており、その検出信号を逐次コントローラ100に対して出力する。
コントローラ100の出力側には、給水用ポンプ64、駆動装置76、浴槽側バルブ93、浴槽排水バルブ96及びタンク排水バルブ99が接続されている。コントローラ100は、住人等による操作部102の操作に基づいて、その操作に応じた指令信号を上記各機器64,76,93,96,99に出力し動作制御を行う。
次に、コントローラ100により行われる制御の内容について説明する。まず、浴槽排水を再利用する場合における制御の内容について説明する。
操作部102の貯留ボタンが住人等により操作された場合、コントローラ100は、浴槽側バルブ93を開状態とするとともに、浴槽排水バルブ96及びタンク排水バルブ99を閉状態とする。この場合、浴槽排水口41から排出された浴槽排水は、浴槽側経路91を通じて貯留タンク51に流れ込む。また、コントローラ100は、貯留量センサ101の検出信号に基づいて、貯留タンク51内が満タンになったか否かを判定する。ここで、貯留タンク51内が満タンになると、浴槽側バルブ93を閉状態とするとともに、浴槽排水バルブ96を開状態とする。これにより、貯留タンク51が満タンとなった後は浴槽排水口41から排出された浴槽排水が浴槽排水経路95を通じて下水設備94へ排出される。
操作部102の給水ボタンが住人等により操作された場合、コントローラ100は、貯留量センサ101の検出信号に基づいて貯留タンク51の貯留量を算出する。ここで、貯留タンク51の貯留量が所定量(例えば5リットル)以上である場合には、給水用ポンプ64を駆動させて貯留タンク51から洗濯機側経路92を通じて洗濯機32へ浴槽排水を供給する。
一方、貯留タンク51の貯留量が所定量より少ない場合は、給水用ポンプ64を駆動させない。この場合、貯留タンク51から洗濯機用水栓34への給水が行われない。なお、洗濯機32の給水装置には、洗濯機用水栓34の他に水道管用水栓が接続されており、水道管用水栓が開放されることで洗濯機32に水道水が供給される。
次に、貯留タンク51のメンテナンスを行う場合における制御の内容について説明する。
操作部102のメンテナンス開始ボタンが住人等により操作された場合、コントローラ100は、浴槽側バルブ93を閉状態とするとともにタンク排水バルブ99を開状態とする。この場合、浴槽38から貯留タンク51への浴槽排水の流入が阻止されるとともに、貯留タンク51に貯留されている浴槽排水がタンク排水経路98を通じて下水設備94へ流出される。また、コントローラ100は、貯留量センサ101の検出信号に基づいて、貯留タンク51が空になったか否かを判定する。貯留タンク51が空になった場合には、タンク排水バルブ99を閉状態とするとともに、駆動装置76を駆動させて係合部75による流入側パイプ61(突出部61b)に対する係合を解除する。これにより、流入側パイプ61を浴槽側配管71から引き抜くことが可能となり、ひいては排水ユニット50をメンテナンス窓部83の下方位置まで移動させることが可能となる。なお、上記の係合が解除されると、コントローラ100に設けられたスピーカにより排水ユニット50の移動が可能となった旨が報知される。具体的には、例えば「排水ユニットを移動してください」、「メンテナンスを開始してください」等の音声がスピーカより出力される。これにより、住人は貯留タンク51のメンテナンス開始が許可されたことを知ることができる。
また、コントローラ100は、係合部75が解除状態にある場合には、操作部102の貯留ボタン又は給水ボタンが操作されても、浴槽排水の貯留タンク51への貯留制御又は浴槽排水の洗濯機32への給水制御を実行しない。これにより、貯留タンク51のメンテナンス時に誤って給水操作等がされても、配管の接続が外れた部分から水漏れが生ずる等の事態を回避できる。
操作部102のメンテナンス終了ボタンが住人等により操作された場合、コントローラ100は、駆動装置76を駆動させて係合部75を流入側パイプ61の突出部61bに係合させる。これにより、流入側パイプ61が浴槽側配管71に対して接続固定されるため、浴槽排水の再利用が可能となる。係合部75による上記係合が行われた後、コントローラ100は、配管の接続が完了した旨をスピーカにより報知する。具体的には、例えば「配管の接続完了」、「浴槽排水の利用ができます」等の音声をスピーカより出力する。
次に、貯留タンク51及び接続パイプ61〜63を洗浄する際の手順について説明する。
まず、操作部102のメンテナンス開始ボタンを操作する。これにより、所定時間が経過すると、コントローラ100に設けられたスピーカにより排水ユニット50の移動が可能となった旨が報知される。この報知後、メンテナンス扉85を開く。
次に、排水ユニット50をメンテナンス窓部83の下方位置までスライド移動させる。この移動作業では、まずタンク側配管78又は排水配管81を引っ張ることにより、メンテナンス窓部83から流出側パイプ62及び排水パイプ63に手が届く位置まで排水ユニット50を移動させる。その後、タンク側配管78及び排水配管81をそれぞれ流出側パイプ62及び排水パイプ63から取り外す。そして、これらのパイプ62,63を持って排水ユニット50をメンテナンス窓部83の下方位置まで移動させる。
次に、貯留タンク51及び接続パイプ61〜63の洗浄作業を行う。洗浄作業では、貯留タンク51の蓋部55を開いて、貯留タンク51内の汚れや接続パイプ61〜63の汚れを除去する作業を行う。
洗浄作業の終了後、排水ユニット50を元の設置位置まで移動させる。この作業は、例えばメンテナンス窓部83より上半身を床下空間に突っ込み、貯留タンク51を設置位置(つまり浴室床パン37の下方位置)の方に押すことにより行う。また、この作業は、流入側パイプ61が浴槽側配管71に挿入され、流入側パイプ61の突出部61bが浴槽側配管71の先端部に当接されるまで行う。排水ユニット50の移動後、メンテナンス扉85を閉める。
次に、操作部102のメンテナンス終了ボタンを操作する。これにより、コントローラ100に設けられたスピーカにより配管の接続が完了した旨が報知されると、貯留タンク51及び接続パイプ61〜63の洗浄作業は終了する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
浴槽38から排出される浴槽排水が流通される貯留タンク51及び接続パイプ61〜63(以下、貯留タンク51等と略す)と、これら貯留タンク51等を一体的に支持する支持パネル52とを備える排水ユニット50を浴室15の床下に設置するとともに、脱衣室16に設けられたメンテナンス窓部83の下方まで移動可能とした。この場合、排水ユニット50をメンテナンス窓部83の下方まで移動させることで、メンテナンス窓部83を通じて貯留タンク51等にアクセスすることが可能となるため、貯留タンク51等のメンテナンス作業をメンテナンス窓部83を通じて床上から行うことができる。よって、貯留タンク51等のメンテナンス作業を好適に行うことができる。
排水ユニット50の支持パネル52の両端部には、メンテナンス窓部83の下方位置まで延びるレール部材86を設けた。これにより、排水ユニット50をレール部材86に沿ってメンテナンス窓部83の下方位置まで移動させることができるため、排水ユニット50の移動に際して利便性を高めることができる。
排水ユニット50には、浴槽38から排出される浴槽排水を貯留する貯留タンク51を設置した。この場合、排水ユニット50をメンテナンス窓部83の下方位置まで移動させることで、メンテナンス窓部83を通じて貯留タンク51のメンテナンス作業を床上から行うことができる。これにより、浴槽排水の汚れが蓄積し易いことが想定される貯留タンク51内の洗浄等を好適に実施することが可能となる。
排水ユニット50を、浴槽38の底面よりも高い位置に設けられた浴室床パン37の下方に設ける構成とした。この場合、デッドスペースとなりうる浴室床パン37の下方空間の有効利用を図りつつ排水ユニット50の設置ができる。また、排水ユニット50を浴室床パン37の下方に設置することで、浴室15の熱を貯留タンク51に伝達させ貯留タンク51内の浴槽排水を保温する効果も期待できる。特に、貯留タンク51は断熱性に優れた材料により形成されているため、その点からも保温効果が得られると考えられる。
仕切壁33で仕切られた浴室15及び脱衣室16の下方に形成された床下空間において排水ユニット50が移動できる構成とした。この場合、脱衣室16に設けられたメンテナンス窓部83を通じて貯留タンク51等のメンテナンスを行うことができる。これにより、浴室15にメンテナンス窓部を設けることでメンテナンス窓部からの水漏れが生ずる等の不都合を回避しつつ、貯留タンク51等のメンテナンスを行うことができる。
また、浴室床パン37にメンテナンス窓部を設ける構成とすることも可能ではあるが、この場合、防水構造を施す必要があるため床部周辺の構成が複雑となる。その点、メンテナンス窓部83を脱衣室16の床材84に設ける上記構成の場合、床部の構成を比較的簡素化することができる利点もある。
流入側パイプ61は、浴槽側配管71に挿入された状態で浴槽側配管71と接続されており、この挿入方向と排水ユニット50の移動方向とが同じ方向に設定されている。そして、排水ユニット50を移動させることで、流入側パイプ61の浴槽側配管71からの引き抜き及び流入側パイプ61の浴槽側配管71への挿し込みを行うようにした。これにより、排水ユニット50の移動と、流入側パイプ61の浴槽側配管71からの引き抜き又は浴槽側配管71への挿し込みとが一作業で行うことができるため、作業負荷の軽減を図ることができる。
排水ユニット50の流出側パイプ62と洗濯機側配管79とを接続するタンク側配管78を蛇腹状に形成されたホースにより形成し伸縮可能とした。これにより、流出側パイプ62とタンク側配管78とを接続したまま排水ユニット50をメンテナンス窓部83の下方位置近くまで移動させることができるため、両配管78,79の接続及び接続解除を床上からメンテナンス窓部83を通じて行うことができる。よって、床下に潜る等して両配管78,79の接続及び接続解除をする手間を回避できるため、排水ユニット50の移動に際して利便性を高めることができる。
駆動装置76により係合部75を回動駆動させることにより、係合部75による流入側パイプ61に対する係合及び係合解除の切替を、すなわち流入側パイプ61と浴槽側配管71との接続及び接続解除の切替を実施するようにした。この場合、排水ユニット50を設置位置からメンテナンス窓部83の下方位置へ移動させる際には、流入側パイプ61と浴槽側配管71との接続を解除し、排水ユニット50を設置位置に戻した際には、流入側パイプ61と浴槽側配管71との接続を行うことができる。したがって、排水ユニット50を移動させる度に床下に潜る等して両配管61,71の接続及び接続解除を行う手間を回避できるため、排水ユニット50の移動に際して利便性を高めることができる。
また、流入側パイプ61よりも上流側の浴槽側配管71には、流入側パイプ61と浴槽側配管71との接続が駆動装置76により解除状態に切り替えられる場合に浴槽側配管71を閉鎖する浴槽側バルブ93を設けた。これにより、排水ユニット50をメンテナンス窓部83側へ移動した後に、浴槽側配管71が閉鎖されることから浴槽側配管71通じて浴槽側配管71から浴槽排水が漏れ出ることを抑制できる。
流出側パイプ62と給水配管77との接続部及び排水パイプ63と排水配管81との接続部については係合部75及び駆動装置76を有してなる継手機構が設けられていないが、その接続部がメンテナンス窓部83側を向いているためメンテナンス窓部83を通じての接続及び切り離しの作業が可能となっている。また、これらの接続部については排水ユニット50の移動に際して接続したままであってもよい。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、貯留タンク51に貯留された浴槽排水を洗濯機32に供給する構成としたが、これに代えて又は加えて、浴槽排水をトイレに設置された便器に供給する構成としてもよい。例えば、貯留タンク51に貯留された浴槽排水を洗濯機32に加えて便器にも供給する構成としては、以下のような構成が考えられる。
洗濯機側経路92(図7参照)には、当該経路92から分岐する便器側経路を設け、この便器側経路を便器用水栓に接続させる。ここで、便器用水栓は、電気的に配管を開閉する構成とされている。トイレには、住人により操作される洗浄ボタンが設けられ、コントローラ100は住人による洗浄ボタンの操作に基づいて便器用水栓を開状態とするとともに、給水用ポンプ64を駆動させる。この場合、貯留タンク51に貯留された浴槽排水が洗濯機側経路92及び便器側経路を通じて便器に供給されるため、浴槽排水を用いて便器を洗浄することが可能となる。なお、洗濯機側経路92には前記分岐箇所と洗濯機用水栓34との間にバルブを設け、浴槽排水の便器への給水時にはバルブを閉状態とすることで洗濯機32側への給水を禁止する必要がある点に留意する。
(2)上記(1)の構成において、浴槽排水に加え、洗濯機32から排出された洗濯排水や洗面所から排出された洗面排水を、便器を洗浄する洗浄水として使用するようにしてもよい。具体的には、例えば、洗濯排水や洗面排水を貯留するための第二貯留タンクを床下空間に設け、洗濯機32の排水口と第二貯留タンクとを配管を介して接続するとともに、洗面所の排水口と第二貯留タンクとを配管を介して接続する。この場合、洗濯排水及び洗面排水が第二貯留タンクに流れ込む。また、トイレには上記便器用水栓の他に第二便器用水栓を設け、この第二便器用水栓と第二貯留タンクとを配管を介して接続するとともに、配管上には第二給水用ポンプを設ける。ここで、第二便器用水栓を開状態とするとともに、第二給水用ポンプを駆動させると、第二貯留タンクに貯留された洗濯排水又は洗面排水が便器に供給される。したがって、この場合、浴槽排水に加え洗濯排水及び洗面排水(以下洗濯洗面排水という)についても便器の洗浄水として使用することができ、より一層水の再利用を図ることができる。
(3)上記(2)の構成において、浴槽排水及び洗濯洗面排水に加えて、水道水を便器の洗浄水として用いてもよい。具体的には、トイレには、便器用水栓及び第二便器用水栓の他に第三便器用水栓を設け、この第三便器用水栓に水道配管を接続する。この場合、貯留タンク51及び第二貯留タンクが空の場合でも水道水により便器を洗浄することができる。また、浴槽排水、洗濯洗面排水及び水道水のうちいずれを優先的に便器に供給するかを定め、その定めた優先順位に基づいて便器に水を供給するようにしてもよい。例えば、洗濯洗面排水、浴槽排水、水道水の順に優先して便器への給水を行うようにしてもよい。具体的には、第二貯留タンクに第二貯留量センサを設け、コントローラ100は、第二貯留量センサの検出信号に基づいて第二貯留タンクの貯留量を算出する。ここで、第二貯留タンクの貯留量が所定量(例えば5リットル)以上である場合には、第二便器用水栓を開状態とするとともに第二給水用ポンプを駆動させ、第二貯留タンクから便器へ洗濯洗面排水を供給する。また、第二貯留タンクの貯留量が所定量より少ない場合には、貯留量センサ101の検出信号に基づいて貯留タンク51の貯留量を算出する。ここで、貯留タンク51の貯留量が所定量(例えば5リットル)以上である場合には、便器用水栓を開状態とするとともに給水用ポンプ64を駆動させ、貯留タンク51から便器へ浴槽排水を供給する。一方、貯留タンク51の貯留量が所定量より少ない場合には、第三便器用水栓を開状態とし、水道水を便器へ供給する。以上より、便器の洗浄水としてのみ使用が可能な洗濯洗面排水が第一優先として、便器の洗浄水の他に洗濯機にも使用ができる浴槽排水が第二優先として、使い道が多様な水道水が第三優先として便器に供給される。この場合、水の再利用を好適に行うことができるため、断水時においても比較的長期間水の使用が可能となる。
(4)上記実施形態では、床下空間に排水ユニット50をひとつだけ設置したが、排水ユニット50を複数設置してもよい。例えば、上記(3)の構成の場合、排水ユニット50に加えて第二貯留タンクを備える第二排水ユニットを設置することが考えられる。具体的には、第二排水ユニットは、洗濯機32の下方位置において受小梁27上に設置され、当該設置位置とメンテナンス窓部83の下方位置との間で当該受小梁27に沿って移動可能とされている。この場合、メンテナンス窓部83を通じて排水ユニット50だけでなく第二排水ユニットもメンテナンスできる。また、第二排水ユニットは、メンテナンス窓部83との間に排水ユニット50を介在させない位置に設けられているため、排水ユニット50を回避等することなくメンテナンス窓部83の下方まで最短距離で移動させることができる。つまり、排水ユニットを複数設ける構成においても、好適に排水ユニットを移動させることができる。
(5)上述の(3)では、浴槽38からの浴槽排水を洗濯機32の他に便器にも供給し、さらに便器に対しては洗濯機32及び洗面所からの洗濯洗面排水をも供給して再利用を図るシステムについて説明したが、かかるシステムを構築するにあたっては浴槽38、洗濯機32、便器及び洗面所の各水廻り設備をひとつの建物ユニット20に組み込むのが望ましい。そうすれば、上記システムを構成する各配管をひとつの建物ユニットに集約させることができるため、配管長さを比較的短縮化でき、その結果配管コストの増大を抑制できる等の利点が得られる。
(6)上記実施形態では、貯留タンク51と接続パイプ61〜63とを排水ユニット50に備える構成としたが、貯留タンクのみ又は配管のみを排水ユニット50に備える構成としてもよい。また、上記実施形態では、中水としての浴槽排水が流れる貯留タンク51等を排水ユニット50に備える構成としたが、洗濯機32やトイレ等から排出された水を下水設備へ流すための排水管を排水ユニット50に備える構成としてもよい。
(7)建物ユニット20aの床下空間において、浴室床パン37の下方位置に排水ユニット50を収容する収容ケースを設けてもよい。例えば、収容ケースは、対向する一対の水平板を有しており、これら水平板の両端部を上下に短く繋ぐことにより薄型の四角筒状に形成されている。収容ケースは、その開口部を排水ユニット50の移動方向に向けた状態で、浴室床パン37の下方位置にて受小梁27上に設置固定され、この収容ケースの内部に排水ユニット50が収容される構成とする。つまり、排水ユニット50は、通常の設置状態では、収容ケースに収容されている。そして、排水ユニット50をメンテナンス窓部83の下方位置まで移動させる際には、収容ケースから排水ユニット50を引き出すことにより移動させる。上記構成によれば、浴室床パン37の下面等に設けられた浴室15保温用の断熱材等が排水ユニット50と干渉するのを収容ケースにより防止できるため、上記断熱材等が排水ユニット50と干渉することで排水ユニット50の円滑な移動が妨げられる等の事態を回避する効果が期待できる。
(8)上記実施形態では、建物10の1階部分における床下空間に排水ユニット50を設置したが、これを変更してもよい。例えば、浴室15及び脱衣室16を構成する建物ユニット20aが建物10の2階部分に設けられる場合には、建物10の2階部分における床下空間に、つまり1階部分と2階部分との間の階間空間に排水ユニット50を設置してもよい。また、この場合、1階部分への水漏れが懸念されるため、上記階間空間を防水構造とするのが望ましい。防水構造としては、例えば、建物ユニット20aの床下空間に、扁平形状に形成された防水パンを受小梁27上に設置することが考えられる。詳しくは、この防水パンは、同床下空間において浴室床パン37とメンテナンス窓部83とに跨るように設けられ、排水ユニット50をこの防水パン上に(つまりの防水パンの内側)に設置する。この場合、排水ユニット50は、防水パンに収容された状態で、浴室床パン37の下方位置とメンテナンス窓部83の下方位置との間を移動できる。したがって、貯留タンク51のメンテナンスのために排水ユニット50を移動させる際等に、接続パイプ61〜63と配管71,78,81との接続部から水漏れが発生した場合でも、その水を防水パンにより受けとめることができるため、漏れた水が一階部分へ流れ落ちるのを防止することができる。また、防水パンを受小梁27上に設置する構成とすることで、防水パンが建物ユニット20aの下端部から下方に突出することなく設置できるため、防水パンをユニット工場において建物ユニット20aに組み付け、その組み付け状態で建物ユニット20aを施工現場へ搬送することが可能となる。つまり、施工現場での工数増大を伴うのを抑制することができる。なお、防水パンの底部には排水口を形成しておき、その排水口をタンク排水経路98と配管を介して接続しておけば、防水パンに溜まった水をタンク排水経路を通じて下水設備94へ導くことができる。
(9)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。要は、排水ユニット50を設置するための床下空間を有する建物であれば、本発明を適用できる。
(10)上記実施形態では、浴槽側配管71に浴槽側バルブ93を設け、流入側パイプ61と浴槽側配管71との接続が駆動装置76により解除状態に切り替えられる場合には浴槽側配管71を浴槽側バルブ93により閉鎖する構成としたが、浴槽側配管71を閉鎖する構成はこれに限定される必要はない。例えば、浴槽側配管71の先端部に同先端部の開口部を開閉する蓋部材を設け、流入側パイプ61を浴槽側配管71から引き抜くと蓋部材により開口部が閉鎖され、流入側パイプ61を浴槽側配管71に挿し込むと蓋部材により開口部が開口される構成としてもよい。この場合でも、排水ユニット50をメンテナンス窓部83側へ移動した後に浴槽側配管71の開口部が閉鎖されることから浴槽排水が浴槽側配管71から漏れ出すのを抑制できる。
(11)上記実施形態では、流入側パイプ61と浴槽側配管71との接続が駆動装置76により解除状態に切り替えられる場合に浴槽側バルブ93により浴槽側配管71を閉鎖する構成としたが、排水ユニット50の移動に合わせて浴槽側バルブ93に閉鎖信号を出力することで浴槽側配管71を閉鎖する構成としてもよい。例えば、排水ユニット50に同ユニット50の移動を検出する検出センサを設け、このセンサからの検出信号に基づいて浴槽側バルブ93に閉鎖信号を出力することが考えられる。この場合、排水ユニット50を移動させると自動で浴槽側配管71が閉鎖されるため、浴槽側配管71からの水漏れを抑制するに際して利便性を高めることができる。
(12)上記実施形態では、駆動装置76により係合部75を回動駆動させることにより流入側パイプ61と浴槽側配管71との接続及び接続解除の切替を実施する構成としたが、流入側パイプ61と浴槽側配管71との接続構成はこれに限定されない。例えば、流入側パイプ61と浴槽側配管71とを蛇腹状に形成された伸縮可能なホースにより接続してもよい。この場合、流入側パイプ61と浴槽側配管71とをホースにより接続したまま排水ユニット50をメンテナンス窓部83の下方位置まで移動させることができるため、排水ユニット50の移動に際して利便性を高めることができる。