JP2011020879A - 灰色ジルコニア焼結体及びその製造方法 - Google Patents

灰色ジルコニア焼結体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明の目的は、雑色味のない、高級感のある審美性に優れた灰色系の色調を有する新規なジルコニア焼結体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
着色剤としてニッケルおよびコバルトを固溶したジルコン、着色助剤としてランタノイド酸化物、及び明度調整剤としてアルミナ酸化物を含有する部分安定化ジルコニア焼結体では、色差(L,a,b)がL=30〜85、a=−9.0〜9.0、b=−9.0〜9.0の範囲の灰色を呈し、なおかつ十分な機械的特性を有する。本発明のジルコニア焼結体は、各種部品の外装・装飾品として好適に使用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は灰色ジルコニア焼結体とその製造方法およびこれを用いた装飾部材、外装部材に関する。
ジルコニア焼結体、特に正方晶ジルコニア焼結体はその高い強度と鏡面研磨後の表面光沢の美しさから、時計バンドやアクセサリー等の装飾性の高い部材に用いられており、黒や黒に近い色が高級感を呈すために特に好まれている。
最近はこれらの用途に加え、高級建材、各種構造部材等の機械部材、電子部品基板等のセラミックス電子部材、携帯電話、モバイル家電製品等の外装部材等への適用と、その用途は広がりを見せている。こうした広がる用途において、従来から知られている黒色系以外の新規な色調を有するジルコニア焼結体、例えば原色系の色調を呈した各種カラーを有したカラージルコニア焼結体が強く望まれている。
特許文献1には、イットリアまたはカルシア安定化ジルコニアにNiOを添加した淡緑色の高強度着色ジルコニア質焼結体が提案されている。また、特許文献2には安定化ジルコニアにAlとCoOを添加した青色ジルコニア焼結体が提案されている。また特許文献3には、CrとFeOとCoOをAlに含有させたものをCeO安定化ジルコニアに添加した灰黒色を呈した着色ジルコニア系複合セラミックス焼結体が提案されている。特許文献4には酸化亜鉛を助剤に用いErを添加したピンク色を呈した高強度着色ジルコニア質焼結体が提案されている。
またセラミックスの顔料としてジルコン基を有するものが提案されている(例えば特許文献5)。しかし、コバルトとニッケルを含むジルコンをジルコニア焼結体に用いた場合において、特に審美性に優れた灰色の焼結体が得られることは知られていなかった。
このように、青色、緑色、ピンク色等に関しては報告があるものの、灰色系の色を呈したジルコニア焼結体に関する技術は未だ報告されておらず、これに応える技術が開発されていなかった。
特開昭59−105055号公報 特許2821680号公報 特開2005−289721号公報 特開平4−114964号公報 特開平3−28161号公報
本発明の目的は、灰色系の色調を有する新規なジルコニア焼結体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、ジルコンにニッケルおよびコバルトが固溶した化合物をジルコニアと複合化することにより、灰色系の色調を有するジルコニア焼結体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
以下、本発明のジルコニア焼結体について説明する。
本発明のジルコニア焼結体は、ニッケルおよびコバルトを固溶するジルコン(ZrSi(Ni,Co)O。以下、「ニッケル・コバルト固溶ジルコン」と称す)を含有し、色差(L,a,b)がL=30〜85、a=−9.0〜9.0、b=−9.0〜9.0であることを特徴とするジルコニア焼結体である。
本発明のジルコニア焼結体は、ジルコニアが安定化剤を含有することが好ましい。これにより、焼結体の機械的特性が向上する。安定化剤は特に限定されず、Y、CeO、CaO、MgO等が例示でき、これらのうちいずれかひとつを含有することが好ましい。材質の強度および色調の観点からYを含有することが好ましい。
安定化剤の含有量は特に限定されないが、例えば安定化剤がYである場合、2〜5mol%が好ましく、さらには3〜3.5mol%であることが好ましい。これにより、高強度および高靭性を兼ね備えたジルコニア焼結体となる。
本発明のジルコニア焼結体はニッケル・コバルト固溶ジルコンを含有する。
ニッケル・コバルト固溶ジルコンは灰色を発色させる着色剤として作用するため、これを含有したジルコニア焼結体は灰色系の色を呈する。
ジルコニア焼結体が含有するニッケル・コバルト固溶ジルコンの含有量は、焼結体全体に対して0.05wt%以上2wt%以下であることが好ましく、0.1wt%以上1wt%以下であることが特に好ましい。ニッケル・コバルト固溶ジルコン含有量がこの範囲であると、はっきりとした灰色を呈すだけでなく、副生相を含まず、かつ、高密度で優れた機械的特性を有するジルコニア焼結体となる。さらに、含有量が0.1wt%以上1wt%以下であると、黄色味および青味がより少ない、より深みのある灰色を呈するジルコニア焼結体となる。
一方、ニッケル・コバルト固溶ジルコン含有量が0.05wt%未満になると目的とする灰色を呈さない場合がある。また、ニッケル・コバルト固溶ジルコン含有量が2wt%を超えると、焼結体の密度が低くなるために目的とする色が得られにくく、さらに、機械的特性が著しく低下しやすい。
本発明のジルコニア焼結体は、着色助剤としてさらにランタノイド希土類酸化物を含有することが好ましい。これにより、ジルコニア焼結体がより明瞭な灰色となる。
本発明のジルコニア焼結体が含有するランタノイド希土類酸化物は、目的とする色調に合せて適宜選択できるが、酸化ランタン(La)、酸化セリウム(CeO)、酸化プラセオジウム(Pr11)、酸化ネオジウム(Nd)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ユーロピウム(Eu)、酸化ガドリウム(Gd)、酸化テルビウム(Tb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、酸化ホロミウム(Ho)、酸化エルビウム(Er)、酸化ツリウム(Tm)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ルテチウム(Lu)等が挙げられる。これらの酸化物に含まれるランタノイド希土類元素が、ジルコニアに固溶、粒界偏析することにより、ジルコニア焼結体の発色が明瞭になる。
ランタノイド希土類酸化物の含有量は、焼結体全体に対して0.005wt%以上0.1wt%以下であることが好ましく、0.01wt%以上0.07wt%以下であることが特に好ましい。ランタノイド希土類酸化物の含有量を、この範囲内で微量に制御して混合することにより、ベースとなるジルコニアの色調を変化し、その補色・調色効果により、赤味、黄色味もしくは青味がかっていない明瞭な灰色を呈したジルコニア焼結体を得ることが出来る。
ランタノイド希土類酸化物の含有量が0.005wt%未満であると、補色・調色効果は得られにくく、一方、0.1wt%を超えると、ジルコンの色調を損なうため灰色が得られにくいだけでなく、ジルコニア焼結体の機械的特性が劣化しやすい。
本発明のジルコニア焼結体はアルミナ酸化物を含有することが好ましい。
アルミナ酸化物を含有することで、灰色の白色度(明度)が強くなる。ニッケル・コバルト固溶ジルコンとアルミナ酸化物を同時に含有することにより、目的に応じた色調の灰色とすることができる。
アルミナ酸化物としては、ジルコニアよりも低波長域まで光の吸収帯を有しておらず光の散乱性が高く、白色度(明度)がジルコニアより高いものであることが好ましい。このようなアルミナ酸化物としては、高純度アルミナだけでなく、アルミニウム
を含む複合酸化物である、ムライト、コーディエライト等であってもよい。アルミナ酸化物の中でも、高密度、かつ、高強度の焼結体が得られるため、高純度アルミナであることがより好ましい。
本発明のジルコニア焼結体が含有するアルミナ酸化物の含有量は、0.1wt%以上30wt%以下であることが好ましく、0.25wt%以上20wt%であることが特に好ましい。
アルミナ酸化物の含有量が30wt%を超えると、ジルコニア焼結体の密度が低下しやすい。また、30wt%以上のアルミナ酸化物を含有して高密度のジルコニア焼結体を得ようとすると、必要とされる焼成温度が高くなるため、着色剤であるジルコンの色調が変化して目的とする灰色・淡灰色をにくい。また、アルミナ酸化物の添加量が0.1wt%未満であると、添加量が少なすぎ、焼結体の灰色の白色度(明度)の調整が難しくなりやすい。
本発明のジルコニア焼結体の色差(L,a,b)は、L=30〜85、a=−9.0〜9.0、b=−9.0〜9.0であり、好ましくはL=40〜85、a=−8.0〜8.0、b=−8.0〜5.0である。
ここで、Lは0〜100で変化し、L=100は白色、L=0は黒色である。aは、a>0の場合が赤色度、a<0の場合が緑色度を表す。また、b*は、b>0の場合が黄色度、b<0の場合が青色度を表す。
色差(L,a,b)をこの範囲とすることで、ジルコニア焼結体が灰色系の発色を呈する。a、bが本発明の範囲内であっても、Lが30未満であるとほぼ黒色となり、一方、Lが85を越えるとほぼ白色となるため、本発明の審美性に優れた灰色のジルコニア焼結体の色調は得られない。
また、本発明のジルコニア焼結体の色差は上述の範囲であれば特に限定はないが、その色差の範囲内でも目的に応じてさらに色調を選択して用いることが好ましい。例えば、いわゆるベーシックな灰色を必要とする場合、L=30〜60、a=−9.0〜9.0、b=−9.0〜9.0、特に、L=30〜60、a=−8.0〜5.0、b=−7.0〜8.0、さらにL=30〜60、a=−3.5〜3.5、b=−3.5〜3.5の範囲が好ましい。淡灰色を必要とする場合は、L=60〜85、a=−9.0〜9.0、b=−9.0〜9.0、特に、L=60〜85、a=−8.0〜5.0、b=−7.0〜8.0、さらにL=30〜60、a=−3.5〜3.5、b=−3.5〜3.5の範囲が好ましい。
値、b値の絶対値が大きくなると、赤味、青味、黄味又は緑味の色目がついた灰色となり、高級感に欠けた色調となり易い。
なお、本発明のジルコニア焼結体が呈する『灰色』とは、人が目視した場合に、色見本番号Q722−3−2、Q722−3−3、Q722−1−3、Q722−2−3、Q734−3−3、Q740−3−3(色見本Plastic opaque selector、PANTONE社)のいずれかに近似すると認識される色であり、『淡灰色』とは、Q722−1−4、Q722−2−4、Q722−3−4、Q722−3−5、Q722−2−5、Q740−3−5の何れかの色見本番号が表す色見本に近似すると認識される色である。
本発明のジルコニア焼結体は曲げ強度が800MPa以上であることが好ましく、850MPa以上であることが特に好ましい。これにより、従来の装飾部材用だけではなく、強度が必要とされる外装部材への使用も可能となる。
本発明のジルコニア焼結体はビッカース硬度が1000以上であることが好ましく、1100以上であることが特に好ましい。これにより、外装部材とした際の割れが発生しにくくなる。
本発明のジルコニア焼結体は、平均結晶粒径を1.5μm以下にすることが好ましい。これにより、高強度を有し研磨加工時の耐脱粒特性を兼ね備えた焼結体となる。
次に、本発明のジルコニア焼結体の製造方法について説明する。
本発明のジルコニア焼結体は、ジルコニアと、ニッケル・コバルト固溶ジルコン、および、目的に応じてアルミナ酸化物および/またはランタノイド希土類酸化物を混合、成形し、焼成することにより製造することができる。
本発明の製造方法ではジルコニア粉末を使用する。ジルコニア粉末は特に限定されないが、Y、CeO、CaO、MgO等のいずれかひとつ以上を安定化剤として含有する部分安定化ジルコニア粉末であることが好ましい。なお、材質の強度および色調の観点からYを含有した部分安定化ジルコニア粉末であることが好ましい。
本発明の製造方法では、着色剤としてニッケル・コバルト固溶ジルコン粉末を使用する。ニッケル・コバルト固溶ジルコン粉末は、ジルコニウムとケイ素の複合酸化物であるジルコン(ZrSiO)に本発明の目的の色調を付与し得るニッケル及びコバルトを固溶したものであり、例えば以下に示す方法で調製することができる。
着色剤の原料粉末として、酸化ジルコニウムまたはその前駆体から選ばれる少なくとも1種の酸化ジルコニウム原料、シリカまたはその前駆体から選ばれる少なくとも1種のシリカ原料、酸化ニッケルまたはその前駆体から選ばれる少なくとも1種の酸化ニッケル原料、および酸化コバルトまたはその前駆体から得られる少なくとも1種の酸化コバルト原料をそれぞれ所定量秤量した後、粉砕及び混合して着色剤前駆体を得る。
原料粉末の混合は、目的とするニッケル・コバルト固溶ジルコン粉末の組成となるように混合すれば特に制限はないが、例えば、酸化ジルコニウム原料とシリカ原料はZrとSiが1:1となるように混合し、酸化ニッケル原料および酸化コバルト原料はジルコンに固溶する量を、適宜混合すれば良い。
各原料粉末の粉砕及び混合方法は、均一に混合できれば特に制限されないが、例えば、ボールミル等を用いて湿式粉砕・混合を行うことが例示できる。
得られた着色剤前駆体を乾燥後、焼成し、凝集粒を解砕し、部分安定化ジルコニア粉末中に均一に分散しやすい着色剤とすることが好ましい。
着色剤前駆体の焼成条件は特に限定されないが、1400℃以上1800℃未満で1〜2時間行うことが好ましい。焼成雰囲気は、酸化雰囲気であれば特に限定されず、例えば、大気雰囲気下で行うことが出来る。
焼結後の解砕は、凝集粒がなくなればその方法に制限はなく、たとえば、ビーズミル等を用いて解砕することができる。
本発明で使用する着色剤(ニッケル・コバルト固溶ジルコン)は、1800℃程度の高温でも安定な化合物であり、1500℃以下の焼成温度であれば、アルミナとは反応しないため、アルミナ酸化物は得られるジルコニア焼結体の灰色の白色度(明度)を調整するために好ましい化合物である。
本発明の製造方法では、さらに着色助剤としてランタノイド希土類酸化物を使用することができる。これにより、得られるジルコニア焼結体の灰色を明瞭にすることができる。
本発明で添加するランタノイド希土類酸化物としては、酸化ランタン(La)、酸化セリウム(CeO)、酸化プラセオジウム(Pr11)、酸化ネオジウム(Nd)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ユーロピウム(Eu)、酸化ガドリウム(Gd)、酸化テルビウム(Tb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、酸化ホロミウム(Ho)、酸化エルビウム(Er)、酸化ツリウム(Tm)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ルテチウム(Lu)等が例示できる。
本発明の製造方法では、さらに明度調整剤としてアルミナ酸化物を使用することができる。これにより、得られるジルコニア焼結体の灰色の白色度(明度)を調整することができる。
各種粉末の添加量は焼結原料全体に対して、着色剤が0.05〜2wt%の範囲となるように添加することが好ましく、0.1wt%以上1wt%以下とすることが特に好ましい。また、アルミナ酸化物を使用する場合は原料粉末全体に対して0.1wt%以上30wt%以下となるように添加することが好ましく、0.25wt%以上20wt%とすることが特に好ましい。ランタノイド希土類酸化物の添加量は、0.005wt%以上0.1wt%以下として添加することが好ましく、0.01wt%以上0.07wt%以下とすることが特に好ましい。
本発明の製造方法では、部分安定化ジルコニア粉末、着色剤、必要に応じて着色助剤及び明度調整剤をボールミル等で湿式粉砕して混合粉末を得、ろ過・乾燥および解砕して焼結原料を調製する。
本発明の製造方法では得られた焼結原料を乾燥・造粒することが好ましい。造粒することにより、焼結原料の流動性が高くなり、焼結性が改善する。乾燥・造粒方法は、スプレードライ方法を用いることが好ましいが、簡易的なエバポレーターを用いた乾燥方法を使用することもできる。
乾燥・造粒後の焼結原料は粒子径を3μm以下、比表面積を5m/g以上とすることが好ましい。粒子径が3μmを超えると焼結性が低い粉末となり易い。また、比表面積が5m/g未満になると同様に焼結性が低い粉末となり易い。
本発明の製造方法では、得られた焼結原料を成形して成形体を得る。
成形方法は特に制限はなく、焼結原料をCIPまたは粉末プレス法を用いて所定の形状に成形することが好ましい。また、目的に応じて射出成形法や鋳込み成形法等を適用することもできる。
本発明の製造方法では成形体を焼結する。
焼成方法は、特に限定されるものではなく、通常のセラミックスの焼結条件を適用することができ、大気圧下での常圧焼成、熱間静水圧プレス処理(HIP)、ホットプレス法などが例示できる。大気圧下での常圧焼成により製造することが最もコスト的にも有利である。
焼結温度は1350〜1550℃が好ましく、特に好ましくは1400〜1500℃である。1350℃未満では、焼結が十分に進まず焼結体密度が低下しやすく、1550℃を超えると結晶相が不均質となり強度特性を損なうと同時に、着色剤として使用しているニッケルおよびコバルト固溶ジルコンの高温での安定性が損なわれ色相が変化する場合がある。低温焼結による低密度焼結体、或いは高温焼結における着色剤成分の気化に伴う気孔率の増大は、焼結体強度の低下を伴い、さらに鏡面加工時に脱粒が生じ易く、美しい鏡面の焼結体表面を得ることができない。
焼結時間は焼結温度に依存するため一概に決められないが、例えば上記焼結温度の場合で1〜5時間が好ましく、特に好ましくは2〜4時間である。
焼結雰囲気に制限は無いが、簡便であるため、大気雰囲気で焼成することが好ましい。
得られたジルコニア焼結体は、表面研磨を行うことが好ましい。表面研磨により、目的に応じた光沢面、審美性を得ることができる。
本発明のジルコニア焼結体は、従来にはない新規の灰色の色調を有し、なおかつ高い機械的特性を併せ持つジルコニア焼結体である。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例の態様に限定されるものではない。
(色差の測定)
色差は、JISZ8722に準拠し、D65光源、10°視野角の条件において色差計(カラーアナライザーTC−1800MK−II、東京電色社製)を用いて測定を行った。
(焼結体密度測定)
焼結体密度はJIS R 1634(ファインセラミックスの焼結体密度・開気孔率の測定方法)に準拠した測定法により測定した。
(曲げ強度)
曲げ試験は、JIS R 1601『ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法』に基づき3点曲げ試験により測定し、10本の平均値を採用した。
(ビッカース硬度)
ビッカース硬度は、JIS R 1610(ファインセラミックスの硬さ試験方法)に準拠した測定法により測定した。
実施例1〜12
(着色剤の合成)
酸化ジルコニウム、シリカ、酸化ニッケルおよび酸化コバルトをボールミルで湿式粉砕・混合し混合粉末を調整した。これを大気中、1550℃で1時間焼成した後に、ビーズミルで粉砕してニッケル・コバルト固溶粉末を得、着色剤とした。なお、着色剤のNi及びCoの含有量は、着色剤全体に対してNiが16wt%、Coが3wt%であった。
(ジルコニア焼結体の作製)
イットリア3mol%部分安定化ジルコニア粉末(東ソー(株)製)と着色剤、高純度アルミナ粉末(大明化学株式会社製、TM−DAR)を原料として、表1に示した原料組成となるように混合し、ボールミルに入れて湿式粉砕を行った。粉砕後の粉体を乾燥して原料粉末とした。
得られた原料粉末を一軸プレス装置と金型を用い、圧力50MPaを加えて仮成形した後、ゴム型に入れ冷間静水圧プレス装置を用いて200MPaの圧力で成形して成形体を得た。
この成形体を大気中、1400℃で2時間焼結を行い、焼結体を製造した。得られた焼結体の表面を研磨しジルコニア焼結体を得た。
色差、機械的特性等を測定した。その結果を表1および表2に示した。
なお、得られたジルコニア焼結体は原料組成を維持していた。
Figure 2011020879
Figure 2011020879
得られたジルコニア焼結体は、色差(L,a,b)がL=53.25〜82.13、a=−3.15〜1.09、b=−6.75〜7.01である灰色もしくは淡灰色を呈するジルコニア焼結体であった。また、装飾部品の強度として必要とされる800MPaを超える高い曲げ強度を有し、かつ、1200を超える高いビッカース硬度(Hv)を有していた。
実施例13〜20
イットリア3mol%部分安定化ジルコニア粉末(東ソー(株)製)、着色剤、高純度アルミナ粉末(大明化学株式会社製、TM−DAR)、およびランタノイド希土類酸化物を原料とした以外は実施例1と同様な処理によりジルコニア焼結体を得た。その結果を表3および表4に示した。
なお、得られたジルコニア焼結体は原料組成を維持していた。
Figure 2011020879
Figure 2011020879
得られたジルコニア焼結体は、色差(L,a,b)がL=53.76〜55.34、a=−4.09〜−2.82、b=−3.19〜2.09である灰色もしくは淡灰色を呈するジルコニア焼結体であった。また、装飾部品の強度として必要とされる800MPaを超える高い曲げ強度を有し、かつ、1200を超える高いビッカース硬度(Hv)を有していた。
比較例1〜5
原料組成および焼成温度を表5に示した条件とした以外は、実施例1〜10と同様な方法でジルコニア焼結体を得た。結果を表6に示した。なお、得られたジルコニア焼結体は原料組成を維持していた。
Figure 2011020879
Figure 2011020879
得られたジルコニア焼結体は、L、a、bのいずれかが本発明の範囲外であり、灰色とは異なる色を呈していた。
本発明のジルコニア焼結体は、各種部品の外装・装飾品として好適に使用することができる。また、本発明のジルコニア焼結体の表面を鏡面研磨処理することにより、宝石調の概観を有し、極めて高い審美性を有した外装・装飾部材を提供することが可能である。

Claims (7)

  1. ニッケルおよびコバルトを固溶するジルコン(ZrSi(Ni・Co)O)を含有し、色差(L,a,b)がL=30〜85、a=−9.0〜9.0、b=−9.0〜9.0であることを特徴とするジルコニア焼結体。
  2. さらにランタノイド希土類酸化物及び/又はアルミナ酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載のジルコニア焼結体。
  3. 曲げ強度が800MPa以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のジルコニア焼結体。
  4. 部分安定化ジルコニア粉末と着色剤としてニッケルおよびコバルトを固溶したジルコン(ZrSi(Ni・Co)O)を混合した原料粉末を得、当該粉末を成形し、焼結することを特徴とするジルコニアの製造方法。
  5. 原料粉末にさらにランタノイド希土類酸化物及び/又はアルミナ酸化物を含有する請求項4の製造方法。
  6. 焼結温度が1350℃以上1550℃以下である請求項4又は請求項5の製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のジルコニア焼結体を用いてなる装飾部材。
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